米国務省は台湾への22億ドルの武器販売の可能性にOKを

掲載:2019年7月9日
作成:フォーキャストインターナショナル(FI)社
投稿:Daniel Darling FI社アナリスト
(この論評は米国人のアナリストが米国内に向けて出したブログです)

U.S. State Department OK’s $2.2 Billion in Potential Military Hardware Sales to Taiwan    July 9, 2019 – by Daniel Darling
米国務省は台湾への22億ドルの武器販売の可能性にOKを

米国務省は7月8日、ペンタゴンの国防安全保障協力局(DSCA)を介して議会に台湾への1組の対外軍事援助の可能性が合計22億2,400万ドル相当と通知した。
準備された販売の可能性のあるものには、108両のM1A2Tエイブラムス主力戦車と14両のM88A2ヘラクレスの車両、16両のM1070A1の重量装備輸送車両(HET)の一つの要求と、そして同様に250ブロックのI-92Fの携帯型防空(MANPAD)スティンガーミサイルの要求が含まれている。

2つのFMS提案は、台湾との防衛販売に対する米国の新たなアプローチであると思われるものを示しており、複数の防衛契約を1つの大きなFMSパッケージにまとめるという以前の慣例からの一歩を踏み出したものとなっている。この断片的なケースバイケースの慣例は、台湾との防衛関係を「正常化」し、以前の一群の発表中に発生したような中国との衝突を軽減することを目的としている。

中国は本国の勢力地域と見なすものに米国の武器売却することに対する不満を明確にし続けているが、このような取引の分離は台湾をシンガポールや日本のような国との通常のFMSパートナーとして確立する手段と考えている。
しかし、中国の怒りを確実に引き出す可能性のある武器売却が迫っている:トランプ政権による、台湾への最大66機のF-16Vブロック70戦闘機の売却。

台湾は現在、140機の旧式のF-16 A / B型機をViper形態にアップグレードする過程にあるが、台湾への新型機の売却はレッドラインを超えるものと中国によって見られるだろう。
台湾の以前の要求はジョージWブッシュとバラクオバマの前の政権によって拒否されていた。
このような売却は、米中両国がすでに二国間の微妙な関係に亀裂を生じさせてきた広範な貿易紛争の後に引き延ばした貿易交渉を復活させようとしている時に来るだろう。

米国は、中国のファーウエイ・テクノロジー社とその5Gの能力を阻止するキャンペーンを展開しているが、それは米国の利益と同盟国の利益に対するスパイ活動やサイバー攻撃活動に使用される可能性があることをワシントンが恐れているからだ。
その一方で、台湾は蔡英文大統領が擁護する防衛産業の自国化施策の下、外国産軍用機器への依存を減らす計画を着実に進めている。F-16V型機の要求は、この自国化施策からの逸脱であるが、中国を凌駕する旧式機の質的な軍事的優位性は過去20年間にわたって脅かされてきているので、台北では必要であると見られている。
進行中のF-16型機アップグレードプログラムと購入要求は、台湾海峡と島自体の両方に対する人民解放軍空軍(PLAAF)の航空優勢への脅威を軽減するために十分な対応能力と行動能力の様なものを取り戻すことの中心となるものである。
(黒豆芝)