パリのエアショーから次世代戦闘機をみる

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先週フランスのルブールで開催されたパリ・エアショーで、欧州での第5世代、第6世代戦闘機のコンセプトモデルがお目見えしています。
昨年のファーンボローでのイギリスの次期主力戦闘機の「ユーロファイター」後継の「テンペスト」に続き、独、仏、西が主導するFCAS(Future Combat Air System)次世代戦闘機のコンセプトモデルが発表されました。ポストF-35へのBAEとダッソー、エアバスチームのそれぞれのモデルが出そろった感じです。

ロシア製S-400地対空ミサイルシステムの調達で米国から「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」による制裁を受けて、先日ロールアウトしたトルコへの出荷予定のF-35のデリバリーをストップされているトルコからもBAEと組んだトルコの第5世代戦闘機TFーXのコンセプトモデルが発表されています。トルコのTAI(Turkish Aerospace Industries)のCEOのテメル・コチル氏は、発表の式典で「TF-Xは、今はモデルだが、2023年に実機が搭乗し、最初のフライトは2025年に、2028年には就航が開始されるだろう。」と述べています。
又、トルコの国産戦闘機の製造に対する記者からの質問に対しても、トルコの航空宇宙産業がF-35の国際共同開発・生産で得たトルコの航空宇宙産業基盤全体の能力の向上に自信を表明しています。

F-35の国際共同開発は、米国の同盟関係国との安全保障上の関係強化とコストやサプライチェーンの問題に大いなる利益をもたらしましたが、共同開発・生産国にも新戦闘機開発によって得られて大きな利益がもたらされています。
トルコは、英国との連携によって第5世代戦闘機「TF-X」の自国生産を開始するという行動に出ましたが、先週月曜日の記者との会談で、米国防省のエレン・ロード調達担当次官は、「TF-XはトルコがF-35プログラムから離脱したことの合図であるか?」との質問には答えることを避けました。

一方、英国と独、仏、西の第6世代戦闘機のコンセプトモデルの発表は、ヨーロッパにおける今後の戦闘機開発での各国の利益闘争の問題を内包しているのは間違い有りませんが、米国でさえも進んでいない第6世代へのコンセプト設定に、ヨーロッパ各国がどのように対応していくのか注目されるところでなはいでしょうか。
各国の戦闘機開発の状況を見る上で、又日本の次世代戦闘機を考える一端になると考えますので、関係記事を幾つか紹介したいと思います。(黒豆芝)

Turkish Aerospace Industries reveals indigenous TF-X fighter as S-400 dispute looms  By: Valerie Insinna  2019.6.18
トルコの航空宇宙産業は、S-400の論争のなかで国産TF-X戦闘機を明らかにする

フランスのルブール – トルコ航空宇宙産業は月曜日にその国産の第5世代戦闘機の本格的なモデルをパリ航空ショーで発表した。これはトルコの国内防衛産業能力の向上を知らせるものである。
トルコとアメリカの間の緊張は、米国がトルコ政府の計画されているロシアのS-400防空システムの購入をめぐるF-35戦闘機計画へのトルコの参加を妨げるための措置を講じるために起こっている。
TF-Xは、トルコ国内初の国産戦闘機となる予定である。

トルコのF-35へのアクセスが恒久的に制限された場合、それはトルコの航空宇宙産業基盤を発展させる最大の希望となるだろう。―たとえ何人かのオブザーバーがトルコに本当に第5世代の航空機を生産できる能力があるのかについて疑問を呈したとしても。
式典を通して、TAIの関係者はトルコのF-35プログラムの取り組みについて言及し、TF-Xをヨーロッパで最高の戦闘機にするという誓約を繰り返した。
「F-35に関しては、私の会社は中央胴体を製造しています」TAI社長兼最高経営責任者(CEO)のテメル・コチル氏は、F-35センター胴体の大部分を製造しているNorthrop Grummanを増強する二次サプライヤーとしての役割について語った。
「製造業の観点から、トルコ・エアロスペ―スは、戦闘機を製造するのに十分な能力を持っています」と彼は付け加えた。 「私たちのマシンはモックアップですが、2023年には実機が登場し、最初のフライトは2025年に始まり、2028年には就航が開始されるでしょう。」

