米海兵隊戦力デザイン2030

複雑に変化する戦略環境、作戦環境に応じた軍の変革は避けられない重要事項である。2019年7月に第38代米海兵隊総司令官として就任したデビッド・H・バーガー米海兵隊大将は、第38代総司令官の意図(THE 38TH COMMANDANT’S INTENT)を、米海兵隊総司令官計画策定指針(Commandant’s Planning Guidance:CPG)とともに示している。総司令官の意図(Commandant’s Intent)は、5つの重点分野、すなわち、戦力デザイン(Force Design)、用兵(Warfighting)、教育と訓練(Education and Training)、中核となる価値(Core Values)、および指揮とリーダーシップ(Command and Leadership)によって構成されている。

ここでは、2020年3月に公表された米海兵隊戦力デザイン2030(Force Design 2030)を紹介する。この文書は今後の米海兵隊が目指すべき戦力デザインに関する指針となるものであるが、本文でこの文書を報告書(report)と言っているように、米海兵隊内からの意見を求める文書となっていることが特徴であろう。戦力デザインそのものも、既存の考えにとらわれない米軍全体を通した統合的戦力を構成する上で米海兵隊が何を行うべきかを中心として考察された大胆な考えを示されたものになっている。またこの文書で対象とするのは、フェーズ1とフェーズ2であり、この文書が完結するものではないことにを念頭に、一読をお勧めするものである。(軍治)

 

米海兵隊戦力デザイン2030 – Force Design 2030 –

2020年3月

 

「変革はプロセスであり、単なる事象ではない」

ハーバード・ビジネススクール ジョン.P.コッター

はじめに結論を述べる:BOTTOM LINE UP FRONT

この報告書は、機関が直面している主要な課題に対応するために必要な抜本的な変化に備えるべき事項について、私の管轄下である米海兵隊の進捗状況について述べたものである。それは、米国家防衛戦略(NDS)に従い、我々が提供を受ける財政的リソースの中で同時に近代化を進めながら、米国の海軍遠征即応軍として効果的に役割を果たすことである。この規模の近代化に直面した場合、ある程度の制度的変化は避けられず、そのような変化は困難なものである。そのため、私は前もって進行中の作業である米海兵隊の戦力デザインについて明確にしたい。過去6か月間の非常に多くの海兵隊、海兵隊兵士、および文官の献身と努力のおかげで、追加の分析が必要な他の領域を特定しながら、今日自信を持って行うことができるいくつかの戦力デザインの変更をより明確に理解した。この報告書は、変更に対する私の議論、戦力デザインの方法論と組織、これまでの作業に対する私の個人的な評価、および戦力デザインの取り組みを次のフェーズに移行するために取っているステップについて、詳細に説明している。

戦略的指針-米国家防衛戦略:STRATEGIC GUIDANCE – THE NATIONAL DEFENSE STRATEGY

2018年の米国家防衛戦略は、米海兵隊の使命の焦点を、中東の暴力的な過激派に対抗することから、インド太平洋に特に重点を置いて、強大国/対等なレベルの競争に向け直した。内陸から沿岸へ、そして非国家主体から対等な競争者への任務のこのような大きなシフトは、必然的に、我が米海兵隊を組織し、訓練し、装備する方法に実質的な調整を必要とするものである。海上の沿岸における我々の歴史的な役割への復帰は、海軍とのより大きな一体化とその戦略的パートナーシップの再確認を要求するであろう。その結果、我々は、新たな望ましい最終目的を達成するために、そして米海軍と完全なパートナーシップのもとでそれを行うために、部隊を組織編制し、訓練し、装備するための伝統的なモデルを変革しなければならない。

変化の議論:THE ARGUMENT FOR CHANGE

我々の現在の戦力デザインは、大規模な水陸両用の強制進入と上陸地での維持作戦のために最適化されており、1950年代以来、本質的なインスピレーションは永続的で変わっていない。技術が兵器システムの射程距離と致死性に向かって進歩するにつれて、装備とドクトリンの詳細が変化した。現代の兵器の射程、精度、および致死性の容赦ない増加に照らすと、米国との直接または間接的な対立のためにこれらの兵器およびその他の技術を一体化する技術的洞察力と経済的側面を持つ修正主義勢力の台頭、そして、米国の国益を脅かすのに十分なこれらの属性を所有する「ならず者政権(rogue regimes)」の存続は、我々の現在の戦力デザインの属性を定義したものは、もはや国家が海兵隊に要求するものではないと確信している。

戦力デザインへの意味合い:IMPLICATIONS FOR FORCE DESIGN

この変化の必要性は、私が前任者の診断に同意する理由、「米海兵隊は、急速に進化する将来の作戦環境の要求を満たすために組織し、訓練し、装備し、または配置されていない」を説明するものである。現在の戦力は、規模(size)、能力容量(capacity)、および特定の能力(specific capability)の将来の要件には適していないと私は評価するものである。

規模と能力容量:Size and Capacity

追加のリソースを受け取らないという前提の下で作戦しているため、重要な新能力のリソースを解放するために、特定の既存の能力と能力容量を廃止しなければならない。廃止へのアプローチの最も論理的な方法は、システムの観点を使って、歩兵大隊を削減すると同時に、これらの大隊の支援に専念している組織を比例的に削減することである。直接支援砲兵、地上移動アセット、攻撃支援航空、軽攻撃航空、および戦闘サービス支援機能のこれらの能力容量も同様に、支援を受ける地上および空中戦闘要素の規模に関連している。

