現代陣地戦とそれに勝つ方法-Valerii Zaluzhnyi (athenalab.org)
ロイターの11月2日8:31配信の記事「ウクライナ軍総司令官が危機感、戦局こう着でロシア軍再建の時間与える恐れ」で、“クライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官は11月1日、英誌エコノミストへの寄稿記事で、ロシアとの戦争が一進一退の消耗戦に移行しつつあり、このままではロシア側に兵力再建の時間を与えてしまうと危機感を表明した”と報道されている。以下、英誌エコノミストへ寄稿されたと言われる論稿を紹介する。この論稿については、11月29日の読売新聞でも「ウクライナ軍トップ発信…膠着打開へ『技術』を重視」として取り扱われているものである。「機動戦」についての見解がウクライナでの戦争を通じて色々と議論される中で、当事者であるウクライナ軍のトップが何を感じているのかの一端を知る機会となればと考えるところである。(軍治)
現代陣地戦とそれに勝つ方法
MODERN POSITIONAL WARFARE AND HOW TO WIN IN IT
Valerii Zaluzhnyi
Commander-in-Chief of the Armed Forces of Ukraine, Kyiv, Ukraine
2023.11.1
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ヴァレリー・ザルジニー(Valerii Zaluzhnyi)氏の経歴(ヴァレリー・ザルジニー – Wikipediaから)
ザルジニー氏は1989年7月8日、ソビエト連邦(現ウクライナ・ツヴィアヘル)のノヴォフラード・ヴォリンスキー生まれ。1997年にオデッサ陸軍士官学校、2007年に国立国防アカデミーを卒業し、第24独立機械化旅団参謀長兼副司令官に任命される。2009年から2012年まで第51独立機械化旅団長、2014年にウクライナ国防大学を卒業し、2017年に西部作戦管区参謀長兼副司令官、2018年にウクライナ統合軍事作戦司令部副司令官、2019年に北部作戦管区司令官に任命された。2021年7月27日にウォロディミル・ゼレンスキー大統領からウクライナ軍総司令官に任命され、7月28日にウクライナ国家安全保障・国防会議メンバーに任命された。ロシアによるウクライナ侵攻中の2022年3月4日、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領によって大将に昇進した。2023年5月30日にはロシア内務省よりオレクサンドル・シルスキー陸軍司令官らとともに指名手配リストに加えられたことが発表された。
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2022年2月24日、ウクライナに対する大規模な武力侵略を開始したロシア連邦は、第二次世界大戦後最大の、前例のない世界的な安全保障危機の幕開けを引き起こした。
ロシアの大国主義的排外主義(great-power chauvinism)は、病的な帝国主義的野心(imperial ambitions)によって、欧州の中心部で始まった軍事衝突を、民主主義的政治体制(democratic political regime)と権威主義的政治体制(authoritarian political regimes)との間の武力対決(armed confrontation)へと徐々に変化させ、地政学的に似たようなモデルを持つ地球上の他の地域(イスラエルとガザ地区、韓国と北朝鮮、台湾と中国など)へと広がっていく。
国連や欧州安全保障協力機構(OSCE)を中心とする既存の国際政治的規制メカニズムの有効性が不十分であるため、ウクライナは、1991年に国際的に認められた国境内で大規模な武力侵略を受けた後、専らウクライナ軍が決定的な役割を果たす軍事部隊(military force)によって領土保全(territorial integrity)を回復するしかない。
多くの武器を持ち、動員力もはるかに高い、より強力な敵との戦争に突入したウクライナは、それを阻止することができただけでなく、2022年には反攻(counteroffensive)を成功させ、多くの軸で敵を食い止めることができた。ウクライナの人々は、自由のために魂と肉体を捨てるという意思(willingness)を、言葉ではなく行動で示したのだ。
しかし、さまざまな主観的・客観的理由により、現段階の戦争は、歴史的に振り返ってみれば、軍隊(Armed Forces)と国家全体にとって常に困難な状況である陣地戦の形態(positional form)へと徐々に移行している。同時に、戦争の長期化は、ほとんどの場合、紛争当事者の一方にとって有益である。
