米陸軍歩兵小銃分隊の再考- Rethinking the US Army Infantry Rifle Squad –

米陸軍における戦いのコンセプトの議論が深まる中で、第一線での戦いはどうなっていくのだろうか?

マルチドメイン・オペレーションは科学技術の進展に伴った戦略環境や作戦環境の変化がもたらした一つの結果とみてよいだろう。

第一線で戦う歩兵分隊の在り方は、近接戦闘部隊への予算配分の見直しを求める発言によるまでもなく、新たな作戦環境や新たな技術が生み出す装備の変更に伴って議論されなければいけない重要なテーマであろう。海兵隊において既存の13名小銃分隊を12名小銃分隊する議論が行われたが、昨今の技術の進展に伴う脅威の変化を考慮すると、15名小銃分隊にするとの結論に至っている。

米陸軍の歩兵分隊に関する議論の一端を知りうるミリタリーレビューの記事を紹介する。

2017年12月6日にハワイのスコフィールド・バラックスで諸職種連合部隊の実弾射撃演習に参加する、第2旅団戦闘チーム第27歩兵連隊第1大隊の兵士。この訓練は、兵士に対して、戦場で優越した火力を確立するために、砲兵、航空支援、迫撃砲を含む複数の武器を組み合わせて行動を実践することを可能にするものである。(写真:米陸軍2等軍曹David N. Beckstrom)

米陸軍歩兵小銃分隊の再考 -Rethinking the US Army Infantry Rifle Squad-

Maj. Hassan Kamara, U.S. Army[1]

MILITARY REVIEW ● March-April 2018の論文から

勝利のコンセプトを除けば、過去には神聖なものは何もないと考えるべきである。我が米陸軍の構造と編成は、作戦上も制度上も大幅に変わる可能性があり、我々はその変化に自由に対応しなければならない。

米陸軍大将Mark A Milley

1940年代以降の戦争、軍事、および人間社会の不連続性、ならびに将来の戦争に関する予測は、改革(reform)を正当化するために従来の歩兵分隊を生み出した多くの基本的な議論、事実、および仮定を十分に無効にする。この記事では、方法を強調し、分隊改革(reform)の代替案を推奨する。

米国陸軍は、ジョージア州フォートベニングで行われた1946年歩兵会議の談話と発見に基づいて、第二次世界大戦で使用された12人の歩兵小銃分隊よりも9人の歩兵小銃分隊を採用した[2]。一部は進化したが、今日の歩兵小銃分隊はまだ9人の兵士で構成されている(4人で構成される2つの火力チームは、分隊長に従属するチームリーダーが率いる)。Robert B. Brown米陸軍大将は、歩兵分隊がわずかな変更を加えても基本的に同じままであったとし、「アフガニスタンとイラクに配備した新しい兵士の装備と技術的進歩にもかかわらず、先人達がベトナム戦争と朝鮮戦争で行ったのと同じ方法で分隊は作戦している」と記している[3]

変化の専門家であるJohn Kotterは、今日の世界の変化のペースに追いつくために、組織システム、構造(歩兵分隊など)、およびコンセプトを評価および管理することの重要性を明確にしている。Kotterは、「世界は今、過去一世紀にわたって構築された基本的なシステム、構造、文化が、それらの上に置かれることになる要求に追いつくことができない速度で変化している」と書いている[4]。歩兵分隊の場合、Kotterの主張は「軍の専門家や学者は、その継続的な関連性について、従来の歩兵分隊の構造を調べる必要がある」ことを示唆している。

それで、1946年以来の戦争、軍事、および人間社会の発展に関連する歩兵分隊を生み出した基本的な議論、事実、および仮定、ならびに将来の戦争についての予測はどれほど関連性があるのだろうか? これらの発展は、必要な再編成と改革(reform)を正当化するために、小銃分隊の現在の構成と適用を支える基本的な議論、事実、仮定の多くを十分に無効にするものである。

さらに、なぜ全体の戦闘組織を構成するほんの一部である小銃分隊に注目するのか? この記事は、将来の決定的な力の基本的な基盤であるため、歩兵小銃分隊(機械化歩兵とストライカー歩兵の異なったものではない)に焦点を当てている。さらに、採用以来の戦いの変化を考慮すると、現在の分隊構成は、適用前に再構成および再適応すれば軽減できる可能性のある将来の作戦での不必要な問題を経験することになろう。(図1は、現在の歩兵分隊の構成を示している。[5])この困惑の可能性は、技術と戦いの継続的な変化が新しい能力と装備(ドローン、電子戦など)、および戦闘機能を従来の分隊の構成に追加したために、すでに現れている。

