マルチドメイン作戦の基盤を探る – Exploring the Foundation of Multi-Domain Operations –

米陸軍が新たな戦いのコンセプトとして打ち出しているマルチドメイン作戦は、米国の戦略文書体系から見た場合どのような位置づけになるのであろうか?「作戦:Operation」という用語が使われているゆえにこれまでの米陸軍内のドクトリンとして理解してよいのだろうかという疑問は、このコンセプトが陸軍種以外の軍種が関わる複数のドメインにわたる空間を対象としていることや、このコンセプトは近い将来に統合軍のコンセプトとして発展するとの見方から生じるものであろう。この疑問に答えているのが紹介するSmall Wars Journalの記事である。2018年4月25日付の米統合軍のドクトリン・ノートである「戦略:Strategy」を道標としてこの疑問に答えている。

米国の国家安全保障戦略以下の戦略文書体系を概観する事にも有益な内容と考える。(軍治)

マルチドメイン作戦の基盤を探る -Exploring the Foundation of Multi-Domain Operationsー

Small Wars Journal, Wed, 11/13/2019 – 12:41am

 

by Brandon Kasubaski [1]

百戦百勝は善の善なるものにあらず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり

孫子「兵法」

米国は、敵対者を含む多面的な課題に直面しており、競争や紛争に好んで関与することはできない。これには、米国防総省全体からの創造的な解決策と対応が必要である。昨年12月、米陸軍訓練ドクトリンコマンド(TRADOC)は、彼らの基本文書となるTRADOCパンフレット(TP)525-3-1、「2028年のマルチドメイン作戦における米陸軍」を発行した。TP525-3-1は、軍隊が競争と紛争の両方で敵対者を抑止し打ち負かすために貢献する方法を記述している。TP 525-3-1内では、マルチドメイン作戦(MDO)のコンセプトは、敵対者によって課される問題に対する詳細な解決策を牽引するものである。

ただし、マルチドメイン作戦(MDO)はこれらの脅威を越えて適用される。TP 525-3-1によるマルチドメイン作戦(MDO)は、米陸軍がすべてのドメイン、電磁スペクトル(EMS)、および階層の情報環境で戦う方法である[2]。マルチドメイン作戦(MDO)は、構成部隊レベルのままであるが、最終的には、統合部隊とともに、複数のドメインで作戦する米陸軍の役割を洗練するものである[3]。マルチドメイン作戦(MDO)の中核には、これまで認識されておらず、戦争で不規則に一緒に使用されていたドメインと能力が組み込まれている。TP 525-3-1は、マルチドメイン作戦(MDO)が何を達成し、どのように米陸軍の戦略的役割を支援するかを確立する一方で、基礎となる基本戦略とそれらがマルチドメイン作戦(MDO)に貢献する方法は記載されていない。これらの基本戦略を理解し、解釈することは、計画策定者と指導者がマルチドメイン作戦(MDO)について洞察を得るために重要である。

Defining Strategy:戦略の定義

TP 525-3-1はマルチドメイン作戦(MDO)を実際のコンセプトとして説明しているが、それは戦略である。簡単に言えば、戦略とは、望ましい目的との間のギャップを利用可能な手段で橋渡しすることである。現代では、戦略を、求められている目的(目標)とそれらの目的を達成する方法および手段とを結び付ける複雑な意思決定プロセスとして定義する方が正確である[4]。戦略は行動を目的に合わせたものであり、戦略がなければ行動は暫定的なものとなり、一貫性がなく、逆効果になる可能性がある[5]。どのような戦略の存続期間中でも、継続的な評価が求められる。国益、政策、脅威、能力、および技術は、しばしば時間とともに変化する。その結果、新しい戦略または修正が求められることになる。

図1:戦略のプロセス

軍事は、(必要な場合)利用可能な軍事手段で満足できる望ましい国家目的を確実にするために戦略の妥当性試験を継続的に適用しなければならない。4つの形式の戦略、大戦略(Grand Strategy)、安全保障戦略(Security Strategy)、軍事戦略(Military Strategy)、作戦的戦略(Operational Strategy)および戦場戦略(戦術)(Battlefield Strategy(Tactics))が軍事に影響を与える。

