ロシアの認知戦入門 (INSTITUTE FOR THE STUDY OF WAR)
MILTERMでは、認知戦について紹介してきている。この度、戦争研究研究所(ISW)がロシアの認知戦の入門編を取りまとめ公表したので紹介する。ロシアの認知戦を体系的に理解するには大変有効な文書であると考える。(軍治)
ロシアの認知戦入門
A Primer on Russian Cognitive Warfare
Nataliya Bugayova and Kateryna Stepanenko
June 30, 2025
ISW Press
ナタリア・ブガヨワ(Nataliya Bugayova)は戦争研究研究所(ISW)の非駐在ロシア・フェロー。以前は戦争研究研究所(ISW)のロシア調査チームを率い、戦争研究研究所(ISW)のロシアに関する詳細な報道の基礎となる分析枠組みの構築に貢献した。クレムリンの意思決定、情報作戦、ウクライナからアフリカに至る世界的な戦役を中心に分析している。また、米国のOSINTテクノロジー企業であり、戦争研究所(ISW)のテクノロジー・パートナーでもあるバベル・ストリートの戦略インテリジェンス・ディレクターも務めている。
カテリーナ・ステパネンコ(Kateryna Stepanenko)は、戦争研究研究所(ISW)のロシア担当チーム副リーダー兼アナリスト。カテリーナ(Kateryna)は、2022年2月から毎日発行されている「ロシアの攻勢作戦評価」を制作するチームの主要メンバーであり、以前にはウクライナに対するロシアの全面侵攻準備に関する分析を担当していた。また、戦争研究研究所(ISW)がウクライナにおける地形支配状況を評価した地図の制作にも協力している。カテリーナ(Kateryna)はキーウ出身で、ロシアの情報空間とクレムリンに関する研究を、戦争研究研究所(ISW)の戦争に関する日次報道に統合している。
エグゼクティブ・サマリー
認知戦を理解することは、米国にとって国家安全保障上の必須要件である[1]。認知戦(cognitive warfare)とは、闘いを伴わず、あるいは通常よりも少ない軍事力で戦略的目標を確保するために、敵の思考、意思決定、そして最終的には行動に影響を与えることに重点を置いた戦いの形態(a form of warfare)である。中国、ロシア、イラン、北朝鮮は、米国の意思決定を左右するために、米国に対して認知戦をますます利用している。認知戦は打ち破ることができる。
米国とその同盟国は、体系的な認識と、そもそも米国の敵対者が認知戦に頼る原因となっている弱点を突くことで、敵対者の認知戦を無効化(neutralize)することができる。認知戦は、単なる誤った情報(misinformation)や偽情報(disinformation)にとどまらない。選択的かつ部分的な真実をメッセージに盛り込むなど、様々な手段を用いる。これらの手段は、経済活動、外交活動、軍事行動、さらには大規模な戦闘作戦と統合されることがよくある。認知戦は、直接的な武力行使ではなく、敵対者の世界の知覚(perceptions of the world)や意思決定に影響を与えることでその狙い(aims)を達成することに重点を置いている点が特徴である。
ロシアは認知戦空間における主要プレーヤーであり、中国、イラン、北朝鮮のモデルとなっている。ロシアは、ウクライナ戦争の促進、西側諸国の意思決定の形成、ロシアの目標の曖昧化、ウラジーミル・プーチン大統領の体制維持、そしてロシアの弱点の隠蔽に、認知戦を効果的に活用してきた。
認知戦は、ロシアの戦争、統治、そして占領の方法である。ロシアの認知戦の到達目標、手段、そして影響は、戦術的レベルでは偽情報よりもはるかに強力である。ロシアの認知戦とは以下のとおりである。
・ 戦争の方法(way of war):ロシアの戦争の方法(way of war)は、戦争の勝敗は相手の心次第という考えに基づいている。クレムリンの主な取組みは、ロシアの物理的な能力だけでは達成できない狙い(aims)を達成するために、相手の意思決定を形作ることである。最も重要なロシアの戦略は、その用兵戦略(warfighting strategy)ではなく、むしろ、モスクワが望むように世界を見させ、クレムリンが作り出した現実の知覚(perception of reality)に基づいて意思決定を行わせるというクレムリンの戦略である[2]。
・ 統治の方法(The way of governance):クレムリンは、体制の支配と安定を維持するために、ロシア国内およびロシアが不法に占領している領土において情報戦争(information war)を繰り広げてきた。ロシアの国内情報作戦と対外情報作戦は、互いに独立しているものの、相互に作用し合っており、個別に理解することは不可能である。クレムリンによる国内情報統制は、ロシアの海外における軍事活動のための資源を生み出すことに役立っている。
・ 必要性から生まれた(Born out of need):ロシアは弱いわけではないが、到達目標に対して相対的に弱い。クレムリンは認知戦を用いて到達目標と手段のギャップを埋める。ロシアの認知戦の主たる目的は、現実世界でロシアが実際に発揮できる力よりも多くの勝利を、より低いコストで得られるような現実の知覚(perception of reality)を生み出すことである。
・ ターゲットの推論(Targets reasoning):ロシアの認知戦の主たる目標は、敵対者の意思決定に影響を与え、我々の行動意欲を削ぐことである。クレムリンは、米国とその同盟国のロシアへの抵抗意欲と能力を低下させ、その狙い(aims)を達成するための障壁を下げようとしている。ロシアは、モスクワがより多くの到達目標を達成するために、敵対者の行動を少なくする必要がある。クレムリンは認知戦を利用して、ロシアの前提と行動を闘うのではなく、単に受け入れる世界を作り出す。
・ メディアを超えて(Beyond media):ロシアは、メディア、会議、国際的な枠組み、外交ルート、個人など、ナラティブ(narrative)を伝えるあらゆるプラットフォームを認知戦の道具として利用している。
・ 情報手段を超えて(Beyond information means):ロシアの認知戦は物理的な活動によって支えられている。これらの物理的な手段には、軍事演習、破壊工作(sabotage)、サイバー攻撃、戦闘作戦、そしてロシアの軍事力と戦場の進展の誇張が含まれる。
・ 戦域横断と世代横断(Cross-theater and multigenerational):ロシアの情報作戦は数十年にわたり、地理的にも広範囲に及んでいる。ロシアの認知戦の影響は、ロシアが情報作戦を開始してから数年後に現れる可能性がある。ロシアは数十年にわたり、一連のナラティブ(narrative)を厳選して活性化したり非活性化したりすることで、クレムリンの変化する要求に適応させている。
・効果的だが、限界がある(Effective, but only to a point):認知戦によって、ロシアは従来型の戦力だけでは不可能だったであろう成果を上げることができた。しかしながら、ロシアの認知戦は常に効果的というわけではなく、ロシアの情報作戦は部分的にしか成功せず、失敗し、さらには裏目に出ることもある。
・ 絶え間ない追求(A constant pursuit):ロシアは常に情報空間における主導性のために闘っている。その主導性は永続的なものではなく、争われる可能性がある。
・ 脆弱性(A vulnerability):クレムリンは認知戦に過度に依存している。クレムリンが対外的に目標を達成できるかどうかは、西側諸国がロシアの現実に関する主張をどれだけ受け入れるかに大きく依存している。プーチン大統領の地位もまた、彼の統治に代わる選択肢はより劣悪であるか、あるいはそれを獲得するにはあまりにもコストがかかりすぎるという知覚(perception)を維持できるかどうかに一部依存している。
・ 予測可能であり、したがってターゲットにできる(Predictable, hence targetable):ロシアの認知戦は、長年変わっていないクレムリンの戦略的狙い(strategic aims)を支えている。この事実は、防御と攻撃の機会を生み出している。また、クレムリンは事前に決められた一連のメッセージに依存しているため、新たな情報作戦に迅速に転換することが困難である。
米国はロシアの認知戦に対称的に対抗すべきではない。ロシアの認知戦から身を守る鍵は、戦略的推論のレベルで対処しつつ、ロシアの戦術的な偽情報作戦を追及したいという衝動を抑えることである。個々の虚偽のナラティブ(narrative)を暴くだけでは、ロシアの認知戦の戦術的レベルにしか対処できず、ロシアの認知戦に対抗するには不十分である。
米国とその同盟国は、クレムリンがいかなる時においても、そして何世代にもわたって、我々にどのような前提を信じさせようとしているのか、我々のどのような決定を形作ろうとしているのか、そしてどのような狙い(aims)のためにクレムリンが我々に信じさせようとしているのかを理解すべきである。そうすれば、米国とその同盟国は、クレムリンが我々にロシアに有利な結論を導き出させようとする際に、まさにその前提を拒絶することで、ロシアの認知戦から身を守ることができる。
第1節:歴史的文脈
ロシアの認知戦はプーチン政権よりずっと前から始まっているが、プーチンは統治と戦争の両方においてこの能力に大きく依存してきた。
