ウクライナの教訓に基づくロシアの戦争遂行方法の変化 (Military Review)
ロシア・ウクライナ戦争の教訓に関する研究はネット上でも多く見られる。その多くは、ウクライナ軍に焦点を当てたものであり、新しい技術を多く使いこなし新しい戦い方を創出しているとの趣旨のものが多くあるように感じるところである。そういった感覚の源にはどうしても「ロシア軍という組織の硬直性」をいう先入観があるのかもしれない。ここで紹介するのは、従来の「ロシア軍の硬直性に関する前提」を覆す論文である。この論文で述べられているロシア軍のイノベーションを中核となっている組織階層のレベルについて関心がもたれるところであり、ロシア軍が発行しているハンドブックの内容が中隊レベルに及んでいるところから、現場レベルの将校・兵士の意識の高さも気になるところではある。
「アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み・偏見)」に陥らずに、しっかりと証拠やデータに基づく分析することの意味合いを考えさせられた論稿である。(軍治)
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ウクライナの教訓に基づくロシアの戦争遂行方法の変化
技術、戦力構造、防衛産業の適応
Russia’s Changes in the Conduct of War Based on Lessons from Ukraine
Adapting Technology, Force Structures, and the Defense Industry
September-October 2025
リトアニア国軍、ヴィティス・アンドレイカ(Vytis Andreika)大佐
この記事はもともと、バルチック防衛大学の戦略レベル高等指揮研究コースの研究論文として執筆された。ミリタリー・レビューのベス・ワーリントン(Beth Warrington)氏には感謝申し上げる。彼女の貢献により、この記事の明瞭性と全体的な質が大幅に向上した。
ロシアのガーベラ・ドローン(写真)は、イランデザインのシャヘド136ドローンと特徴的なボディ形状を共有している。(Telegramのスクリーンショット) |
ロシアはウクライナで多大な損失を被ったにもかかわらず、迅速に学習し(learn)そして革新する(innovate)という驚異的な能力を発揮してきた。この能力により、ロシアは従来の軍事力に関する想定を覆す、手強い敵となっている。本稿では、ロシア連邦軍(AFRF)が新たな技術と戦術を統合することで戦争遂行(conduct of war)を巧みに適応させ、ウクライナ軍(AFU)に対する戦闘効率(combat effectiveness)を向上させたことを論じる。ドローンと電子戦(EW)に重点を置くことで、この適応(adaptation)は戦場のダイナミクスに明白な変化をもたらし、作戦能力を向上させ、NATOの伝統的な防衛戦略に深刻な挑戦を突きつけている。
本稿では、マイケル・C・ホロウィッツ(Michael C. Horowitz)とシーラ・ピンディック(Shira Pindyck)が提唱する軍事イノベーション理論を用いて、ロシア連邦軍(AFRF)がウクライナにおける進行中の戦争、特にロシア連邦軍(AFRF)が顕著な技術的・戦術的進歩を示したウクライナ戦争の教訓に基づき、どのように戦争遂行(conduct of war)を適応させてきたかを検証する[1]。ホロウィッツ(Horowitz)とピンディック(Pindyck)の理論は、発明(invention)、インキュベーション(incubation)、実装(implementation)の段階を概説し、これらを適用して、イランの使い捨て型攻撃(OWA: one-way attack)用シャヘド・ドローン(Shahed drones)、一人称視点(FPV)ドローン、軽量電子戦システムの3つの具体的なケース・スタディを分析する。なお、本稿では滑空爆弾(glide aviation bombs)や偵察打撃複合体(reconnaissance-strike complexes)といった他の軍事イノベーションについては検討しない。これらの検討は本稿の範囲を超えるためである。
この分析は、ロシア連邦軍(AFRF)の革新する能力(ability to innovate)を示しており、ロシア連邦軍(AFRF)の硬直性と変化への抵抗という認識に疑問を投げかけている。シャヘド・ドローン(Shahed drones)、一人称視点(FPV)ドローン、対無人航空機(C-UAV)の活用に加え、軽量電子戦システムの活用といった軍事イノベーションは、ロシアが自らのドクトリン、戦力構造(force structures)、そして軍産複合体の中でイノベーションを制度化する能力を示している。地理的に近いバルト諸国とそのNATO同盟国にとって、これらの変化は潜在的な脅威となる。将来の戦争に備えるために、これらの課題に早急に取り組む必要があることを浮き彫りにしている。
軍事イノベーションの理論
軍事イノベーション理論(military innovation theory)を検証することで、ロシアがウクライナ戦争の教訓を活かして戦争のやり方を適応させてきたかどうかを評価することが可能になる。ホロウィッツ(Horowitz)とピンディック(Pindyck)は、研究論文「軍事イノベーションとは何か、そしてなぜそれが重要なのか」の中で、軍事イノベーションのコンセプト上の定義は多岐にわたり、コンセンサスが得られていないと主張している。彼らは軍事イノベーションを理解するための新たな理論的枠組みを提示している[2]。
彼らは軍事イノベーションを、「発明(invention)、インキュベーション(incubation)※1、そして実装(implementation)を通じて、軍隊の戦力発揮能力を増加するようにデザインされた戦いの遂行(conduct of warfare)における変革」と定義している[3]。第一段階の発明(invention)は、新たな技術や戦術を生み出すこと、あるいは既存の戦術を改良して特定の問題を新たな方法で解決することである。第二段階のインキュベーション(incubation)は、ボトムアップまたはトップダウンのプロセスによる提唱や実験を通じて、発明の成果が地位と影響力を獲得していく段階である。第三段階の実装(implementation)は、政治指導者が関連する利害関係者を率いて発明を採用するトップダウンのプロセスである。採用後、イノベーションは拡散し、他国に広がることがよくある[4]。
※1 インキュベーション(incubation)とは、とは、英語(incubation)の「孵化(ふか)」を語源とし、起業家や新規事業を「卵」に見立てて、事業として「孵化」させるために総合的に支援する活動や施設のこと
これらの変更は、作戦レベルで行われるか、本質的に戦術的なものでなければならないが、採用されるには作戦上重要であり、実際の軍事力の強化または実現を意図したものでなければならないことに注意する必要がある。さらに、軍事組織は、発明(invention)から始まり、発明(invention)が重要視されるインキュベーション(incubation)期間を含み、発明(invention)の実装(implementation)で終わる軍事イノベーション・プロセス(図1参照)を経る際に、戦争のやり方を変える[5]。
図1. 軍事イノベーション・プロセス (マイケル・C・ホロウィッツ(Michael C. Horowitz)とシラ・ピンディック(Shira Pindyck)著「軍事イノベーションとは何か、そしてなぜそれが重要なのか」『戦略研究ジャーナル』 [2023]より) |
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図2. シャヘド136/ゲラン2型使い捨て型攻撃ドローン (図はAlexpl提供、Wikimedia Commonsより) |
ロシアは軍事イノベーションのプロセスを異なる形で経験する可能性がある。しかし、ホロウィッツ(Horowitz)とピンディック(Pindyck)が提唱する軍事イノベーション理論は、ロシア連邦軍(AFRF)がウクライナ戦争の教訓に基づいて戦争のやり方を変えているかどうかを検証するために、イノベーション事例を整理し比較することを可能にする。この枠組みを用いて、現在進行中の戦争における3つの軍事イノベーション、すなわちイランの使い捨て型攻撃(OWA)シャヘド・ドローン(Shahed drones)、一人称視点(FPV)ドローン、そして対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)システムを分析する。
使い捨て型攻撃(One-Way Attack)シャヘド・ドローン
ホロウィッツ(Horowitz)とピンディック(Pindyck)の枠組みをロシア連邦軍(AFRF)によるイラン製使い捨て型攻撃(OWA)シャヘド・ドローン(Shahed drones)の導入に適用すると、軍事イノベーションの各段階が明らかになる。これらの低コストの無人機は、ロシアが重要インフラをターゲティングし続け、民間人を恐怖に陥れることを可能にし、それによってウクライナの防空(AD: air defenses)を過大に拡張し、ロシア連邦軍(AFRF)が枯渇した高価なミサイルの備蓄を再構築することを可能にする。