特定の能力:Specific Capability

強大な国家間競争への我々の主な焦点のシフトとインド太平洋地域への新たな焦点のシフトにより、現在の戦力は、新たな統合、米海軍、および米海兵隊の作戦コンセプトを支援するために必要な能力に不足を抱えている。

我々が不足しているものは、「遠征の長距離精密火力」、「中距離から長距離の防空システム」、「短距離(局地)防空システム」、「インテリジェンス・監視・偵察(Intelligence, Surveillance, and Reconnaissance :ISR)、電子戦(EW)、および致命的な打撃能力を備えた、高度耐久性の長距離の無人システム」、海洋の「グレーゾーン(gray zone)」戦略を追求する行為主体による悪質な活動に対抗するのに適した「破壊的でより致命的でない能力」である。

同様に、そして当然のことながら、脅威と環境に関するさまざまな仮定でデザインされた戦力には、我々が過剰に投資していると私が評価するいくつかの能力がある。部分的なリストには、重装甲地上戦闘システム(戦車)、牽引式カノン砲、 致命的な影響を与えることができない短距離、低耐久性の無人航空システム(Unmanned Aerial System:UAS)が含まれる。最後に、一体化された米海軍力の要素として、米海兵隊にとって有機的ではない領域で能力と能力容量上の過剰と不足があるが、これらは争われた沿岸環境における海の支配と海の拒否に貢献する我々の実力に不可欠である。

これらには、より小さく、より識別しにくく(lower signature)、より手頃な水陸両用艦の要件と、沿岸機動を可能にし、現在のコンセプトで想定されている作戦の種類のための非常に困難な戦域での兵站支援を提供する、手頃な分配可能なプラットフォームの不足が含まれる。

海兵隊戦力デザインの出発点-ビジョンと期待:STARTING POINT FOR FORCE DESIGN – VISION AND EXPECTATIONS

2019年7月に私が出した米海兵隊総司令官計画策定指針(CPG)は、戦力デザインを私の最優先事項として特定した。この優先順位付けは、私が、第1海兵遠征軍(I MEF)の司令官、米太平洋海兵隊の司令官、および米海兵隊司令部の戦闘開発と一体化部署の副司令官[1]として直接参加した5年間の海上および世界規模のウォーゲームからの結果である。これらのウォーゲームは、既存の戦力構造とレガシー能力に対する緩やかで漸進的な改善は、進展する脅威能力に打ち勝つには不十分であるだけでなく、承認された海軍のコンセプトを実行するために必要な戦力を開発することを可能にしないという私の結論を形成するのに役立つものであった。

私の米海兵隊総司令官計画策定指針(CPG)では、私が必須と見なしたいくつかの特定の属性の説明を含めるために、将来の戦力デザインに関する期待を概説する。軍事技術の動向、特に成熟した精密攻撃体制(Mature Precision Strike Regime :MPSR)の出現と急増、グレーゾーン活動の台頭、および海上戦役遂行に不可欠な軍種ということを知らされ、私は次の方向性を示した。

(1)「我々は、急増した精密長距離火力、地雷、およびその他の高性能兵器の影響を認識し、これらの脅威能力に打ち勝つ革新的な方法を模索する必要がある」

(2)「将来の戦力開発には、より幅広い戦力オプションと能力が必要である。海兵隊は海上から海上で戦い、陸上から海上で戦うことができなければならない。敵対者の長距離火力の範囲内で作戦し存続する; 複雑な沿岸部の海側と陸側の部分の全体にわたって機動する; そして、望ましい結果を達成するために物理的ドメインと情報ドメインを結合しながらセンシングし、射撃し、維持する。この最終状態(end state)を達成するには、移動型の低識別性センサーと兵器による、集中することによる脆弱性を露呈しないで集中の原則の長所(virtues of mass)を生み出すことができる戦力が求められる」

(3)戦力デザインの文脈では、「米海軍が米海兵隊に何を必要とするか?」という質問に対するより良い答えが必要である。

(4)私は、我々が将来どのように戦うのかという現在の進化するビジョンを形作る米海軍の作戦コンセプトを強調した。これらの中核となるのは、米海軍の「分散した海上作戦(Distributed Maritime Operations:DMO)」とそれに関連する米海兵隊および米海軍の「争われた環境での沿岸作戦(Littoral Operations in a Contested Environment :LOCE)」と「遠征前進基地作戦(Expeditionary Advanced Base Operations :EABO)」のコンセプトである。私はまた、遠征前進基地作戦(EABO)から派生した「スタンドインフォース」の海兵隊のコンセプトドラフトにも言及した。これは、低い識別性、手頃で、リスクに適するプラットフォームとペイロードを配置して、攻撃者の海軍戦力に立ち向かう技術的に破壊的で戦術的にスタンドインの交戦の生成を強調している」

(5)「大統領が指示するだろう他の任務、外国人道援助、災害救援、および非戦闘員の避難を実行するために待機することを我々は定義しておらず、それらは我々の特定のものではない。むしろ、それらは即応性ある戦力になるための日々の結果である。我々は「軍事作戦の範囲(range of military operations:ROMO)」全体の戦力をデザインしているわけではない。むしろ、大きな紛争を防ぎ、軍事作戦の範囲(ROMO)内への紛争のエスカレーションを阻止することを意図した戦力である」

(6)「私は「統合強制進入作戦(joint forcible entry operations:JFEO)」が無関係または作戦上の時代錯誤だとは信じない。ただし、相互に争われる空間での接近阻止/領域拒否(A2AD)脅威能力の急増を考えると、さまざまなアプローチが求められることを認めなければならない」