統治(Governance)。プーチン大統領は就任当初からロシアにおける情報統制を模索してきた。2000年のプーチン大統領就任から数日後、ロシア治安当局はロシアの大手独立系テレビ局を家宅捜索した[3]。プーチン大統領は2003年までにロシアのメディアに対する国家統制を確立した[4]。クレムリンは2000年以降、毎年新たな形態の情報統制を導入してきた[5]。現在のロシアでは、クレムリンの政策に反すると思われるあらゆる表現が処罰されており、プーチン大統領はウクライナへの本格的な侵攻を開始して以来、検閲を強化している[6]。
例えば、ロシア政府は、2025年にロシアがウクライナに戦争を仕掛けるとの抗議として19世紀のウクライナ詩を用いたとして、ロシアの10代の少年に有罪判決を下した[7]。クレムリンによる国営インスタント・メッセージング・プラットフォームの構築は、国内通信の監視拡大に向けた最新の試みの一つである[8]。
戦い(Warfare)。ロシアの認知戦は、ソ連時代の「反射的統制(reflexive control)」というコンセプトに根ざしている[9]。ソ連の数学者ウラジーミル・ルフェーブル(Vladimir Lefebvre)は1967年、「反射的統制」を、意思決定の根拠をある敵から別の敵へと移すプロセスと定義した[10]。言い換えれば、クレムリンは敵にロシアの前提を受け入れさせ、その前提に基づいてロシアに有利な決定を導き出そうとしている。
例えば、プーチン大統領は、ウクライナのNATO加盟協議が2021年にロシアにとって差し迫った危険をもたらすという誤った主張(戦争研究所(ISW)をはじめとする他の団体が否定した主張[11])を取り上げ、ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始する正当性があるとの誤った結論に結びつけた。プーチン大統領はこの誤った主張を引き続き利用し、ウクライナとの戦争におけるロシアの責任を免除し、和平交渉において米国とウクライナから譲歩を引き出そうとしている[12]。
ロシアはソ連のメッセージ戦略と実装を再利用している。核兵器、艦隊、ミサイルシステムといった従来型の力を誇示することは、ソ連が西側諸国に対する戦略的メッセージ発信において頻繁に用いた戦術である[13]。クレムリンは2013年と2014年に、国営通信社TASS(ソ連電信通信社:Telegraph Agency of the Soviet Union)の到達範囲と能力の拡大に投資した。TASSはソ連国内外のプロパガンダの情報源であり、ソ連統治時代には116カ国に拠点を置いていた[14]。ロシアは外交ルートを通じて西側諸国の指導者に影響を与えてきた。ソ連も同様に、外交ネットワークやスパイ活動といったいわゆる「積極的手段」を用いて自国の利益を推進した[15]。
ロシアの認知戦能力は、1991年のソ連崩壊後も低下しなかった。これは、1990年代に低下した従来型の軍事能力とは対照的である。ロシア軍における反射的統制と情報作戦に関する言説は1990年代を通じて継続され、ロシアのインテリジェンス機関は海外での情報作戦を継続した[16]。クレムリンは1990年代、バルト諸国の西側諸国への統合を阻止しようと試みたが失敗に終わり、ソ連崩壊によって旧ソ連諸国を統制するというロシアの到達目標や、その到達目標達成のために認知戦を利用する意欲が変化することはなかったことを示している[17]。
プーチン政権下では、ロシアの戦争の方法(way of war)は、戦争の勝敗は相手の心理状態によって決まるという考え方をますます反映するようになった[18]。プーチンは長年にわたり、世界とロシア国内における近く絵を形成する能力(ability to shape perceptions)の強化を最優先課題としてきた。プーチンは2000年に情報安全保障ドクトリンを採択し、他国によるロシアへの心理的影響からの防衛を重視した[19]。旧ソ連諸国における腐敗政権に対する一連の平和的な抗議活動、例えば2003年のジョージアのバラ革命や2004年のウクライナのオレンジ革命などを受けて、クレムリンは認知戦への取組みを強化した。
ロシアの隣国が透明性の高い西側諸国型の統治を目指していることは、ロシアがこれらの国々を支配するという到達目標を脅かしており、プーチン大統領はこの動きを自らの政権への脅威と捉えていた。プーチン大統領は長年にわたり、クレムリンは「ロシアで同様のことが二度と起こらないよう、必要なあらゆる措置を講じるべきだ」と強調してきた[20]。クレムリンは、ウクライナをはじめとする旧ソ連諸国におけるロシアの影響力低下を阻止し、反転させるための一連の情報作戦を開始した。クレムリンは2004年という早い時期にウクライナの分離主義に関するナラティブ(narrative)に着目し、10年後の2014年にはウクライナ東部と南部の制圧を狙いとしたハイブリッド作戦、そしてその後2022年には本格的な侵攻作戦の基盤として活用した[21]。
ロシアの国家安全保障パラダイムは、2014年のウクライナと2015年のシリアでの軍事作戦の後、認知戦と情報戦能力のドクトリンおよび作戦コンセプトへの統合をさらに重視するようになった[22]。ロシアの軍事学者は、ロシアの軍事科学誌「軍事思想(Military Thought)」の中で、情報能力は、他国の知的潜在力を活用する能力、自国の精神的イデオロギー的価値観、文化、言語を広め、浸透させる能力、他国の精神的および文化的拡大を阻害する能力、そして精神的および道徳的基盤を変革し、さらには弱体化させる能力など、世界情勢に影響を与える国家の能力においてますます重要な役割を果たしていると述べている[23]。
ロシアの軍事評論家の中には、キネティックな作戦(kinetic operations)を含むあらゆる活動は情報効果の達成を狙い(aims)とすべきだと主張する者もいた[24]。ロシアの2016年情報安全保障ドクトリンは、独立したロシアの情報政策、ロシアのインターネットの細分化された管理、そして外国の情報技術への依存の排除を要求した[25]。ロシアは2018年、クレムリンがロシア軍に対する情報統制の拡大を目指していたことを受け、ロシア軍にクレムリンのイデオロギーを浸透させるため、軍事政治局を設立した[26]。ソ連も同様に、ソ連軍が共産党のイデオロギーと目標に沿うよう、政治将校を軍に統合した。
クレムリンは、メディア・コングロマリット※1の世界的な拡大を最優先事項としている。2016年の外交政策コンセプト(Foreign Policy Concept)では、「世界の情報空間におけるロシア・メディアの地位強化」が優先事項の一つに挙げられている[27]。クレムリン傘下のメディア組織であるRT、TASS、Sputnikは、外国メディアとの提携構築に向けて協調的な取組みを開始した[28]。TASSは2013年と2014年に多言語放送を再開し、海外に多数の支局を開設した[29]。クレムリンは、研修プログラムを通じて、親ロシア派のジャーナリスト世代の育成に投資してきた[30]。
※1 メディア・コングロマリットとは、は、放送、新聞、映画、出版、インターネットなど多様なメディア・コンテンツ企業を傘下に収める巨大な複合企業・寡占企業のこと。
第2節:意図
クレムリンは、必要性と機会の両方から、心をめぐる会戦(the battle for the mind)に焦点を置いている。ロシアは、その強大な軍事力と潜在力を考えると、それ自体が弱いわけではない。しかし、ロシアは戦略的到達目標(strategic goal)と比べると弱いのである。クレムリンは、到達目標と手段のギャップを埋めるために、認知戦を駆使している。
クレムリンの戦略的狙い(strategic aims)は、プーチン政権下においてほぼ変わっていない。その狙い(aims)には、プーチン政権の維持、ウクライナとベラルーシの従属を前提としたロシアの大国としての再建、旧ソ連諸国に対する統制力の回復、そして米国の影響力が低下し、NATOの結束が崩壊し、ロシアが決定的な影響力を持つ世界秩序の構築などが含まれる。
プーチン大統領には到達目標を達成する手段が欠けている[31]。2014年のウクライナ侵攻と2022年の本格侵攻におけるロシアの軍事的失敗は、ロシアのハード・パワーの限界を露呈させた。ロシアは往々にして、他国に自国の意志を押し付けるほど強力でもなければ、パートナーとして選ぶほど魅力的でもない。ロシアの影響圏(sphere of influence)は、大部分が作り出されたものであり、プーチン大統領が望んでいる影響圏(sphere of influence)ではあるが、概して実現していない。ロシアの近隣諸国は、ロシアを排他的なパートナーとして選ぶ意思など、そもそも持っていない[32]。
ロシアはまた、自国が想定する影響圏(sphere of influence)を武力で掌握できるだけの軍事力を欠いている。ロシアが大規模な人的損失を無期限に許容できると仮定しても、現在の進撃速度でウクライナの残り80%を制圧するには100年以上かかるだろう[33]。ロシアのウクライナにおける勝利は決して必然ではない。ロシアは、2022年9月にクレムリンが違法に併合を宣言して以来、ウクライナ領4地域を完全に制圧しようと苦闘している。ロシア軍が2024年7月以降と同じペースで進撃を続けた場合、これらの地域を完全に制圧するには4年半以上かかるだろう。