シャヘド・ドローン(Shahed drones)(シャヘド136(Shahed-136)およびシャヘド131(Shahed-131))はデルタ翼ドローンであり、最大40kgの爆発性ペイロードを長距離(900~1,500km)にわたって事前に計画されたターゲットまで最大時速170kmで輸送することができる(図2参照)[6]。低コストで製造が容易なため、弾道ミサイルや巡航ミサイルの魅力的な代替手段となっている。
ロシアの戦い(Russian warfare)にイランのシャヘド(Shahed)技術が拡散したきっかけは、従来型ミサイルの在庫が枯渇し、ウクライナのインフラに対して持続的な攻撃を行う必要性があったことである。ロシア連邦軍(AFRF)は2022年9月初旬にシャヘド・ドローン(Shahed drones)の使用を開始し、ロシアのオペレーターはイランで訓練を受けた[7]。ロシア連邦軍(AFRF)は2022年10月までに、イスカンデル・ミサイルの86%、海上発射型カリブル巡航ミサイルの46%、空中発射型巡航ミサイルの52%を使用したとみられる[8]。ロシアの軍事専門家によると、シャヘド・ドローン(Shahed drones)は、わずかなコストでウクライナ奥地の軍事・民間インフラを飽和させるというロシアの戦略を変革する新しいタイプの兵器だという[9]。1機あたり推定3万5000ドルのシャヘド・ドローン(Shahed drones)は、イスカンデルM弾道ミサイル(約200万ドル)やカリブル巡航ミサイル(100万ドル)に代わる費用対効果の高い代替手段となる[10]。この飽和戦略(saturation strategy)に対抗するために、ウクライナは資源を割り当て、防空(AD)戦術を採用せざるを得なかった。
シャヘド・ドローン(Shahed drones)の大量生産は、ロシアがこの技術を統合する決意を浮き彫りにしている。イランはロシア連邦軍(AFRF)に数百機のシャヘド・ドローン(Shahed drones)を供給したが、当初は使用例が少数だった[11]。その有効性を確認した後、ロシアはトップダウンでシャヘド・ドローン(Shahed drones)をさらに取得することを決定した。2023年初頭、ロシアの軍産複合体はイランと17億5000万ドルのフランチャイズ契約を締結し、2025年9月までにロシア連邦軍(AFRF)に6000機のシャヘド・ドローン(Shahed drones)を供給し、タタルスタン共和国のアラブガに工場を建設して、ゲラン-1/2(Geran-1/2)という名称のドローンの改良型を製造することとなった[12]。工場は2023年5月に生産を開始し、1日平均約20機のドローンを生産した[13]。2024年1月から9月の間に、工場は契約合意を履行し、5,760機のドローンを生産した[14]。2023年半ば、ロシア軍は、レーダーに捕捉されやすく、ウクライナ軍(AFU)防空(AD)の能力を低下させたり、注意を逸らしたりすることで、武装シャヘド・ドローン(Shahed drones)の侵入率を向上させることを意図して、10分の1の価格で低技術のデコイ・ドローン「ガーベラ(Gerbera)」を大量生産するという、トップダウンの決定を下した[15]。ドローンの生産が増加するにつれて、ウクライナ軍(AFU)防空(AD)を飽和状態にするためのドローン攻撃の件数が大幅に増加した(図3参照)[16]。
図3. ミサイルとドローンの月別発射数(2022年9月~2024年12月) (ニール・ホレンベック(Neil Hollenbeck)他「ロシアのドローン攻撃の費用対効果の計算」戦略国際問題研究所、2025年2月19日、https://www.csis.org/analysis/calculating-cost-effectiveness-russias-drone-strikesより) |
具体的な部隊の名称は未だ確認されていないものの、ロシア連邦軍(AFRF)はシャヘド・ドローン(Shahed drones)をロシア航空宇宙軍(Russian Aerospace Forces)傘下の専門部隊に統合した可能性が高い。専用のシャヘド・ドローン(Shahed drones)部隊の存在と、その運用頻度の継続的な増加は、ロシア連邦軍(AFRF)のドクトリンに正式に規定されてはいないものの、ドローンに関する戦術思想の進化(evolution of tactical thought)を示唆している。
当初、2022年9月から12月にかけて、ロシアは日中に高速道路や河床に沿った地表飛行プロファイル(nap-of-the-earth flight profiles)を使用して、協調のない攻撃にドローンを使用した。ウクライナ軍(AFU)は移動火力グループを編成し、機関銃火力でドローンを破壊して対応した[17]。しかし、2023年初頭、ロシア連邦軍(AFRF)は戦術を改良し、夜間に6機から8機のシャヘド・ドローン(Shahed drones)を発射するスウォーム攻撃を含めた。ウクライナ軍(AFU)は、移動火力グループ、電子戦システム、持ち運び可能な携行型防空システム、短距離防空、戦術航空機とヘリコプター、インフラの強化など、利用可能なすべての手段を使用して攻撃を撃退することで対応した[18]。2023年末までに、ロシア連邦軍(AFRF)は従来の精密ミサイルと組み合わせたシャヘド・ドローン(Shahed drones)の大規模な波で重要なインフラをターゲティングし始めた。ロシア連邦軍(AFRF)は、「ガーベラ(Gerbera)」のデコイ・ドローン(Gerbera decoy drones)を使用してウクライナの防空(AD)レーダー照射をトリガーし、位置を記録した後、シャヘド・ドローン(Shahed drones)が追跡する。
数時間後、巡航ミサイルが発射され、防空(AD)システムを迂回または圧倒し、その後、シャヘド・ドローン(Shahed drones)の接近に合わせてタイミングを合わせた弾道ミサイルが続き、さらにさまざまな方向から複数のターゲットに向けて巡航ミサイルが発射される。この戦術は、ウクライナ軍(AFU)防空(AD)を過負荷にし、選択したターゲットを高い航空脅威で飽和させ、それによってウクライナの限られた防空(AD)リソースを枯渇させることを狙いとしていた[19]。この戦術に対抗するため、ウクライナ軍(AFU)は、ポクロヴァ電子戦(Pokrova EW)システムを搭載した電子戦(EW)チームを使用して、シャヘド・ドローン(Shahed drones)の内臓型「全地球航法衛星システム(GNSS)」信号をスプーフィングし、重大な飛行経路エラーを引き起こし始めた[20]。ロシアは、電子戦スプーフィングに対する脆弱性を低減するため、コメタ(Kometa)と呼ばれる独立したナビゲーション・システムの導入を開始した。このシステムは、8要素GPS制御受信パターン・アンテナを備えており、空軍が電子戦抑制三角測量を採用しない限り、「全地球航法衛星システム(GNSS)」信号のジャミングやスプーフィングに対するドローンの復元性を強化した[21]。2025年3月下旬、オープンソースの証拠から、空軍が戦術を更新したことが示唆された。ロシアは現在、ドローンを波状的に送り込むのではなく、ターゲットを同時に攻撃している[22]。この進化は、戦場の現実に応じてロシアが適応し(adapt)そして革新する(innovate)能力を示している。
結論として、シャヘド・ドローン(Shahed drones)の配備は、ロシア連邦軍(AFRF)がいかに学び、イノベーションを通じて軍事戦略を進化させてきたかを示している。ロシアは発明(invention)段階でイランの技術を普及させ、ミサイルの在庫不足を解消し、長距離攻撃能力を維持した。潜伏期間中、ロシア連邦軍(AFRF)は非協調攻撃の実験、戦術の洗練、そしてパートナーシップと国内製造を通じてドローン生産の制度化を進めた。実装段階では、ロシアはシャヘド・ドローン(Shahed drones)を大量生産・改良し、新たなドローン戦力構造(new drone force structures)に組み込み、スウォーム戦術や精密ミサイルによる縦深打撃に統合することで、ウクライナ軍の防空(AD)を圧倒した。
ロシア国営メディアが2025年7月20日に公開した映像には、タタルスタン共和国アラブガにある同国の主要なドローン組立センターの一つが映っている。この生産施設では、イランデザインのシャヘド・ドローンを「ゲラン2」という名称で国内生産しており、ロシアによるウクライナとの継続的な戦争を支援している。(ズヴェズダTVのスクリーンショット) |
FPVドローン
一人称視点(FPV)ドローンの使用増加は、ウクライナにおけるロシアの戦争の方法における新たな大きな転換を示している。ロシアは2年目に、安価で致死性の高いウクライナ製一人称視点(FPV)ドローンの配備が大幅に増加した。これらのドローンは徐々に装備と人員の損失の主な要因(最大70%)となり、前線突破を事実上不可能にした[23]。元ウクライナ軍司令官ヴァレリー・ザルジニー(Valery Zaluzhny)将軍は、ウクライナの兵器と人員の不利を認識した上で、戦争における一人称視点(FPV)ドローンの役割を強調した。精密打撃に不可欠なこれらのドローンは、直接的な接触を最小限に抑え、死傷者数を減らした[24]。
ウクライナは、2023年8月に砲弾の枯渇に直面した際に、一人称視点(FPV)ドローンの量産を開始した[25]。一人称視点(FPV)ドローンは、ビデオ・カメラと0.7~3kgの即席徹甲弾、クラスター弾、またはサーモバリック弾頭を搭載した低価格(500ドル)のクワッドコプターである(図4参照)。パイロットによる遠隔操縦により、時速120kmで5~10kmの距離をターゲットと交戦することができる[26]。
