次の国家防衛戦略:任務を基盤とする戦力計画策定 (US Army War College Quarterly)

「MAGA」を掲げてトランプ氏が米国大統領に就任してまだ1年にも満たない。偉大なアメリカをというからには、現状の評価はかなり低いと認識しているのだろうと類推できる。米国の衰退は、経済力、科学・技術力・・・などなどに代表されるといわれている。「強さによる平和」を唱えているが、いわゆる軍事的な強さにも影響を与えている。このような中で2026年には米国政府は2026年国家防衛戦略を策定しなければならない。ここで紹介するのは、次の国家防衛戦略を策定する上での提言について論じた論稿である。過去の戦略策定に関わる指針文書などを批判的に分析しながら考え方も含め提言案を論じている。同盟国であるアメリカの国家防衛戦略がどのようになるのかは、決して学術的関心の域を超えることである。(軍治)

次の国家防衛戦略:任務を基盤とする戦力計画策定

The Next National Defense Strategy: Mission-Based Force Planning

Frank G. Hoffman

The US Army War College Quarterly: Parameters Summer 2025

著者:フランク・G・ホフマン(Frank G. Hoffman)博士は、海兵隊員、公務員、そして国防総省の高官として46年以上の勤務を経て、最近連邦政府を退職した。最後の勤務先は国防大学戦略研究所であった。彼は『Mars Adapting: Military Change during Wartime』(海軍研究所出版、2021年)を出版しており、軍における技術導入に関する最新著書は『Mars Unbound』である。

要約:米国防総省は、防衛組織を適切に規模と形態を決定するため、任務を基盤とする戦力計画策定(mission-based planning)という新たな手法を採用する必要がある。本稿は、戦略環境の継続的な変化(国の$36兆ドルの債務や年間利払い額が$1兆ドルを超える見込みなど)を踏まえ、伝統的な二大戦域戦争の枠組みを再構築する複数の提案を批判的に分析する。著者の軍種レベル、省レベル、国防長官室レベルでの戦略/戦力計画策定(force planning)1に関する40年以上の経験に基づき、戦略的優先順位に基づく任務優先の代替案を提示している。戦略レベルでの軍種計画担当者や、統合部隊事教育/最高レベル校の学生は、米国防総省内で進行中の国家防衛戦略に関する内部議論の戦略的文脈と主要なパラメーターをより深く理解できるようになる。

※1 「戦力計画策定(Force Planning)」と「戦力デザイン(Force Design)」は、別のものであるが、軍事的には関連するコンセプトである。「戦力計画策定(Force Planning)」とは、より広範なプロセスであり、多くの場合、戦略的指針と脅威評価(threat assessments)に基づいて、将来のニーズを満たすための軍事力の規模、構成、および構造を決定することを包含する。一方、「戦力デザイン(Force Design)」は、「戦力計画策定(Force Planning)」の中でも、より焦点を絞った取組みであり、軍事部隊の具体的な特性や能力、また、部隊をどのように編成し、装備して作戦するかを扱うものである。

キーワード:防衛計画策定、国家防衛戦略、中国、ロシア、予算

米国は国防計画策定(defense planning)の危機に直面している。国家が安全保障上の利益に割り当てようとする手段よりも、国家が優先する最終目的のコストが上昇しているのだ。戦略的債務超過は、カバーしきれないほどのリスクを生み出している。「動乱の枢軸(Axis of Upheaval)」に対応するための資源投入か、あるいはコミットメントの削減である。現政権の外交政策は、新孤立主義とジャクソン主義的なレトリックが混在した不明瞭なものである。この変化は、政権が国防予算を含む裁量的な政府支出を縮小するため、義務を減らし、安全保障上のリスクを増大させる可能性がある[1]

次期国家防衛戦略(NDS)は、米軍の目的、規模、形態など、検討すべきことが多い。過去2回の防衛戦略は、その戦力規模や形状の枠組みについて批判された。批評家たちは、2018年と2022年の国家防衛戦略における戦力計画策定構成(FPC)2が、二つの大国を同時に打ち負かす規模の軍隊を規定していないと指摘した。欧州の同盟国の中には、この評価を共有し、中国に対抗するために米国がインド太平洋地域に軸足を移すことが、自国を危険にさらすと懸念している国もある[2]

※2 「戦力計画策定構成(FPC)」とは、政策立案者や軍事計画者が必要な軍事力の規模や能力を決定するために使用する枠組みを指す。基本的には、軍隊が対処すべき紛争の種類、規模、頻度を定義し、戦力構造、装備、即応性についての決定を導くものである。

文脈を説明するために、本稿ではまず2016年以降に起きた安全保障環境の変化を捉える。そして、トランプ政権が直面する安全保障環境の大きな変化を分析する。政権が対処しなければならない継承された戦略的文脈を探った後、本稿は戦力規模・戦力構造(force structure)の有用性と歴史について論じ、2026年に期限を迎える国家防衛戦略には新たなアプローチが必要であると結論づける。この任務に基づくアプローチ(mission-based approach)は、ピート・ヘグセス国防長官と彼の政策チームにとって、米国防総省の適応に焦点を当て、制約のある資源配分を支援する優位性がある[3]

戦略を策定するにあたり継承される多くの要因

敵対者間の協力関係の強化、新たな競争ドメインを含む戦いの性質の変化、米国連邦予算の危機的状況など、最終目的(ends)/手段(means)のギャップをさらに拡大する要因がいくつか重なっている。

協力する脅威

これらの脅威の第一は、いわゆる「動乱の枢軸(Axis of Upheaval)」である。このグループの協力は、米国の敵対者が「互いに直接軍事的な援助を行うことを望んでいる」ことから、「戦略的環境の根本的な変化」を示している。この変化は、ワシントンの防衛計画に対する考え方を根底から覆す可能性がある。しかし、いわゆる「枢軸(Axis)」は同盟ではなく、共通の利害を持つ独裁国家の集まりである。さまざまな構成要素がうまくいっているわけでもない。ロシアはウクライナで驚異的な損失を被り、長期的な可能性を損なっている。従来型の地上部隊は枯渇し、ロシアの経済は、最も楽観的な見方でも停滞状態にある[4]

この1年、イランは中東全域で打撃を受けている。テヘランとその代理人は後手に回っている。イランはここ数十年で最も弱く、脆弱である。イランの代理人たちが大きな損失を被り、ミサイルの在庫の大部分を使い果たした今、イランはより劣化している。しかし米国は、イランがその全体的な戦略の一環として、過激派の代理人を支援し続けることを期待すべきである[5]

北朝鮮は依然として危険なミサイルを持つ「隠者王国(hermit kingdom)」である。ロシアとは、相互安全保障条項を含む新たな安全保障協定を結んでいる。ウクライナとロシアに駐留する平壌の軍隊は戦闘経験を積んでいるが、その代償は大きい。さらに心配なのは、北朝鮮が獲得するかもしれない防衛技術の利益である[6]

全体として、独裁国家(autocracies)は主にプーチンを支持して二国間で行動しているため、枢軸と称されるものはまだ集団的な脅威にはなっていない。協力は、連携や同盟と混同してはならない。しかし、「枢軸(Axis)」と称されるものは、西側の利益とは無関係に行動しており、より狡猾な脅威へと発展する可能性がある[7]

迫りくる脅威はペンタゴンを凌駕している

迫りくる競合者として高く評価されている中国は、軍事力に大幅な投資を行っている。新政権はおそらく、重要な不測の事態‐台湾に対する既成事実の排除‐に焦点を当てるだろう。台湾の防衛に関する解決策はよく理解されており、台湾が必要な改革を加速させるのであれば、難しいことではなさそうだ。米国も適応する必要がある。

台湾海峡で行われた一連のウォー・ゲームで、米国は1週間以内に重要な精密弾薬を使い果たす可能性が高いことが明らかになった[8]。中国を抑止する上で不足しているのは弾薬だけではない。造船能力容量における世界的なリーダーシップのおかげで、人民解放軍海軍は2012年から2024年までに271隻から328隻に拡大した。米海軍は同じ期間に284隻から289隻に増加した(図1参照)。中国の艦隊には、第3の空母を含む主要な水上戦闘艦、潜水艦、水陸両用艦が含まれる[9]

図1. 人民解放軍と米海軍の戦闘艦の比較

(出典 タップス・クーガン「図表 中国海軍 vs 米海軍」『サウンディング・ライン』2022年4月10日号、https://thesoundingline.com/chart-chinese-navy-vs-us-navy/.)

