認知中心の戦い:将来戦における間接アプローチのモデル化 (www.hudson.org)

MILTERMでは、何度もハドソン研究所研究員時代の高木耕一郎氏の論稿を紹介してきている。ハドソン研究所のサイトに高木氏の論稿「Cognitive Centric Warfare: Modelling Indirect Approach in Future Warfare | Hudson Institute」が掲載されているので拙訳したものを紹介する。研究員紹介のページでも触れられているように、最近では、統合幕僚監部に勤務しながら、認知戦の将来について査読付き論文を発表している様子。認知ドメインを含む攻撃方法のモデル化は大変斬新で今後の認知ドメインでの議論を促進剤になることを期待したい。(軍治)

認知中心の戦い:将来戦における間接アプローチのモデル化

Cognitive Centric Warfare: Modelling Indirect Approach in Future Warfare

K Takagi

Colonel, Japan Ground Self-Defense Force, Tokyo, Japan

Graduate School of Media and Governance, Keio University, Tokyo, Japan

Fellow, Hudson Institute, Washington, D.C., United States of America

概要:科学技術の発達に伴い、戦いは陸・海・空・宇宙・サイバー・電磁波・人間の認知を含むマルチドメイン作戦となった。にもかかわらず、既存の研究では、これらの各ドメインと認知ドメインとの関係は検討されていない。そこで、この記事では、複数のドメインからどのように敵対者に認知的影響を及ぼすことができるかを探る。この記事では、最新の科学技術が駆使されたウクライナ戦争の事例を分析する。この記事は、人間の認知に対する攻撃があらゆるドメインから及ぼされることを発見し、敵対者に対する認知的影響の包括的モデルを提供する。

キーワード:認知戦、情報戦、ウクライナでの戦争、最新の科学・技術、マルチドメイン作戦、認知ドメイン

はじめに

古来、戦争は当事者双方の意志の会戦(battle of wills)であり、人間は認知のドメインにおいて闘ってきた。紀元前6世紀、孫子(Sun Tzu)は武力に頼らず敵を降伏させることの重要性を説いた。紀元前5世紀、トゥキディデス(Thucydides)は戦争の三要素である恐怖、名誉、利益について述べた。19世紀初頭、クラウゼヴィッツ(Clausewitz)(1989)は、戦争とは敵に我が意思を強制する行為であると述べた。このように、戦争における人間の認知的側面は、戦争理論の中心をなすものである。

敵が戦争に負けたと認識することは、戦争の終結のための重要な要件である。戦争の歴史において、カルタゴがローマに敗れたように、都市が跡かたなく除去され、全住民が奴隷となり、国家が物理的に消滅する事例は、極めて稀である。多くの場合、関係者の意思が戦争の継続と終結を決定してきた。

孫子とバジル・リデル・ハート(Basil Liddell-Hart)は、物理的な戦いを避け、敵の意思に影響を与える間接アプローチ戦略の重要性を主張した。しかし、孫子やリデルハートは、その方法について具体的な示唆を与えていない。(Handel, 1991)さらに、近年の科学技術の急速な発達、特に情報通信技術、ソーシャル・メディア、人工知能などの発達により、間接的なアプローチ方法は急速に変化している。

科学技術の発展に伴い、戦いは陸・海・空という伝統的な物理ドメインに加え、宇宙、サイバー、電磁波という比較的新しい技術的ドメイン、さらには人間の認知を含むマルチドメイン作戦となった。航空機が地上と海上のターゲットを攻撃し、サイバー手段が陸、海、空、宇宙の兵器をターゲットとするように、各ドメインの作戦は横断的に行われる。同様に、人間の認知のドメインをターゲットとして、あらゆるドメインから攻撃が行われる。それにもかかわらず、既存の情報作戦や認知ドメインに関する研究は、陸、海、空、宇宙、サイバー、電磁波という各ドメインと人間の認知のドメインとの関係性について検討していない。

このような状況を踏まえ、この記事の研究課題は、敵対者への認知的影響は、陸、海、空、宇宙、サイバー、電磁波、認知ドメインという複数のドメインから如何にして及ぼされるか、という点である。