図4. サプライヤーから最前線部隊に発注可能なFPVドローンの例 (図はロシア連邦軍参謀本部「ハンドブック:ロシア連邦軍がSMOで使用するFPVドローン[2024]」より翻訳) |
一人称視点(FPV)ドローンの有効性を認識したロシア連邦軍(AFRF)は、同じ軍事イノベーションを部隊内に急速に普及させ、戦場での優れた学習能力(ability to learn)と適応能力(ability to adapt)を発揮した[27]。一人称視点(FPV)ドローン普及の原動力となったのは、ウクライナの戦闘車両と人員に対する低コストの精密打撃であり、これにより直接接触の必要性が減り、死傷者を最小限に抑えることができた。
ロシア軍は2025年初頭、ウクライナのFPVドローンから身を守るため、全長2キロメートルの網状の「トンネル」を建設する。理論上、最終攻撃軌道上のFPVドローンは網に絡まるか、コースを外れてしまう。(Xのスクリーンショット) |
ロシアは、民間メーカーやボランティア団体が開発した標準的な量産型の一人称視点(FPV)ドローンを使用することで、軍事技術の向上に注力していることを示している。しかし、ロシアの軍事ブロガーは当初、これらのドローンの性能が不十分であり、単一サプライヤーによる支配がロシア連邦軍(AFRF)の多様なモデルへのアクセスを制限していると指摘した[28]。これを受けて、ロシア国防省(MOD)は2024年4月、民間ボランティア、スポンサー、「人民OPK」(防衛産業を支援する公的イニシアチブ)、および国防省(MOD)を統合した特別プロジェクトに資金を提供することで、一人称視点(FPV)ドローンの配備を加速するというトップダウンの決定を行った。その結果、民間メーカーは月間最大4万台のドローンの生産量を増加させ、新しいタイプの一人称視点(FPV)ドローンを生み出した[29]。2024年末までに、ロシア連邦軍(AFRF)の参謀本部は58種類の一人称視点(FPV)ドローンを掲載したカタログを発行し、最前線部隊はサプライヤーからこれを発注できるようになった[30]。この分散化と独立性により、最前線部隊は攻撃回数を1日あたり数百回から2,000回近くに増やすことができた[31]。
ロシアの一人称視点(FPV)ドローンが普及し、その有効性が実証されるにつれ、ロシア軍はドローン戦術を根本から改良し続け、一人称視点(FPV)ドローンによる攻撃が劇的に増加した。この増加は、ロシアの戦争の方法の大きな変化を示しており、低コストの高精度一人称視点(FPV)ドローンが従来の地上攻撃に取って代わったり、それを補完したりするケースが増えている。
第一に、一人称視点(FPV)ドローンはあらゆる戦闘車両を破壊できるようにデザインされている。例えば、すべての戦車は正面からの射撃に耐えられるようにデザインされている。一人称視点(FPV)ドローンの登場により、戦車は極めて脆弱になった。なぜなら、一人称視点(FPV)ドローンは側面、上面、後面など、装甲が弱い場所からでも機動して攻撃できるからである[32]。この脅威は現代の戦場で広く見られるようになり、ウクライナ軍(AFU)の装甲車両は正面陣地から撤退し、前線から3~10km離れた場所に隠れることを余儀なくされた。その結果、ウクライナ軍(AFU)の装甲車両による反撃は非常に脆弱になった。この最前線からの撤退により、ロシア連邦軍(AFRF)はウクライナ軍(AFU)の反撃から占領した拠点をより容易に維持することができた。ウクライナ軍(AFU)の攻撃は、有利なターゲットとなることを避けるため、戦闘車両を配備せず、分散した歩兵隊隊形で行われたからである(図5参照)[33]。
図5. FPV攻撃に対して脆弱な部分を示すマーク付きレオパルド戦車 (図はロシア空軍軍事教育科学センター「無人航空機[FPVドローン]の運用と使用[2023]」より改変) |
第二に、一人称視点(FPV)ドローンは個別化された兵器となり、最前線にいるウクライナ軍(AFU)の兵士一人を追跡できるようになった。ロシアの軍事専門家は、最前線にはロシア連邦軍(AFRF)が一人称視点(FPV)ドローンで優位に立ち、ウクライナ軍(AFU)が優勢で均衡が保たれているセクターがあると主張している。これらの地域では、兵士の動き一つ一つが、前方6km以内、あるいは両側から2~3機のドローンによって即座にターゲットにされる[34]。一人称視点(FPV)ドローン攻撃と滑空爆、そして砲撃の組み合わせは非常に致命的となり、ウクライナ軍(AFU)は部隊を分散させ、戦術を変更することで対応を迫られた[35]。
第三に、ロシア連邦軍(AFRF)は一人称視点(FPV)ドローンを使用して前線から3〜10km後方でウクライナの部隊と補給品の流れを遮断することにより、ウクライナの拠点を孤立させ始めた[36]。この新しい戦術により、ウクライナ軍(AFU)は一部の陣地から撤退するか、5km歩いて最大40kgの補給品を運んで維持作戦を実施することを余儀なくされた[37]。2025年初頭のウクライナ側からの同じ脅威に対抗するため、ロシア連邦軍(AFRF)は地上補給ルートを防護するためにメッシュ・トンネルの建設を開始した[38]。この一人称視点(FPV)の使用の戦術的進化は、戦場の現実に応じてロシアが適応し(adapt)そして革新する(innovate)能力を示している。
これらのボトムアップ主導の戦術のほとんどは、ロシア軍の戦術出版物で制度化された。ロシア空軍の軍事訓練研究センターは、2023年の第4四半期に「無人航空機(一人称視点(FPV)ドローン)の運用と使用(Operation and Use of Unmanned Aerial Vehicles (FPV Drones))」と題する出版物を発表した。この出版物では、一人称視点(FPV)の特性、準備、操縦、メンテナンス、安全指示、およびロシア連邦軍(AFRF)内での理論、シミュレーター、飛行訓練の基準の確立について説明している[39]。さらに、ロシアのボランティア※2は、ジャベリン・ミサイル(Javelin missiles)の解体を含む、一人称視点(FPV)ドローン用の弾頭の準備手順を説明した兵士向けのメモを公開した[40]。最後に、ロシアのボランティアは2024年の第4四半期に「敵による一人称視点(FPV)ドローンの使用方法に関する戦術ハンドブック(図解)と対抗方法(Handbook on the Tactics of Using FPV Drones by the Enemy (in Diagrams) and Methods of Counteraction)」も出版した。これには、一人称視点(FPV)ドローンの19の戦術的用途が含まれている(図6を参照)[41]。新たなドクトリンの発展は、ロシア連邦軍(AFRF)内でのこのイノベーションの制度化を強調している。
※2 ロシアのボランティア:ロシアでは、ウクライナ侵攻を支援するボランティア団体が各地で活動している。これらの団体は、軍事訓練の提供、戦闘服や物資の製作、ドローンの調達など多岐にわたる活動を行っており、全国で2万以上存在するとも言われている。また、プーチン大統領も国民の愛国心と結びつけ、これらの活動を国民参加を促す象徴として位置づけている。
主な活動内容
・軍事支援:軍事訓練の提供や、ドローンなどの物資調達を行う。
・物資支援:兵士向けに、乾燥食料やスープなどの食料を500人分まとめて準備し、戦場に送る活動もある。
・防護具製作:兵士が身につける迷彩ネットなどを製作するグループもある。
・復興支援:ロシア国内で、攻撃によって破壊された住宅や学校、病院などを再建するボランティア団体も活動している。
図6. FPVドローンの戦術的応用例 – 制御用光ファイバー・ケーブルの使用 (図はボランティアによる『敵のFPVドローン戦術ハンドブック(図解)と対抗手段(2024年)』より翻訳) |
一人称視点(FPV)ドローンの実装により、戦術部隊レベルで一人称視点(FPV)ドローン・クルーが正式に編入された。特筆すべきは、ロシア国防省が2024年1月に、最前線に一人称視点(FPV)クルーが敵のターゲットと交戦する最初のUAV中隊が編成されたと発表したことである[42]。一人称視点(FPV)クルーの構成はおそらくウクライナ軍(AFU)から拡散され、上級、一人称視点(FPV)ドローンオペレーター、弾薬スペシャリスト、偵察ドローンオペレーターの4人で構成されていた[43]。2024年10月、ロシア国防大臣は「ルビコン(Rubikon)」将来無人技術センターに、ウクライナでの作戦用に5つの無人分遣隊を編成するよう命じた[44]。ロシア国防省は2024年12月に全く新しい部門である無人システム部隊を設立した[45]。ロシアの無人システム部隊は、2025年1月に軍管区レベルで41の一人称視点(FPV)ドローン攻撃部隊の最初のドローン連隊を編成した。将来的には他の軍管区でも同様の連隊が編成される可能性がある[46]。専門部隊の設立は、ロシア連邦軍(AFRF)内でのこのイノベーションの制度化を強調している。