米海軍の艦船総数はほぼ横ばいだが、中国は増加しており、米海軍が世界各地に展開しているのに対し、中国の艦船はほぼすべてが太平洋で活動している。傾向と予想総数については図1を参照。中国艦船は、陸上ミサイル・システムに守られ、支援基地や補給物資の近くで活動している。

米海軍と中国海軍は、垂直発射システム・バッテリーを搭載した艦船をほぼ同数配備しているが、米海軍はより大型の艦船をより大容量で配備している。北京の艦隊はその差を縮めつつあり、今では米国の艦隊の半分の数のミサイルを配備している。米国防総省にとって、戦争に勝てる海軍をデザインし、資金を調達することは最優先事項であり、費用もかかるだろう[10]

ブライアン・クラーク(Bryan Clark)とマイケル・ロバーツ(Michael Roberts)は、中華人民共和国(PRC)の造船能力は米国の200倍と見積もっている。このことは、2023年に中国が689隻の大型商業船と30隻の海軍艦船を進水させたことが証明している。対照的に、米国の造船所では大型商業船は建造されず、米国海軍向けの灰色の船体を持つ船(gray-hulled ships)はわずか9隻しか建造されなかった。米国議会は、20年にわたる自己満足と過小投資を相殺するために、造船革命(shipbuilding revolution)を検討しなければならない。

米空軍もまた、この地域で同様の課題を抱えている。前空軍長官は、「中国は、空、陸、海から発射される中距離システムや、いわゆる第二列島線以遠に到達するシステムに大規模な投資を行っており、従来の空軍のシステムや作戦コンセプトはすでに危機に瀕している」と指摘した[11]。一部の政府関係者は、戦略的優先事項を支援するために欧州における米陸軍の戦力削減と、これらの戦略的優先事項への資源の再配分を提案している[12]

本国を防衛する

米国の政策立案者たちは、これが今日のより優先順位の高い課題であり、過去の世代よりも複雑であることを認識している。米国の防衛戦略は、中国やロシアが、紛争、特に米国の重要なインフラをターゲットとした紛争において、米国の軍事的準備や対応を妨げるために、さまざまな手段を用いる可能性があると指摘している。ほとんどの防衛アナリストは、将来の紛争において米国大陸が聖域ではないことを認識しているが、資源の影響を考慮する人は少ない[13]

大国とのいかなる競争でも、米国は自国を防衛し、海外に展開する軍隊を維持するために、港湾や輸送アセットの安全を確保するためにより多くの資源を投入しなければならない。敵対者は重要インフラをターゲットにし、コンピューター・ネットワークのハッキングを試みるだろう。この点で、中国のハッカーによる米国の電気通信への侵入は厄介である。米国や業界のセキュリティ当局者によると、中国軍は電力や水道の公共事業、通信や輸送システムなど、米国の重要なインフラを混乱させる能力を強化しているという。二正面作戦の必要性を懸念する者にとっては、この潜在的なインフラ破壊は第二正面作戦と考えるべきだろう[14]

ミサイル防衛もこの主要任務の一部である。多額の費用がかかるが、ある報告書では、米国のミサイル防衛局予算のうち、本国ミサイル防衛に割り当てられている30億ドルを上回る年間40億ドルから50億ドルの追加予算を推奨している。米国の「アイアン・ドーム(Iron Dome)」システム構築は、イスラエルがイランから攻撃を受けた際の成功例から、大統領の注目を集めている。「アイアン・ドーム(Iron Dome)」は一般的なものであり、イスラエルの短距離戦術防衛システムと混同してはならない。最近署名された大統領令は、「弾道ミサイル、極超音速ミサイル、高性能巡航ミサイル、その他の次世代航空攻撃に対する米国の次世代ミサイル防衛の盾」として、より包括的なシステムを意図している。

しかし、多くの専門家は、米国の包括的なミサイル防衛が当面の費用対効果に優れているとは考えていない。戦略とは双方向的かつ競争的なものであり、相手の明らかな反撃も考慮しなければならない。さもなければ、この費用のかかる取組みは戦略的利益をもたらさない軍拡競争(arms race)を招くことになるだろう。この構想が巡航ミサイルの脅威にどう対処するかは、まだ明らかにされていない[15]

戦略的抑止

老朽化した原子力事業は、もう一つの考慮事項である。国防予算のこの部分については、資金調達のための厳密なリスク評価が必要である。米議会予算局(CBO)は、米国の核戦力とその近代化には、2023年から32年までに7,560億ドル(年間約750億ドル)の費用がかかると見積もっている。この総額には、米国の核戦力の運用に3,050億ドル、核兵器運搬システムとその兵器の近代化に2,470億ドルが含まれる。この多大な費用は、さらに増加する可能性がある。

米空軍は、センチネル(Sentinel大陸間弾道ミサイル事業が少なくとも2年遅れており、コストが37%増加していることを明らかにした。米海軍は、弾道ミサイル潜水艦計画(USSコロンビア級艇)でも同様の遅れを経験している。この事業では、12隻の潜水艦を購入するために推定1320億ドル、ライフサイクル・コストは3470億ドルと見積もられている[16]

一部の専門家は、新政権が戦略兵器庫の近代化を加速させることを推奨している。戦略兵器が衰退の一途をたどっていることを考えれば、これは極めて重要な投資決定となるだろう。戦略的抑止力の多くは前世紀に構築された。爆撃機部隊は1960年代に建造され、米国の大陸間弾道ミサイルは1970年代に建造され、「ブーマー(boomer)」原子力弾道ミサイル潜水艦(SSBN)は1980年代と1990年代に建造された。近代化は遅きに失したが、三つの運搬手段の三脚(爆撃機、ミサイル、潜水艦)すべてを維持することは、経済的な余裕の観点から再考する必要がある[17]

新たなドメイン:宇宙戦とサイバー戦

宇宙がますます重要なドメインとなったことで、機会と脆弱性が生まれた。かつては、宇宙は従来型の戦闘作戦を可能にする重要な手段であった。今では、宇宙は混雑した戦闘空間の一部となっている。フランク・ケンドール(Frank Kendall)元米空軍長官は、「宇宙は“単なる用兵ドメイン(a warfighting domain)”ではなく、“列記とした用兵ドメイン(the warfighting domain)”である」と述べている。これに沿って、米国宇宙軍司令官のジョージ・サルツマン(George Saltzman)将軍は、宇宙ドメイン(space domain)は「歴史上のどの時点よりも争っている」と述べている。

最近の米外交問題評議会のタスク・フォース報告書は、宇宙は戦略上必要不可欠なものであり、米国の宇宙アセットは、特に中国とロシアによる攻撃に対してますます脆弱になっていると主張している。その手段には、直接攻撃型の対衛星ミサイル、宇宙を基盤とする兵器、ジャミングなどがある。タスク・フォースはまた、米国が依然として宇宙大国である一方で、中国が対等な競争者として台頭してきていることも明らかにした[18]

米国の経済的・安全保障的利益には、宇宙能力を引き受け、伝統的な空・海・陸のドメインにおけるギャップを埋めるための資源が必要である。このドメインにおける戦略は複雑を極める。米国のインテリジェンス機関は、中国はおそらく2030年までに、一部の宇宙分野を除いたすべての分野で世界トップクラスの地位を獲得するだろうと評価している。ロシアは野心的ではなく、より非対称的である。

サイバーセキュリティは、本国安全保障におけるもうひとつの欠陥である。専門家たちは、「本国の安全性はかつてないほど低下しており、米国の最大の脆弱性は非国家主体やテロリストからの物理的な攻撃ではない。・・・・ むしろ最大の脆弱性は、中国やロシアによるサイバー攻撃や長距離ミサイル攻撃の脅威である」と結論づけている。

中国の国営サイバー集団「ボルト・タイフーン(Volt Typhoon)」の侵入により、中国のハッカーは重要インフラ・システム内に待機し、危機発生時に北京が選んだタイミングで米国のシステムを混乱させることができる。侵害された重要インフラ・システムには、港湾、エネルギー、水道、通信などが含まれる。ある軍事戦略家は、中国の行動を、将来の紛争を見越した「戦場の作戦準備(operational preparation of the battlefield)」と位置づけた[19]

米国政府支出

長年の赤字支出とパンデミック後の景気刺激策により、36兆ドルの連邦債務が発生し、それに伴い利払いも増加している。図2に示すように、社会保障とメディケア(米国の高齢者向け医療保険制度)への支出は、米国人の高齢化に伴って目に見えて増加している。利払いも大幅に増加している。

図2. 米国連邦政府支出 2014-34年 (10億米ドル)

(出典: 責任ある連邦予算委員会、https://www.crfb.org/blogs/top-13-fiscal-charts-2024.)

