軍事的競争における米陸軍(米陸軍参謀総長文書#2)

米軍は2018年に、新たな戦略環境・作戦環境に適応できるようにするために、フェーズ0からフェーズ5までのフェージング・モデルに代表される平和/戦争のパラダイムから、より現実的な戦略的理解としてのCooperation~Competition~Armed Conflictまでの連続した関係性へと解釈を変え、Campaigningが常態であるとした。そのコンセプトは「Joint Concept for Integrated Campaigning. 16 March 2018」として文書化された。

 

そして、「JDN 1-19, Competition Continuum, 3 June 2019」では、「競争は、国際関係の基本的な側面である。国家と非国家主体が自国の利益を保護し、促進しようとするとき、彼らは外交的、経済的、戦略的な優位性を求めて絶えず競争しているのである」との記述から始められているように、国際関係において「競争」は常態化しており、その競争の程度は変化していくことを前提に「競争の連続体(Competition Continuum)」として捉えられている。米海兵隊は、上記のコンセプト文書を受けて2020 年12 月にMCDP 1-4「Competing」を刊行し米海兵隊における「競争」の意味付けと行動の規範を示した。米陸軍は新たな作戦環境での作戦コンセプトを「マルチドメイン・バトル」「マルチドメイン作戦」へと検討を進めるとともに、米陸軍の指針となる米陸軍参謀総長文書を「米陸軍マルチドメイン変革」を第1文書として、「軍事的競争における米陸軍」を第2文書として2021年3月に刊行している。

ここでは、「軍事的競争における米陸軍」を紹介する。今東欧で起きていることと重ね合わせて見ることで、軍事の役割、特に地上戦力としての陸軍種の役割を理解する上で参考となると考える。(軍治)

軍事的競争における米陸軍 - 米陸軍参謀総長文書#2 –

The Army in Military Competition – Chief of Staff Paper #2 –

Headquarters, Department of the Army

1 March 2021

序文:Preface

この米陸軍参謀総長文書は、軍事的競争における米陸軍の役割を定義し、説明するものである。これは、現場の指揮官に、部隊に目的を与え、統合および多国籍パートナーに、競争において米陸軍が、何ができるかを説明するためのコンセプト上のツールを提供するものである。これにより、米陸軍は、指揮官が競争で勝つためのあらゆる能力に力を注ぐことができるようになる。最も重要なことは、競争において勝つことを学ぶことは、大国間の競争が大国間の紛争にならないようにすることにつながるということである。

読者の皆さんには、軍事的競争は「無限のゲーム」であることを理解していただきたいと思う。その中で、リーダーは文脈を理解し行動し、状況に応じて方法を調整しなければならない。また、今日の相互接続された世界では、ある地域での行動が、敵対者もパートナーも含めて世界中に波及することを、リーダーは理解しなければならない。

また、付録Aを詳しく読んでいただきたい。これは、あらゆる階層の指揮官が達成を目指すべき戦術的、作戦的、戦略的な成果のリストを提供するものである。これらの表は、米陸軍が軍事的競争の中でどれだけの貢献をしているかを明らかにしている。この中で米陸軍は、プレゼンスと態勢、同盟国やパートナーとの関与、インテリジェンスと理解、および連合作戦・統合作戦の一部としてのマルチドメインの戦闘能力を通じて、統合部隊、米国政府、および同盟国やパートナーを支援している。

紛争を抑止する、自国の利益を守る、安全保障上のパートナーとして選ばれ続ける、同盟国やパートナーを強制や破壊から守る、敵対者が悪意のある行動をとれば成功しないと知って思いとどまらせるなど、競争における勝利はさまざまな形で定義できる。私たちが忘れてはならないのは、今日の勝利は、明日の新たな競争活動の口火となるということである。

我が陸軍は、軍事的競争において重要な役割を担っている。米陸軍の継続的な変革と同盟国やパートナーとの継続的な取組みにより、パートナーを保証し、競争における永続的な優位性を維持する敵対者を抑止する驚くべき強さが構築される。

人が第一!勝利こそが全て!米陸軍よ、強くあれ!

米陸軍参謀総長 米陸軍大将

ジェームズ C.マッコンビル

要約:Executive Summary

軍事的競争の定義:Definition of Military Competition

軍事的競争は、政治的目標を達成し、敵対者が米国に不利な目標を達成する能力を否定するために用いられる活動や作戦の範囲を包含している。

武力紛争は、統合ドクトリンにおいて競争の連続体(competition continuum)と呼ばれる要素の一つである。本書の焦点は、武力紛争の外で行われる一連の活動である。これらは闘いを伴わずに直接目標を達成するために行われるかもしれないし、敵対者を抑止し、統合部隊が最も有利な条件で紛争を開始できるようにするための武力紛争の準備の一部であるかもしれない。

どのような場合でも、統合部隊は、米国の目標を達成するためにあらゆる力の手段を一体化する国家戦略の一部として競争する。

米陸軍は、幅広い政策選択を支援するための地上戦力能力(capability)と能力容量(capacity)の構築と採用により、軍事的競争に貢献する。

 競争中の軍事活動は、政策的狙いを達成するための協調的な戦略的アプローチの一部として、国力の他の手段を支援するものである。

 競争中の軍事活動は、防御的か攻撃的か、致死性か非致死性か、一方的か多国間か、各軍種の通常部隊、非正規部隊、特殊作戦部隊を複数のドメインで使用することができる。

 競争時の軍事活動は、友好国(米国、同盟国、パートナー)の優位性を維持・拡大する一方で、敵対者の選択肢を制限・喪失させ、コストを課し、敵対者の疑念を増大させる。抑止力を確立し、抑止力が失敗したときに軍事的成功の条件を設定することができる。

 各軍種は、能力およびプレゼンスを調達し、またアクセスおよび影響力(influence)をもたらす関係を育成し維持することによって、軍事的競争に貢献する。各戦闘軍(Combatant Commands)は、交戦、演習、安全保障協力、その他の活動で戦力を活用することにより、競争において望ましい結果を達成し、危機や武力紛争の際に有利な状況を作り出す。

軍事的競争の三つの力学:ナラティブ上の競争、直接的競争、間接的競争:The Three Dynamics of Military Competition: Narrative, Direct, and Indirect Competition

大国間の競争は、その範囲、規模、複雑さゆえに、管理しやすい下位の部分に分割することが必要である。この文書では、目標、方法、範囲が異なる3つの基本的な競争の力学について説明する。

ある能力や活動は、許容できるリスクの閾値や競争の激しさなどの考慮事項によって、他の力学よりも効果的であったり関連性があったりするものである。競争の3つの力学は、戦力開発者、計画策定者、および指揮官が、競争において米陸軍部隊を生成し、使用する際に、この複雑性を克服するのに役立つツールである。

この3つの力学は、どのような種類の能力が特定の文脈において最も有用であるか、また、それらの個々のケースにおける成功や失敗が、どのように包括的な大国間競争へと集約されるかを理解するための手段を提供する。競争の3つの力学のうち1つだけに焦点を当て、他の力学を無視することは十分ではない。すべてが役割を担っているのである。

第一の力学はナラティブ上の競争であり、国の強さ、信頼性、決意に関する一般的な知覚(perceptions)に基づく国の評判(reputation)の盛衰に反映される(図E1参照)。ナラティブ上の競争は継続的で開放的であり、単一の出来事や問題よりも大規模である。

それは、特定の問題をめぐる複数の従属的な事例を、より大きな全体へと結びつけるものである。ナラティブ上の競争は永続的かつ累積的なものであり、米国の評判(reputation)は時間とともに蓄積される。米国の強さと信頼性に対する評判(reputation)は、敵対者に、より野心的でない目標を求めさせるか、場合によっては、全く競争せず、代わりに協力を求めるような重要な競争上の利益となる。

同様に、強い評判(reputation)は、同盟国やパートナーがより自信を持って特定の問題で競争することを促進することができる。このような力があるにもかかわらず、ナラティブ上の競争はここまでしかできない。米国が世界的に卓越した評判(reputation)を得ていても、関係を構築していない、プレゼンスが不足し、あるいは単に状況に応じた能力を有していないなどの理由で、特定の問題で効果的に競争することができない場合があり得るのである。

 

米陸軍は、致死性で有能な信頼できる部隊として、同盟国やパートナー、敵対者の主要な聴衆にそのように認識されることで、ナラティブ上の競争に貢献する。

直接的競争は、米国にとって至上命題であり、武力紛争が望ましい最終目的(desired ends)を達成または維持するためのもっともらしい手段となるような、明確に定義された国益をめぐって競争が起こる場合に起こるものである。簡単に言えば、それは争うに値する問題である。戦争が正当化されるほど重要な問題であっても、直接的競争は通常、武力紛争をはるかに下回る危機的な烈度で行われることに留意する必要がある。

このように、直接的競争は、武力紛争以下の最も低い烈度の競争から、一般的な国家紛争まで、あらゆる競争的活動を包含しているのである。このため、政策立案者は、目標の追求の烈度とリスクの大きさに応じて、さまざまな手段を用いることができる。直接的競争では、米国に影響力(leverage)をかけ、敵対者にそれを与えないようにすることが目標である。

米陸軍は、低烈度の日常的な軍事的競争行為から、敵対者に対する影響力(leverage)を獲得したり、それを否定したりするための通常核統合まで、あらゆる競争空間において統合部隊の敵対者に対するエスカレーション優越を可能にすることによって、直接的競争に寄与している。

間接的競争は、米国の利益がそれほど重要でなく、定義があいまいで、敵対者と本質的に緊張関係にない場合に発生する。武力紛争は大国間競争の手段には含まれないため、直接的競争では非常に効果的な活動でも、間接的競争では重要性が低下したり、無関係になったりすることがある。間接的競争では、優位性を獲得すること(あるいは敵対者に優位を与えないこと)が目標である。

この目標は、直接的競争における影響力(leverage)のコンセプトがより強力であることと対照的である。間接的競争は利益の重要性は高くないが、米国がこれらの利益のために競争しないことを意味するわけではない。

政策立案者は間接的競争を選択することが多いが、その場合、直接的競争とは根本的に異なるコスト・ベネフィットとリスクの計算をすることになる。このことが軍事的競争に与える影響は、統合部隊は政策立案者が選択できる低・中リスクとコストの選択肢を増やすことで、競争空間を水平方向に拡大する必要があるということである。

米陸軍は、主に敵対者の行動を米国の利益により合致するように形成することによって、政策立案者が敵対者に優位性を獲得する、あるいはそれを否定するための信頼できる(低・中烈度の、リスクの)一連の選択肢を提供することによって、間接的競争に貢献する。

双方から競争を見る:促進させる行動と妨げる行動:Viewing Competition from Both Sides: Actions that Advance and Actions that Impede

また、競争は友好的な視点と敵対的な視点の両方から見る必要がある。当然ながら、米陸軍部隊は米国の利益を促進することを目指し、統合部隊指揮官のために作戦・戦術上の新たな機会を創出しようとする。