われわれの特殊なケースでいえば、それはロシア連邦であり、軍事力を再構築し増強する機会を与えているからである。したがって、このような状況の原因を理解し、そこから脱出する可能な方法を見つけ、ウクライナに有利なようにこの戦争の本質と経過を変えるという問題は、現代の状況において特に重要である。
ウクライナ軍と国防軍の他の構成組織が置かれている現状を分析すると、戦いの陣地戦の形態(positional form)から脱却するためには、航空優勢を獲得すること、地雷障壁を縦深に突破すること、対砲兵の効果を高めること、必要な予備(reserves)を創設して訓練すること、電子戦(EW)能力を構築することが必要であることがわかる。
したがって、敵対行為が陣地戦の形態(positional form)に移行した原因の究明と、この状況を打開するための可能な方法の模索は、当然、これらの主要な構成要素に従って行われるべきである。上記の構成要素は、ミサイルや弾薬、砲兵システム、ミサイル・システム、電子戦、パートナーから提供された他の種類の武器や装備の役割や位置を決して平準化するものではないことに留意すべきである。
それは、新たな技術的解決策や革新的なアプローチによって国防軍の能力を向上させ、接触線上の位置的危機を脱するという文脈においてのみ補完されるものである。これらの理由をもう少し詳しく考えてみよう。
敵対行為が陣地戦の形態に移行した理由:Reasons for the transition of hostilities to the positional form.
航空優勢の獲得について:As for gaining air superiority.
現代の兵法(art of war)には、大規模な地上作戦を成功させるために航空優勢を獲得することが含まれている。これは、NATO軍のドクトリンにもロシア連邦軍の統治文書(governing documents)にも反映されている。ウクライナ軍は120機の戦術機を保有して参戦したが、そのうち技術的に使用に適していたのは40機にすぎず、中・短距離対空ミサイル大隊は33個あったが、そのうち完全に使用可能な装備を持っていたのは18個にすぎなかった。パートナー諸国の物資・兵站支援により、ウクライナは航空・防空システムを強化した。特に、戦闘機や攻撃機、ソビエト製ヘリコプターが供与された。
対空ミサイル・システムの数は、特に「マートレット(Martlet)」、「スターストリーク(Starstreak)」、「ジャベリン(Javelin)」、「ピオラン(Piorun)」、「ミストラル(Mistral)」、「スティンガー(Stinger)」「グロム(Grom)」の携行式防空システム、「ゲパルト(Gepard)」自走式高射砲、「スカイネックス(Skynex)」防空砲システム、「アベンジャー(Avenger)」、「ストーマー(Stormer)」、「パトリオット(Patriot)」、「ホーク(Hawk)」、「IRIS-T」、「NASAMS」、「SAMP-T」、「クロタール-NG(Crotale-NG)」の防空システムなどの西側製アセットによって大幅に増加した。
このため、大規模な武力侵略が始まって以来、ロシア連邦は航空軍1個分の航空機と、陸軍航空隊の約13連隊(旅団)に相当するヘリコプターを失った。さらに、さまざまなタイプの敵の防空システムの損失は、すでに550個を超えている。このような損失にもかかわらず、今日、敵は大幅な航空優勢を維持し続けている。これは、わが軍の前進を複雑にし、敵対行為の本質を陣地戦の形態(positional form)に変える重要な要因のひとつである。
さまざまな評価によると、2023年末には、敵は新たな攻撃航空隊を構築して航空機数を増強する可能性があり、この状況に特別な注意を払う必要がある。しかし、航空・防空における敵の量的・質的優越にもかかわらず、わが軍の直接防空援護部隊の活躍により、敵の航空攻撃兵器の数を絶えず増加させているため、これを空中における完全な支配性(dominance)に変えることはできない。
このため、敵はウクライナの空で平穏を感じておらず、敵の航空部隊はわが国の対空防御網のキルゾーンに入ろうとせず、主に遠距離から航空アセットを利用している。その代わりに、敵の無人航空機が最前線に登場し、空中偵察や空爆(air strikes)といった有人航空機のタスクのかなりの部分を引き継いでいる。
縦深にわたる地雷障壁の突破口形成について:As for mine barriers breaching in depth.