モルドバなど、他の旧ソ連諸国は、クレムリンの支配の試みに抵抗している[34]。ソ連崩壊以降、クレムリンが国家支配に最も近づいたのはベラルーシである。クレムリンは、数年にわたる威圧と操作の戦役を経て、2020年から2021年にかけてベラルーシに対する支配的な影響力(dominant influence)を取り戻した[35]。また、クレムリンは、2024年12月にシリアで同盟国のバッシャール・アル・アサド(Bashar al Assad)政権を支援しなかったこと、そして2023年のナゴルノ・カラバフ紛争においてアルメニアを支援しなかったことは、ロシア軍と軍事装備がウクライナで足止めされていたためである。
クレムリンの認知戦の目的は、ロシアが現実世界で勝利できるような代替現実を作り出すことである。クレムリンの認知的取組みの多くは、ロシアに抵抗する人々の意志と能力を低下させ、ロシアが狙い(aims)を達成するための障壁を下げることを目指している。
- クレムリンの主な認知的取組みは、世界にロシアの前提を受け入れさせることである。例えば、クレムリンは、ウクライナにおけるロシアの勝利は不可避であり、ロシアは軍事的に支配していないウクライナの地域を領有する権利があり、そして前述の現実にもかかわらず、ロシアは望んでいる影響圏(sphere of influence)を得るに値すると主張している。
意図(Intent):世界がロシアの支配に抵抗する国々への支援をやめれば、クレムリンは他国に自らの意志を押し付ける可能性が高まる。クレムリンは、ロシアが望ましい影響圏(sphere of influence)を得る権利があるという前提を国際社会に受け入れさせることで、この狙い(aims)を達成する可能性が高まる。ロシアの勝利は不可避であり、西側諸国によるウクライナへの継続的な支援は無駄だという前提を国際社会に受け入れさせることに成功すれば、ロシアはウクライナを征服する可能性が高まる。ロシアは占領地および未占領地のウクライナ領土を得る権利があるという前提を世界が受け入れ、ロシアとの取引の一環としてキーウに領土の譲渡を迫れば、ロシアは軍事力を超えた到達目標を達成できるだろう。
- クレムリンはロシアを正義の国として描こうと努めてきた。クレムリンはロシアの残虐行為を否定し隠蔽することに多大な労力を費やしており、その取組みの重要性を示唆している。クレムリンは、2022年3月にロシアがキーウ州に侵攻した際に発生したブチャの虐殺へのロシア軍の関与を繰り返し否定した。ロシア軍は2022年にブチャで民間人に対し、大規模かつ十分に記録された残虐行為を行った[36]。クレムリンは、ウクライナが西側諸国の支持を得るために虐殺を「仕組んだ」とさえ主張した[37]。クレムリンは、2023年6月にウクライナ軍がカホフカ・ダムを破壊したと非難した。
このダムはロシア占領下にあり、2023年夏のウクライナの反撃を阻止するためにロシアによって破壊された可能性が高い[38]。クレムリンは、占領下のウクライナとロシアにおける宗教的迫害、特にウクライナ正教会(OCU)とバプテスト教徒に対する迫害を隠蔽している[39]。クレムリンは、ロシアによるウクライナの児童誘拐を隠蔽、あるいは歪曲しようとしている。ロシアはウクライナの児童の大量移送とウクライナ領土の人口削減を行っている[40]。ロシアは、ウクライナの捕虜に対する組織的な処刑の証拠が数多く存在するにもかかわらず、その事実を否定している[41]。
意図(Intent):クレムリンは、ロシアの行動に対する国際的な抵抗を抑制するため、ロシアの残虐行為を隠蔽し、正常化することを目指している。ロシアの残虐行為が広く知られるようになると、西側諸国の資源と社会が定期的に、しかし常にではないものの、ロシアに抵抗するために動員され、ロシアの到達目標達成が困難になる。ロシアは2022年のブチャ虐殺の責任を隠蔽できず、その結果、広範な非難と、ウクライナに対する西側諸国の軍事援助の増加につながった[42]。
- クレムリンは、ロシアとプーチン大統領の弱点を隠蔽し、ロシアのターゲットの信頼性を損なおうとしてきた。クレムリンはプーチン大統領を有能な戦争指導者として描こうとしてきた[43]。しかし実際には、プーチン大統領は無能な戦争指導者であり、ロシアとの戦争開始から3年以上が経過した現在でも、推定100万人のロシア人が死傷したにもかかわらず、自らが表明した軍事的目標のほぼ全てを達成できていない[44]。クレムリンはロシアの失敗とウクライナの成功を軽視してきた。クレムリンは、2022年のウクライナによる占領地解放、ウクライナがロシアの黒海艦隊を黒海西部とクリミア半島の占領港から追い出したこと、そしてウクライナのクルスク州侵攻に対しロシアが国境防衛に失敗したことなどを軽視した[45]。クレムリンは、エストニアからウクライナに至るまで、ロシアのターゲットの信用を失墜させ、国際支援に値しないものとして描き出すために、プーチン大統領が政権に就くずっと以前の1990年代から、そしてプーチン大統領の政権下ではますますその傾向を強めてきた[46]。
意図(Intent):世界がロシアの強さ、無敵さ、あるいはロシアの勝利は必然であるというナラティブ(narrative)、あるいはロシアのターゲットは支援に値しないというナラティブ(narrative)を信じれば、世界はクレムリンの行動に抵抗したり、他者が抵抗するのを支援したりする意欲が低下する可能性がある。強さを前提として構築されたシステムの中でプーチンの弱点を隠すことは、彼の政権の安定の鍵でもある。要するに、クレムリンは認知戦を利用して、ロシアの前提と行動を単純に受け入れ、決して闘わない世界秩序を作り出し、ロシアが他の方法では達成できない目標を達成できるようにしている。
クレムリンは、統治と占領のために認知戦を駆使している。プーチン政権のロシアにおける安定にとって、ナラティブ(narrative)の統制能力はますます不可欠な要件となっている。プーチン大統領の座は、彼の統治に代わるいかなる選択肢も、より劣悪か、あるいは闘うにはあまりにも費用がかかりすぎるという知覚(perceptions)認識を維持できるかどうかにかかっている[47]。ロシアの情報空間におけるプーチンの支配性(dominance)は、他の指導者であれば権力を脅かしていたであろう挫折を、プーチンが吸収することを可能にしてきた。例えば、100万人以上のロシア人が負傷・死亡したウクライナとの戦争で、目標の大半を達成できなかったことなどだ。
ロシアは占領戦略においても認知戦を駆使している[48]。ロシアは、特定の地域を物理的に占領した直後に情報統制を確立することを目指している。ロシア軍は2022年にヘルソン市を占領した直後、地元のテレビ塔を占拠し、ロシアのプロパガンダ放送を開始した[49]。ロシア占領当局は2023年、占領下のヘルソン、ザポリージャ、ドネツク、ルハンシクの各州を、ロシア連邦放送局20局とロシア占領局10局に接続した[50]。
クレムリンはまた、2024年3月に占領下のウクライナで行われるロシア大統領選挙を正当なものとして見せかけ、クレムリンによるウクライナの一部占領を承認させようと、綿密な情報戦役を展開した[51]。ロシアが不法占領している地域における情報統制の程度と有効性は地域によって異なる。しかしながら、ロシアは、現地の抵抗に直面しながら不法占領地域を統治するために、テロと情報統制の両方を必要としている[52]。
ロシアの世界的および国内的な認知戦は深く絡み合っており、それぞれを切り離して理解することはできない。クレムリンによるロシア国内での認知戦は、単に体制の安定だけに関するものではない。クレムリンは、対外的な軍事的取組みのための資源を確保するために、ロシア国内での認知戦を利用している。
クレムリンは、ロシア人志願兵を引き付けるために高額の金銭的報酬を提供し、子供たちを最終的には兵役に就くよう教化するために軍事愛国主義的なプロパガンダと教育を利用し、兵役やクラウド・ファンディングのイベントを宣伝するために多数の軍事ブロガーを後援し、ロシア社会がより大きな犠牲を受け入れるように仕向けている[53]。
ロシアのウクライナ侵攻に参加し、ウクライナ人を殺害することを選んだ多くのロシア人は、ウクライナにおけるナチズムに関するロシアのプロパガンダを信じたためだと認めている。これは、ロシア人捕虜へのインタビューや、クレムリンのナラティブ(narrative)を自らの選択の正当化として暗唱するロシア人地元住民の証言からも明らかである[54]。ロシアがプーチン大統領のウクライナにおける強大な狙い(aims)を広く支持しているのも、ウクライナと西側諸国との長期戦にロシア人を慣れさせるための情報戦役の結果でもある[55]。
クレムリンが認知戦に投資しているのは、必要性だけでなく、機会と知覚しているからだ。認知戦は、ソーシャル・メディアのような安価な手段で遂行できる場合が多い。情報作戦の失敗は、軍事的な失敗よりもコストがかからず、目立ちにくい。現代の技術、ニュース・サイクルの高速化、そしてグローバルな情報空間の越境性により、ロシアは様々な対象や国々に同時に影響を与えることが容易になった。時には、もっともらしい否認を装うこともある。
ロシアは、軍事作戦よりも容易に、様々な情報作戦を開始、一時停止、停止、あるいは強化することができる。情報環境は混乱を招き、圧倒的であり、これは混乱と説得を狙い(aims)とする認知戦にとって格好の条件である。認知戦は抽象的で、規制されておらず、十分に調査されていない。自由社会は、敵対的な認知戦から意思決定者と国民を守るための包括的な方法を開発していない。ロシアの認知戦は、その主たる目標が自らの行動に対する不作為を引き起こすことであるという事実からも恩恵を受けている。