米議会予算局(CBO)は2025会計年度の財政赤字を1兆9000億ドルと予測している。借金の利息は予算の中で最も急速に増加しており、2020年度の3,450億ドルから2024年度末には8,700億ドルに倍増した。2024年度の終わりには、増加する債務の利払いが国防予算全体を上回る。利払いはさらに増加し、2035年には1兆8000億ドルに達すると予測されている。今後10年間の純支払利息は13兆8000億ドルに達する[20]

政府効率省(DOGE)はその総額を減らす可能性がある。トランプ大統領就任当初に実施された減税措置の延長案について、議会がどのように対処するかは未知数である。同法案の延長には4.6兆ドルかかると見積もられている[21]

国家債務が増大すればするほど、世界の債権者の言いなりになり、民間部門の資本へのアクセスが減少し、成長が制限されると専門家は主張する。追加的な米国債の十分な買い手を引き付けるために、金利が上昇する。歳出と歳入の長期的な不均衡が解消されなければ、次の銀行危機、パンデミック、戦争の際に、米国政府の財政的機敏性が低下する可能性がある[22]

経済史家のナイアール・ファーガソン(Niall Ferguson)は、大国の債務支払いが国防支出を上回るクロスオーバー・ポイントに達すると、その衰退は著しいと警告している。数多くの歴史的事例を用いて、大国が過剰債務の求心力から立ち直るのは「非常にまれだが、前例がないわけではない」ことを示している。安全保障計画担当者にとって、債務とそれに関連する利払いは、国家の強さと安全保障に投資する資金が減ることを意味する[23]

結局のところ、その遺産は大変なものだ。多額の財政赤字と、米国の外交政策における超党派のコンセンサスの欠如により、ワシントンは、安定したグローバル・システムのリーダーであり保証者であるという歴史的役割を果たすことが難しくなるだろう。予算が軽減されなければ、重要なトレードオフが必要となる。

防衛戦略と戦力計画策定構成(FPC)

戦力計画策定構成(force planning construct :FPC)は防衛戦略の重要な要素である。しかし、戦力計画策定構成(FPC)は、資源の利用可能性から切り離された、短絡的なバンパー・ステッカー3であることが多く、戦略的適応を遅らせるほど硬直化することがある。戦力計画策定構成(FPC)は、長期的な脅威や、戦略的揚力やインテリジェンスのような基盤となる能力を危険にさらすことで、短期的な従来型の用兵能力容量(warfighting capacity)を反映している可能性がある。国防計画策定(Defense planning)は、脅威の優先順位付け、任務と防衛目標の特定、そして長期にわたる資源の規律ある配分を必要とする複雑な術である[24]

※3 バンパー・ステッカーは、車のバンパーやリアウィンドウに貼るステッカーのことで、通常、標語やスローガンで終わることを指して批判的に使用される。

国防戦略家や戦力デザイナー(force designers)は、戦力の規模や編成の目的や方法を選択する際、いくつかの変数と格闘しなければならない。陸軍師団や空母を何隻配備し、維持するかということだけではない。戦力デザイン(force design)の枠組みを作り、評価し、長期にわたる戦略的・作戦的リスクを評価するための方法を選択する際には、考慮すべき点が数多くある。その変数には次のようなものがある(これだけではない)。

・ 現役部隊と予備部隊

・ 海外展開態勢:前線配置、輪番展開、または定期的な存在

・ ドメイン能力の優先順位(すなわち、海上対大陸)

・ 従来型部隊と非従来型部隊

・ 同盟国とパートナーの貢献

最も顕著な要因の一つは、期待される資源である。戦略とは、志を明確にすること以上に、限られた資源を望ましい政策目標に集中的に投入することである。戦略家や国防計画担当者は、予想される資金について、希望というキメラ(chimera)4ではなく、現実に対処しなければならない。

※4 キメラ「chimera」は、ギリシャ神話に登場する怪物「キマイラ」を指す言葉であるが、生物学や比喩的な意味でも使われる。生物学的には、異なる遺伝的背景を持つ細胞が混在する個体を指し、比喩的には、実現不可能な夢や空想を表わす。

このような戦力規模の調整は、しばしば戦略の略語になってしまう。「二つの戦争戦略を持つ必要がある」という間違った言葉をよく耳にする。米国の戦略は複数の戦争を推進するためのものではなく、戦争を抑止するためのものだからだ。二つの戦争モデル(two-war model)の提唱者が求めているのは、複数の脅威を抑止する能力であり、米国の別の紛争への関与を利用する悪意ある主体による機械主義的な侵略(opportunistic aggression)を阻止する能力である。この懸念は現実的であり、戦略的にも適切である[25]

コメンテーターの中には、複数戦争の枠組み(multi-war framework)を明確にすれば、自動的に複数戦争の枠組み(multi-war framework)が機能し、十分な資金と規模の従来型の軍を生み出すという考え方の下に活動している者もいるようだ。この考え方は、よく言っても甘い。複数戦争の構成(multi-war construct)は、この学派にとっては魔法のような魅力があり、従順な議会が自動的にこの軍隊を採用し、訓練し、装備し、維持するための資源を計上すると仮定している。この仮定は現実的ではなく、歴史的にも正確ではない。

より可能性が高いのは、そのような穏当な仮定から生じる、二つの戦争を闘うために必要な人員の70%、近代化された装備の70%しか確保できない大規模な軍隊である。同様に、いくつかの重要なイネーブラーや基礎となる能力が軽視される可能性も高い。その結果、軍隊は空洞化する。このような状況は、どちらの不測の事態にも対応できない軍隊を生み出しかねない。戦力規模構成(force-sizing construct)は戦略ではなく、手錠でもない。

一つの大きな、そして長い戦争のために軍隊を構築し、形を整え、態勢を整える防衛戦略は、米大統領が紅海やペルシャ湾での作戦のような、二つの地域紛争を同時に遂行するために軍隊を使うことを妨げるものではない。大統領は、危機に際して、足かせや言い訳ではなく、選択肢を求めている。とはいえ、戦力計画策定コンセプト(force planning concept)は、そうした選択肢やその他の不測の事態を生み出すための戦力の範囲と幅を提供する必要がある。時間が経てば、そのような不測の事態の性格も変化するかもしれない。

歴史的な戦力計画策定構成(FPC)

冷戦後の時代、米国の国防政策は、戦略をよりよく実行するために必要な戦力規模を定義し、進化する安全保障環境に最も適した戦力とはどのようなものかを判断するために、その戦略と戦力計画策定メカニズム(force planning mechanisms)を絶えず適応させていかなければならなかった。戦力の全体的な規模とその形状(戦力の種類)の両方が、国防政策の重要なアウトプットである。

戦力計画担当者は、米国が発揮できる能力(航空、宇宙、海軍、陸上戦力など、どのような戦力を使用するか)と、それぞれの総合的な能力(どの程度か)について語る。政策立案者は、戦力デザイン(force design)に伴うリスクを評価するために、伝統的に、もっともらしく予想される紛争(主要な地域戦争またはそれ以下の不測の事態)の数と規模を中心とする戦力計画策定構成(FPC)を用いる。また、そのような戦争がどの程度の期間続くか、また、それらが同時に起こる可能性があるかどうかについても、想定や見積もりをしなければならない。

このような構成要素は、砂漠の嵐作戦後にコリン・パウエル(Colin Powell)将軍がデザインした基地部隊や、それに続くクリントン(Clinton)政権初期のボトムアップ・レビューに遡り、あらゆる防衛戦略の重要な構成要素となった。表1に示すように、新政権が誕生するたびに、その戦略と資源に合わせて戦力計画策定構成(FPC)の構成要素を改良していった[26]

ほぼ同時に二つの紛争を闘う能力の枠組みに関するコンセンサスは、冷戦後の時代に損なわれた。「二つの戦争(two-war)」という指標は、戦争を防ぐためのより大きな戦略を考慮することなく、戦力を維持することに重点を置いていると批判された。この評価基準への批判は、1997年に議会が冷戦後の国防計画策定(defense planning)を評価する委員会を設置する動機となった。この委員会は、冷戦時代の考え方に縛られ、「この構成が戦力防護メカニズム(force-protection mechanism)、つまり現在の戦力構造(force structure)を正当化する手段になっている可能性を懸念している」と指摘し、2戦争基準を批判した[27]

同じ頃、ハート・ラドマン(Hart-Rudman)委員会(21世紀の国家安全保障に関する米国委員会としても知られる)は、二つの戦争構成(two-war construct)について、「現在発生している、そして今後数年で増加すると思われる多様で複雑な不測の事態に必要な能力を生み出していない」と批判した。2001年、この委員会は、ある種の先見の明をもって、大規模な戦争用にデザインされた部隊とは異なる、安定化作戦と本国安全保障のための部隊を求めた。2001年9月11日の事件と、それに続くイラクとアフガニスタンでの戦役は、この2年間にわたる委員会の予想された要求を反映している[28]

