米海兵隊のドクトリンを読む⑦ MCDP 6 Command and Control その2
MCDP 6 Command and Control
U.S. Marine Corps
4 October 1996
第1章 指揮・統制の本質:The Nature of Command and Control
第2章 指揮・統制理論:Command and Control Theory
理論の出発点:OODAループ:POINT OF DEPARTURE: THE OODA LOOP
情報の階層:THE INFORMATION HIERARCHY
指揮・統制スペクトル:THE COMMAND AND CONTROL SPECTRUM
コミュニケーション理論:COMMUNICATIONS THEORY
情報管理理論:INFORMATION MANAGEMENT THEORY
第3章 効果的な指揮・統制の創造:Creating Effective Command and Control
第2章 指揮・統制理論:Command and Control Theory
「任務が与えられて、任務を遂行するのに必要であるが利用可能な情報が少ない時、組織は二つのうちどちらかで対応しなければならない。一つは情報処理の可能性を増やすことであり、もう一つは少ない情報に基づいて行動できるように組織をデザインするそして任務自体を少ない情報でもそれをベースに作戦を可能にする方法である。これらのアプローチは網羅的で、これ以外は想像できない。一方または他方を採用する失敗は自動的にパフォーマンスの次元の低下につながる。」
―Martin van Creveld, Command in War
指揮・統制の本質の一般的な理解に達したので、有効な指揮・統制システムをつくる基礎として順番に機能する指揮・統制プロセスに関する理論に移る。
理論の出発点:OODAループ:POINT OF DEPARTURE: THE OODA LOOP
指揮・統制理論の研究はOODAループとして知られている指揮・統制過程の単純モデルから始まる[1]。OODAループは二者間の闘争に適用され、それは個人同士の闘い、または大規模な軍隊間にも適用される。OODAはobservation(観察)―orientation(オリエンテーション)―decision(決定)―action(行動)の頭文字語で、指揮・統制の過程の基本的な系列を示すものである。(図2参照)
図2 指揮・統制のプロセス: OODAループ
紛争で交戦する際に、先ず、すなわち、状況を観測する。我々自身の状態、環境、および敵の情報を取る。時には我々は積極的に情報を求め、時にはそれを我々に押し付けている。状況を観察し、次に方向性を決める。まとまったメンタルイメージを作成するために状況について見積り、推定し、分析し、そして判断を確実にする。言い方を変えれば、状況が我々にどのような意味があるのかを明らかにする。オリエンテーションを基礎にして、何をするかを決め、その決定は即時の対応なのか、慎重な計画かの形になる。次に決定を実行に移す。これは、意思決定の普及、適切な実行を確保するための監督、およびフィードバックを通じて結果のモニタリングを含み、観察フェーズに戻ることで完全なサークルとなる。行動した結果で状況が変化し、またサイクルが始まる。これは注目に値するものであり、複数の意思決定者とのどのような組織でもそれぞれに指揮官の指揮・統制の実行としてそれぞれの規模や場所によって必ずしも同じスピードでないがOODAループ同様に回る。
重要なことは、OODAループはどのような連続した周期的プロセスの指揮・統制を反映しているかである。いかなる紛争でも、敵対者はより速くOODAループを一貫して効果的にサイクルする時に行動のより速いテンポのサイクルでますます優位性を維持することが必要である。それぞれの対応で、より遅い敵対者を、更にさらに遅らせ、ますます状況の悪化に対処できないようになる。それぞれのサイクルでは、より遅い敵対者の対応は実状に合わなくなり、指揮・統制自体を悪化させる。
OODAループの教訓は指揮・統制における速度を速めることの重要性である。言い換えれば、速度は有効な指揮・統制の必須な要素(speed is an essential element of effective command and control)である。指揮・統制手段による速度とは、決定し、計画し、調整し、コミュニケーションするために必要な時間を短くすることを意味する。戦争は競争であり、それは絶対的速度が重要でなく、敵との関連での速度であり、目的は、我々が敵より速いことである。敵の指揮・統制を妨げて、我々自身が合理的にすることを意味する。速度差は必ず大きい必要はありません:繰り返し得られる小さい利点は、急速に決定的な結果につながることができる。我々は、より高い作戦テンポを生むための能力と願望は絶好の機会を待つ意志を否定するものではないことを認識すべきである。目的は単に急速な動きではなく、意味のある行動をとることである。
情報の階層:THE INFORMATION HIERARCHY
我々は、情報(information)という言葉を、一方の生の信号をもう一方の知識や理解としての説明や表現のすべての方法を参照するために使用している。しかし、4つの異なる情報の種類があることを認識することは重要である。指揮・統制をサポートするのに異なるクラスそれぞれ価値の違いを理解しなければならない。また、階層の次元の間を動くことに応じて情報がどうなるかを理解しなければならない[2]。
生データ(raw data)とは、最も低いクラスの情報を包括して、どんな種類(ラジオのアンテナ、眼球、レーダー、衛星)のセンサーによって受信され、またはシステムのどんな種類のノードの間でも伝えられた生の信号を含んでいる。データは、コンピュータの間に流れるビットとバイトであり、独立したトランスミッション(電話、ラジオ、ファクシミリ、または、未現像のフィルム)によって送られたものである。言い換えれば、生データ(raw data)とは、いかなる方法でも処理されない、関連づけられない、一体化されない、評価されない、または解釈されていない信号である。このクラスの情報はある種の意味を何らかの方法で与え変えられるまで先ず役に立たない。
次のクラスのものは、処理されたか、またはそれらを使用しなければならない人にとって、理解できる形式に表示されたデータである*。このクラスはしばしばある期限の、より特定の語法による「情報」と呼ばれる。混乱を避けるなら、我々は、このクラスを「処理データ(processed data)」と呼ぶこととし、広い意味での情報のクラスについて言及するのに「情報」を使用する。処理データ(processed data)とは、写真になったフィルム、標準のレポート形式に複製され無線通信、テキストかグラフィックとしてスクリーンに表示されるコンピュータファイル、地図の上に記入されるグリッド座標値または、解読された妨害された敵のメッセージを含む。本来価値の限定された量のデータに与える。明らかに、処理データ(processed data)は生データ(raw data)より人々の役に立つ。そして、或るものは、即座の、明瞭で重要な値があるかもしれません、しかし、それらは、まだ評価も分析されてもいない。
*このクラスは、その用語のより特定の使い方としてしばしば「情報」とよばれる。混乱を避けるために、我々は「処理されたデータ」としてこのクラスに適用することを継続し、そして、情報クラスの全範囲に適用する時に「情報」を使用する。
図3 情報の階層
情報階層の次の段階は、意味と値を提供するために分析されたデータである知識である。知識は、信頼性、関連性、および重要性に関して評価されたデータである。知識は、状況図を造り始めるための一体化し解釈した様々な処理データ(processed data)である。例えば、軍事情報は、まだ分析と評価を受けていない戦闘情報と比較すると知識の一形態である。同様に、状況を評価するためにつなぎ合わせた状況報告は、知識を表す。この次元では、我々は意志決定の役に立つ場合がある成果物を得始めている。