(7)「卓越した沿岸戦と遠征戦の軍種として、我々は海軍遠征戦力と沿岸/河川戦力、海軍建設戦力、機雷対処戦力などの海兵隊に常駐していない能力について、より力強く議論に関わらなければならない。我々は、司令官が彼らの即応性とリソースをより確実に確保することができる単一の海軍遠征戦力を生み出すためにそれらの機能、戦力、能力のいくつかを吸収することが賢明であるかどうかを自問する必要がある」

大まかに言えば、我々の将来の戦力は米国家防衛戦略(NDS)に合わせなければならない。したがって、米国家防衛戦略(NDS)に基づいて「信頼して戦闘する」戦力‐保証と抑止が可能な戦力を構築する-を目的とするものである。要するに、我々の将来の戦力は以下に示すものである。

・グレーゾーンでの競争と勝利に成功する

・単一の一体化された総戦力となり、不明確で半独立した現役の構成戦力や予備構成戦力ではない

・統合海上戦役を支援するために構築することを目的とし、本質的に他の統合作戦を促進することができる

これらの中核的特性を可能にする、我々の将来の海兵隊は、急速に変化する21世紀の作戦環境で革新し、適応し、成功するために求められる知的スキルおよび技術的スキルとともに、近接戦闘で勝利するために必要な物理的および精神的タフネス、粘り強さ、主導性、攻撃性を保持する。我々は、我が海兵隊に、地表戦、対潜水艦戦、対空ミサイル防衛、空中早期警戒のための米海軍の能力を陸上補完できる移動性のある、低識別性センサーと兵器を装備するものである。また、米海軍とのパートナーシップの下、我々の部隊は、海兵隊をさまざまな任務のために機動することができる高速で、長距離能力の、低識別性の艦艇を含む沿岸機動能力を備えている。

海兵隊戦力デザインの取り組み:FORCE DESIGN EFFORT

方法論:METHODOLOGY

我々の戦力デザインの取り組みは、4つのフェーズで構成されている。フェーズIは問題のフレーミングに焦点を当て、2019年7月に開始し、私と直接連携して将来戦力の初期のビジュアル化と後続作業の狙いとするポイントを確立するために小規模な作戦計画策定チーム(operational planning team:OPT)を中心に行った。

フェーズIIは2019年9月に始まり、作戦計画策定チーム(OPT)の最初の作業は「戦闘開発および一体化担当副司令官(Deputy Commandant for Combat Development and Integration:DC CD&I)」に移行した。戦闘開発および一体化担当副司令官(DC CD&I)はその後、現在のデザインを評価し、将来の戦力デザインの推奨事項を開発するために、12個の機能的焦点と組織的焦点の「一体化計画策定チーム(Integrated Planning Teams:IPT)」を設立した。これらの一体化計画策定チーム(IPT)は、次のことに対処するために編成された。(1)海兵遠征部隊(Marine Expeditionary Unit:MEU)再構成、(2)海上沿岸連隊の構造、(3)海上事前配戦力の再構成、(4)艦隊海兵部隊(Fleet Marine Force:FMF)を支援する航空、(5)艦隊海兵部隊(FMF)を支援する兵站、(6)対艦能力、(7)中距離防空能力、(8)歩兵大隊の再編成、(9)有人-無人能力バランス、(10)目標とするネットワーク要件、(11)訓練と教育、(12)予備役。

これらの12の一体化計画策定チーム(IPT)が完了すると、2020年2月に包括的な一体化計画策定チーム(IPT)が設立され、以前のすべての成果を同期および一体化し、フェーズIIIの行動計画を作成することを任された。フェーズIIIは、迅速かつ反復的なウォーゲーム、分析、および部隊実験に集中し、フェーズIVは、「計画策定、プログラム化、予算化、および実行システム(Planning, Programming, Budgeting, and Execution System:PPBES)[2]」を介した洗練、検証、および実装に焦点を合わせる。この中間報告書は、フェーズIとIIでの取り組みの結果をまとめたものであり、戦力デザインの後続のフェーズに向けた行動計画を明確に示している。

ウォーゲーム:WARGAMING

戦力デザインのフェーズIIは、フェーズIの取り組みの初期分析とその後の取り組みを通知するための指針の両方を提供する一連の意図的なウォーゲームを考案して実行した。さらに、フェーズIIの取り組みは、その活動が始まる前に遂行されていた米海兵隊と米海軍種のウォーゲームと分析のより広範な結果に基づいている。この初期の一連の作業から多くのことを学んだが、これまでに、一体化計画策定チーム(IPT)が最終的に提案した戦力デザインの要素に関するいくつかの推論を可能にする限られた数のシナリオの中で、遠征前進基地作戦(EABO)および争われた環境での沿岸作戦(LOCE)のコンセプトの初期の影響を調査したことに注意することが重要である。戦力デザインの結論のすべての側面のウォーゲームを行い、分析するには、より包括的な後続作業を行う必要がある。フェーズIIの取り組みを知らせる上で特に重要なのは、2018年3月のPOM-20ウォーゲーム[3]や2019年10月の一連のゲーム、2019年6月の海軍種のウォーゲームなど、米インド太平洋軍(INDOPACOM)2019年8月のグローバルXIウォーゲーム、および2019年9月と11月の統合参謀J7のグローバル統合ウォーゲームを含んだ、海兵隊戦闘研究所(Marine Corps Warfighting Laboratory:MCWL)が実施した一連のウォーゲームでした。これらのウォーゲームは、一体化計画策定チーム(IPT)によって進められた特定の戦力デザインの推奨事項をテストするようにデザインされていなかったが、それらはいくつかの重要な洞察を提供した。これらには以下が含まる。