国家防衛パネルとハート・ラドマン(Hart-Rudman)委員会の報告書を念頭に置いて、筆者は、現有戦力による1回の大規模戦争と、将来の戦力と銘打った2回目の大規模戦争という二つの戦争戦力モデル(two-war force model)を採用する妥協案を提示した。この妥協案は、先進的な作戦コンセプトを実験するための専用部隊を創設し、軍に適応するインセンティブを与えることを意図したものである。ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)次期政権は国防変革に傾倒し、決定的優位性を確保するために軍事技術の「一世代飛ばし(skip a generation)」を図った。同政権は変革の追求を望んだが、最終的には二つの長期的な対反乱/安定化任務に従事した。しかし、その戦力構成は、米国防総省(DoD)に二つの敵をほぼ同時に「迅速に撃破する(swiftly defeat)」できる戦力を構築することを課した。

束の間の一極集中の中で、米国の軍事指導者たちは二つの短期の戦役を考え、成功を期待することができた。ハル・ブランズ(Hal Brands)とエヴァン・ブレーデン・モンゴメリー(Evan Braden Montgomery)が指摘したように、競争相手が増え、戦闘が長期化し、激しさが増す可能性があるため、そのような幸福な時代は終わった[29]

表1:過去の米国防総省の戦略的戦力計画策定構成(FPC)(著者作成)

2018年国家防衛戦略

大国間競争(great-power competition)と潜在的な軍事衝突の規模が、2018年の国家防衛戦略(NDS)構成における主要な推進要因であった。資源状況もまた、予算管理法の前年の制約や国防支出の予測を含む、もう一つの原動力であった。国防の指導者たちは、5年前の歳出削減の時代における米国防総省の予算状況や、法制化された制約から生じた準備や調達予算の不調を認識しなければならなかった。

2018年国家防衛戦略(NDS)は戦力計画策定(force planning)におけるいくつかの革新を反映した。それは、任務に基づいた定常戦力(steady state force)を定義すると同時に、戦時の優先事項に対する同時性の指針も提供した。戦略の究極的な尺度としての戦争に慣れ親しんだ人々にとって、この構成の略記的なラベルは、「三つの地域で抑止し、一つの大国を倒し、2番目の地域で機会主義的な侵略を抑止する」となるだろう。表2を参照[30]

表2:2018年国家防衛戦略(NDS)戦力規模/形成と同時性指針(著者作成)

この戦略に大きな影響を与えたのは、対等な競争者との世界規模の戦争が起こりうるという規模であった。この課題は、米国防総省が過去2世代で直面したものとは比べものにならないほど高度で危険なものである。他の委員会と一致して、二つの戦争モデル(two-war model)は、戦略の優先事項に対して現在の従来型の部隊を優遇していると見なされた[31]

脅威の図式と利用可能な資源を考慮し、上級指導部は、防衛資源は戦力構造能力容量(force structure capacity増強の代わりに近代化投資(能力(capabilities))に集中する必要があると決定した。主要なドライバは、統合部隊の残りのハードウェアと能力容量は、近い将来に抑止することができ、そのリスクは、長期的な近代化のリスクを後続年度(outyears)で買い取るために近い将来に受け入れることができるという評価であった。ブランズとモントゴメリーはこれを官僚的な考慮としたが、それは定義された時間的連続体にわたるリスクについての戦略的判断である。リーダーシップは、政権後期に先進的能力で資本不足に陥るリスクを買い戻すために、短期的には第二次戦争のリスクを許容できると考えたのである[32]

米国防総省の指導者たちは、友軍と敵対者の規模や能力容量を考えれば、二つの紛争を実施することは可能だが、第2次世界大戦のように、紛争はより長期化し、より多くの犠牲を強いられるだろうと考えていた。それゆえ指導部は、指揮・統制、宇宙、自律システムなど、新しい能力を追求するための研究開発に資源を集中させた。政権は、2018~22年度の第2次不測の事態における抑止力失敗のリスクを認め、受け入れた。米国防総省の上級指導部は複数のリスクを認識し、戦略に合致した戦力構造(force structure)、態勢、投資ポートフォリオを採用した[33]

バイデン‐ハリス政権も同じ論理を信奉し、新興技術への投資をより前進させ、集中させた。また、中国の脅威をより明確に定義した。バイデン政権の防衛戦略は、トランプ政権の最初の防衛戦略と同じ批判を浴びた。バラ色の仮定と過剰なリスク、特に同時多発的な危機を容認していたのである[34]

2018年と2022年の戦略に対する批評家たちは、米国防総省の戦略に資源的制約があることを認めながらも、米国が「戦略的にさらされ、軍事的に拡張しすぎ、あるいは信頼性に欠ける非常にエスカレートした選択肢に依存するようになった」と非難している。しかし、本当の問題は、批判者の優位戦略は、議会が提供する以上の資源需要を拡大し、軍隊を過剰に拡張することである[35]

学者たちは機会主義的な侵略を懸念しているが、歴史的に見れば、それは証明されていない。冷戦時代、米国は朝鮮半島とベトナムで大規模なコミットメントを行ったが、ソ連がヨーロッパで優位に立つことはなかった。西側諸国がアフガニスタンやイラクでの長期的な任務に多大な貢献をした際も、2014年にモスクワがクリミアを占領するまで、北京もモスクワも突発的な動きはしなかった。

防衛戦略調査会提言

米議会に4年ごとに独立した評価を提供するパネルが、米国防総省の戦略と戦力計画策定(force planning)に対する批判をさらに強めた。パネル・メンバーの経験の幅を考えると、彼らの仕事は真剣に検討する必要がある。彼らは、「複数戦域構成(multiple theater construct)」と呼ぶものを提案した[36]

統合部隊は、以下の任務を同時に遂行できる規模と構造にすべきである。

  1. 本国を防衛し、戦略的抑止力を維持し、大量の犠牲者を伴うテロ攻撃を防止し、グローバルな態勢を維持し、小規模で短期間の危機に対応する
  2. 西太平洋における中国の領土侵略を阻止するため、同盟国の意味ある貢献を得ながら主導的な役割を果たし、必要に応じて戦い勝利する
  3. NATOの計画策定と戦力構造(force structure)を主導し、ロシアの侵略を阻止し、必要に応じて撃退する
  4. 中東の米国パートナーと共に、イランの悪意ある活動を防ぐための能力を維持する[37]

このリストは、三つの戦域における前方プレゼンスを提供するという点では2018年国家防衛戦略(NDS)と2022年国家防衛戦略(NDS)に似ているが、第2戦域戦争に関してはさらに踏み込んでいる。米国防総省の言葉を借りれば、このアプローチは「三つの戦域で抑止し、二つの戦域で撃破する」モデルである。この例は包括的であり、「同盟国の有意義な貢献」を考慮する必要性を認めている点は有益である。しかし、最初のカテゴリーに含まれるものすべてを考慮すると、優先順位に疑問符がつく。より詳細に検討すると、優先順位が狂っているように見える。

短い危機への対応は、中華人民共和国を抑止することよりも重要なのか? 「グローバルな態勢の維持」は冗長なのか、それとも地域的な抑止任務よりも拡大的なのか。大量殺傷テロ攻撃の防止は、米国防総省の最優先事項として正当化するのは難しいが、任務としてはあり得る。全体として、国防戦略委員会は包括的であるが、現政権の政策やワシントンの財政状況とは相反する深い関与の戦略に基づいている。

2026年国家防衛戦略

今日の要求を満たす戦略と戦力計画策定構成(FPC)とは? トランプ政権は、2026年初頭までに新たな国防戦略を策定することが求められている。進化する戦略環境におけるいくつかの条件は、米国の戦略的利益を促進するために、戦略と予算の見直しが必要であることを示唆している。この要件は、「強さによる平和(peace through strength)」を指針の原則とする場合に特に当てはまる。もし「強さによる平和」が単なる美辞麗句に過ぎず、米国が「要塞米国(Fortress America)」というキメラ(chimera)に引きこもるのであれば、財政削減以外の変化は必要ない。

それが指針の原則であるならば、政権はその継承に対処し、首尾一貫した戦略を生み出さなければならない。世界は現在、2017年とは同じ状況にはなく、異なる戦略が求められている。国防の近代化は、この時代に予想される必要な能力をまだ提供していない。米議会は、より大規模な戦力を増強し、その戦力を近代化し、米国の競争上の優位性(competitive edge)を研ぎ澄ますために必要な産業基盤を維持するために必要な実質成長率3~5%を支持したことはない。真剣な剪定と慎重な投資が必要である。

米国防総省の任務に対処する包括的な戦略は、政権が軍隊を「適切な規模(right sizing)」に「適切な形(right shaping)」にするのに役立ち、うまくいけば米国の信頼性を取り戻すことができる。次期防衛戦略は、米国防総省に課せられた任務の幅広さを認識し、資源を戦略的に活用するために優先順位をつけるべきである。米国防総省は、最大の課題者に少ないリスクで対処できる能力を開発すべきである。失われた10年とまではいかないが、中国の主張的な外交政策をそらすには十分な進展が見られない。現在、人民解放軍は指揮・統制、到達範囲、致死性を向上させている[38]