情報の最上のクラスは理解で―より深い次元の状況認識を獲得するための特定状況に一体化されて、適用された知識である。我々は、何が起こっているかを知り(know)、その理由を理解(understand)する。理解は知識の体系を一体化した結果であり、ギャップを埋めるために判断と直観を使用し、完全な状況のメンタルイメージにたどり着く。理解は、我々が状況認識を獲得したことを意味する。理解はどのような状況においても重要な要素を明らかにする。それは敵の重大な脆弱性を明らかにする。それは状況のパターンと論理を明らかにする。理解は、事態‐新しい結果の進展の認識、または差し迫った動向、または敵に対する我々の行動の影響―が予測できる。我々は、意思決定のための基礎を理解しようするが、我々はめったに完全な理解を得ることができないことを認識する。
情報の異なるクラス間の階調は、常に非常に明確ではない。例えば、生データ(raw data)と処理されたデータの正確な違いをいうのはそう簡単であるというわけではない。しかし、違いがあることを認識することが重要であり、例えば、その知識はデータよりも通常は貴重なものである。さらに、階層を移動するとき、情報が変化することを認識し、その変化を引き起こす力を理解するのも重要である。
生データ(raw data)は予測や本質的には手続きの機械的な適用にかかわる活動により処理(processing)され、処理データ(processed data)に変えられる。処理は形式化、変換、照合、作図などを含んでいる。我々が意識さえせずに、多くの処理が自動的(人間かマシンにかかわらず)に起こる。それはファクシミリ装置が理解できるテキストかグラフィックスにビットのデータを変換する時のように行われている。多くの場合、マシンは人々よりはるかにすぐに、効率的にデータを処理できる。
我々は認識(cognition)の活動で処理データ(processed data)を知識(knowledge)に変える。少なくとも一般的用語で何を意味するか学ぶ行為である。程度によるが、認識は論理学か演繹法に基づく(「Aが起こるなら、Bを意味する」)。エキスパートシステムと人工知能は―例えば処理データ(processed data)の断片を一体化するのを助けることによってある程度認識を助けることができる。しかし、認識は主として―主として処理のような手続き行為ではなく、学習の行為として―人間のメンタルな活動である。
我々は、判断(judgment)―経験と勘に基づいて純粋に人間のスキルであり、任意の現在の人工知能やエキスパートシステムの能力を超えたもの―を通じて理解へ知識の複雑なコンポーネントに変える。判断は手順か規則に(どんなに複雑であっても)絶対に変わることはない。
我々は、情報がデータから理解に向かって階層を移動していくに従って一体化が起こることに注意するべきである。生データ(raw data)の複数のビットは、処理データ(processed data)を作るためにつなぎ合わされる。多数の処理データ(processed data)は知識へと合体する。様々な知識の体系(bodies of knowledge)は理解(understanding)へと蒸留される。一体化は理解に達するために結局不可欠である。多くの数の「断片」を減少させることになるのでいかなる時もそれを考慮しなければならない。単純に考えても(if they had to be considered singly)、いかなる状況を説明する膨大な数の生データ(raw data)のビットはどんな指揮官も圧倒するだろう。一体化するためにはある一定量の時間と努力を要するが、しかし、この努力がなければ、指揮官は考えるための驚異的な数のものによって圧倒されるだろう。
性質上、データは知識(knowledge)や理解(understanding)よりも生成し、識別し、定量化し、複製し、送信することは著しく簡単である。しかし、指揮官は、有効な決定をするために知識(knowledge)と理解(understanding)を必要とする。同様に、部下は単にデータではなく、指揮官の構想と意図についての知識(knowledge)と理解(understanding)を必要とする。指揮・統制における目標は膨大な量のデータの収集、処理、伝送ではありません、それは処理過程において情報過多という危険を増加させますが、しかし、理解に近づくためには出来るだけ念入りにしなければいけない。しかしながら、我々は簡単に指揮官が理解を準備するために提供できない。指揮官は最終的には自分で判断しなければならない。しかし、我々は、できるだけ最終的な形式として簡単に比較できることに近づける情報を提供するように努力する。これは、イメージの形で情報を提供することを意味する。
イメージ理論:IMAGE THEORY
人間は通常、データあるいはましてや知識の言葉として考えない。人は、一般的にアイデアとかイメージ―与えられた状況のメンタル図―として考える。人は一般的に、イメージで考えるだけでなく、それらは、イメージとしての最も良いものを理解して、イメージによって最も形作られる[3]。
我々は、イメージが我々の特定の状況か状態の理解の具体化したものであるといえる。(フランス語の一瞥(coup d’oeil)という言葉(天才的な指揮官が戦場で起こっていることを直観的に理解する能力について言及した。)は文字通り「目のストローク」を意味する。)イメージは我々が直面している軍事の問題に適用されるだけではなく、解決策にも適用される。例えば、よく練られた作戦の構想と指揮官の意図は、行動と望ましい結果として明確で強力なイメージで伝えるべきである。
人々は情報について、テキストより視覚イメージとして素早く効果的に自分のものにする。この意味するところは、広範囲にわたり、プレゼンテーション(表示して、目視により情報を伝達する、地図、オーバレイ、シンボル、絵、および他のグラフィックスの使用)の技術事項から概念的な状況認識と意図を共有する問題まで及び重要である。
我々の状況のイメージは状況の事実に基づいているだけではなく、それらの事実に関する我々の解釈にも基づいている。言い換えれば、それは我々の直観、了解事項、判断などに基づいている。(順番に、それは、我々の先入観、訓練、および過去の経験の成果である)。我々の既存のイメージに一致しない新情報は、我々がイメージを再確認するか、またはそれを修正する必要があり―簡単に、戦闘の混乱や圧力としない。我々がつくって、他に伝えるイメージは、現実に近くなければならない。反対に、敵をだましたいならば、我々は現実にマッチしない状況のイメージでそれらを提示して、そして、彼らに劣った決定をさせようとする。
我々は、我々自身のものだけでなく他の観察から、イメージをつくる。一般的に、指揮の次元が高ければ高いほど、我々は我々自身の観測はそれほど多くなく他のものからの情報に依存する。最小単位指揮官以外のすべての指揮官は他のものから彼らの情報の大部分を受け取る。これはいくつかの問題を引き起こす場合がある。最初に、直接状況を観測するとき、我々には、不確定度に対する直感的な評価(我々では、イメージがどれくらい信頼できるか感覚がある)そしてそれに従って行動する。しかし、我々の情報を中古で受け取るとき、通常、我々は、その感覚を失う。これは印象的に表示された情報が特に信頼できるように見えるハイテク時代にあっては特に危険である。2番目に、我々は状況に関して我々が他のものと忠実に交信するよりも、または、少なくとも我々が危機で交信する時間を持つよりも直の観測からより多くの状況を感じることができる。3番目に、本来、我々各人は、出来事を異なって解釈する。我々が伝える情報は最後まで到達するまでに通過する途中の各ノードにおいてある程度歪められている。そして、4番目に、この同じ情報は各ノードで同様に遅れる。情報の価値は時間に依存するので、この遅れは重要である場合がある。
指揮官は本質的には3つの異なった画像を必要とする。最初は、状況のクローズアップである、行動に対する「感じ」は、個人の観察と経験を通したベストなものを得る。この絵からは、指揮官は部下が経験していること―彼らの物理的で道徳的な状態―に関する感覚を獲得する。このイメージからは、指揮官は部下の要求と部下の要求できないことの感覚を得る。1967年のアラブにイスラエルの戦争でのイスラエルの司令官Yshayahor Gavishの経験についての言葉:「部下の声の調子を聞き、部下の目を見ることに代わる手段は全くない[4]」。