・最初に発射する個人/部隊の要素は決定的な優位性がある。

・敵対者の長距離精密火力兵器交戦地帯(Weapons Engagement Zone:WEZ)内で引き続き作戦できる部隊は、残存性を維持するために兵器交戦地帯(WEZ)の外の位置に迅速に機動しなければならない部隊よりも、作戦的に関連性がある。これらの「スタンドイン」戦力は、敵対部隊を消耗し、統合部隊へのアクセス要件を有効にし、ターゲティングを複雑にし、敵対者のISRリソースを消費し、偽善のシナリオを防止する。

・範囲と作戦的リーチは、インド太平洋の責任地域(Area of Responsibility:AOR)で重要である。

・ハイダー対ファインダーの競争[4]は現実である。この競争に負けることは、巨大で潜在的に壊滅的な結果をもたらするものである。これは偵察/対偵察任務での成否を成功への必須条件にするものである。

・前進基地、基地、固定インフラストラクチャは容易にターゲットにされ、混乱に対して非常に脆弱である。

兵器交戦地帯(WEZ)内の運動性は、競争上の優位性と作戦上の必須事項である。

・兵站(持続可能性)は、重大な要件であり、重大な脆弱性である。兵器交戦地帯(WEZ)内で自ら存続できない戦力は負債である。ただし、偵察および対偵察任務の遂行中に自立できるものは、競争上の優位性を生み出するものである。

・消耗を避けることはできない。対等な敵対者に対する緊急事態作戦では、航空機、船、地上戦術車両、および兵員を失うことになる。戦力の復元力(損耗を吸収して決定的に作戦し続ける戦力の実力)は重要である。

モデリングとシミュレーション:MODELING AND SIMULATION

フェーズIIは、上記のウォーゲームの取り組み(およびその他の関連プロジェクト)に関連して行われた以前の戦役モデリングの大部分と、同時期の米海軍主導の一体化された海上戦力構造評価(Integrated Naval Force Structure Assessment:INFSA)に関連するモデリングによって通知された。このモデリングにより、弾薬やその他の兵站要件を含む多くの考慮事項に関する一体化計画策定チーム(IPT)の分析‐さまざまなタイプの地対地、地対地、空対地、空対地の交戦における成功の確率、さまざまなターゲットに対して使用されるセンサーの検出の範囲と確率‐を知らせた。

部隊実験:EXPERIMENTATION

限定した部隊実験が、承認された米海軍のコンセプトを利用して、将来の戦力の個別の要素に対して行われ、F-35Bが厳しく未開発の着陸地点で運用および維持できるかどうかの慎重で制約のあるテストが含まれている。この実験の一部は、第31米海兵遠征部隊(31st MEU)によって実施された予定された訓練演習と併せてインド太平洋地域で実施された。海兵歩兵大隊の組織、訓練、装備の側面に対処する単一の限定的な目標の部隊実験が、2016年のForce 2025の戦力構造レビューを支援するために実施された。我々は、現実的な海上および沿岸地形における将来戦力の本格的で実証的な部隊実験を実施する必要がある。我々の部隊実験は、脅威の開発と技術の進歩の両方から情報を得て、慎重かつ反復的でなければならない。

当初の海兵隊総司令官の戦力デザイン指針:INITIAL CMC DESIGN GUIDANCE

フェーズII計画の取り組みを制限するために、次の具体的な指針を提供した。

  • 2019 米海兵隊総司令官計画策定指針(CPG)を参照文献 Aとして使用するものである。
  • 承認された海軍のコンセプト(分散した海上作戦(DMO)、遠征前進基地作戦(EABO)、争われた環境での沿岸作戦(LOCE))を参照文献 Bとして使用するものである。
  • 従来の2個の海兵遠征旅団の統合強制進入作戦(JFEO)要件は、戦力規模の構成としては不適切である。
  • 米海兵隊総司令官計画策定指針(CPG)の一般的な指針、オリエンテーション、およびフレーミングは別として、おなじみの知的な白紙またはホワイトボードから始め、2030年に向けて作戦上適切な戦力を構築するものである。
  • 現在の予算化された事業プログラムに拘束されない。
  • 部隊は、遠征前進基地作戦(EABO)と分散した作戦(DO)を実行する独自の能力を備えている。
  • 脅威情報に基づくアプローチと海戦(naval warfare)の視点を使用する。
  • 戦力を1:3の配置と滞留率に戻すのに十分な能力容量を計画するものである。

目標とする戦力:OBJECTIVE FORCE

フェーズIおよびIIの取り組みの結果、次の特徴を持つ再デザインされた「目標とする戦力」が生まれた。

全艦隊海兵部隊(FMF)の構造:Total Fleet Marine Force (FMF) structure

・2030年までに現在の総戦力と比較して約12,000人の海兵隊を削減

指揮関連の要素:Command Element

3つの現役構成部隊である法執行大隊の廃止

地上戦闘の要素:Ground Combat Element

・7個の歩兵連隊本部(1個連隊本部の廃止)

・21個の現役構成歩兵大隊(3個大隊の廃止)

・6個の予備構成歩兵大隊(2個大隊の廃止)

・残りの歩兵大隊を、致死率と柔軟性を高める方向に再デザインし、構造を削減する(歩兵大隊あたり約200海兵隊員の削減提案)

・5個のカノン砲中隊(16個中隊の廃止)

・21個のロケット砲兵中隊(現有戦力に14個中隊の増加)

・0個の戦車中隊(7個中隊の全能力容量と事前配置能力容量の廃止)

