COVID-19はアーバンエアモビリティの年を遅らせるか

掲載:2020年4月7日
作成:フォーキャストインターナショナル(FI)社
投稿:Steven Montes FI社アナリスト
(この論評は米国人のアナリストが米国内に向けて出したブログです)

The Year for Urban Air Mobility May Be Delayed by COVID-19
April 7, 2020 – by Steven Montes

アーバンエアモビリティ(UAM)(注:都市航空交通)市場は、2020年にターニングポイントに達した。
新しい10年の始まりとともに、個人用パーソナルフライトの可能性がより現実のものとなってきた。
多くのUAM企業がこの10年間に事業化を望んでいるため、2020年はその業界の多くの者にとって重要な年になるもので、将来のより大きなロードマップを示し続けることになるだろう。
かつては新興企業が優位を占めていた専門化された市場は、急速な成長と外部勢力による投資がみられてきた。
以前は、ボーイングなどの伝統的な航空宇宙企業が注目を集めていきたが、2020年は、他の業界のリーダーが時間とリソースをパーソナルフライトの将来性に投入すること不安視していないことが目立っている。

今年は、自動車メーカーの巨人であるヒュンダイが参入するとの大きな発表から始まった。
その韓国の自動車メーカーは、エンジニアの大量の予備軍と長年の経験をもたらすのみならず、低コストで広範な製造経験をUAMの世界にもたらすものとなる。
S-A1と呼ばれる4人乗りの車両の計画を発表したとき、ヒュンダイはさらに、それがウーバー・エア・プログラムの8番目のパートナーになる予定であることを明らかにした。

ウーバー・エレベーターは、Jauntのローター減速エアクラフト(ROSA)のJauntエアモビリティと提携。画像– エアモビリティ LLC

 

ウーバーは、近い将来UAMを支える最大の力であり続けるだろう。
ライドシェアの巨人は、ソフトウェア開発者から自動車開発者まで、大小さまざまな企業と提携して、ライドシェアの世界に革新をもたらしている。
ウーバーは、これらのパートナーシップを利用して、スマートフォンアプリを使用して人々がアクセスできる電気式垂直離着陸(eVTOL)車両のライドシェア・ネットワークとしてウーバー・エアサービスを開始したいと考えている。

ウーバーのこの市場への影響は、この分野を推進する最大の民間企業であるため、軽視することはできない。
ウーバーは、ここ10年の半ばまでに、新しいサービスを開始することを望んでおり、UAM車両の将来に備えた堅牢なネットワークを確保するためNASAなどの政府機関と連携している。
今年は、将来のウーバーのビジョンにおける重要なターニングポイントとなる。
同社は最近、2023年までにロサンゼルスとダラスでサービスを開始するという野心的な目標を掲げ、今年もさまざまな都市での飛行試験の計画を継続したいとしていた。
これの多くはまだ計画段階にあるが、COVID-19のパンデミックにより、これらの目標のタイムラインが後退する可能性がある。

COVID-19の影響

COVID-19の影響に対処しなければ、2020年の議論にならない。

このウイルスにより、業界全体が減速に直面した。
最も顕著なUAM市場に関しては、エアバス社の所有するUAMのVoomは、現場のCOVID-19を閉鎖の主な要因として挙げて、3月末に操業停止した。
しかし、これにも関わらず、一部のUAM企業は、世界的な不確実性のある時代にユニークな利益を社会に提供することを見せている。

フォ-キャスト・インターナショナルが以前から報告しているように、中国の会社eHangは、UAMのために使用される技術は、人的交流を制限する必要のある危機の際に利益をもたらすことができることを示した。
その中国の会社は、自動化された車両を使用して、中国広西省の河州市のさまざまな病院に物資や医療専門家をリモートで飛ばした。
感染の増加を防ぐためにソーシャル・ディスタンスがキーとなる時に、個人用の車両は、公衆を避けながら場所から場所へ移動する必要がある医療専門家に最適な輸送手段を提供する。

UAMのすべての方式の目標は、最終的にはeHang 214のようなパイロットレス飛行を行うことであり、つまり、近代的なライドシェアリング、公共交通機関、およびその他による通勤・通学に伴う現在のリスクである病気の拡散の可能性を制限しようとするものである。
UAMが広範に採用される将来、消毒のために中央のハブに戻る方向を取る前に、パイロットのいない車両が路線を行き来する乗客を飛ばすことが必要となる。
これらの問題からパイロットを取り除くことで、病気の広がりを最小限に抑えることに役立つ。

さらに、UAMの個別に取り扱われる性質により、地下鉄やバスなどの大規模な公共交通システムが直面する消毒の課題は現れない。
バスや地下鉄の場合、運行のための清掃を行うためタイムリーな操業停止が必要だ。
これらの消毒期間は長く、運行を中止することが必要である。
自動化されたeVTOLSの全車両は、すべての乗車の後に休止し、それらをきれいに保つプロセスをはるかに簡単にすることが期待でき、加えて、乗客間の人的交流を制限出来る。

NASAのアーバンモビリティグランドチャレンジに関わる要素の一部。画像– NASA

 

今年はUAM業界にとって極めて重要な年であり続けるだろう。

COVID-19の集団発生に関連するすべての混乱に加えてウーバー・エアーのパートナーのテストフライトは、NASA UAMグランドチャレンジの最初のフェーズでもある。
グランドチャレンジは、UAMの将来に必要とされるインフラストラクチャとテクノロジーへのすべての貢献を果たす政府機関と民間機関のネットワークを構築するよう設計されている。
以前にフォーキャストインターナショナルによって報告されたように、17のNASAパートナーがグランドチャレンジのこの第1フェーズに協力する予定である。
このチャレンジからはまだ多くのことが分らないが、安全性と相互接続性の目標は、このNASAプロジェクトの核心である。

とりわけ、2020年はUAMの最大の年となるだろう。
主要なプレーヤーが市場に参入しており、業界全体でコラボレーションとパートナーシップが見られる。
中国の会社eHangは、ヨーロッパの都市と提携し、地球上の至る所で活動している。
航空輸送の空き地への投資家は、UAMインフラストラクチャに投資している。
今年の残りの9か月がUAMに何を予定しているかは分らない。
COVID-19危機の間の世界的な不安にもかかわらず、UAMはその進路でとどまる会社ではない。
それは一時的な流行ではなく、航空の次のステップであることが証明されている。
これらのトレンドは発展し続けているため、フォーキャストインターナショナルは、業界の最前線に立ち、最新のニュースを届け続けることを保証する。(黒豆芝)