2番目の絵は状況の全体図である。この図から、指揮官は軍隊の関係配置と展開状況の総合的なパターンを理解できる。この図から、現状と最終目標とする状態との違いを測る。全体図の望ましい結果は我々が「トップサイト(topsight)」―大きい絵の把握―と呼ぶことができる品質である。洞察(insight)が鋭い内側の深層によって達成されるべきイルミネーションであれば、トップサイト(topsight)が来ることである、詳しく全体(whole)を明らかにする鳥瞰図からの頭上の有利な地位から、パーツを一緒に合わせて大きく描写する[5]。
我々が形成しようとする3番目の絵は、我々が、敵の意志を推定と、敵の移動を予測について敵指揮官の目を通して見られるようなものである。3枚の絵では、1番目は、明確に最も詳細だが、通常、非常に狭い視界を提供する。このイメージだけに焦点を合わせる指揮官は、大きい絵を見失う危険を冒す。2番目の絵は、総合的なイメージを提供するが、状況図が戦場における出来事の現実の一つ以上の広い印象を得るだけではないように、決定的に詳細を欠いている。このイメージだけに焦点を合わせる指揮官は、現実に疎い危険を冒す。3番目の絵は、主に我々が我々の敵がいることを確信しているはずがないという事実によって制限された頭の体操である。
分隊長か戦闘機乗りが、同時に、主に彼ら自身の観測からすべての3つのイメージを発生させることができるかもしれない。しかしながら、より高い指揮官はクローズアップと総合的なイメージの両方の需要を満たすことの間の緊張を感じる。―前方では前方における個人的な観測で満たされ、そして、後方では指揮所や、より高い本部のように、より遠方の有利な地位から最もよく満足している。
我々が言及したように、イメージを送ることによって情報を伝えるのを試みるどんなシステムも、ある程度のひずみと遅れが欠点となる。この問題に対処するいくつかの方法がある。1番目は、指揮官が直接可能な最大限まで(全般的情況に遅れをとらない競争している必要性と一致した)危機的事象を見ることである。こうすることで、情報が連続した階層を通過するときに起こるひずみと遅れを避ける。
戦争が発展するのに従って、ますます複雑になって、分散したので、指揮官は、直接すべて、または大部分さえ、危機的事象を観測するのがますます難しくなった。この問題のひとつの歴史的な解決が、特にクローズアップイメージを獲得することの役に立つ場合がある指示された望遠鏡(directed telescope)として知られている技術である。この技術は選択されたイベントを観察し、司令官に直接報告するように、専用の情報コレクタ― 信頼され、同じような考えを持つ部下やセンサーかどうか ―を使用することを含む。指揮官は周りの者に、あるいは自分自身の部隊に、敵に”望遠鏡”を指示することができる。理論的にはこれらの観察者からの直接報告なので、情報は、最小の遅延や歪みで届く。直接監督できる望遠鏡は定期的な報告系統を置き換えるべきではありませんが、付加的な情報収集と下層から上層への負担を避けるために―それらを強化する必要がある。そして定期的なチャネルを流れる情報の有効性の確認が必要となる。不適切に使用されれば、直接監督できる望遠鏡は、指揮官が部下との間に欠かせない重大な信用を傷つける場合がある[6]。
情報の遅れや歪みの問題に対処する2番目の方法は、可能な限り最大限に暗黙のコミュニケーション(implicit communications)に依存することである。暗黙のコミュニケーションは、情報の明示的な伝達の必要性を最小限に抑えることができる。理論的には、暗黙のコミュニケーションは一般的な見解を共有する個人が関わるので、コミュニケーション系統を上や下へと流れる情報は、最小量のひずみを受けるだろう。我々は後半で詳しく暗黙のコミュニケーションについて説明する。
情報の遅延や歪みの問題に対処するための3番目の方法は、後半で詳しく説明する意思決定方法で、個人がその場で、その場の状況を直接観察できる個人に意思決定の権限を分散することである。
指揮・統制スペクトル:THE COMMAND AND CONTROL SPECTRUM
歴史的に、不確実性の基本的な問題への二つの基本となる答えがある:有効な指揮・統制のために確実性を追求することを基礎とするか、不確実にもかかわらず事実として不確実性を認めそこから機能することを学ぶかである。
不確実性に対する最初の対応は、大きな情報量を処理することができる強力で、非常に効率的な指揮・統制装置の作成により、不確実性を最小化しようとすることで、判らないことをほぼすべて減少させようとするものでした。結果はディテイルド・コマンド・アンド・コントロール(detailed command and control)である。そのようなシステムは我々が無秩序で不確実な戦場において命令と確実性を課すことができるなら好い結果が予測できるという信念に基づいている。そのようなシステムは、技術集約的な傾向がある。
ディテイルド・コマンド・アンド・コントロール(detailed command and control)は強制的(coercive)であるともいえる。強制とは事実上、指揮官が努力の統一を実現する方法を説明する用語である[7]。このようなシステムは、個人的な指示や詳細な指示(detailed directive)で命令するなど、指揮官はきつく統制する[8]。指揮・統制は、集権化し形式化する傾向になる。命令と計画は、詳細でかつ明瞭となり、実行にあたっては厳格な服従を必要とし、部隊の意志決定と主導性を最小にする。ディテイルド・コマンド・アンド・コントロール(detailed command and control)は垂直で、直線的な情報の流れを強める:一般的には、情報は指揮系統を上へと流れ命令は下へと流れる。規律と協調が計画の遵守を確実にするために上から課される。
ディテイルド・コマンド・アンド・コントロール(detailed command and control)に基づいたシステムでは、指揮・統制のプロセスは、ゆっくり動作する傾向になる:唯一の意思決定権限のところまで情報が届けられなければならず、命令は、実行される下部へはフィルターがかけられる。当然のことながら、このようなシステムは急速に変化する状況に反応できない。情報の垂直の流れが混乱させられれば、機能しなくなる。不信感はディテイルド・コマンド・アンド・コントロール(detailed command and control)固有の特徴ではないが、不信感によって特徴付けられた組織は、ディテイルド・コマンド・アンド・コントロール(detailed command and control)になる傾向がある。
このアプローチは戦争の基本的性質を打ち破る試みを表している。我々は既に結論を下したとおり、一般に、正確な指示による戦争で不可能である。ディテイルド・コマンド・アンド・コントロール(detailed command and control)は、望む結果を下回る危険を冒す。問題は、それが全面的な成功を達成するのに十分な希望の結果に近づくかどうかである。
対照的に、ミッション・コマンド・アンド・コントロール(mission command and control)は戦争の混乱と不確実性を受け入れる。むしろ、我々が求める確実性の次元を増加させるより、ミッション・コマンド・アンド・コントロール(mission command and control)によって、必要とする確実性の度合いを減少させる。ミッション・コマンド・アンド・コントロール(mission command and control)は自発的なもの(spontaneous)と記述できる:努力の統一は上から課された一致の成果であるのではなく力のすべての要素の自発的協働の成果である[9]。部下は、詳細な指示や統制措置(detailed instructions and control measures)によってではなく全体的な任務の必要条件についての知識によって導かれる。このようなシステムでは、指揮者は緩い手綱を握る、部下に行動のかなりの自由を与え、主導権を持って行動することを要求する。上から課された規律は、組織内において自主的な自己規律によって強化される。意志決定の権限を分散し、かなりの行動の自由を部下に与えるので、ミッション・コマンド・アンド・コントロール(mission command and control)は、すべての次元でリーダーの多くに厳しい訓練と教育の要求を求める。