大戦略とは、国家の長期的で永続的な核心的国益を長期にわたって前進させるために、国力の手段の開発と使用を調整する術と学(art and science)のことである[6]。このレベルでの方法と手段は、米国の国際的役割に対する国家指導部のビジョンに基づいて、米国の核心的国益を達成することである

安全保障戦略は、国家の安全保障目標を達成するための国力の手段の開発と使用を調整する術と学(art and science)である[7]。安全保障戦略は、最高レベルの相互接続であり、国力の非軍事的の手段と軍事的手段の間の主要な境界である。米国防総省は、MIDFIELD(軍事、情報、外交、金融、インテリジェンス、経済、法律、開発)を通じて国力の手段を検討している[8]。安全保障戦略では、これらの国力の各手段が協力して相乗的に機能するように調整することにより、それらすべてがより効果的に機能することができる。

軍事戦略は、国家安全保障目標を達成するために、軍事力の開発、展開、および適用を調整する術と学(art and science)である[9]。調整、開発、展開、適用という用語は、軍事戦略において特定の意味を持っている。軍事力の開発と展開には、戦時の作戦を含めることができるが、伝えられるところの敵対者や国家安全保障目標の達成への脅威に対する作戦も含まれる。適用とは、敵対行為間の最終的な武力行使することを明確に指している。この段階での調整とは、軍事力の道具内の関係を指す。

作戦的戦略は、国家安全保障目標を達成するために、作戦の戦域内で軍事戦役の計画策定、調整、および指示することの術と学(art and science)である[10]。このレベルでは、戦闘軍(Combatant Commands)は、国家目標を達成するための他の国力の手段と共に軍事活動と軍事作戦を一体化し同期させるためのビジョンを概説する戦役計画を作成できる[11]。戦役は、一連の関連する作戦を通じて特定の目標を達成する。各作戦には多数の会戦(battle)が含まれる。

戦場戦略(戦術)は、国家安全保障目標を達成するために戦場で軍隊を適用する術と学(art and science)である[12]。戦場戦略を他の戦略と区別するのは、仕事を正しく実行することに関するものであり、より高いレベルの戦略は正しい仕事を実行することに関するものである。

これらの定義に基づいて、マルチドメイン作戦(MDO)が作戦的戦略であると判断できる。マルチドメイン作戦(MDO)は、戦域の戦争で勝利し、国家安全保障目標を達成するための戦役計画の開発を意図するものである。ただし、マルチドメイン作戦(MDO)には戦争の戦術的次元での計画策定と実行のための戦場戦略も組み込まれている。これは、国家安全保障目標を達成するためにマルチドメイン作戦(MDO)が戦争の戦術的次元から戦争の作戦的次元までの規模に応じた計画策定を可能にすることを意味するため、指導者と計画立案者にとって重要である。

The Elements of MDO:マルチドメイン作戦(MDO)の要素

完璧な戦略の探求は、すべての軍隊と軍種の指導者と計画策定者にとって長い間幻想的であった。マルチドメイン作戦(MDO)は、いくつかの以前の戦略の要素を組み合わせて、次の戦争の戦略を構築するよう努めている。マルチドメイン作戦(MDO)は新しい戦略ではなく、線形的作戦、非線形的作戦、戦略的麻痺理論から進化した最近定義された戦略である。マルチドメイン作戦(MDO)は1982年の米陸軍エアランドバトル・ドクトリンから進化したと多くの人が信じているかもしれないが、エアランドバトルは線形的作戦と非線形的作戦の組み合わせから進化したものである。最終的に、これらの異なる戦略のルーツとそれらがマルチドメイン作戦(MDO)にどのように影響したかを理解することは、指導者と計画策定者がマルチドメイン作戦(MDO)が何を達成しようとしてかを認めることの助けになる。

線形的作戦(Linear operations:LO)。線形的作戦は、友軍または敵の統制下で明確に定義された地域を分離する比較的連続した接触線(line of contact)である[13]

