2024年までにAIが戦闘機ドッグファイトで試される。
自由主義国ではAIに対し倫理を重んじながら、戦場のAI化に取り組んでいます。これは、そういうことに頓着しない競合勢力に比べ、自ら足枷をはめることになりますが、それでも勝たねばなりません。我が国でもDODのJAICのような取り組みが必要でしょう。
AI To Fly In Dogfight Tests By 2024: SecDef
2024年までにAIが戦闘機ドッグファイトが試される。
By Sydney J. Freedberg Jr. on September 09, 2020 at 2:03 PM : Breeaking Defense
今年の夏、AlphaDogfightシミュレータがAIを使って人間のパイロットとの格闘戦に5対0で勝利した後、Mark Esper氏は、将来AIが実際の戦闘機に搭載され、「実際の空中戦」を行うだろうが、軍事でのAIは厳格な倫理的制限を遵守すると彼は述べた。
ワシントン:米国防総省が初めて開催した人工知能 (AI) に関する会議で、Mark Esper国防長官は中国とロシアの追い上げを問題として提起した。彼は、2024年までに戦闘機でのAIパイロットでの試験を行うことを含め、AIの軍事利用では米国が世界をリードすると断言した。しかし一方で米国のAIは、大国のライバルたちは気にかえることのない“倫理”を持っており、それはち、新たな「AI防衛パートナーシップ」として10近くの民主的同盟国と共有されるだろうと述べた。
今年の夏、DARPAのバーチャルAlphaDogfightを使った戦闘機ドッグファイトで、AIがベテランの人間のパイロットを5対0で破った。そのプログラムはAir Combat Evolution (ACE)と呼ばれ、現在、実際の戦闘機でのテストに向けて進めているところだと、Esper長官が今朝発表した。しかし、米軍は、戦闘作戦における人間の判断と統制にAIが取って代わることを求めているのではなく、むしろ人間の判断と統制を支援することにAIを利用しようとしているのである。DARPAはAir Combat Evolution(ACE)を2024年に空軍に引き渡す予定だが、海軍と海兵隊もこれに参加することになっても驚かないでいていただきたい。
ACEを使って実試験を実施するとDARPAの広報担当者はEメールで述べている。しかしDARPAは、これは人間とAIが「競う」という表現になることを避け、人間とデジタルがパートナーとして機能する「ヒューマンマシンチーミング」ということを強調している。この試験では「パイロットには、飛行中に高度な認知レベルの戦闘管理タスクが与えられ、AIをどれだけ信頼しているかを判断するために、注意力とストレスを測定するセンサーがパイロットに装着される。」と述べている。「本格的な航空機に搭載した試験は2023年予算年度に始まるとDARPAでは述べている。「何か問題が起きた場合に備えて、安全のため戦闘機は完全に無人化するのでなく、パイロットを搭乗させる…。現在のスケジュールでは、FY23の第2四半期に1対1、第4四半期に2対1、FY24年度第1四半期に2対2の空中戦が予定されている。
いくつかの飛行テストではhuman-machineチームが、AIの支援を受けない人間パイロットと対決する;その他では2組のAI-humanチームを互いに戦わせる。その後、Esper長官は武装のオートメーションにますます神経質になってきている世界に向けて「明らかに、私たちのAIの役割は、人間の意思決定者をサポートすることであり、彼らに取って代わることではない。 AIは、リソース、時間、人員を削減するためのツールであり、これにより、運用者は優先度の高いタスクに集中でき、ラボでも戦場でも、競合する相手よりも迅速かつ正確に決定ポイントに到達できる。」と説明している。
競合国はAIに対してこのようなアプローチはしていないとEsper長官は警告している。「現在、中国の兵器メーカーは、致死的な標的攻撃が可能な自律ドローンを販売している。」「このように中国は、イスラム教徒であるウイグル人に対するターゲットを絞った弾圧を支援するために、人工知能監視装置を配備し、整備している。同様に、香港の民主化を求める抗議行動参加者は、プライバシー法や倫理的な統治原則に縛られることなく、中国共産党のデジタル警察国家によって特定されたり、拘束されたり、投獄されたり、さらにひどいことになったりしている。中国がこの技術の規模を拡大するにつれ、これらの能力を海外に販売し、他の独裁的な政府がデジタル権威主義の新時代に移行させようとしている。」と述べた。ロシアに関しては、「ロシア政府は、地上車両、航空機、原子力潜水艦、指揮統制システムを対象としたAI対応自律システムの開発を発表した。」「ロシアはこれらの能力を将来の戦闘地域に展開するだろう。」とEsper長官は述べた。
これとは対照的に、米国は「個人の自由、民主主義、人権、法の支配の尊重」を危険にさらすことなく、その中でできるだけ早く対応しているとEsper長官は主張した。「2月には、透明性、信頼性、統治可能性などの基本的価値に基づき、AIの使用に関する倫理原則を採用した世界初の軍隊となっている。」
こうしたAI倫理の原則は、ロボット兵器やアルゴリズムによる人権侵害を恐れる人々にとって大きな懸念である法的な力を欠いている。それにもかかわらず、国防総省は、「戦闘」 AIに関する8億ドルの契約の中にそっとこれを盛り込むなど、具体的な方法でこの原則を実施するための措置を講じている。
その推進の一環として、Esper長官は、DoD担当者に対しAI全般、特にその原則について教育する複数の取り組みについて「われわれは、AI開発者からエンドユーザーまで、すべてのDOD関連者を教育する包括的な戦略を策定している。」「DODは責任あるAI委員会を立ち上げ、組織内にAI倫理の文化を育むために、各部署からリーダーを集めている。また、JAICでは、AIの提供に直接関与するDOD職員を対象とした9週間の研修プログラム 「Responsible AI Champions」 を開始、今後1年間でこのプログラムをすべてのDoD全体に拡大する予定にしている。さらに、JAICはディフェンス・アクイジッション大学と海軍大学院と協力して、来月、集中的な6週間のパイロット・コースを開始し、80人以上のあらゆる階級および等級の人間に対しディフェンス・アクイジッションを教育する……。議会の支援を得て、司法省は、時間をかけてこの取り組みを拡大するため、各軍に対する追加資金を要求する予定だ。」と語った。
JAIC(統合AIセンター)はまた、同盟国への支援活動の先頭に立っている。長官は「JAICは来週、10カ国以上の軍・防衛組織が参加する初の 「防衛のためのAIパートナーシップ」 を発足させる。」「今後1年間で、データ共有、協力的な開発、相互運用性の強化のための新たな枠組みやツールを作成し、このイニシアティブをさらに多くの国に拡大していく予定だ。」と語っている。更にEsper長官は、「我々は中国やロシアといったライバルに先んじる必要がある。」「同盟国やパートナーと共に、何世代にもわたって私たちの権利と祖国を守ってきた国際的なルールと規範を守る…..。国際的なルールや規範を曲げたり、壊したり、作り変えたりしようとする修正主義勢力に、高い地位を譲るわけにはいかない。」と語っている。
Esperの国際主義的なレトリックは、他国との協調と米国の行動に対する倫理的な制限に重点を置いており、おそらくトランプ大統領との立場を助けるものではないだろう。エスパーはすでにベイルートの爆発からドイツからの撤退、デモ隊に対する現役部隊の展開まで、大統領のあらゆる発言に丁重に反論しており、トランプ政権2期目にも留任しないという噂も絶えない。