ワシントンが450億ドルのオフセットを必要とするレイムダックの造船計画を発表
掲載:2020年12月15日
作成:フォーキャストインターナショナル(FI)社
投稿:Shaun McDougall FI社アナリスト
(この論評は米国人のアナリストが米国内に向けて出したブログです)
Washington Releases Lame-Duck Shipbuilding Plan that Requires $45 Billion in Offsets December 15, 2020 – by Shaun McDougall
新しい造船計画には、大型の水上戦闘艦が少なくなっている。出典:米海軍
米海軍は、待望の30年造船計画の更新を発表した。
戦略文書の公開は、マーク・エスパー国防長官が、当時の海軍の造船計画の経費の妥当性に疑問を呈し、将来の海軍戦力研究(FNFS)を要求したため今年初めに遅れたものだ。
その研究は、10月にエスパー国防長官によって概要の説明があったバトルフォース2045と呼ばれる新しい造船目標を示していた。
海軍は、当時まだ艦船の要求の最終決定中であったので、エスパー国防長官は様々なクラスの艦船の最小、最大双方の部隊数を引き合いに出していた。この新しい30年間の艦船の造船戦略は、それらの見積もりを確かなものにし、そして、そのより大きな海軍は、予算の他分野からのオフセットによって450億ドルを必要とするものとなっている。
計画は次期政権によって修正される可能性が高いだろう。
この計画では、11隻の空母の要求がそのままとなっている。10月、エスパー国防長官は、空母艦隊が8隻にまで削減する可能性があると語っていた。
しかし、彼はまた、大型艦艇から幾分負担を取り除くと思われる軽空母の新しいクラスに関する計画の概要を述べた。
今回の造船計画には新しい軽空母は含まれておらず、費用効果の高い軽空母の戦闘能力と戦力量の更なる研究が必要であること指摘している。
海軍が最終的に軽空母の正式な要件を採用した場合、スーパーキャリアの数が削減される可能性がある。
この計画では、現在在籍している10隻から削減して9隻のLHA / LHD大型水陸両用艦を要求している。
これらの艦艇は、海兵隊が望む新しいクラスの軽水陸両用艦(LAW)を含む、57隻の小型水陸両用軍艦によって補完されることとなる。
水陸両用艦隊の総数は、現33隻から2045年度までに66隻へ増加することとなっている。91隻の駆逐艦と巡洋艦の現在の大型水上戦力は、2045年度までに74隻に削減するようである。
将来の大型水上戦闘艦隊は、73〜88隻の範囲のFNFSオプションの最低ラインにある。
海軍の前の2016年の部隊構造評価では、104隻の大型水上戦闘艦が必要だった。
この減少は、2045年度までに30隻から66隻に増加する予定の小型水上戦闘艦隊における計画され増加によるオフセット分となっている。
FNFSは、60隻から67隻の間の小型水上戦闘艦を要求した。FNFSの主要な目標は、海軍の攻撃型潜水艦隊を強化することであった。
エスパー国防長官が10月にこの計画について話した時、海軍が1回だけ変更を加える場合は、バージニア級潜水艦の調達率を上げる必要があると述べた。
この新しい造船計画では、2045会計年度までに72隻の攻撃型潜水艦の艦隊が予定されており、現在の在籍する54隻から2016年のFSA目標は66隻であった。
新しい計画には、SSGN巡航ミサイル潜水艦に続いて2040年代に就役する新しい大型ペイロード潜水艦も含まれている。
最後のSSGNは、在来型巡航ミサイルを搭載するように改修されたオハイオ級弾道ミサイル潜水艦であり、2027年度に退役する予定である。
建造スケジュールによると、最初の大型ペイロード潜水艦は2049年度まで供給される予定にはなっておらず、その頃に攻撃型潜水艦隊は80隻に増加ものとなる。
建造計画には、オハイオクラスの更新となる計画されたコロンビア級の弾道ミサイル潜水艦12隻が含まれている。
戦闘兵站部隊は、現在の29隻の部隊と比較して、FNFSオプションの下限である2045年度までに69隻に達する予定。また、33隻の支援船があり、これは現在の34隻の在籍と符合している。