学者たちは、一つの戦争基準(one-war standard)は「大失敗のもと(a recipe for disaster)」であり、「既存のグローバルな約束」を果たすには戦力の増強が不十分だと主張する。これらのコミットメントは、三つの地域における同盟国やパートナーとして定義されている。ヨーロッパ、インド太平洋、中東である。これらの地域は、米国にとって唯一の約束や義務ではない。本国を危険にさらし、近代的でない戦力を受け入れ、宇宙やサイバー戦域で脆弱なままであり、長期戦において統合部隊を維持することができない防衛イノベーションのエコシステムを永続させることがいかに危険であるかを見落としてはならない。学者たちが一致しているのは、より多くの資源が必要であり、今が選択の時だということだ[39]

最終的には、どこでリスクを取るかという難しい決断に行き着く。政策立案者は、いくつかの分野において、どこでどのようにリスクを管理するかを決めなければならない。ミサイル防衛を含め、本国に対するリスクはどの程度許容できるのか。時代遅れで信頼性の低い戦略的抑止力?「 21世紀の戦い(twenty-first-century warfare)」に対応する装備が不十分なまま、近代化されていない軍隊?

「長期化する高強度戦(protracted and high-intensity warfare)」で軍を維持するための準備不足が深刻な、不安定な防衛産業基盤? 同盟国や重要なパートナーに対する既成事実を防ぐための前方態勢の軍隊? 軍事雇用と経済を麻痺させるかもしれない宇宙における脆弱性は大丈夫なのか? 国防長官は、次の国家防衛戦略でこれらの疑問を評価しなければならないだろう。

以下に提案する戦略と任務計画の枠組みは、短期的到達目標と長期的到達目標、能力容量対能力のバランスを追求するものである。批評家たちは、米国政府が来るべき嵐に対して小さすぎる戦力を生み出すことを恐れているが、今日の米国防総省の計画担当者は、砂漠の嵐作戦(Operation Desert Storm)の再戦しかできないレガシー・プラットフォームからなる中途半端で近代化不足の戦力を恐れている。この両極端の間に、複数の戦域で侵略を抑止し、複数の紛争形態を遂行できる近代化戦力の選択肢がある。その戦力デザイン(force design)は、利用可能な資源と共存しなければならない。

任務を基盤とする戦力計画策定(mission-based planning)

米国防総省は、単純化された「物差し(yardstick)」として従来型の戦争を闘うことに焦点を当てるのではなく、任務を基盤とする戦力計画策定(mission-based planning)を検討すべきである。この方法論は、複数の安全保障任務を長期的に達成するためのバランスの取れたアプ ローチを促進するものである。この方法は、米国防長官とその参謀が、戦略で特定された任務の優先順位を満たすための戦力配分に役立つはずである。この方法にはいくつかの優位性がある。遠征戦役や海外攻勢戦役では見過ごされがちな、本国防衛のような任務に対する脅威の増大を考慮できる。

第二に、戦略的抑止力を、従来型の部隊とのトレードオフを決定するための特徴的なカテゴリーと位置づけている。また、非従来型の戦いのタスク付与と、米国防総省の懸念にもかかわらず、国内安全保障と緊急対応要請への支援が予想される事実を認めている。最後に、米国防総省が任務と資源の明確な関連性を示すことで、議会の監視と予算審議に役立つはずである。戦略と資源の相互関係をより明確にすることは、「計画・編成・予算編成・執行改革委員会」の勧告に沿ったものである[40]

任務に基づく構成は、明日の統合部隊と、紛争スペクトル全体にわたるそのイネーブラーを構築し、評価するための強固な基盤を提供する。この提案は、国家防衛戦略委員会が適切に指摘したいくつかの側面を含んでいる。このリストは、優先順位の高い一連の任務を示している。

  1. 本国を防衛する。
  2. 同盟国およびパートナーと協力し、アジアにおける侵略を阻止する。
  3. 現代化された戦略的抑止力を提供する。
  4. テロ対策や安全保障支援を含む非従来型の戦いの任務を遂行する。
  5. 同盟国と協調し、ヨーロッパにおける侵略を阻止する。
  6. 宇宙の安全保障を強化する。

このアプローチでは、国防指導者は部隊の規模と編成に、イネーブラーは戦略の実行に重点を置く。これは最悪のシナリオに基づくものではないが、慎重な計画担当者はリスク評価の訓練として起こりうる不測の事態を探るかもしれない。任務に基づく方法論(mission-based methodology)は、政策立案者によるリスク管理に現実的な手段を提供する[41]

全体として、この任務計画策定の枠組みは、米軍を二つの戦争に対応させるよりも包括的かつ論理的であるように思われる。このような二重のシナリオは、国家戦略と米国の抑止力が一度だけでなく二度も失敗した場合に発生する。米国の戦略は、二つの戦争に勝つことではなく、そもそも侵略を抑止し、他の任務を果たすことである。同盟国の支援を得て、相手を打ち負かすために何が必要かを判断することは、有用なリスク演習とインプットを提供するが、米国防総省の作戦部隊の編成と規模を決定し、将来の再資本化ポートフォリオに資金を供給するための唯一の基準ではない。

インド太平洋地域への大規模かつ長期的なシナリオは理にかなっている。投資は、米国の納税者よりも敵対者に多くのコストを課すべきである。しかし、高価な攻撃システムも必要であることに変わりはない。米国は、紛争が長期化した場合でも弾薬の在庫を使い果たさないよう、ハイ・ロー・ミックスを追求すべきである[42]

国家防衛戦略委員会(Commission on the National Defense Strategy)によれば、一連の任務には米軍の貢献を伴うNATOシナリオを含めるべきである。この優先順位は、欧州に配置される米軍の削減を妨げるものではないが、米国は主要なイネーブラー(指揮・統制、インテリジェンス、統合防空、宇宙など)を維持すべきである。これらのイネーブラーはNATO加盟国が複製することは困難である[43]

平和で豊かな欧州における米国の利益は、無視するにはあまりに重大である。ロシアは航空戦力と海軍戦力において強力な能力を保持しており、戦闘部隊を再編成し、おそらくより優れた作戦部隊に改編するだろう。この要素を含めることで、地域紛争シナリオ(1.5戦争コンセプト(a 1.5-war concept))に対するブランド(Brand)とモントゴメリー(Montgomery)のコメントを満足させることができるはずである。この要素を含めることで、持続的な陸戦のための独自の用兵能力(warfighting competencies)(装甲および対装甲システム)が無視されず、連合国の首都が安心できるようになる。予想されるロシアの再建速度(5年から7年)は、NATOの態勢強化が持続的に進展することを前提とする第2戦域の優先順位を決定する[44]

この任務を含めることで、基本シナリオの特質によって戦力が緊密に形成される単一の戦争の枠組み(single-war framework)に対する懸念が解消される。特定の不測の事態のために最適化された軍隊は、他の場所で起こりうる危機に対処する能力を欠いている可能性がある。具体的に言えば、台湾紛争を確実に成功させるためにデザインされた戦力は、他の危機には不向きな海上・航空宇宙戦力に重きを置く可能性がある。米国が将来の戦争の場所と性格を選んできた実績を考えれば、慎重なデザインであれば、戦力デザイン(force design)に適応性を組み込むことになる。

NATOを支援する不測の事態は、過剰な専門化に対するヘッジとなる[45]。この提案では、戦略的抑止の優先順位を下げ、コストのかかる三位一体の運搬プラットフォームを再考する。ミサイル防衛システムが本国防衛の優先事項となった場合、国家が拒否戦略に移行するため、三位一体の高価な近代化がツケ払いとなる可能性がある。

米国と同盟国の安全保障を損なう非正規・非従来型の脅威に対しては、指定された非従来型/テロ対策任務の意図通り、米国はもっと対応しなければならない。2018年国家防衛戦略と国家防衛戦略委員会はこの要素を特定したが、これは米特殊作戦コマンドのアセットを組み立てるのに役立つはずである。

この任務には、国家が支援する代理人への対処も含まれる可能性がある。十分に武装した代理人は、中国と米国の間を含め、大国間の対立を形成する可能性が高い[46]。最後の優先順位は、本国安全保障やミサイル防衛の有効性、統合作戦の遂行に不可欠な宇宙空間が、紛争ドメインであることの重要性を反映している。