一人称視点(FPV)ドローンには、飛行時間(7〜10分)が短く(最大10 km)、電子戦に対して脆弱であるなど、特定の脆弱性が依然としてあることを強調することが重要である[47]。飛行時間と距離が短い問題を解決するために、ロシア連邦軍(AFRF)は、高価値のターゲット(high-value targets)を攻撃できない場合、またはドローンを着陸させてターゲットが待ち伏せしているように見えるまで(最大6時間)待つ場合、事前に特定されたターゲット(バンカーなど)を攻撃することがある[48]。範囲を拡張するために、ロシア連邦軍(AFRF)は、信号再変換機能を備えた「マザー(mother)」農業用ドローンを使用して、2〜3台の一人称視点(FPV)ドローンを最大60〜70kmまで持ち上げて打ち上げる場合がある[49]。最後になり、最も重要な一人称視点(FPV)ドローンの脆弱性は、無線周波数および「全地球航法衛星システム(GNSS)」信号の電磁ジャミング(electromagnetic jamming)に対する脆弱性である。2024年には、両側が運用されたすべての一人称視点(FPV)の60〜80%を妨害した[50]。2024年3月、ロシアは電磁ジャミングに対抗するために光ファイバー・ケーブルを備えた一人称視点(FPV)ドローンを初めて導入した。これはロシア独自のイノベーションであり、これにより、強力なジャミング・エリアに侵入し、最大10km離れたターゲットを攻撃することが可能になった[51]。ロシアの軍事専門家によると、このイノベーションはロシアがクルスク奪還に成功した最近の成功に重要な役割を果たした[52]。
結論として、ロシア連邦軍(AFRF)による一人称視点(FPV)ドローンの導入は、急速な軍事イノベーションを物語っている。ロシアは発明段階でウクライナのイノベーションを普及させ、死傷者を最小限に抑え、ウクライナ軍(AFU)の戦闘車両や部隊に対するスタンドオフ型の低コストの精密一人称視点(FPV)ドローン攻撃を可能にした。インキュベーション期間中、ロシア連邦軍(AFRF)は戦術、技術、ドローン部隊の実験を行い、一人称視点(FPV)ドローンの生産を集中化した。ロシアは実装段階で、共同生産の強化、戦術の標準化、戦力構造(force structures)の調整を通じて、一人称視点(FPV)ドローンのイノベーションを制度化した。ロシア連邦軍(AFRF)の進化するドローン能力は、戦場の必要性に基づく学習プロセスを浮き彫りにしており、ロシアがウクライナ戦争の教訓に基づいて戦いへのアプローチを積極的に変えていることを示している。
さらに、現在の戦争に刺激を受け、ロシアの同盟国は一人称視点(FPV)ドローンのイノベーションを自国の軍備に取り入れている。例えば、中国は一人称視点(FPV)ドローンと群集型ドローンの開発と自国の軍備への統合に向けた取り組みを強化している[53]。金正恩委員長は、ウクライナで部隊が一人称視点(FPV)ドローンに遭遇した後、ロシアの技術支援を受けて北朝鮮で一人称視点(FPV)ドローンを量産した[54]。同様に、セルビア軍は2024年にセルビアの防衛産業企業が開発したコマル(Komar)一人称視点(FPV)ドローンを採用した[55]。
軽量の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)システム
中隊レベルの軽量の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)システムの広範な使用は、ウクライナ戦争における3つ目の軍事イノベーションを表している。もともとロシアの発明ではなかったが、このシステムをロシアが大量生産し、ロシアの戦力構造(force structures)とドクトリンに統合したことで、現代戦(modern warfare)に対するロシアのアプローチは大きく変わった。ドローンの脅威は、ドンバス戦争とシリア戦争で既に明らかだった[56]。当時、電子戦(EW)システムは、ドローンを制御したりビデオ・データを共有したりする「全地球航法衛星システム(GNSS)」測位(positioning)、航法(navigation)、計時(timing)信号や無線周波数リンクをジャミングすることで、ドローンに対抗する最も効果的な方法であることが証明された[57]。その間に、ロシアはクラスカ-4(Krasukha-4)(2014年)、ポール-21(Pole-21)(2016年)、シポフニク・エアロ(Shipovnik-Aero)(2016年)、リペレント-1(Repellent-1)(2017年)、シロック-01(Silok-01)(2018年)、パランティン(Palantin)(2019年)などの主に車両ベースの対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)システムを発明し、開発していた[58]。ウクライナ侵攻後、ロシア連邦軍(AFRF)が直面した問題の一つは、これらの大型で高度な車両ベースの対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)システムが、ウクライナ軍(AFU)の長距離砲火にとって高価値のターゲット(high-value targets)になったことであった[59]。この状況は別の問題を引き起こした。つまり、これらのシステムの数が少なすぎて、前線全体を効果的にカバーできなかったのである。
小型ドローンの急速な普及は、ロシア連邦軍(AFRF)をいくぶん不意打ちをした。ウクライナのドローンは偵察、間接火力の指示や調整、部隊の指揮、あるいはロシア軍への即席爆弾、地雷、手榴弾の投下を支援していた[60]。この問題はロシア連邦軍(AFRF)にとって非常に深刻となった。なぜなら、市販されている200ドルのウクライナ製DJI マビック(DJI Mavic)ドローンが、開いたハッチから手榴弾を投下し、砲塔内に収納された弾薬を爆発させるだけで、300万ドルのロシア戦車を破壊できたからである[61]。中隊レベルの軽量の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)システムの導入により、ロシア連邦軍(AFRF)の部隊をドローン攻撃から守る能力は大幅に向上した。
ウクライナのドローンによる広範な脅威のため、ロシア連邦軍(AFRF)は最前線部隊を防護するためにキネティックおよびノン・キネティック両方のソリューションを緊急に開発する必要があり、この必要性はロシア国防省が戦術マニュアル「敵のUAVに対する防護と対抗措置に関する注意喚起(REMINDER on Protection and Counteraction Against Enemy UAVs)」で正式に認めた。このマニュアルは、車両ベースの対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)システムと対ドローン・ライフルの使用を制度化した。マニュアルによると、電子戦(EW)中隊は、指揮所や砲兵陣地などの高価値のターゲット(high-value targets)を防護するために、レソチェク(Lesochek)、ポール-01(Pole-01)、シロック-01(Silok-01)などの電子戦(EW)システムを配備する必要があり(図7を参照)、対照的に、ジテル(Zhitel)やパランティン(Palantin)などの電子戦(EW)アセットは最前線部隊を防護する必要があった。ドローンに対する近接防護のために、各歩兵小隊に対ドローン・ライフルを持ったオペレーターを1人配置することが推奨された[62]。マニュアルからわかるように、ウクライナ軍(AFU)がすでに使用している車載式対無人航空機(C-UAV)ジャマー、ドローン検出器、携行型対無人航空機(C-UAV)ジャマー・ドームなどの他の中隊レベルの軽量の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)軍事イノベーションは、2023年半ばの時点でロシア連邦軍(AFRF)内でまだインキュベーション期間中だった。
図7. 2023年半ばのロシアのC-UAV戦術のPole-21とSilok-01を使用した図 (図はロシア国防省「敵無人機に対する防護と対抗措置に関する注意喚起[2024]」より転載) |
ロシアの戦闘車両をターゲティングしたウクライナの致死的な一人称視点(FPV)ドローンの突然の流入は、おそらくロシアによる車両ジャマーの急速な開発に拍車をかけた。これらの車載対無人航空機(C-UAV)ジャマーは、指定された半径内で複数の周波数をジャミングすることにより、車両の周囲に防護「ドーム」を作成し、ドローンの通信とナビゲーションを妨害する[63]。2023年10月末までに、ロシア国防省は、4つの車載対無人航空機(C-UAV)ジャマーの使用を含む、一人称視点(FPV)ドローンから戦闘車両を確実に防護するための一連のガイドラインを発表した(図8を参照)[64]。さらに2つの車載対無人航空機(C-UAV)ジャマーも、2024年末にロシアのドクトリンに成文化された[65]。車載対無人航空機(C-UAV)ジャマーの緊急の標準化と量産は、ウクライナの一人称視点(FPV)ドローンによる壊滅的な脅威に対処するためのロシアのトップダウンの重要な取り組みを表している。
図8. 車載式C-UAVジャマー「ヴォルノレス(Volnorez)」の使用方法を説明するイラスト (ロシア国防省「 FPVドローンからの装甲兵員輸送車の防護を確保するためのガイドライン[2023]」より) |