TF-Xのための宣伝ビデオはマッハ2の最高速度、6万ポンドの最大離陸重量および600海里の戦闘行動半径を明言した。モックアップの胴体と傾斜テールの形状はF-35と非常に似ているが、TF-XはF-35ジョイントストライクファイターよりもボディが狭く、20,000ポンドの推力の2基のエンジンを搭載している。

トルコの首都アンカラで、首脳会談終了後に握手を交わす英国のテリーザ・メイ首相(左)とトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領(2017年1月28日撮影)。(c)AFP/Adem ALTAN

テメル氏はまた、このプログラムに関するTAIと英国の防衛産業BAE Systemsとの協力関係を指摘し、同盟国の重要性を強調した。「これはヨーロッパで最も優れた戦闘機となり、メテオミサイル(ヨーロッパで最も優れたミサイル)をウエポンベイに入れることができます。」と彼は語った。 「うまくいけば、これはNATOとNATOの同盟国にとっても良い戦闘機になるでしょう。」

今月初め、米国防長官のパトリック・シャナハン国防長官代理は、トルコをF-35プログラムから排除する最初のステップの書簡に同意した。―それは、F-35JPO(統合プログラムオフィス)のパイロットや整備員、そしてスタッフも―7月31日までに米国を退去させるものである。それ以来国内外のF-35パイロットを訓練するアリゾナ州ルーク空軍基地の司令官は、外交政策に関わる安全保障上の懸念を理由に、トルコのオペレーターのための訓練の一時停止を命じた。
フロリダ州エグリン空軍基地でのトルコ人整備員の訓練は継続されるが、学生として機密扱いの資料にアクセスできない事になる。

月曜日にペンタゴンの最高調達責任者であるエレン・ロード氏は、シャナハン氏が書簡にサインして以来、トルコに関しては「著しい進展はなかった」が、米国国防総省は、トルコがS-400の購入決定を覆すことをまだ望んでいると述べた。
ロード次官は、TF-XはトルコがF-35プログラムから離脱したことの合図であることを明らかにしたかどうかについての質問に答えることを避けた。
また、S-400の取引きが進展すれば、トルコの航空宇宙産業に更なる影響を及ぼす可能性があるとも述べた。
「トルコは非常に良いNATOの同盟国であり、彼らは優れたサプライヤーです。高品質、高コスト、納期厳守、そして我々は彼らがサプライチェーンの重要な部分を形成するそれ以外のものにおいても重要であるとよく理解しています。」とロード氏は航空ショーで記者団に語った。

「今、私たちはS-400とF-35からの影響を残る防衛及び一般商用の産業に分離させました。我々はF-35サプライチェーンを形作るものを終わらせることについて非常に明確にした。
安全保障の観点からF-35に関する全ての問題は、国防総省内で確認し、敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)による制裁の問題として取り扱う事にした。」と同氏は語って、ロシアの軍事装備品を調達した米国のパートナーを罰するCAATSAに言及している。
「現時点では、これに関する決定は行われていませんが、トルコにとって非常に重要な意味を持ちます。」

 

European leaders unveil model of next-gen fighter aircraft at Paris Air Show  By: Sebastian Sprenger    2019.6.18
ヨーロッパの首脳達はパリエアショーで次世代戦闘機のモデルを発表


2019.6.17パリエアショーの間駐機場で、仏、独、西共同開発の将来戦闘航空システム航空機

パリーフランス大統領エマニュエル・マクロンと独、仏、西の国防大臣が今週火曜日のパリエアショーで第6世代戦闘機のモックアップを発表した。
これは、彼らが進めている20年以内にヨーロッパの主要戦闘機になると期待するプロジェクトである。