ミッション・コマンド・アンド・コントロール(mission command and control)は、分権的で、非公式で、柔軟な傾向がある。命令と計画は、できるだけ簡潔で簡単にし、必要な調整を部下に依存し、また、最小量の情報交換による相互理解による暗黙のコミュニケーションの人間の能力。意志決定の権限を分散することによってミッション・コマンド・アンド・コントロール(mission command and control)はテンポを上げ、そして、流動的で無秩序な状況に対処する能力を向上する。さらに、暗黙のコミュニケーションへの信頼で、ミッション・コマンド・アンド・コントロール(mission command and control)はディテイルド・コマンド・アンド・コントロール(detailed command and control)ほど、情報の流れの乱れによる脆弱性を受けにくい。
問題への二つのアプローチが指揮・統制のスペクトルの理論上の両極にある。(図4参照)実際には、指揮官はミッション・コマンド・アンド・コントロール(mission command and control)はディテイルド・コマンド・アンド・コントロール(detailed command and control)のどちらか一方に依存することはない。まさに指揮・統制のタイプは特定の状況下でのものであって、行動や任務の特性上、敵の特質や能力、そして、おそらく多くは我々側の人々の資質などという様々な要因に依存する。これは、指揮・統制の二つのタイプのどちらかをとるかというのは、単に個人の好みの問題とは等しい価値があるとことを示唆するものではない。ディテイルド・コマンド・アンド・コントロール(detailed command and control)は手続き上や、または、技術的な特質に関する特定業務の性能上げる上では適切であるかもしれませんが、有効な判断、創造性、主導性が必要な、不確実性、摩擦、混乱、および僅かな機会の環境における総合的な軍事作戦の行為としてはあまり有効ではない。軍隊は頻繁に、ディテイルド・コマンド・アンド・コントロール(detailed command and control)を支持しているが、我々の理解する戦争の本質や歴史上の教訓からミッション・コマンド・アンド・コントロール(mission command and control)に利点を見出している。
図4 指揮・統制のスペクトラム
リーダーシップ理論:LEADERSHIP THEORY
リーダーシップは共通の目的の達成に向かって仕事をする人々に影響を与えるものである。戦争は根本的に人間の努力であるので、リーダーシップが有効な指揮・統制に不可欠である。一般的に指揮・統制の理論に対応するリーダーシップには二つの基本的な理論がある。
リーダーシップの権威主義理論は、人々は本質的に仕事が嫌いで、できればそれを回避しようという仮定に基づいており、したがって、共通の目標に向かって仕事をするように強制し、処罰の脅威によって強制されなければならないというものである。この理論は、さらに人々は指示されることを好み、責任を回避しようと主張するものである。結果は、即時および絶対服従の達成を目指した独裁的なスタイルのリーダーシップである。指導者たちは自らの決心を公にし、部下がそれらを実行することを期待している。権威的な指導者は、時々口を出し、指示する(telling or directing)リーダーとして知られている。権威主義的リーダーシップは急速な服従をもたらし、しばしばリーダーに非常に依存する部下を作り、継続的な管制を必要とし、更に独創性を乏しくする。軍隊の規律としては非常時において迅速でかつ疑問を持たない命令に応ずる例として広く信じられてきた。しかしながら、これは、軍隊の指導者達が通常使用してきたリーダーシップのひとつの形にすぎない。
説得力の、又は委任のリーダーシップとして知られる、もう一方のリーダーシップ理論は、仕事が休息や遊びと同様に自然である仮定する。人間は、本来仕事は嫌ではなく、仕事が満足の源であり(その場合、人々は進んでそれを実行するでしょう)。または、罰の源(その場合、彼らはそれを避ける)というものである。この理論は外からの監督と罰の脅威が人間に共通の目的に向かって取り組ませる最も効果的な方法であるという考えを否定するものである。説得力の理論は、人間は人が組織的目標に取り組む度合いに主導性やセルフ・コントロールが関わると主張する。適切な条件の下で、人々は、単に責任を引き受けるのではなく、活発にそれを探すことを学ぶ。この理論によれば、ユニットにおける問題について、想像力、創意工夫、そして創造力を行使して解決する可能性を各ユニットに広く存在するという。リーダーシップはコミットされた部下を奮い立たせ、誘導して支える問題であり、部下をある制約下で自由に実行することを奨励するものである。時間が経つにつれて、委任する、または説得力のリーダーシップ、自立、自己規律、および主導性の高い部下を育成していく傾向がある[10]。
我々が与えられた状況の中で採用するリーダーシップ・スタイルはさまざまな要素に依存する。キーとなるのは部下の熟練度で、責任を果たす為に、どれくらい動機づけられ、経験し、意思を持っているかである。熟練度は決して年齢や年数に関連があるというわけではない。熟練度が高ければ多くを委任できるし、熟練度が低ければ、より指示が多くなる。他のものが同じであれば、我々は部下の能力の発揮と、部下の主導性を奨励するので、我々は説得力があるアプローチを好む。そのうえ、説得力のリーダーシップは連続した管制の必要性を減少させる。分散した流動的で途切れない戦場において詳細な監督(detailed supervision)は問題が多い。
計画策定理論:PLANNING THEORY
計画策定は将来の取るべき行動のために実用的枠組み(スキーム)を生み出す過程である。決心の前の計画策定は、任務・敵・環境を分析し状況認識(situational awareness)を形成することによって、あるいは異なる行動方針の実現の可能度を研究することによって意思決定を支える。決心の後の計画策定は、必要な調整措置、リソース配分、タイミングとスケジューリングの解決によって実行を支える。
計画策定は、変更する可能性がないことや予測可能なこと(地理、特定の局面における補給や輸送など)について提供することで将来の意思決定や行動を容易にする。計画は次のようなことに役立つ、つまり、計画策定の前提、状況と一般的な方向性についての共通の理解、敵の行動の予測、そして考えられる可能な対応を知ることができる。計画策定は、潜在的機会と脅威について明らかにかつはっきりさせる。そして、前もって機会と脅威の用意ができる。逆に、計画策定は、予防可能な誤りや機会を逃すことを避けるのを助ける。
定義の上では計画策定は将来に適応する。それは時間と空間内に我々の考えとデザインを前方に映し出すための努力を表す。将来がいつも不確実で、一般に、計画は将来の行動についての精度を求めるべきではない。我々が先々について計画しようとすればするほどすれば、計画策定を準備するにはより多くの時間が必要であり計画は確定できるものではない。その結果、将来の計画策定においては出来事を指示しようとするよりもオプションと可能性を特定することになる。
準備の状況と特質によっては、計画策定は急速または意図的になる。迅速/時間に敏感な計画は、既存の条件に応じて行われ、即時または近い将来実行するためのものである。対照的に、慎重な計画策定は、予期される将来の状態に基づいていて、時間的に遠い先に実行可能にすることを意図するものである。どのような計画策定でも時間がかかることを承知しておくべきで、テンポ良い作成や維持を容易にしなければならず、一方、計画策定のために割り当てられた時間に、速度で逆に影響を与えないことを確実にする。