しかし、競争下では、敵対者の利益追求を妨げたり、敵対者のツールや方法を低下させたりすることを主な理由として、行動がとられるかもしれない。コストを課すこと自体が最終目的(end)になっているかもしれない。

促進させる行動(advance actions)には、米国の評判(reputation)、影響力(leverage)、優位性を高めることをデザインした活動や投資が含まれる。ナラティブ上の競争において、促進させる行動(advance actions)は米国の評判(reputation)を生成、拡大、改善、または保護する。

直接的競争では、促進させる行動(advance actions)が成功すれば、機甲旅団戦闘チームのような新戦力を戦略的に関連する地域に配置することができ、それによって米国の影響力(leverage)を高め、敵対者のリスク計算を変えることができるかもしれない。間接的競争では、促進させる行動(advance actions)が成功すれば、例えば第三国と包括的な対外有償軍事援助(FMS)協定を締結することで、米国の優位性を高めることができる。

妨げる行動(impede actions)は、敵対者の評判(reputation)、影響力(leverage)、または優位性を低下させる。ナラティブ上の競争では、敵対者の人権侵害、無法状態、腐敗を強調するなどして、敵対者の評判(reputation)を低下させることを目指した妨げる行動(impede actions)が行われる。

直接的競争では、ミサイル防衛アセットを前方に配置して敵対者の長距離ミサイルの効果を打ち消すなど、妨げる行動が成功すれば敵対者の影響力(leverage)を弱めることができる。間接的競争では、敵対者の武器や装備の劣勢を示すなど、妨げる行動が成功すれば、敵対者の優位性を低下させることができる。

行動における競争:Competition in Action

適用においては、競争の3つの力学は単独で起こるのではなく、より大きな国家的競争の一部として一緒になって起こる。直接的競争、間接的競争の事例は、その特定の問題に即座に影響を与えるが、同盟国、パートナー、敵対者が同様に他の場所でも注目するので、ナラティブ上の競争に対してさまざまな影響を与える。

実際には、単一の能力や活動が直接的競争、間接的競争、ナラティブ上の競争において利益をもたらすことが多く、促進させる側面と妨げる側面の両方がある。例えば、よく練られた多国間演習は、あらゆる競争の力学において、複数の目標を達成することができる。しかし、それは、プラスとマイナスの結果が混在しうるということでもある。

即時の影響力または優位性を提供するが、長期的な評判を損なう方法で行動を起こすことは可能である。「迅速な勝利(quick wins)」への一途な思いは、長期的に大きな損失をもたらす可能性がある。

競争は投資を必要とする:Competition Requires Investment

競争の多面的な本質は、この話題はより忠実かつ微妙な意味合いで捉えられなければならない。評判(reputation)で一位になることは重要だが、敵対者が同盟国を強制しようとしたときに、米国が影響力を持つとは限らない。

そのためには、敵対者の意思決定を変えるために必要なスピードと規模で軍事力を発揮できるような投資が必要である。同様に、既成事実(fait accompli)を否定する態勢を整えても、複数の大国から支援を受ける相手との間で優位性を獲得できるとは限らない。

直接的競争、間接的競争において成功するには、戦略的即応性、調整された戦力態勢、アクセス、影響力(influence)といった分野への具体的な投資が必要である。米陸軍が国家間の競争にいつ、どこで、何のために貢献するか、優先順位をつけることは常に必要である。

資源が限られた時代、米陸軍は競争の複数の力学(ナラティブ、直接的、間接的)に貢献し、戦術的、作戦的、戦略的な利益をもたらす能力、活動、投資を最大化しなければならない。

競争における米陸軍:The Army in Competition

米陸軍は複数の方法で競争に貢献している。米陸軍は、低烈度の競争から危機や武力紛争に至るまで、競争空間全体で敵対者に対する影響力(leverage)を政策立案者に与えることで、最も重要な国益をめぐる競争に貢献しているのである。

米陸軍は、状況に合わせて低・中コストでリスクの高い幅広い選択肢を政策立案者に提供することで、重要度の低い利益に対する競争に貢献する。最後に、単に世界クラスの部隊になることであり、制度的価値に合致した方法で実施された作戦の成功を通じてその質を示すことは、米陸軍に対する肯定的な評判(positive reputation)を育むことになる。

信頼できる原則的な強さは、同盟国やパートナーを魅了し、彼らは関係を築くことに価値を見出す。このような国家的、集団的な強さによって、敵対者はより野心的でない狙いで対抗するか、あるいは競争を完全に放棄するようになる。

付録Aは、直接的競争、間接的競争、ナラティブ上の競争の力学の中で、米陸軍が目標達成のために行える具体的な能力、活動、投資をリストアップしている。

これらの例は、指揮官、計画策定者、戦力開発者の思考と議論に拍車をかけるために提供されている。米陸軍は主に、同盟国やパートナーを保証し、敵対者の悪意ある行動を抑止することで、競争力を発揮している。これらの主要な貢献は、図E2に示されている。

 

第1章:競争の概観:Chapter I. An Overview of Competition

1. 文脈:Context.

2018年の国家防衛戦略では、国防総省が大国間競争に焦点を当てた。しかし、その広いコンセプトをどのように行動に移すかについては、コンセンサスが得られていない[1]

パートナーシップ活動、演習、その他の前方プレゼンスに従事している兵士たちは、自分たちの行動が国家レベルでの競争の成功につながる正確なメカニズムを説明することが困難な場合があると述べている。同様に、制度上の米陸軍の関係者も、どの能力、活動、投資が望ましい戦術的、作戦的、戦略的効果を最もよく達成できるかを判断するための指針を必要としている。

この文書は、競争の多面性を理解するための枠組みと、採用可能な米陸軍の能力と活動、およびそれらが達成し得る戦術的、作戦的、戦略的成果を詳細に説明することによって、これらのギャップを解消するものである。

そのコンセプト上の枠組みについては、本文書の本文で説明する。この枠組みは、競争のどのような段階においても、適切な能力と方法が適用されることを保証する。競争は、どこでも、どのような状況でも同じように行われる一枚岩の活動ではないため、この調和(matching)が必要なのである。

戦争と同様、軍事的競争は多面的であり、多くの可能性があり、それぞれ異なるアプローチを必要とする。対反乱活動と一般的な国家間紛争で、指揮官が異なる兵力構成とアプローチを必要とするように、競争にもいくつかの異なる形態があり、それぞれが明確な力学を持っている。

この文書では簡略化のため、実際には様々な可能性があるものを、目標、方法、範囲の違いによって区別された3つの基本的な競争の力学に分類している。ある能力や活動は、許容できるリスクの閾値や競争の激しさなどの考慮事項によって、他の力学スよりも効果的であったり、関連性があったりする。

軍事的競争の能力、活動、成果の詳細な説明は付録Aにある。これらは、競争の力学に従って、また、主な焦点が米国の利益を達成することにあるのか、敵対者に障害を与えたりコストを課したりすることにあるのかに関連して、整理されている。

最後に、付録Bは、競争のさまざまな要素についてより深く知りたい人のために、オンラインで入手可能な資料の一部を紹介している(その多くはオンライン)。

2. 米陸軍の軍事的競争の定義The Army Definition of Military Competition.:

軍事的競争は、政治的目標を達成し、敵対者が米国に不利な目標を達成する実力(ability)を否定するために用いられる、さまざまな活動や作戦を包含している。武力紛争は、統合ドクトリンで競争連続体と呼ばれるものの1つの要素である[2]。本書の焦点は、武力紛争の外で行われる一連の活動である。

これらは、闘いを伴わずに直接目標を達成するために行われることもあれば、敵対者を抑止し、統合部隊が最も有利な条件で紛争を開始できるようにするための武力紛争準備の一部として行われることもある。いずれの場合も、統合部隊は、米国の目標を達成するためにあらゆる国力の手段を一体化する国家戦略の一部として競争する。

米陸軍は、幅広い政策選択を支援するための地上戦力能力(capability)と能力容量(capacity)の構築と採用により、軍事的競争に貢献する。

・ 競争中の軍事活動は、政策的狙いを達成するための協調的な戦略的アプローチの一部として、国力の他の手段を支援するものである。

・競争中の軍事活動は、防御的か攻撃的か、致死性か非致死性か、一方的か多国間か、各軍種の通常部隊、非正規部隊、特殊作戦部隊を複数のドメインで使用することができる。

・競争時の軍事活動は、友好国(米国、同盟国、パートナー)の優位性を維持・拡大する一方で、敵対者の選択肢を制限・喪失させ、コストを課し、敵対者の疑念を増大させる。抑止力を確立し、抑止力が失敗したときに軍事的成功の条件を設定することができる。

・各軍種は、能力およびプレゼンスを調達し、またアクセスおよび影響力(influence)をもたらす関係を育成し維持することによって、軍事的競争に貢献する。各戦闘軍(Combatant Commands)は、交戦、演習、安全保障協力、その他の活動で兵力を活用することにより、競争において望ましい結果を達成し、危機や武力紛争の際に有利な状況を作り出す。

3. 軍事的競争の三つの力学:The Three Dynamics of Military Competition.

大国間の競争は、その範囲、規模、複雑さゆえに、管理しやすい下位の部分に分割することが必要である。例えば、米ソの冷戦という全体的な競争の中で、西半球における共産主義者の存在や脱植民地化後の新興独立国に対する影響力(influence)など、個別の小さな問題が存在した。

キューバ危機では有効だった行動も、アフリカのある国をソ連圏ではなく米国と同盟させようとする場合には、適切でなかったし、妥当でもなかった。それぞれのケースで、異なる能力と活動が必要とされたのである。これらの事例は異なる競争の力学を持っていたが、孤立していたわけではない。

ある特定のケースの成功や失敗が、グローバルな競争全体に変化をもたらし、それが連鎖的に他の下位のケースの相対的なポジションを良くしたり悪くしたりするのである。

競争の3つの力学は、戦力開発者、計画策定者、指揮官が、競争において米陸軍部隊を生成し採用する際に、この複雑性を克服するのに役立つツールである。3つの力学は、どのような種類の能力が特定の状況下で最も有用であるか、また、個々の事例における成否が、どのように包括的な大国間競争に集約されるかを理解するための手段を提供するものである。

競争の3つの力学のうち1つだけに注目し、他の力学の存在を無視するのでは不十分である。すべてが役割を担っているのである。

第一の力学は、ナラティブ上の競争である。これは、国の強さ、信頼性、決意に関する一般的な知覚(perceptions)に基づいて、国の評判(reputation)が上下することに反映される(図1参照)。ナラティブ上の競争は、継続的でオープンなものであり、単一の出来事や問題よりも大きなものである。それは、特定の問題をめぐる複数の従属的な競争事例を、より大きな全体へと結びつけるものである。

 

ナラティブ上の競争は永続的かつ累積的なものであり、米国の評判(reputation)は時間とともに蓄積される。米国の強さと信頼性に対する評判(reputation)は、敵対者にそれほど野心的でない目標を求めさせ、場合によってはまったく競争せず、代わりに協力を求めるような重要な競争上の利益となる。同様に、強い評判(reputation)は同盟国やパートナーに、特定の問題でより自信を持って競争することを促すことができる。