この目的のため、この記事は、最新の科学技術が用いられた国家間の大規模な戦争であるウクライナ戦争の事例を分析し、陸、海、空、宇宙、サイバー、電磁波、認知の各ドメインから敵対者の認知に影響を与えている事象を抽出する。戦いにおいて作戦を立案するためには、あらゆるドメインの手段を統合し、同期化させる必要がある。このため、本論文では、抽出した事例を体系化し、敵対者に認知的影響を与える手法の包括的なモデルを提供する。

この際、この記事は、人間の認知が戦争の中心的存在であることに加え、近年の情報通信技術の発達を考慮し、ジョン・ワーデン(John Warden)により提唱されたファイブ・リング・モデル(Five Ring Model)を修正する。この記事が提唱するスリー・リング・モデル(Three Ring Model)は、(政治リーダー、軍の意思決定者及び国民から成る)認知ドメイン、(情報・通信インフラから成る)情報ドメイン、そして(軍部隊から成る)物理ドメインの三つのドメインから構成される。

この記事では、まず関連コンセプトに関する文献レビューを行い、次にウクライナ戦争の事例を分析する。そして、事例を体系化し、モデルを提示する。

文献レビュー

敵対者の認知に影響を及ぼすコンセプトとその歴史

物理的な手段を用いずに、敵対者の指導者、軍隊、国民などに心理的な影響を及ぼし、戦略的効果を得るという手法は、技術の発達とともに進化してきた。特に、こうした手法は、ラジオが発達した1920年代から特に活発化した(Rid, 2020)。その後、このコンセプトは政治戦、情報戦、影響力作戦、認知戦など、様々な形で表現されるようになった。

これらのうち最も古いものは、冷戦期に米中央情報局(CIA)が用いた政治戦である。政治戦(political warfare)は、真偽を織り交ぜた情報を流す情報戦と、政権転覆活動の両者を包含するコンセプトである(Paterson & Hanley, 2020)。

当時は、敵対する側への情報発信に紙媒体が使われることが多かった。例えば、1950年代、CIAは東ドイツに気球を飛ばし、東側の抑圧的な体制を非難する内容の冊子を配布した (Rid 2020)。また、冷戦期にソ連が流した偽情報として有名なのが、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は米軍が作成した人工ウイルスであるというものだった(Rid 2020)。1983年、ソ連の資金援助を受けたインド紙がこの偽情報を掲載し、1980年代を通じてこの偽情報は世界各国の新聞に繰り返し掲載された。こうした手法は21世紀に至るまで用いられ続けている。2003年3月21日、イラク戦争において有志連合は200万枚のビラを配布した (McCardle 2022)。

こうした中で、1990年代からインターネットなどの情報通信技術が活発に利用されるようになった。情報戦(information warfare)は、情報通信技術が発達した1990年代から広く使われるようになった用語である。コンピューター、通信ネットワークなどの情報通信機器をターゲットとする技術的側面と、人間の認知的側面の両者を包含するコンセプトである。前者はサイバー戦に近いコンセプトであり、後者は偽情報などにより人間の認知を操作することを指す。ただし、情報戦という用語が使われる場合、その定義は一定ではなく、技術的側面に注目することもあれば、人間の認知的側面のみを念頭に置くこともある (Blannin, 2022; Golovchenko, Hartmann & Adler-Nissen, 2018)。

このうち、後者の人間の認知に着目したコンセプトが認知戦(cognitive warfare)である(Hutchinson, 2022; Takagi, 2022a; Takagi, 2022b)。認知戦(cognitive warfare)は、社会科学と新技術を融合させた学際的なアプローチであり、近年、世界的に注目度が高まっている(Pappalardo, 2022)。 特に、中国は近年、「認知ドメイン作戦(cognitive domain operations)」など、「認知(cognitive)」という語を頻繁に用いている(Beauchamp-Mustafaga, 2019)。

中国の認知戦は、最新の神経科学と将来の機械と脳の直接的な接続を視野に入れたものであり、認知抑制、認知形成及び認知コントロールから成る(董, 2020)。認知抑制とは、自らの行動を隠し、敵の状況認識を弱め、あるいは奪うことを指す。認知形成とは、敵に偽の情報を与え、敵が自分の期待に沿った意思決定や行動をするように誘導することを指す。そして、認知コントロールとは、敵の意思決定メカニズムを改変したり、あるいは敵の意思決定の結果を直接改ざんすることを指す。ただし、中国の研究者は、これをどのように行うのかについて具体的に明言しておらず、現在の技術による実現可能性も定かではない。