計画策定をルーチン化すると、有効性と努力の効率をもたらし、参謀が上達できる。米海兵隊の目標は、すべての指揮階層で使用できるような制度化した計画策定枠組みを作り上げることである。しかしながら、我々は、横並びで制度化した計画枠組みを使用しないように警戒しなければならない。我々は、計画策定プロセスの適用が業務を行う上での柔軟性に貢献することを確認しなければならない。
計画策定は、次元が異なれば異なる次元で表現する。最上位次元においては、コンセプト上の計画策定(conceptual planning)と呼ばれるもので目的、目標、および意図を確立し、軍事行動の全般的な実施のため、戦術、作戦、あるいは戦略的構想を作成する。コンセプト上の計画策定(conceptual planning)は、機能や詳細を呼び出すことができ、全てのその後の計画策定(subsequent planning)の基盤を提供するものである。これらは計画策定の、より日常的で実践的な要素であり、完全で実用的な計画へ構想を具体化させることに関係がある。機能的な計画策定(functional planning)は構想全体のために必要な機能的な領域、動員、展開、兵站、情報などの下位の概念が関係する。詳細な計画策定(detailed planning)は実行のための実用的な詳細を含む。詳細な計画策定(detailed planning)は軍隊を移動し維持するためのスケジュール、調整、または技術的事項で、たとえば与えられた作戦に必要な供給や輸送所要の計算などである。
一般に、コンセプト上の計画策定(conceptual planning)は戦争の術策に対応し、詳細な計画策定(detailed planning)は戦争の科学を適用し、機能的な計画策定(functional planning)の中に反映する。詳細で、ある程度機能的な計画策定(functional planning)は慎重で詳細な計算を必要とするかもしれなく、そして、上陸テーブル、再補給スケジュールやコミュニケーション計画、部隊区分の作成を含む。しかしながら、一般に、詳細で機能的な件に関して必要とされる参謀手順はより広範なコンセプト上の計画策定(conceptual planning)には適切ではない。むしろ、このようなコンセプト上の計画策定(conceptual planning)は、将来の行動について正確に指示するよりむしろ広く影響を及ぼすことを試みるべきである。コンセプト上の計画策定(conceptual planning)は意図を示し、総合的な作戦構想を作成し意図を伝えるべきで、偶発的で起こりうる問題を特定するが、しかし、そうでなければ、機能的か詳細な実行の方法によって部下の広範な自由度を残すべきである。
組織理論:ORGANIZATION THEORY
組織は指揮・統制の重要手段である。我々がどのように組織するかで、実行の問題を複雑にするか、または簡潔にすることができる。タスクオーガナイズによって我々の部隊の従属単位にそれぞれのタスクを割り当てることによって管理しやすい部分に総合的な任務を組織化する。我々の部隊を組織することによって計画の概念的な組織に反映するべきである。
具体的には、組織をつくるとは何をすればよいのか?最初に、組織は、部隊の中の指揮系統、指揮と支援の関係を確立する。指揮系統は分割できない1人の指揮官から別の指揮官までの継承する権限と責任を確立する。各次元における指揮官が、上位の指揮官から受けた命令と方向に応じて、順に、部下への指示(命令)を与える。この方法で権限と責任を決定し同時に指揮系統を部隊内に広げ、各次元で各司令官には、与えられた範囲の権限と責任が指定される。指揮と支援の関係の種類を指定し、一人の指揮官の他の指揮官への権限の程度と別の指揮官に対する支援の程度を指定する。
重要なのは、組織は指揮の統一を確立することで、任務を単一の司令官の責任と権限として付与し、指揮官は他の任務に優先する命令として受ける。同様に、組織は、指揮官が与えられた任務を確実にするために、必要なリソースへのアクセスを確実にする。
組織、組織のメンバーのグループのアイデンティティの源を提供する重要なソーシャル機能も提供している。たとえば、米海兵隊では最初に分隊のメンバーを、次に小隊のメンバーを、そして中隊のメンバーとして認める。メンバーが高い次元のグループミッションへの忠誠、協力、士気、および責任によって性格付けられた一つあるいはそれ以上のグループに属すとメンバーが考える時、組織は最も効果的に作動する。
各指揮官(スタッフによる支援された)および直下の下位組織は一つの任務を遂行することを約束された、まとまりのあるグループとして一体化されたチームを構成する。たとえば、中隊長および小隊長は中隊の任務の遂行に協力してチームを構成する。小隊長および分隊長もまた小隊の任務の遂行に協力してチームを構成する。状況によってチームのサイズにより説明は異なる。指揮系統は指揮官から指揮官へと権限と責任を伝える一方、一体化チームの考えはまとまったグループに個人の考えを取り入れることである。(図5を参照)各チームは、単一の自己完結で協力、相互影響、水平および垂直方向のコミュニケーションによって有機的に機能し、アクション―フィードバック・ループによって継続的にあらゆる場合に動作している。チームの各メンバーは、チームの任務のコンテキスト内では、いつでも別のタスクを実行できる。継続性、組織全体で各指揮官は上級部隊として隷下部隊として、二つの関連するチームとして結果を出す[11]。
組織は指揮の次元に応じてスタッフを含む指揮官を準備する。スタッフは専門知識を提供し、分業し情報の流通を可能にするによって指揮官を支援する。スタッフは、指揮系統の一部でなく、形式的にも権限を全く持っていない、指揮官が選択すれば、指揮官はスタッフに権限を委ねるかもしれない。
一体化チーム、すなわち指揮官(組織のスタッフを含み)隷下部隊からなるまとまったグループは共通の目標の達成に向かって一緒に働く。それぞれのチームのサイズは状況による。ここに表した三角形のすべてのチームは4名である。続いて、関係する二つのメンバーのチームは、上級部隊と隷下部隊の各指揮官である。この重複する構造を通して、指揮官は部隊全体に指揮官の命令を広げることができる。 |
図5 オーバーラッピングした部隊とチーム
組織は単独の指揮官で妥当な統制の範囲について隷下部隊の数や活動について明らかにするべきである。統制する範囲は指揮官が有効に命令できる能力を超えるべきではない。隷下部隊の最適数は状況依存している。例えば、より流動的で状況の変化が速ければ、指揮官が継続的に動向を把握するためには、より少ない隷下部隊数になる。指揮官がディテイルド・コマンド・アンド・コントロール(detailed command and control)を行えば、各隷下部隊の作戦に細心の注意を払う必要がある。一般的にミッションのコマンドとコントロールを使用し部下の指揮官の実行の詳細を行うようにコントロール範囲を狭くする。
状況によって、妥当な統制の範囲は異なるが、原則として、事実上、個人は少なくとも3と最大7人の部下を命令することができる。この状況に依存した範囲内でより多く大きい柔軟性 –例えば三つの従属部隊などのより多くの二つ以上のオプションと、組み合わせを許可することを意味する。しかしながら、数が増えるいずれかの時点で、事実上、個別に各部隊について考える能力を失う。そのうえで、単一で、分割できない量として構成単位を一緒に考えてください。ここに、柔軟性を再導入する唯一の方法は、グループの数をより少ない数に分類することである。その結果、指揮の中間的に階層を設けることが必要となる。第二次世界大戦における海兵ライフル銃分隊の進化はこの好例である。開戦時、ライフル銃分隊が9名の米海兵隊員すなわち分隊長と8人の分隊のメンバーから成った。戦闘では、この分隊は小単位射撃と運動との連繁に必要な柔軟性を欠いていた。そのうえ、事実上、分隊長は8人の米海兵隊員に命令することができたというわけではない。答えは、中間的組織的な次元として、分隊サイズを13人までに許容した4人の海兵火力チームを作り上げた。より大きい分隊への分隊長の影響を広げている間、火力チームの創設は分隊長が即座に対応する部下の数を減少させた。