リスク評価

どのような防衛戦略においても、中心的な問題はリスクである。

国防政策の指導者たちは、米国防総省が直面するさまざまなリスクを評価し、その中には、他のリスクと関連する第二の不測の事態の短期的なリスクも含まれていた。計画担当者は、リスク評価に多くの考慮事項を盛り込まなければならない。機械主義的な攻撃はあり得るか? もしそうなら、それはどの程度の可能性で、どの程度の結果なのか。それは、本国に対するリスク、進行中の対テロ・対転覆任務に対するリスク、あるいは戦略的抑止力の失敗の可能性よりも大きいのか。2017年末の答えは「ノー(no)」だった。

大国間競争(great-power competition)に適切に対処するために、新たな能力においてさらに遅れをとり、新たなコンセプトを追求せず、新たな能力への投資を怠ることに、より大きなリスクがあったのだろうか。国防長官と国防戦略タスク・フォースの答えは「イエス(yes)」だった。目先のリスクを認識しながらも、この戦略は米国防総省の5カ年計画を超えて失地回復を目指した。複数戦争の構成(multi-war construct)は、各軍種が研究開発を犠牲にして人員、即応性、作戦/維持勘定に資金を投入することに行き着くだろう。要するに、「二つの戦争(two-war)」という枠組みは、リソースの調整を誤り、近代化プログラムを飢餓状態に陥れることで、戦略を台無しにしかねないのである[47]

しかし、今日の答えはもっと複雑だ。全体として、リスク方程式は異なっている。中国の軍事的成長は、主要シナリオのリスクを高めている。本国に対する脅威はより大きくなり、戦略的抑止力は時代と複数の脅威主体によってますます挑戦的になっている。これらのリスクをカバーするための国防資源は、重要な新規事業の立ち上げや21世紀に向けて戦力を変革する米国の取組みのペースを遅らせる立法上限や継続決議によって制約されたままである。産業基盤は、依然として重要な分野で対応できていない。米軍は、2018年戦略が重要だと主張した緊急性と規模で近代化されていない。

米国は、準備不足の戦力と脆弱な産業基盤を抱えながら、技術的に凌ぎを削る大国間競争(great-power competition)に直面している[48]。戦略とは、何が重要かを決定し、その重要な目標に資源と行動を集中させることである。規律あるトレードオフこそが戦略を難しくする。ほとんどの組織は、焦点を絞った戦略を立てることができない。その代わりに、彼らは洗濯物のリストを公布し、達成不可能な到達目標を宣言する。次期国家防衛戦略は、首尾一貫した戦略とし、望ましい野心と有限の手段とのバランスをとる必要がある。米国防総省の予算を増やさなければ、将来の安全保障上の課題に対応することは難しい。しかし、予算が増えたとしても、国防政策立案者はリスクを受け入れなければならない。米国の安全保障上の利益を成功させるためには、ホワイト・ハウスはあらゆる形のリスクに優先順位をつけ、理解しなければならない[49]

結論

国防のジレンマを短期的に解決する単純な定式は存在しない。米国防総省の戦略立案には、明確な優先順位、トレードオフ、規律ある計画策定、リスク管理が必要である。米国は、増大する戦略的債務超過に対処し、いくつかの任務を削減し、対外介入により大きな戦略的規律を適用すべきである。

将来の戦争は、準備ができているかどうかにかかわらず、ここにある。したがって、米国の超大国としての地位の必須条件として二つの戦争能力容量(two-war capacity)を定義する代わりに、米国は、特に宇宙、海底戦、長距離打撃、および高度な自律システムなどの主要な軍事競争におけるグローバルな戦力投射と競争上の優位性(competitive edge)にその主張を基づかせるべきである。米軍は先端技術で優位に立ち、統合部隊の射程距離、精度、致死性を拡大することができるし、そうしなければならない。米国は、慎重な戦略と、任務に優先順位をつけ、それを資源に適合させるための明確な枠組みを必要としている。説得力のある戦略と明確なルールの策定は、新国防チームにとって極めて重要な成果となるだろう[50]

結局のところ、米国防総省の指導者たちは、米国が直面する短期的、長期的なリスクに対して残酷なまでに正直でなければならない。このような時代における米国の政策立案者への最良のアドバイスは、将来予測に謙虚であり続けること、明確な優先順位を設定すること、そして希望的観測を避けることである[51]

ノート

[1] Andrea Kendall-Taylor and Richard Fontaine, “The Axis of Upheaval: How America’s Adversaries Are Uniting to Overturn the Global Order,” Foreign Affairs (May/June 2024), https://www.foreignaffairs.com/china/axis-upheaval-russia-iran-north-korea-taylor-fontaine; Walter Russell Mead, “America’s Jacksonian Turn,” The Wall Street Journal, July 14, 2024, https://www.wsj.com/opinion/americas-jacksonian-turn-presidential-election-history-9e684333; and Susan B. Glasser, “The Man Who Put Andrew Jackson in Trump’s Oval Office,” Politico Magazine, January 22, 2018, https://www.politico.com/magazine/story/2018/01/22/andrew-jackson-donald-trump-216493/.

[2] Hal Brands and Evan Braden Montgomery, “One War Is Not Enough: Strategy and Force Planning for Great-Power Competition,” Texas National Security Review 3, no. 2 (Spring 2020): 80–92, https://tnsr.org/2020/03/one-war-is-not-enough-strategy-and-force-planning-for-great-power-competition/;     David J. Trachtenberg, “The Demise of the ‘Two-War Strategy’ and Its Impact on Extended Deterrence and Assurance,” National Institute for Public Policy, Occasional Paper 4, no. 6 ( June 2024), https://www.nipp.org/wp-content/uploads/2024/06/Vol.-4-No.-6.pdf; Mark Gunzinger and Lukas Autenried, Building a Force That Wins: Recommendations for the 2022 National Defense Strategy (Mitchell Institute for Aerospace Studies, 2021), https://www.mitchellaerospacepower.org/events/building-a-force-that-wins-recommendations-for-the-2022-national-defense-strategy/; Markus Garlauskas, “The United States and Its Allies Must Be Ready to Deter a Two-Front War and Nuclear Attacks in East Asia,” Atlantic Council, August  16,  2023,  https://www.atlanticcouncil.org/in-depth-research-reports/report/the-united-states-and-its-allies-must-be-ready-to-deter-a-two-front-war-and-nuclear-attacks-in-east-asia/; and Luis Simón et al., “Two Fronts, One Goal: Euro-Atlantic Security in the Indo-Pacific Age,” Brussels School of Governance Centre for Security Diplomacy and Strategy, August 28, 2023, https://csds.vub.be/publication/two-fronts-one-goal-euro-atlantic-security-in-the-indo-pacific-age/.

[3] F. G. Hoffman, “Shaping the 21st Century Military,” Orbis 61, no. 1 (Winter 2017): 43–63, https://doi.org/10.1016/j.orbis.2016.12.015. This proposal found no traction from the Pentagon’s leadership, all veterans of two decades of coalition warfare in Iraq and Afghanistan.

[4] Raphael S. Cohen, “China and North Korea Throw U.S. War Plans Out the Window,” Foreign Policy, December 2, 2024, https://foreignpolicy.com/2024/12/02/us-military-defense-strategy-china-russia-north-korea-war-geopolitics/.

[5] Richard Haass, “The Iran Opportunity: What America Needs to Do to Achieve a Breakthrough,” Foreign Affairs, January 6, 2025, https://www.foreignaffairs.com/united-states/iran-opportunity-richard-haass; and Afshon Ostovar, “The Grand Strategy of Militant Clients: Iran’s Way of War,” Security Studies 28, no. 1 (2019): 159–88.

[6] Victor Cha and Ellen Kim, “The New Russia-North Korea Security Alliance,” Center for Strategic & International Studies (CSIS), June 20, 2024, https://www.csis.org/analysis/new-russia-north-korea-security-alliance; and Kim Soo-yeon, “(6th LD) Russia, N. Korea Ink Partnership Treaty Calling for Mutual Assistance if Either Is Attacked,” Yonhap News Agency, June 19, 2024, https://en.yna.co.kr/view/AEN20240619001856315.

[7] Eugene Rumer, “The United States and the ‘Axis’ of Its Enemies: Myths vs. Reality,” Carnegie Endowment for International Peace, November 25, 2024, https://carnegieendowment.org/research/2024/11/the-united-states-and-the-axis-of-its-enemies-myths-vs-reality?center=russia-eurasia&lang=en; Michael Kofman, “The Emperors League: Understanding Sino-Russian Defense Cooperation,” War on the Rocks, August 6, 2020, https://warontherocks.com/2020/08/the-emperors-league-understanding-sino-russian-defense-cooperation/; Oriana Skylar Mastro, “Sino-Russian Military Alignment and Its Implications for Global Security,” Security Studies 33, no. 2 (2024): 254–90; and Hal Brands, “The New Autocratic Alliances: They Don’t Look Like America’s—but They’re Still Dangerous,” Foreign Affairs, March 29, 2024, https://www.foreignaffairs.com/united-states/new-autocratic-alliances.