ウクライナの一人称視点(FPV)ドローンの急激な増加により、ロシアの戦闘車両だけでなく個々の兵士もターゲティングできるようになった。2機または3機の一人称視点(FPV)ドローンが1人の兵士を追跡する事例が一般的になり、塹壕内の部隊の分散と削減が必要になった[66]。この致命的な戦場環境により、ロシアの指導部は、中隊レベルで対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)の残りの軍事イノベーションを実施および配備することを妨げられた[67]。その目標は、各歩兵小隊の陣地にドローン検出器、携行型対無人航空機(C-UAV)ジャマー・ドーム、および対ドローン・ライフルを装備することだった[68]。中隊レベルの軽量の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)システムの導入により、ロシア連邦軍(AFRF)の部隊をドローン攻撃から防護する能力が大幅に向上した。パッシブ・ドローン検出器は、ビデオ周波数を解析することでドローンとその地上管制局を識別・位置特定する。一方、携行型対無人航空機(C-UAV)ジャマー・ドームは、接近するドローンを自律的に検知し、無線干渉「ドーム」を形成する。この「ドーム」は、半径200~500メートル以内の1つまたは複数の周波数をジャミングし、ドローンの通信と航行を妨害する[69]。対ドローン・ライフルは、操作者がドローンに向けて指向性エネルギーを発射し、最大5キロメートル先の通信と航行をジャミングできる手持ち式の装置である[70]。
これらの軽量の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)デバイスに対する切迫した戦場の需要があった。一人称視点(FPV)ドローンと同様に、ロステック傘下の国営企業、ロシアの民間企業、およびボランティアが、斬新なソリューションでこれらのギャップを埋めるために介入した。2024年4月、ロシア国防省は、小規模メーカーによる軽量の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)デバイスの大量生産に資金を提供するというトップダウンの決定を行った。2024年末までに、この決定により、最前線部隊は毎月5000台の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)デバイスを迅速に配備し、新しいタイプの軍事イノベーションを開発できるようになった[71]。ウクライナ軍の電子戦(EW)専門家は、ロシア企業が開発した約16種類のドローン検出器を特定した[72]。ロシア連邦軍(AFRF)の参謀本部は、最前線部隊が12種類の携行型対無人航空機(C-UAV)ジャマー・ドーム(図9を参照)と12丁の対ドローン・ライフルを注文できるカタログを発行した[73]。国営企業、民間企業、ボランティアの支援による軽量の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)システムの大量生産は、この技術を軍事戦略に統合するというロシアの取り組みを強調している。
図9. 最前線部隊のサプライヤーから注文可能なロシア製C-UAVジャマー・ドーム4種類の例 (図はロシア連邦軍参謀本部「ハンドブック:ロシア連邦軍がSMOで使用するFPVドローン[2024]」より翻訳) |
軽量妨害装置の普及は、対無人航空機(C-UAV)ドクトリンの進化をもたらした。ロシア国防省は戦場のイノベーションのペースについていくことができず、ロシアの有志が対ドローン技術を「敵による一人称視点(FPV)ドローン使用戦術ハンドブック(図解付き)および対抗手段(Handbook on Tactics of Using FPV Drones by the Enemy (in Diagrams) and Methods of Counteraction)」に体系化した。このマニュアルは、目視またはドローン探知機を用いた敵ドローンの早期発見、そして携帯型対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)ジャミング・ドームまたは対ドローン・ライフルによる電磁抑制の重要性を強調している[74]。最前線における対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)装備の密度が高まっているにもかかわらず、ドローン脅威の軽減効果は依然として不透明である。両陣営は熾烈な電子戦(EW)競争を繰り広げており、2つの大きな課題に直面している。
第一の課題は、ドローン搭載の無線電子機器が使用する周波数帯域の急速な変化と拡大である。例えば、ロシアの対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)機器が標準的な商用無線周波数と航法信号をジャミングし始めた際、ウクライナ軍(AFU)(陸軍省)はより高出力で、あまり使用されていない周波数に切り替えることで対応した。その後、ウクライナ軍(AFU)は1機のドローンを派遣することで妨害された周波数をテストし始めた。妨害された場合は周波数を変更して別のドローンを派遣し、ドローンが通過に成功した場合は、残りのドローンを妨害されていない周波数で送信した[75]。この適応(adaptation)により、ロシアの電子戦(EW)スペクトラム・アナライザーは新しい周波数を検出し、対無人航空機(C-UAV)ジャマーをそれに応じて更新する必要が生じた。これに対し、ウクライナ軍(AFU)は抑制を回避するために周波数ホッピングを利用し始めた[76]。場合によっては、ロシアがドローンを同じ周波数に再プログラムし、ウクライナ軍(AFU)がロシアのドローンに対抗しようとした際に誤ってドローンを妨害する事態が発生した[77]。両国は、対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)機器は特定の周波数に固定することはできず、電磁波検出結果に基づいて常に更新する必要があることを理解している。オープンソースの証拠によると、ロシア連邦軍(AFRF)は、ウクライナ軍(AFU)が使用する周波数を検出して抑制するために人工知能(AI)を使用する対無人航空機(C-UAV)機器をフィールド・テストしている[78]。
第二の課題は、対無人航空機(C-UAV)によるジャミングを防ぐために、ドローンに高度な電磁防護装置と技術を活用することである。例えば、両国はドローンの無線周波数の暗号化を開始し、暗号鍵と一致しない信号を無視するようになった[79]。さらに、より高価なドローンは事前にプログラムされたルートを利用するため、正確な位置追跡方法が必要になる[80]。最後に、ウクライナとロシアは共に、ターゲットを識別してロックオンできるオンボードAIシステムを搭載したドローンを開発している。これらのドローンは、慣性ジャイロスコープとAIを用いて航行できるため、オペレーターからの指揮・統制信号が不要になり、ジャミングを受けにくくなる[81]。
結論として、ロシア連邦軍(AFRF)による軽量の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)デバイスの迅速な適応(adaptation)と広範な使用は、ウクライナの戦場のボトムアップの現実によって引き起こされた戦争の方法の大きな変化を浮き彫りにしている。ウクライナのドローン、特に致命的な一人称視点(FPV)モデルの脅威が高まる中、ロシア連邦軍(AFRF)は中隊レベルでの電磁防護の強化に重点を置いてきた。当初は大型の車両ベースの電子戦(EW)システムに依存していたロシア連邦軍(AFRF)は、高価値ターゲット(high-value target)としての位置づけと広大な前線にわたる限られた覆域(coverage)のために重大な脆弱性に直面した。これに対応してロシアは、ドローン検出器、対ドローン・ライフル、携行型ジャミング・ドーム、車両搭載型ジャマーなど、より小型で柔軟な対無人航空機(C-UAV)ソリューションの軍事イノベーション・プロセスを劇的に加速させることで、従来の官僚主義的なハードルを回避した。これらの技術がウクライナ軍から普及した後、ロシアは分散型大量生産とドクトリンの統合を通じてそれらを実装した。
ロシアとウクライナのドローン対策における熾烈な競争は、優位性を維持するために継続的なイノベーションの必要性を浮き彫りにし、より広範な影響を及ぼしている。この戦争から得られた教訓は、ロシアの戦いへのアプローチを形作り、中国などの他の国々にも同様の対ドローン技術を軍事力に導入する影響を与えた[82]。
結論とさらなる研究
本稿では、ロシア連邦軍(AFRF)がウクライナ戦争の教訓に基づき戦争遂行(conduct of war)を巧みに適応させ、従来の硬直性に関する前提を覆したことを実証した。序論で述べたように、ロシア連邦軍(AFRF)は新たな技術と戦術、特に使い捨て型攻撃(OWA)のシャヘド・ドローン(Shahed drones)、一人称視点(FPV)ドローン、軽量の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)システムを効果的に統合し、ウクライナ軍(AFU)に対する戦闘力を高め、戦場のダイナミクスに明らかな変化をもたらしている。
ロシアはシャヘド・ドローン(Shahed drones)の普及と統合に成功し、ウクライナの重要インフラと住民に対する費用対効果の高い長距離飽和攻撃(long-range saturation attacks)を可能にした。一人称視点(FPV)ドローン戦を戦略に導入・展開することで、ロシアは低コストの精密打撃を遂行し、戦場のダイナミクスを大きく変化させた。さらに、軽量の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)システムの普及と運用により、ロシアはウクライナのドローンによる脅威に対する中隊レベルでの防衛能力を強化した。