統制の範囲を狭くするということは、すなわち、直接指揮する数を少なくするのは、指揮の階層を加えることによって組織を深くすることと同じ意味を持つ。しかし、組織が持っている指揮階層が多ければ多いほど、それは、情報が上るか、または下に伝わるには、より長くかかる。その結果、組織は、より遅くより敏感でなくなる。逆に、テンポを上げるための、指揮の階層を排除するか、または組織を平らにする努力は、統制の範囲を広くすることになる。指揮官は組織的な幅と深さの間に存在する結果として起こる状態を解決しなければならない。(図6を参照。)
最終的に、組織は人と装備だけに適用されない。また、それは情報にもいえる。主に、組織においては、部隊にどのように情報を分配するかを決定して、通信チャネルを確立する。
情報は指揮系統の中を垂直に流れるかもしれませんが、指揮系統はそれを制限するべきではない。また、それは隣接している構成単位の間を横にまたは「斜めに」さえ流れる。例えば、小隊と隣接している中隊本部の間、または、または、支援している部隊と指揮系統の外における支援部隊の間のように流れる。情報はすなわち、個々の関係に従った個々の間を公式に非公式に(informally and unofficially)正式に設立されたチャンネルと同じくらいよく流れる。これらの非公式ルートは、重要な冗長を提供して、チーム作りにおいて特に重要である。
「広い」統制の範囲による非常に「平坦な」組織の例。上部と下部の間の直接リンク |
同じ部隊における「より深く「より狭い」統制の範囲による組織化の例。決して3以上でない「広さ」と上下の間の二つの中間的階層。 |
図6 組織の「拡がり」と「深さ」
コミュニケーション理論:COMMUNICATIONS THEORY
軍事の進化は協調的努力を必要とするので、有効に他のものとコミュニケートできることが重要である。コミュニケーションがひとつの人や場所から別の場所まで情報を伝達することが理解を改善するための方法や手段である。一般に、効果的な組織は激しく、かつ、自由なコミュニケーションによって特徴付けられ、すなわち、組織の間における有意義な情報の自由で頻繁な共有である[12]。また、コミュニケーションは、はるかに情報の交換を超えた重要性を有し、それは社交機能を果たす。交換される情報の質や意味とは別に、コミュニケーションの行為は、組織内の結合を強化し、その信頼、協力、団結、相互理解を構築する上で重要なデバイスである。
軍隊組織の中のコミュニケーションの伝統的な視点は、部下が状況の情報を指揮官に提供して、指揮官が順番に決定と指示を部下に提供するということである。このリニアな形式のコミュニケーションはディテイルド・コマンド・アンド・コントロール(detailed command and control)と一致しているかもしれない。しかし、ミッション・コマンド・アンド・コントロール(mission command and control)に基づくシステムでは、連続フィードバック・ループによって特徴付けられた対話的なコミュニケーションが要求される。フィードバックは相互が向上したことを確認する手段を提供し理解を横方向だけでなく縦のコミュニケーションに適用される。
我々はさまざまな手段でコミュニケーションする: フェイストゥフェイスの会話、ラジオ、電話、データ・リンク、書き言葉、視覚信号、絵、またはダイヤグラム。人間はそれらが使用する単語でコミュニケーションするだけではなく、声の調子、活用形の、そして、顔の表現、ボディ・ランゲージ、およびジェスチャーでもコミュニケーションする。事実、証拠は、フェイストゥフェイスの会話では、人間が実際に視覚手段(ジェスチャー、ボディ・ランゲージ、または表情などの)、声の非言語的な手段(トーンか屈折などの)による2番目、およびそれらが使用する実際の単語による最少で最も交信するのを示す[13]。
そのうえ、人々は暗黙的(implicitly)にコミュニケーションできる。すなわち、彼らが共通の経験と一般的な見通しについて共通の形を持っていれば、相互理解ができているので伝えられなければならない最小量の情報量との協力を達成する。キーフレーズやちょっとしたしぐさは、時には詳細な命令よりもコミュニケーションできる。そのことにより、メッセージを作成して、リレーしながら費やされた時間を短縮する。また、暗黙のコミュニケーションは情報の流れに通常関係する遅れの問題を減少させる。
暗黙のコミュニケーションは、データの実際の流れを最小する一方、情報量を最大にするのを助ける。その結果、組織をコミュニケーションの分裂による被害を受けないようにする。簡潔さは美徳だが、ある程度の冗長も必要である。その理由は、コミュニケーションの冗長は、意味の明瞭度を良くし、コミュニケーションシステムの分裂を軽減することができる。その結果、効果的なコミュニケーションは簡潔と冗長の間のバランスが重要である。(一般に、組織の中の暗黙の理解が大きければ大きいほど、冗長の必要性は、より少ないである。)
情報管理理論:INFORMATION MANAGEMENT THEORY
有効な指揮・統制は適時正しい情報を適任者に得るのに関係があるので、情報管理は重要である。
我々は二つの基本原理の下でコミュニケーションを始める: サプライプッシュ(supply―push)とデマンドプル(demand-pull)型[14]。サプライプッシュシステムは情報が利用可能になるか、スケジュール通りにソースからユーザまで情報を押す。(図7を参照)サプライプッシュの利点は、指揮官が情報を要求する必要はなくて、一般に、情報が直ちに届くということである。サプライプッシュシステムによる課題は、指揮官の情報ニーズを予測することができることである。情報過多という危険は主としてサプライプッシュから起こる。
対照的に、純粋なデマンドプル型システムは情報ニーズを予期する能力を当てにしない。それはそれで要求をするまで不活発である。純粋なデマンドプル型システムでは、ユーザはすべての情報要求を作成する。(図7参照)情報が容易に既に何らかのデータベースの中で蓄積された状態で利用可能であれば、例えば、すぐに、効率的に要求を満たすことができる。情報が容易に入手できない場合に、それが収集のための適切な次元に達するまでは、要求は典型的に指揮系統を通して要件フィルターなどの「要求カスケード(demand cascade)」をトリガとする。これは、下の階層までには時間がかかって、負担となり、特に集中型の指揮・統制システムにあるすべての情報は、上の階層に供給しなければならない。要求カスケードの答えは指揮官に対して直接それらに対応するよう、既に言及した直接的な望遠鏡などのようにひたむきに蓄積した情報を保つことである。
図7 「サプライプッシュ」と「デマンドプル」の情報管理
デマンドプル型は、指揮官が重要とする特定のタスクに稀少な資源の焦点を合わせることができる。それは明確に指揮官の情報ニーズに適合した情報を送ることができる。そして、情報が必要とするその情報だけを作り出すだろう。そして、それは指揮官が要求するその情報だけを作り出すだろう。これらの特性は長所と短所の両方をもつ。情報の流れが特に特定の要件に適合するために強さにもなる。しかしながら、指揮官が特定していない情報要求がしばしばあるので、それらは弱点にもなる。そして、純粋なデマンドプル型システムでは、それらの要件は満たされていなくなるだろう。指揮官がその情報の必要性を特定するまで情報の検索が始まらないかもしれませんので、時間内に、需要けん引型のひとつの明確な難点がコストである。