・定義された空間およびドメインの限界:近接地域、後方地域、縦深

・他の作戦と近接会戦(close battle)の同期

・攻撃と防御の計画策定と実行の区別

・相対的な集権的機動の遂行

線形的作戦は、他の友軍部隊との関係において友軍部隊の位置を保持することを強調している[14]。線形的作戦は、ヨーロッパの戦争モデルに最も適している。つまり、縦深に配置され、階層化された敵部隊、または友軍部隊の行動の自由が後方連絡線に対する脅威のために減少する場合である。これらの条件では、線形的作戦は、指導者が計画策定者に戦闘力をより効率的に集中して同期させることを可能にする。

非線形的作戦(Non-linear operations:NLO)。非線形的作戦(NLO)は、複数のドメイン、複数の環境、または複数の機能での対向する部隊の間の接触地域を増やす。

図2:線形的作戦と非線形的作戦の活動

・明確に定義された空間またはドメインの限界はない

・縦深地域は存在せず、代わりに「影響地域」と「関心地域」が存在する

・攻撃的行動と防御的行動の組み合わせと同時性

・状況認識、運動性、機動性、柔軟性に対する要求の増加

非線形的作戦(NLO)は、選択された基地(陸上または海上)からの複数の作戦線(lines of operations)に沿った同時的作戦を強調している[15]。非線形的作戦(NLO)は対抗する指揮統制(C2)を圧倒し、指導者がいくつかの重大な脆弱性に対する迅速な機動を通じて主導性を維持できるようにする。非線形的作戦(NLO)の要素は、複数の目標に対して行動するために、大量ではなく、正確な火力と相まった状況認識に依存している。

戦略的麻痺理論(Strategic paralysis theory)。戦略的麻痺理論は、最短時間で敵対者(または敵)を破壊するよりむしろ、無効にすることを意図した戦略的努力への焦点を提供する敵対者の重心(Center of Gravity:COG)を使用した軍事的選択肢である[16]

図3:線形的作戦と非線形的作戦の行動を描いたマルチドメイン作戦(MDO)のシナリオ

・複雑な動的な社会文化現象をそれらの基本的な部分または機能にまで縮小することにより簡素化するシステム分析的アプローチ[17]

・重心(COG)は、戦略的脆弱性と道徳的もろさを戦術的かつ物質的な標的設定に圧縮する。

戦略的麻痺理論の創造は、Clausewitzの重心(COG)に関する議論に遡及するが、最近では、John BoyとJohn Wardenが体系化した。John BoyとJohn Wardenはどちらも戦略的麻痺理論の解釈が異なっていたが、それぞれの間には一般性がある。二人は、敵の指揮統制(C2)が軍事行動の最適な標的であり、指揮統制(C2)を麻痺させる最も効果的かつ効率的な方法は、敵対者(または敵)の重大な脆弱性または重心(COG)を判断してそして攻撃することであると信じていた。

Strategy Convergence:戦略の収束

以前は、マルチドメイン作戦(MDO)はマルチドメインバトル(MDB)から変更され、マルチドメインバトル(MDB)はより戦場戦略であり、指導者はマルチドメイン作戦(MDO)をより包括的にする必要があると信じていたために、作戦的戦略次元に上げることが求められた。作戦的戦略は長い間構成部隊の戦役によって定義されてきましたが、21世紀の戦い(warfare)は、戦い(warfare)が1つまたは複数のドメイン(陸、海、空、宇宙、サイバー)を通していくという点で、全次元的である。構成部隊としての米陸軍は、さまざまな努力の慎重な調整によって達成される相乗効果を長い間認識してきた。歩兵、砲兵、騎兵、特殊部隊、電子戦、戦術的ISR(インテリジェンス、偵察、および監視)構成部隊、近接航空支援(ヘリコプター)、およびその他のさまざまな地上コンポーネントは、それらの調整された努力の全体は、それらの個々の努力の合計よりも大きいことを何度も実証されていた[18]。ただし、これらの相乗効果を達成することは容易ではなかった。現代戦は、継続的で、マルチドメインで調整され、階層化され、相互に支援する統合戦役を求めている。陸、海、空、宇宙、サイバーには固有の特徴があり、時にはそれぞれが独立しているように見えますが、実際には、すべての会戦、作戦、戦役はクロスドメインシナジーのいくつかの側面に依存している。