ロシア兵が対ドローン・ライフルを携行している。ウクライナ戦争勃発以降、ロシア兵は最大1キロメートルの距離からドローンを探知できる改良型対ドローン・ライフルを配備している。(ロシア国防省提供写真) |
軍事イノベーション理論の観点から見ると、ロシアはウクライナからの教訓に基づき戦術と技術を適応させ、ドクトリン、戦力構造(force structures)、そして軍産複合体における変革を制度化していることが明らかである。この継続的なプロセスは、現代戦(modern warfare)のダイナミックな性質と、戦略的優位性を維持するために継続的な進歩の必要性を強調している。これを踏まえ、ロシア国防省は2025年2月に「ヴォエンテク(Voentekh)」プロジェクトを発表した。これは、新製品を戦場で試験し、ロシア連邦軍(AFRF)に導入することで、技術的イノベーションの実装を加速させることを目標としている[83]。
全体として、ロシア連邦軍(AFRF)の新しい技術と戦術の統合を通じて革新し(innovate)そして適応する(adapt)能力は、その軍事力に関する従来の通念(conventional wisdom)、およびウクライナ戦争終結後のロシアの軍事力再編方法に関する通念に挑戦している[84]。これらの技術がロシアの同盟国に広まっていることは、世界の安全保障に対する広範な影響を浮き彫りにしている。これらの開発はバルト諸国とそのNATO同盟国に潜在的な脅威をもたらし、将来の戦争に備えるためにはこれらの課題に対処する必要がある。さらなる研究により、バルト諸国とそのNATO同盟国が、シャヘド(Shahed)のような使い捨て型攻撃(OWA)ドローンの継続的な脅威を検知して対抗するために防空(AD)システムを強化し、戦闘車両と部隊をロシアの一人称視点(FPV)ドローンの差し迫った脅威から防護するために軽量の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)ソリューションの開発に投資するために従来の軍事戦略を変更する必要があるかどうかが判明する可能性がある。
NATOの「2022年戦略的コンセプト(2022 Strategic Concept )」は、技術的優越(technological superiority)を維持し、イノベーションに投資する必要性を強調している[85]。さらなる研究により、安価で拡張可能な使い捨て型攻撃(OWA)ドローン、一人称視点(FPV)ドローン、軽量の対無人航空機用電子戦(C-UAV EW)ソリューションが、バルト諸国とそのNATO同盟国のドクトリン、戦力構造(force structures)、防衛産業に普及・実装されるのに十分に成熟したイノベーションであるかどうかを判断することもできる。
ノート
[1] マイケル・C・ホロウィッツ(Michael C. Horowitz)とシラ・ピンディック(Shira Pindyck)、「軍事イノベーションとは何か、そしてなぜそれが重要なのか」『戦略研究ジャーナル』 46巻1号(2023年):85~114、https://doi.org/10.1080/01402390.2022.2038572。
[2] ホロウィッツ(Horowitz)とピンディック(Pindyck)、「軍事イノベーションとは何か」、85ページ。
[3] ホロウィッツ(Horowitz)とピンディック(Pindyck)、「軍事イノベーションとは何か」、99ページ。
[4] ホロウィッツ(Horowitz)とピンディック(Pindyck)、「軍事イノベーションとは何か」、100-2ページ。
[5] ホロウィッツ(Horowitz)とピンディック(Pindyck)、「軍事イノベーションとは何か」、102ページ。
[6] ウジ・ルービン(Uzi Rubin)、「ロシアのイラン製UAV:技術プロファイル」(Royal United Services Institute [RUSI]、2023年1月13日)、https://www.rusi.org/explore-our-research/publications/commentary/russias-iranian-made-uavs-technical-profile
[7] ウクライナ軍(AFU)、「イラン製攻撃用無人機「シャヘド-136」(「ゲラン-2」)およびロシア連邦製「ランセット-2」に対抗するための諸兵科連合部隊向けガイドライン(2022~2023年の露露戦争の経験に基づく)」(AFUの作戦基準・訓練方法センターおよびAFU参謀本部教義・訓練総局、2023年3月)、7ページ。
[8] マイケル・スター(Michael Starr)、「『ロシアの非軍事化』:ウクライナはロシアのミサイルが不足していると主張」エルサレム・ポスト、2022年10月16日、https://www.jpost.com/international/article-719795
[9] アレクシー・ヴェリキー(Alexy Velikiy)とニキータ・ショーキン(Nikita Shorkin)、「Анализ развития БЛА типа «барражирующий боеприпас». Часть 1」 [「徘徊兵器」タイプのUAVの開発の分析。パート 1]、Арсенал Отечества [祖国の兵器庫]、2025年1月15日、https://arsenal-otechestva.ru/article/1910-analiz-razvitiya-bla-tipa-barrazhiruyushchij-boepripas-chast-1#
[10] ニール・ホレンベック(Neil Hollenbeck)他「ロシアのドローン攻撃の費用対効果の計算」戦略国際問題研究所、2025年2月19日、https://www.csis.org/analysis/calculating-cost-effectiveness-russias-drone-strikes
[11] ミシェル・グリゼ(Michelle Grisé)他「ウクライナ後のロシア軍:ロシア軍の潜在的な進路」(RAND、2025年1月16日)、170、https://www.rand.org/pubs/research_reports/RRA2713-1.html
[12] デビッド・オルブライト(David Albright)他「アラブガ(Alabuga)のShahed136ドローンの生産率が大幅に拡大」(科学国際安全保障研究所、2024年5月10日)https://isis-online.org/isis-reports/detail/alabugas-greatly-expanded-production-rate-of-shahed-136-drones/
[13] オルブライト(Albright)他、アラブガ(Alabuga)のShahed 136ドローンの生産率が大幅に拡大
[14] クレア・セバスチャン(Clare Sebastian)他「ロシア、ウクライナでの空中戦を激化。秘密工場がドローン生産を増強し攻勢を加速」CNN、2024年12月27日更新、https://edition.cnn.com/2024/12/27/europe/russia-ukraine-war-drones-alabuga-factory-intl-invs/index.html
[15] 「Цветочки для ВСУ: как работают дроны «Герань-2» и «Гербера»」 [ウクライナ軍(AFU)への花: 「ゼラニウム-2」と「ガーベラ」ドローンの仕組み]、イズベスチヤ、2024年10月25日、https://iz.ru/1779810/2024-10-25/tcvetochki-dlia-vsu-kak-rabotaiut-drony-geran-2-i-gerbera
[16] ホレンベック(Hollenbeck)他「ロシアのドローン攻撃の費用対効果の計算」
[17] ウクライナ軍(AFU)、「諸兵科連合部隊へのガイドライン」、14~15ページ。
[18] ウクライナ軍(AFU)、「諸兵科連合部隊へのガイドライン」、46~50ページ。
[19] トム・クーパー、「ウクライナ戦争、2023年12月29日:冬季ミサイル作戦の開始」、Sarcastosaurus Substack、2023年12月29日、https://xxtomcooperxx.substack.com/p/ukraine-war-29-december-2023-start
[20] 「ポクロヴァ(Pokrova)電子戦システムは、ウクライナのシャヘド136ドローンおよび巡航ミサイルとの戦いにおいて真のゲームチェンジャーであり、GPS受信機を無力化する」、Defense Express、2023年11月4日、https://en.defence-ua.com/events/pokrova_ew_system_is_a_real_game_changer_in_ukrainian_fight_against_shahed_136_drones_and_cruise_missiles_that_renders_gps_receivers_useless-8462.html