クレムリンは、真の真実を知ることは難しすぎる、ロシアに抵抗することは難しすぎる、どちらが正しくてどちらが間違っているのかを見極めることは難しすぎると敵対者に説得できれば成功する。モスクワは、自国の見解や狙い(aims)が正しいと敵対者に説得する必要はない。ロシアに抵抗することは不必要、不当、あるいは賢明ではないと説得するだけでよい。この要件は、敵対者にモスクワに同意するよう説得するよりもはるかに低い成功のハードルである。特に、人々が「一体誰が本当に知っているのか?」と言わざるを得ないグローバルな情報環境においてはなおさらである。
第3節:範囲
戦術的、作戦的、戦略的な情報作戦
ロシアの情報作戦は、ロシアの認知戦の要素である。ロシアの情報作戦は、戦術、作戦、戦略といった戦争のあらゆるレベルで機能し、最終的にはクレムリンの戦略的狙い(strategic aims)を支援する。
戦術的レベルの情報作戦
ロシアの戦術的情報作戦は、主に個別の出来事やナラティブ(narrative)に焦点を当てている。戦術的レベルの情報作戦の例として、ルーマニアのTikTokインフルエンサーが親ロシア派のルーマニア大統領候補を支持する動画を公開したり、ロシアのプロパガンダ活動家がウクライナ政府高官が薬物の影響下にあると主張したりすることが挙げられる[56]。
ロシアによる戦術的レベルの情報作戦は、混乱を招き、新たなナラティブ(narrative)を吹き込み、情報空間をテストし、既存のナラティブ(narrative)を維持することなどを狙い(aims)としている。その活動は数多く、様々な手段と言語で展開されているため、追跡が困難であり、破棄または否認が容易である。
個々の戦術的情報作戦は独立しているように見えるかもしれないが、クレムリンはそれらを戦争の作戦的レベルの戦役へと統合し、クレムリンの戦略的狙い(strategic aims)を支援している。ルーマニアのTikTokインフルエンサーが投稿した動画は、ルーマニアにおけるクレムリンの「2024年大統領選」戦役の一環であり、ルーマニア大統領選で親クレムリン派候補を後押しすることを意味するものだった[57]。この戦役は、NATOの結束を崩し、ウクライナに対する西側諸国の支援を弱め、ロシアの脅威に対する欧州の決意を弱めるというクレムリンの戦略的目標を支援するものだった[58]。
クレムリンの関係者やプロパガンダ担当者は、ウクライナ政府高官が麻薬中毒者であるという、複数の改ざんされた動画や虚偽の主張を日常的に流布している[59]。それぞれの動画や主張は、それぞれ独立した独立した出来事のように見えるが、これらが一体となって、西側諸国とウクライナ国民の目からウクライナ政府の信用を失墜させ、ウクライナに対する西側諸国の支持を弱めるというクレムリンの戦略的狙い(strategic aim)を裏付ける、作戦的レベルの戦役の一環を成している。
ロシアの戦術的レベルの情報作戦は、作戦的目標や戦略的目標を達成するために必ずしも正確な公式に従っているわけではない。多くの作戦は失敗に終わり、中には偶然に生み出されたり、意図せず拡散されたりするものもある。こうした要因により、参加する戦役を特定するタスクは複雑化している。
作戦的レベルの情報作戦
ロシアの認知の用兵(cognitive warfighting)の多くは作戦的レベルで行われている。ロシアの作戦的レベルの情報作戦は、長期にわたり一連のターゲットを狙っている。例えば、クレムリンは2025年夏時点でバルト諸国をターゲットとした複数の情報作戦を進めており、具体的には、バルト海の海上国境線の再設定、ラトビア人、リトアニア人、エストニア人への年金およびロシア国籍の付与、そして現地政府をナチズムと非難し、ロシア語話者およびロシア系住民を弾圧することなどが挙げられる[60]。
クレムリンによるバルト諸国への今回の作戦は、長期的な情報条件を整え、将来のバルト諸国に対する軍事行動を正当化することを作戦的目標としており、ウクライナ侵攻前に実施した作戦と類似している[61]。これは、ロシアが望ましい影響圏(sphere of influence)を確立するという戦略的狙い(strategic aim)の達成を目指し、北東ヨーロッパで展開している数多くのロシアの作戦の一つである。
戦略的レベルの情報作戦
ロシアの認知戦における戦略的レベルは、最も把握しにくいものの、理解することが最も重要である。ロシアの戦略的ナラティブ(strategic narratives)は、敵の意志と論理をターゲットとしている。特定の出来事に焦点を当てた戦術的ナラティブ(tactical narratives)や、問題に関するより広範な知覚の形成を目指す作戦とは異なり、ロシアの戦略的情報作戦は、ターゲットがロシアに都合の良い結論を導き出すための前提を確立し、その結論に基づいてロシアの狙い(aims)を推進する行動をとることに重点を置いている。
言い換えれば、ロシアの戦略的情報作戦は、我々の推論の根底そのものをターゲットとし、我々が自国の利益を推進していると信じ込ませながら、ロシアに有利な行動を取らせることを到達目標としている。戦争研究所(ISW)が2024年に評価したように、「クレムリンは我々と議論しているわけではない。ロシアが捏造した現実描写についての主張を我々の議論の根拠として押し付け、クレムリンに有利な結論に我々が至るのを許そうとしているのだ」[62]。新たな前提を創造したり、既存の前提を変えたりするのは、長期戦(long game)となる。既存の事実を徐々に侵食していくか、あるいはクレムリンに有利な新たな事実に置き換える必要がある。現実の十分な要素に関する知覚(perceptions)を変え、全体として捉えれば新たな(そして虚偽の)現実像を描き出す必要がある。こうした取組みは、ターゲットがそれが行われていることにすら気づいていない時に最も効果的である。
例えば、ウクライナを西側諸国の支援から孤立させるためのロシアの戦略的情報活動には、数百もの戦術的ナラティブ(tactical narratives)が含まれており、ウクライナを支援することのコスト、利益、リスク、そして西側諸国の価値観や優先事項との整合性についての西側諸国の知覚(perceptions)を形成することを狙いとした、数十年にわたる作戦的情報戦役を支えている[63]。
クレムリンの戦略的情報作戦の究極のターゲットは、敵対者の行動の意志(will to act)である。ロシアは、敵対者が行動そのものの価値を信じることを損なおうとしている。より多くの成果を上げるためには、クレムリンは他者の行動を少なくする必要がある。クレムリンは、ロシア国民が外的および内的刺激に対して無作為な対応を取ることをデフォルトの反応と定めている。クレムリンの戦略的情報作戦は、西側諸国がロシアに対して無作為な対応を選択するように仕向けようとしている。
西側諸国、特に米国は、クレムリンによる近隣諸国の従属化を阻んできた。例えば、ウクライナがロシアの侵攻に抵抗する能力にとって、米国の支援は不可欠だった。西側諸国がウクライナ支援に傾けば、ロシアは敗北する可能性は十分に考えられる。NATO諸国、非NATO加盟の欧州連合(EU)諸国、そして米国のアジア同盟諸国の経済規模を合計しても、ロシアの経済規模ははるかに小さい。したがって、ロシアの到達目標は、ウクライナ、あるいはロシアが支配を望むその他の国において、ロシアが優位に立つことは避けられない(あるいは米国の利益に合致する)ため、米国は傍観者でいるべきだという結論に米国が自由に納得することにある。
ロシアは認知戦を用いて、米国の意志だけでなく行動能力も弱めようとしている。ウクライナ問題に注力している間も、ロシアはアフリカから南米に至るまで反米的なナラティブ(narrative)を拡散させ、米国の世界的アクセス、プレゼンス、そして影響力を弱めようとしている。
クレムリンの戦略的情報作戦は、敵対者に特定の行動を選択させ、ロシアに代わってロシアの目標を達成することも狙い(aim)としている。プーチン大統領は長年NATOの結束を破壊しようとしてきたが、ロシアは武力でそれを行うことができない。クレムリンはむしろ、NATOが集団防衛の中核原則である結束を内部から弱体化させるような認知的条件を作り出している。プーチン大統領は、モンテネグロのような旧ソ連圏外の国々でさえ、NATOへの加盟を阻止しようとしてきた。
クレムリンは長年にわたり、NATO諸国間の関係を弱体化させようとしてきた[64]。ハンガリーへの政治的影響力を拡大し、ウクライナとロシアに関するNATOとEUの決定をハンガリーを利用して阻止・妨害してきた[65]。また、エネルギー政策を利用して同盟国間の摩擦を煽ってきた。クレムリンは長年にわたる影響力行使の取組みの結果、NATO加盟国であるドイツに対し、現在休止中のノルドストリーム2パイプラインの建設を説得することに成功した。このプロジェクトは、欧州の利益に対する明らかな国家安全保障上のリスクがあり、実用的利益も限られているにもかかわらずである[66]。
クレムリンは長年、NATO加盟希望国を攻撃したり攻撃すると脅したりすることで、どの国がNATOに加盟できるかについてNATOが自発的に拒否権を付与する状況を作ろうとしてきた。また、ロシアには影響圏(sphere of influence)を統制する権利があるという誤った前提を確立しようとしてきた。さらに、NATOが拡大を排除し、軍隊や兵器システムの配備を制限することを明示的に要求してきた[67]。
多世代・戦域横断情報作戦