現在の敵対行為の本質を陣地戦の形態(positional form)に変える次の前提条件は、敵軍とわが軍の双方による地雷障壁の普及である。このような障壁をわが軍が突破できる状況を考えてみよう。
2022年2月24日現在、ウクライナ軍には地雷障壁を突破するための限られた能力しかない。技術的に時代遅れの装備品が使用されていた。敵対行為の過程で西側諸国との提携により、「M58 MICLIC、Wicent 1、NM189 工兵装甲車(Ingeniorpanservogn)」などのアセットを使用して、工兵部隊(エレメント)の突破能力をわずかに増強することができたが、これらの障壁の前例のない規模を考慮すると、そのような能力でさえ客観的に不足している。
今日、特に重要な軸線に沿った敵の地雷障壁は密度が高く、縦深は15~20kmに達する。その援護は偵察UAVによって行われ、UAVは我々の障害物除去分遣隊(チーム)を効果的に探知し、彼らにターゲット射撃を行う。地雷障壁の突破に成功した場合、敵は「ゼムレデリエ(Zemledeliye)」のような遠隔地雷敷設工兵システムによって、これらの地域の地雷原を迅速に修復する。同時に、ウクライナ軍も地雷除去のための地雷障壁や偵察・射撃施設を利用して、敵の工兵用装備を探知・破壊することでは、決して劣らない。このような状況は、両軍の攻撃作戦が大きな困難を伴い、資材と人員の大きな損失を伴うという事実につながっている。
対砲兵について:As for counter-battery.
ロシア・ウクライナ戦争では、過去の戦争と同様、火力におけるミサイル部隊と砲兵隊の役割は依然として非常に大きく、条件、作戦軸、作戦地域によって、実行されるタスクの総量の60~80%に及ぶ。部隊の作戦の成否は、打撃と火力の効果に直接依存するため、敵の射撃を「狩る(hunt)」ことは双方にとって優先事項である。
対砲兵戦は、武力対決(armed confrontation)の重要な要素になりつつある。また、いわゆる「軍事アナリスト(military analysts)」と呼ばれる人々の発言や、ロシアのメディアを含むさまざまな出版物が、ロシアが徐々に弱体化しているにもかかわらず、ロシアの兵器、ISR(インテリジェンス、監視、偵察)、対抗措置の重要性と能力、侵略国の軍産複合体が軍隊に旧式と最新式の両方の兵器や装備を相当数供給する能力を軽視する権利はない。脅威を現実的に評価し、経験を分析し、結論を出さなければならない。
西側のミサイルや砲兵兵器を受領した直後から、ウクライナ軍は対砲兵で重大な優越と大きな成功を獲得した。こうして、「エクスカリバー(Excalibur)」(155ミリ砲弾)などの精密誘導弾は、自走砲や対砲兵レーダーとの闘いで極めて有効であることが証明された。しかし、(GPSを使った)ターゲッティング・システムが敵の電子戦の影響を非常に受けやすいため、弾薬の精度が落ちてしまうのだ。
敵はすぐに新しい戦術の適用を学んだ。(砲による)分散、最大射程からの射撃、新しい電子戦アセット(「ポール21(Pole 21)」電子対策システム)の使用などである。また、敵はターゲットを「照明(illumination)」する「ランセット(Lancet)」徘徊弾薬や、「オルラン(Orlan)」、「ザラ(Zala)」UAVなどを対砲兵に広く効果的に使い始めたが、これらに対抗するのはかなり難しい。
「決闘の優越(duel superiority)」を維持・拡大するため、ロシア軍は旧式の砲兵システム(D-1、D-20など)を使用することで、砲兵密度と通常弾薬を大量に使用する能力を大幅に高めた。敵はまた、地上の観測所から測距儀でターゲットを照明によってターゲットにする122ミリのクラスノポル(Krasnopol)精密誘導弾の生産と使用強度を高めている。
敵への対抗措置として、我々は敵の野戦砲を打ち負かすために「HIMARS」などのロケット砲システムを利用せざるを得なかった。しかし、既存のミサイルのかなりの部分が、これらのターゲット(野戦砲、MLRSなど)を撃つために利用された。現在、我々は、より質の高い(正確な)火力の数が少ないため、数的に優勢な敵の砲兵と想定上の同等を達成することに成功している。
必要な予備の創設と準備について:As for creation and preparation of the necessary reserves.