・12個の軽装甲偵察(LAR)中隊(現有戦力に3個中隊の増加)

・4個の強襲水陸両用(AA)中隊(2個中隊の廃止)

航空戦闘要素:Air Combat Element

・18の現役構成戦闘機攻撃(VMFA)飛行隊、飛行隊あたりの航空機数を10に削減

・14個の現役構成中型ティルトローター(VMM)飛行隊(3個飛行隊の廃止を推奨)

・5個の現役構成重揚陸ヘリコプター(HMH)飛行隊(3個飛行隊の廃止を推奨)

・5個の現役構成軽攻撃ヘリコプター(HMLA)飛行隊(2個飛行隊の廃止)

・4個の現役構成空中給油機輸送(VMGR)飛行隊(現有戦力に1個飛行隊を増加)

・6個の現役構成無人航空機(VMU)飛行隊(現有戦力に3個飛行隊を増加)

目標とする戦力の意味合い:OBJECTIVE FORCE IMPLICATIONS

フェーズIIの一体化計画策定チーム(IPT)の推奨により、装備の近代化、訓練の近代化、および戦力開発の優先順位に向けて、120億ドルの節約が見込まれる。ただし、これらの最初の結果はそれだけであることを強調する必要がある。次のフェーズIIIの取り組み中に評価および改善することが我々に残されている。私はフェーズIIの一体化計画策定チーム(IPT)によって提案された、いくつかの推奨事項に高い信頼を置いているが、フェーズIII中に追加の慎重な分析が必要なものもある。

観測能力の追加:ADDITIONAL OBSERVATIONS

将来の部隊のF-35能力容量要件についてはまだ明確に理解しているとは思わない。その結果、海兵隊軍種は、米国家防衛戦略(NDS)の目的および進化する海軍および統合の戦闘コンセプトに関連する航空計画の少なくとも1つの外部評価を求める。

議会の証言で説明されているように、我々の継続的なパイロット不足は考慮しなければならない要因であり、それに応じて予算化された事業プログラムを拡張するか、持続可能な、手頃なソリューションを実装するものである。他の軍種も同様の不足に直面している。この問題には、採用数、訓練数、および定着率の要素に加えて、財政および産業の基本要素があり、プラットフォームの数と搭乗員の数の格差の拡大を調整する際に考慮する必要がある。

歩兵大隊の数の減少はフェーズIIの資料で明確に説明されているが、地上戦術戦闘車両の大幅な削減がないことは、上記で議論したシステム指向の削減と一致していない。戦闘開発および一体化担当副司令官(DC CDI)は、既存の地上戦術車両の予算化された事業プログラムを評価し、承認された取得目標に対して適切な調整を推奨する必要がある。

海兵隊総司令官が持つ高い信頼に基づく検討結果:FINDINGS IN WHICH I HAVE HIGH CONFIDENCE

3個の歩兵大隊の廃止:Divestment of three infantry battalions

以前は「基本部隊」の能力容量に影響を与えていた統合作戦計画(Joint OPLAN)の進化と、汎用の「2個の海兵遠征旅団の統合強制進入作戦(2 MEB JFEO)」の部隊のサイズを変更する必要がなくなったことに基づいて、残りの21個の大隊は海軍と統合の要件を満たすものである。

ロケット砲兵中隊の増加への投資:Investment in additional rocket artillery batteries

この投資は、長期にわたって、抑止のための基本的な要件の1つを生成し、最終的には海上戦役を成功させるための基盤‐長距離の精密遠征対艦ミサイル火力‐を提供する。この要件は、これまでに行われたウォーゲーム分析からのより十分に裏付けられた結論の1つに基づいている。

戦車の廃止:Divestment of tanks

この能力は、過去の戦争における長くて立派な歴史にもかかわらず、将来の最優先課題に作戦上適切ではないと結論付ける十分な証拠がある。重地上装甲能力は引き続き米陸軍によって提供される。

3個の重ヘリコプター飛行隊の廃止:Divestment of three heavy helicopter squadrons

航空分野専門家による分析に基づいて、5つの飛行中隊は、承認された海軍のコンセプトで説明されているように、我々の要件と将来の部隊を満足させる十分な能力容量を提供するものである。

3個の中揚陸ティルトローター飛行隊の廃止:Divestment of three medium-lift tiltrotor squadrons

歩兵大隊の能力とそれに関連する戦闘支援の減少を考えると、残りのティルトローター戦力は我々のニーズに十分であるはずである。

少なくとも2個軽攻撃ヘリコプター飛行隊の廃止:Divestment of at least two light attack helicopter squadrons

この能力は、我々がまだ実行する準備をしなければならない危機および緊急時対応の任務にある程度の関連性がある一方で、3つの歩兵大隊を廃止することで、我々の最優先の海洋の課題および我々のニーズを超えるには作戦上不適切である。

無人航空システム追加への投資:Investment in additional Unmanned Aerial Systems (UAS)

将来の「スタンドイン」戦力として、海兵隊にはファミリー化された無人航空システム(UAS)能力が必要である。現在の無人航空システム(UAS)プラットフォームから、船上から、陸上から作戦が出来、収集ペイロードと致死性ペイロードの両方を使用できる能力に変換する必要がある。これらの将来の能力は、遠征能力があり、米海軍のプラットフォームや指揮統制ネットワークと完全に互換性がある必要がある。

2個の強襲水陸両用中隊の廃止と強襲水陸両用車の削減及び水陸両用戦闘車両の要求:Divestment of 2 AA companies and reduction of AAV and Amphibious Combat Vehicle (ACV) requirements