米陸軍は、致死性で有能な信頼できる部隊として、同盟国やパートナー、敵対者の主要な聴衆にそのように認識されることで、ナラティブ上の競争に貢献する。

この戦力にかかわらず、ナラティブ上の競争はここまでしか進まない。米国は、グローバルな評判(global perception)では抜きん出ていても、特定の問題については、関係を構築していない、プレゼンスが不足する、あるいは単にその状況に関連する能力を有していないなどの理由で、効果的に競争することができない場合がある。

例えば、敵対者が侵略の脅威によって米国の同盟国を強制しようとする場合、評判(reputation)は戦力投射する実力(ability)よりもはるかに重要である。より典型的な例は、ある地域で軍事的能力を構築しようと目指している国である。もし米国の評判(reputation)が高ければ、援助を求める国はまず米国を頼るかもしれない。

しかし、米国に要請された支援を提供する実力(ability)や能力容量(capacity)がなければ、見込みのあるパートナーは、代わりに敵対者に頼るかもしれない。つまり、米陸軍は、特定のケースで効果的に競争できるよう、能力、プレゼンス、戦力構成に投資する必要があるのである。

どのような形態のプレゼンス、活動、能力が関連するかは、状況によって異なる。本米陸軍参謀総長(CSA)文書では、簡略化のため、具体的な競争の事例を、利益の重要性によって2つのカテゴリーに分類しているが、実際には、利益の価値は重要性のスペクトルに沿って変化するものである。

さらに問題を複雑にするのは、政策立案者が意図的に利益の価値を曖昧にすることがあり、事象によって価値が急速に変化し、異なる行為主体(敵対者、同盟国、パートナー)が同じ問題に異なる価値を付与する可能性があることである。したがって、実際には特定の問題の価値を決定する上で、多くの複雑な要因が存在することを覚えておくことが重要である。

しかし、この単純化された2つの区分は、どのような状況においても軍事的競争の力学が、武力の脅威(threat of armed force)をどの程度適用できるかによって大きく左右されることを強調しており、価値がある。例えば、敵対者が近隣の同盟国の主権を脅かしている場合、統合部隊の実力(ability)が機甲部隊、航空団、空母打撃群で対応できるかどうかが、競争の条件となる。

しかし、米国と敵対者の双方から地理的に離れた国、例えばアフリカの国など、直接的な脅威にさらされていない国での影響力(influence)をめぐる競争であれば、その性質はまったく異なる。軍事力は強制するために使われているわけではないので、対応するための実力(ability)は保証されない。

もし、その国が訓練や装備を手に入れることで敵対者と手を結ぶ準備ができたとしたら、米国が水陸両用即応部隊を沖合に配置しても、その決定には何の関係もない。単に無関係なのである。

統合ドクトリンの観点からは、政策目標を達成するために、完全な競争の連続体(協力、武力紛争以下の競争、武力紛争の組み合わせ)が利用できる場合と、協力と武力紛争以下の競争のみが利用できる場合の区別である。

直接的競争は、米国にとって至上命題であり、武力紛争が望ましい最終目的(desired ends)を達成または維持するためのもっともらしい手段となるような、明確に定義された利益をめぐって競争が起こる場合に起こるものである。簡単に言えば、それは闘うに値する問題である。

戦争が正当化されるほど重要な問題であるにもかかわらず、直接的競争は通常、武力紛争をはるかに下回る危機的な烈度のレベルで行われることに注意する必要がある。したがって、直接的競争は、武力紛争以下の最も弱い競争から一般的な国家紛争まで、あらゆる競争的活動を包含する(図2の例示を参照)。

図2 直接的・間接的競争の例示

このため、政策立案者は、目標をどれだけ強く追求するか、リスクをどれだけ許容するかによって、さまざまな手段を用いることができる。直接的競争の場合、目標は米国に影響力(leverage)を生み出し、敵対者にそれを与えないことである[3]

直接的競争においては、統合部隊は、敵対者の同じ実力(ability)を打ち消すか否定しながら、軍事力を効果的に投射し、烈度とリスクの垂直的な全範囲にわたって関連する作戦を実施する実力(ability)を通じて、影響力(leverage)を生み出す。

この利用可能な選択肢の範囲にギャップがあれば、敵対者が利用できる潜在的な脆弱性が生まれる。米陸軍部隊が武力紛争のみを志向する場合、敵対者は武力紛争のレベル以下の競争における成功を通じて、重要な戦略目標を達成することができるようになる。

しかし同時に、米陸軍部隊を必要な場所に投入し、統合全ドメイン作戦の一部として効果的に闘うことができなければ、敵対者は危機を拡大し、武力紛争の脅威を利用した強制力によって目標を達成する機会を得ることになるのである。

したがって、直接的競争において、統合部隊は、競争の激しさとリスクの全範囲にわたって実行可能な選択肢を持つことによって、政策立案者の競争空間を垂直に拡大する。

米陸軍は、低烈度の日常的な軍事的競争行為から、問題に対する影響力(leverage)を得たり、敵対者にそれを否定したりするための通常兵器と核の統合まで、あらゆる競争空間において敵対者との関係で統合部隊のエスカレーション優越を可能にすることによって、直接的競争に寄与している。

間接的競争は、米国の利益がそれほど重要でなく、定義があいまいで、敵対者と本質的に緊張関係にない場合に発生する。武力紛争は大国間競争の手段には含まれないため、直接的競争では非常に効果的な活動でも、間接的競争では重要性が低下したり、無関係になったりするものもある(図2参照)。

間接的競争では、優位性を獲得する(あるいは敵対者にそれを与えない)ことが目標である。この目標は、直接的競争におけるより強力な影響力(leverage)のコンセプトとは対照的である[4]

間接的競争ほど利益の重要性は高くないが、米国がこれらの利益のために競争しないことを意味するわけではない。政策立案者はしばしば間接的競争を選択するが、その際には、直接的競争とは根本的に異なるコスト・ベネフィットやリスクの計算をすることになる。

このことが軍事的競争に与える影響は、統合部隊は、政策立案者が選択できる低・中リスク・高コストの選択肢を増やすことで、競争空間を水平方向に拡大する必要があるということである。

米陸軍は、主に敵対者の行動を米国の利益により合致するように形成することによって、政策立案者が敵対者に優位性を獲得する、あるいはそれを否定するための信頼できる(低・中烈度の、リスクの)一連の選択肢を提供することによって、間接的競争に貢献する。

直接的競争が必ずしも武力紛争の閾値近くで起こるとは限らないように、間接的競争も本質的に活動的でないとか非暴力的であるとは言えないのである。アフガニスタンにおける米国のムジャヘディンへの支援は、間接的競争がその烈度の上限で行われた例である。スティンガー・ミサイルの供給という米国の決定は、より野心的な戦略目標を達成するために競争の激しさを増した。

とはいえ、米国がその利益のために高いコストとリスクを許容することには限界があるため、間接的競争の一例であった。アフガニスタンは戦争の原因ではなく、コストを課す機会であった。米国は、アフガニスタンからソ連を追い出すために大規模な通常兵力を派遣することはなかっただろう。

4. 促進させる行動と妨げる行動:Actions that Advance; Actions that Impede.

軍事的競争は、米国と敵対者の両方の視点から見る必要がある。促進させる行動(advance actions)とは、戦略的利益を達成し、作戦上または戦術上の優位性を得ることを意味する。妨げる行動(impede actions)は、敵対者を制限し、妨害することを意味する。

多くの場合、1つの活動で促進させる行動と妨げる行動の両方が行われる。しかし、後述するように、ある行動がどちらかのカテゴリーにのみ分類される場合もある。

促進させる行動(advance actions)には、米国の評判(reputation)、影響力(leverage)、優位性を高めることをデザインした活動や投資が含まれる。ナラティブ上の競争において、促進させる行動(advance actions)は米国の評判(reputation)を生成、拡大、改善、または保護する。

直接的競争では、促進させる行動(advance actions)が成功すれば、機甲旅団戦闘チームのような新戦力を戦略的に関連する地域に配置することができ、それによって米国の影響力(leverage)を高め、敵対者のリスク計算を変えることができるかもしれない。間接的競争では、促進させる行動(advance actions)が成功すれば、例えば第三国と包括的な対外有償軍事援助(FMS)協定を締結することで、米国の優位性を高めることができる。

妨げる行動(impede actions)は、敵対者の評判(reputation)、影響力(leverage)、または優位性を低下させる。ナラティブ上の競争では、敵対者の人権侵害、無法状態、腐敗を強調するなどして、敵対者の評判(reputation)を低下させることを目指した妨げる行動(impede actions)が行われる。

直接的競争では、ミサイル防衛アセットを前方に配置して敵対者の長距離ミサイルの効果を打ち消すなど、妨げる行動が成功すれば敵対者の影響力(leverage)を弱めることができる。間接的競争では、敵対者の武器や装備の劣勢を示すなど、妨げる行動が成功すれば、敵対者の優位性を低下させることができる。

5. 米陸軍への含意:Implications for the Army.

米陸軍は、単に世界最高の陸上部隊であり、その価値観に従って活動し、いつどこで採用されても成功することで、大国間の競争に大きく貢献していることを見落としてはならない。勝つこと(または勝つための準備)は、敵対者だけでなく、同盟国やパートナーにも影響を与えるが、明らかにその方法は異なる。

しかし、一般的に優れているのはここまでである。直接的競争と間接的競争において成功するには、戦略的準備態勢、調整された戦力態勢、アクセス、影響力(influence)といった分野への具体的な投資が必要である。米国はナラティブの戦い(battle of narratives)において圧倒的な優位性を有しながら、西太平洋では中国に、バルト海地域ではロシアに効果的に対抗できず、戦略目標を達成できないかもしれない。

さらに、利益関係の強い地域で競争する実力(ability)が、必ずしもアフリカや南米で効果的に競争する実力(ability)に引き継がれるわけではない。米陸軍がいつ、どこで、何のために国家間の競争に貢献するのか、常に優先順位をつけることが必要であろう。

資源が限られた時代、米陸軍は競争の複数の力学(物語的、直接的、間接的)に貢献し、戦術的、作戦的、戦略的な利益をもたらす能力、活動、投資を最大化しなければならない。

第2章. ナラティブ上の競争の中の米陸軍:強さの構築と描写:Chapter II. The Army in Narrative Competition: Building and Portraying Strength

1. 今日のナラティブ上の競争:Narrative Competition Today.

ナラティブ上の競争とは、評判(reputation)を高めるための継続的でオープンエンドな取組みであり、特定の問題や特定の敵対者との関係以外での強さ、信頼性、決意に関する知覚(perceptions)の総体である。

米国がナラティブ上の競争に成功している場合、その成功はすべての行為主体との相互作用にプラスの影響を与える。同盟国やパートナーは米国に協力する傾向が強まる。敵対者は米国の利益に挑戦する可能性が低くなる。このように、ナラティブ上の競争は他の競争形態の起点となる。

2. ナラティブ上の競争の聴衆:The Audiences of Narrative Competition.