ウクライナに比べ、ロシア連邦の動員人的資源はほぼ3倍である。戦争初期に成功できなかった敵は、2022年9月に平時の軍隊構成による部分的な動員を開始し、それは現在も続いている。しかし、ウクライナと直接闘っているタスク部隊の戦闘力(combat strength)に大きな優越を創造するために、人的資源の動員の優位性を得ることには失敗している。
このような状態になった主な理由は、政治的、組織的、動機的なものである。大統領選挙の前夜、ロシア連邦のプーチン大統領は、国家内の社会的緊張が高まり、政治的危機に発展する危険性に関連して、総動員を行うことを恐れている。敵は、動員された市民を訓練し、必要な武器や装備を提供する能力が限られている。ロシア連邦の一般市民は、多大な人員損失のため、徴兵や敵対行為への参加を回避しようとしている。
同時に、ウクライナ軍司令部が予備(reserves)の創設・準備手順の改善に絶えず取り組んでいるにもかかわらず、いくつかの問題が残っていることも考慮しなければならない。特に、敵が訓練センターや訓練場にミサイルや空爆(air strikes)を仕掛ける能力を持っているため、自国の領土で予備を訓練する能力は限られている。
戦争の長期化、接触線上における兵士のローテーションの限られた機会、動員を合法的に免れるかのような法律の隙間は、国民の兵役への意欲を著しく低下させている。我々はこうした問題を認識しており、解決策を見いだし、常に取り組んでいる。そのため、予備(reserves)の数を増やすことで敵に対する優越を獲得するウクライナの能力が欠如している。
電子戦について:As for electronic warfare.
2014年の事件以前から、ロシア連邦の軍部と政治指導部は電子戦の発展にかなりの注意を払っていた。その一例として、2009年にロシア連邦軍に電子戦部隊という独立した部門が創設されたことが挙げられる。さらに、ロシア軍の一部として、電子戦の強力な航空部門が創設され、部隊(兵力)と高精度兵器の効果的な運用が確保されている。
敵は、より優れた特性、高い移動性、セキュリティの向上、短いセットアップと撤収時間、新しい技術的解決策の導入、自動化ツール、特殊なソフトウェアなどを備えた約60種類の近代的な電子戦機器を採用した。旧式化した機器のほぼ全数が更新された。
ロシアの電子戦装備の主な優位性には、いわゆる「塹壕電子戦(trench electronic warfare)」(「シロック(Silok)」、「ピトン(Piton)」、「ハープーン(Harpoon)」、「ピロード(Piroed)」、「ストライジ(Strizh)」、「リソチョク(Lisochok)」)の連続生産の確立も含まれる。
大規模な武力侵略が始まって以来、敵はこの装備のかなりの部分を失ったにもかかわらず、今日、敵は電子戦の優越を維持し続けている。クピャンスク(Kupyansk)とバフムト(Bakhmut)の両軸に沿って、敵は実際に重層的な電子戦システムを構築した。
ウクライナ軍に関しては、2022年までに、「ブコベルAD(Bukovel-AD)」、「エンクレイブ(Enclave)」、「クマラ(Khmara)」、「ノータ(Nota)」といったUAVを搭載した近代的な電子戦アセットが採用され、後に戦闘でその威力を発揮した。しかし、それにもかかわらず、開戦当初、ウクライナ軍の部隊(エレメント)にある妨害局の種類の約65%は旧ソビエト連邦製であり、新しいものは25台しかなかった。
国内の防衛産業複合体の能力が限られていることから、電子戦(EW)能力の増強は、国際的な軍事物資と兵站支援を犠牲にして、UAVに対する探知と電子戦のシステム(アセット)、対ドローン砲、戦術的な移動式方向探知システム、レーダー局搭載の電子戦(EW)システムなどを入手することによって行われた。