ロシアの認知戦への取組みは、世代と戦域を跨いでいる。ロシアは数十年にわたり、一連のナラティブ(narrative)を選択的に活性化したり非活性化したりしている。こうしたナラティブ(narrative)の反復と持続により、クレムリンは情報作戦によって伝えられる意図されたメッセージに対する敵の感受性を鈍らせ、敵がロシアの情報作戦とその意図に気付かなくなる可能性を高める。ロシアの認知戦の有効性は、冗長性は情報の信頼性の証であるという、一般的に受け入れられている誤謬をロシアが持ち出す能力に一部依存している。クレムリンのナラティブ(narrative)の多くは、好機が訪れるまで何年も眠ったままである。
西側諸国にとって永続的な課題は、ロシアの戦術的活動が些細なものに見えても、それがクレムリンにとって戦略的利益となるまでは無視される傾向である[68]。ロシアによる数世代にわたる情報作戦はこの傾向を強め、ロシアの行動に対する西側諸国の元々限定的だった関心を時間的に分散させ、ロシアの認知戦を粘り強く隠蔽している。
ウクライナ(Ukraine)。クレムリンは2004年という早い時期から分離主義的なナラティブ(narrative)を拡散し始め、ウクライナ東部に「分離主義(separatist)」組織を構築し始めた。この動きは西側諸国からほとんど注目されなかった[69]。10年にわたる認知戦を経て、クレムリンは2014年にウクライナでハイブリッド作戦を可能にした。
バルト諸国(The Baltics)。クレムリンは、ロシアとバルト諸国の「歴史的統一」の名の下、また宗教に基づく迫害を含むとされるものからロシアの「海外同胞」を保護するため、1990年代初頭からバルト諸国に対するハイブリッド作戦のための情報条件を設定してきた[70]。クレムリン当局は、ソ連崩壊から2年後の1993年には早くもバルト諸国に対するロシアの軍事行動を警告し始めた。ロシアのヴィタリー・チュルキン(Vitaly Churkin)外務次官は、エストニアによる1993年外国人法の採択を阻止するため、ロシアはエストニアに対し、本格的な外交的、政治的、そしておそらくは「政治的にとどまらない」措置を講じる準備をしていると警告した[71]。
この法律はエストニアへの外国人入国の根拠を規定するもので、クレムリンはこれをエストニアへのアクセスを制限し、旧ソ連諸国を支配するというクレムリンの目標に対する脅威と見なした可能性が高い[72]。クレムリンは1990年代半ば以降、バルト諸国のソ連からの独立の合法性を定期的に疑問視しており、これは将来の軍事行動の正当化を狙ったものと考えられる[73]。ロシア当局は1990年代半ば、バルト諸国がソ連による極めて強硬な占領と併合を隠蔽するために自発的にソ連に加盟したと虚偽の主張を行った。クレムリンは、エストニア、リトアニア、ラトビアの西側諸国への統合を弱体化させることを狙いとしたナラティブ(narrative)を推し進め続けている[74]。
クレムリンは、ロシアによるカリーニングラード支配を口実に、ロシアによる更なる領土侵攻の正当化を図っている。プーチン大統領は2024年9月、ロシアはロシア本土とカリーニングラード州間のロシア国民の移動に「いかなる障壁も設けない」ようにしなければならないと述べており、これはカリーニングラード州の防衛を装い、将来的にバルト諸国やポーランドへの侵攻を正当化する可能性がある[75]。クレムリンは過去の領土侵攻とロシア語話者保護の責任を主張し、開戦理由を捏造している。クレムリンはこの戦略を用いて、2022年のウクライナへの全面侵攻、そして2014年のクリミア半島およびウクライナのドネツク州とルハンシク州の一部の不法占領を正当化した。
フィンランド(Finland)。ロシア当局は、フィンランドとロシアの歴史的なつながりに関するナラティブ(narrative)をますます巧みに利用している[76]。フィンランドのNATO加盟以前、ロシアはフィンランドをターゲットとした情報作戦を展開していた。その主なテーマは、ロシア人とフィンランド人の両親間の子供の親権争い、第二次世界大戦中のナチス同盟国としてのフィンランドの歴史、失われた領土の奪還を目指すフィンランドの意図、そしてフィンランドとロシアの強固な友好関係の主張などである[77]。クレムリンは、西側諸国がフィンランドとロシアの関係を意図的に損なわせ、フィンランドを利用してロシア北西部を脅かそうとしていると非難した。
ロシアは、フィンランド政府がロシアと距離を置く決定はフィンランド国民の希望を反映したものではない、フィンランドはかつてロシア帝国の一部だった、フィンランドはロシア北西部とフィンランドにまたがるカレリア地方のスラブ系住民を「無差別に絶滅させている」といったナラティブ(narrative)を流布している[78]。
世代を超え、戦域をまたぐ情報作戦のもう一つの例は、ロシアが旧ソ連諸国で秘密の生物学研究所を用いて生物兵器を製造し、生化学兵器や放射線兵器を使用していると米国を虚偽の告発しようとしたことである。戦争研究所(ISW)をはじめとする機関は、この情報作戦の虚偽を徹底的に暴露した[79]。ソ連は1980年代に、生物兵器研究所に関するナラティブ(narrative)の亜種を用いて、米国が生物兵器としてHIV/AIDS※2を製造したと虚偽の告発を行った[80]。
※2 HIV/AIDS は、HIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス)はエイズを引き起こすウイルスの名前、AIDS(Acquired Immunodeficiency Syndrome:後天性免疫不全症候群)は、HIVが人に感染した結果、体の免疫力(病気とたたかう抵抗力)がなくなり重度の日和見感染症や悪性腫瘍などのいろいろな合併症を引き起こす病気の名前
ソ連崩壊後のロシアは、2008年のジョージア侵攻の際に、米国のバイオ研究所(bio labs)に焦点を当てた情報戦役を展開した。当時のロシア・メディアは、ロシア軍が占領下の南オセチアで生物化学施設を発見したと主張した[81]。過去20年間、クレムリンはウクライナ、ジョージア、モルドバ、カザフスタン、アルメニアなど、多くの旧ソ連諸国において、米国のバイオ研究所(bio lab)に関するナラティブ(narrative)を繰り返し持ち出してきた。これらはすべて、これらの国々におけるクレムリンの様々な作戦的目標を支援するためのタイミングだった[82]。
バイオ研究所(bio lab)情報作戦は、旧ソ連諸国における米国に対する否定的な知覚(negative perception)を植え付けることで、これらの国々への支配を取り戻すというクレムリンの戦略的目標を支えるものである。しかし、これはクレムリンの影響圏(sphere of influence)だけに限った話ではない。クレムリンは、北米、南米、アフリカ、アジアにもバイオ研究所(bio lab)情報作戦を展開した[83]。クレムリンは、米国の世界的な影響力を弱めるため、反米的なナラティブ(narrative)を通じて米国の信用を失墜させようとしている。これらのナラティブ(narrative)はまた、ロシアにおける米国のイメージを貶め、「ロシアは敵に包囲されている」というクレムリンのナラティブ(narrative)を強化し、西側諸国との対立を正当化しようとしている。
情報手段を越えて
クレムリンが人々の知覚を作り上げるための手段は、情報にとどまらない。クレムリンは、自らのナラティブ(narrative)を強化し、敵対者の意思決定を麻痺させることを意図して、物理的な手段を用いて恐怖を煽る。こうした物理的な手段には、軍事演習、偽旗作戦や破壊工作(sabotage)、ハッキングやサイバー攻撃、人為的に作り出された移民危機、戦闘作戦、軍事力や戦況の誇張などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
ロシアは、西側諸国によるロシアのターゲット(主にウクライナ)への兵器供給を阻止するため、核能力を誇示してきた。クレムリンは、ロシアによるウクライナへの本格的な侵攻の間、2022年秋のハリコフ州における反攻の成功時や、2023年5月の夏の反攻を控えた時期など、幾度となく核による脅迫を繰り広げた。これらの情報作戦は、米国およびウクライナの他の同盟国がウクライナ軍に必要な軍事装備を供給しないように脅迫し、ウクライナ軍がロシア軍に更なる敗北をもたらすのを防ぐことを狙いとしていた。
クレムリンは、2023年冬にベラルーシからウクライナ西部へのロシア軍の攻撃の可能性について、多数の戦術的情報作戦を開始した。クレムリンはウクライナ・ベラルーシ国境付近でベラルーシ軍と小規模な演習を実施し、その結果、ウクライナ軍はベラルーシによる差し迫った攻撃に関する噂に反論せざるを得なくなった[84]。ロシアはこの情報作戦を、ウクライナ北部におけるウクライナ軍の動きを封じ込め、2023年夏の反攻に向けたウクライナの準備を妨害するために開始した可能性が高い。
クレムリンは、2023年3月にベラルーシへのロシア製戦術核兵器の配備を発表することで、ウクライナの2023年夏の反攻準備をさらに阻止しようとした[85]。戦術核兵器の配備は、クレムリンによるベラルーシ併合に向けた長期的な作戦の一環でもある[86]。クレムリンは、この発表のタイミングを、西側諸国によるウクライナの反攻準備支援の一環として、英国がウクライナに劣化ウラン[87]を含む兵器を提供する決定を下したタイミングに合わせて意図的に調整した可能性が高い[88]。
