重要なリンク-大規模戦闘作戦(LSCO)における野戦軍と指揮・統制 (Military Review)

来年3月で統合作戦司令部が組織されて1年、陸上総隊司令部が組織されて8年が経過する。自衛隊の統合作戦司令部の創設が話題となった際に在日米軍の統合軍司令部へ格上げする歴史的再編が取り沙汰されていた。この時、自衛隊の指揮階層に応じたパートナーとなる米軍側の指揮階層は何処なのかがメディアでも焦点となっていた。

横田にある今の在日米軍は統合部隊の指揮権がないので、この機会に指揮権を持った司令部へなることが期待されていたと理解している。しかし、そのような期待は今のところ達成しそうにないと取ってよいのか、新たに公表された米国の国家安全保障戦略の下で深く検討が進んでいるとみてよいのかは何とも言い難い。

US Army tailoring Pacific commands for Multi-Domain forceHow a Multi-Domain Command in Japan Would Reshape US Alliances in the Indo-Pacificなどのニュースは、現状のままで良いと思っているわけではないだろうと予想するところである。仮に現状のままだとすると、有事に際して緊急に司令部を立ち上げるのだろうことが予想される。

さて、ここで統合部隊編成時の陸上戦力の指揮・統制組織はどうあるべきなのかについて論じたMilitary Review に掲載された大規模戦闘作戦時の指揮・統制に関する提言の論考を紹介する。

陸軍種がマルチドメインの作戦を行うとなれば参謀組織も複雑な調整・統制業務を行うことになるだろう。このような前提に立つと、広範な責任地域と多岐にわたる機能を駆使して、十分な指揮・統制能力を発揮する為には野戦軍が必要だとする意見である。いわゆる米軍の指揮構造(Command Structure)に馴染みがないので難解だが、共に戦う同盟国の課題を知ることも重要だと考える。

ちなみに、米陸軍は2025年10月2日付で米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)と米陸軍将来コマンド(AFC)を廃止し米陸軍変革訓練コマンド(T2COM)を、2025年12月5日付で米陸軍フォース・コマンド(FORSCOM)、北方米陸軍(USNORTHCOM)と南方米陸軍(USSOUTHCOM)を統合して米陸軍西半球コマンド(USAWHC:U.S. Army Western Hemisphere Command)を編成するなど組織を大きく改編中であり、インド太平洋軍内の米太平洋陸軍(USARPAC)の組織改編も注目をしていかなければいけないのだろう。

日本も統合作戦司令部、陸上総隊司令部が創設されたから自衛隊・陸自は万全と思うのではなく、領域を横断する大規模な作戦にはどのような指揮・統制組織が求められるのかについて考える機会になればと思う。(軍治)

重要なリンク-大規模戦闘作戦(LSCO)における野戦軍と指揮・統制

A Critical Link – The Field Army and Command and Control in LSCO

November-December 2025

Military Review

Maj. Brandon J. Schwartz, U.S. Army

ブランドン・シュワルツ(Brandon Schwartz)米陸軍少佐は、諸兵科連合ドクトリン局のドクトリン作成者である。ミシガン大学で学士号、空軍指揮参謀大学で修士号を取得している。シュワルツ(Schwartz)少佐は、在職中に第3遠征後方支援コマンド、第82空挺師団、士官候補生コマンド、そして米中央陸軍に勤務した。

連合軍がドイツに侵攻する中、米第7軍第3歩兵師団の戦車駆逐車が、1945年3月23日、ドイツのバート・デュルケヒム-ルートヴィヒスハーフェン高速道路を前進している。(写真提供:国立公文書館)

ヨーロッパやアフリカでの平和維持活動から世界対テロ戦争まで、米陸軍は紛争管理に野戦軍を必要としなかったため、司令部を統合した。しかし、2018年に大規模戦闘作戦に重点を移し、2022年にロシアがウクライナに全面侵攻したことで、米陸軍の戦い方に対するアプローチが変わった。この変化の一環として、米陸軍は主要な戦術的用兵階層を旅団から師団に昇格させ、マルチドメイン作戦の収束(convergence)を達成するために軍団を統合の中心とした[1]。言い換えれば、旅団より上の階層の重要性が増した。しかし、これらの変化は野戦軍の階層には及んでいない。米陸軍には野戦軍が1つしかなく、朝鮮半島を超えた作戦を支援できないため、複数軍団の作戦を指揮・統制する専用の能力がない。

しかし、大規模な戦闘作戦の脅威は地平線上に迫っている。ロシアに対しては、米国はバルト諸国への既成事実による侵攻を恐れている[2]。単独行動であれNATOとの協力であれ、いかなる対応も複数軍団の派遣を必要とする可能性が高い[3]。中国に対しては、台湾侵攻後の東南アジア防衛のために複数軍団が必要となる可能性がある[4]。イランや北朝鮮に対しても、米国は政権交代を強制するために複数軍団による作戦を実施する準備を整えておくべきである[5]。政権交代作戦の可能性は極めて低いものの、米陸軍には政策立案者に対し、米国の国益を最大限に確保するための選択肢を提供する義務がある[6]

米国が大規模戦闘作戦に備え、軍団の持つ最大限の殺傷力を発揮することに真摯に取り組むのであれば、野戦軍階層を再確立する必要がある。大規模戦闘作戦時において、米陸軍の戦力構造には陸上構成部隊コマンド(land component command)レベルに欠落があることは明らかである[7]。複数軍団機動のための陸上構成部隊コマンド(land component command)のための専用編成は存在せず、現在の代替案は最高指揮階層に過度の負担をかけるため不十分である。リスクに比べて比較的低コストで、米陸軍は軍種保有の野戦軍司令部を創設し、この不足を解消することができる。作戦上の利点に加え、野戦軍の創設は戦略的抑止力にも貢献する。トーマス・シェリング(Thomas Schelling)が簡潔に述べたように、抑止力とは能力と意志の組み合わせである[8]。野戦軍階層を確立することにより、米陸軍は敵対者に対し、複数軍団による大規模戦闘作戦を遂行する能力と意志の両方を示すことになる。

マルチドメイン作戦における野戦軍

米陸軍には、大規模戦闘作戦中に陸上構成部隊コマンド(land component command)として複数の軍団を指揮・統制するための専用の編成がない。2022年、米陸軍はフィールド・マニュアル3-0「作戦(Operations」の発行により、マルチドメイン作戦を作戦コンセプトとして採用した。マルチドメイン作戦は軍団と師団を統合解除し、階層間の強い相互依存関係を生み出す階層化陸軍のコンセプトも再導入した[9]。特に、下位階層は、成功の条件を整えるために重要な能力を活用するために上位階層に依存している[10]。これは、効果的な上位階層は、多数の調整および同期タスクから下位階層を解放することにより、よりスリムで致命的な下位階層を可能にすることを意味している。ただし、これはまた、上位階層での課題が下位階層に波及するにつれて複合的な影響を及ぼすことも意味する。

