イラクの議員は政府がロシアの防空システムを検討中と語る

掲載:2020年5月6日
作成:フォーキャストインターナショナル(FI)社
投稿:Derek Bisaccio FI社アナリスト
(この論評は米国人のアナリストが米国内に向けて出したブログです)

Iraqi MP Says Baghdad Considering Russian Air Defense Systems
May 6, 2020 – by Derek Bisaccio

S-400地対空ミサイル。イメージ

あるイラクの政治家は今週、バグダッド(注:政府)が、米国から近代的なシステムを調達できない場合、防空装備をロシアから調達することに変更すると発表した。

イラク議会の安全保障・防衛委員会のモハメッド・レダ・アル・ハイダー議長は、「イラクは、主権を保護しイラク空域への侵入を防ぐために防空システムを更新する必要がある」と語った。議長は、現在使用されているシステム-米国及びロシア製の複合装備品-はイラク空域を防護するには無力であると主張した。

イラク軍は現在、スティンガー及びSa-24 MANPADSに加えて、パンサーS-1システムと同様にM1097アベンジャーを運用している。

アル・ハイダー議長は、政府がロシア製のS-300及びS-400長距離地対空ミサイルシステムを検討しており、米国がイラクの近代的装備への売却のオファーが無い場合、それらを調達することを選択する可能性が有ると語った。彼は、イラクが獲得しようとしている可能性のあるアメリカのシステムを明らかにしなかった。

昨年8月、アデル・アブドゥル・マフディ首相は、イラク空域を利用しようとするすべての軍用機に、運用するためには明確な許可を得るよう命じた。
彼は、「イラクの領空に対するいかなる侵犯も敵対的であると見なされ、イラクの防空組織によって直ちに対処される。」と語った。

2020年の初め、首相は、米国がIRGC(注:イスラム革命防衛隊)ゴドス軍司令官のガーセム・ソレイマニ殺害のドローン攻撃実行後、両国の二国間協定に違反したとして米国を非難した。
米国は、一連の反米事件に対する報復として攻撃を実施したと語った。-米軍を標的としたロケット弾の発射やバグダッドの米国大使館の一部の襲撃を列挙し。-イラン支援の民兵によって実行されたと信じられている。
ソレイマニの殺害の数日後、イランは、アメリカ軍の駐留するイラクの基地に数発のミサイルを発射し、イラクのバラムサリー大統領は、イランの「イラク主権の度重なる違反と武装勢力間の対立の戦場へ変貌させたこと」を非難した。

イラクはまた、過去にトルコ空軍がイラク領地に空爆を実行した時に、トルコを非難したことがある。
2018年12月イラク外務省は、トルコの航空攻撃がイラク北部の疑わしいクルド人の武装勢力の陣地を攻撃した後、イラク駐在のトルコ大使を召喚したと語った。

近年、イラクの当局者は、国の防空ネットワークを強化し、侵入を抑止する方法として、ロシアからS-400を購入することに関心があることをしばしば言及している。
新しい防空システムは、侵入を防ぐためのより強力な軍事力をイラクに提供するが、政府は、領空への侵犯者をターゲットとする場合の潜在的な軍事的、政治的な影響を引き続き警戒している。

ロシアの軍事外交筋は、先月インターファックスに、イラクはまだS-400の正式な要求を提出していないと語った。

イラクがS-400の購入を進めることを選択した場合、ロシアの防衛企業の製品から離れるようサードパーティに圧力をかけるように設計された2017年のアメリカの敵対者への制裁法の下でのアメリカの制裁のリスクを生む。
トルコがS-400を購入した後、米国はその国のF-35戦闘機プログラムへの参加を排除した。(黒豆芝)