図1. 現代歩兵分隊(機械化されたストライカー編成が車両プラットフォームでの作戦のために分隊を修正)(陸軍技術出版3-21.8「歩兵小隊および分隊」2016年4月の図)

将来の決定的な力の基礎でのこの懸念を強調することにより、この分析は、米国軍の従来のの力の構成または戦闘の順序全体を批判的に分析する研究を促進するのに役立ちます(ストライカー、機械化、空中、 航空攻撃分隊)が採用されてからの戦争と軍事情勢の変化に基づいて陳腐化の程度を評価する。この分析は、採用されて以来の戦争と軍事の変化に基づいて陳腐化の度合いを評価するために、米陸軍(ストライカー分隊、機械化分隊、空挺分隊、 航空攻撃分隊を含んだ)の従来の部隊構造または戦闘序列全体を批判的に分析する継続する研究の促進に役立つものになる

Michael Howard 卿の戦争の次元(作戦的、技術的、兵站的、社会的)は、将来の戦争に関する予測だけでなく、分隊が創設されて以来の軍事および人間社会がどのように変化してきたかを強調するための分析の単位として使用され、再考と変化を保証する[6]。このフレームワークは、典型的な軍事的次元(作戦的、兵站的)を網羅することに加えて、戦争の社会的および技術的次元を考慮することを強いるものであり、これは社会的次元、技術的次元として戦争に固有のものである。おそらく、このフレームワークは、1940年代以降の軍事と社会の変化を包括的に強調するのに最適であり、将来の戦争に関する予測だけでなく、分隊の再評価と改革(reform)を保証する。

Dimensions of War:戦争の次元

戦争の次元についての簡単な議論が、後に続く分析を組み立てて理解するには必要である。Howardは、軍事戦略を分析するためのフレームワークとして戦争の次元を使用するが、それらは、長期的な作戦的、兵站的、社会的、および技術的な不連続が戦闘組織に与える影響を総合的に評価するための適応的で有用な部隊変革ツールでもある。

作戦的次元。部隊変革の観点から、作戦的次元での慎重な計画策定と変更の実装により、敵対者に対する力と能力の決定的な適用が改善される。戦闘組織の変化を計画策定しおよび実装する際、軍隊は、作戦的次元だけでなく、戦争のすべての次元に焦点を合わせることを確実にしなければならない。

兵站的次元。フレームワークを軍事変革を検討するために使用する場合、兵站的次元は、兵站(供給、保守、医療支援など)での重要な変更の考慮事項を識別して強調するのに役立つ。

社会的次元。戦争のフレームワークの次元を部隊変革に適用する場合、社会的次元は、戦争を遂行し、終わらせようとする際に、戦闘組織と社会、文化、環境(人口過剰やメガシティを考える)との相互作用に焦点を当てる。この次元は、「従来型の戦争に特徴的な大規模な徴兵が行われた場合、軍事組織にどのような影響があるのか?」のような質問も引き起こす。

技術的次元。部隊変革の観点から、技術的次元は、紛争地帯の地元住民に兵站を可能にし戦略的な便益の相互作用を可能にする一方で、潜在的な敵対者に対する作戦上の優位性を提供することのできる技術開発への考慮と関与を促進する。Howardによると、20世紀以来、技術の役割は「独立した重要な次元として、もはや考慮されなくなることはない[7]

The Squad and Discontinuities in the Dimensions of War:戦争の次元における分隊と不連続

戦争と軍事は1946年以来かなり進化しており、従来の歩兵分隊構造の再評価と改革(reform)を保証する不連続性を示している。戦争の各次元で強調されているように、そのような不連続性は歩兵分隊の起源の背後にある議論、事実、仮定を十分に挑戦し、(ほとんどの場合)無効にする。

The Squad in the Operational Dimension of War:戦争の作戦的次元での分隊

1946年の歩兵会議は、歩兵の観点から第二次世界大戦における陸軍の経験を研究し、組織、訓練、装備の課題を克服し、革新と制度改革(reform)を促進するのに役立つ教訓を引き出すために組織された。A.O. Connor米陸軍大佐は同意し、会議での彼の講義で、「歩兵会議の目的は歩兵の現在および将来の多くの問題の解決に関する健全な決定に到達することである」と述べた[8]。すべての第二次世界大戦の作戦戦域から将校及び下士官が参加した。参加者は各委員会の組織員となり。委員会Aは主に装備に焦点を当て、委員会BはJames M. Gavin米陸軍少将のリーダーシップの下、主に組織の問題に焦点を当てた。当然、ドクトリンは、両方の委員会で広く議論された。各委員会は、当時の歩兵学校の司令官であるJohn Wilson “Iron Mike” O’Daniel米陸軍少将への最終会議報告書で提示された部隊変革提案に投票した。