クレムリンは、西側諸国の核エスカレーションへの懸念を巧みに利用するために、ベラルーシがウクライナに核兵器を供与した場合、戦術核兵器を使用するか、NATOに対する核エスカレーションに訴えるというメッセージを西側諸国の指導者たちに間接的に送っていた[89]。この一連の出来事は、ロシアの核能力を変えることではなく、西側諸国の知覚(perception)を形成することを意図されていた。ロシアは長年にわたり、ベラルーシに配備された戦術核兵器が攻撃可能なあらゆるターゲットを攻撃可能な核搭載可能な兵器を配備してきたことを考えると、ベラルーシへの戦術核兵器の配備は、ロシアの核エスカレーションのリスク評価を根本的に変えるものではない[90]。
軍事作戦を含む物理的手段は、それがもたらす直接的な物理的効果に加えて、本質的に情報を伝達する。クレムリンは、情報手段を通じて知覚(perceptions)を形成するためにこの力学を利用している。物理的手段は恐怖などの感情的な反応を引き起こす可能性があり、それが今度は意思決定に影響を与える可能性がある。軍事作戦は、確立されたナラティブ(narrative)を物理的に確認する役割を果たすことが多く、ロシアのメッセージを強化する。2014年と2022年のロシアによるウクライナ侵攻は、攻撃的で予測不可能、そして高いリスクを許容できるというロシアのイメージを強化した。ロシアはこのイメージと物理的手段を使用して、意思決定者を脅迫し、クレムリンの要求を受け入れさせ、ロシアの戦争取組みを推進させている。しかし、実際には、ロシアの実際の軍事力の限界により、クレムリンは非常に計算高く、リスクを嫌う[91]。
ロシアは、2023年夏から秋にかけて黒海封鎖を実施することなく、ウクライナの港湾インフラに対するミサイルとドローンによる攻撃を用いた認知戦を試みたが、失敗に終わった[92]。ロシアは2023年7月、国連仲介による黒海穀物協定からの離脱を発表した。この協定は、ウクライナ産穀物のアフリカおよび中東諸国への安全な輸送を保証していた[93]。クレムリンは、ロシア艦隊および地上通信線に対する正当なウクライナの攻撃を、黒海穀物協定違反に仕立て上げようとした[94]。
クレムリンはまた、保険料の高さを理由に国際船舶によるウクライナ産穀物の輸送を阻止するため、ウクライナの港湾インフラに対するミサイルとドローンによる意図的な攻撃を開始した。この認知戦の試みは、ロシアの侵略に対するウクライナの抵抗が世界の食料安全保障を損なっているという誤った知覚(false perception)を植え付け、クレムリンがロシアのSWIFT※3への復帰と制裁解除を要求することなど、いくつかの目標を達成することを狙いとしていた[95]。
※3 SWIFTとは、Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication SCの略で、銀行間の国際金融取引に係る事務処理の機械化、合理化および自動処理化を推進するため、参加銀行間の国際金融取引に関するメッセージをコンピュータと通信回線を利用して伝送するネットワークシステム。
この認知戦の取組みは、アフリカ諸国や中東諸国からのウクライナへの国際支援を阻止することも狙いとしていた。クレムリンの軍事的・情報的取組みは、ウクライナによるロシア黒海艦隊艦艇への無人機とミサイル攻撃の成功により、ロシアによる物理的な海上封鎖の実施や情報手段による封鎖効果の達成が阻止されたため、最終的に失敗に終わった。
伝統的な情報手段を超えて
クレムリンの情報手段は、メディア操作やトロール・ファームよりもはるかに広範囲に及ぶ。ロシアは、ナラティブ(narrative)を伝達できるあらゆるプラットフォームを認知戦の道具として利用している。クレムリンは、同盟国、国際機関、メディア、そして個人からなるネットワーク全体を通じて、自らのナラティブ(narrative)を伝えている。
ロシアの認知戦は、世界規模のメディアへのアクセスと、世界中に浸透するロシアのナラティブ(narrative)に依存している。クレムリンの国営メディアは、一見独立した第三者機関を通じて自国のナラティブ(narrative)を拡散させるため、外国メディアとの協力・コンテンツ共有協定の締結に意図的に投資を続けている[96]。最近の例としては、ロシアの動画配信サイトRUTUBEやテレビ局NTV、TNTを所有するロシア国営メディア企業ガスプロム・メディア・ホールディングや、中国の国営通信社「新華社」が2025年5月にロシアと「偽情報(disinformation)」対策に関する協力協定を締結したことが挙げられる[97]。また、クレムリンの様々なメディアや通信社は、2025年にブルガリア、キューバ、バーレーン、マレーシア、イランのメディア企業と新たなメディア協力協定を締結した[98]。
ロシアは長年にわたり、親ロシア派のジャーナリストや政治家を世界中に育成する取組みを続けている。チェコ、ベルギー、ポーランドのインテリジェンス機関は、2023年後半以降、欧州連合(EU)においてロシアのナラティブ(narrative)を広めるために欧州の政治家やジャーナリストに金銭を支払っていたロシアの秘密工作(covert Russian operation)を暴露した[99]。ロシアのオリガルヒは2011年と2012年に、プーチン大統領に関するドキュメンタリーを制作していたドイツ人ジャーナリストに秘密裏に金銭を支払っていた[100]。ロシアはアフリカ諸国におけるロシアの情報作戦を進めるため、外国人専門家やジャーナリストの偽の人物像を作り出した[101]。アルゼンチンは2025年、偽情報の取組みに従事し、アルゼンチンの国内プロセスに影響を与えようとしたロシアのスパイ・ネットワーク(espionage network)を摘発した[102]。
ロシアは国際的なプラットフォームを認知戦の道具として利用している。ロシアの国連常駐代表であるヴァシリー・ネベンジャは、ウクライナに対するロシアの侵略行為をそらすために国連を頻繁に利用している。ネベンジャは国連を利用して、ロシアの行為に対する国際的な非難をそらし、ウクライナの外交の取組みを弱体化させるために、無関係あるいは虚偽のナラティブ(narrative)を流布している[103]。ロシアは、多極化した世界秩序を提唱し、反西側のナラティブ(narrative)を広め、国際的に孤立していないことをアピールすることで、ロシアを反西側圏のリーダーとするビジョンを推進するために、ロシア・アフリカ首脳会議を利用している[104]。
ロシアには「認知戦闘員(cognitive warfighters)」と呼ばれる、メッセージング能力と支持基盤を持つ人材が多数存在し、クレムリンが特定の目標を達成するために投入している。「認知戦闘員(cognitive warfighters)」は単なるプロパガンダではなく、クレムリンに代わってターゲットを絞った情報作戦を実行する。クレムリンと関係のあるロシアのオリガルヒ、正教のナショナリスト、そして超国家主義メディア「ツァルグラード(Tsargrad)」の創設者であるコンスタンチン・マロフェーエフ(Konstantin Malofeev)は、ロシアのナショナリスト・コミュニティをクレムリンの戦争の取組みを支援する情報提供の役割を担っている。マロフェーエフ(Malofeev)は、自身の正教のナショナリスト的イデオロギーを用いて、軍の募集やクラウド・ファンディング活動を促進している。マロフェーエフ(Malofeev)は、ロシアのナショナリストたちに訴えかけ、ロシアにはウクライナとNATOと闘う以外に選択肢はないと信じ込ませようとしている[105]。ロシア直接投資基金(RDIF)の最高経営責任者(CEO)、キリル・ドミトリエフ(Kirill Dmitriev)も、クレムリンの「認知戦闘員(cognitive warfighter)」の一例である。ドミトリエフ(Dmitriev)は1990年代にスタンフォード大学とハーバード大学で経済学を学び、マッキンゼー・アンド・カンパニーとゴールドマン・サックスでコンサルタントとしてキャリアをスタートさせ、その後、2007年から2010年にかけてウクライナの投資ファンド、アイコン・プライベート・エクイティを経営した[106]。クレムリンは、ドミトリエフ(Dmitriev)の西側諸国での教育とビジネス経験を活用し、ロシアの利益を擁護している。特に、ドミトリエフ(Dmitriev)は2025年4月に米国の報道機関とのインタビューを複数回受け、ロシアを米国の投資にとって魅力的な市場として描写しようとし、米ウクライナ間の鉱物資源協定への信頼を損なおうとし、ロシアは制裁解除を求めていないと虚偽の主張を行った[107]。
ロシア正教会モスクワ総主教区(ROC MP)は、長年にわたり、特に占領下のウクライナと旧ソ連諸国におけるクレムリンのハイブリッド作戦の道具となってきた。ロシア正教会モスクワ総主教区(ROC MP)は、ロシアのウクライナ戦争を正当化することを狙いとしたロシアのナラティブ(narrative)を、ロシア、ウクライナ、そして世界中の信徒に広めている。例えばロシア正教会モスクワ総主教区(ROC MP)は、すべての聖職者に対し、ウクライナにおけるロシアの征服戦争を支持する戦争支持の祈りを典礼に含めるよう指示したと報じられている[108]。クレムリンはロシア正教会モスクワ総主教区(ROC MP)を利用して、ウクライナ、モルドバ、バルト諸国を宗教的に不寛容で本質的に非民主的であると仕立て上げている[109]。しかしクレムリンは、占領下のウクライナとロシアで組織的な宗教弾圧を行っており、プロテスタント各派とウクライナ正教会(OCU)を不釣り合いにターゲットにしている[110]。
