バイデン政権のインフラ計画とDODのAIに対する新たな取り組み

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バイデン政権のインフラ計画が発表され、安全保障に関わる技術革新への取り組みが注目されています。
計画では、台頭する中国に対抗するために必要な「量子コンピューティング、人工知能、マイクロエレクトロニクス」など、益々増大するデジタル戦場で兵器システムを支え、競争力を支援する新興技術への重点的な投資と国立科学財団に「政府全体の既存のプログラムと協力して構築する」ための新しい技術局を設立し「政府と業界のコラボレーション」を図ろうとしています。

此と呼応して、国防総省の共同人工知能センター(JAIC)がAIに関わる重要なAIデータの準備分野で民間能力の活用に新たな取り組みを始めたようです。今回は、関連する記事2編の全文を紹介したいと思います。(黒豆柴)

Biden’s infrastructure plan includes billions to develop emerging tech the military needs
Andrew Eversden
イデンのインフラストラクチャ計画、軍事的に必要な新興技術を開発するため数十億ドルを

3月25日ジョー・バイデン大統領の記者会見で、政府は新興技術への政府支出を説明。 (エヴァン・ヴッチ/ AP写真)

ワシントン—水曜日に発表されたジョー・バイデン大統領のインフラストラクチャ計画は、今後数十年を定義し、軍事革新を推進すると予想される新興技術への新しい研究開発支出に1,800億ドルを要求している。

法人税の引き上げを通じて10年間で合計2兆ドルの新規支出が見込まれるアメリカの雇用計画は、研究開発への連邦投資の欠如が、米国が世界のトップ技術革新者の地位を中国に引き継ぐリスクがあるという懸念に取り組んでいる。テクノロジーで世界をリードすることは、「将来の経済競争力と国家安全保障の両方にとって重要だ」とバイデンの計画は述べている。

議会が提案を受け入れた場合、政府は、量子コンピューティング、人工知能、マイクロエレクトロニクスなど、益々増大するデジタル戦場で兵器システムを支え国防総省の競争力を支援する新興技術に数十億ドルを投入し、中国に対抗する。
「連邦政府と民間機関全体のR&Dに1,800億ドルを投資することは、連邦R&DがGDPの割合として数十年で最低であるときに、イノベーションの将来に大きな頭金となるだろう。」とDLAPiper法律事務所の人工知能と防衛担当の上級政策顧問であるトニーサンプ氏は、C4ISRNETに語った。
「そして、ゲームチェンジング・テクノロジーが経済の多くのセクターに関わるとき、国家安全保障と国防総省へのこの種の民間投資には確かに付随的な利益がある。」

この計画では、国立科学財団(NFS:National Science Foundation)への500億ドルの投資要求しており、バイデン政権は、「政府全体の既存のプログラムと協力して構築する」ための新しい技術局を設立したいと考えている。その技術局は、半導体、高度なコンピューティング、先進的なエネルギー技術、およびバイオテクノロジーに焦点を当てる事となる。
この提案は、同様のNSF技術局のために上院院内総務のチャックシューマー氏(ニューヨーク選出)によって導入された1,000億ドルの計画の半分である。

バイデン大統領はまた、「実店舗の施設、コンピューティング機能、ネットワークを含む」全国の研究所の改善に400億ドルの投資を要求している。

資金の一部は、連邦の研究開発機関全体に割り当てられることとなる。資金の半分は、歴史的黒人大学やその他の少数派奉仕機関に充当され、これは、サービスの行き届いていないコミュニティに新しい機会を提供するというバイデンの計画の中核的な側面となっている。米国国防総省は最近、歴史的黒人大学と少数派奉仕機関の研究教育プログラムの一環として、カリフォルニア大学リバーサイド校に優れたネットワーキングセンターを開設した。

新アメリカ安全保障センターのリサーチアソシエイトであるミーガン・ランバース氏は、ホワイトハウスの計画は、インターネットやその他の高度な技術の開発につながった冷戦時代の連邦政府による公共投資を思い起こさせたと語った。「計画自体は、米国のイノベーションの基盤と見なすことに焦点を当てていると考えられる。それは我が国民、我々のインフラストラクチャ、そして我々の投資に手をつけることである。」とランバース氏は語った。

そのバイデン大統領の計画は、製造と研究に500億ドルを費やすことにより、米国政府が直面する半導体サプライチェーンの課題に対処することを目指している。
半導体製造は主​​に米国外で行われており、スマートフォンから5Gネットワ​​ーク、戦闘機に至るまで、あらゆるもののコアテクノロジーに関する安全保障上の懸念が高まっている。
バイデン大統領の提案は、昨年の国防権限法案で可決されたCHIPS法と呼ばれる超党派の法案からの半導体への500億ドルの投資と一致する。

サプライチェーンの懸念は、技術の国内生産をサポートするために商務省に新しいオフィスを設立するためのバイデン大統領の500億ドルの提案に拍車をかけた。

この計画には、気候科学と関連する「技術の飛躍的進歩」のための350億ドルが含まれており、この地域は、荒天が一部の軍事作戦と施設に影響を及ぼし、地球温暖化が北極圏の権力闘争に貢献しているため、軍にさらに影響を与えているものである。 その上、この計画には、量子コンピューティング、エネルギー貯蔵、多くの防衛システムで使用されているレアアースの分離など、多くの気候研究開発の優先事項に対する「実証プロジェクト」のための150億ドルが含まれている。
「政府と業界のコラボレーションは多くの機会がある。」とランバート氏は述べている。