従来の分隊の基礎。委員会Bは、指揮統制、組織の残存性、および火力と機動に関する議論に基づいて、第二次世界大戦の12人の歩兵小銃分隊を9人の歩兵分隊に変更することを推奨した[9]。第二次世界大戦で使用された12人の歩兵用小銃分隊は、分隊長、副分隊長、3人の自動小銃チーム(機関銃手、副機関銃手、および弾薬手)、および7人の小銃手で構成されており、それらのうち二人は斥候員として指定されている(図2を参照[10])。提案された9人の歩兵分隊は、分隊長、2人の斥候員、自動小銃手(機関銃手)、副機関銃手、および4人の小銃手(1人の擲弾手を含む)で構成されていた[11]。委員会は、これが分隊長が戦闘で統制できる人員の最大人員であると信じた故に、新しい分隊組織を提案したものである。

図2.自動小銃を備えた第二次世界大戦の12人の歩兵小銃分隊(フィールドマニュアル22.5「歩兵訓練規則」1939年7月の図)

会議では、分隊を「チームとして組織された下士官のグループ:リーダーが野外で容易に指示できるだけの数の人のみで構成される最小の戦術単位」と定義し、この定義に基づいて、「分隊の規模を、リーダーが音声または手信号で個人的に統制できる人の数に制限する」ことを選択した[12]。その報告書では、委員会Bは「有利な条件の下で1人の人が野外で8人までしか統制できない」と明確に述べている[13]

高い消耗度の戦闘の組織としての分隊の残存性は、新たに提案された分隊の背後にあるもう1つの要因であったが、指揮統制に次ぐものであった。歩兵会議のメンバーは、通常、第二次世界大戦中に歩兵分隊が完全戦力以下で作戦していることを観察し、12人の歩兵小銃分隊の変更は、何らかの消耗の戦い後も生き残り、有効性を維持できることを確実にするように求めた。この論理的根拠に沿って、委員会は、9人の部隊を、分隊長が戦闘中に音声と手信号で統制できる最も生存可能な構成として決定した。言い換えれば、会議の参加者は、提案された9人分隊は、小さいながらも、戦場での消耗を達成した後も小隊機動を支援できることにほとんどが同意した[14]

さらに、第二次世界大戦の経験に基づいて、歩兵会議の参加者は、有機的な火力と機動が可能な最小の単位は小隊であると信じていた。委員会Bの過半数を占める新しい分隊の支持者は、第二次世界大戦中、「小銃分隊は攻撃において戦術的機動をほとんど使用しなかった、すなわち、斥候員のAble、Baker、Charley要素、火力の基礎、そして機動の基礎である[15]」Connorは歩兵組織に関する講義で、「戦争は小隊によって勝つ」と述べ、「戦闘では、火力と機動は小隊の仕事である」と付け加えた[16]。その後、会議の参加者は分隊を小隊レベルでのみ火力と機動が可能と見た。小隊内の他の分隊の機動を支援するための火力の基盤を確立するか、別の分隊が火力支援を行っている間に単一部隊として機動する。会議参加者の多く、特に委員会Bの参加者は、分隊レベルで射撃と機動ができるとは信じていなかった(1つの火力チームが他の火力チームの火力を支援する)。したがって、彼らは、火力と機動のより大きな所要量のために、12人の歩兵小銃分隊を維持する必要はないと推論した。

1946年以降の不連続性と将来の懸念。1946年以降、9人の歩兵分隊を採用するための上記の議論、事実、および仮定を無効にするために、作戦的次元で多くの変更が行われた。指揮統制に関しては、今日の歩兵兵士が利用できる現在の個人用通信装備により、分隊長はチームリーダーと(必要に応じて)分隊のメンバーと通信し、指示することができる。技術、有能なチームリーダー、および成熟したミッションコマンドの哲学により、今日の分隊長は8人以上の兵士を機動させることができる。さらに、戦闘員情報ネットワーク-戦術:Warfighter Information Network–Tactical(WIN-T)プログラムなどの取り組みの下で兵士が使用できる状況認識ツールは、戦闘リーダーが手信号、音声、および視覚範囲をはるかに超えた隊形で機動することを可能にしている[17]