歩兵大隊の削減と2個の海兵遠征旅団の統合強制進入作戦(2 MEB JFEO)戦力開発規模構造の廃止により、それらを支援するための保護された運動性の要件も減少するものである。

3個の法執行大隊の廃止:Divestment of three law enforcement battalions

この能力容量は現在のニーズを上回っており、現在の作戦慣行に調整を加えることで、残りの戦力で対応できる。

海兵航空支援集団(MASG)の廃止:Divestment of Marine Wing Support Groups (MWSG)

2010年の戦力構造検討グループ(Force Structure Review Group)の分析に遡って、この動きを裏付ける十分な証拠がある。

3個の架橋中隊の廃止:Divestment of three bridging companies

この能力は、主に持続的な地上作戦に関連している。戦力をデザインする際にそのような基準を回避するための私の指針を考えると、この機能は明らかに要件を超えている。

訓練と教育分野の拡大とリソースの増加:Expansion and increased resourcing of training and education

訓練および教育一体化計画策定チーム(IPT)によって行われた詳細な計画と分析のレベルは称賛に値するものである。一体化計画策定チーム(IPT)によって特定された問題が正確であり、その全体的な推奨事項を完全に信頼がおけると確信している。他のすべての将来の能力の戦闘への影響は、近代化の訓練に対する我々のコミットメントのレベルに直接関係している。我々はこの領域を補うための多くの根拠を持っているので、このギャップを埋めるために、現在そして将来にわたって適切なリソースを割り当てる必要がある。

検討成果がフェーズIIIにおける追加分析に要求する内容:FINDINGS WHICH DEMAND ADDITIONAL ANALYSIS DURING PHASE III

戦力デザイン作業の最初の2つのフェーズの結果の私の評価に基づいて、問題を正確に組み立てる前に追加の時間を費やして、仮定、制約、拘束、および作戦上の現実に関する理解をさらに深める必要がある。それは我々の将来の戦力デザインに影響を与える可能性がある。

さらに、焦点を絞った分析作業と意図的な実験を通じて改善する必要がある初期フェーズからの特定のアウトプットがある。これらのアウトプットは次のとおりである。

歩兵大隊の再デザイン:Redesign of the infantry battalion

私は、将来の作戦環境が将来の歩兵大隊の提案されている構造に及ぼす影響のすべてを適切に評価したとは確信していない。私は基本的に歩兵大隊の再デザインを完全に支援しているが、特定の提案された新しい構成が戦力の分散した作戦(Distributed Operations:DO)能力を高めることには確信が持てない。提案されているデザイン結果が本当に「分散した作戦を可能とする戦力(DO-capable force)」になるようにするには、より多くの実動の部隊実験を行う必要がある。フェーズIII中に、この提案された新しい構造の集中的な詳細な分析を希望するものである。

海軍遠征戦力体制の進展:Emerging naval expeditionary force formations

我々の現在の体制の変革は、将来の能力の一体化と雇用を成功させるために不可欠であると私は確信している。フェーズIおよびIIからのアウトプットとして推奨されている「海兵沿岸連隊(Marine Littoral Regiment:MLR)」は必要な特性を持っているように見えるが、現時点では、第3海兵遠征軍(III MEF)の大規模な再編成を支援する十分な証拠はない。したがって、最初のステップとして、最初に単一の海兵沿岸連隊(MLR)形成を作成するものである。我々はその初期形成を使用して、我々のコンセプトをテストおよび検証し、フェーズIII中の沿岸海軍連隊の構造を改善するものである。野心的な戦力全体の変革を行う前に、我々は仮定を厳密に検証し、ウォーゲームを行い、必要なモデリングを行い、主な戦闘パートナーである艦隊司令官が我々の結論を確実に共有するようにする必要がある。

沿岸部の機動と後方支援:Littoral maneuver and sustainment

我々に着実に迫りくる脅威に対して争われた沿岸環境で、分散した海上作戦(DMO)、争われた環境での沿岸作戦(LOCE)、遠征前進基地作戦(EABO)を実行するために必要な戦術的な機動(maneuver)と兵站的後方支援を提供するために必要な追加の構造を特定したとは確信していない。決して後付けではないが、我々のフェーズIおよびIIの取り組みが兵站に十分な注意を払ったとは思わない。これら2つの領域の解決は、フェーズIIIの優先事項である必要がある。

海兵遠征部隊(MEU)の再デザインに関する推奨事項:MEU redesign recommendations

フェーズIIの一体化計画策定チーム(IPT)は、今日の3隻の水陸両用即応グループ(Amphibious Ready Group:ARG)/海兵遠征部隊(MEU)の段階的に改善されたバージョンを生み出したようである。このビジョンは我々の将来のニーズを満たしていない。我々は、レガシー機能の段階的な変更またはより優れたバージョンの推奨事項を受け入れることはできないが、海軍艦隊指揮官と統合部隊指揮官にグレーゾーンと緊急事態対応において競争上の優位性を提供する変革能力を追求する必要がある。洗練された計画策定指針により、分析と検討のために作戦上適切な推奨事項を開発できると確信している。

軽装甲偵察能力の増加:Increase in Light Armored Reconnaissance

全ドメイン偵察と対偵察は将来の緊急事態の重要な要素になると繰り返し述べたが、特にインド太平洋地域では、追加の装輪車化有人装甲地上偵察部隊が最善かつ唯一の答えであることは確信できない。既存の能力容量の拡大に取り組む前、または先進偵察車両(Advanced Reconnaissance Vehicle:ARV)の取得に向けて数十億ドルの調達資金を投入する前に、フェーズIIIでこの結論を裏付ける証拠をさらに増やす必要がある。