ナラティブ上の競争とは、米陸軍が何であるか、何をしているか、そしてそれらの能力や行動がどのように知覚されているかの組み合わせである。例えば、米陸軍は世界のどの軍隊よりも優れた能力を数多く保有している。しかし、それらは特定の聴衆に認識され、意味を持つ程度にのみ、ナラティブ上の競争に貢献する。

さらに問題を複雑にするのは、米国の行動とメッセージは、ターゲットとなる聴衆だけでなく、複数の聴衆によって同時に知覚されることである。簡単にいうと、本文書では、同盟国、パートナー国、中立国、敵対者のそれぞれの国の聴衆を、軍事・安全保障問題に対する知識と関心に基づき、3つに大別することにする。

どの国でも、最初の聴衆は一般大衆である。情報化時代には、世界のほとんどの地域で、ニュースやポップ・カルチャー、個人的なネットワークから、平均的な個人が絶え間なく情報にさらされている。大多数の人は、生涯を通じて蓄積された米国に関する知識と意見を少なくとも持っている。多くの人々にとって、国内の政治、経済、社会、文化の問題は、国際関係の軍事的側面よりもはるかに重要である。

このような聴衆は、軍の能力と作戦を認識している程度で、非常に印象論的である。米統合部隊に対する知覚(perceptions)は、軍事能力に関する事実上の評価よりも、ハリウッドや過去の戦争や作戦に関する地元の記憶に由来している可能性が高い。したがって、多くの情報源から多くの情報を消費し、安全保障問題には特に関心がないため、軍が国民の大部分を大きく揺さぶることは困難である。

一国の文民の政策立案者は、軍事能力や活動へのアクセスや意識がはるかに高い、狭い範囲の人々である。例えば、日米地位協定、対外有償軍事援助(FMS)の増加、インテリジェンス共有の拡大など、一般市民にはほとんど見過ごされるような出来事についても、文民の政策立案者はその重要性を認識し理解する可能性が高くなる。

また、政策立案者は地域の正味の戦略的バランスをより良く理解することができる。しかし、政策立案者は国際的な安全保障の問題よりも、国内の政治、経済、社会、文化の問題を重視する傾向が依然として強いことに留意することが重要である。したがって、文民の政策立案者の関心は、相互運用性や演習のような軍事的問題よりも、貿易協定や国内政治的立場への決定の影響に重きを置いている。

最後の聴衆は、一国の国家安全保障コミュニティである。このグループには軍隊、インテリジェンス機関、その他の安全保障部隊が含まれ、専門的な知識とインテリジェンス・アセットを駆使して知覚(perception)を深めていく。そのため、さまざまな情報源から情報を収集する。国家安全保障コミュニティは、他国の軍事動向も追跡する。

米国(あるいは中国やロシア)が自国以外の地域で作戦を成功させたり、他の地域の同等の同盟国やパートナーに価値を与えたりしても、それらの行動は依然として評判上の効果(reputational effect)を持つ。同様に、米陸軍が新しい長距離射撃システムなどの重要な能力を開発した場合、国家安全保障コミュニティはその開発に注目し、自国への影響を評価しようとする。

米国と直接取引する場合、国家安全保障コミュニティは、自国の地域バランスに直接影響を与える比較的小さな能力や活動の変化には敏感である。彼らは専門的な知識と独自の情報収集手段を持っているため、国家安全保障コミュニティは、知覚(perception)と根本的な現実の間に最も近い整合性を持っていると思われる。

3. ナラティブ上の競争の力学:The Dynamic of Narrative Competition.

本文書では、米陸軍の競争への貢献に焦点を当てる。ナラティブ上の競争において、米陸軍部隊は国家安全保障コミュニティ、および、それほどではないが、文民の政策立案者にとって重要である。同盟国やパートナーとの間では、これは主に、高い水準を維持し、軍事教育、演習、能力開発、および装備品販売において選ばれたパートナーであることによって実現する。

強力で近代的な米陸軍は、一般兵士から政策立案者に至るまで、相手に対する心理的優位性を享受することができる。しかし、ナラティブ上の競争において、米陸軍は軍や政府の領域(sphere)以外の国力からも利益を得ている。世界中の多くの人々にとって、米国に対する知覚(perception)は、ニュース、ポップ・カルチャー、ソーシャル・メディア、個人的な経験など、あふれるほどの情報によって左右される。これらの印象が肯定的であればあるほど、米陸軍部隊にとって有利な環境を作り出すことになる。

先の冷戦の例が示すように、ナラティブ上の競争は、直接・間接的競争の具体例の出発点である。強い評判(strong reputation)は、特定の問題に対する競争にとって有利な条件を作り出す。そのような例での成功や失敗が、ナラティブ上の競争にフィードバックされるのである。

人道支援から戦闘行為に至るまで、継続的な成功の積み重ねが重要であり、力強い主張となる。また、作戦を適切に遂行することも重要である。倫理に反したやり方や、同盟国やパートナーを犠牲にした成功は、短期的な勝利につながり、長期的な評判(long-term reputation)を落とすことになりかねない。

なぜ、ナラティブ上の競争を次の二つの章で説明する能力や活動とは別に扱うのか、すぐには理解できないかもしれない。読者の中には、すべての行動にはナラティブの要素があると主張する人もいるだろう。しかし、これは必ずしも正しいとは言えない。米陸軍は政策立案者に選択肢を提供する能力を開発しているが、それは秘密にされているため、ナラティブの要素はない。

逆に、欺瞞(deception)と誤った情報(misinformation)は、その国の実際の能力に見合わないほど評判(reputation)を高めることができる。直接的競争と間接的競争は、与えられた状況下で行動を起こす実力(ability)を扱うもので、態勢、即応性、相互運用性、能力などの要因の関数である。ナラティブ上の競争は、さまざまな聴衆の間でのこれらの要因に対する知覚(perceptions)を扱うものである。

多くの異なる聴衆を考慮する必要があることが、ナラティブ上の競争を個別に検討するもう一つの理由である。直接的または間接的競争における一つの行動は、当面の作戦環境を変え、願わくは米国と統合部隊の立場を向上させる。しかし、それはまた、他の場所でさまざまな評判上の効果(reputational effects)をもたらす。実際、聴衆がどこでその行動を知覚しようとも、それは何らかの評判の影響を与える。

例えば、中東での統合部隊の行動が大きく報道された場合、その情報がロイター通信か、ロシア・トゥデイか、北朝鮮の朝鮮中央通信かによって、一般世論に与える影響は異なる。

同時に、それぞれの国の政策立案者や国家安全保障コミュニティは、米国の強さと決意について全く異なる結論を導き出すかもしれない。このように、知覚(perception)と根本的な現実は必ずしも一致しないということ、そして、一つの行動が異なる聴衆の間で複数の異なる影響を与える可能性があるということである。

4. ナラティブ上の競争への米陸軍の貢献:Army Contributions to Narrative Competition.

-致死性のある、有能で信頼できる軍隊であること

-武力紛争や競争において勝利すること

-同盟国やパートナーとの協力関係を構築する。

-国の価値観と国際法に則った行動

-積極的なメッセージングと上記全てのデモンストレーション

5. 成功したナラティブ上の競争の成果:Outcomes of Successful Narrative Competition.

友人に影響を与える。(戦略的・作戦的)

安全保障コミュニティは、米陸軍とのパートナーシップの利点から、自国が米国とのより深い関係を求めるべきであると政策立案者に提唱している。

機会を創出する。(戦略的)

外国の政策立案者や国民は、パートナーシップに利益を見出し、米国との結びつきにオープンである。

国家の遺産。(戦略的・作戦的・戦術的)

外国の人々の米国に対する一般的な高い評価は、「人々の間の競争」に有利な条件を作り出す。

評判上の抑止。(戦略的)

米国の強さという知覚(perception)は、敵対者が米国と競争するかどうか、どの程度の強さで競争するかを検討する際の認知的抑止力(cognitive deterrent)となる。

評判上のオーバーマッチ。(戦術的)

世界クラスの軍隊としての米陸軍の評判(reputation)は、部隊レベルおよび兵士レベルで敵対者に対する一般的な精神的優位性を提供する。

第3章.直接的競争における米陸軍:競争、危機、そして抑止:Chapter III. The Army in Direct Competition: Competition, Crisis, and Deterrence

1. 今日の直接的競争:Direct Competition Today.

直接的競争は、米国にとって最も重要な明確に定義された利益が、敵対者と直接的な緊張関係にある場合に発生する。米国を破壊し、強制し、重大な損害を与えようとする敵対者の取組みから自国を守ることは、直接的競争の最も明確なケースである。

直接的競争は、米国が条約やその他の手段で同盟国の主権を守ることを約束した場合にも適用される。政策が意図的に曖昧にされていたり、設定されていなかったり、変更される可能性があるため、コミットメントの正確なレベルを評価することが困難な場合もある。政策とはしばしば流動的で厄介なものである。

直接的競争の力学が具体的なケースに適用されるかどうかを測る簡単なテストは、できるだけ積極的にその狙いを追求しようとする敵対者が、そのリスク計算の中で武力紛争の可能性を考慮しなければならないかどうかということである。このような利益関係の例としては、中国と台湾、ロシアとその歴史的影響圏内にあると見なすNATO加盟国、イランとアラビア湾の近隣諸国が挙げられる。

2. 直接的競争の力学:The Dynamics of Direct Competition.