ロシアは、独立国家共同体(CIS)、在外同胞、そして国際人道協力機構(ロシア連邦交流庁:Rossotrudnichestvo)といった連邦機関を活用し、海外における知覚形成を通じてクレムリンの戦略的狙い(strategic aims)を推進している[111]。ロシア連邦交流庁は、ロシア連邦政府機関であり、外国への援助管理と、ロシアの世界的な文化活動の推進を担っている。ドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)前大統領(現在はロシア安全保障会議副議長として重要なプロパガンダの役割を担っている)は、2008年9月に、ロシアの世界的な影響力拡大に向けた取組みの一環として、ロシア連邦交流庁を設立した[112]。
ロシア連邦交流庁は、世界中で親ロシア派の集会を組織するためのクレムリンの主要な手段にもなった[113]。クレムリンは、ロシア連邦交流庁を、いわゆる「在外同胞(compatriots abroad)」構想の地位を合法化する新たなシステムの基盤として構築しようとしているように見受けられる。クレムリンは、このシステムを利用して情報条件を設定し、「ロシア同胞の保護(protecting Russian compatriots)」を名目に海外で更なるハイブリッド作戦を正当化する可能性がある[114]。
ロシアの国営企業は認知戦の担い手である。ロシアの国営原子力企業ロスアトムは、国際原子力機関(IAEA)の枠組みを通じてロシアによるザポリージャ原子力発電所(ZNPP)の占領を正当化するなど、クレムリンの目標達成のために様々な情報戦術を用いてきた[115]。クレムリンはまた、ロスアトムをアフリカにおけるロシアの影響力拡大の手段として利用してきた。ロスアトムは、ロシアが支援するアフリカの原子力エネルギー計画を促進するために原子力科学センターを設立し、これらのセンターとロスアトムのアフリカにおける全体的なプレゼンスを利用してロシアのナラティブ(narrative)を広めてきた[116]。ロスアトムは、いくつかのアフリカ諸国においてロシアの原子力エネルギーに対する肯定的な世論を形成するための覚書を締結した[117]。
第4節:効果と脆弱性
認知戦は、ロシアが従来型の戦力の限界を超える成果を上げることを可能にした。クレムリンが煽った恐怖という情報背景は西側諸国の意思決定に影響を与え、ウクライナの機会損失とロシアの戦場の優位性をもたらした。2022年秋の核エスカレーションを中心とするロシアの情報作戦は、西側諸国によるウクライナへの戦車などの主要能力の提供を遅らせることを狙いとしていた。2022年秋に2回連続で反攻作戦を成功させた後、米国がウクライナの取組みに積極的に資源を投入しなかったため、ロシアは猶予期間を得て、多層防御を構築し、部分的な動員を行うことができた。
2023年春の核エスカレーションに焦点を当てたロシアの情報作戦は、最終的には、エスカレーションを引き起こすことなくウクライナにどのような種類の兵器を提供できるかという長い議論に西側諸国の意思決定者を引き込むことに成功した[118]。
ロシアの認知戦は、それでもなお失敗しやすい。情報作戦は、人為的ミス、現地の文化、歴史、情報環境の誤解、あるいはタイムリーな対策や国民の意識など、様々な理由で失敗する可能性がある。クレムリンは特定の情報作戦の結果を常にコントロールできるわけではなく、意図せぬ反動を引き起こす可能性もある。しかしながら、ロシアは情報作戦を常に適応させているため、ロシアの失敗は認知戦からの永続的な救済策にはならない。
ロシアは恐怖を利用してスウェーデンのNATO加盟を阻止しようとしたが、失敗した。駐スウェーデンロシア大使のヴィクトル・タタリンツェフ(Viktor Tatarintsev)は2015年6月、スウェーデンがNATOに加盟した場合、ロシアは「軍事的対抗措置」を取ると主張し、スウェーデンを脅迫しようとした[119]。タタリンツェフ(Tatarintsev)の発言は、スウェーデンのNATO加盟を阻止しようとするクレムリンの取組みにとって逆効果となり、結果としてスウェーデンのNATO加盟支持を強めた[120]。この情報作戦は、2014年のロシアによるウクライナ侵攻直後に行われ、スウェーデンおよび欧州全体で反ロシア感情が高まった。
クレムリンによるスウェーデンのNATO加盟阻止の試みは最終的に失敗に終わったものの、クレムリンの情報作戦はスウェーデンの審議と意思決定プロセスに反映された。スウェーデン国会議員たちは、スウェーデンがNATOへの協力協定を批准し、最終的に2023年に加盟するまで、NATO加盟時のロシアによる報復の可能性について議論を続けた[121]。
クレムリンの認知戦への過度の依存は、脆弱性となっている。クレムリンは戦略的到達目標(strategic goal)を達成するために、認知戦に過度に依存している。クレムリンは、西側諸国がロシアの捏造された現実の主張を受け入れることを前提としている。ウクライナにおけるロシアの戦略は、西側諸国にこの戦争に勝てないと確信させるための認知戦の試みにかかっている。西側諸国がこの前提を否定し、ウクライナへの支援を強化すれば、ロシアは優位性を失うことになるだろう。
クレムリンは、強大なロシアと強大なプーチンというナラティブ(narrative)を揺るがす現実に対して脆弱であり、これはロシアの未開拓の大きな弱点の一つである[122]。プーチンは25年間、国内で「偉大なロシア(great Russia)」という理念を説いてきた。ロシアによるウクライナ侵攻は、ロシア国民がロシアが強大であると認識されることを気にしていることを示すものとなった[123]。ロシア国民が最も声高に不満を表明し、憤慨しているのは、ロシア軍の甚大な人的損失ではなく、ロシア軍の戦場での敗北である[124]。
プーチン大統領がウクライナとの戦争と政権支援に頼るロシアの民族主義者たちは、特に「偉大なロシア(great Russia)」という理念を重視している。プーチン政権の安定とロシアの世界における地位は、ロシアの力強い仮面を維持することにかかっている。しかし実際には、プーチン大統領はリスクを回避し、必要な決定を適時に下すことを控える指導者であることを繰り返し示してきた。ロシアには、西側諸国がつけ込んでいない弱点もある[125]。ロシアがアルメニア、シリア、イランにおける同盟国を必要な時に軍事支援しなかったことは、ロシアの力の限界を改めて示す事例である[126]。
ロシア経済は、クレムリンが反対を表明しているにもかかわらず、西側諸国の制裁によって弱体化し、制約を受けている。クレムリンは、ロシアの強さを誇張するナラティブ(narrative)を強化することで、これらの弱点を過剰に補おうとしている[127]。したがって、プーチン大統領は、ロシアの弱点を常に暴露し、際立たせようとする西側諸国の戦略に対して脆弱である。その最速の手段は、ウクライナを支援してロシアを戦場でより早く敗北させ、物理的手段と情報手段を通じて世界規模でロシアに対抗することである。
クレムリンの国内情報統制は盤石ではない。プーチン大統領は、ロシアの情報空間における統制の一部を、拡大するロシア民族主義者コミュニティに明け渡している。プーチン大統領は、このコミュニティを頼りに戦争と政権を維持している。ロシアの軍事ブロガーと退役軍人コミュニティは、ロシアによるウクライナへの全面侵攻後に注目を集め、ロシア軍指導部とその戦争遂行の欠陥を定期的に指摘し続けている。
ロシアの認知戦は、ロシアの意図と能力に関するインテリジェンスの源(source of intelligence)となっている。クレムリンの情報作戦は、ロシアの意図、取組み、不安、そして重要な能力に関する指標を提供する。ロシアが情報作戦を、キネティックな行動(kinetic actions)の条件設定や目標達成の中核的な手段として利用することで、クレムリンが達成しようとしている狙いそのもの、そして隠蔽しようとしている弱点に関する貴重な情報が明らかになる。
ロシアの認知戦は、しばしばロシアの物理的能力を犠牲にし、主張のエコーチェンバー(反響室)を生み出す。2022年にはウクライナを数日で征服できるというクレムリンの誤った評価は、ウクライナは真の国家ではなく、主体性も意志もなく、行動能力もないという自らのプロパガンダを信じ込んだことに一部起因している可能性が高い。クレムリンは2014年にも同様のインテリジェンスのミスを犯した。
ロシアは、ロシアが占領しようとしたウクライナ東部および南部の地域において、地元住民からの歓迎を期待していた。しかし、クレムリンは抵抗に直面し、ロシアがウクライナで意図した地域を支配しようとする試みは阻まれ、当時の狙いに及ばない結果を受け入れざるを得なかった[128]。また、クレムリンはロシアの軍事力に関する自らのプロパガンダを一部信じていた可能性が高く、その結果、ロシア軍指導部はウクライナの戦場での戦果を過大評価することになった[129]。
結論
米国はロシアの認知戦を対称的に防御しようとすべきではない。ロシアの認知戦を無効化するための第一歩は、ロシアのルールに従わないことである。なぜなら、クレムリンの「反射的統制」戦略は、ロシアが相手に反射的な反応を引き起こす能力に依存しているからだ。ロシアの認知戦を無力化する鍵は、クレムリンが我々の思考を形作るために前提を植え付けようとしている時、それを見抜き、それを拒絶することである。例えば、米国とその同盟国は、ロシアが主張する影響圏(sphere of influence)は当然の権利である、あるいはロシアがウクライナで必然的に軍事的に勝利する、といった考えを解体することで、ロシアの前提を拒絶する機会を持っている。
