2019年前半のロシアの武器の売上高は60億ドル

掲載:2019年6月6日
作成:フォーキャストインターナショナル(FI)社
投稿:Derek Bisaccio FI社アナリスト
(この論評は米国人のアナリストが米国内に向けて出したブログです)

Russian Arms Sales at $6 Billion in First Half of 2019 
                                              June 6, 2019 – by Derek Bisaccio


Pantsyr-S1.  Source: Vitaly Kuzmin

ロソボロネクスポルト社の経営責任者のアレクサンダー・ミケエフ氏によると、2019年の開始以来ロシアの武器輸出は60億ドル近くに達している。

2019年6月6日にサンクトペテルブルク国際経済フォーラムでのスピーチで、ミケエフ氏は次のように述べている。
「我々は、今年の始め以来、外国の顧客へ57億ドル相当の製品を供給した。」
彼はそれ以上詳細には語らなかったが、その契約の中には4月に完了した「Su-35」の中国への供給を含んでいる。
ロシアは又その年の初めに中国へ「S-400地対空ミサイル」を発送していた。
一方で、エチオピアは今年初めに「Pantsyr-S1」を調達したことを明らかにした。
その供給が2019年に行われたかどうかは知られていない。

ミケイエフ氏は「世界の武器輸出のリーダーとして、我々は、今日の世界の潮流を見守っているだけで無く、外国貿易活動のための財務メカニズムを含む市場に関して独自の活動エリアを開発している。」と続けた。

ロシアに対する国際的な制裁を仄めかして彼は語った。
「5年間でロシア(注;政府)とロソボロネクスポルト社は、幾つかの国際的な金融機関から深刻な制限に直面している。
そしてそれは、一部の世界の武器市場のプレーヤーの政治的な意思に強く依拠するようになって来ている。
私たちは、それらを不当な競争と私たちと私たちのパートナーへの圧力としか認識できない。」

ロシアがウクライナからクリミアを併合した2014年以来、モスクワは、米国とヨーロッパから多くの分野をターゲットにした一連の制裁に直面してきている。
世界で最も大きな武器輸出国である米国は、敵対国に対する制裁法2017報復措置を通して、ロシアの防衛産業をターゲットにした制裁処置を特に狙いをつけている。
米国は一部の同盟国とパートナーに制限の免除を申し出たが、これらの制限はロシアの防衛製造業者とロシアの軍用機器を輸入する外国の両方に制裁を課している。

NATO加盟国のトルコはロシアから「S-400」を調達しようとしたが、米国はアンカラに対し、そのような取り引きは「F-35プログラム」への参加を危うくする可能性があると警告し、ワシントンがその購入に対してトルコを制裁できることを示唆した。

ソビエトまたはロシア製の装備を自国の軍隊に組み入れているパートナーを支援するために、アメリカはアメリカの装備を調達するための資金援助を提供するプログラムを展開している。
Defense Newsは先月、欧州資本増強インセンティブプログラムと呼ばれるこのプログラムについて報告した。それは、アルバニア、ボスニア、クロアチア、ギリシャ、北マケドニア、およびスロバキアのような国をターゲットにしている。
米国は、将来的により多くの国々にその施策を拡大する可能性がある。

このスクイズプレイの目的は、ロシアの外国顧客との武器輸出取り引きの成立の可能性を減少させる事である。
防衛輸出は、ロシア国家にとって非エネルギー収入の重要な源泉としての役割を果たすとともに生産ラインを支援し、研究開発コストをまかなうことによって、ロシア軍がすでに自国で調達しているシステムの単価の削減に役立つものである。
(黒豆芝)