図4は、直接的競争において、米国または敵対者が目標を達成するために取りうる行動の一例を示したものである。間接的競争と比較して、直接的競争は、武力紛争や危機だけでなく、それほど激しくない形の競争も含む、より広い競争空間を持っている。米陸軍部隊は、その競争空間の垂直方向の全スペクトルにわたって選択肢を提供することで、政策立案者に影響力(leverage)を生み出す。

図4 直接的競争における競争空間

能力のギャップは敵対者に利用される可能性がある。統合部隊が関連能力を欠き、あるいは行動する法的権限を持たないため、能力格差が低レベルの激しさであれば、敵対者は武力紛争よりも競争を通じて目標を達成する可能性が高くなる。

他方で、統合部隊がその地理的地域で陣地を失い、軍事的に不利な状況にあるため、能力格差がより高いレベルの烈度にある場合、敵対者は武力紛争の脅威を伴う危機的な瀬戸際政策と威圧によって、その結果の影響力(leverage)を利用することができる。

敵対者は、紛争を他の地域に拡大し、紛争を長引かせ、より破壊的な手段に訴える意思(will)と実力(ability)を持つ敵対者に直面した場合、いわゆる既成事実化を試みる可能性は低くなる。武力紛争においても政策立案者はエスカレーションとリスクに関する選択をしなければならないため、軍事的選択の垂直的範囲を完全に確保する必要性は武力紛争の閾値を超えたところでも続いている。

武力紛争の中で、最も低いレベルの激しさは、期間、地理的範囲、採用される手法の点で限定された局地的な紛争の中で発生する。戦力開発者と軍事戦略家にとって重要なことは、直接的競争において、米陸軍は統合部隊指揮官と政策立案者があらゆる烈度のレベルで選択肢を持つようにすることで、競争空間を縦方向に拡大することである。また、統合部隊は敵対者の選択肢に対する対抗手段を開発し、敵対者の影響力(leverage)を否定する必要がある。

冷戦時代には、破滅的なエスカレーションの可能性から、抑止力を武力紛争への移行に焦点を当てた一つの合否の命題として捉えることが一般的だったが、影響力のコンセプト(concept of leverage)は、より微妙な抑止力のコンセプト(concept of deterrence)を導き出すことになる。大国間競争においては、抑止の概念(notion of deterrence)は、競争空間全体を包含するように拡大されなければならない。

競争における抑止力とは、武力紛争を防ぐことだけが重要な要素ではないが、敵対者がより野心的な目標を達成するために競争の激しさを増すことを抑止することでもある。このため、抑止の成否は、あるモードから別のモードへの明確な移行ではなく、烈度の相対的な程度で測定されるため、抑止の評価は極めて困難である。

別の言い方をすれば、統合部隊は、敵対者がより高い競争烈度にエスカレートするのを、選択肢を遮断することによってうまく抑止しているかもしれないが、敵対者がはるかに低い形式の競争烈度で競争を続けているので、友好国の政策立案者は、米国がうまくいっていないと結論づけるかもしれない。

抑止が失敗した場合でも、大国間競争の永続的な本質により、敵対者にコストを課すことで抑止を再構築することができる。ストーブの上に手を置くように、特定の行動が逆効果であること、あるいは利益とは不釣り合いなコストであることを敵対者に示すことで、将来の競争行動を抑止することができるのである。

コストを求める場合、ロシアや中国のような敵対者との関係で、米国の比較優位性を認識することが重要である。開放的な民主主義制度と価値観が、政治戦と呼ばれるものにおいて米国を不利な立場に置く分、同じ特性が米国をより魅力的なパートナーにする。

敵対者が紛争地域の漁民に嫌がらせをしたり、偽情報キャンペーンを行ったりするなどの手段で、武力紛争を下回る競争を用いる場合、統合部隊の最善の対応は、何らかの同様の形態の攻撃で対称的に対応しようとすることではないかもしれない。敵対者の攻撃的な行動は、脅威を受けた同盟国やパートナーが米国との協力関係の深化を熱望するような、非対称的な反応を引き起こす可能性がある。

3. 直接的競争への米陸軍の貢献:Army Contributions to Direct Competition.

米陸軍は、競争と危機の両方の状況下で、戦略的関連性のあるスピードで信頼できる行動を取ることができる位置にある致死性で有能な部隊により、競争空間全体で統合部隊のエスカレーションの優位性を実現することで、直接的競争に貢献する。

また、これらの部隊は、省庁間、同盟国、およびパートナーとの効果的な一体化が必要である。直接的競争は、時間、場所、および問題に特化したものである。この意味するところは、たとえ統合部隊が全体として圧倒的な優越にあったとしても、関連する地域で発揮できる能力(したがって、友軍と敵対者の意思決定に影響を与える)だけが重要であるということである。

-多国籍および統合パートナーと連携し、大国間紛争の規模とテンポで持続的なマルチドメイン作戦を実施する実力(ability)。

-敵対者の意思決定の計算を変え、既成事実による攻撃の脅しという影響力(leverage)を否定するために、スピードと規模で関連地域に戦力を投射する戦略的準備態勢。

-敵対者の全ドメイン作戦に耐え、米国の脆弱性を突いて簡単に勝利する可能性を奪う回復力。

-危機の際に政策立案者に影響力(leverage)を与えるために、敵対者の脆弱性と感受性をターゲットにする実力(ability)。

4. 成功した直接的競争の成果:Outcomes of Successful Direct Competition.

「危機に勝つ」ことによって、米国の目標を達成する。(戦略的)

米国とその同盟国およびパートナーの集団的な軍事力および能力は、敵対者との危機が米国に有利な条件で解決されるよう十分な影響力(leverage)を与える。

武力紛争の際に有利な条件を作り出す。(作戦的・戦術的)

競争や危機の時期にとられる行動は、抑止が失敗した場合、米国とその同盟国が有利な条件の下で紛争を始めるパートナーとなるように条件を整えるものである。

敵対者の影響力(leverage)を低下させ、その目標を達成するために危機的な瀬戸際政策による強制力を用いる可能性を低下させる。(戦略的)

敵対者が武力紛争を信頼できる形で威嚇できるメカニズムを弱体化させることにより、危機的な瀬戸際政策による強制を試みる可能性を低下させる。

同盟国やパートナーが危機的な瀬戸際政策による強制に対してより脆弱にならないように、保証し、可能にする。(戦略的)

米国は、大規模な戦闘作戦を実施する実力(ability)を向上させるための行動をとり、また、同盟国やパートナーも同様の実力(ability)を向上させることで、強制力を持ちにくくする。また、敵対者が自分たちに対して適用する影響力(leverage)が小さくなるため、同盟国やパートナーは自分たちのために積極的に競争する可能性が高くなる。

第4章.間接的競争における米陸軍:協調から抑止Chapter IV. The Army in Indirect Competition: From Cooperation to Deterrence

1. 今日の間接的競争:Indirect Competition Today.

間接的競争は、直接的競争よりも重要性が低いか、定義が不明確であるため、武力紛争が目標達成のためのもっともらしい手段とはならない利益関係との関係で生じる。これにはさまざまな状況が含まれる。最も一般的なのは、米国と敵対者がともに持続的な関係またはプレゼンスを示している多くの事例である。

これは、現在の大国間競争と冷戦時代の大きな違いの一つである。現在では、米国に最も近く、最も長い歴史を持つ同盟国の一部でさえ、敵対者と重要な関係を結んでいる。最も近い同盟国の政府内でさえ、安全保障や米国との関係を優先するか、それとも経済や情報技術インフラに関連する中国との関係を優先するかという議論が行われているのは、間接的競争が事実上いたるところで起こっていることの一例である。

多くの場合、米国と敵対者の利益は必ずしも対立しておらず、それぞれがパートナーや同盟国と並行して利益を追求することが可能であろう。間接的競争は、シリア、イエメン、リビアの内戦のような無秩序な状況において、より深刻になる。

このような場合、グローバルな大国または地域の大国が、代理人を使ったり、現地軍を支援したり、あるいは小規模な戦闘行為を行うなどして、外部の勢力が優位性を獲得する可能性がある。

2. 間接的競争の力学:The Dynamics of Indirect Competition.

図5は、間接的競争において、米国または敵対者が取りうる行動を例示したものである。直接的競争との違いは、間接的競争では、武力紛争の行使や威嚇は、政策的狙いを達成するためのもっともらしい手段ではないことである。

図5 間接的競争における競争空間

したがって、間接的競争は、完全に低・中程度の烈度とリスクの行動の範囲内で発生する。米陸軍は、国家的狙いを達成するために政策立案者に適切な選択肢の範囲を提供することで、間接的競争における優位性を最もよく提供する。

米国と敵対者の利益が不明確な場合に間接的競争が発生すると、すべての側が競争するか、協力するか、あるいは重大な関与を避けるかを決定する柔軟性を提供することになる。例えば、無秩序や内戦の場合、支援する側が自然にいなくなることがある。

現在リビアで起こっているように、代理人への支援を通じて競争を目指そうとする国もあるかもしれない。しかし、それ以外の場合、敵対関係にある国々が、既存の政府への共通の支援や権力分立の妥協点を共同で調停することによって、協力することを選択することもある。国連安全保障理事会の常任理事国である米国、中国、ロシアは、このような問題でしばしば合意している。

間接的競争において、統合部隊が特に有用な役割として、米国に有利な条件で協力するための条件を設定することがあげられる。これは敵対者が競争と協力の間で揺れ動いているときに起こりうる。もし統合部隊が、敵対者にとって成功の可能性が高く、悪い選択肢しかないような低・中コストの選択肢を幅広く提供すれば、その政策立案者は、うまく競争できないと結論付け、代わりに協力することを選ぶかもしれない。

戦力開発者と軍事戦略家にとっての収穫は、間接的競争において、米陸軍は統合部隊指揮官と政策立案者に複数の低・中コストの選択肢を提供することによって、競争空間を水平方向に拡大することである。また、敵対者の選択肢に対するカウンターを用意することで、敵対者の選択肢を減らすことも有効である。

間接的競争では戦争の可能性があると定義されていても、抑止の原則は適用される。統合部隊が能力、プレゼンス、アクセス、影響力(influence)の適切な組み合わせによって優位性の立場を確保していれば、敵対者はそれほど激しくない形の競争を選ぶかもしれないし、まったく競争しようとしないかもしれない。さらに、敵対者が競争を選択した場合、それが失敗すれば、将来、同じような状況で競争しないことを決めるかもしれない。

3. 間接的競争への米陸軍の貢献:Army Contributions to Indirect Competition.

米陸軍は、米国の政策立案者に、敵対者と相対的優位性で勝利するための複数の選択肢を提供するために、適切な(低リスクから中リスクの)能力を幅広く提供することにより、武力紛争以下の協力と競争におけるエスカレーションの優位性を可能にすることで、間接的競争に貢献する。

-米国の戦略的目標を達成し、作戦環境を形成するための低・中コストな幅広い能力。

-持続的なプレゼンス、地域の専門知識、環境と敵対者を理解するためのインテリジェンス。

-同盟国やパートナーとの強固な関係を育み、地域の安全保障構造を強化する日常的な関与。

-同盟国やパートナーが制度的、戦略的、作戦上の目標を達成し、破壊工作に抵抗するための能力を構築し、支援する実力(ability)。

-同盟国やパートナーに優れた価値を提供することで、米陸軍部隊は敵対者の影響力(influence)を制限し、他国を転覆させる実力(ability)を低下させ、同盟国やパートナーに米国との協力を深めさせることで侵略のコストを賦課することができる。

4. 成功した間接的競争の成果:Outcomes of Successful Indirect Competition.