1946年の会議では重要ではないと考えられていましたが、分隊レベルの火力と機動は今日の歩兵機動の不可欠な部分であり、米国の対等な敵対者によるターゲッティングの改善には、分隊を将来の戦場での機動の最小の主要な単位として使用するための調整の必要性を表している。後者では、機動中の火力を増やすために分隊を増強させる必要があり、小隊の火力と機動の単一の一体的要素としてより機動性を高めるために分隊を小さく保つ必要性を無効にしている。

作戦的次元に関する限り、9人の歩兵分隊の起源に関する基本的な議論、事実、および仮定は時代遅れであり、無効である。言い換えれば、従来の分隊構造の開発につながった1946年の歩兵会議の懸念は、戦争、軍事、および人間社会の変化によって大部分が無効にされてしまった。これには、構造の徹底的な再評価とその後の改革(reform)を求めるものである。

The Squad in the Logistical Dimension of War:兵站的次元の戦争における分隊

前述のように、この次元は戦争の募集、装備、および後方支援の側面に関係している。分隊の変革の観点からは、人員配置、装備、後方支援に重点を置いている。

従来分隊の基礎。分隊の変革に関する限り、1946年の歩兵会議では人員と装備がこの次元の主要な側面であった。人材の配置に関しては、戦時の交代の一体化が、9人分隊の勧告を支える主要な兵站上の関心事であると思われた。後方支援(補給、整備など)に関する分隊の兵站は、会議の対話では取り上げられなかったと思われ、それは、この日の歩兵のリーダー達が小部隊の作戦に関して小隊中心の見通しを持っていたゆえに分かりやすかった。

会議の個々人は、新しい徴集兵と交代兵は、より小さな分隊での理解と戦いの方が簡単だと推論したため、9人の歩兵分隊に傾いているように見えた。会議の参加者は、徴兵された下士官が経験した第二次世界大戦でより大きな12人の小銃分隊を率いる上での戦時の困難の観察に大きく影響された。コンセンサスは、9人の兵士で分隊構成員を簡潔に保つことであるように思われたので、大量に動員された徴集兵と交代兵の米陸軍は、戦争で新しい組織を素早く理解し、戦うことができた。Omar Bradley米陸軍大将は会議への演説でこの懸念を引用した。Bradleyは、9人の分隊の推薦を承認し、高い損耗のために分隊長の役割を果たさなければならなかった徴兵された下士官の闘争に関する観察を引用した。彼は、「死傷者による急速な昇進で、時々、その大きな分隊を指揮するかなり難しい仕事をしている分隊を指揮する人々と一緒にいることに気づく」と語った[18]

2017年12月26日に81 mm迫撃砲を発射して、アフガニスタンのヘルマンド州でのMaiwand 10作戦中にアフガン兵士を支援する第501大隊歩兵連隊第2大隊A中隊の兵士。兵士たちは、アフガニスタンの兵士たちが夜間の待ち伏せを経験したマルジャの近くの地域を照らすために、複数の照明を発射した。(写真:軍曹ジャスティンT.アップデグラフ、米国海兵隊)

1946年以降の不連続性と将来の懸念。戦争、軍事、および人間社会は、9人の歩兵分隊の起源の理論的根拠を損なうことについて、この次元に関して十分に進化している。大量動員の場合の徴集兵を一体化しやすくするために、9人の兵士に分隊員の数を制限することはもはや有効な議論ではない。通常、資源(弾薬、燃料など)を集中的に使用する実地訓練を頻繁に実施できないことに加えて、米陸軍は現在、訓練に使用する仮想現実シミュレーションを有している。おそらく、この費用対効果の高い訓練能力は、米陸軍が第二次世界大戦時代よりも効果的に兵士を訓練することができる。なぜなら、没入型の模擬された戦闘環境で持続的な(反復)演練を行えるからである。これにより、分隊が大きくなった場合、米陸軍が徴集兵を訓練しそして一体化できなくなるという懸念を和らげるのに役立つ。

分隊レベルの再補給の問題は、1946年の歩兵会議での対話にはなかったが、将来の戦場での増加する部隊の分散(場合によっては分隊レベルまで)を伴う米陸軍の兵站基盤に課せられる可能性がある。たとえば、潜在的な対等な敵対者によるセンサー、ターゲティング、および長距離精密射撃の開発は、将来の戦場での米軍部隊の分散度を増加させる必要性を誘発することになろう。

The Squad in the Social Dimension of War:戦争の社会的次元における分隊

大量徴兵は、第二次世界大戦における米国の勝利の大きな要因であった。米陸軍の階級は、通常の兵士と比較して経験が浅いが訓練と戦いに熱心だった市民兵士で比較的急速に膨れ上がった。