現在までに、敵の高精度兵器(誘導ミサイル、UAV)に対抗する能力は、衛星電波航法分野(「なりすまし(spoofing)」)を置き換える可能性のある「ポクロヴァ(Pokrova)」全国電子戦(EW)システムを配備し、接触線全体とウクライナの大部分で衛星電波航法を抑制することによって高められている。
状況認識システムの要素を指揮・統制プロセスに導入するための開発・導入も進んでいる:「グラファイト(Graphite)」-小型UAVの飛行に関するデータの自動送信と表示用、「クォーツ(Quartz)」-データの収集、処理、表示、無線電子アセットの管理用。
現時点では、電子戦(EW)のタスクの性能において実質的に同等を達成しており、ロシア連邦とウクライナの両軍が武器や兵力全般において優越に立つ可能性を著しく複雑にしている。
このように、軍事、経済、人的、天然資源、科学的潜在力における戦略的優越と、その実行のための比較的適切な条件に依存して、占領軍はロシア参謀本部の計画を完全に実行することはまだできない。
同時に、このような状況にもかかわらず、侵略国家による軍事的・政治的目標達成への対抗措置は、ウクライナとウクライナ軍にとって高い犠牲を伴うものであることにも留意すべきである。特に、夏から秋にかけての反攻行動においては、その傾向が顕著である。
したがって、事実上、ウクライナ軍をはじめとする安全保障・国防軍の各部門は、事実上、当事国間の全接触線上およびロシア連邦との国境地帯で、武力侵略の撃退に関与しており、軍事的均衡(military parity)問題を克服する必要性に直面していた。まず第一に、航空戦、地雷原、対砲兵戦、電子戦、予備(reserves)の創設など、均衡(parity)に関する理由によって、その存在が規定されている。
敵対行為の陣地戦の本質を克服する方法:Ways to overcome the positional nature of hostilities.
1914年から1918年にかけての「塹壕戦争(trench war)」のような敵対行為の陣地戦の形態(positional form)への移行を回避する必要性から、敵との軍事的均衡(military parity)を破るための、自明ではない新たなアプローチを模索する必要がある。現在の状況を打開するための主要なアイデアは、図解で示すことができる。
2023年夏、接触線上で顕在化し始めた敵対行為の陣地戦の本質を克服する主な方法は、以下のように考えられる。
航空優勢の獲得について:As for gaining air superiority
敵の防空システムに過負荷をかけ、空襲における実際のターゲットの数について敵を欺き、敵の防空システムの要素を暴露するために、安価な無人航空機ターゲット・シミュレーターと攻撃用UAVを単一の戦闘隊形で同時に大量に使用する。
神風ドローン(kamikaze drones)による戦場での資材や人員の破壊的脅威を直接排除するために、トラップネットを搭載した独自のハンター・ドローンの助けを借りて敵のUAVを狩る。
中距離対空ミサイル・システムの放射線シミュレーターを使用し、接触線に近接した照明所をターゲットにする。これは、攻撃態勢をとる際に、わが軍に対する滑空誘導弾の使用効果を低下させ(空母機が可能な最大射程距離から誘導弾を発射するため)、パイロットが出撃を拒否することによる有人航空強度を低下させるためである。
赤外線画像装置を搭載したUAVを使用して、夜間の軍隊(武器や装備品)の位置への攻撃を複雑化(防止)するために、夜間にストロボスコープでターゲッティングする赤外線画像偵察機器とUAVの盲目化。
敵のUAVからの地上部隊の防御を強化するため、敵のUAVに対抗するために、当事者の接触線に沿って電子戦アセット(小型で携帯可能な妨害送信機、対ドローン砲など)を大量に使用する。