また、平時、戦時を問わず、外国のターゲットに認知的影響を与え、その態度、行動、意思決定を変更させる取り組みとして、「影響力作戦(influence operations)」という語が用いられる(Saressalo & Huhtinen, 2022)。これには、ソーシャル・メディアを利用して他国の選挙に干渉することも含まれる。影響力作戦も人間の認知的側面に着目するコンセプトであり、中国における認知戦と似ている。

敵対者の認知に影響を与える手法とその歴史

以上のように、政治戦、情報戦、認知戦、影響力作戦には様々な定義があり、技術の進歩とともに発展してきたが、共通しているのは、情報を武器とし、非物理的な手段により戦略的な効果を得ることである。物理的な戦闘においては弾丸が敵対者を破壊、殺傷するが、非物理的な戦闘においては情報が弾丸となる。ここで言う弾丸は、戦略的な目的をもって発信される真偽が混在した情報であり、こうした情報はプロパガンダ、偽情報、ナラティブなど、様々な形で表現される。

プロパガンダにも様々な定義があり、普遍的な定義は得られていないが、真偽の情報を織り交ぜることによって目的を達成するという点において、多くの研究者の合意が存在する (Milton, 2022)。例えば、Wilber (2022)は、プロパガンダはイデオロギーと不可分のコンセプトであり、人間の認知を形成、操作し、敵対者が何らかの行動をするように誘導する意図的かつ体系的な試みと定義している。Wilber(2022)によれば、偽情報は常にプロパガンダである。

偽情報は、悪意のある偽の情報である。ただし、情報戦などにおいて流される情報は、必ずしも虚偽の情報である必要はなく、真偽を織り交ぜた情報が効果的とされる。DMMIマトリックスは有用で、情報を正しさと悪意によって分類することができる(Newman、2022)

参考:DMMIマトリックス(訳者修正)

プロパガンダや偽情報に関する研究は数多く存在する。その中には、2016年以降の米国大統領選挙及び中間選挙におけるロシアや中国の介入を取り上げたもの(Kliman et al, 2022)、2014年以降のロシアのウクライナ侵攻に際して拡散された偽情報に関するもの(Lupion, 2018; Roman, Wanta & Buniak, 2017; Khaldarova, 2021)など、最近の出来事を取り上げたものもある。こうした研究は、2010年代において、インターネットとソーシャル・メディアが偽情報の拡散に重要な役割を果たしたことを示した。

略的ナラティブは、政治主体が国際政治の過去、現在、未来についての意味を構築し、国内外のアクターの行動を形成するための手段である(Miskimmon, Roselle & O’Loughlin, 2013) 。戦略的ナラティブは、自然発生的に生まれるものではなく、政治主体が特定の意図を持って作成し、他者に影響を与えることを目的としている。また、そこには時間的要素があり、現在を理解し、未来を予測するために、過去を呼び起こす。さらに、私たちが何者であり、どのような秩序を望んでいるかについて述べるものである。

最新の科学技術に基づく間接アプローチの具体的手法

これまで述べたように、敵対者の認知に影響を及ぼすコンセプトと手法は様々なものがある。そして、前述した先行研究は、それらのコンセプトの発達は、情報通信技術の発展と密接な関連があることを示している。しかし、これらの先行研究のコンセプトは、陸、海、空、宇宙、サイバー、電磁波などの全てのドメインを用いた活動については言及していない。

そこで、本節では、最新の科学技術を用いた手法を探求するため、ロシア・ウクライナ戦争をはじめとする最近の事例を分析し、全てのドメインを用いて敵対者、同盟国、国際社会の認知に影響を及ぼす手法を抽出する。

認知のドメインにおける活動

ナラティブは、敵対者の認知に影響を与えるにあたり、中心的役割を果たす。効果的なナラティブは、聴衆の心に響くものである。例えば、ウクライナは、ロシアの侵攻に際し、権威主義的なロシアの侵攻に対抗する活気に満ちた民主的なウクライナというナラティブを継続的に主張してきた(Kuleba, 2022)

