米国はミサイル管理レジームの対象から無人機を除外すべき:ミッチェル研究所

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昨年のドバイ・エアショーでは中国、ロシアの無人機展示が目立っていました。米国をはじめとするMTCR:ミサイル技術管理レジーム署名国は、UAVの輸出を制限、自制しています。その間に多分、特に中国は中東を始めとする国々に売り込みを盛んに行っています。米国はそのような状況を改善すべくMTCRの改訂を提案していますが、一方で巡航ミサイルは制限したいなど、ジレンマがあるようです。


「多くの面で大胆で単独的である現政権が、UAVに関する規制レジームに対してもそのようにあってくれることを大いに期待している。」と、国防総省の国防協力部門の元責任者、Keith Webster氏は言っている。
https://breakingdefense.com/2020/06/us-should-pull-drones-from-missile-control-regime-mitchell-institute/

By   Theresa Hitchens on June 03, 2020 at 12:48 PM Breaking Defense

ワシントン: トランプ政権は、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)によって、ドローンのセールスに輸出規制をかけることはしないと一方的に宣言すべきだと、ミッチェル研究所は提言している。

そして議会は、2021年国防権限法(NDAA)を使って、無人航空機(UAV)を航空機として再定義すべきであり、それはMTCRの制限からUAVを除去するだけでなく、米国内の輸出管理を容易にするものであると、ミッチェル研究所は論文「Modernizing UAV Export Policy for Effective Coalition Forces」で主張している。

「米国議会は、UAVを巡航ミサイルではなく航空機と定義し、他の軍用機と同様の輸出上の考慮事項に従うことを条件とする2021年NDAAの文言を策定すべきである。」「我々は、この文言が授権法に記載されれば、UAVがMTCRガイドラインの対象から除外できると考える。」と、Mitchellのシニアレジデントフェローで本論文の著者であるHeather Pennyが今日のWeb講演で語った。

35カ国が参加するMTCR協定では、500キログラムのペイロードを300キロメートル以上運搬できる、いわゆるカテゴリー1の無人機の輸出に「強く、原則として不許可」が求められている。カテゴリー1の定義は、ミサイルが核弾頭を搭載するために必要な最低限の能力と考えられている。小型無人航空機もMTCRのカテゴリー2の規制の対象だが、輸出規制はそれほど厳しくない。

条約を嫌っているトランプ政権でさえ、MTCR (条約というよりは政治的合意である) を弾道ミサイルや巡航ミサイルの拡散を阻止するための重要な手段と見ている。そのためドローンに国防総省、国務省、議会の承認を必要とする正式な外国への輸出手続きを義務付ける米国の国内法を改正して、ドローンの同盟国への輸出を容易にしようとする長年の努力にもかかわらず、企業による「Direct Commercial Sales : DCS 直接商業売却」は可能になっていない。

実際、Penny氏によると、過去の政権では、時速800キロ未満で飛行するドローンがカテゴリー1のルールから外せるようにルールを見直すようMTCR加盟国を説得しようとしたが、失敗に終わったという。

同報道官によると、米国はMTCRの年次署名国会議で、この件を再び持ち出し、カテゴリー1とカテゴリー2の境界を時速600キロで提案しようとしているとのことである。(会議は通常秋に開かれるが、2020年の日程はまだ発表されていない。)

(訳者注:2020年5月7日のCongressional Research Service“U.S. -Proposed Missile Technology Control Regime Changes” https://fas.org/sgp/crs/nuke/IF11069.pdf によると、2018年3月、米国はミサイル技術管理レジーム(MTCR)のパートナーに、特定の無人航空機システムに対する同レジームの輸出ガイドラインを緩和する提案を提出。国務省の当局者が12月4日に明らかにしたことによると、UASの特定のサブセットに対してカテゴリーIIでは、関連する部品やコンポーネントだけでなく「最大速度値」があげられているとしている。この当局者は、提案された速度値を明らかにしていない。この提案には、そのUASの速度を決定する方法、現在のMTCR付属文書に含まれていない特徴、および「巡航ミサイル。」の定義も含まれているとのことであるが、上記はこの提案のことを指していると思われる)

しかしPenny氏は、この新たな取り組みが実を結んだとしても、同盟国に米国の高性能戦闘無人機を購入させ、米国の作戦に完全に統合することを妨げている根本的な問題を解決することはできないだろうと主張した。また一方、中国はMTCRの加盟国ではなく、武器輸出に関する規制もほとんどないため、MTCRの規制に従うことは、中国の無人機販売を有利にするように市場を歪めるものだと主張している。

「MTCRガイドラインを遵守し、UAVに適用し続けることは、中国の戦略的利益を促進する。」とペニー氏。「これは米国の利益に反する。」

国防総省の国防協力部門の元責任者であるキース・ウェブスター氏もこれに同意し、MTCRの見直しは「応急絆創膏」でしかなく、技術進歩のペースについていけず、すぐに実行可能性が失われるだろうと述べている。

同氏は、ミッチェル研究所のWeb 講演で、「多くの面で大胆、単独的な行動をとっている現政権が、UAVに対して同様な行動をとることを大いに期待している。」と述べた。

これはMTCR自体から手を引くという意味ではない。MTCRには留まる。MTCRは目的を果たしている。とWebster氏は付け加えている。

専門家は、米国が単独的にUAVをMTCRから除外させれば、他の国々も、核拡散を悪化させる可能性のある自国の兵器システムについて同様の措置をとるよう促す可能性があるとしている。

Penny氏は、米国が弾道ミサイルと巡航ミサイルの不拡散に対するコミットメントを新たにし、これらのシステムに関するMTCRの規則を支持することが重要であると強調している。

Webster氏は、UAV問題に「創造的なソリューション」を求めながらも、「自分自身に正直」でなければならない」、その結果、米国は最終的にMTCR自体にどうこうする価値がないと判断するかもしれないと言いながらも。しかしそうすることは、少なくとも1人でもメンバーがいる体制の中では、コンプライアンスに関する問題があると同氏は警告している。

Breaking Defense の読者が知っているように、米軍指導者と議会は、米国の弾道ミサイル防衛システムをすり抜けやすいロシア(MTCRメンバー)と中国による巡航ミサイルの拡散に警鐘を鳴らしている。これは特に、マッハ5以上の速度を持ち、レーダーでは非常に狙いにくい極超音速ミサイルに当てはまる。