統合作戦地域における陸軍階層の最上位は、陸上構成部隊コマンド(land component command)である[11]。この役割は、状況に応じて統合部隊陸上構成部隊コマンド(joint force land component command)となることもできるが、ここでは米陸軍内部の階層に焦点を当てて、軍の課題を浮き彫りにすることで簡略化する[12]。米陸軍のドクトリンでは、大規模戦闘作戦中は軍団または戦域軍が陸上構成部隊コマンド(land component command)となることができ、軍団が望ましいとされている[13]。しかし、軍団も戦域軍も最適な解決策ではない。その結果、複数軍団による大規模戦闘作戦において陸上構成部隊コマンド(land component command)が最適ではないという解決策の悪影響は、少なくとも2個軍団、合計6個師団、36個旅団に波及する。言い換えれば、リスクは大きい。

複数軍団作戦における陸上構成部隊コマンド(land component command)として、軍団は効果的な解決策ではない。これは戦略的なリスクと参謀の能力容量の不足の面から見てである。事実、この階層では人員不足が課題となっている。米陸軍には4個軍団しかなく、そのうち未配置、すなわち「フリー・エージェント」となっているのは第18空挺軍団と第3機甲軍団の2つだけである(図1参照)[14]。現在の戦力構成では、別の軍団を2つの戦術軍団の野戦軍司令部として利用する計画は、いくつかの好ましくない選択肢を生み出す。まず、米国はインド太平洋地域またはヨーロッパから1軍団を引き離すことができる。しかし、これは多くの人が当然恐れているような、第二戦域における敵対者の日和見主義(opportunism)を招くだけのように思われる[15]。そうなると、利用可能な軍団が存在しないため、米中央・南部・アフリカ軍にとって陸上構成部隊コマンド(land component command)として軍団を利用することは不可能となる[16]

図1. 割り当てられた2つの軍団と割り当てられていない2つの軍団

(図は著者による)

第二に、米陸軍は「フリー・エージェント」軍団の司令部をその下部組織から分離することができる(図2を参照)。しかし、これには多くの課題が生じる。軍団は、共に展開しない部隊のために軍団司令部として機能する別の編成を必要とするため、不十分な指揮・統制の問題が別の階層に単に転嫁されるだけだ。また、将来の大規模戦闘は長期化する可能性が高く、米陸軍はすべての階層で再編成作戦を実施する必要がある[17]。そのため、非コミットの「フリー・エージェント」軍団は、コミット済みの軍団を置き換える準備として、かなりの訓練要件を満たす必要がある。これらの訓練要件は、再編成軍団が有機的司令部を失うことの影響を増幅させるだろう。結果として、陸上構成部隊コマンド(land component command)として別の軍団司令部を設置することは、能力容量の不十分さのため非現実的である。

図2. 「フリー・エージェント」軍団の司令部を分離する

(図は著者による)

これらの欠陥のため、最も可能性の高い対応策は、戦術軍団と陸上構成部隊コマンド(land component command)の役割を兼任させる(dual-hatting)ことになる(図3参照)。これも明らかに最適とは言えない解決策である。陸上構成部隊コマンド(land component command)の責務は、指揮官と参謀の焦点を軍団自身の戦術作戦と、統合作戦地域全体にわたる陸上作戦の同期に二分することになる。たとえ増強を行ったとしても、その二重の焦点のために、司令部は本質的に効果が低下するだろう。この影響は、意思決定と収束(convergence)から生じる機会の活用に限られた時間が将来の作戦環境においてさらに深刻化する[18]。軍団司令官に両方の役割を同時に遂行することを強制することは例外的なリスクとなるだろう。

図3. 兼任(Dual-Hatted)軍団と陸上構成部隊コマンド(LCC)の選択肢

(図は著者による)

軍団でなければ、戦域軍がそうかもしれない。実際、統合ドクトリンでは、複数軍団による大規模戦闘作戦において、戦域軍が統合部隊陸上構成部隊コマンド(joint force land component command)となる可能性が最も高い陸軍編成であるとされている[19]。しかし、戦域軍は参謀の能力容量の不足により野戦軍として効果的に活動することができない。米陸軍は長年にわたり、旅団より上位の階層の編成を縮小し、残った階層に責任を統合してきた(図4参照)[20]。縮小の一途を辿る戦域軍の参謀は現在約400人から500人であり、さらなる削減が見込まれている[21]

図4. 第二次世界大戦以降の陸軍階層の縮小(再考)

(図は著者により改変。原文はジョン・ボニン(John Bonin)著「現実の上層部:軍、軍集団、戦域軍、陸軍軍種構成部隊コマンド(ASCCs)(Echelons Above Reality: Armies, Army Groups, and Theater Armies/Army Service Component Commands (ASCCs))」、ケルビン・クロウ(Kelvin Crow)とジョー・R・ベイリー(Joe R. Bailey)編「Essential to Success」[2017]より)

戦域軍の主たる役割は米陸軍軍種構成コマンド(ASCC)である[22]。米陸軍軍種構成コマンド(ASCC)の役割は、他の階層が遂行しない広範かつ複雑な機能とタスクを網羅している。このため、戦域軍は戦域作戦に不可欠な存在となっている。また、米陸軍軍種構成コマンド(ASCC)のタスクのほとんどは法律で義務付けられているため、他のタスクを優先するために無視することはできない[23]。米陸軍軍種構成コマンド(ASCC)には、戦域での物資の受領と配送、戦域輸送の管理、建設、他の司令部からの捕虜や負傷者の後送など、第二次世界大戦中に補給部隊(後の通信区)が遂行したのと同じタスクの多くを遂行することが含まれる[24]。これらの要件は将来の紛争でも存在し、再びこれらを処理するための専用の司令部が必要となる。連合国は、広範な指揮および参謀要件のため、補給部隊を戦術コマンドから意図的に分離した。1944年、通信区(Communications Zone)の参謀と支援を受ける兵士の比率はおよそ1:280であった[25]。これは、完全に機能する複数軍団紛争の場合、戦域軍は米陸軍軍種構成コマンド(ASCC)としての作戦を支援するために少なくとも350人の人員を必要とすることを意味する[26]。その結果、比較的小規模な戦域軍司令部は、その主要な役割に完全に費やすことになる。

第3軍は2003年のイラク侵攻においてこの課題を経験した。米中央軍(U.S. Central Command)の陸軍軍種構成部隊コマンドおよび連合軍陸上構成部隊コマンド(land component command)として機能していた第3軍は、戦域への兵力の流れを管理し、総軍コマンド、輸送コマンド、米陸軍省との調整に多大な労力を費やした。また、再展開計画も策定する必要があった。このため、戦闘作戦の同期化や、従属軍団による戦力増強の計画策定能力が損なわれた[27]