フランスの首都の北にあるル・ブルジェ空港で青い空を背景に全体的にくすんだ灰色です立っていたこのモデルは、Future Air Combat Systemの一連の武器の主要航空機となるものである。
軍用機の一般的な形状以外の特徴は含まれていなかった。そして、今日の匹敵する戦闘機より外観が大きくて平らに見えた。
それはおそらく、2040年にこの航空兵器が航空における兵器としてのどういう役割であるのかについて十分な合意が無いためだろう。

マクロン氏とともにドイツのウルスラ・フォン・デア・ライエン国防長官と彼女のフランスのカウンターパートであるフィレンツェ・パリー(国防長官)は、共同プロジェクトのための重要な規則を管理するいわゆる枠組みの取り決めと最初の研究段階の実施の取り決めに署名した。
その後、スペインのマルガリータ・ロブレス国防相はその後、マドリード(スペイン政府)の正式な参加枠組みの取り決めに関する最新の文書の第2ラウンドの署名に参加した。

この式典には、ダッソー・アヴィエーション社、エアバス・デフェンス・スペース社の各責任者であるエリック・トラピエール氏とダーク・ホーク氏が参加した。
その産業界のデユオは、ドイツとフランスで増えているサプライヤーのリストになると予想されるものの中核を成している。
マドリード(スペイン政府)が完全にプログラムの一部になった今、スペインの企業もまた仕事の一部を手に入れるだろうが、それらの詳細は整理されていないままである。
フォンデアライエン氏は、FCASを「ドイツ連邦軍近代化のための大きな前進」と呼んだ。 「それはまた欧州防衛連合にとって素晴らしい日です。」と彼女は付け加えた。
「初めて、ヨーロッパの戦闘航空システムに着手した。スペインが今日私たちに加わっているという事実はこのゴールを強調しています。」

ダッソーとエアバスのD&Sチーフは、2026年に飛行可能なデモ機を製作することを目的とした、次のプログラム段階への取り組みを計画参加国の政府に提供することに合意した。
これは、これまで投資してきた数千万ドルをはるかに超える額を支出することを意味します。 ホーク氏は記者団に対し、プログラムのスタディから実際に何かを開発するためには、来年ドイツが「数十億ユーロ」を捻出する必要があるだろうと語った。

重要な投資のため、ドイツ連邦議会の議員に準備を進めさせるようにエアバス当局者は最近何週間かの間に何が問題になっているかを説明するために群れを成した。
同社にとってのハードルの1つは、ドイツの産業がフランスの同業他社と比較して仕事の公平なシェアを獲得するようにするために国会議員を支援することである。
一部の国会議員は、ダッソーがその背後にあるパリ政府の全ウエイトを握っており、エアバスがフランス―ドイツ―スペインのハイブリッド企業であることで、プログラムが進むにつれ不平等な分配につながる可能性があることを恐れている。

バイエルン州キリスト教社会同盟のメンバーであるレインハード・ブランドル氏が、国内の従業員の分布を明らかにするようエアバスに要求したが、当初は同社からの抵抗があった。
ブランドル氏は今月初め、パリで開催されているFCASプログラムを進めるための前提条件となるこの問題についてのレポートを作成した。
しかし、議員は火曜日にパリ航空ショーで集合写真の中でフォン・デル・ライエンの隣席となった。これは、彼の懸念がしばらくの間休止されたことを示唆している。
不公平なワークシェアの取り決めに対するドイツの懸念について尋ねられたトラピエール氏は、それぞれの相手国政府による投資を反映した「おおよその」分業があると述べた。
そのうえ、FCAS開発プログラムで業界の公平性について心配しているドイツの議会は、ドイツ政府が最低限の発言をするよりも優れていたのは、政府がトルネード戦闘機の代わりにF-35を選んだことだ。と彼が言った。
ドイツ国防省は、今年初めにロッキードマーチン製の航空機はもはや競争に参加していないと発表し、ユーロファイターとF-18スーパーホーネットのみが競合相手となった。

FCAS or Tempest? European missile company has its eyes on both  By: Christina Mackenzie  2019.6.18  
FCASかテンペスト?ヨーロッパのミサイル会社は両方に目を向けている