ロシア・ウクライナ戦争においてウクライナ、米国及びNATO諸国が行った事例は、効果的なナラティブを作成して拡散するため、情報の透明性、敵対者の違法行為の告発、偽情報への対抗、友軍の戦果と勇気の誇示が重要であることを示している。

情報の透明性

民主主義国家は、透明性を大規模に武器化することにより優位性を獲得できる。(Berntsen & Fedasiuk, 2022)ロシアのウクライナへの侵攻前にバイデン政権が戦略的に機密情報を公開したことは、透明性の促進における効果的な事例である。(Abdalla et al., 2022)

2022年2月18日、ロシアがウクライナ侵攻を開始する直前の記者会見において、ジョー・バイデン大統領は、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻を「決断したと確信した」と述べた。(The White House, 2022)ロシアの侵攻前日の2月23日、アントニー・ブリンケン米国務長官は、「ロシアが明日侵攻を開始する」と明確に述べた。(Walton, 2022) このアプローチは、戦争の抑止(London, 2022)、国際社会における支持の獲得 (Duss, 2022)、「戦争ではなく特別軍事作戦」というロシアの主張への反論といった効果を期待していた。(Kolesnikov, 2022)

情報の透明性を武器とするためには、省庁間の協力が不可欠である。(Berntsen & Fedasiuk, 2022)また、迅速な機密解除とタイムリーな公表も必要である。(Abdalla et al., 2022)公開された情報が虚偽であれば逆効果であるため、正確な情報公開が必要である。(Kuldkepp, 2022; Abdalla et al., 2022)

さらに、情報源の保護は常に最重要課題である。(Abdalla et al., 2022)米国による機密情報の公開に関して、その情報源はヒューミントではなく通信傍受であったと見られる。(Walton, 2022)つまり電子的な情報源が迅速な情報公開を促進した可能性がある。

敵対者の違法行為の告発

敵対者の違法行為を告発し、そして敵対者の指導者が違法行為に関与していることを明らかにすることは効果的である。そうすることで、敵対者は国際社会の支持を失い、友好国は国際社会の支持を得る。偽情報が氾濫する今日の世界では、戦争犯罪の責任の証拠を丹念に集めることが重要である。(Coleman, 2022)

2022年3月末、ウクライナの都市ブチャをウクライナ軍が奪還した際、彼らは多数の民間人の遺体と集団墓地を確認した。ロシアは、これをウクライナの捏造だと主張した。これに対して欧米メディアは、商用衛星の画像を使い、ブチャの路上に横たわる遺体と集団墓地がロシア軍の占領時から存在していたことを証明した。(Lin-Greenberg & Milonopoulos, 2022)

またウクライナ政府は、政府の公式アプリを用いてウクライナ国民が政府に情報提供する仕組みを作った。(Abdalla et al., 2022)多くのウクライナ国民が、このアプリを用いてロシア軍の動きや不法行為の証拠を政府に提供した。米軍と米情報機関もまた、ロシア軍の行動や作戦計画、ロシア軍の不法行為の証拠に関する情報を継続的にウクライナに提供した。(Abdalla et al., 2022)ウクライナは、これらの情報を政府のウェブサイトにおいて公開し、ロシア軍の残虐行為の証拠を国際社会に対して公表した。

敵対者の偽情報への対抗

戦時には偽情報が氾濫するため、適切な反論を行い、国際社会の支持を得る必要がある。ロシア・ウクライナ戦争において、ロシアは経済制裁の効果に疑念を抱かせるため、虚偽の経済統計を発表した。(Demarais, 2023)また、ロシアは新興国における食糧とエネルギーの不安は、ロシアの黒海封鎖ではなく、西側諸国の経済制裁が原因であると主張した。(Demarais, 2023)2022年、この偽情報は、特にアフリカ諸国において広まり支持を得た。(Julian-Varnon, 2022)

近年、人工知能の発達により、ディープ・フェイク(deep fakes)と呼ばれる精巧な画像や動画を作ることが可能となった。ロシアのウクライナ侵攻直後の2022年3月2日、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領がウクライナ国民に降伏を呼びかける動画が出現した。この偽の動画は、様々なソーシャル・メディアに急速に拡散し、国際メディアにも取り上げられて報道された。(Byman et al., 2023)