最新の戦略の要件は、線形的作戦、非線形的作戦(NLO)、および戦略的麻痺の組み合わせを導いた。ただし、これは戦争の戦術的次元を超える線形的作戦と非線形的作戦(NLO)に高め、すべての戦闘ドメインの特性を含めることを求めた。同様に、戦略的麻痺理論をより達成可能にするためには、戦争の戦略的次元以下ではなく、戦争の戦術的次元より上に形成する必要があった。線形的作戦、非線形的作戦(NLO)、および戦略的麻痺理論の要素を組み合わせたマルチドメイン作戦(MDO)により、指導者は敵対者(または敵)を全体的により攻撃することができる。このタイプの戦い(warfare)は、敵対者(または敵の)重大な脆弱性または重心(COG)を攻撃するために、複数の会戦(battle)と作戦を可能にする。これは、最も効果的、効率的、かつ費用のかからない競争への復帰の方法である[19]

図4:マルチドメインシナジーの創造と階層化した作戦の収束

通常、戦争は多くのミスの機会で時間とリソースを消費するものである。逆に、重大な脆弱性または重心(COG)を特定して攻撃することで、時間、リソース、およびミスを減らすことができる[20]。ただし、重大な脆弱性と重心(COG)を見つけることは、戦争を迅速に終わらせるための「特効薬(銀の弾)」ではない。多くの厳しい戦役が、いずれか一つを攻撃する位置に入っていくためにも求められる。一度位置につくと、かなりの人手と費用が求められる場合がある。

Better Defining MDO:よりよいマルチドメイン作戦(MDO)の定義

マルチドメイン作戦(MDO)の現在の定義は、マルチドメイン作戦(MDO)が進化する戦略を正確に描写しておらず、Joint Publication 5-0、Joint Planningにある定義済みの軍事用語を含んでいない。現在のマルチドメイン作戦(MDO)定義は次のとおりである。

較正された部隊態勢、マルチドメイン編成の適用、作戦的目標および戦術的目標を達成するための時間と空間内のドメイン、環境、機能にわたる能力の収束を組み合わされた適用により、いくつかの作戦的または戦術的ジレンマを現わすことによって敵対者の(または敵の)強みに打ち勝つための複数のドメインと競合する空間で行われる作戦[21]

統合用語とその基本戦略に基づいたマルチドメイン作戦(MDO)のより正確な定義は次のとおりである。

複数の会戦(battle)と作戦で構成され、ドメイン、時間、および競合する空間を越えて遂行され、敵対者(または敵)に対する制約要因を増やし、友軍部隊の制約要因を減らす友軍部隊(統合/連合)能力の収束に至り、敵対者(または敵)の重大な脆弱性と重心(COG)に対する決定的な打撃を達成するための機会の複数の窓を開く戦役。

この提案された定義は、米陸軍の貢献を超えたマルチドメイン作戦(MDO)の戦略のより明確な図を提供する。

重要な用語。提案されたマルチドメイン作戦(MDO)の定義変更には、重心(COG)、収束(convergence)、重大な脆弱性、制約要因などのいくつかの重要な用語が含まれており、これらの用語は、マルチドメイン作戦(MDO)の新たな定義やよりよい説明のために重要である。

・重心(COG)は、道徳的または物理的な力、行動の自由、または行動する意志を提供する力の源として定義される[22]

収束(convergence)は、すべてのドメイン、電磁スペクトラム、情報環境の機能を迅速かつ継続的に一体化することであり、ミッションコマンドと規律ある主導性によってすべてを可能にするクロスドメインシナジーと複数の形態の攻撃を通じて敵に打ち勝つための効果を最適化する[23]

・重大な脆弱性とは、直接的または間接的な攻撃に対して不十分または脆弱な手段または能力であり、活用されれば、決定的または重大な影響を生み出す[24]

・制約要因は、ミッションの達成を妨げる一時的または永続的な条件または要因である[25]。制約要因は、Clausewitzの用語の霧、摩擦、および偶然と同一視することができる。

