CNASのレポート「なぜアメリカは新しい戦争の道を必要としているのか」から

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米国には安全保障に関する多くのシンクタンクが存在し、政府の安全保障政策に様々な提言をしてますが、オバマ政権下で国防次官(政策担当)と国防次官補(東アジア・太平洋担当)に就任したフルールノアとキャンベルが設立した新アメリカ安全保障センター(CNAS)も他の研究所と比べると規模は小さいながら「政策立案集団」として多くの提言等を行っています。
今回は、そのCNASが「なぜアメリカは新しい戦争の道を必要としているのか」というレポートを発表し、その中で「米国が保有する現在の中国,ロシアに対する戦争計画が将来の戦場において役に立たない。」と言及しています。Military comにその概要と評価が掲載されていたので紹介してみたいと思います。(黒豆芝)

America’s Current War Plans for China, Russia Will Not Work, New Report Says  12 Jun 2019 Military.com | By Matthew Cox
米国の現在の中国、ロシアに対する戦争計画は機能しないだろうと新しいレポートは言う


戦闘強襲中隊、第3海兵連隊に割り当てられた米国海兵隊の水陸両用強襲車両は、海兵隊訓練エリアのベローズで海岸強襲エクササイズを行うより前にビーチを通過。
海兵隊基地ハワイ、2019年4月9日。(アメリカ海兵隊写真/ Alex Kouns)

新アメリカ安全保障センター(CNAS)の新しい報告によれば、国防総省がロシアや中国の複雑な防衛ネットワークに侵入するための武器や戦略を開発するという計画は時間の無駄であり、将来の戦場において米軍の敗北につながる可能性があるという。

国防総省の2018年国防戦略は、アメリカの上位2つの競争相手であるロシアと中国を打ち負かすために設計された新しい戦争計画を立てる方向に米軍の総力を向けている。
国防総省は、これら2つの敵対国の軍によって開発された米国の攻撃の有効性を低下させる高度な防衛システムからGPSや軍事通信を妨害する複雑な妨害兵器まで、洗練された接近阻止、領域拒否(A2 / AD)ネットワークを打ち破るための近代化と運用の概念の多くに焦点を当てている。

CNASの防衛プログラムの上級研究員であるクリストファー・ドゲティ氏による「なぜアメリカは新しい戦争の道を必要としているのか」のレポートによるとこれは間違いである。
6月11日に発表された報告書によれば、「A2 / ADネットワークが提起する課題は、米国および米国の防衛コミュニティの多くに、それらを中国及びロシアの運営重心であるとの誤認を引き起こしている。」その考えが敵のA2 / AD能力を打ち負かすことであれば、「あなたは間違ったことに焦点を当てている。」と火曜日にドゲティ氏はMilitary.comに語った。

「誰かが盾を手に入れたという場に戦いに入る時、貴方の剣をその盾に叩き込むために全時間を費やすことはしない。」と彼は言った。 「貴方はその盾を避ける道を見つけようとする。」
CNASに入る前ドゲティ氏は、戦略と戦力開発における政策担当国防次官室で4年間勤務し、戦略を将来のシナリオに変換し、それらのシナリオの要求を満たすための統合部隊の能力評価を担当していた。「このプロジェクトは、実際私がそこでやってきた多くの仕事から出てきたものだ。」1997年から2000年にかけて陸軍の第75レインジャー連隊、第2大隊にも所属していたドゲティ氏は語っている。

ドゲティ氏は、ペンタゴンの現在の戦争方法は湾岸戦争後の時代からの名なごりであり、「ロシアや中国に対する現実的な戦争では実際にはうまくいかない」と彼の報告で述べている。
「残念ながら、国防総省は体系的な本質とそれが直面する問題の根本的な意味を完全に把握することができなかったため、これまでのところ安全保障環境がもたらした多くの課題に対する国防総省の対応は断片的で悠長なものだった。冷戦後に出てきた米国の戦争方法は、大国間競争の時代には機能しないだろう。」と報告書は述べている。
「これは、米国の軍隊が広い意味で、世界で最も強力な国であるという条件から導き出されたものである。」とレポートは続ける。「そして未だに、彼らは中国やロシアとの将来の戦争に敗北するリスクを増大させている。」
「その主要な競争相手はもはや世界のイラクやユーゴスラビアなどの地域的脅威ではなくなった。」という現実を完全に受け入れようとしない国防総省の考えは、米国に「その事態に直面したときに撤退や、戦争に敗北するという破壊的な戦略的結果を伴う。」と報告書は述べている。