こうした偽情報への対策としては、偽情報を拡散するアカウントを特定して禁止するリアルタイムでの取り組みや、政府情報機関が市民社会と積極的に対話し、市民が情報を事実確認、検証できるようにする必要がある。(Ivan et al, 2021)

ウクライナへの侵攻開始直前の2月中旬、ロシアはウクライナ国境から部隊を撤退させ始めたという虚偽の発表をした。これに対して、北大西洋条約機構(NATO)事務総長は、商用衛星の画像を示し、この発表が虚偽であることを明らかにした。(Lin-Greenberg & Milonopoulos, 2022) 衛星画像は近年急速に精度を高めており、偽情報を見抜くために効果的である。

友軍の戦果と勇気の誇示

友軍の戦果と勇気を誇示することは、味方の士気を高め、敵の戦意を削ぐ効果がある。また、国際社会に優位性を広め、支持を得る効果もある。2022年5月11日、ウクライナ国防省のTwitterアカウントは、渡河を行うロシア軍に対する砲撃の成功を掲載した。このツイートは14,000以上の「いいね!」と約2,000のリツイートを得た。(Helmus, 2023)また同日に、ウクライナ軍兵士のツイートも多くの「いいね!」とリツイートを獲得し、NewsweekやFrance24などのニュースの中心的な情報源となった。(Helmus, 2023)

指導者の勇気と強いリーダーシップは、国民や兵士の士気を高め、国際社会の支持を獲得する上でも重要である。ロシアの侵攻中、ウクライナのゼレンスキー大統領は首都キーウにとどまり、自撮り写真を配信して国民を鼓舞し、国際社会に支援を訴えた。(Kuleba, 2022)

宇宙、サイバー、電磁波ドメインにおける作戦

サイバー、電磁波ドメインにおける活動は、人間の認知に影響を与える重要なものである。ナラティブ形成に資する情報の収集は、主に宇宙、サイバー、電磁波ドメインにおける活動を通じて行われる。加えて、敵対者の知覚に影響を与えるには、サイバー手段による偽情報の拡散やシグナリングが有効である。また、人間の認知的ドメインにおいては、政治指導者及び軍が如何に迅速かつ正確に意思決定を行うかが重要な要素である。誤った情報とデータを送りつけて敵対者に複雑さを課すことで、意思決定の質と速度において相対的に優位に立つことができる。

ナラティブ形成に資する情報収集

説得力のあるナラティブを形成するためには、そのための証拠を集めることが必要である。特に、敵対者が違法行為を行っている場合には、あらゆるドメインでの活動を通じて、その違法行為に関する情報を収集する必要がある。その中でも、宇宙、サイバー及び電磁的手段は重要である。例えば、ロシア・ウクライナ戦争において、人工衛星がブチャにおけるロシア軍の残虐行為の証拠を入手した。ロシアの開戦に関する秘密情報を、米国は通信傍受により入手した。

サイバー手段による偽情報の拡散とシグナル伝達

サイバー及び電磁的な活動により、敵対者の意思決定を妨害することができる。ロブナー(Rovner)(2022)は、ロシア・ウクライナ戦争におけるロシアのサイバー攻撃の多くは、情報の窃取に加え、偽情報の拡散による世論への影響を狙ったものであったと指摘した。ワイルデ(Wilde)(2022)も、ロシアのサイバー作戦は、ウクライナと国際社会の認知、知覚を狙ったものであったと述べた。

ロシア・ウクライナ戦争の開始前、戦争開始に伴いロシアが大規模なサイバー攻撃を送電網に対して行い、大規模な停電を引き起こし、厳寒の中に何百万ものウクライナ人が暖房も電気もない状態に陥る可能性が指摘あるとされていた。(Alperovitch, 2022) 実際、2015年12月23日には、ロシアのサイバー攻撃によりウクライナ西部の電気が一斉に消え、22万5000世帯のウクライナ人が被害を受けたこ。(Lee, Assante and Conway, 2016) このようなサイバー活動によりシグナルを送ることで、他国や他国民の知覚に影響を与えることができる。(Iasiello, 2021)