対砲兵戦について:As for counter-battery
精密誘導弾のナビゲーション・ツールの運用を向上させるため、ローカルGPSフィールドを構築する。
神風ドローン(kamikaze drones)に基づく偵察と複合火力によって解決される対砲兵のタスクの割合を増やす。
敵を欺く手段と組み合わせた対砲兵アセットの使用。
国際的な物資・兵站支援の枠組みの中で提供される砲兵偵察装備の能力を、非標準的な設定の使用を通じて高める。
縦深にわたる地雷障壁の突破口形成について:As for mine barriers breaching in depth
「ライダー(LiDAR)」スキャニング・センサーの使用による地上での突破に関する状況情報の取得、敵のISRや火力から障害物除去分遣隊(チーム)の活動を隠すための「ロージー(Rosy)」防煙システム、(乗員を伴わない)損傷した装備の使用、機動能力(manoeuvre capabilities)の保持。
退役した航空機のジェット・エンジン、ウォーター・モニター(水鉄砲)または工業用ウォーター・モニター、地中に掘らずに設置された地雷障壁を破壊するためのクラスター砲弾の使用。
ドリル付きミニ・トンネル掘削機、急速掘削ロボット(RBR)、気体または液体爆薬注入用空ホース、地雷障壁突破用燃料空気爆薬付きミサイルの使用。
敵の偵察用UAVに対抗するために対ドローン砲を使用し、地雷障壁を突破しながら障害物除去分遣隊(チーム)の隠蔽度を高める。
自軍の予備(reserves)を創設し敵の予備と戦闘することについて:As for creating own reserves and combating enemy ones
指揮・統制機関の活動に、徴兵者、兵役義務者、予備者の「オベリハ(Oberih)」統一国家登録簿を導入する。
より多くのウクライナ国民を軍事予備(military reserve)に引き込む。
自動統制システムの構築と、ウクライナ国民の兵役と国家抵抗のための訓練に関する会計。
兵役と国家抵抗の訓練を受けるウクライナ国民のカテゴリーを拡大する。
戦闘インターンシップの実践の導入
電子戦について:As for electronic warfare
「ポクロヴァ(Pokrova)」、「グラファイト(Graphite)」、「クォーツ(Quartz)」状況認識システムの要素を指揮・統制プロセスに導入し、国防軍のISRアセット(システム)から得たデータ交換を行う。
パートナー諸国の能力を活用し、戦闘作戦地域の電子状況を監視する能力を高める。特に、シグナル・インテリジェンスの空・海・宇宙アセットからのデータへのアクセス拡大の可能性を提供する必要がある。
諸兵科連合要素部隊(combined arms elements)による突撃作戦中に、UAVから電子戦を行う能力を高める。
敵の電子放射線源を探知、認識、隔離、撃破するための対電子戦(EW)対策の組織化と実施。
ウクライナ国内外において、UAV「ブコベルAD(Bukovel-AD)」による電子戦システムの生産を拡大する機会を模索する。
自軍のUAVが制圧されるケース(「友軍火力(friendly fire)」)を排除するため、ボランティア組織から部隊にもたらされる「塹壕電子戦(trench electronic warfare)」の使用を合理化する。
より広い周波数範囲(γ線からテラヘルツ線まで)をカバーする「電磁スペクトラム(electromagnetic spectrum)」全体で「電磁戦(electromagnetic warfare)」を実施する見通しを考慮に入れて、既存の国産電子戦(EW)システムの改良と新しい電子戦(EW)システムの開発を行う。
指揮・統制:Command and control.