報告書の中で、ドゲティ氏は作戦から敵軍の抑止まで、アメリカの現在の戦争の方法を分析している。:戦闘力の構築、政権の目標の攻撃。指揮、統制、通信、コンピューティング、情報、監視、および偵察(C4ISR)
火曜日に4つの重要な分野に焦点を合わせた:

・Fighting effectively at a time and place of the adversary’s choosing.(敵が選んだ時間と場所で効果的に戦う。)

米軍の指導者たちは長い間決まり文句(クリシェ)として「我々が選択した時間と場所で彼らと戦う」としてきた。同氏は、「その主張がたとえそれがこれまで有効であったとしても、中国やロシアのような国に対して有効では無くなってきていると思う」と語った。
「彼らはかなりの軍事力を持つ大きな力であり、そしておそらく、もしアメリカとその2カ国の軍のうちの一カ国との間で戦争が発生したならば、それは彼らが選択する時間と場所で起こるだろう。」

・Putting more emphasis on the battle for information.(情報のための戦いをもっと重視する。)

「我々は過去のようにそれを支援する施策として扱うよりむしろ情報のための戦いに焦点を合わせなければならない。情報とデータは私たちの生活のあらゆる様相を流れ、そして戦闘はなんら変わるものでは無い。」と彼は言った。
「海兵隊司令官のロバート・ネラー大将は、最近「ネットワークをうまく機能させ、意思決定をより迅速に行うことができる側が、将来の戦争にかなり大きなアドバンテージ獲得する可能性が高い」と「彼は実は注目していた。」

・There is no safe sanctuary.(安全な聖域はない。)

「私たちは聖域なしで作戦方法を学ぶ必要がある」
「遠距離攻撃であろうとある種の半否定的なノンキネティクな手段であろうと、競争者達は、祖国にいる私たちに到達して打撃を与えることができるのだ。
彼らは彼らの祖国の駐屯地から全ての手段で我々の軍を攻撃できる。海を越えて、上陸する必要のある港や空港に至るまで彼らが全ての方法で。 …従って、我々はその前提の下でどのように作戦するのか把握しなければならない。」

・Develop ways to defeat enemy aggression without domain dominance.(ドメインの支配なしで敵の侵略を打ち負かす方法を開発せよ。)

「湾岸戦争では、イラクの防空組織を鎮圧し、統制を確立し、そして私たちのタイムラインで統合軍を動かし、我々のために軍を構築することは非常にうまく機能した。
だが、中国やロシアに対しては、そのアプローチは遅すぎるだろう。」とドゲティ氏は述べた。
「我々が、その支配レベル動員するまでに、彼らはすでにそれが何であれその状態を掌握しており、彼らは、切迫する戦闘の位置から抜け出すことを目指しているだろう。
では、最初にネットワーク全体を停止させようとせずに、機能している防御ネットワークまたは接近阻止、領域拒否ネットワーク内で我々が必要とする致命的な効果をどのように達成するのかを理解する必要があるだろうか?」
ロシアや中国との戦争に備えるための個々の軍事部隊による試みについてドゲティの報告は言及していない。
「確かにいくつかの研究があった。私が様々な軍と様々な部隊(軍種)に亘り積極的な成長の蔓(つる)と呼ぶことになるものがある」と彼は言った。
「陸軍の将来のコマンドの開発は確かに前向きな開発だと思う。そして海兵隊戦闘研究所は本当に良い仕事をたくさんしたと思う。」
すべての軍は、マルチドメインオペレーションに焦点を合わせ、陸上、海上、空中、サイバーおよび宇宙のドメインで活動する軍を準備することを目的とした統合ドクトリンを開発するために働いてきた。
「マルチドメインオペレーション – これでうまくいくと思うが、それは良いスタートだと考えている」とドゲティ氏は、述べていた。
「私は幾つかの特定の・・・大枠での概念・・については議論するのを避けようとしていた。それは、個々の、全ての軍の概念を調べて議論しなければならなくなるからだ。」

彼は、この報告書は、軍人および文官の両方の国防総省内から多数の人々を集めて、彼らに尋ねるために設計された2年間の取り組みのほんの一歩であると述べた。何か良い考えはあるか?そして、それらをまとまったものにまとめることができるか?」
ドゲティ氏によると、CNASの防衛プログラムは、一連の詳細な議論を主導し、情報戦争や他の競合相手によって提起される課題に焦点を当てた論文を発表する予定だという。

「他のものと同様にうなずいて「私たちは何年もこれを言っている」と言う一握りの人々がいるだろう。 ちょっとクイズをして顎をかく「これはおもしろい」と言う人々が一握りになるだろう。そして、彼らの腕を組んでいる人々の他のグループは、「大声で」、そして「すべては大丈夫だ」と言う。

 

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