[8] US Department of Defense (DoD), Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China (DoD, December 2024), 44–71, https://media.defense.gov/2024/Dec/18/2003615520/-1/-1/0/MILITARY-AND-SECURITY-DEVELOPMENTS-INVOLVING-THE-PEOPLES-REPUBLIC-OF-CHINA-2024.PDF; Joel Wuthnow and Phillip C. Saunders, China’s Quest for Military Supremacy (Polity Books, 2025); and Scott Savitz, “How to Succeed in Deterring an Invasion of Taiwan without Really Trying (Hard),” RAND, December 20, 2024, https://www.rand.org/pubs/commentary/2024/12/how-to-succeed-in-deterring-an-invasion-of-taiwan-without.html. For additional recommendations see Matt Pottinger, ed., The Boiling Moat: Urgent Steps to Defend Taiwan (Hoover Institution, 2024); and Mark Cancian et al., The First Battle of the Next War: Wargaming a Chinese Invasion of Taiwan (CSIS, January 2023), https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/publication/230109_Cancian_FirstBattle_NextWar.pdf?VersionId=XlDrfCUHet8OZSOYW_9PWx3xtc0ScGHn/.

[9] Ronald O’Rourke, “China Naval Modernization: Implications for U.S. Navy Capabilities,” Congressional Research Service (CRS) Report RL33153 (CRS, August 16, 2024), 9.

[10] Johannes R. Fischbach, “Closing the Gap: China Homes in on US Navy VLS Advantage,” Military Balance Blog, International Institute for Strategic Studies, December 20, 2024, https://www.iiss.org/online-analysis/military-balance/2024/12/closing-the-gap-china-homes-in-on-us-navy-vls-advantage/;   and Kori Schake, “The National Security Imperative of the Trump Presidency: How His Administration Can Shore Up the Foundations of American Power,” Foreign Affairs, November 8, 2024, https://www. foreignaffairs.com/united-states/national-security-imperative-trump-presidency-kori-schake.

[11] Bryan Clark and Michael Roberts, “How America Can Rebuild Its Fleet to Counter China’s Maritime Dominance,” The Hill, January 14, 2025, https://thehill.com/opinion/national-security/5083704-how-america-can-rebuild-its-fleet-to-counter-chinas-maritime-dominance/; and Frank Kendall, The Department of the Air Force in 2050, Congressional Report, Department of the Air Force, Public Law 118-31, Section 923, (Department of the Air Force, December 30, 2024), 6, https://www.af.mil/Portals/1/AirForcePriorities/DAF_2050_Final_30_Dec.pdf.

[12] Austin Dahmer, “Resourcing the Strategy of Denial: Optimizing the Defense Budget in Three Alternative Futures,” Marathon Initiative, February 1, 2023, https://themarathoninitiative.org/2023/02/resourcing-the-strategy-of-denial-optimizing-the-defense-budget-in-three-alternative-futures/.

[13] US Defense Department (DoD), National Defense Strategy (DoD, 2022), 5; An exception being William Kim and Elbridge A. Colby, “No Sanctuary: The PLA’s Kinetic Threat to the Homeland,” Marathon Initiative, December 1, 2023, 7, 11, https://themarathoninitiative.org/wp-content/uploads/2023/12/TMI-No-Sanctuary-Kim-Colby-FINAL.pdf.

[14] Adam Segal, “China Has Raised the Cyber Stakes: The ‘Salt Typhoon’ Hack Revealed America’s Profound Vulnerability,” Foreign Affairs, January 21, 2025, https://www.foreignaffairs.com/united-states/china-has-raised-cyber-stakes; “People’s Republic of China State-Sponsored Cyber Actor Living off the Land to Evade Detection,” May 24, 2023, Cybersecurity & Infrastructure Security Agency, https://www.cisa.gov/news-events/cybersecurity-advisories/aa23-144a; and Ellen Nakashima and Joseph Menn, “China’s Cyber Army Is Invading Critical U.S. Services,” The Washington Post, December 11, 2023, https://www.washingtonpost.com/technology/2023/12/11/china-hacking-hawaii-pacific-taiwan-conflict/.

[15] Robert Soofer et al., “ ‘First, We Will Defend the Homeland’: The Case for Homeland Missile Defense,” Atlantic Council, January 4, 2025, https://www.atlanticcouncil.org/in-depth-research-reports/report/first-we-will-defend-the-homeland-the-case-for-homeland-missile-defense/; “President Donald J. Trump Directs the Building of the Iron Dome Missile Defense Shield for America” (The White House, January 27, 2025), https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/01/fact-sheet-president-donald-j-trump-directs-the-building-of-the-iron-dome-missile-defense-shield-for-america/; Todd Harrison, “How Much Would a Space-Based Missile Interceptor System Cost and Does It Make Sense,” American Enterprise Institute,  January  29,  2025,  https://www.aei.org/foreign-and-defense-policy/how-much-would-a-space-based-missile-interceptor-system-cost-and-does-it-make-sense/; Aaron Stein, “The Future of Space Militarization,” Foreign Policy Research Institute, February 2025, https://fpriinsights.substack.com/p/07f2c4de-a3ec-4896-89e5-8ba74a14ab5f; Congressional Budget Office (CBO), National Cruise Missile Defense: Issues and Alternatives, CBO Paper (CBO, February, 2021), 1–2, https://www.cbo.gov/publication/56950; and Tom Karako et al., North America is a Region, Too (CSIS, July 14, 2022), 58, https://www.csis.org/analysis/north-america-region-too.

[16] CBO, Projected Costs of U.S. Nuclear Forces, 2023 to 2042, CBO Paper (CBO, July 2023), https://www.cbo.gov/publication/59365.

[17] Madelyn Creedon and Franklin Miller, “Deterring the Nuclear Dictators: To Confront China, Russia, and North Korea, Trump Should Forgo a Review and Speed Up the Arsenal’s Modernization,” Foreign Affairs,  November  20,  2024, https://www.foreignaffairs.com/united-states/deterring-nuclear-dictators?utm_medium=newsletters&utm_source=fatoday&utm_campaign=How%20Tariffs%20Can%20Help%20America&utm_content=20241227&utm_term=EDZZZ003ZXMandate  for  Leadership: The Conservative Promise (Heritage Foundation, 2024), 123–25, https://static.heritage.org/project2025/2025_MandateForLeadership_FULL.pdf; Charles Richard, “U.S. Strategic Command and U.S. Space Command SASC Testimony” (speech, US Strategic Command, 2022), https://www.stratcom.mil/Media/Speeches/Article/2960836/us-strategic-command-and-us-space-command-sasc-testimony/; and Madelyn Creedon et al., America’s Strategic Posture: The Final Report of the Congressional Commission on the Strategic Posture of the United States, Congressional Commission, October 2023, vii.

[18] Frank Kendall quoted by Aaron Bateman, “The New Struggle for Space,” Engleberg Ideas, December 17, 2024, https://engelsbergideas.com/essays/the-new-struggle-for-space/; and Nina M. Armagno and Jane Harman, Securing Space: A Plan for U.S. Action (Council on Foreign Relations, February 2025).

[19] Unconstrained Actors: Assessing Global Cyber Threats to the Homeland, 119th Cong. (2025) (statement of Mark Montgomery to the House Committee on Homeland Security), 1, 2, https://www.fdd.org/wp-content/uploads/2025/01/01-22-25-Montgomery-Written-Testimony-Final.pdf; See also Office of the Director of National Intelligence (ODNI), Annual Threat Assessment of the U.S. Intelligence Community, (ODNI, March 2025), https://www.dni.gov/index.php/newsroom/reports-publications/reports-publications-2025/4058-2025-annual-threat-assessment; and The CCP Cyber Threat to the American Homeland and National Security, 118th Cong. (2024) (report issued by Mike Gallagher to House Select Committee on Strategic Competition between the United States and the Chinese Communist Party, January 31, 2024), https://selectcommitteeontheccp.house.gov/about/events/hearing-ccp-cyber-threat-american-homeland-and-national-security.

[20] CBO, Budget and Economic Outlook, 2025-2035, 1, (CBO, January 2025), https://www.cbo.gov/publication/61172; “Interest Costs Surpass National Defense and Medicare Spending,” US House Committee  on  the  Budget,  June  2024,  https://budget.house.gov/press-release/interes-costs-surpass-national-defense-and-medicare-spending; and “What is the National Debt Costing Us?,” Peter G. Peterson Foundation, n.d., last updated February 3, 2025, https://www.pgpf.org/article/what-is-the-national-debt-costing-us/.