誤った情報やデータの送付

敵軍を欺き混乱させるために偽の情報を送るという行為は古くから存在するが、情報通信技術の発達に伴い、その方法も変化してきた。ロシアの侵攻に際し、ウクライナのハッカーたちは、魅力的な女性の偽アカウントを立ち上げ、ロシア兵を騙して写真を送らせた。ウクライナ軍は、その写真からロシア軍の基地の位置を割り出し、砲撃して破壊した。(Ankel, 2022)

誤ったデータを送ることは、近年軍事ドメインにおいて広く使われている人工知能に対しても有効である。ディープラーニング技術の発達により、大量のデータを用いた機械学習が人工知能の質を高めている。これを利用して、敵の学習データに汚染されたデータを送ることで、相手の機械学習を混乱させ、人工知能の品質を低下させることができる。

敵対者への複雑性の付加

デコイなど用いて、存在しない部隊やアセットが存在するように見せかける手法は、古くから存在する。従来型のデコイに加えて、将来は多数の無人兵器が使用される可能性がある。さらに、宇宙、サイバー、電磁波ドメインでの活動により、敵対者のISR活動を欺くことができる。こうした活動により、敵対者の意思決定に複雑さを与え、相対的に意思決定の質と速度において優位に立つことができる。

通信インフラの維持と妨害

情報発信は極めて重要であるため、通信インフラを維持する必要がある。また、敵対者の情報の配信を妨害するため、通信インフラを妨害することが有効である。ロシアは、ウクライナ侵攻当初、ウクライナ政府、軍、重要インフラのコンピューターシステムに対してサイバー攻撃を行い、ウクライナのシステムの一部を機能不全に陥らせた。(Cattler and Black, 2022) ウクライナの軍及び情報機関が使用するKA-SATも機能停止した。これに対してウクライナは、米軍サイバー部隊とハイテク企業の支援を受け、情報通信インフラを維持した。(Detsch & Yang, 2022) その結果、ウクライナは世界に向けて迅速に情報を発信することができた。

物理ドメインにおける手法

効果的なナラティブを作成して拡散するための重要な前提条件は、物理ドメインにおける友軍の合法的な活動である。また、物理的な部隊行動による意思表示は、敵対者に認知的影響を及ぼす伝統的手法である。

友軍の合法的活動

今日の戦争において、戦場は透明化している。(Barno, 2022)情報通信技術の発達した時代において、軍隊は常に多くのスマートフォンの監視下で活動している。こうした状況において、友軍の部隊と兵士は、常に合法的に行動しなければならない。そうした合法的な活動は、自国や同盟国に対する国際社会の支持につながる。また、偽情報に対抗するためには、友軍が違法行為を行っていないという情報を積極的に発信する必要がある。

物理的な部隊行動による陽動、威嚇、意思表示

相手の認知に影響を与える上で、従来の物理的な作戦ドメインである陸・海・空のドメインも依然として重要である。虚偽の部隊移動、陽動作戦、奇襲攻撃による相手への心理的な影響は、有史以前から繰り返し用いられてきた伝統的な方法である。また、物理的な軍事行動による威嚇や意思表示は、時として相手に大きな心理的影響を与える。

例えば、2021年末から2022年2月上旬にかけて、ロシア軍はウクライナを北、東、南から包囲し、ウクライナの指導者や国民を威圧する軍事演習を行った。ただし、このような威嚇により、ウクライナ政府と国民は屈することはなかった。

モデル化

戦争において作戦を計画するためには、陸、海、空、宇宙、サイバー、電磁波、認知的手段を統合(一体化)し、同期化する必要がある。このため、この記事では、これまで述べてきた全ドメインの手法を総合し、相手の認知に影響を与える手法を総合化(一体化)したモデルを提案する。

攻撃ターゲットのモデル化:スリー・リング・モデル

ジョン・ワーデン(John Warden) 米空軍大佐は1988年にファイブ・リング・モデル(Five Ring Model)を開発した(Chun, 2012)。このモデルは湾岸戦争の計画作成において使われた。このモデルにおいては、敵のターゲット集団はその性格に応じて5つの同心円で構成される。同心円の中心から近いほど、ターゲットの重要度が高い。湾岸戦争当時のイラクを表す同心円は、中心から指導部、基幹産業、インフラ、民衆、戦闘部隊であった。