MDO FTW (For the Win):勝利へのマルチドメイン作戦

ドクトリンと技術は、さまざまな要素間の理想的な関係をしばしば変えるものである。米陸軍にとって、第一次世界大戦(WW I)および第二次世界大戦(WW II)は、歩兵と機甲の関係の変化を明らかにした。第一次世界大戦では、原始的戦車は歩兵支援兵器として機能していた。第二次世界大戦までに、機甲は関係が逆転するまで発達した。米海軍と米空軍は、その編成と能力の慎重な調整から達成された相乗効果も認識している。海軍基地を占領し、保持するための海兵隊の文書化された使用は、艦隊作戦にとって長い間重要であった。海面作戦と組み合わされた海面下の部隊の登場は、海戦の本質を変えた。第二次世界大戦中、米海軍航空隊は、海上部隊および海面下部隊と連携して働くことにより、海戦の本質を再び変えた。第二次世界大戦中の米空軍にとって、彼らは戦闘機と爆撃機の相乗効果を認識していた。敵の空軍は爆撃機が存在すると展開し、爆撃機の大量損失が発生した。米空軍は、戦闘機が敵の航空機と交戦している間に爆撃機が標的を破壊できるようにする爆撃機に同伴する戦闘機の護衛任務の実施を開始した。全体として、これらの調整された計画の効果は、これらの要素を個別に使用するよりもはるかに大きな効果をもたらした。

マルチドメイン作戦(MDO)の成功は、技術開発、利用可能な能力、およびそのような開発と能力が作戦要素間の理想的な関係にどのように影響するかについての指導者と計画策定者の洞察にかかっている。多くの成功は、敵の本質、敵の長所、弱点、脆弱性にも依存する。マルチドメイン作戦(MDO)は、各戦闘ドメイン(陸、海、空、宇宙、サイバー)のユニークな能力を相乗的に使用し、敵の弱点と脆弱性を利用する。さらに、マルチドメイン作戦(MDO)はこれらのドメインを一緒に正規化して相乗効果のある全体にし、敵に対する効果をより良く達成して、より大きな成功に導く。ただし、これらの戦闘ドメインの調整は、計画策定者と指導者に困難な課題を提供する新しい作戦媒体である。構成部隊の戦役は単純な仕事ではなく、統合戦役の要件によってさらに複雑になる。マルチドメイン作戦(MDO)は、戦争作戦的次元に焦点を合わせ、規模に応じた計画を可能にすることによって、この競合に挑戦する。そのマルチドメイン作戦(MDO)では、戦役計画を通して戦術的なことができる。マルチドメイン作戦(MDO)は、世界の見解や優先順位に応じて、多くの計画策定者や指導者が満足できないほどの困難な決心が求められる。

最後に、マルチドメイン作戦(MDO)の最終目標は戦域での戦争で勝利することである。それは、軍事目標を達成し、それらの目標を達成することが確実な意味で国家安全保障目標の達成に貢献することを保証することである。ただし、成功する戦略の唯一のテストは、許容されるコストで、求められている結果を生み出すかどうかである。そのような戦略の開発の鍵は、どの戦略開発モデル、フレームワーク、または方法論が採用されている場合でも、指導者および計画策定者がすべての基本的な質問にどのように客観的、オープンマインド、洞察力、および創造性に答えるかである[26]。これは、すべてのドメインの作戦環境が、あらゆるドクトリンまたは戦略理論の基本的な問題を引き起こす動的な相互作用と予測で満たされているからである[27]。しかし、我々はドクトリンと戦略をよりよくするために引き続き働かなければならない。英国の有名な軍事史家の、Michael Howard 卿は以下のように言う。

私は、軍隊が取り組んでいるドクトリンが何であれ、彼らはそれを間違っていると宣言したいと思う。私はまた、彼らが間違っていることは問題ではないと宣言したいと思う。重要なのは、その瞬間が来たらすぐにそれを正しくする能力である。平和の時代における軍事科学の仕事は、ドクトリンが過度に間違っていくのを防ぐことである[28]