従来分隊の基礎。戦時中の訓練と徴集兵の現役米陸軍への一体化の経験により、1946年の歩兵会議参加者の多くは、より小さな9人の歩兵分隊を支持した。これらの退役軍人は、彼ら自身の直接的な経験に基づいて、経験の浅い徴集兵に対する指揮統制がより小さな分隊の方がより良いという理由だけで、第二次世界大戦の12人の分隊よりも徴集兵を新しい9人の分隊に訓練し一体化する方が簡単だと信じていた隊。したがって、参加者は9人の分隊を選択した。

1946年以降の不連続性と将来の懸念。情報化時代の学習能力が本質的に優れているため、米陸軍は、第二次世界大戦への米国の参戦時よりも、今日は戦争の大量動員の場合で徴集兵を効果的に訓練することは間違いない。これは、平均的な徴兵された市民がそれがどのように動作するかをすぐに学ぶのをよりよく助けるために、9人の兵士で分隊を維持する必要性を否定するものである。さらに、ゲームやメディアの形をとる情報技術は、戦間期(第一次世界大戦から第二次世界大戦まで)に経験したよりもはるかに大きなレベルで、米国国民を戦闘に露呈する。技術のおかげで、21世紀の平均的な米国の若者は、戦間期に彼または彼女の同等の人達がしたよりも、模擬された近接戦闘(ゲーム、仮想現実、ペイントボールなど)のいくつかの形の中で平均して、より多くを経験している。「世界クラス」のパフォーマーの育成方法に関するGeoff Colvinの研究では、彼は、異なる場面で非常に成功しているトップパフォーマーの連続したケーススタディを通じて、卓越したパフォーマンスが持続的または意図的な実践によって開発されることを説得力をもって示している。これは、米陸軍に入る前の仮想現実の戦闘シミュレーションを通じて得られる持続的または意図的な実践に基づいて、今日の若者は本質的に第二次世界大戦や朝鮮戦争時代からの彼らの対等者よりも(技術的な精通度及び戦闘本能に関して)有能な訓練生である可能性があることを示唆している[19]。米国社会におけるこの興味深い発展は、別の大量動員型の戦争が発生した場合に国に役立つ可能性があり、徴兵の迅速な訓練と一体化のために歩兵分隊を9人に制限する1946年の理論的根拠を再考することの追加の根拠である。

推進要因としての人口増加。さらに、人間社会の変化、特にメガシティの成長は、指揮統制を強化するために分隊を小さくするという歩兵会議の決定に挑戦している。今後、世界中のメガシティの出現と偏在の拡大は、非常に密集し制約の多い都市環境で将来の戦争が戦われる可能性が高いことを意味する。米陸軍によると、「メガシティは、米軍の介入を必要とするいかなる将来の危機において戦略的な緊要地形になる可能性が高い」これは主に「メガシティの台頭に寄与する人口、都市化、資源の傾向は、衰退や逆転の兆候を示していない」ことが要因といえる[20]

Mark A. Milley米陸軍大将はこの見解を共有しているように見え、「将来の戦争はほとんど確実に都市で戦われるだろう。そして、これは米陸軍にとって重要な意味を持っている[21]」と述べている。この都市環境の進化は、将来の戦闘作戦における人員、装備、弾薬の消耗を増加させる。1944年10月のドイツのアーヘン市に対する第二次世界大戦の戦いは、メガシティにおける従来型の敵対者に対する将来の都市戦闘が歩兵分隊にどのように影響するかについての洞察を提供する。John C. McManusは、アーヘンの陸軍衛生兵の勇敢な努力にもかかわらず、犠牲者はまだ小銃中隊の戦闘力を侵食していた。数日以内に、ほとんどは半分または3分の2の強度で作戦していた。毎晩、人事将校は新しい交代要員を中隊に送った。これにより小銃中隊は作戦を続けたが、彼らは常に劣勢であり、一定した増員が必要であった[22]

アーヘンでは、より大きな12人の歩兵分隊が、組織の生存率の高さ(消耗の中で残存し戦闘の有効性を維持する能力)が、非常に有能で従来型の敵対者に対する高い消耗度の都市戦闘で有利であることを間違いなく証明した。アーヘンと同様に密集した都市部で行われた他の戦闘のように、メガシティでの対等な敵対者に対する将来の戦闘では、歩兵分隊はイラクの都市の反政府勢力に対して彼らが行ったよりもはるかに多くの人々を失う可能性が高いため、永続する消耗の後も効果を残すためにより大きくする必要がある。米陸軍の戦闘部隊の交代制度は、半世紀以上前のベトナム戦争以来、そのような方法で強調されていないため、この点に関して、組織の存続可能性は、特に重要であることがわかる。