このファイブ・リング・モデル(Five Ring Model)において最も中心に位置する指導部は、戦争の開始、維持、終結を決定する権力を持ち、国家の頭脳として機能する個人の集団から成る。これを直接破壊、又は指揮系統や連絡系統を無力化することで、国家全体が麻痺する。

参考:ファイブ・リング・モデル(訳者修正)

指導部を包含する第2の円は基幹産業であり、石油、ガス、発電所、研究施設などが含まれる。第3の円はインフラであり、国家の基礎産業や道路、橋、鉄道などの交通網が含まれる。軍に加えて民間企業にとっても、これらが失われれば生存が困難となる。第4の円は国民であり、かつてドゥーエが理論化したように、国民がターゲットとなり爆撃をされれば、国民は停戦を主張し自国政府を転覆するかも知れない。第5の円は戦闘部隊であり、円の中心から最も遠くに位置する。このことは、戦闘部隊を攻撃のターゲットとすることは非効率であることを示している。

この記事では、人間の認知が戦争の中心的存在であることに加え、近年の情報通信技術の発達を考慮し、ファイブ・リング・モデル(Five Ring Model)を修正する。

クラウゼヴィッツが、国民、政府、軍からなる戦争の三位一体を論じたことを踏まえ、この記事は、政府指導者、軍の意思決定者、国民を同等に円の中心に位置させる。まず、戦争は政治の延長であり、戦争の始まりと終わりを決定するのは政治である。当時のイラクは専制国家であり、強力な警察力を保持していたことを踏まえれば、攻撃のターゲットとしての国民は、ファイブ・リング・モデル(Five Ring Model)においては相対的に低く評価されていた。一般化されたモデルを構築するにあたり、指導者と国民は、戦争の開始や終了を決定するアクターとして同等に扱うべきである。民主主義国家はもちろん、独裁国家であっても、国民の支持なくして戦争はできない。習近平もプーチンも国民の支持を得ることに大きな関心を持っている。また、実際に戦争をするのは軍であり、軍指揮官による意思決定も重要な要素である。このため、この記事のモデルは認知ドメインを中心に置き、それは政府指導者、軍の意思決定者、そして国民の認知と意思決定から構成される。

情報通信インフラは、こうした意思決定者が末端部隊などに意思決定を伝達し、そして意思決定のために情報を収集する手段として、極めて重要である。情報通信インフラが破壊されれば、意思決定者は状況がわからず、意思決定を行うことができなくなる。また、彼らは意思を末端部隊に伝えることができず、軍や国家が麻痺する。このため、情報通信システムで構成される情報ドメインは、二次的な重要性を持ち、認知ドメインを取り囲む2番目の円である。ワーデンのモデルにおける第2の円の基幹産業、第3の円はインフラであるが、この記事のモデルは情報通信インフラを第2の円として特に強調する。

さらに、情報通信技術が発達し、多くのニュースが同時に世界中に配信される現代では、国際社会からの支持や反対も重要な要素となる。国際社会の反応は、国民や国家指導者に影響を与える。したがって、国際社会をモデルに組み込む必要がある。

一番外側に位置するのは物理ドメインであり、物理的な戦闘部隊により構成される。ジョン・ワーデン(John Warden)のモデルのように、物理的な部隊を直接攻撃することは、双方の人命が失われるため、良い方法ではない。したがって、物理ドメインはできるだけ攻撃のターゲットとして避けるべきである。

以上のように、この記事では、政治指導者、軍事意思決定者、国民からなる認知ドメイン、情報通信インフラからなる情報ドメイン、物理的軍事力からなる3リングモデルを提唱する。

攻撃方法のモデル化

次に、上記の3つのリングからなるモデルに対して、前章で列挙した最新技術に基づく手法がどのように機能するかをモデル化する。下図は、敵対者の認知に影響を与えるための友軍の行動を総合的に示したものである。敵対者の知覚に影響を与えることは、認知的手段のみによって行われるものではない。陸・海・空という伝統的な物理ドメインに加え、宇宙・サイバー・電磁波という情報関連ドメイン、そして認知ドメインでの作戦を総合したものである。