[21] エストニア対外情報局(EFIS)、「国際安全保障とエストニア2025」(EFIS、2024年12月20日)、14、https://raport.valisluureamet.ee/2025/upload/vla_eng-raport_2025_WEB.pdf
[22] ステファン・コルシャック(Stefan Korshak)、「3月29日—1129日目—ベルゴロドに焦点を当てる、ドローンを使った防衛訓練、バランスの取れた攻撃」、Medium、2025年3月29日、https://medium.com/@Stefan.Korshak/march-29-day-1129-belgorod-in-focus-defensive-drills-with-drones-balanced-attacks-82fe7ecf6f8a
[23] Добровольцы [ボランティア]、Справочник。 Тактика применения противником FPV-дронов (в схемах) и способы противодействия [敵によるFPVドローン使用戦術(図)と反撃方法に関するハンドブック] (ロシア連邦国防省、2024)、3.
[24] アリサ・オルロワ(Alisa Orlova)、「戦争の再考:ザルジヌイのCNNコラムからの主要なポイント」、キエフ・ポスト、2024年2月2日、https://www.kyivpost.com/post/27504
[25] フランシス・ファレル(Francis Farrell)、「ウクライナとロシアが未来の戦争を受け入れるにつれ、致命的なドローン軍拡競争が激化」キエフ・インディペンデント、2023年9月13日、https://kyivindependent.com/head-first-into-the-future-inside-the-race-to-win-the-drone-war-in-ukraine/
[26] マリアノ・ザフラ(Mariano Zafra)他「ウクライナにおけるドローン戦闘は戦争をどのように変えているのか」ロイター、2024年3月26日、https://www.reuters.com/graphics/UKRAINE-CRISIS/DRONES/dwpkeyjwkpm/
[27] 「FPV-революция: как дроны-камикадзе изменили ситуацию на фронте」 [FPV革命: 神風ドローンが最前線の状況をどのように変えたか]、Редакция [編集部]、2024年6月6日投稿、YouTube、51分51秒、https://www.youtube.com/watch?v=qSP258qGYjU
[28] 戦争研究研究所(ISW)出版、「ロシアの攻勢作戦評価」、2024年4月23日(ISW、2024年4月23日)、https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-april-23-2024
[29] イリヤ・プラメネフ(Ilya Plamenev)、「Белоусов объяснил необходимость создания нового рода войск」[ベロウソフは軍の新たな部門を創設する必要性を説明した]、RBC、2024年12月21日、https://www.rbc.ru/politics/21/12/2024/6766de049a79475899cc6ebb
[30] ГШ、ВС РФ [ロシア連邦軍参謀本部]、Справочник[ハンドブック]。 FPV-дроны применяемые BC РФ в CBO [ハンドブック。 SMOのRF軍によって使用されるFPVドローン] (ロシア連邦軍参謀本部、2024)、5-35
[31] ドナルド・ヒル(Donald Hill)、「ドンズ・ウィークリー、2025年1月6日:パート3」、サルカストサウルス・サブスタック、2025年1月6日、https://xxtomcooperxx.substack.com/p/dons-weekly-6-january-2025-part-3
[32] 編集部(Редакция)、「FPV革命(FPV-революция)」
[33] 編集部(Редакция)、「FPV革命(FPV-революция)」
[34] 編集部(Редакция)、「FPV革命(FPV-революция)」
[35] ジャック・ワトリング(Jack Watling)とニック・レイノルズ(Nick Reynolds)、「ロシア・ウクライナ戦争3年目の戦術的発展」(RUSI、2025年2月14日)、9、 https://www.rusi.org/explore-our-research/publications/special-resources/tactical-developments-during-third-year-russo-ukrainian-war
[36] ワトリング(Watling)とレイノルズ(Reynolds)『戦術的発展』、7
[37] ドナルド・ヒル(Donald Hill)、「ドンズ・ウィークリー、2024年2月19日:パート1」、サルカストサウルス・サブスタック、2024年2月19日、https://xxtomcooperxx.substack.com/p/dons-weekly-19-february-2024-part
[38] ドナルド・ヒル(Donald Hill)、「ドンズ・ウィークリー、2025年2月10日:パート2」、サルカストサウルス・サブスタック、2025年2月10日、https://xxtomcooperxx.substack.com/p/dons-weekly-10-february-2025-part-82d
[39] ВУНЦ、ВВС [ロシア空軍軍事教育科学センター]、Эксплуатация и применение беспилотных летательных аппаратов (FPV-дронов) [無人航空機の運用と使用]航空機(FPVドローン)] https://jurkniga.ua/contents/ekspluatatsiya-i-primenenie-bespilotnykh-letatelnykh-apparatov-fpv-dronov-kniga-voroga-vorozhoyu-movoyu.pdf?srsltid=AfmBOorIH_dTiMt1gbFCQdEMIrCo35U7CmUxj9uICZ_0WHrQkTIMKXL_ (ロシア空軍軍事教育科学センター、2023年)
[40] Добровольцы [ボランティア], Применение ракет, гранат инженерных боеприпасов в качестве боевой части для различных типов БПЛА [さまざまな種類のUAVの弾頭としてのロケット弾、手榴弾、工学兵器の使用] https://jurkniga.ua/contents/sbrosy-s-bpla-primenenie-raket-granat-i-inzhenernykh-boepripasov-v-kachestve-boevoy-chasti-dlya-razlichnykh-tipov-bpla-kniga-voroga-vorozhoyu-movoyu.pdf?srsltid=AfmBOooe-WGh-fxWlV7ubuH5icACR028eq_43vs9r1nOMcvKMyReOzBc (ロシア連邦国防省、2023)
[41] Добровольцы [ボランティア]、Справочник[ハンドブック]、6–24
[42] 「В составе группировки войск «Запад» сформировали роту БПЛА」 [「西側」軍事集団の一部として無人航空機会社が設立された]、タス通信、2024年1月26日、https://tass.ru/armya-i-opk/19832741
[43] Добровольцы [ボランティア]、Справочник[ハンドブック]、5
[44] Миноборона России [ロシア国防省] (@mod_russia)、「Андрей Белоусов проинспектировал работу нового Центра перспективных」 беспилотных технологий Минобороны” [アンドレイ・ベロウソフは国防省の新しい先進無人技術センターの作業を視察]、テレグラム、2024年10月11日、https://t.me/mod_russia/44389
[45] 「Белоусов: в ВС РФ сформируют «войска беспилотных систем»」 [ベロウソフ: ロシア軍は「無人システム部隊」を編成する]、タス通信、2024年12月16日、https://tass.ru/armya-i-opk/22682103
[46] 戦争研究研究所(ISW)出版、「ロシアの攻勢戦役の評価」、2025年1月28日(ISW、2025年1月28日)、https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-january-28-2025
[47] Добровольцы [ボランティア]、Справочник[ハンドブック]、4
[48] Добровольцы [ボランティア]、Справочник[ハンドブック]、7、10