また、情報がどう伝えられるかに関する情報管理について議論する。最初に、情報は、同時に指揮階層の異なる幅広い視聴者(情報ネットワークにアクセスできる誰にでも)に送るという放送(ブロードキャスト)がある。(図8参照)放送(ブロードキャスト)の大きい利点は、最も短い時間で最も広い聴衆が情報を得るということである。情報が包括的性質のものであれば、この方法は非常に効率的だろう。しかしながら、異なった情報要求をもつ広範な聴衆に情報を送るので、情報はどんな特定の指揮官のニーズにも合わせることができない。放送(ブロードキャスト)送信の最大級の欠点は、この方法の未熟な使用が急速に情報過多につながることができるということである。
図8 放送通信
放送(ブロードキャスト)送信の代替手段は「ナローキャスト」という情報が特定のユーザかユーザに送られるP2Pトランスミッションである。そして、適宜、情報は1人のユーザから次まで連続して伝えられる。(図9参照)P2Pトランスミッションには、二つの基本的な利点がある。最初に、情報は、それぞれの受取人の特定の要求を満たすことができる。2番目に、P2Pトランスミッションには、放送(ブロードキャスト)送信にはない自動制御メカニズムがある。系列の各ノードは情報をフィルタリングし、オーバーロードのリスクによる減衰の前に次の受取人のニーズに応じた情報として合わせるといった一体化する制御機構として機能する。P2Pの主要な損失は、情報が、よりゆっくり幅広い視聴者に届くということである。そして、各ノードでその情報が通り抜ける時のひずみ増加の可能性がある。
実際には、情報管理の異なった局面は全く互換性には関係なく、事実、賢明に組み合わされ同じ指揮・統制システムの中で相互に補完できる。
図9 P2P通信
意志決定理論:DECISIONMAKING THEORY
指揮・統制の主な目的は、健全でタイムリーな決定をする指揮官の能力を高めることである。想像するとおり、指揮・統制の定義の特徴(不確実性と時間)は、意志決定への重要な影響を及ぼす[15]。不確実性に直面してすべての決定をしなければならない。理論的に、我々は、詳しい情報を獲得することによって、不確実性を減少させることができるが、不確実性を減少させるどんなことも時間を犠牲にして起こる。我々が既に言及したように、それは重要な情報量より適切な時期と場所で利用可能な情報の正しい要素である。
我々がどう決定をするかに関する二つの基本的な理論がある[16]。伝統的な視点はいくつかの異なったオプションを発生させることに基づいた意志決定過程つまり何らかのセットの評価基準に従ってすべてのオプションを比較して、最良の選択肢を特定するということである。基本的な考え方は、同時に多重選択肢を比較すると最適解決が作成されるということである。その結果、分析意志決定は、入念であって、時間のかかる傾向がある。理論的に、推理力が経験より重要となる。
直感的な意志決定と呼ばれるもう片方の基礎的アプローチは、分析手法の計算論的アプローチを拒絶して、代わりに特定の問題の主要な自然力を認識して、適切な決定に到達する経験豊富な指揮官(そして、スタッフのもの)の直感的な能力を当てにする。直感的な意志決定は方法論的な分析を経験と判断に基づくパターン認識による直感的な技能に置き換える。直観的方法は多重選択肢の比較の代わりに状況評価に焦点を合わせる。直感的な意志決定は「満足度」を目的とする[17]。分析手法を適用した最適化より問題を解決することに最初の解決策を見つける。直観的方法は結局戦争が科学よりむしろ芸術であり、どんな問題でも絶対に正しい答えも全くないという信念に基づいている。直感的な意思決定は経験や訓練そして反映によって得られた判断に負うという信念に基づき、指揮官は実行可能な最初の策を作るので、複数のオプションを作成する必要はない。複数の選択肢を比較することを伴わないので、一般に、直感的な意志決定は分析意志決定よりはるかに速いである。時間が可能にするなら、指揮官はさらにこの決定を評価する。欠陥があると判明するなら、指揮官は次の妥当な解決策に移る。
各アプローチには、異なった長所と短所がある、そして、特定の状況でどちらのアプローチが、より良いかを決定するのを状況の本質―どのくらいの時間と情報が利用可能か―による。時間が主要な要素でなく、大規模な情報を集めることができる時における、動員計画や緊急対策計画に関しては前提とする敵意の決定に、解析手法は適切であるかもしれない。次のような場合には役に立つかもしれない。それは決心の文書化や正当化が必要な場合、または、決心に際して絶対に直感的では出来ない(供給率に関する決定など)決定のための必要な複雑な計算の場合である。いくつかの既存の選択肢から選ぶとき、例えば、装備品調達のような場合には適切であるかもしれない。最終的に、解析手法には、状況によっては、つまり、指揮官が未経験であるか、または以前に決して経験豊富でない問題に直面した時には、何らかの長所があるかもしれない。しかし、とは言うものの、直感的なアプローチは、典型的な戦術や作戦の大半の意思決定においては適切である ― 意思決定は、流動し急激に変化する戦争状態においてなされ、時間と不確実性が重要な要素となり、創造力は望ましい特性である[18]。
我々は頻繁に、急ぎ/時間のない計画策定と直感的な意志決定とを、また慎重な計画と分析的な意思決定とを関連づける。これはよくあるケースであるが、必要なことというわけではない。例えば、危機前の徹底した慎重な計画策定の努力は指揮官に状況認識を提供し、指揮官に有効な直感的な意志決定に繋がる。逆に、いくつかの行動方針の案出と選択の解析のアプローチは急速な意思決定を可能にする。ポイントは、計画モデルや我々の選択プロセス、それを支持する意志決定アプローチは、状況、時間利用可能度、知識、組織の状況認識、および計画策定や意志決定プロセスへの指揮官のかかわり合いに基づくべきであるということである。意志決定への二つのアプローチが概念的に異なっているが、それらは実際にはめったに互いに排他的ではない。
結論:CONCLUSION
我々の戦争の本質の視点は我々をコマンドの基本的な問題に対処することへの二つの応答の1つに導く: 確実性を追求するか、または不確実性に対処する。これらの応答は指揮・統制の二つの明瞭に異なった理論につながる。各理論は順に指揮・統制の種々な側面つまり― 意志決定、コミュニケーション、情報管理、計画、組織、訓練、教育、主義などからの要求に負う。そして、指揮・統制の明瞭で包括的なアプローチの基礎を形成する。質問は以下の通りである。我々はどのアプローチを取るか?米海兵隊の指揮・統制の概念は厳然たる事実として不確実性を認め、それにもかかわらず、有効に作動できることを基礎にしている。米海兵隊の指揮・統制システムはミッション・コマンド・アンド・コントロール(mission command and control)を元に構築され、テンポ、柔軟性、および機会を利用する能力を創造し、また、低い階層での主導性によって分散し、依存することを必要とする。次の章では、我々はそのような指揮・統制システムの特徴について論じる。
第3章 効果的な指揮・統制の創造:Creating Effective Command and Control
ノート
[1] The OODA loop: John R. Boyd, “Patterns of Conflict” and “An Organic Design for Command and Control,” A Discourse on Winning and Losing. OODAループは、当然、指揮統制プロセスの簡略化である(我々がすでにフィードバックと他の複雑な相互作用によって特徴づけられるプロセスとして指揮統制を述べて以降)。いろいろなフェーズと相互作用の完全な記述、しかし、むしろ基礎的な概念上のモデルを提供することは、意味されない。多数の個人相互作用が起こり、そして、それぞれ4つの基礎的なステップ。あらゆる努力は、指揮統制のような複雑なプロセスをきちんと連続したステップを必然的に部分的に人工的にしに分ける。いろいろな他の類似した指揮統制モデルが、存在する。我々はボイド・モデルを選抜し、多くの米海兵隊員に広く知られている。See also William S. Lind, Maneuver Warfare Handbook (Boulder, CO: Westview Press, 1985), pp. 4―6.