「気候変動に関連する問題に取り組むことへの業界からの反発は少なくなると考えられ、そしてそれは一般の人々にとって本当に重要な問題だと思う。それは人々が協力できる問題だからである。」この計画が承認された場合、4年間で研究開発に3,000億ドルを投資するというバイデン大統領のキャンペーンの約束の半分以上を実現するものだ。

ここ数ヶ月、米国当局は、特にAIとマイクロエレクトロニクスの研究への数十億ドルの支出を推奨する人工知能に関する国家安全保障委員会の報告書の発表後、イノベーションへのより広範な連邦支出の要求を強めている。基礎的な研究開発への米国の投資は、1964年の国内総生産のほぼ2%から2016年にはわずか0.7%に減少し、米国が技術革新を活用するのに十分な支出をしていないことを専門家に警告している。

「バイデン政権は、中国を「打ち負かす」ためのインフラストラクチャと雇用パッケージに技術革新と研究開発を含めることで、超党派の懸念を巧みに利用し、より広範な雇用パッケージをより魅力的にしている。」とサンプ氏は述べている。
「研究開発の部分は、将来の技術で競争力を維持し、国内で雇用を創出する米国の能力を強化する事となるだろう。」


Pentagon seeks commercial solutions to get its data ready for AI  Andrew Eversden
国防総省は、AIデータの準備に民間のソリューションを求める

統合人工知能センターは、国防総省のコンポーネントにデータ準備サービスを提供するよう業界に依頼するRFPをリリースした。 (ブループラネットスタジオ/ゲッティイメージズ)

ワシントン—国防総省の共同人工知能センターは、AIで使用するための軍事データの準備を支援する企業を募集している。

3月31日にリリースされたその募集は、AIオフィスの役割が製品開発者から国防総省コンポーネントのAI準備サービスのプロバイダーにシフトしていることを示している。
基本的な注文契約により、国防総省のコンポーネントと契約する企業は、人工知能に関する発展のためにデータを取得するための作業のタスク・オーダーを発行できる。
これには、データの取得からストレージ用のデータのソート、従業員がAIでデータを使用してより良い洞察を得る方法のモデリングまですべてが含まれる可能性がある。

その募集によると、人工知能開発(DRAID)サービスの業務委託契約のデータ準備は、「国防総省と政府のユーザーが、AIのデータを準備する際に、関連する複雑な技術的課題に対応するために必要な最先端の商用サービスにアクセスするための簡単にアクセスできるパスを提供することにより、AIアプリケーションで使用するデータの準備を支援することとなる。」

「DRAIDが対応するサービスは、データの取り込みからラベリング、モデルトレーニングが始まる直前まで、AIデータ準備のライフサイクル全体に及ぶ」とJAICの4月1日のブログ投稿は述べている。「これらのサービスへのアクセスを通じて、国防総省は、国防総省全体のAI活動の全範囲をサポートするために、AIデータを効果的に準備し、責任ある方法でそれを行うように配置するものとなる。」

基本注文契約に基づくタスク注文は、次の領域に分類される:

  • プロジェクトとプログラムの管理
  • データサイエンス
  • データエンジニアリング
  • データアーキテクチャ
  • データの取得とキュレーション
  • データ品質と分析
  • 合成データの生成とデータの匿名化
  • ソフトウェアの開発、変更、および環境設定
  • エンタープライズ情報の管理とガバナンス
  • クラウドの統合と調整

JAICは、契約を通じて作成されたすべてのAIデータが公開された政府標準に準拠していることを要求しているため、データは関係省庁全体の他のクラウドおよびAI開発プラットフォームと相互運用できる。

「このPWS [パフォーマンス作業明細書]の下で取得または開発されたDoD AIデータサービスとそれらのサービスによって処理されたデータは、新規または既存のAIクラウドプラットフォームと統合および相互運用することが頻繁に要求されることとなる。 …PWSによると、ほとんどの場合、このBOA[1]の下で生成されたAIデータは、他のAIプロジェクトで再利用するためにクラウドプラットフォームで利用できるようにする必要がある」。BOAは5年間有効である。
合意に関するJAICのブログ投稿は、RFPがスタートアップなどの非伝統的な請負業者に魅力あるものとなるよう措置を講じたことを強調した。

提案書には、新しい請負業者が対応する前に取らなければならない準備手順の概要を説明するアクセシビリティガイド[2]が含まれている。
又、新しいベンダーがより包括的になるようにJAICがRFP草案に加えた改訂も強調している。
例えば、ブログによると、JAICは、スタートアップやその他の非伝統的な請負業者をより包括的にするために、経験要件を改革した。
「DRAIDの開発では、連邦政府とのやり取りが初めてか101回かに関係なく、ベストなプロバイダーがRFPプロセスに参加できるように工夫した」とリクエストは述べている。

RFPは、製品がDoDのAI倫理原則をどのように統合するかを請負業者が実証するソリューションなど、AIの倫理的使用をサポートするテクノロジーを求めている。
「AIデータの品質が、結果として得られるAIシステムの品質を決定する。」とブログ投稿は述べている。
「JAICはDRAIDを使用して、米国の民間企業を活用して、国防総省向けのAI対応データの強力な基盤を構築しようとしているのだ。」


[1] BOA:Basic Ordering Agreement「業務委託基本契約書」

[2] アクセシビリティに関しては以下の基準により、標準化の取り組みが行われている。

2001年にISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)による「ISO/IECガイド71」(規格作成における高齢者・障害者のニーズへの配慮ガイドライン:ISO/IEC GUIDE 71 Guidelines for standards developers to address the needs of older persons and persons with disabilities)は、ISO/IECの加盟各国が自国内の個々の規格を作る時のためのガイドラインとなるもので、ISOの関わる71番目のガイドが発表された。