The Squad in the Technological Dimension of War:戦争の技術的次元における分隊

技術は、将来の歩兵分隊の構成と作戦における重要な要素でなければならない。技術の成長と自動化は、商用における人力の必要性が減少する傍ら、より大きな労働負荷の所要を増加させた。しかし、その反対は歩兵小銃分隊に当てはまる。技術と自動化により、従来の戦闘機能に加えて、同じ9人が管理および運用できる装備が増え、現代の戦場での分隊の労働負荷が増加したようである。

オクラホマ州フォートシルで行われた機動射撃統合実験中に、統合戦術自律空中補給システムが2017年4月12日に小型パッケージを投下する。(写真:モニカ・ウッド)

従来分隊の基礎。会議の参加者は、技術に関する仮定に基づいて、9人の歩兵分隊の推奨を支持した。改善された軽量の自動小銃や機関銃などの兵器システムの現代および将来の進歩により、12人の歩兵分隊内の追加の3人が提供する火力の必要性が否定されたと考える人もいた。言い換えれば、参加者は、今日のより優れた武器システムは、9人の分隊の火力を、古い武器を使用した12人の分隊の火力と同等であると信じていた。たとえば、会議での証言で、Bradleyは、「より良い武器を使用する場合、1つのチームに多くの小銃手を配置しないことが最善かもしれない」と述べ、第二次世界大戦の分隊は大きすぎ、新しい小さな構造が好ましいと考えていると述べた[23]。1946年に予測されたように、分隊の武器は改善し、分隊の火力は増加した。しかし、潜在的な敵対者の間で同様の進歩が広まっているため、このような進歩は、規模が縮小された9人歩兵分隊を維持する正当な理由ではなくなった。

1946年以降の不連続性と将来の懸念。1946年以降の軍事技術は、歩兵分隊の火力を現在の状態にまで高め、将来的にはそれを強化し続けることは間違いないが、分隊を現在の人員を維持したり、削減したりするための十分な根拠ではなくなった。実際、まったく逆に、武装ドローンやその他のロボット工学など、分隊の能力を強化するために成長する新たな軍事技術は、小銃手の別のチームで歩兵分隊内の兵士の数を増やすための強力なケースを作りだしている。

Grounds for Change:変更の根拠

強調された軍事と人間社会の不連続性、および将来の戦争に関する予測は、分隊の再考と改革(reform)を求めている。作戦上の立ち位置からすると、指揮統制は、より大きな分隊に対して可能になったため、米陸軍は対等な敵対者との高消耗度の戦闘での完全な破壊から生き残るための分隊の能力を増加させるよに育成する必要がある。

兵站に関しては、敵のターゲティングの有効性を無効にするために将来の戦場で分散した戦闘を行うには、戦域の兵站基盤に負担をかけずに遠隔で分隊に再補給する革新的な方法が求められる。補給と兵站のためにドローンのような新しい技術を活用するために分隊を適応させることは、米陸軍が分散し、将来の従来型の紛争で敵による標的を複雑にするのを助けることになる。興味深いことに、このような将来の発展を予測して、米陸軍は2017年4月に統合戦術自律空中再補給システムと呼ばれる複数のプロトタイプ無人航空機を実験した[24]

戦争の社会的次元の変化(人口とメガシティの増加)およびメガシティでの高消耗都市戦闘に従事する本当の可能性に基づいて、分隊の人員を増加は、戦闘の残存性を向上させる。さらに、訓練の技術開発と徴集兵の戦闘での前線での露出の増加は、分隊を小さく保つ必要性を否定し、徴集兵はその仕組みを理解しやすくなる。

技術的な観点から、分隊に別のチームを追加することは、無人の武装偵察、サイバー、および電子戦の能力のために分隊を最適化できる。ミッション・コマンドの満ちた哲学と協力して、上記の技術を活用する分隊の成長は、将来の戦場で親部隊(小隊と中隊)から分散して作戦することの準備をよりよくする。将来、対等又はほぼ対等な敵対者との国家間紛争では、米陸軍のリーダーは、必要に応じて集約する本来の能力を維持しながら、小さな部隊(おそらく分隊)が敵のターゲッティングや火力を複雑にするために分散して戦う戦場を想定している。Milley米陸軍大将によると、将来の戦場ではセンサーが頻繁に使用され、どこにでもセンサーがあり、見られる可能性は非常に高くなる、・・・見つけられれば撃たれる。つまり、生き残るためには、我々の隊形を小さくする必要があるであろう。彼らは常に移動する必要がある。彼らは迅速に集約し、分散する必要がある[25]