連合国は、陸上構成部隊コマンド(land component command)の能力不足を認識し、その役割を軍団に交代させる動きを見せた。NATOは、複数軍団の機動を統制する専用の司令部がなければ、ロシアとの大規模戦闘作戦で戦う能力が不十分であると評価した。その結果、NATOは複数軍団陸上構成部隊コマンド(multi-corps land component command)を創設した。これは別名野戦軍である[28]。この展開は、2つの重要な点を示している。第1に、ロシアの脅威には複数軍団による対応能力が必要である。米国がロシアを倒す準備を継続するつもりなら(現時点では確かに疑わしい考えだが)、野戦軍が必要である。第2に、西側諸国で訓練され装備された軍事力を持つ国々は、軍団を複数軍団の指揮・統制に対する理想的な解決策とは考えていない。複数軍団陸上構成部隊コマンド(multi-corps land component command)の創設は、米国の複数軍団の指揮・統制能力に対する警告となるはずである。

NATOのこの警告は、米国主導の演習によって裏付けられており、専用の陸上構成部隊コマンド(land component command)の必要性も示している。インド太平洋地域では、米国は2024年12月に「ヤマサクラ演習」を実施した。この多国籍演習には、陸軍第1軍団と海兵隊第3海兵遠征軍の2つの軍団が参加しており、陸上構成部隊コマンド(land component command)が必要だった[29]。解決策は?戦域軍、つまり米太平洋陸軍である。これは前述の理由から、最適とは言えない。それでもなお、「ヤマサクラ演習」は、複数の軍団を指揮・統制する必要性を示した。

ヨーロッパでは、2024年9月からのアベンジャー・トライアド演習でも複数軍団の指揮・統制本部が必要とされた。この演習には、米陸軍第5軍団、第1ドイツオランダ軍団、第2ポーランド軍団の3つの従属軍団が参加した[30]。米陸軍ヨーロッパ・アフリカ軍(戦域軍)が、この演習で複数軍団陸上構成部隊コマンド(multi-corps land component command)として活動した。この場合も、戦域軍は最適な解決策ではないだろう。特に米陸軍ヨーロッパ・アフリカ軍司令官は、すでに戦域軍司令官(2つの責任分野を担当)とNATO陸軍司令官を兼任して(dual-hatted)いるからである[31]。これらは、戦術軍団の上に陸上構成部隊コマンド(land component command)が必要であることを示す、米国主導の演習の最近の2つの例にすぎない。野戦軍であれば、この要件を満たすだろう。

野戦軍は、陸上構成部隊コマンド(land component command)であることに加え、特定の軍種関連の機能を実行する。連邦議会は、合衆国法典第10編を通じて、法律の権限で各軍種に責任を割り当てる[32]。米陸軍長官にとって、これには一般に「人員、訓練、装備」と呼ばれる標準的な合衆国法典第10編の責任が含まれる[33]。その後、長官はそれらの責任の多くを戦域軍に委任し、戦域軍は通常、統合作戦地域の上級陸軍司令官、つまり陸上構成部隊コマンド(land component command)と責任を分担する。ドクトリンでは、この管理上の権限の連鎖を説明するために「行政管理(administrative control)」という用語を使用している。「行政管理(administrative control)」とは、「管理および支援に関して、下位組織またはその他の組織に対する権限の指示または行使」である[34]。大規模紛争では、野戦軍が陸上構成部隊コマンド(land component command)の役割の運用要件に加えて、行政管理を通じて委任された軍種権限を受け取る陸上構成部隊コマンド(land component command)となる。

陸上構成部隊コマンド(land component command)の役割と、それに内在する軍種関連の責任の組み合わせこそが、野戦軍を陸軍部隊(ARFORとして知られる)の指揮官とするものである。「陸軍部隊(ARFOR)は、戦闘軍(combatant command)、従属統合部隊コマンド、統合機能コマンド、または多国籍コマンドに配属または所属するすべての陸軍部隊の陸軍部隊であり、上級陸軍司令部である[35]」。これは、野戦軍が統合作戦地域における陸軍部隊(ARFOR)の責任を引き受けることを意味する。また、陸軍部隊(ARFOR)が野戦軍の主たる役割となることも意味する。

陸軍部隊(ARFOR)の責任は非常に広範囲に及ぶ可能性がある。これには、陸軍による他軍種への支援、共通ユーザーの兵站、陸軍執行代理人の支援など、統合部隊に対するさまざまな種類の支援が含まれる。陸軍部隊(ARFOR)には、割り当てられたすべての部隊に対する合衆国法典第10編「陸軍」の責任も含まれる[36]。これは複数の理由で重要である。第1に、野戦軍は、「兼任(dual-hat)」軍団(陸上構成部隊コマンド(land component command)としての好ましい解決策として)を陸軍部隊(ARFOR)固有のタスクの計画策定と監督の負担から解放する。その結果、軍団は戦術司令部としての主要な役割に集中し、敵の戦術編成を破壊することに集中できる。これは野戦軍を創設することの決定的な利点である。第2に、陸軍部隊(ARFOR)の責任は野戦軍に構造的な意味合いを持つ。統合部隊に軍種関連の機能を提供でき、統合の計画およびプロセスに直接統合できなければならない。第3に、野戦軍にはこれらの責任を果たすために適切な編成が提供されなければならない。たとえば、野戦軍は、戦闘中に陸軍部隊(ARFOR)の要求を満たすために、遠征後方支援コマンドなどの専用の後方支援編成を必要とする。

陸軍部隊(ARFOR)(陸軍地域軍団)として、野戦軍は軍団の最大限の効果を発揮するために必要な数多くの機能とタスクを遂行する。最も重要なのは、野戦軍が軍団の条件を設定することである。野戦軍は「敵の後方深くを攻撃し、主要な火力支援手段、指揮所、補給を破壊し、後方連絡線(lines of communications)を遮断し、その地域内の敵戦闘部隊を包囲して殲滅する」ことになっていた[37]。2003年のイラク侵攻において、第3軍は、軍団がクウェートの最初の出発線(line of departure)を越えた際に、バグダッドの共和国防衛隊への攻撃に注力した[38]。これによりイラクの主要な軍事力の一部が破壊され、軍団のバグダッド周辺での将来の戦闘が可能になった。

野戦軍はまた、統合部隊を陸軍の機動の計画(scheme of maneuver)に統合し、すべてのドメイン統合能力を軍団に割り当てる[39]。この条件設定は、複数の理由から軍団の成功にとって極めて重要である。主な理由の1つは、野戦軍が軍団の統合調整負担の多くを軽減することであり、これには、システム管理の課題の軽減(つまり、「回転椅子(swivel-chair)」)や、多くの統合プロセス(統合部隊指揮官のターゲティング作業グループなど)への参加から解放されるなど、多くの効率性が含まれる。また、指揮官は統合作戦地域全体を考慮する必要がなくなり、陸上構成部隊コマンド(land component command)の近接地域(close area)で敵を倒すことに集中できるため、指揮官の時間と空間の認知負荷も軽減される。