競争の中で米国の目標を達成する。(戦略的)

競争的行動は、武力紛争以下の競争を通じて、米国の目標を直接達成する。

競争において、将来の行動にとって有利な条件を作り出す。(作戦的・戦術的)

競争的な行動は、作戦上または戦術上の環境全体を改善し、将来の作戦に有利な条件を作る。

米国政府の他の要素に有利な条件を作り出す。(作戦的)

競争力のある行動は、全体的な安全保障の向上、アクセスや影響力(influence)のために利用できる関係の構築、二国間または多国間協力の習慣の発展などの手段により、米国政府の他の要素に有利な条件を作り出すことができる。

他の主体の利益、コスト、リスクの計算を変え、米国にとってより有利な条件で競争が起こるようにする。(戦略的)

競争的行動は、敵対者が、彼らの方法の効果が低下するか、米国とその同盟国やパートナーの能力が向上することにより、許容できるコストとリスクで全体的な目標を達成する可能性が低くなると結論づけるように環境を変化させる。

これと同じ動きが、敵対者の特定の作戦的・戦術的アプローチに関連して、より低いレベルで発生することがあり、敵対者がもはやそれを有用と考えないようにすることができる。逆に、同様の要因によって、同盟国やパートナーは、敵対者の破壊工作に対する効果的な対抗手段を手に入れたことで、より積極的に対抗する態勢を整えることができる。

破壊工作に対して同盟国やパートナーを有効化し、強化する。(作戦的・戦術的)

武力紛争下で敵対者が破壊工作を行う実力(ability)を低下させる、あるいは同盟国やパートナーの回復力を向上させるための競争的な行動。

敵対者にコストを課す。(戦略的・作戦的・戦術的)

個々の能力や方法の使用から、競争を通じて目標を達成しようとする全体的な試みまで、あらゆるレベルで敵対者にコストを課す競争的な行動。

敵対者の競争手段の有効性を低下させる。(作戦的・戦術的)

敵対者の能力、方法、アプローチを低下させる競争的な行動。

第5章:行動における競争:Chapter V: Competition in Action

適用においては、競争の3つの力学は単独で起こるのではなく、より大きな国家的競争の一部として一緒になって起こるのである。一つの活動が、直接的競争、間接的競争、ナラティブ上の競争において利益を生むことはよくあることである。これは、特に資源が乏しいときには良いことである。

例えば、巧みな多国間演習は、あらゆる競争の力学において、複数の目標を達成することができる。本章で紹介する2つのケースは、最近の作戦からヒントを得たもので、競争の力学の相互関係を実際に示すものである。

1. 西半球のハリケーン対応:Hurricane Response in the Western Hemisphere.

カリブ海を立て続けに襲った一連のハリケーンは、暴風雨とその後の重要なサービスの喪失の両方から、広範囲に及ぶ破壊と大きな人命の喪失をもたらした。破壊の範囲があまりにも広かったため、単一の暴風雨の後に可能な、ある地域から別の地域へアセットを移動させるという典型的な対応は不可能であった。地域の交通機関、電力、医療システムは混乱していた。

このような災害の副産物は、間接的競争の舞台を提供することである。各国は、必要なときにタイムリーで有益な支援を提供したパートナーと、そうでないパートナーを記憶している。今回の場合、米国と敵対する大国の両方が援助をしてくれた。しかし、敵対者は、現地での物理的資源が限られていたため、資金と小規模な医療チームの提供にとどまった。

これらは有用であり、被災国からも感謝されたが、対応当初は経済システムが崩壊し、医療チームの機材や最も必要とされる地域への輸送手段がなかったため、お金ですぐに救援物資を買うことはできなかった。

一方、米国は、現地に基地を持ち、相手国の治安部隊、文民省、非政府援助組織と協力関係にあり、遠征型の技術・医療チームと、それらを最も被害の大きかった地域に移動させるための航空・海上輸送手段を備えていたので、タイムリーで有用な援助を提供することができたのである。

このケースは、間接的競争のいくつかの側面を示している。ライバル国の利益は対立していないため、双方が貢献し、協力する余地さえある。敵対する大国は有意義な貢献をした。そのため、大国と米国はともに影響力(influence)を獲得し、それが後にそれぞれの利益を増進させるための利点に転化される。しかし、絶対額では両者とも利益を得たが、米国が提供した援助の規模や性質から、相対的な差が生じた。

間接的競争の開放的な本質は、災害救助に限ったことではないことに留意することが重要である。多極化した世界では、米国と大国の敵対者が同時に存在することが多い。

どの国でも、大国は軍事交流、技術支援、軍事教育・訓練のための学生受け入れ、治安部隊の能力向上、装備の販売、現地住民からの物品・サービスの調達などを行う。このような場合、敵対者の利益を妨げるよりも、むしろ友好国の利益を増進させることが行動の中心となるのが一般的である。

パートナーは、両方の大国の戦争大学に学生を送り込んだり、両方の国から装備を購入したりすることを喜んでいる。相手国に十分な優位性を獲得し、移動によって敵対者を完全に排除するには、かなりの投資が必要である。そのためには、相手のニーズをすべて満たす必要があるが、これは非常に高いハードルである。

ハリケーンへの対応も、国によって影響は異なるものの、カリブ海での行動が世界中で注目され、ナラティブ上の競争に貢献している。しかし、重要なのは、ある出来事に対する行動は、その問題にとどまることなく、世界中に波及するということである。時には、こうした反応は混在する。

米国が国内または地域の不安定な状況に対処する治安部隊を支援する場合、その行為によって米国の評判(reputation)が向上する近隣諸国もあれば、低下する国もあるかもしれない。例えば、米国が反乱と闘うパートナーを支援する場合、イデオロギー的、文化的、あるいはその他の結びつきから反政府勢力に同情的な一部の人々からの評判(reputation)を実際に落とすことになるかもしれない。

同様に、安定に貢献する責任ある安全保障支援であっても、米国の行動が特定の集団に偏っているとか、人権を侵害していると誤解されれば、ナラティブ上の競争では「損失(loss)」になりかねないのである。

2. 太平洋における大規模な多国籍演習:Large Multinational Exercises in the Pacific.

最近のDEFENDER PACIFICのような大規模な分散型演習では、物理的環境と仮想的環境をいくつかの組織階層にわたって組み合わせることで、軍事的競争において複数の効果を実現する。

DEFENDERのような規模の演習は、いくつかの点で直接的競争に対する米国の影響力(leverage)を向上させる。太平洋地域では、米国、同盟国、パートナーの利益は、複数の敵対者との間で複数の問題で緊張状態にある。

戦域全体の指揮・統制と複数の事態に有効な展開する実力(ability)を向上させる演習は、同時に中国やロシアなどの敵対者に対する競争する実力(ability)を向上させるものである。戦力を投射する実力(ability)が実証されれば、複数の潜在的シナリオにおいて敵対者の計算を変えることができる。

もちろん、大規模演習のすべての要素が全地域に影響を及ぼすとは限らない。潜在的な作戦地点の現地調査、特定の同盟国との相互運用性の向上、特定の戦術や手順に対する敵対者の反応のテストなどの行動は、特定の敵対者や問題との関連で影響力(leverage)を得るのに役立つかもしれない。

大規模な演習は、戦域全体であろうと狭い地域に限られていようと、その範囲にかかわらず、危機的な瀬戸際政策で同盟国やパートナーを威圧することによって敵対者が利用できる弱点を排除することによって、米国の政策立案者にとって競争空間を広げる(そして敵対者にとっては狭める)ことができる。

第3章で述べたように、直接的競争は危機的な烈度のレベルでしか発生しないわけではない。大規模な演習は、直接的競争の中でもより低いレベルの激しさで競争する実力(ability)を向上させることもできる。北朝鮮のような敵対者は、情報作戦、サイバー攻撃、破壊活動など、米国の同盟国の行動を変えるために、よりあからさまでない形の競争を日常的に行っている。

このような取組みは、2つの方法で軽減することができる。まず、米国は、インテリジェンス共有、ネットワーク防御のための技術支援、復元性(resilience)の構築支援などの手段を通じて、こうした行動の有効性を制限し、敵対者の行動の効果を単純に低下させることができる。第2に、より高いレベルの攻撃力における格差に対処することで、より低いレベルの攻撃力における競争にプラスのトリクルダウン効果を与えることができる。

過去に北朝鮮は、同盟国の民間人や軍人が死亡するような激しい瀬戸際政策を展開したことがある。米国と同盟国が有効な対応策を持たない限り、エスカレーションの脅威は北朝鮮に影響力(leverage)を与え、友好国の政策立案者に重荷を負わせることになる。

軍は同盟国と協力し、様々なレベルの競争激化に対応できるような誂えられた選択肢を数多く作ることで、この状況を改善することができる。競争が激化した場合に備えて選択肢を用意しておくことで、政策立案者は挑発行為に対してより積極的に対応する自信を持つことができる。

大規模な演習は間接的競争力を向上させることもできる。中国は自国の利益を増進するために国力のあらゆる手段を積極的に使っているが、当面の間、武力紛争の直接的な脅威によってあからさまな強制を受けるのは、この地域の一部の米国の同盟国やパートナーだけである。

それ以外の国にとっては、存亡にかかわる軍事的脅威にさらされているわけではないので、どこかの領土に対する見せかけの攻撃や侵略から守るための米国の軍事力の大きなツールは保証的な価値を持たないのである。だからといって、このような場合に軍事的競争がないわけではなく、より微妙な意味合いが異なるだけである。

多国間演習は、交流担当者や連絡担当者が作戦レベルの司令部に勤務する機会の提供、機密インテリジェンスの共有、部隊の後方支援などのメカニズムを通じて、同盟国やパートナーに価値を提供し、大国間競争に貢献する。

後日、同盟国やパートナーの政策立案者が、米国と中国の間で競合する利益のバランスを取る場合、軍事的競争による優位性は、米国の利益に有利にバランスを取ることができる要素の1つである。

最後に、大規模な演習もまた、ナラティブ上の競争に貢献する。この地域では、大規模演習は米国の強さと決意を一般市民と文民の政策立案者に明らかにするものであり、彼らは重要だがそれほど劇的でない軍事的関与の事例を見過ごす可能性があるのである。

確かに、地域内の敵対者の知覚(perceptions)に影響を与えるが、他の地域の敵対者からも注目されている。例えば、戦略的に離れた場所で統合部隊が全てのドメインを一体化する実力(ability)を示すことは、たとえ実際の演習が遠く離れていても、イランにおける米国の強さに対する知覚(perceptions)を形成する。同じことが、地域外の同盟国やパートナーにも言える。

第6章:結論:Chapter VI: Conclusion

米陸軍は複数の方法で競争に貢献している。最も重要な国益が危機に瀕している場合、米陸軍部隊は、低烈度の競争から危機や武力紛争に至る競争空間全体で、政策立案者に敵対者に対する影響力(leverage)を提供することで貢献するのである。

これらの烈度の各レベルで成功裏に活動する能力を保有することは、競争空間を垂直方向に拡大し、米国が国益を最もよく推進するために必要なあらゆる烈度と手段で競争することを可能にする。これはまた、敵対者のエスカレーションを抑止する可能性もある。

武力紛争の脅威がもっともらしくない、重要度の低い利益をめぐる競争では、米陸軍は低・中コストでリスクの高い幅広い選択肢を提供することで貢献する。このように競争空間を水平方向に拡大することで、政策立案者は特定の状況に合わせた行動をとることができる。

このような場合、軍事的な競争は、敵対者の挑発にすべて同じような対応で応えることよりも、同盟国やパートナーと効果的に協力し、彼らに価値を提供し、彼らが効果的に行動できるようにすることが重要である場合が多いのである。

最後に、世界クラスの軍隊であること、そして組織的価値観に合致した方法で行われた作戦の成功を通じてその質を示すことは、単に米陸軍に対する肯定的な評判(positive reputation)を育むだけである。信頼できる原則的な強さは、同盟国やパートナーを魅了し、パートナーは関係を築くことに価値を見出す。