上記のすべての艦艇は、2045年度までに403隻の戦闘部隊となり、現在の296隻と、海軍の従前の目標である355隻から増加することとなる。
FNFSは、382隻~446隻の戦闘艦の要求の概要を説明した。
戦闘部隊に加わるのは、119隻の無人水上艇と24隻のUSSV(無人水面下艇)を含む143隻の無人プラットフォームの艦隊となる。
この混合部隊は、143隻~243隻の無人システムから要求されたFNFSの下限を反映している。
海軍は、2023~2026年度から12隻の大型無人水上艦(USV)と、1隻の中型USVおよび8隻の超大型無人水中艇(XLUUV)を購入する予定である。無人船を含めると、2045年度の海軍艦隊の目標は、FNFSの688隻の上限と比較して、546隻に増加。
2021年度の5年間の予算見通しと比較すると、2022〜2026年度の建造計画では、バージニア級原子力潜水艦が3隻、DDG51駆逐艦が2隻及びFFG(X)フリゲート艦が6隻追加され、;LPDフライトII水陸両用艦が1隻削減;20 21年度計画に含まれていなかった軽水陸両用軍艦が10隻、遠征高速輸送船が6隻、2021年度計画に含まれていなかった次世代兵站船が6隻、T-AO艦隊補給艦が5隻、T-AS(X)潜水母艦が1隻及びT-ATS曳航が追加され;サルベージ及び救助船が1隻削減され;T-AGOS(X)海洋監視艦が追加されている。
これらの追加の船にはかなりの経費が必要である。
海軍は2022年度の新造船に228億ドルを充てたいと考えており、これは2021会計年度の予算要求で予測された178億ドルより22パーセント多い。
軍は、2023年度に288億ドル、2024会計年度に280億ドル、2025年度に339億ドル、2026年度に336億ドルを必要としている。
全体として、海軍は2022年度から2026年度にかけて82隻の船舶に1,471億ドルを求めており、これは、44隻の船舶に資金を提供した以前の1,028億ドルの5カ年計画に比べて43%の増加である。
これらの数値には、5年間でさらに150億ドルから200億ドル以上を追加する可能性のある他の造船費用や無人艇への資金は含まれていない。
議会予算局のような政府の監視機関は、海軍が保有する古い355隻の計画のコストを過小評価していることを過去に警告し、軍がその目標を達成するために記録的な建造予算を必要とするだろうと述べた。
新しい長期建造計画にはさらに多くの資金が必要であり、その一部は他の軍から吸い上げる必要があるだろう。
建造計画に付随する会計計画の枠組みの中で、政府は、将来の年の防衛プログラムの過程で、予算の他の領域からの潜在的な相殺で450億ドルを特定した。
そのフレームワークは、海外での軍の削減を通じて、そしてアフガニスタン治安部隊資金の削減とイラクの対イスラム国及びシリア軍事援(軍事訓練及び装備支援)資金の削減によるFYDP(将来の防衛計画)で350億ドル以上が節約されるだろうと述べている。さらに66億ドルは、FYDPの過程でレガシーシステムを売却することで獲得出来ると考えている。
陸軍はまた、現役軍、予備役、および州兵全体に広がる1,700の部隊の適度な最終戦力の削減の対象となるだろう。
計画の枠組みは、明確に国防総省に関する7,219億ドルを含む、国防のための7,590億ドルの2022年度の予算上限を提案している。
今後5年間で、国防予算は年間2.1%の予想インフレ率で増加する見込みである。これらの数値は、2021会計年度の予算要求の予測と一致している。
特に、これらの予測は、パンデミックが経済を壊滅させる前に起草されたものであり、2番目のトランプ政権でさえこれらの数字を維持するのは困難だっただろう。
ジョー・バイデン次期大統領は国防費を大幅に削減する予定はないと述べたが、国防総省は何らかの削減に遇うかも知れない。
つまるところ、レームダックの予算と造船の提案は、次期政権に圧力をかける試みを表している。それにもかかわらず、バイデンのチームは、次期政権で慣例となっているように、来年議会に正式に提出される前に予算案を微調整するだろう。
最終的に、新しい建造提案は、保留中の2022年度予算要求又は、バイデンの監視下で完全に起草された最初の予算である2023年度予算要求でも、変更される可能性があるものとみられる。(黒豆柴)