マルチドメイン作戦(MDO)の進歩は、将来の戦争を戦うために以前の戦略を進化させる傾向を続けている。失われたり忘れられたりすることができないのは、実際の戦略は理論上の戦略とは異なるということである。

この記事で表明または暗示されている見解および意見は著者のものであり、米国防総省、米陸軍、米陸軍宇宙およびミサイル防衛司令部、または米国政府内のその他の機関および部門からの公式の制裁と見なされるものではない。

ノート

[1] 米陸軍のBrandon Kasubaski大尉は、コロラド州ピーターソン空軍基地の米陸軍宇宙ミサイル防衛司令部の宇宙統制作戦の主任計画担当者として務める宇宙作戦将校である。ウィスコンシン州リポン大学で心理学の学士号を取得し、米軍事大学で宇宙研究の修士号を取得のため学んでいる。以前は、ハワイの第25歩兵師団の第25後方支援旅団および第3ストライカー旅団戦闘チームに勤務していた。

[2] U.S. Army Training and Doctrine Command (TRADOC) Pamphlet (TP) 525-3-1, The U.S. Army in Multi-Domain Operations 2028 (Fort Eustis, VA: TRADOC, 6 December 2018), 5.

[3] Jen Judson, “From Multi-Domain Battle to Multi-Domain Operations: Army Evolves its Guiding Concept,” Defense News, 9 October 2018, accessed 5 August 2019, https://www.defensenews.com/digital-show-dailies/ausa/2018/10/09/from-multi-domain-battle-to-multi-domain-operations-army-evolves-its-guiding-concept/.

[4] Dennis Drew and Donald Snow, Making Strategy: An Introduction to National Security Processes and Problems (Maxwell Air Force Base, AL: Air University Press, 1988), 13.

[5] Joint Doctrine Note (JDN) 1-18, Strategy, (Washington, DC: U.S. Government Printing Office, 25 April 2018), I-1.

[6] Ibid., 1-17.

[7] Drew and Snow, Making Strategy: An Introduction to National Security Processes and Problems, 16.

[8] Ibid., 17.

[9] Ibid., 18.

[10] Ibid., 19.

[11] JDN 1-18, Strategy, 1-17.

[12] Drew and Snow, Making Strategy: An Introduction to National Security Processes and Problems, 20.

[13] Sean MacFarland, Non-Linear Operations: A New Doctrine for a New Era (Fort Leavenworth, KS: School of Advanced Military Studies, 1994), 2, accessed 5 August 2019, https://apps.dtic.mil/dtic/tr/fulltext/u2/a284137.pdf

[14] Joint Publication (JP) 3-0, Joint Operations, (Washington, DC: U.S. Government Printing Office, 17 January 2017), V-17.

[15] Ibid., V-17.

[16] David Fadok, John Boyd and John Warden: Air Power’s Quest for Strategic Paralysis (Maxwell Air Force Base, AL: Air University Press, 1995), 10, accessed 5 August 2019, https://apps.dtic.mil/dtic/tr/fulltext/u2/a291621.pdf.

[17] Ibid., 27.

[18] Drew and Snow, Making Strategy: An Introduction to National Security Processes and Problems, 101.

[19] Ibid., 105.

[20] Ibid., 105.

[21] TP 525-3-1, The U.S. Army in Multi-Domain Operations 2028, GL-7.

[22] JP 5-0, Joint Planning, (Washington, DC: U.S. Government Printing Office, 16 June 2017), IV-23.

[23] TP 525-3-1, The U.S. Army in Multi-Domain Operations 2028, GL-2.

[24] JP 5-0, Joint Planning, IV-25

[25] Ibid., GL-11.

[26] Alan Beyerchen, “Clausewitz, Nonlinearity, and the Unpredictability of War,” International Security 17, no. 3 (Winter 1992-1993), 73, https://www.jstor.org/stable/2539130

[27] JDN 1-18, Strategy, IV-5 to IV-6.

[28] Michael Howard and A.J Wilson, “Military Science in the Age of Peace,” The RUSI Journal 119, no. 1 (1974), 4, https://doi.org/10.1080/03071847409421160.

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