指揮・統制の有効性を向上させることは、提案されている陣地戦(positional warfare)からの脱却方法を実施する過程で不可欠である。これは、指揮・統制システムにおける近代的情報技術の広範な利用によって可能であり、これにより、単一の情報環境の形成、情報優越のための条件の創出、下位部隊(軍)の活動の効果的な調整が保証される。
その結果、これにより、状況認識の問題で敵に先んじ、より迅速に決定を下すことができ、一般的に、陣地戦(positional warfare)の観点から作戦の到達目標を確実に達成することができる。状況認識における優越の達成に影響を与える重要な要素は、通信、インテリジェンス、監視、偵察を組織するプロセスである。
兵站支援:Logistics Support.
戦争の本質を変え、到達目標を達成するために提案された方法の実行の成功に大きく影響する決定要因のひとつは、国防軍に対する兵站支援の合理的な組織化である。
敵の全面的な武力侵略を撃退し、防衛・反攻作戦を実施するには、人的、動員的、財政的、物資的など、膨大な数の資源が必要である。同時に、ロシア・ウクライナ戦争の経験は、たとえばミサイルや弾薬の備蓄、その他の兵站アセットの蓄積など、ほとんど忘れられていたコンセプトが現実化したことを証言している。
冷戦の終結後、ソビエト連邦とワルシャワ条約機構諸国の崩壊後、このコンセプトは関連性を失ったが、今日では敵とわが国(ウクライナ)の両方にとって重要になっている。
ロシア軍は大量のミサイルと弾薬を費やしているが、戦争の準備がある程度なされていたことを認識すべきである。そのため、現時点のロシアは、世界の主要国による侵略国家に対する前例のない制裁措置(unprecedented sanctions)の導入にもかかわらず、兵器・装備、ミサイル、弾薬における優越を保持し、かなりの期間維持することができる。
ウクライナ軍は、パートナー諸国から広範な物資・兵站支援を受けているが、1日平均のミサイル・弾薬消費の激しさを考えると、大規模な軍隊が展開されているため、これらの資金を必要な量だけ蓄積することは不可能であり、物資・兵站支援の枠内で提供されるすべての兵站アセットは、優先原則に従って部隊に分配される。
パートナー国やNATO加盟国は現在、武器・弾薬の生産能力を劇的に増強しているが、このプロセスはかなり長い。さまざまな評価によれば、武器・装備品、ミサイル・弾薬、その他の兵站アセットの大規模生産の展開には少なくとも1年、種類によっては2年かかる。
敵の倉庫を効果的に破壊し続け、サプライ・チェーンを混乱させ、弾薬やその他の兵站アセットのトラック輸送距離を伸ばすためには、ウクライナ軍は射程距離を伸ばしたミサイルを、できれば自国生産で採用する必要がある。
兵站支援の効率を向上させる主な方法は、ウクライナの防衛産業の発展と能力開発、ウクライナにおける非対称兵器・装備の創設と開発、新兵器の創設・生産・配備である。同時に、兵站支援を計画・編成する際には、部隊(軍)の兵站支援アセットの移動・固定部品に対する敵の射撃効果を考慮する必要がある。
重要なポイント:Key takeaways.
陣地戦の形態(positional form)への戦争の移行は、長期化につながり、ウクライナ軍と国家全体にとって重大なリスクを伴う。加えて、あらゆる手段で軍事力を再編成・増強しようとしている敵にとっても好都合である。
戦いの現段階において陣地戦の形態(positional form)から脱却するためには、まず航空優勢を獲得すること、機雷障壁を縦深に突破すること、対砲兵戦と電子戦の効果を高めること、必要な予備(reserves)を創設し準備することが必要である。
軍事における情報技術の普及と兵站支援の合理的な組織化が、戦いの陣地戦の形態(positional form)から脱却する道を見出す上で重要な役割を果たしていることを考慮に入れるべきである。陣地戦の形態(positional form)から機動戦の形態(manoeuvrable form)への移行を回避する必要性から、敵との軍事的均衡(military parity)を破るための自明でない新たなアプローチを模索する必要がある。