サイバー抑止のような概念は存在するのか?

0

「サイバー抑止」に関して、この問題を考える興味ある記事が先月fifthdomainに出ていました。
攻撃力を持つことが抑止力につながるとの考え方が一般的だと思いますが、政府や専門家のなかでもいろいろな意見があるようです。この記事を通してこの概念が妥当なものなのかどうか考えてみてはいかがでしょうか。

Is there such a concept as ‘cyber deterrence?’ By: Mark Pomerleau April 30
サイバー抑止のような概念は存在するのか?

Officials and commentators warn cyber should be a component of a larger deterrence strategy.
当局者やコメンテーターは、サイバーはより大きな抑止戦略の一要素であるべきだと警告している。

米国国防総省が大規模なサイバー攻撃から生じる可能性があるダメージについて悩むにつれて、国家安全保障の指導者たちはそのような侵入を防ぐための最善の戦略を議論している。

彼らはどんな種類の攻撃をも阻止することを目的とした哲学を採用すべきか、それとも敵が明確にサイバー攻撃を追求するのをやめさせるように試みるべきか?
「サイバーに問題があるからといって、サイバーで対応する必要はない。我々は、軍の全ての装備を使用する。」
ドナルド・ブレイ氏は、4月29日のNew America Foundation主催のイベントで語っている。
ブレイ氏は以前陸軍のサイバー保護旅団を率いていたが、現在はレイセオンのグローバルトレーニングソリューションのサイバーイニシアチブのディレクターである。
「どのようにしてその問題に対する個々の抑止計画を策定するかは、その個々の問題に対する最善のアプローチが何であるかによる。」
彼のコメントは、国防総省がサイバー・インシデントに対応するのはサイバードメイン内のツールだけであるべきだという考えを嘲笑う政府高官による同様の意見に共鳴している。

国防総省の高官は4月に記者団に対し、同局のサイバー態勢の正式な見直しの一環として、国防総省の指導者たちは抑止力に焦点を当てているが、特にサイバー抑止力については考えていないと語った。
代わりに、サイバースペースの運用がより広範な抑止力にどのように組み込まれるのかを研究しているとした。

何年にもわたって、国家安全保障の専門家は、従来の米軍又は米国の経済力からの報復の理論的な恐れが重要インフラへの深刻なサイバー攻撃を防いできたと述べている。
「だからこそ、国家に対する戦略的な攻撃が見られないのは、私たちが慣習的に負うことができる圧力のおかげである」と当局者は述べた。彼は、態勢見直しの仕事の大部分が衝突の閾値以下の行動に焦点を合わせていると指摘している。

スタンフォード大学のフーバー研究所のシニアフェローであるエイミー・ゼガート氏は、どのような種類のサイバーアクティビティが最も予防できるものであり、どのような種類のアクティビティがそうでないかを解析する価値があると主張した。
ブルッキングス研究所との4月26日のポッドキャストインタビューで、彼女は米国が非核戦略攻撃に対して報復するために核戦力を使用する権利を保有すると述べている国防総省の最新の核態勢レビューを指摘した。
「米国政府は、結果的に米国に重大な被害が及ぶ可能性があるサイバー攻撃の後、核報復攻撃に出ると本当に思うか?」と彼女は尋ねた。
「それについては多くの議論があり、それは本当に強力な抑止戦略なのか?そうではないだろう。
一部の専門家はまた、サイバーコマンドが日々のサイバー攻撃を防御するための「前方防御」として知られる新しい、より積極的なアプローチは、それ自体が抑止力ではないが集団的抑止効果をもたらすと信じている。
大西洋評議会が主催する4月23日のイベントで、講演した国家安全保障局から国務省へ出向し、国務省の長官室の政策計画スタッフを務めているエミリー・ゴールドマンは、次のように述べている。
「延長戦、あなたが押し返したら、うまくいけばあなたは抑止効果を得るだろう。」「ある時点で、これは、x、y、またはzをやろうとするために私たちが投入しているエネルギーの価値にはならないという事が分るだろう。」
代わりに、専門家は政府当局者が彼らのツールボックスに1つの追加のツールを提供する方法としてサイバー戦争を見るべきであると言った。
「サイバーは切り離される物ではない。」と、アメリカのサイバー保護チームリーダーで陸軍サイバー研究所の副部長であるナタリー・バナッタ中佐は、ニューアメリカのイベントで語った。
「サイバーは、我々が任務を遂行するための使う指揮官の雑嚢に入れるもう1つの構成品であり、もう1つの効力のある物である。どのように彼または彼女はミッションの成功に到達することができるためにそれを使うことを選びかである。」
将来的には、重要な指導者たちは、サイバー、ひいてはサイバー司令部が作戦における主要な施策であり、時にはそれが軍事的努力を支えるものであるかもしれないことを理解する事になると彼女は言った。同様に、政府の全体的なアプローチでは、「時にはサイバーが主な努力であるかもしれないが、時には米国のサイバー司令部が…他の側面を支援する試みになるだろう」とも彼女は言った。これらの政府の対応全体には、外交的な調査、制裁、起訴などが含まれる。

さらに、強力なサイバー軍を持つことは強力なサイバー抑止力にはならないと主張する専門家もいる。
「敵の間では、私たちが高品質のサイバー攻撃能力を持っていることに疑いを持つ者はいない。」New America Foundationのストラテジスト兼シニアフェローであるピーター・シンガー氏は語った。
「エドワードスノーデンは、その中に高品質の能力があることを明らかにしたが、それでもサイバー抑止力は生まれ無かった。」
サイバー戦場では、抑止効果を生み出すための最も一般的な控えは、いわゆる拒否による抑止である。「回復力のある構造によって、私たちはより大きな抑止力を得ることになる。」とシンガーは語った。
「敵対者が同じように報復を恐れることはない。しかし、貴方は、うまくいかないことを知っているので、個人としての私を攻撃する事は無い。 私はそれを振り払います、私はすぐに跳ね返す事が出来る。
国家としての私たちは、国家全体のサイバーセキュリティに関して、優れた回復力を持っていない。」
(黒豆芝)