[2] The information (cognitive) hierarchy: Jeffrey R. Cooper, “The Coherent Battlefield―Removing the ”Fog of War―’“ Unpublished paper, SRS Technologies, June 1993. Also Cooper, “Reduced Instruction Set Combat: Processes and Modeling.”
[3]人々が、イメージで考えるだけでなく、彼らが最もよく理解し、最も多くて示唆する・・・・ : Thomas J. Peters, Thriving on Chaos: Handbook for a Management Revolution (New York: Alfred A. Knopf, 1988), p. 418.
[4] Gavish: “選択肢はない・・・・”: quoted in Martin van Creveld, Command in War, p. 199.
[5] “Topsight”: David Hillel Gelernter, Mirror Worlds, or, The Day Software Puts the Universe in a Shoebox―How It Will Happen and What It Will Mean (New York: Oxford University Press, 1991), pp. 51―53. Gelernter argues that topsight is “人に知られている最も貴重な知的な必需品。あらゆる現場で才能を特徴づけるのは、質である。” (Italics in original.)
[6] The directed telescope: Van Creveld, Command in War, p. 75 and pp. 255―57. See also Gary B. Griffin, The Directed Telescope: A Traditional Element of Effective Command, Combat Institute Studies Report No. 9 (Ft. Leavenworth, KS: Combat Studies Institute, U.S. Army Command and General Staff College, 1985).
[7] Control as “coercive” or “spontaneous”: Gregory D. Foster, “Contemporary C2 Theory and Research: the Failed Quest for a Philosophy of Command,” Defense Analysis, vol. 4, no. 3, September 1988, p. 211.
[8] Command by personal direction or detailed directives: See Thomas J. Czerwinski, “Command and Control at the Crossroads,” Marine Corps Gazette, October 1995.
[9] Foster, p. 211.
[10] Authoritarian (Theory X) versus persuasive (Theory Y) leadership: Douglas McGregor, The Human Side of Enterprise (New York: McGraw―Hill, 1960), chapters 3 and 4. Situational Leadership Grid (telling, selling, participating, delegating) and follower maturity: Paul Hersey and Kenneth H. Blanchard, Management of Organizational Behavior, 2d ed. (Englewood Cliffs, NJ: Prentice―Hall, 1972), p. 134.
[11] Integrated teams (work groups): R. Likert, “The Principle of Supportive Relationships,” in Derek Salmon Pugh, comp―, Organization Theory: Selected Readings (Harmondsworth, England: Penguin Books, 1971), pp. 279―304. Figure 5 adapted from Likert, p. 289.
[12] Effective organizations characterized by intense communications: Thomas J. Peters and Robert H. Waterman, Jr―, In Search of Excellence (New York: Harper & Row, 1982), p. 122.
[13] On the relative importance of verbal and nonverbal communication: 心理学者Albert Mehrabian博士は以下のように推定する。向かい合っての会話において、言葉の現実の意味がほんのコミュニケーションの7パーセントで占め、非言語的な声(例えばトーン、ボリュームまたは抑揚)では38パーセントを占め、そして、見える信号(表情、ボディ・ランゲージ、ジェスチャー、その他)は起こるコミュニケーションの残りの55パーセントを占める。Albert Mehrabian, Nonverbal Communication (Chicago: Aldine―Atherton, 1972), p. 182.
[14] Supply―push/demand―pull and “demand―cascade”: James P. Kahan, D. Robert Worley, and Cathleen Stasz, Understanding Commanders’ Information Needs (Santa Monica, CA: Rand Corporation, 1989), pp. 37―55.
[15] The effects of uncertainty and time on decisionmaking: John F. Schmitt, “Observations on Decisionmaking in Battle,” Marine Corps Gazette, March 1988, pp. 18―19.
[16] Intuitive (naturalistic) versus analytical decisionmaking: Gary A. Klein, “Strategies of Decision Making,” Military Review, May 1989, and “Naturalistic Models of C3 Decision Making,” in Stuart E. Johnson, Alexander H. and Ilze S. Levis (eds.), Science of Command and Control (Washington: AFCEA International Press, 1988).
[17] “Satisfice” versus “optimize”: Herbert A. Simon, “Rational choice and the structure of the environment,” Psychological Review, vol. 63, 1956, pp. 129―138.
[18]直観的な意思決定は多くの戦術的な/作戦上の決心により適切:1989年のゲーリー・クラインの研究によると(1985年の観測に基づく)いろいろな訓練使用においてその意思決定を推定すると時間の87パーセントが直観的な手法、そして、時間の13パーセントが分析的手法。証拠によると、この研究が実は分析を指示した偏りが今示唆される。よりさらに最近の研究で掘り下げると、分析的5パーセントまで、直観的な95パーセントと推定する。G. A. Klein, “Recognition―Primed Decisions” in William B. Rouse (ed.), Advances in Man-Machine System Research (Greenwich, CT: Jai Press, 1989); G. L. Kaempf, S. Wolf, M. L. Thordsen, and G. Klein, Decision Making in the Aegis Combat Information Center (Fairborn, OH: Klein Associates, 1992); R. Pascual and S. Henderson, “Evidence of Naturalistic Decision Making in Command and Control” in C. Zsambok and G. Klein (eds.), Naturalistic Decision Making, forthcoming publication (Hillsdale, NJ: Lawrence Erlbaum Associates); Kathleen Louise Mosier, Decision Making in the Air Transport Flight Deck: Process and Product, unpublished dissertation (Berkeley, CA: University of California, 1990).