野戦軍のもう一つの重要な機能は、軍団の後方地域を吸収し、後方作戦を実施することである。第二次世界大戦間の第7軍の歴史では、「最も重要な陸軍機能の一つは、戦闘部隊を新たに獲得した領土、その管理、そして作戦基地としての使用に対する責任から速やかに解放することであった」と述べられている[40]。その結果、野戦軍は広範な後方作戦を実施した。例えば、第二次世界大戦中、ドイツ領土への急速な進撃中、第1軍は「ドイツ占領地域の数千平方マイルを確保し、迂回したドイツ軍に対処し、そして「軍の支配下に入った数百のドイツの町や村に秩序を確立する」必要があった[41]。現代の野戦軍も同様のことを行うだろう。なぜなら、広範な後方地域の責任はしばしば軍団の能力容量を超えるからである[42]。後方作戦は歴史的に重要な取り組みだったが、今日では生き残るために指揮所を分権化させる必要性と、敵があらゆるドメインから後方地域を攻撃する能力があるため、さらに困難になっている[43]。軍団が後方作戦と広大な後方地域に配慮しなければならないほど、近接戦闘(close fight)や縦深戦闘(deep fight)からエネルギーを分散させなければならない。

野戦軍の創設は、合理化とプーリング(pooling)を通じて陸軍に戦力構造を保全する機会も提供する。近年、陸軍にとっての絶え間ない課題は、即応態勢と近代化の要求をすべて満たすために兵士不足に対処することである。兵力を節約するため、陸軍は下位の戦術階層の一部を合理化してきた。合理化により、部隊の有機的な構造が常に必要なものだけに制限される[44]。合理化によって削減された戦力は、その後、上位階層にプーリングされている。プーリング(pooling)とは、下位階層編成ではたまにしか必要としない、同様のタイプの部隊を上位階層に集結させることである[45]。このプロセスにより、下位階層の戦闘力が最大化され、支援部隊や有効化部隊の量が制限される。トレードオフとして、階層間の依存関係と、任務のタスク編成の重要性がさらに高まる。

例えば、米陸軍は最近、旅団工兵大隊を廃止し(旅団のスリム化)、師団工兵大隊を新設した(プーリング(pooling))[46]。これにより旅団内の工兵総数が削減され、師団は即応態勢を維持できると同時に、陸軍は空いたスペースを他の近代化に再配分できるようになった。このアプローチは、下位階層の指揮官の非戦闘部隊管理の負担を軽減することで下位階層の殺傷力を高め、攻撃志向の文化を醸成することを可能にする。また、上位階層の指揮官が作戦の重み付けを行い、戦闘力を管理することも可能にする。

野戦軍階層の確立は、軍団以下の階層を合理化し、統合する機会を提供する。野戦軍は歴史的に重要な資源を統合してきた。例えば、第二次世界大戦間の第1軍は、陸軍の全砲兵部隊を陸軍統制下の野戦砲兵旅団に配属し、その後、支援関係を構築することでそれらの部隊を割り当てた[47]。この場合、軍団や師団が日常の作戦に必要としない長距離砲兵能力は、軍団から引き離され(合理化)、野戦軍司令官によって管理され(統合)、司令官はそれらを特定の任務のために軍団にタスク編成した。第二次世界大戦の野戦軍統合には、通常、防空部隊、工兵部隊、砲兵部隊、歩兵師団、機甲師団が含まれていた[48]。今日の野戦軍は、これらと同様の活動の多くを行うことができる。マルチドメイン・タスク部隊(MDTF)が軍団以下の長距離火力を合理化したのと同様に、野戦軍は航空部隊、工兵部隊、軍事インテリジェンス、防空部隊についても同様のことを行う機会を提供する(図5参照)。これにより、軍団をよりスリムで機敏、かつ攻撃志向の編成に合理化することで軍団の殺傷力を高めながら、部隊の有効化および支援に対する軍団の構造的負担が軽減されることになる。

図5. 大規模戦闘作戦(LSCO)間の野戦軍と配属部隊の例

(図は著者による)

代替行動方針

この時点で、論理的に浮かぶ疑問は「新たな戦力構成を構築することなく、複数軍団作戦における陸上構成部隊コマンド(land component command)を担えるのは他に誰か」ということだろう。一つの可能​​性は、統合部隊司令部や既存の野戦軍型の解決策に頼ることだ。もう一つの可能​​性は、紛争が発生するまで待機し、その後に臨時の野戦軍を編成することだ。しかし、これらの選択肢は、野戦軍司令部を設置するコストを上回る重大な任務リスクを伴う。

統合部隊司令部は、戦域軍と同様に、両方の責任を担うのに十分な組織基盤を有していないため、野戦軍司令部としては非効率的である。この選択肢において野戦軍の役割を果たす最も有力な候補は、戦闘軍(combatant command)である[49]。しかし、各戦闘軍(combatant commands)は既にその責任分野全体にわたって多数の責任を負っており、それぞれに膨大な数の作戦、活動、投資が関連している[50]。戦域軍と同様に、これらの活動の多くは法律で義務付けられており、他の階層では行われていない。

複数軍団による大規模戦闘作戦では、戦闘軍(combatant command)が紛争の統合部隊司令官としても行動する可能性が高い。その役割において、戦闘軍(combatant command)は統合部隊と連合軍の同期を取りながら、戦域戦略作戦および活動を実施する(図6を参照)。戦闘軍(combatant command)が同時に野戦軍としても行動することは、本質的に統合部隊陸上構成部隊コマンド(joint force land component command)という追加の役割を追加することになり、その遂行には通常300~500人の人員が必要となる[51]。戦闘軍(combatant command)を統合部隊陸上構成部隊コマンド(joint force land component command)とするという選択肢では、1つの従属軍団が統合作戦地域内で陸軍部隊(ARFOR)として「兼任(dual-hat)」する必要もある[52]。そのため、この選択肢は実際には軍団の管理および調整の要件を軽減するどころか、むしろ増加させている。

図6. ヨーロッパにおける複数軍団大規模戦闘作戦(LSCO)の作戦上の枠組みとタスク分担の概念図

(図は著者による)

もう一つの選択肢は、既存の戦力構造を吸収することである。しかし、政治的制約のために、これは効果的ではない。朝鮮半島において、米国は第8軍を維持している。これは厳密には野戦軍である。しかし、朝鮮戦争における条約上の義務に基づき、参謀構成と重点は縮小されている[53]。さらに、韓国との共同安全保障枠組みに関する数多くの二国間協定から脱退するには、国家レベルの政治指導者の権限が必要である[54]。これは、第8軍を朝鮮半島から容易に、あるいは迅速に撤退させて世界の他の地域で野戦軍の任務を遂行することはできず、補充が必要となることを意味する。NATOの複数軍団陸上構成部隊コマンド(multi-corps land component command)については、その編成は米陸軍ヨーロッパ・アフリカ支部の参謀に依存している[55]。すると、戦域軍を野戦軍司令部として使用する場合と同様の課題に直面することになる。さらに、NATOの組織である複数軍団陸上構成部隊コマンド(multi-corps land component command)は、参加国に関連する政治的制約や国家的な制約によって大きく制約されており、対応力と行動の自由度が制限されている。