この一般的な国の強さと集団的な強さによって、敵対者はより野心的でない狙いで対抗するか、競争を完全に放棄するようになる。米陸軍は、同盟国やパートナーとの交戦、情報作戦、敵対者や地域の聴衆を対象としたその他の影響力(influence)活動を通じて、致死性で有能な信頼できる部隊としての効果を倍増させることができる。

このコミュニケーションでは、国家安全保障の問題を重視し、提供された情報によって行動に影響を受ける可能性が高い聴衆に焦点を当てた取組みが必要である。

競争の力学の枠組みは、複雑な現実世界の相互作用に用語を割り当てることによって理解を深め、コミュニケーションを改善するために、指揮官や幕僚のためのコンセプト上の支援である。この枠組みの適用に際しては、ほとんどの場合、直接的または間接的な競合の典型にうまく当てはまらないことに留意することが重要である。現実には、国益の重要度は変化し、あらゆる政策決定において複数の問題が絡み合っている。

また、評判(reputation)というものは、大きな集団の中で一様に抱かれる単一の知覚(perception)よりもはるかに複雑である。それでも、この枠組みは、指揮官が常に、危機に瀕している政策目標の文脈の中で作戦を行い、特定の状況に関連する武力行使や脅威を理解するよう注意を促す限りにおいて、有用である。米陸軍部隊がどのように競争するかは、状況に応じて調整されなければならない。

付録Aは、状況に応じて採用できる具体的な能力、活動、投資について記載している。主に、米陸軍は同盟国やパートナーを保証し、敵対者の悪意ある行動を抑止することで競争している。これらの主要な貢献は、図6に描かれている。

図 6 米陸軍の主な競争への貢献度

競争の多面的な本質には多くの意味があるが、最も重要なのは、競争をより忠実に、より微妙に捉える必要があることだ。評判(reputation)で一位になることは重要だが、敵対者が同盟国を強制しようとしたときに、米国が有利になるとは限らない。そのためには、敵対者の意思決定を変えるために必要なスピードと規模で軍事力を発揮できるような投資が必要である。

同様に、既成事実を否定する態勢を整えても、複数の大国からの援助を受け入れるパートナーとの間で優位性を獲得する実力(ability)に変換できるとは限らない。どのような利益関係に対しても、成功裏に競争するためには、事前の投資が必要である。資源が制約される環境下で、米陸軍は政策立案者がどの問題を優先させるかを予測し、必要なときに関連能力を準備できるようにしなければならない。

付録A:軍事的競争における米陸軍の活動と効果:Appendix A: Army Activities and Effects in Military Competition

本付録は、軍事的競争において統合部隊に貢献する米陸軍の能力と活動の例を挙げている。これらの能力と活動は、直接的競争、間接的競争、ナラティブ上の競争の枠組みに従って整理され、戦術的・作戦的・戦略的レベルで望ましい成果に対して整列されている。

能力、活動、およびその結果は、さらに促進させる行動(advance actions)と妨げる行動(impede actions)に分けられる。促進させる行動(advance actions)には米国の影響力(leverage)、優位性(advantage)、評判(reputation)を高めるための取組みが含まれ、妨げる行動(impede actions)には敵対者の影響力(leverage)、優位性(advantage)、評判(reputation)を緩和または低下させるための取組みが含まれる。

これらの表を見る際、読者はまず赤太字で記載されている能力と活動に注目する必要がある。各ボックスの中で、これらは包括的な能力または活動である。その主要な下位要素は、黒太字で示されている。これらの下位要素は、しばしばそれ自身の下位要素を持ち、それらは括弧内にリストアップされている。

例えば、表1では、パートナーや同盟国の動機と能力の理解は、持続的なプレゼンス、日常的な関与、海外地域将校(Foreign Area Officers :FAO)やその他の地域専門家の成果である。持続的プレゼンスとは、戦域コマンド、国別チーム、特殊作戦統合タスク・フォース(SOJTF)、水陸両用タスク・フォースの指揮官(CATF)、安全保障部隊支援旅団(SFAB)、前進基地部隊、同盟国やパートナーに対する米国の連絡官から生み出されるものである。

赤太字の能力・活動は、それ自体が成果を生むが、それ以降の能力・活動の下位要素になることもある。前項の例を続けると、パートナーや同盟国の動機と能力を理解することで、間接的競争において2つの成果を得ることができる。それは、競争における将来の行動にとって有利な条件を作り、米国政府の他の要素にとって有利な条件を作ることである。

しかし、それはまた、能力開発を通じて同盟国やパートナーに価値を提供する下位の要素でもある(表1の下段に記載)。

読者は、表1、2、3の項目の最初の数項目に見られる能力が、この入れ子効果の例であることに注意する必要がある。これらの基礎となる能力と活動は、すべての表に繰り返し登場し、米陸軍と統合部隊の大国間競争の構成要素となっている。

・プレゼンスと態勢

・同盟国とパートナー国との関与

・インテリジェンスと理解

・連合部隊と統合部隊の一部としてのマルチドメインの戦闘能力

表1. 間接的な競争:米陸軍の能力および活動を促進する:Indirect Competition: Army Capabilities and Activities to Advance

黒太字はサブコンポーネンツ

赤太字は、最終的能力または活動を示す

能力と活動

米陸軍は以下によって優位性を獲得する

関連する成果

考えられる成果

持続的なプレゼンス(戦域コマンド、国別チーム、SOJTF、CATF、SFAB、前進基地部隊、同盟国やパートナーへの米軍連絡官)、日常的な関与(国家パートナーシッププログラム、スタッフ会談、カウンターパート訪問、交換プログラム、多国間陸軍会議、外国PMEへの米軍職員)、海外地域将校(FAO)やその他の地域専門家が、パートナーや同盟国の動機と能力について理解し作戦と米国の意思決定を強化する 2, 3 1. 競争での米国の目標の達成(戦略的)

2. 競争における将来の行動を好ましい条件を生成(作戦的・戦術的)

3. 米国政府のその他の要素の好ましい条件を生成(作戦的)

4. 他の行為主体の利益、コスト、リスクの計算を変え、米国にとってより有利な条件で競争が起こるようにする(戦略的)

5. 破壊に対して同盟国とパートナーが対抗できるようにし強化する(作戦的・戦術的)

6. 敵対者にコストを課す(戦略的・作戦的・戦術的)

7. 敵対者の競争の効果的な手段を削減する(作戦的・戦術的)

持続的なプレゼンス(戦域コマンド、国別チーム、SOJTF、CATF、SFAB、前進基地部隊、同盟国やパートナーに対する米国の連絡官)、インテリジェンス、環境の作戦上の準備により、作戦環境の理解を深め作戦と意思決定を強化する。 2, 3
定期的な関与(ステート・パートナーシップ・プログラム、参謀対話、カウンターパート訪問、交換プログラム、多国間地上部隊会議、外国PMEへの米軍人の派遣)、合同演習、海外地域将校(FAO)やその他の地域専門家、長期的な制度的能力構築(対外有償軍事援助(FMS)と融資、技術支援)により軍対軍の関係を構築する。 2, 3
理解と関係(SFAB、SOJTF、国際PME、技術支援、対外有償軍事援助(FMS)・融資、訓練)によって、米国は同盟国やパートナーが制度的、戦略的、作戦上の目標を達成するのを支援し、能力開発、イネーブラ(ISR、対金融・対脅威、兵站、輸送)、作戦支援(助言・支援におけるSOF、SFAB、通常部隊、武装紛争以下の競争における全ドメイン収束用の計画策定・指揮統制C2結合)を通じて価値を提供することができる。 2, 3, 4, 5, 7
理解、関係、迅速な戦力投射(戦域軍、輸送、兵站、予備軍を含む部隊即応性、非致死性のAPS在庫)、民軍作戦(CATF、兵站、医療、輸送、工学)、省庁間協力(連絡・融合セル、省庁間・複合計画、他の政府機関やNGOへの直接支援、権限)は、危機、災害、人道的必要性の際に支援し、より良い安全保障、統治、生活の質を通じて、無秩序の原因を減らすことによる同盟国とパートナーへの価値を提供する 2, 3, 5, 7
理解、関係、省庁間の調整、そして同盟国やパートナーに価値を提供することが、国際規範を支える域の安全保障構造の構築と維持を可能にする。 1, 2, 3, 4, 5, 7
関係性と価値を提供することはアクセス、基地化、上空飛行、インテリジェンス、支援、作戦参加を通じて、敵対者に対する同盟国とパートナーの米国の競争的行動を支援する 2, 4, 6
理解、インテリジェンス、指揮(能力を収束する権限と実力(ability))と低コストから中コストの能力は米国の目標達成または続く行動の条件を設定するために敵対者やその代理者に対する競争的行動を可能にする。 1, 2, 4, 6, 7

表2. 間接的競争:米陸軍の能力と妨げる活動:Indirect Competition: Army Capabilities and Activities to Impede

黒太字はサブコンポーネンツ

赤太字は、最終的能力または活動を示す

能力と活動

米陸軍は以下によって敵対者の優位性を拒む

関連する成果

考えられる成果

持続的なプレゼンス(戦域コマンド、国別チーム、SOJTF、CATF、SFAB、前進基地部隊、同盟国やパートナーに対する米国の連絡官)、同盟国やパートナーとのインテリジェンス、情報共有(軍対軍関係、同盟国やパートナーへの価値提供、同盟やその他の協力体制)により、敵対者を理解し、作戦と米国の意思決定を強化することができる。 2 1. 競争での米国の目標の達成(戦略的)

2. 競争における将来の行動を好ましい条件を生成(作戦的・戦術的)

3. 米国政府のその他の要素の好ましい条件を生成(作戦的)

4. 他の行為主体の利益、コスト、リスクの計算を変え、米国にとってより有利な条件で競争が起こるようにする(戦略的)

5. 破壊に対して同盟国とパートナーが対抗できるようにし強化する(作戦的・戦術的)

6. 敵対者にコストを課す(戦略的・作戦的・戦術的)

7. 敵対者の競争の効果的な手段を削減する(作戦的・戦術的)

敵のアクセス、プレゼンス、影響力を制限、減少、または置換するために、同盟国やパートナーに対して優れた価値を持って協力する。 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7
能力開発(SFABs、CJSTOFs、国際的なPME、技術支援、対外有償軍事援助(FMS)と融資、訓練)、イネーブラ(ISR、対金融・対脅威、兵站、輸送)、作戦支援(SOF、SFAB、通常兵力による助言と支援、対反乱活動、対内防衛、サイバー防衛、敵の行動のアンマスク化)、民軍作戦(CATF,兵站、医療、輸送、施設支援)、省庁間協力(連絡官とフュージョン・セル、省庁間および合同計画策定、他の政府機関やNGOへの直接支援、当局)を通じて、同盟国やパートナーが破壊工作に抵抗し、それに耐えられるよう支援する。 2, 3, 4, 5, 6, 7
米国政府職員や市民、政府や民間のインフラ、その他の利益に対する武力紛争以下の敵対行為に対する脆弱性を削減に迅速に対応するための理解、インテリジェンス、同盟国やパートナーの支援(関係性、価値の提供)の準備省庁間の能力防護(計画策定、物理的セキュリティ、復元性(resilience)、サイバー防御)、作戦能力(アクセス、基地化、上空飛行、権限、同盟国・パートナー・省庁間、SOFおよびその他の即応部隊)を持つ。 2, 4, 6, 7
敵の挑発に対応する活動を調整し、同盟国やパートナーとの協力関係を深める 1, 6, 7