[21] “Extending Trump Tax Cuts Would Add $4.6 Trillion to Deficit CBO Finds,” US Senate Budget Committee, May 8, 2024, https://www.budget.senate.gov/chairman/newsroom/press/extending-trump-tax-cuts-would-add-46-trillion-to-the-deficit-cbo-finds.

[22] See the overview “America’s National Debt Challenge” at the Peter G. Peterson Foundation, https://www.pgpf.org/our-national-debt/.

[23] See Niall Ferguson, “Ferguson’s Law: Debt Service, Military Spending, and the Fiscal Limits of Power,” Hoover Institution, February 21, 2025, 1, https://www.hoover.org/sites/default/files/research/docs/HAHWGWorkingPaper-212502-Ferguson%27s%20Law-Final.pdf; and Niall Ferguson, “Debt Has Always Been the Ruin of Great Powers. Is the U.S. Next?,” The Wall Street Journal, February 21, 2025, https://www.wsj.com/politics/policy/debt-has-always-been-the-ruinof-great-powers-is-the-u-s-next-02f16402.

[24] Brands and Montgomery, “One War,” 81.

[25] On concerns about this risk, see Hal Brands and Evan Braden Montgomery, “Opportunistic Aggression in the Twenty-First Century,” Survival 62, no. 4 (2020): 157–82.

[26] For more details, see Mark Gunzinger et al., Force Planning for the Era of Great Power Competition, (Center for Strategic and Budgetary Assessments [CSBA], 2017), 5–11.

[27] Transforming Defense: National Security in the 21st Century, Report of the National Defense Panel, December 1997, 23, https://apps.dtic.mil/sti/tr/pdf/ADA332664.pdf.

[28] Seeking a National Strategy: A Concert for Preserving Security and Promoting Freedom, The United States Commission on National Security / 21st Century, April 15, 2000, 14–15, https://apps.dtic.mil/sti/tr/pdf/ADA395256.pdf.

[29] Frank G. Hoffman, “To Shake Up the Status Quo, Review the Two-War Focus,” Defense News, February 12, 2001, 15; Then-candidate Bush made these remarks at a widely cited speech at the South Carolina Military Academy (the Citadel) in 1999; and The National Defense Strategy of the United States of America, Office of the Secretary of Defense (OSD) (Government Printing Office, March 2005).

[30] As reflected in Jim Mitre, “A Eulogy for the Two-War Construct,” The Washington Quarterly 41, no. 4 (Winter, 2019): 7–30. Mr. Mitre was a critical contributor to the 2018 NDS Task Force.

[31] Brands and Montgomery, “One War,” 82; and Mitre, “Eulogy,” 17, 20.

[32] Brands and Montgomery, “One War,” 83.

[33] See David A. Ochmanek et al., U.S. Military Capabilities and Forces for a Dangerous World: Rethinking the U.S. Approach to Force Planning (RAND Corporation, November 28, 2018), 11–16, https://www.rand.org/pubs/research_reports/RR1782-1.html.

[34] For a critique of the 2022 National Defense Strategy of the United States of America, see Senator Roger F. Wicker, 21st Century Peace through Strength: A Generational Investment in the U.S. Military (ranking member brief, US Senate Armed Services Committee, 2024), 6–7, https://permanent.fdlp.gov/gpo230497/Peace ThroughStrength.pdf.

[35] Brands and Montgomery, “One War,” 81.

[36] Thomas G. Mahnken, “A Three-Theater Defense Strategy: How America Can Prepare for War in Asia, Europe, and the Middle East,” Foreign Affairs, June 5, 2024, https://www.foreignaffairs.com/united-states/theater-defense-war-asia-europe-middle-east.

[37] The Final Report of the Commission on the National Defense Strategy (Commission on the National Defense Strategy, 2024), 38. This panel was co-chaired by Ambassador Eric Edelman and former Senator Jane Harmon, https://www.ndscommission.senate.gov/.

[38] Robert D. Blackwill and Richard Fontaine, Lost Decade: The US Pivot to Asia and the Rise of Chinese Power (Oxford University Press, 2024). On China’s aspirations, see Hal Brands, The Eurasian Century: Hot Wars, Cold Wars, and the Making of the Modern World (W. W. Norton, 2025), 180–87.

[39] Brands and Montgomery, “One War,” 91.

[40] Commission  on  Planning,  Programming,  Budgeting  and  Execution  Reform  (CPPBER), Defense Resourcing for the Future (CPPBER), March 6, 2024, 27–66, https://ppbereform.senate.gov/finalreport/. The commission called out the need to improve the alignment of budgets to strategy.

[41] Mark  Gunzinger  should  be  credited  for  suggesting  the  prioritized  mission  concept. See Mark Gunzinger, Shaping America’s Future Military: Toward a New Force Planning Construct (CSBA, 2013), 30–31, https://csbaonline.org/research/publications/shaping-americas-future-military-toward-a-new-force-planning-construct/.

[42] Aaron Stein, “Unmanned Attrition and a New High-Low Mix,” Foreign Policy Research Institute / Behind the Front, October 10, 2024, https://behindthefront.substack.com/p/unmanned-attrition-and-a-new-high; and Stacie Pettyjohn et al., “Build a High-Low Mix to Enhance America’s Warfighting Edge and Deter China,” Center for a New American Security, January 20, 2025, https://www.cnas.org/publications/commentary/strengthen-indo-pacific-deterrence-by-enhancing-americas-warfighting-edge.

[43] Aaron Stein, “The Future of the United States in Euro—A Proposal,” Foreign Policy Research Institute / Behind the Front, February 26, 2025, https://behindthefront.substack.com/p/the-future-of-the-united-states-in. For thoughts on force reductions under different budget levels, see Austin Dahmer, “Resourcing the Strategy.”

[44] Michael J. Mazarr, “Why America Still Needs Europe: The False Promise of an ‘Asia First’ Approach,” Foreign  Affairs,  April  17,  2023,  https://www.foreignaffairs.com/united-states/why-america-still-needs-europe; On the prospects for Russian military restoration, see Dara Massicot with Richard Connolly, Russian Military Reconstitution: 2030 Pathways and Prospects (Carnegie Endowment for International Peace, September, 2024); and Andrea Kendall-Taylor and Michael Kofman, “Putin’s Point of No Return: How an Unchecked Russia Will Challenge the West,” Foreign Affairs, December 18, 2024, 72–87, https://www.foreignaffairs.com/russia/putins-point-no-return.

[45] A point stressed by Colin S. Gray, Strategy and Defence Planning: Meeting the Challenge of Uncertainty (Oxford University Press, 2014), 39, 121.

[46] Philip Wasielewski, “The Constant Fight: Intelligence Activities, Irregular Warfare, and Political Warfare,” Foreign Policy Research Institute, June 20, 2023, https://www.fpri.org/article/2023/06/the-constant-fight-intelligence-activities-irregular-warfare-and-political-warfare/. For a specific discussion about China and proxy forces, see Dominic Tierney, “The Future of Sino-U.S. Proxy War,” Texas National Security Review 4, no. 2 (Spring 2021): 49–73, https://tnsr.org/2021/03/the-future-of-sino-u-s-proxy-war/. For a general argument, see the author’s chapter on great-power competition by proxies in Assaf Moghadam et al., eds., Routledge Handbook of Proxy Wars (Routledge, 2023).

[47] Mitre, “Eulogy,” 7.

[48] John A. Tirpak, “New Defense Industrial Base Strategy Warns of Long Recovery,” Air & Space Forces Magazine, January 12, 2024, https://www.airandspaceforces.com/new-defense-industrial-base-strategy-long-recovery/.

[49] Richard Rumelt, Good Strategy, Bad Strategy: The Difference and Why It Matters (Crown Currency, 2011), 20, 90; and John Lewis Gaddis, On Grand Strategy (Penguin Books Limited, 2018), 21.

[50] Christian Brose, “The New Revolution in Military Affairs: War’s Sci-Fi Future,” Foreign Affairs 98, no. 3 (May/June 2019); and Mark A. Milley and Eric Schmidt, “America Isn’t Ready for the Wars of the Future: And They’re Already Here,” Foreign Affairs (September/October 2024), https://www.foreignaffairs.com/united-states/ai-america-ready-wars-future-ukraine-israel-mark-milley-eric-schmidt.    For further detail, see Special Competitive Studies Project, “Memo to the President on Defense: The Path to an Innovative and Lethal Military,” January 24, 2025, https://scsp222.substack.com/p/memo-to-the-president-on-defense.

[51] As argued by Philip Zelikow, “Confronting Another Axis? History, Humility, and Wishful Thinking,” Texas National Security Review 7, no. 3 (Summer 2024): 80–99, https://tnsr.org/2024/05/confronting-another-axis-history-humility-and-wishful-thinking/.