最後の選択肢は、紛争中に臨時の野戦軍を編成することである。しかし、紛争中に野戦軍司令部を編成しても、必要になった時に間に合わないため、効果的ではない(図7参照)。第二次世界大戦中、野戦軍が編成されてから計画と準備を開始するまでには1~3ヶ月を要した[56]。当時の計画と準備期間は平均3~5ヶ月であった[57]。つまり、歴史的に見て、完全に機能する野戦軍を編成するには4~8ヶ月かかるということであり、統合部隊司令官にとって陸軍が完全に準備完了するまで待つには長い時間となる。

図7. 既存の野戦軍と臨時野戦軍の概念的展開タイムラインの比較

(図は著者による)

適時性もまた決定的な要因となり得る。臨時野戦軍を編成・展開できる頃には、領土の重大な喪失を防ぐには手遅れとなっている可能性がある。例えば、日本占領任務(occupation duties)を遂行していた第8軍は、1950年の北朝鮮による韓国侵攻に即座に対応した。臨時多国籍軍を指揮した第8軍は、北朝鮮の進撃を遅らせ、最終的に釜山防衛線と朝鮮半島における米国の足場を維持する上で重要な役割を果たした[58]。即時に展開可能な野戦軍がなければ、米国は朝鮮半島を放棄せざるを得なかった可能性もある。

野戦軍の構造

最後に検討すべき問題は、野戦軍の費用である。軍が保有する野戦軍司令部は比較的小規模で、戦術に重点を置くようにデザインされるべきである。総規模は250人から400人(少ないほど良い)で、三つ星または四つ星の指揮官を擁するべきである。これは、1944年の野戦軍組織装備表に記載されている認可人員1,069人よりはるかに少ないが、第5軍のような第二次世界大戦間の野戦軍の運用人数と整合している[59]。現代の分析もこの推奨人数を裏付けている。米陸軍ヨーロッパ・アフリカ軍は最近、ヨーロッパにおける複数軍団陸上構成部隊コマンド(multi-corps land component command)としての要件を評価し、その役割には約400人から500人の人員が必要であると結論付けた[60]。陸軍地上軍が1943年7月の司令部統合の際に述べたように、「[参謀]は戦闘上の必要性のみに提供されるべきである。参謀が大規模で扱いにくい場合、作戦を迅速かつ効果的に遂行することは不可能である[61]」。この提案にも同じ原則が適用され、可能な限り、管理および支援のタスクを戦域軍に委ねるべきであることを意味する。

1944年8月から1945年5月にかけてのヨーロッパ作戦において、米第3軍に配属されたすべての軍団と師団(ただし、すべてが同時に配属されたわけではない)。現在の陸軍の戦力構成では、大規模な戦闘作戦において同様の戦力構成を指揮・統制するには、戦域軍または軍団のいずれかが必要となる。(写真は米第3軍「作戦報告書」(1944年8月1日~1945年5月9日)第1巻「作戦」(1945年)419ページより)

野戦軍は、その組織的戦力構造として司令部と司令部大隊のみを有するべきである。司令部が提案の中核を成し、司令部大隊は司令部と全ての有機的な指揮所の要素組織に管理・兵站支援を提供する。私の提案では、紛争に投入される軍団が野戦軍に配属される。例えば、ヨーロッパ紛争において、提案された野戦軍はヨーロッパ軍の責任地域に展開し、統合部隊司令官に配属され、その後、第5軍団と第3軍団が配属される。このモジュール方式は、第二次世界大戦間の陸軍地上軍が軍団と軍に用いたものと同じであり、柔軟な運用と、動的な要件に合わせてタスク編成を迅速に変更する能力を可能にする[62]

野戦軍には、主指揮所(main command post)と戦術指揮所(tactical command post)が必要である。主指揮所は「部隊司令部の一部であり、現在の作戦を指揮・統制し、詳細な分析を実施し、将来の作戦を計画するためにデザインされた参謀の大半を収容する」ものである[63]。主指揮所の要件は明白である。一方、戦術指揮所は「指示されたとおりに作戦を指揮・統制するようにデザインされている[64]」。今日の野戦軍は、第二次世界大戦と同様に、例えばサレルノおよびアンツィオの第5軍のような大規模な統合強行突入作戦、第1軍によるルール・ポケットの縮小のような分割作戦、または第5軍による全軍によるヴォルトゥルノ川渡河のような大規模複合作戦などで、戦術指揮所を使用することができる[65]。これらの指揮所は、移動可能で分散可能であり、統合ネットワークと陸軍ネットワークで有機的に通信できる必要がある。

参謀構造は旅団司令部および司令大隊より上位の階層構造に類似し、参謀(G)が用いられる。第二次世界大戦中、将官は通常、野戦軍の指揮集​​団に所属し、G-3(作戦担当参謀次長)およびG-4(兵站担当参謀次長)の長を務めた。その他の部局は主に大佐が指揮した[66]。同様の階級章による部長の配置は、G-4(現在は大佐)を除き、現在の戦域軍および軍団と概ね一致する。

等級プレートの最小化の一環として、陸軍は従属的編成を用いて野戦軍の参謀を増強することができる。このアプローチは、第二次世界大戦間の陸軍地上部隊コマンドの陸軍デザインを模倣したものである[67]。紛争において、陸軍は野戦軍に、将官主導の後方支援組織(例えば遠征後方支援コマンド)を任命することができる。この組織は、野戦軍司令官による後方支援の監督を支援する[68]。これにより、将官ではなくO-6(大佐級)を野戦軍のG-4に任命することに伴うリスクの一部が軽減される。火力支援コーディネーターについても同様である。例えば、陸軍は紛争において、野戦軍に作戦火力司令部のような将官主導の火力編成を任命することができる。この火力編成は、火力に対する将官の監督を提供し、マルチドメイン・タスク部隊(MDTF)の運用に活用され、野戦軍の火力支援コーディネーターとして機能する。G-4と同様に、これにより野戦軍にO-6(大佐級)の火力支援コーディネーターを配置することのリスクが軽減される。従属編成を使用して野戦軍を増強すると、野戦軍が従属増強司令部に特定の計画責任を委任できるため、陸軍は野戦軍司令部内の階級プレートと合計スペースを最小限に抑えることもできる。

結論

米陸軍は大規模戦闘作戦に備えるため、野戦軍司令部に投資する必要がある。「成長なし(no growth)」が米陸軍の戦力構造調整の合言葉となっている現在の政治環境では、これは困難な課題となるだろう。野戦軍司令部を埋めるために、軍の職業専門分野と階級別に正確な人員要件を決定し、適切な支払い者を特定するには、さらなる研究が必要である。1つの方法は、野戦軍司令部の発展をプログラム目標覚書(POM)の計画策定タスクとして採用し、組織メカニズムに分析を実行させることである。もう1つの方法は、将来の米陸軍の一部として、米陸軍の用兵コンセプト(warfighting concept)に採用することである。いずれにせよ、野戦軍司令部があれば、米陸軍は大規模戦闘作戦において軍団の殺傷力を最大化するための準備がより良くなり、我々の敵対者もそれを知ることになるだろう。