モデルの右側がそれぞれの具体的な友軍の行動を表している。上から、陸・海・空という従来の物理的なドメインでの行動、次いで宇宙・サイバー・電磁波という情報関連のドメインにおける行動、そして一番下は認知ドメインでの行動である。このように、認知ドメイン、情報ドメイン、物理ドメインにおける友軍の行動の、敵対者の認知ドメイン、情報ドメイン、物理ドメインに対するドメイン横断的かつ包括的に作用をモデル化した。

図1:認知中心モデル

認知ドメインにおける作戦

認知ドメインにおける作戦は、国家指導者、国民、国際社会にナラティブを発信することにより行われる。ナラティブの生成にあたり、ロシア・ウクライナ戦争において欧米諸国とウクライナが行ったように、情報の透明性を活用するとともに、敵対者の違法行為を告発することが有効である。また、敵対者からの偽情報に適切に反論しなければならない。友軍の戦果と勇気の誇示するナラティブは、相手の闘う意志(will to fight)を削ぎ、国際社会からの支持を得るために重要である。

宇宙、サイバー、電磁波ドメインにおける作戦

宇宙、サイバー、電磁波ドメインにおける作戦は、認知ドメインにおける作戦を支援するとともに、敵対者の知覚に直接的影響を与えることができる。ロシア・ウクライナ戦争において米国とウクライナが人工衛星を用いてロシア軍の残虐行為の証拠を入手し、またロシアの開戦に関する秘密情報を通信傍受により入手したように、効果的なナラティブを生成するための情報収集は、人工衛星、サイバー手段、電磁波の利用を通じて行うことができる。

サイバー及び電磁的な手段は、偽情報を拡散するとともに、シグナリングを行い、敵対者の政治意思決定者、軍事意思決定者に影響を与えるために使用することができる。サイバーや電磁的手段で偽の情報やデータを送ることによっても、敵対者を欺き混乱させることができる。さらに、宇宙、サイバー、電磁的手段による欺瞞は、敵対者の意思決定に複雑性を課すことができる。これらにより、意思決定の速度と質の相対的な優越を得ることができる。

物理ドメインにおける作戦

物理ドメインにおける作戦も、認知ドメインにおける作戦を支援するとともに、敵対者の知覚に影響を与えることができる。相手の物理的部隊に対して直接的に戦闘を行うことは、双方に人的損害が出ることから避けるべきであり、相手の知覚に影響を与えることが優先されるべきである。

近年の透明化した戦場においては、物理的な部隊は合法的に活動し、有利なナラティブの生成に寄与しなければならない。また、敵対者に意図を伝えるための物理的な部隊行動による陽動や威嚇は、伝統的かつ効果的な手法である。 さらに、情報及び物理ドメインを通じて、敵の通信インフラを破壊又は妨害することも、敵の意思決定を妨害するにあたり有効である。

結 論

この記事は、敵対者への認知的影響は、陸、海、空、宇宙、サイバー、電磁波、認知ドメインという複数のドメインから如何にして及ぼされるかについて探求した。このため、この記事は、最新の科学技術が用いられた国家間の大規模な戦争であるウクライナ戦争の事例を分析し、複数のドメインから敵対者の認知に影響を与えた事象を抽出した。事例を分析した結果、人間の認知のドメインに対する攻撃は、陸、海、空、宇宙、サイバー、電磁波そして認知のドメインという全ての作戦ドメインから行われていることが明らかとなった。

軍事作戦を立案するためには、全てのドメインにおける作戦を同期化させる必要がある。このため、この記事は、敵対者に認知的影響を与える手法を図式化し、包括的なモデルを提供した。この際、この記事は、人間の認知が戦いの中心(central to warfare)であることに加え、近年の情報通信技術の発達を考慮し、ジョン・ワーデン(John Warden)が提唱したファイブ・リング・モデル(Five Ring Model)を修正し、認知ドメイン、情報ドメイン、物理ドメインから成るスリー・リング・モデル(Three Ring Model)を提唱した。

戦争は、双方の意志の会戦(battle of wills)である。戦争の目的は、敵を殺し、破壊することではなく、敵の意志を屈服させ、負けたと思わせることである。そして、相手国の国民や国際社会の心をつかむことも必要である。そのためには、物理的な側面ではなく、人間の認知に焦点を当てることが必要である。こうした理由から、認知中心の戦い(Cognitive Centric Warfare)のコンセプトが必要なのである。

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