2019年6月17日にパリ航空ショー訪問、中央フランスのエマニュエル・マクロン大統領エリックベランゲル、中央左側のMBDAと会談。
(ベノイトテッシエ/ゲッティイメージズ経由AFP)

パリ―ヨーロッパのミサイル製造者MBDAは同社がイギリス主導の第六世代の戦闘機とフランス、ドイツがスペイン率いる大陸バージョンの供給の間にいる会社として、月曜日のパリ航空ショーで将来の航空戦のための新しいアイデアを発表した。
その兵器の目的は、フランスのドイツ – スペイン – 未来戦闘航空システム、英国のテンペストプログラム、またはこの2つの組み合わせのいずれかで考えられるヨーロッパの次世代兵器システムの一部になることだと同社幹部は語った。
適用されるミサイルの通常の候補―ディープストライク、タクティカルストライク、空対空―の他に、自己防御と戦闘支援のためのビークルのカテゴリーはおそらく最も新しいものである。
このコンセプトは、無人偵察機が母機の戦術情報を提供したり、攻撃任務を実行したりすることに大きく依存し将来の戦闘機のビジョンに適合している。

会社の関係者によると、これらの「イネーブラ」や「リモートキャリア」の一部は消耗品であることを意味し、他のものはそれらを失うことを避けるべき十分な価値がある。
消耗品の背後にある考えは、有人飛行機にかなりの危険をもたらす防空システムがあるときには、それらが戦闘機の前に発射されるものだということである。
無人偵察機は撃墜されるかもしれないが、それらが打ち落とされる前に敵の航空防御の性質についての貴重な情報を母機に送り返すことが期待される。
MBDAによると、100〜200キログラムのクラスで想定されているこれらの象徴的なコンパクトキャリアは、戦闘用または輸送用の航空機から、あるいは水上艦艇から発射する事が出来る。

同社はまた、自己防衛ミサイルの開発にも取り組んでいるが、その武器は将来的にはまだ遠く、そのモデルは存在しない。
その目的は、妨害などのノンキネティクな対策が失敗したときにパイロットが侵入するミサイルを迎撃するための一種の最後の手段を開発することだ。
MBDAの戦術攻撃は、群れで使用されるであろうスタンドオフでコンパクトな兵器の使用を想定している。
F-35とユーロファイターの戦闘機用に設計されたスピアー(ミサイル)は、今後数週間のうちに英国空軍で運用される予定である。

まだ開発中の「スマートグライダー」は、ここでは「スタンドオフ、汎用、対空パックチーミングミサイル」と表現されている。そのうちの最大18発は、例えばラファレの戦闘機によって搭載できるだろう。推進力はないが、地対空兵器の排除などに目標まで100キロメートルを超えて滑走する能力を有する戦術的な攻撃と縦深攻撃のミサイルはそれぞれ初期の開発段階にある。
一つは超音速ミサイル、もう一方は亜音速ミサイル。後者はステルスで、低空を飛行し、通常は高度に保護されたバンカーなどの高価値な地上アセットに対して使用される。超音速ミサイルは、監視資産、敵輸送機関または給油機、フリゲート艦などの高価な航空アセットに対して使用され、一般に敵の航空防衛装備を破壊する。

フランスの汎欧州プロジェクトで支配的な役割を果たしているダッソー・アビエーションの優位性の恐れから、会社の当局者は会社の作業をすぐにFCASプログラムに結び付けることをややためらった。
しかし、同社の最高経営責任者(CEO)であるエリック・トラピエール氏は、月曜日の後半に、MBDAやフランスのTタレス社を含む多数のサプライヤがすでに正式に選定されていることを確認した。MBDAが新たな軍需品のラインナップを用意する中で、幹部らはヨーロッパで根付いている2つの正当な第6世代戦闘機候補の見込みに悩んでいると述べた:テンペストとFCAS。恐怖はこれらの戦闘機のために両立する武器を作ることは不必要に高価な努力になるかもしれなくて、ここの指導者がすると誓ったようにそれらを強化するよりむしろ地域の防衛能力を弱めることである。