18個の海兵戦闘攻撃飛行隊の保持:Retention of 18 VMFA squadrons

前述のように、将来の海軍遠征隊の戦術航空(TACAIR)要件を支援するためにF-35を採用するには、追加の調査が必要である。プラットフォームが果たすさまざまな役割については引き続き学習するものである。それに応じて、海兵戦闘攻撃(VMFA)飛行隊の戦力構造と予算化された事業プログラムを評価および調整する必要がある。さらに、前述したように、F-35パイロットの十分なインベントリを作成および維持できないため、既存の予算化された事業プログラムを支援する実力に関して実用的である必要があると結論づけている。海兵戦闘攻撃(VMFA)飛行隊の能力容量要件とそれらの要件を満たす実力について、より徹底的なレビューを行う必要がある。これには、その後の決定を通知する問題の外部レビューが必要になる。

指針に関連する事項:FOLLOW-ON GUIDANCE

上記の改善領域に加えて、現役構成部隊の艦隊海兵隊以外の海兵隊の構造に取り組むための論理的な次のステップがある。これらの後続の取り組みには、我々の予備役構成部隊と我々の支援組織の包括的な評価が含まれる。

海兵隊特殊作戦軍(MARSOC):MARINE SPECIAL OPERATIONS COMMAND (MARSOC)

戦力デザインは、海兵隊特殊作戦軍(MARSOC)を支援する現在の人事方針を再検討することを要求する新しい要求を艦隊海兵部隊(FMF)に課するものである。我々は、海兵隊特殊作戦軍(MARSOC)内外の人員の適切なローテーションを確保しながら、海兵隊特殊作戦軍(MARSOC)の人員要件を引き続き満たす割り当て方針を開発する必要がある。現在の方針を変更しても、艦隊海兵部隊(FMF)部隊やリーダーと連携して、海兵隊特殊作戦軍(MARSOC)が関係や候補者を募集、評価、育成する実力を制限するべきではない。推奨される方針の変更により、海兵隊員は昇進の競争力を維持し、海兵隊と統合部隊内に配置するための幅広い機会を持つことができる。

歩兵:INFANTRY

現在の初年兵レベルと上級の歩兵訓練プログラムと方針は、我々の歩兵要素の将来の要求に応えられないという一体化計画策定チーム(IPT)の結論に同意するものである。我々は、一体化計画策定チーム(IPT)の調査結果で想定される質、成熟度、および能力(学際的な歩兵のアプローチを含む)を開発するために、事前の初年兵レベルの訓練への投資を増やし、上級の歩兵訓練に対応する修正を加える必要がある。この取り組みには、偵察や軽装甲偵察(LAR)など、歩兵特技(03XX)の専門分野のすべての構成特技を含める方法を検討する必要がある。既存のモデルとパラダイムに挑戦して、より有能で成熟した歩兵と偵察部隊を生み出す方法を検討する。米海兵隊訓練教育コマンド(Training and Education Command:TECOM)は、歩兵戦力の初期の習熟度とスキルを根本的に改善するために、近代化されたより包括的な初年兵レベルの歩兵学校のオプションを開発するものである。

部隊実験とウォーゲームからの推奨事項:EXPERIMENTATION AND WARGAMING RECOMMENDATIONS

戦力デザイン変更に関する理解をさらに深め、発展させるために、私は、反復的なコンセプトの洗練、ウォーゲーム、分析とシミュレーション、および部隊実験の集中的なプログラムの即時実装を指示している。私は個人的に関与し、優先順位を設定し、この取り組みに必要なリソースが利用できるようにする責任がある。これは、将来の予算提出を支援するために、戦力デザインの結論を支える分析基盤を拡大および深めることを目的とした、期間限定の「急増」の取り組みになる。この取り組みは、追加のリソースと人員の増強とともに、米海兵隊戦闘研究所(MCWL)が主導するものである。

私は、リソースと利用可能な時間と人員の現実を考えると、急速に繰り返される研究サイクルを確立して維持することの課題を完全に理解している。それはまた、万能薬ではない。我々が説明しなければならない将来には不確実性がある。技術と利用可能な資金は主要な要素であり、着実に迫りくる脅威が近代化し、その作戦範囲を拡大する割合も同様である。絶え間ない24時間365日の危機への対応の準備を整えながら、我々は、敵対者に対する優位性の有余を確保する学習と調整の継続的なサイクルに取り組む必要がある。

デザインの促進事項と基本的事項:DESIGN LEVERS AND FUNDAMENTALS

我々が引き続き努力を磨き、追加の一体化計画策定チーム(IPT)に関与するにつれ、現在の戦力の段階的な変更と小さな調整のみを追求する、戦力デザインの基本に根ざしたままにする必要がある。将来の海軍遠征部隊を可視化するときは、次のデザインのレバーを念頭に置くことになる。

組織デザイン(Organizational Design:要素の形式と機能の開発する(例:分隊など)

戦力デザイン(Force Design:組織を形成するために要素を組み合わせる(例:旅団、艦隊海兵部隊(FMF)、統合任務部隊(JTF)など)