ノート

[1] フィールド・マニュアル(FM)3-0、運用(米国政府出版局[GPO]、2022年)、2-19。

[2] アレックス・ヴェルシニン(Alex Vershinin)著「クマに餌を与える:ロシア軍の兵站と既成事実の詳細」、War on the Rocks、2021年11月23日、https://warontherocks.com/2021/11/feeding-the-bear-a-closer-look-at-russian-army-logistics/

[3] デイヴィッド・A・シュラパック(David A. Shlapak)他著「NATO東部戦線の抑止力強化:バルト諸国防衛の戦略シミュレーション」(RAND Corporation、2016年1月29日)、https://www.rand.org/pubs/research_reports/RR1253.html ; Richard D. Hooker Jr.、「NATOの新たな指揮・統制構造」、Atlantic Council、2024年6月5日、https://www.atlanticcouncil.org/in-depth-research-reports/issue-brief/a-new-nato-command-structure/

[4] ジェームズ・レイニー(James Rainey)とローラ・ポッター(Laura Potter)著「2030年の軍隊の実現」、War on the Rocks、2023年8月6日、https://warontherocks.com/2023/08/delivering-the-army-of-2030/

[5] エマ・チャンレット=エイブリー(Emma Chanlett-Avery)他著「北朝鮮の挑戦:議会にとっての軍事的選択肢と課題」(議会調査局[CRS]、2017年11月6日)、https://crsreports.congress.gov/product/pdf/R/R44994;アラン・R・ミレット(Allan R. Millett)著「侵略と反侵略、1950-1951」、ブリタニカ百科事典、2025年8月26日更新、https://www.britannica.com/event/Korean-War/Invasion-and-counterinvasion-1950-51;ケネス・カッツマン(Kenneth Katzman)他著「米イラン紛争と米国政策への影響」(CRS、2020年5月8日)、https://crsreports.congress.gov/product/pdf/R/R45795

[6] ウィリアム・E・ラップ(William E. Rapp)著「民軍関係:戦略策定における軍事指導者の役割」、Parameters45、第3号(2015年9月):13~26、https://press.armywarcollege.edu/parameters/vol45/iss3/4/

[7] 「大規模地上戦闘作戦研究」、PowerPoint プレゼンテーション、米国陸軍訓練ドクトリン・コマンド (TRADOC)、2019 年、https://armyeitaas.sharepoint-mil.us/:p:/r/sites/TR-CAC-CACT-MCTP-OGB/_layouts/15/Doc.aspx?sourcedoc=%7B28D9BCA4-D41A-4B7C-A4A8-61D5B65A2C9B%7D&file=LSCO%20Gap%20Study%20V5).pptx&action=edit&mobileredirect=true&DefaultItemOpen=1

[8] トーマス・C・シェリング(Thomas C. Schelling)著「武器と影響力」(イェール大学出版局、1966年)、3-4頁。

[9] FM 3-0「作戦(OPERATIONS)」2-17。

[10] FM 3-0「作戦(OPERATIONS)」2-17。

[11] FM 3-0「作戦(OPERATIONS)」6-1。

[12] 統合出版物(JP)3-31、「統合陸上作戦(Joint Land Operations」(米国GPO、2019年10月3日、変更2を組み込んで2023年3月31日)、II-10。

[13] 陸軍技術出版物(ATP)3-92、「軍団作戦(Corps Operations」(US GPO、2016)、I-2。

[14] 第5軍団(https://www.vcorps.army.mil/About-Us/Mission-History/ ) はヨーロッパに特化しており、第1軍団 ( https://www.army.mil/ICorps#org-about ) はインド太平洋に特化している。

[15] ロジャー・ウィッカー(Roger Wicker)著「強さを通じた21世紀の平和:米軍への世代的投資」(米国上院、2025年)、https://www.wicker.senate.gov/services/files/BC957888-0A93-432F-A49E-6202768A9CE0

[16] ヨーロッパでは第5軍団、インド太平洋では第1軍団、そして紛争では第18軍団と第3軍団が戦術軍団である。

[17] トーマス・ヘイドック(Thomas Haydock)他著「ロシア・ウクライナ戦争から学ぶ再建の教訓:変革的再建による非対称優位の獲得」「ミリタリー・レビュー」 105巻5号(2025年1-2月):26-41ページ、https://www.armyupress.army.mil/Portals/7/military-review/Archives/English/January-February-2025/Lessons-in-Reconstitution/Lessons-in-Reconstitution-UA.pdf

[18] TRADOCパンフレット525-92、「作戦環境2024〜2034(The Operational Environment 2024–2034」(TRADOC、2024年12月)、https://rdl.train.army.mil/catalog-ws/view/100.ATSC/26EDC9BD-A6C6-4BD8-B663-88DB4528F896-1734185694520/TP525-92_Final.pdf

[19] JP 3-31、「統合陸上作戦(Joint Land Operations」II-10。

[20] ジョン・ボニン(John Bonin)著「現実より上の階層:軍隊、軍隊集団、戦域軍隊/陸軍サービス構成コマンド(ASCC)」「成功の鍵:旅団より上の階層における指揮技術の歴史的事例研究」ケルビン・クロウ(Kelvin Crow)、ジョー・R・ベイリー(Joe R. Bailey)編(陸軍大学出版、2017年)、259ページ。

[21]FM 3-93、「戦域陸軍作戦(Theater Army Operations」(米国政府印刷局、2011年)、3-1;ピーター・B・ヘグゼス(Peter B. Hegseth)の国防長官への指名予定に関する確認公聴会の実施について、第119議会(2025年1月14日)、2:40:43、https://www.rev.com/transcripts/pete-hegseth-senate-confirmation-hearing

[22] ATP 3-93、「戦域陸軍作戦(Theater Army Operations」(US GPO、2021)、1-1。

[23] ATP 3-93、「戦域陸軍作戦(Theater Army Operations」1-2。

[24] 米軍ヨーロッパ戦域統制委員会報告書「ヨーロッパ戦域の組織」、ヨーロッパ戦域の組織に関する研究第2号(統制委員会、1943年)付録23、2~3、https://carlcgsc.libguides.com/ld.php?content_id=52563394