ロシアの認知戦への取組みは、その予測可能性ゆえに予測・ターゲット化が可能だ。ロシアの認知戦への取組みの多くは、クレムリンの長年の戦略的狙い(strategic aims)を支えている。ロシアの具体的なナラティブ(narrative)やエピソードは、メッセージのタイミング、場所、そして発信方法によって変化するが、ロシアがこれらのナラティブ(narrative)を通して確立しようとしている大局的な前提は変わらない。そして、そのナラティブ(narrative)が支えるクレムリンの全体的な戦略的到達目標(strategic goal)もまた、変わらない。この事実は、ロシアの認知戦を監視、予測、そして無効化(neutralize)するための包括的な状況認識システムを構築する機会を提供する。
現実世界での行動、例えば物理的な手段は、認知戦を無効化(neutralize)する最も効果的な手段となることが多い。ロシアの侵略に対するウクライナの抵抗が世界の食料安全保障を損なっているという誤った知覚(false perception)を植え付けようとするロシアの試みは、ウクライナによるロシア黒海艦隊への無人機とミサイル攻撃の成功によって打ち破られた。ウクライナの軍事行動は、ロシアが事実上の封鎖を課す能力を奪い、結果として黒海を通じた穀物貿易を可能にした。2024年8月のウクライナによるクルスク州への侵攻は、従来型の戦争と西側諸国の装備をロシア領内に持ち込むことはロシアの核報復を誘発するというクレムリンの主張を覆した。
米国はロシアの認知戦を模倣すべきではない。ロシアがこの能力に過度に依存したことで、ロシアの物理的能力は低下し、ロシア社会に破壊的な影響を及ぼした。この被害は、ロシアが回復するには何世代もかかるだろう。仮に回復できたとしても。米国とその同盟国は、それぞれの目標に見合った真の力を有しており、防衛の狙いを達成するために認知戦に頼る必要はない。西側諸国にとって最善の策は、ロシア(そしてイラン、北朝鮮、中国)の認知戦の試みを無力化することにある。そのためには、それらの試みを浮き彫りにし、彼らが作り出そうとする虚偽の前提を拒絶し、認知戦の取組みが作り出そうとする人工世界(artificial world)の中で知的に行動するという罠に陥るのではなく、現実世界(real world)の状況に焦点を当てるべきである。
ノート
[1] U.S. Special Operations Command told lawmakers that the United States and its military must get better at information operations in the face of increased adversary investments in that space. https://defensescoop.com/2025/04/09/socom-leader-warns-of-information-operations-void-gen-bryan-fenton/.
[2] https://www.understandingwar.org/backgrounder/denying-russia%E2%80%99s-only-strategy-success
[3] http://news.bbc.co.uk/2/hi/world/monitoring/media_reports/744553.stm
[4] https://www.theguardian.com/world/2003/jun/23/media.russia
[5] https://www.taylorfrancis.com/chapters/oa-edit/10.4324/9781003483908-5/history-russian-media-regulation-gregory-asmolov
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[8] https://meduza dot io/en/feature/2025/06/07/putin-s-wechat-wager
[9] https://www.understandingwar.org/report/putins-information-warfare-ukraine-soviet-origins-russias-hybrid-warfare
[10] https://www.understandingwar.org/backgrounder/denying-russia%E2%80%99s-only-strategy-success; p. 25- https://gtmarket dotru/files/book/7307/Conflicting_Structures.pdf
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[12] https://understandingwar.org/backgrounder/lessons-minsk-deal-breaking-cycle-russias-war-against-ukraine
[13] https://www.cia.gov/readingroom/docs/CIA-RDP73B00296R000200040087-1.pdf
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[121] http://www.wsj.com/articles/sweden-ratifies-nato-cooperation-agreement-1464195502
[122] https://understandingwar.org/backgrounder/hiding-russia%E2%80%99s-weakness; https://www.understandingwar.org/backgrounder/putin-vulnerable-western-policy-masks-russian-weakness
[123] https://www.bbc.com/russian/features-42441955; https://mir24 dottv/news/16582161/opros-kazhdyi-vtoroi-rossiyanin-schitaet-chto-rossiya-velikaya-derzhava
[124] https://understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-june-1-2025; https://www.understandingwar.org/backgrounder/putin-track-disappoint-multiple-competing-factions-russia; https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-october-2; https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-august-2-2023
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[126] https://understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-june-23-2025; https://www.understandingwar.org/backgrounder/putin-vulnerable-western-policy-masks-russian-weakness
[127] https://www.understandingwar.org/backgrounder/hiding-russia%E2%80%99s-weakness
[128] プーチン大統領は2015年、ウクライナにおける目標達成には至らなかった。ロシアはクリミア半島に加え、少なくともウクライナ南東部6地域を支配することを目指していた(いわゆる「ノヴォロシア」計画)。プーチン大統領は2014年、「ノヴォロシア」をハリコフ州、ルハンシク州、ドネツク州、ヘルソン州、ミコライウ州、オデッサ州を含むものと定義した。しかし、プーチン大統領は「ノヴォロシア」計画を断念せざるを得なかった。ウクライナ人は2014年にも抵抗し、2022年にも抵抗した。2014年のロシア侵攻には、装備もろくに整っていない数千人のウクライナ義勇兵が駆けつけた。プーチン大統領が期待していたほど、ロシアはウクライナ社会にも権力にも支持されていなかった。ロシアの支配は、2014年時点で既にウクライナ人にとって魅力的ではなかったのだ。
[129] https://www.wsj.com/articles/russian-billionaire-selling-putins-war-ukraine-11669994410?mod=Searchresults_pos1&page=1