[49] Добровольцы [ボランティア]、Справочник[ハンドブック]、20
[50] ワトリング(Watling)とレイノルズ(Reynolds)『戦術的発展』、10
[51] ジョセフ・トレビシック(Joseph Trevithick)とタイラー・ロゴウェイ(Tyler Rogoway)、「ロシアは現在、ウクライナで有線誘導式神風ドローンを使用しているようだ」TWZ、2024年3月8日、https://www.twz.com/air/russia-now-looks-to-be-using-wire-guided-kamikaze-drones-in-ukraine
[52] デビッド・ハンブリング(David Hambling)、「新たなドローン戦術がクルスクでのロシアの勝利を決定づけた」フォーブス、2025年3月20日更新、https://www.forbes.com/sites/davidhambling/2025/03/17/new-drone-tactics-sealed-russian-victory-in-kursk/
[53] サニー・チャン(Sunny Cheung)とジョー・マクレイノルズ(Joe McReynolds)、「自律型戦場:ロシアのウクライナ侵攻から学ぶ人民解放軍の教訓」、China Brief 25、第6号(2025年3月28日)、https://jamestown.org/program/autonomous-battlefield-pla-lessons-from-russias-invasion-of-ukraine/
[54] イェフヘニア・マルティニウク(Yevheniia Martyniuk)、「NHK:北朝鮮がロシアの支援を受けてドローンを開発、今年量産開始」、ユーロマイダン・プレス、2025年2月8日、https://euromaidanpress.com/2025/02/08/nhk-north-korea-built-a-drone-with-russian-help-mass-production-starts-this-year/
[55] ドミトロ・シュムリアンスキー(Dmytro Shumlianskyi)、「セルビア軍、セルビア製FPVドローンの使用を開始」、Militarnyi、2024年12月29日、https://mil.in.ua/en/news/serbian-army-begins-using-serbian-made-fpv-drones/
[56] 編集部(Редакция)、「FPV革命(FPV-революция)」
[57] トーマス・ウィジントン(Thomas Withington)、「クリアチャンネル」、Armada International、2024年3月13日、https://www.armadainternational.com/2024/03/secure-drone-communications-milcom/
[58] ウクライナ軍(AFU)、Довідник військового зв’язківця。 Засоби радіоелектронної боротьби та розвідки, які використовуються Pосійською федерацією [軍事通信者のハンドブック。ロシア連邦が使用する無線電子戦と諜報機器] (ウクライナ軍の信号・サイバーセキュリティ部隊の司令部およびクルティの英雄にちなんで命名された電気通信・情報技術軍事研究所、2024年)
[59] 編集部(Редакция)、「FPV革命(FPV-революция)」
[60] Миноборона России [ロシア国防省]、ПАМЯТКА по защите и противодействию БпЛА противника [敵のUAVに対する保護と反撃に関するメモ] (ロシア国防省本局)戦闘訓練、2023)、3
[61] マシュー・ロー(Matthew Loh)、「ウクライナの『ホーネット』ドローンがロシアの戦車を追跡し、その上に手榴弾を投げ込む動画」、Business Insider、2023年9月26日、https://www.businessinsider.com/video-shows-ukraine-drones-following-russian-tanks-dropping-grenades-2023-9
[62] Миноборона России [ロシア国防省]、ПАМЯТКА[メモ]、12、15–20
[63] 「新型サニヤEWシステムはロシア戦車をFPVドローンから守ることを目指しているが、過大評価されているヴォルノレスはどこにいるのか?」ディフェンス・エクスプレス、2024年1月14日、https://en.defence-ua.com/weapon_and_tech/new_saniya_ew_system_seeks_to_protect_russian_tanks_from_fpv_drones_but_wheres_overhyped_volnorez-9181.html
[64] Миноборона России [ロシア国防省]、Методические рекомендации по обеспечению защиты БТР от FPV дронов [APC の保護を確保するためのガイドラインFPV ドローン] (ロシア連邦国防省主要機甲総局、2023)、10~14
[65] ГШ、ВС РФ[ロシア連邦軍参謀本部]、Справочник[ハンドブック]、59
[66] Добровольцы [ボランティア]、Справочник[ハンドブック]、27
[67] ワトリング(Watling)とレイノルズ(Reynolds)『戦術的発展』、33 ページ
[68] Добровольцы [ボランティア]、Справочник[ハンドブック]、28
[69] 編集部(Редакция)、「FPV革命(FPV-революция)」;ボフダン・トゥゾフ、「分析:ロシアの電子戦装備」、キエフ・ポスト、2024年5月11日、https://www.kyivpost.com/analysis/32435
[70] 「ロシア軍、ウクライナでハープーン3対ドローンシステムを成功裏に使用」Army Recognition、2022年10月18日、https://www.armyrecognition.com/news/army-news/2022/russian-troops-successfully-use-harpoon-3-anti-drone-systems-in-ukraine
[71] プラメネフ(Plamenev)、「Белоусов объяснил необходимость создания нового рода войск」[ベロウソフは軍の新たな部門を創設する必要性を説明した]
[72] ウクライナ軍(AFU), Довідник малі РЕБ ворога [小型敵電子戦デバイスハンドブック] (ウクライナ軍通信・サイバーセキュリティ部隊司令部およびクルティ英雄にちなんで名付けられた軍事通信情報技術研究所、2023年)、12~16ページ
[73] ГШ、ВС РФ[ロシア連邦軍参謀本部]、Справочник[ハンドブック]、52–58
[74] Добровольцы [ボランティア]、Справочник[ハンドブック]、25
[75] 編集部(Редакция)、「FPV革命(FPV-революция)」
[76] ワトリング(Watling)とレイノルズ(Reynolds)『戦術的発展』、20
[77] トーマス・ウィジントン(Thomas Withington)、「マニュアルを確認」、Armada International、2024年3月14日、https://www.armadainternational.com/2024/03/russian-fpv-drone-manual-milcom/
[78] イザベル・ファン・ブルゲン(Isabel van Brugen)、「ロシア、AI搭載の新型対ドローン装置を導入」ニューズウィーク、2024年4月30日、https://www.newsweek.com/russia-artificial-intelligence-ai-drones-ukraine-1895424
[79] ウィジントン(Withington)、「クリアチャンネル」
[80] ワトリング(Watling)とレイノルズ(Reynolds)『戦術的発展』19~20ページ
[81] ザフラ(Zafra)他「ウクライナにおけるドローン戦闘は戦争をどう変えているのか」
[82] チャン(Cheung)とマクレイノルズ(McReynolds)、「自律型戦場」
[83] 「В Минобороны создали новую систему внедрения инно ваций «Воентех»」[国防省は新たなイノベーション実装システム「ヴォエンテク(Voentekh)」を創設した]、タス通信、2025年2月18日、https://tass.ru/armya-i-opk/23173057
[84] グリゼ(Grisé)他、ウクライナ後のロシアの軍事、128
[85] NATO、NATO 2022 戦略的コンセプト(NATO、2022)、8、https://www.nato.int/nato_static_fl2014/assets/pdf/2022/6/pdf/290622-strategic-concept.pdf