[25] 米軍ヨーロッパ戦域司令部報告書、「HQ ETO USA」、通信地帯の組織と機能の第1章、研究番号127(司令部、1945年2月12日)、付録8~43、https://carlcgsc.libguides.com/ld.php?content_id=52621666。通信区の職員数は約10,650人:11人(指揮グループ)、93人(G-1)、136人(G-2)、168人(G-3)、221人(G-4)、86人(G-5)、73人(法務官)、220人(陸軍参謀総長)、98人(化学)、712人(需品係)、1,666人(通信)、372人(軍医)、1,000人(輸送・SWAG)、505人(工兵)、919人(兵器)、123人(憲兵司令官)、32人(監察総監)、15人(対空)、11人(砲兵)、10人(装甲)、119人(一般調達)、46人(広報)、50人(請求)、98人(陸軍交換)、13人(軍事)労働)、再展開10名、歴史家43名、G-8(第8師団)422名、司令部コマンド2,170名、特殊部隊・情報部隊770名、牧師15名、地上軍増強司令部400名、航空部隊7名、連絡部隊16名。この数字には、通信地帯の運用部門であるセクション・コマンド(現代の戦域軍における戦域後方支援コマンドのような役割)は含まれていない。セクション・コマンドは、連合軍3集団(合計約300万人)を支援した。この比率は1:282(通信地帯:兵士)である。

[26] 完全に機能している 2 つの軍団とそれを支援する野戦軍を合わせると、およそ 10 万人の兵士に相当すると想定される。

[27] ケビン・C・ベンソン(Kevin C. Benson)著「勇気の期待:イラク戦争への計画策定」(ケースメイト出版社、2024年)、36-47ページ。

[28] エリック・S・エデルマン(Eric S. Edelman)他著「NATOの意思決定プロセスにはアキレス腱がある」、New Atlanticist(ブログ)、大西洋評議会、2024年3月12日、https://www.atlanticcouncil.org/blogs/new-atlanticist/natos-decision-process-has-an-achilles-heel/ ; NATO Allied Command Transformation「統合戦力開発実験とウォーゲーミング部門ファクトシート – 複数軍団陸上構成部隊コマンド(multi-corps land component command: MC LCC)」、NATO、2025年9月8日にアクセス、https://www.act.nato.int/wp-content/uploads/2023/05/EWB_Fact_Sheets_2022_EX_Multi_Corps_Land_Component_Command_Concept.pdf ;ギャレス・ジョーンズ、「NATO、東フィンランドに北部陸上司令部を設置」、ロイター、2024年9月27日、https://www.reuters.com/world/europe/nato-set-up-northern-land-command-eastern-finland-2024-09-27/ ; 「NATO複数軍団陸上構成司令部(MCLCC)の北部設置が同盟国の防衛計画を促進」、フィンランド国防軍、2024年9月27日、https://puolustusvoimat.fi/en/-/nato-multi-corps-land-component-command-mclcc-in-the-north-fosters-defence-planning-of-the-alliance

[29] ヤマサクラ87合同統合情報局、「ヤマサクラ三極同時戦闘員演習の日本での実施」、米陸軍、2024年12月5日、https://www.army.mil/article/281784/trilateral_iteration_of_yama_sakura_concurrent_warfighter_exercise_to_launch_in_japan

[30] 米陸軍ヨーロッパ・アフリカ軍、「米国、NATO同盟国およびパートナーがアベンジャー・トライアド24演習に参加」プレスリリース、2024年9月5日、https://www.europeafrica.army.mil/ArticleViewPressRelease/Article/3892335/press-release-us-nato-allies-and-partners-to-participate-in-exercise-avenger-tr/

[31] テリー・ウェルチ(Terry Welch)著「USAREUR-AFがAUSAでNATO収束に関するフォーラムを主導」、米陸軍、2024年10月16日、https://www.army.mil/article/280539/usareur_af_leads_forum_on_nato_convergence_at_ausa

[32] 合衆国法典第10編 § 7013(2018)。

[33] 合衆国法典第10編 § 7013(b)。陸軍長官には12の職務が割り当てられており、そのうち10は戦域レベルに委任されている。すなわち、組織、補給、装備、訓練、サービス、動員、動員解除、管理(統一軍事法典を含む)、軍事装備の整備と修理、不動産の取得、建物の建設、維持、修理である。

[34] JP 1「統合部隊(The Joint Force」第2巻(US GPO、2020年)、GL-4。

[35] FM 3-94「軍、軍団、師団作戦(Armies, Corps, and Division Operations 」(US GPO、2021)、1-14。

[36] FM 3-94「軍、軍団、師団作戦(Armies, Corps, and Division Operations 」B-2。

[37] 陸軍省作戦担当副参謀総長の覚書「1970~1980年野戦陸軍の構想、陸軍80」、米国陸軍戦闘開発司令部、1963年8月7日起草。

[38] ベンソン(Benson)著「勇気の期待」、85。

[39] FM 3-0「作戦(Operations」図6-2。

[40] 米第7軍「7軍の歴史、第2部、第27章から第31章、第4段階」(米第7軍、nd)、1187、https://cdm16040.contentdm.oclc.org/digital/collection/p4013coll8/id/4739/rec/1

[41] 米第1軍、作戦報告書、1945年2月23日~5月8、第1巻(米国政府印刷局、1946年)、77、https://cplorg.contentdm.oclc.org/digital/collection/p16014coll14/id/1883

[42] 陸軍教訓センター(CALL)「2023会計年度ミッション・コマンド大規模戦闘作戦における訓練の主要な観察」(CALL、2024)、8~11、https://www.army.mil/article/274300/fy_23_mission_command_training_in_large_scale_combat_operation_key_observations

[43] ミルフォード・ビーグル(Milford Beagle)他著「指揮所の墓場:チョルノバイウカが大規模戦闘作戦における指揮・統制について教えてくれること」Military Review Online Exclusive(2023年3月28日)、14、https://www.armyupress.army.mil/journals/military-review/online-exclusive/2023-ole/the-graveyard-of-command-posts/

[44] ケント・ロバーツ・グリーンフィールド(Kent Roberts Greenfield)他著「陸軍地上部隊:地上戦闘部隊の組織」、第二次世界大戦におけるアメリカ陸軍(1947 年;軍事史センター復刻版、1987 年)、291、https://history.army.mil/portals/143/Images/Publications/catalog/2-1.pdf

[45] グリーンフィールド(Greenfield)他著「地上戦闘部隊の編成」、291。

[46]「新たな時代の幕開け」、米陸軍、2024年10月4日、https://home.army.mil/drum/about/news/news-archives-october-2024/beginning-new-era

[47] 米第1軍作戦報告書、1945年2月23日~5月8、第2巻(米国政府印刷局、1946年)、106ページ。

[48] ロバート・パーマー(Robert Palmer)著「地上部隊の戦闘のための再編成」、陸軍地上軍研究第8号(歴史セクション、陸軍地上軍、1946年)、76、https://cgsc.contentdm.oclc.org/digital/collection/p4013coll8/id/4497/ ; 米第1軍、作戦報告書、1:94。

[49] 陸軍ドクトリン、特にATP 3-92「軍団作戦」によれば、統合タスク部隊司令部(HQ)は軍団が望ましい。しかし、既に述べたように、このシナリオでは利用可能な軍団司令部はない。戦域軍も統合タスク部隊HQの役割を果たすことはできるが、陸軍部隊の指揮責任があるため、これも利用できない。最後に、師団も統合タスク部隊HQの役割を果たすことはできるが、装備が最も少なく、特に複数軍団による闘いにおいては、大規模戦闘作戦における統合タスク部隊HQとしては理想的ではない(階級プレートの観点から)。