おそらく、分隊が親部隊(小隊と中隊)から分散して戦うときに必要となる最も重要な有機的な戦闘能力は偵察である。センサー満載の将来の戦場では、偵察を通じて最初に敵を特定し、敵を破壊するために火力を迅速に活用することの重要性を誇張することはできない。

米国の地上部隊は、持続的な大規模な反乱の期間から将来の紛争への準備に移行している。地上作戦の進化は、従来の戦いと対反乱の合成、従来型の戦いを伴う日従来型、欧州での将来の軍事交戦のための正規戦を伴う非正規戦を示している。地政学的環境と戦略的および作戦的な戦域任務のレビューを通じて、この研究では、戦域における米陸軍サービスコンポーネントコマンドの役割だけでなく、将来の任務に活用できる教訓とベストプラクティスも検証する。この特別な調査を見るには、http://usacac.army.mil/sites/default/files/publications/17587P.pdfにアクセスのこと。

Recommendation:推奨策

米陸軍は、高消耗の戦闘で分隊をより生き残りやすくし、一体化する新しい機能(ドローン、サイバー、および電子戦)、および将来の戦場で親組織から分散して作戦し、戦うのを助けるために、第2次世界大戦で使用していた斥候偵察チームの修正版を復元した。概念的には、無人航空機システムとロボットシステムの訓練を受けた歩兵で構成される3人のサイバー/偵察チームは、無人武装偵察、サイバー、および電子戦の能力を分隊に永久に追加する。この変更により、戦場に分散した小さな要素として分隊の生存率が(定量的に)増加し、複数のドメイン(地上、近接、サイバードメイン)で戦うことができる。さらに、この変更は、将来の分散した戦闘環境での再補給のためにドローンとロボット技術を活用する能力と所要量を分隊に提供する。この改革(reform)はまた、急速に進化する軍事ロボットとドローン技術の継続的な一体化と使用のために、分隊にオープンな組織アーキテクチャを作成する。

Conclusion:結論

1940年代以降の戦争、軍事、および人間社会の変化、ならびに将来の戦争に関する予測は、従来の9人歩兵分隊を生成した基本的な議論、事実、および仮定の多くを十分に無効にし、制度の再評価と改革(reform)を正当化する。現在の時代は、組織がマルチドメインバトルコンセプトと一致する複数のドメイン(陸、海、空、宇宙、およびサイバースペース)でよりよく戦うことを可能にする組織の変更を検討しているため、この変化に最も適している。

制度上の神聖な牛であるにも関わらず、最適な戦場での残存性とパフォーマンスのために規模を大きくすることにより、分隊を大胆に再評価し、正式に改革(reform)する時が来た。Milley米陸軍大将によると、「私たち(米陸軍)は、考えられないことを考えるには狭量的すぎるので、戦争に負けるよりも、自分たちの聖なる牛を殺す方が良い」と述べている[26]。したがって、研究を確実にすることは、編成にまたがる分隊(ストライカー歩兵分隊と機械化歩兵分隊を含む)新しい組織構造を大胆に検討するだけでなく、米陸軍の全戦闘序列(小隊から陸軍レベルまで)を検討しなければならない。この談話を促進することは、戦争の次元の不連続性にもかかわらず、米陸軍の構造と組織を紛争のために最適化するために重要である。

ノート

[1] 米陸軍少佐Hassan Kamaraは、陸軍未来研究グループおよび陸軍近代化タスクフォースに勤務する陸軍戦略研究グループフェローのチーフスタッフである。彼はアリゾナ州立大学から政治学の学士号、米国海軍大学院大学の戦略学の修士号、Webster大学からの取得と調達の修士号を取得している。彼は米国海軍戦争大学司令部コースの名誉卒業生である。Kamara氏は、テキサス州フォート・ブリスのストライカー歩兵中隊とイラクのキルクークで機甲中隊を指揮した経験を持つ。

Maj. Hassan Kamara, U.S. Army, is a Chief of Staff of the Army Strategic Study Group Fellow serving on the Army Future Studies group and the Army Modernization Task Force. He holds a BA in political science from Arizona State University, an MA in strategic studies from the U.S. Naval Postgraduate School, and an MA in acquisitions and procurement from Webster University. He is an honor graduate of the U.S. Naval War College Command and Staff Course. Kamara has commanded a Stryker infantry company at Fort Bliss, Texas, and an armor company in Kirkuk, Iraq.