戦力構造(Force Structure:要素と組織の能力容量。集成された戦力構造能力容量; 最終的強度の設定

戦力態勢(Force Posture:組織の物理的な配置とそれらの予想される活動

海軍と統合軍の一体化(Naval and Joint Force Integration:構成部隊を適用するために規模の拡張性と相互運用性をシステムに組みこむ

新しい各種能力(New Capabilities:物事を異なる方法で行うための他のすべてのレバーに影響するイネーブラ

上記のデザインのレバーに加えて、後続の計画策定作業の参加者は、彼らの取り組みを容易にする次のデザインの基本的事項に留意する必要がある。

・前線でのプレゼンスと同盟国やパートナーとの一体化のバランスをとり、行動の時期と場所を指示するための柔軟性を可能にする戦力態勢(場所と配置)から最初に効果的に打撃するオプションを我々に提供する能力など、従来の抑止力を最大化する能力と戦力態勢に焦点を当てる。

・「分散した海上作戦(DMO)」、「遠征前進基地作戦(EABO)」、「争われた環境での沿岸作戦(LOCE)」の承認された海軍のコンセプトを満たすために必要な機能に焦点を当てる。

・地球規模の海上グレーゾーン作戦において競争力のある非対称的な優位性を生み出す機能に焦点を当てる。

・識別性(signature)を最小限に抑えながら効果を高めることができる、真に「分散した作戦能力を可能にする戦力(DO-capable force)」を開発するために必要な機能に焦点を当てる。効率的な戦術的機動性を最大化する。兵站上の要求を減らす; そして、すべての戦術的階層にわたって相互支援の範囲を拡大する。

・付属への組織の依存を最小限に抑える。到達目標は、部隊の結束と暗黙のコミュニケーションを最大化することである。

・すべての要素が劣化した指揮・統制環境で戦うことができることを確実にするために、ネットワークの連合システムによって可能になる、すべての階層で有機的な多軸で、マルチドメインの精密火力を開発する。

・各階層にふさわしい完全なキルチェーンを有機的に保持し、争われた作戦環境で優勢な、小さくても接続性の高い体制を開発する。

・有人システム、無人システム、および弾薬の範囲と永続性の重要性の増加の要因は、インド太平洋地域の広大で不連続な性質と、拡大し続ける脅威システムである。

・急速な採用と海兵隊戦力要素の拡張性に焦点を当てる。

・目的別専用の修正された体制から構築された組み合わせ可能な戦力要素を確実にする。

・すべてのドメイン(空中、地球表面、地球表面下、宇宙、サイバースペース)の視点を維持する。

・より洗練された脅威能力に対抗する我々のC4システムとISRシステムのより大きな復元性を生み出す。

・ミサイル等の終末段階の攻撃を打ち破り、広域監視に挑戦するために、軍事的欺瞞、偽装、掩蔽、隠蔽、および不明瞭化する能力を開発する。

・すべての階層で、有機的なC4ISR能力、機動能力、火力能力(有機ネットワーク)の開発を追求する。

・目的別専用の戦力を生み出す。(すべての要素が指定された目的のために装備され、訓練されていることを確実にする。基本要素で特殊化された部隊を集約すると、オンデマンドで最大の関連する戦闘力(RCP)を提供するために、誂えられたマルチドメインの戦力が生み出される)

結論:CONCLUSION

これまでの戦力デザインの取り組みは、大きく進歩した。これらの取り組みは紛れもなく生産的であり、今後の戦力の廃止と戦力への投資の決定をする一方で、我々はそれらをより長い道のりの最初のステップと見なすべきである。我々の推奨事項が強固な分析基盤に基づいていることを確実にするために、我々にはさらに多くの作業が必要である。一体化計画策定チーム(IPT)勧告の多くのメリットと作戦上の適合性には自信があるが、他の分野では、決定を下す前に進む方法がある。モデリングと部隊実験から得られる、より多くの分析と証拠が必要である。我々が開発している将来戦力は、構造と能力の点で異なるが、艦隊海兵隊としての歴史的なルーツと一致しており、先進の海軍基地を占領および防御し、大統領によって指示されたすべての任務を遂行するという合衆国法典10(軍隊)の我々の責任を直接支援している。遠征前進基地作戦(EABO)などの方法とコンセプトは、統合部隊への我々の貢献のすべてではないことに注意することも重要である。我々は、世界中で国家の最高の危機対応部隊としての役割を果たし続け、すべての戦闘軍(combatant command)の抑止と戦闘のニーズに貢献し続けるものである。

忠誠を誓って

米海兵隊総司令官デービッド H.バーガー米海兵隊大将

ノート

[1] 【訳者註】:米海兵隊戦闘開発コマンド司令官(Commanding General of Marine Corps Combat Development Command)と兼職

[2] 【訳者註】米国の国防予算策定プロセスである。そのプロセスの概観は以下のとおり。(参考:http://acqnotes.com/acqnote/acquisitions/ppbe-overview

[3] 【訳者註】POMとは、プログラム目標達成覚書(Program Objective Memorandum:POM)のことで国防予算のPPBSのプロセスの計画策定段階において各軍種等から国防長官宛への推奨事項(recommendation)とするもの。POM-20ウォーゲームは、推奨案のために行われたもの。(参考:http://acqnotes.com/acqnote/acquisitions/program-objective-memorandum-pom

[4] 【訳者註】hider-versus finder competition:「ハイダー対ファインダー」の競争は、一方で航空機を検知、追跡、および交戦させるために必要なすべての能力と、他方で一体化された防空システムを隠し、覆い隠す、不明瞭にする、欺瞞、または目隠しする能力で構成される)The Center for Strategic and Budgetary Assessmentsの「FIVE PRIORITIES FOR THE AIR FORCE’S FUTURE COMBAT AIR FORCE」 https://csbaonline.org/uploads/documents/Five_Priorities_For_The_Air_Forces_Future_Combat_Air_Force_Web2.pdf、25ページを参考

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