[50]合衆国法典第10編 § 164 (2018)。例えば、クリストファー・G・カヴォリ(Christopher G. Cavoli)将軍が米国下院軍事委員会に提出した米国ヨーロッパ軍に関する姿勢声明には、ヨーロッパにおける進行中の活動が多数列挙されている。「米国軍の態勢とヨーロッパにおける国家安全保障上の課題に関する下院軍事委員会における声明」(第118議会、2024年4月10日)(米国ヨーロッパ軍、クリストファー・G・カヴォリ将軍の声明)を参照。https ://armedservices.house.gov/sites/evo-subsites/republicans-armedservices.house.gov/files/USEUCOM%20GEN%20Cavoli%20CPS_HASC_2024.pdf

[51] チャド・ピライ(Chad Pillai)(大佐、米陸軍ヨーロッパ・アフリカG-5計画部長)、著者への電子メール・メッセージ、2025年3月25日;ATP 3-92、「軍団作戦(Corps Operations」(US GPO、2016)、4-1。

[52] FM 3-94「軍、軍団、師団作戦(Armies, Corps, and Division Operations 」(米国GPO、2021年)、B-1。

[53] FM 3-94「軍、軍団、師団作戦(Armies, Corps, and Division Operations 」3-23。

[54] ティモシー・オリゲス(Timothy Olliges)(少佐、第8軍国家安全保障法の責任者)、著者への電子メール・メッセージ、2025年9月10日。

[55] ウェルチ(Welch)著「NATOの収束」

[56] クラーク(Clark)著「計算されたリスク(Calculated Risks), 145. 第5軍は約1ヶ月で立ち上がった。「Mark. W. Clark Diary, December 2, 1942 – January 5, 1943」、The Citadel Archives Digital, 159、2025年9月9日閲覧、https://citadeldigitalarchives.omeka.net/items/show/806。しかし、その参謀のほとんどは第2軍団出身であったため、実質的には別の軍団司令部を設置するという選択肢があった。米第3軍「行動後の報告1944年8月1日~1945年5月9日ボリューム1「作戦」(After Action Report, 1 August 1944–9 May 1945 , vol. 1, The Operations (米第3軍 1945年), 1, https://cdm16040.contentdm.oclc.org/digital/collection/p4013coll8/id/2199/rec/1。既に存在していた第3軍司令部は、アメリカからイギリスへの展開準備に3ヶ月を要した。レナード・T・ゲロウ(Leonard T. Gerow)著「15米陸軍の歴史1944年8月21日から1945年7月11日(History of the Fifteenth United States Army, 21 August 1944 to 11 July 1945 (Fifteenth US Army, 1945), 6–10, https://cdm16040.contentdm.oclc.org/digital/collection/p4013coll8/id/2977/rec/1。既存の第4軍から編成された第15軍は、アメリカからスコットランドへの展開準備に約2ヶ月半を要した。米第6軍、「レイテ作戦報告書、1944年10月20日から1944年12月25」(米第6軍、1944年)、1~2ページ、https://cdm16040.contentdm.oclc.org/digital/collection/p4013coll8/id/3168/rec/1。第6軍は編成され、約1ヶ月後にオーストラリアでの作戦を開始した。

[57] 米第5軍「5軍史」第1巻「ナポリ陥落までの活性化、1943年1月5日~10月6日」(米国政府印刷局、1945年)、13、https://cgsc.contentdm.oclc.org/digital/collection/p4013coll8/id/1451。第5軍は最終的に、シチリア島またはイタリアへの侵攻の計画と準備に8ヶ月以上を費やしたが、実行に移す前に北アフリカでドイツ軍が敗北するのを待たなければならなかったため、さらに時間がかかった。第3米軍「戦闘後報告書」1。第3軍はオーバーロード作戦の計画に約3ヶ月半を費やした。米第7軍、「第7軍史、南フランス侵攻、第一段階(米第7軍、nd)、1~2、https://cdm16040.contentdm.oclc.org/digital/collection/p4013coll8/id/5725/rec/3。第7軍は、アンヴィル作戦と南フランス侵攻の当初の予定日に向けて5か月かけて計画と準備を行った。米第6軍、「レイテ作戦報告書」、17。第6軍のレイテ侵攻の計画と準備には約3か月を要した。ジェロー、「15米軍史」、10~15。第15軍は、スコットランドで約2か月の計画と準備を行った後、フランスで作戦を開始した。

[58] ウォルター・T・ハムIV(Walter T. Ham IV)著「第8軍が釜山国境防衛隊を表彰」、米陸軍、2013年9月17日、https://www.army.mil/article/111382/Eighth_Army_honors_Pusan_Perimeter_defenders/

[59] 米軍ヨーロッパ戦域総監部報告書、陸軍本部および本部中隊の組織に関する報告書、研究番号24(総監部、1943年)、1~2、https://carlcgsc.libguides.com/ld.php?content_id=52565934 ; 「マーク・W・クラークの日記、1943年1月6日~1943年2月25日」、5、シタデル・アーカイブス・デジタル・コレクション、2025年9月9日にアクセス、https://citadeldigitalarchives.omeka.net/items/show/825 。

[60] ピライ(Pillai)、電子メール・メッセージ。

[61] パーマー(Palmer)著「地上部隊の戦闘のための再編成」、82 ページ。

[62] グリーンフィールド(Greenfield)他著「地上戦闘部隊の編成」、363。

[63] FM 6-0「指揮官および参謀の組織と作戦(Commander and Staff Organization and Operations」(US GPO、2022)、7-5。

[64] FM 6-0「指揮官および参謀の組織と作戦(Commander and Staff Organization and Operations」7-6。

[65] 米第5軍、「野戦命令第4号、1943年9月19日」、5軍史、1:87;クラーク著、「計算されたリスク」、296;米第1軍、「作戦報告書」、2:76–77;米第5軍、「第5軍史」第2巻、「ヴォルトゥルノを越えて冬季戦線へ、1943年10月7日~11月15日」(米国政府印刷局、1945年)、15–16、https://cgsc.contentdm.oclc.org/digital/collection/p4013coll8/id/1410

[66] 米第1軍、作戦報告書、1:iii–xv。例えば、1944年の第第1軍は、指揮グループG-1、G-2、G-3、G-4、G-5、副官、対空部隊、宣伝・心理戦部隊、砲兵部隊、牧師、化学戦部隊、工兵、特殊部隊司令部、監察総監、兵器部隊、機甲部隊、財務部隊、司令部指揮部隊、法務長官、医療部隊、憲兵元帥、補給部隊、通信部隊、特殊任務部隊から構成されていた。

[67] グリーンフィールド(Greenfield)他著「地上戦闘部隊の編成」、260。

[68] これは、戦域後方支援コマンドを持つ現在の戦域軍と、軍団後方支援コマンドを持つ軍団に対して陸軍がアプローチする方法と似ている。