[2] Report of Committee “B” on Tactics and Technique (Fort Benning, GA: The United States Army Infantry School, 1946), T-18, 6.

[3] Robert B. Brown, “The Infantry Squad: Decisive Force Now and in the Future,” Military Review 91, no. 6 (November-December 2011): 2, accessed 12 December 2017, http://usacac.army.mil/CAC2/MilitaryReview/Archives/English/MilitaryReview_20120630MC_art004.pdf.

[4] John P. Kotter, Accelerate: Building Strategic Agility for a Faster-moving World (Boston: Harvard Business Review Press, 2014), vii.

[5] Army Techniques Publication 3-21.8, Infantry Platoon and Squad (Washington, DC: U.S. Government Publishing Office [GPO], 2016), 1-13.

[6] Michael Howard, The Causes of Wars, 2nd ed. (London: Maurice Temple Smith, 1983), 105.

[7] Ibid., 104–5.

[8] A. O. Connor, “The Infantry Conference: Lecture on Infantry Organization” (transcript, U.S. Army Infantry School, Fort Benning, GA, 10 June 1946) 1, accessed 11 December 2017, http://cgsc.contentdm.oclc.org/utils/getdownloaditem/collection/p4013coll8/id/441/filename/431.pdf/mapsto/pdf.

[9] Report of Committee “B” on Tactics and Technique, T-18. “Survivability” is used in this article to refer to the squad’s ability to retain combat effectiveness in the face of attrition. This is consistent with the doctrinal definition of survivability in Joint Publication 4-0, Joint Logistics (Washington, DC: U.S. GPO, 16 October 2013), I-10: “Survivability is the capacity of an organization to prevail in spite of adverse impacts or potential threats.”

[10] Field Manual (FM) 7-10, Infantry Field Manual: Rifle Company, Rifle Regiment (Washington, DC: U.S. Government Printing Office, 1942), 130, accessed 11 December 2017, https://ibiblio.org/hyperwar/USA/ref/FM/FM7-10/FM7-10-6.html; FM 22-5, Basic Field Manual Infantry Drill Regulations (Washington, DC: Government Printing Office, 1939), 57, accessed 11 December 2017, https://ia800308.us.archive.org/13/items/Fm22-5/Fm22-5.pdf.

[11] Report of Committee “B” on Tactics and Technique, T-18, 6.

[12] Ibid., T-18, 3.

[13] Ibid., T-18, 5.

[14] Ibid., T-18.

[15] Report of Special Committee on Organization of the Infantry Division (Fort Benning, GA: The United States Army Infantry School, 1946), 3, accessed 11 December 2017, http://cgsc.cdmhost.com/utils/getdownloaditem/collection/p4013coll8/id/418/filename/408.pdf/mapsto/pdf.

[16] Connor, “The Infantry Conference: Lecture on Infantry Organization,” 8.

[17] “Warfighter Information Network-Tactical (WIN-T),” General Dynamics Mission Systems (website), accessed 11 August 17, https://gdmissionsystems.com/c4isr/warfighter-information-network-tactical-win-t/. Mission command is a philosophy that advocates the practice of empowering subordinates to execute missions within the intent of higher echelons using disciplined initiative.

[18] The Infantry Conference: Report of Special Committee on Organization of the Infantry Division (testimonial of Omar Bradley), 8.

[19] Geoff Colvin, Talent is Overrated: What Really Separates World-Class Performers from Everybody Else (New York: Penguin Group, 2008).

[20] Marc Harris et al., “Megacities and The United States Army: Preparing for a Complex and Uncertain Future,” Chief of Staff of the Army Strategic Studies Group, U.S. Army paper, June 2014, 5, accessed 11 December 2017, https://www.army.mil/e2/c/downloads/351235.pdf.

[21] Milley, “AUSA Eisenhower Luncheon,” 12.

[22] John C. McManus, Grunts: Inside the American Infantry Combat Experience, World War II through Iraq (New York: NAL Caliber, 2011), 120.

[23] The Infantry Conference: Report of Special Committee on Organization of the Infantry Division (testimonial of Omar Bradley), 8.

[24] Monica K. Guthrie, “Amazon-style ‘Drone Delivery’ the Future of Military Resupply,” U.S. Army press release, 14 April 2017, accessed 11 December 2017, https://www.army.mil/article/186115/amazon_style_drone_delivery_the_future_of_military_resupply.

[25] Milley, “AUSA Eisenhower Luncheon,” 15.

[26] Ibid.

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