表3. 直接的競争:米陸軍の能力と促進する活動:Direct Competition: Army Capabilities and Activities to Advance

黒太字はサブコンポーネンツ

赤太字は、最終的能力または活動を示す

能力と活動

米陸軍は以下によって影響力(leverage)を獲得する

関連する成果

考えられる成果

表1「間接的な競争:促進する行動」に記載されている能力、活動、成果は直接的競争の場合にも適用される。 2, 3, 4 1. 「危機に勝つ」ことによって米国の目標を達成する(戦略的)

2. 武力紛争の場合に好ましい条件を生成(作戦的・戦術的)

3. 敵対者の影響力を削減させ、目標を達成するために危機的な瀬戸際政策による強制力を行使する可能性を低下させる。(戦略的)

4. 同盟国やパートナーを保証し、可能にすることで、危機の瀬戸際政策による強制に脆弱性を少なくする。(戦略的)

米国、同盟国、パートナーの能力をすべてのドメインから集約できる本部敵対者のA2/ADを打破する実力、近代化し残存性あるISR、近代化し即応性ある諸兵種連合編成、適切な階層で一体化されたSOJTFSOF、米陸軍と統合のサイバー能力、米陸軍と統合の宇宙能力、近接地域から後方地域の縦深にわたる敵対者のすべてのドメインへの攻撃に対する防護、復元性(resilience)ある後方支援、復元性(resilience)があり防護された通信とデータ・ネットワーク、作戦に一体化された適切な権限下の軍事的欺瞞、連合された情報作戦と現実的訓練と演習でほぼ対等な敵対者に対する紛争の規模とテンポで連合した統合全ドメイン作戦を遂行するための能力と能力容量を構築する。 2, 4
理解(表1)、日常的な関与(表1)、戦域軍同盟構造およびその他の指揮協定、前方基地部隊SOJTFSFAB同盟国およびパートナーが「プラグイン」できる連合統合全ドメイン作戦枠組みにより、対外有償軍事援助(FMS)や融資、技術支援訪問、相互運用性を促進する基準設定、相互運用性を築くための合同演習、同盟国およびパートナーに対するCTCのような訓練支援を通じて同盟国とパートナーの連合統合全ドメイン作戦を行う能力と能力容量の構築を図ることができるように繋げる。 2, 3, 4
敵対者の理解(表2)、インテリジェンス、連合統合全ドメイン作戦、情報作戦、サイバー能力、そして敵対者の行動と能力を暴露する実力は敵対者の弱点と感受性をターゲットにする実力(ability)を可能にする。 1, 2, 3, 4
環境、同盟国、パートナー、そして敵対者の理解、インテリジェンス、連合統合全ドメイン作戦、緊急戦力投射能力(計画策定、インフラ展開準備、輸送、米陸軍事前集積、高度即応部隊、展開演習)、アクセス、基地化、上空飛行協定、主要なアセットの全ドメイン防護前方配置部隊と敵対者のj句点と感受性をターゲットにする実力(ability米国の政策策定者に危機の解決と形成を示す選択肢を提供する。 1, 2, 4
連合統合全ドメイン作戦、同盟国とパートナーの統合全ドメイン作戦、緊急戦力投射能力(計画策定、インフラ展開準備、輸送、米陸軍事前集積、高度即応部隊、展開演習)、主要なアセットと編成の全ドメイン防護前方部隊は、武力紛争において、許容可能なコストで米国の目的を達成するための信頼できる実力(abilityを提供する。 1, 2
連合統合全ドメイン作戦能力、同盟国・パートナー国の統合全ドメイン作戦能力、持続的な戦力投射能力(輸送能力、復元性(resilience)ある配備・インフラの動員、現役・予備役の縦深性、防衛産業基盤、装備品・弾薬備蓄)により、米国が武力紛争で勝利するための持続的な力を発揮することができる。 1, 3, 4

表4. 直接的競争:米陸軍の能力と妨げる活動:Direct Competition: Army Capabilities and Activities to Impede

黒太字はサブコンポーネンツ

赤太字は、最終的能力または活動を示す

能力と活動

米陸軍は以下によって敵対者の影響力(leverage)を拒否する。

関連する成果

考えられる成果

表2「間接的な競争:妨げる行動」に記載されている能力、活動、成果は直接的競争の場合にも適用される。 2, 3, 4 1. 「危機に勝つ」ことによって米国の目標を達成する(戦略的)

2. 武力紛争の場合に好ましい条件を生成(作戦的・戦術的)

3. 敵対者の影響力を削減させ、目標を達成するために危機的な瀬戸際政策による強制力を行使する可能性を低下させる。(戦略的)

4. 同盟国やパートナーを保証し、可能にすることで、危機の瀬戸際政策による強制に脆弱性を少なくする。(戦略的)

敵対者の理解(表2)、主要なアセットの全ドメイン防護、復元性(resilience)ある指揮・統制(C2)、復元性(resilience)があり分散した後方支援と展開したノード、サプライ・チェーンのセキュリティ、対情報作戦、サイバー防護、対インテリジェンスと作戦保全、適切な権限下の軍事的欺瞞通常兵器と核兵器の戦場で闘う実力(abilityは、危機に瀕した敵対者に悪用される可能性のある重要な脆弱性をすべて軽減または排除する。 3
環境、同盟国、パートナー、敵対者の理解(表1,2)、同盟とパートナーの統合全ドメイン作戦能力、復元性(resilience)ある指揮・統制(C2(表3)、対情報作戦、サイバー防護は、危機に瀕した敵対者に悪用される可能性のある重要な同盟国、パートナーの脆弱性をすべて軽減または排除する。 3, 4
連合統合全ドメイン作戦(表3)同盟とパートナーの統合全ドメイン作戦能力(表3)、緊急戦力投射能力(計画策定、インフラ展開準備、輸送、米陸軍事前集積、高度即応部隊、展開演習)、アクセス、基地化、上空飛行協定、重要な脆弱性の緩和と排除、前方部隊敵対者の既成事実を打破する実力(abilityを提供する。 1, 2, 3, 4
連合統合全ドメイン作戦(表3)同盟とパートナーの統合全ドメイン作戦能力(表3)、持続的戦力投射能力(輸送能力、復元性(resilience)ある配備・インフラ動員、現役・予備役の縦深性、防衛産業基盤、サプライ・チェーンのセキュリティ、装備・弾薬備蓄)、非通常戦効果的な抵抗を遂行する同盟国とパートナー国の実力(ability)は全て敵対者にとっての武力紛争の潜在的なコストを高める 1, 3, 4
敵対者の理解(表2)と敵の脆弱性と感受性をターゲットにする実力(ability(表3)は軍事能力における敵対者の信用を削減する。 2

表5. ナラティブ上の競争:米陸軍の能力及び促進する活動と妨げる活動:Narrative Competition: Army Capabilities and Activities to Advance and Impede

能力と活動

米陸軍は以下によって米国の評判を強化する。

関連する成果

考えられる成果

メッセージは直接的競争と間接的競争における成功を生む。(表1-4) 1, 2, 3, 4, 5 1. 国家安全保障コミュニティに価値を提供することにより、友好国に影響を与える。(戦略的)

2. 同盟国やパートナーの国民や政策立案者に、米国とのパートナーシップの利点を示すことによって、機会を創出する。(戦略的)

3. 「国民間の競争」に好ましい条件を作り出す、ポジティブな国家的遺産に貢献する。(戦略的・作戦的・戦術的)

4. 米国の強さという知覚は、敵対国にとって認知的抑止力として機能する(戦略的)

5. 米陸軍の評判は、部隊レベルや兵士のレベルで敵対者に対する精神的な優位性をもたらす。(作戦的・戦術的)

現代のマルチドメイン能力を開発し装備化し、誇示する 2, 4, 5
大規模の統合全ドメイン作戦の遂行する能力を誇示する。(表3) 2, 4, 5
同盟国とパートナーに安全保障部隊支援、安定化、民軍作戦、人道支援、災害救助を通じて価値を提供する。 1, 2, 3
武力紛争法を遵守し、国家の価値観や理想に合致した活動を行う。 2, 3
他の政府部門とのメッセージングを調整し、その取り組みを支援する。 1, 3

能力と活動

米陸軍は以下によって敵対者の評判を落とす

関連する成果

敵対者による悪意ある行動、国際的規範の違反、その他の有害な行動を強調する 1, 2, 4

付録B:競争に関する参照文献:Appendix B: Select References on Competition(欠落)

ノート

[1] For instance, see Michael J. Mazarr, et al., Understanding the Emerging Era of International Competition: Theoretical and Historical Perspectives, Santa Monica, CA; (RAND, 2018), 2; Ali Wyne, “Is Great Power Competition a Strategy,” interview by John Amble, MWI Podcast, 24 June 2020.

[2] 統合参謀「競争の連続体」(Joint Doctrine Note 1-19 (2019). 混乱を招く要因の一つは、一般的な用法で競争が3つの異なる意味のいずれかを持つことができることである。それぞれが有効な使用法であるため、3つとも存続している。

1) 政策的狙いを達成するために、あらゆる力の手段(外交、情報、軍事、経済)と武力紛争を含むあらゆる方法を用いる可能性のある国家間競争。統合ドクトリンでは、これを競争の連続体と呼んでいる。本論文では、大国間競争とも呼ぶ。

2) 武力紛争の外で特に行われる競争的活動で、通常、武力紛争の閾値以下にとどまることを意図して行われる。統合ドクトリンでは、これは武力紛争以下の競争である(競争の連続体のサブセット)。

3) 武力紛争以外の期間としての競争。これは米陸軍作戦コンセプト「マルチドメイン作戦における米陸軍」(2028年)および本書に見られる意味である(特に断りのない限り)。この期間には、武力紛争に備えるための活動と、武力紛争下での競争の両方が含まれる。

[3] 「影響力(leverage)」とは、協力、武力紛争以下の競争、武力紛争の脅威または武力紛争の採用を通じて、政策的目標を達成する実力(ability)のことである。これは、JP5-0「計画策定」で定義されている計画におけるテコの定義(definition of leverage)「戦闘力および/またはその他の状況において、敵または敵対者に対して、その優位性を利用するのに十分な、作戦環境内の変数またはそれに影響を与える変数における相対的優位性」とは異なる。

[4] 優位性(advantage)とは、武力紛争以下の協力と競争の採用により、政策目標を達成する能力である。