「FM 3-0 Operations」(2022年版)【第4章 武力紛争以下の競争間の作戦】

「FM 3-0 Operations」(2022年版)【第3章 作戦の根本的事項】に続いて、【第4章 武力紛争以下の競争間の作戦】を紹介する。

「はじめに:Introduction」によると、「第4章では、武力紛争の条件を整え、敵対者の悪意ある行動に対抗するために、陸軍部隊(Army forces)が競争間にどのように作戦するかについて説明する。」とある。

下の図のような、いわゆる平和時から紛争・戦争へと移行する「作戦のフェージング・モデル」で戦争への備えについて思考してきたものには、なかなか馴染めないものであろう。

陸上戦力の不要論を唱える論者には、上記の「競争」~「危機」~「武力紛争」の3つの状態がそれぞれに移行していく「競争の連続体(competition continuum)」での陸上戦力の果たす役割を理解して欲しいところである。

防衛省・自衛隊のサイトにある「能力構築支援事業」についても、「FM 3-0 Operations」(2022年版)の第4章の中にその意義づけを理解することができると考える。(軍治)

第4章 武力紛争以下の競争間の作戦:Chapter 4 Operations During competition Below Armed Conflict

競争間の作戦の概要:OVERVIEW OF OPERATIONS DURING COMPETITION

競争間の敵対者の手法:ADVERSARY METHODS DURING COMPETITION

大規模戦闘作戦のための準備:PREPARATION FOR LARGE-SCALE COMBAT OPERATIONS

競争間の相対的優位性:RELATIVE ADVANTAGES DURING COMPETITION

省庁間調整:INTERAGENCY COORDINATION

競争の活動:COMPETITION ACTIVITIES

競争間の米陸軍各部隊階層の役割:ROLES OF ARMY ECHELONS DURING COMPETITION

競争間の獲得した成果を集約・強化すること:CONSOLIDATING GAINS DURING COMPETITION

危機と武力紛争への移行:TRANSITION TO CRISIS AND ARMED CONFLICT

第4章 武力紛争以下の競争間の作戦:Chapter 4 Operations During competition Below Armed Conflict

すべての歴史の中で、平和を維持し、戦争をしないために連合軍の本部が平和に設立されたのはこれが初めてである。

ドワイトD.アイゼンハワー(Dwight D. Eisenhower)米陸軍大将の「北大西洋条約機構(NATO)の設立について」

本章ではまず、陸軍が統合部隊(joint force)の一員として武力紛争の閾値以下の競争にどのように寄与しているか、その概要を説明する。敵対者(adversaries)が採用する手法と、陸軍部隊(Army forces)が戦闘軍戦役計画(combatant command campaign plans)を支援し、統一された行動パートナーとの大規模戦闘作戦を準備することによって、敵対者(adversary)の活動に対抗する方法について説明する。本章の最後では、陸軍部隊(Army forces)がいかにして獲得した成果を集約・強化し、危機や武力紛争に移行し、統合戦役の支柱となるかを論じている。

競争間の作戦の概要:OVERVIEW OF OPERATIONS DURING COMPETITION

4-1. 武力紛争以下の競争は、敵対者(adversary)の国益が米国の国益と相容れず、その敵対者(adversary)が公然の武力紛争によらず積極的にそれを追求しようとする場合に生じる。どちらの側も、少なくとも当初は、到達目標を達成するための主要な手段として軍事力の行使を望まないが、敵対者(adversary)はその狙いを達成するために、実際の武力紛争の閾値以下では、軍事力を含む国力手段を用いる意志がある。その結果、両者の間に緊張が生じ、一方が現状に異議を唱えると、暴力的にエスカレートする可能性がある。

4-2. 競争間の作戦は、悪意のある敵対者(malign adversary)の行動を抑止し、抑止が失敗した場合に有利な条件で武力紛争の条件を設定し、米国の戦略的利益と政策的狙いを支援する方法で同盟国やパートナーとの作戦環境を形成することを意図している。戦域軍は、敵対者(adversaries)を抑止し国家目標を達成するための作戦を実施する戦闘軍指揮官(CCDR)を支援する。その作戦は、戦闘軍戦役計画(combatant command campaign plans)の一部として、武力紛争のない広い地域で時間をかけて実施される。これには、協力的な訓練(cooperative training)、現地機関への支援(support to local institutions)、建設プロジェクト(construction projects)、その他さまざまな活動が含まれる。多くの場合、永続的な関与が必要である。特に、敵対者(adversaries)は長期にわたって戦略目標を追求する傾向があり、米国や多くの同盟国・パートナーに見られる短い政治・戦略サイクルにはそぐわないからである。

4-3. 陸軍部隊(Army forces)は、大規模戦闘作戦を含む武力紛争に備えることで、競争間の従来型の抑止に貢献する。これには、同盟国やパートナーの軍事能力や軍事の能力容量を向上させるための支援も含まれる。戦闘作戦に備え、同盟国やパートナーとの米統合部隊(U.S. joint force)の相互運用性を示すことは、敵対者(adversaries)に最も強力な抑止力を示すことになる。戦闘作戦を行う意志と能力を伝える意図的なメッセージは、地上での物理的行動の抑止効果を増幅させることができる。相互運用性は、陸軍部隊(Army forces)の能力と能力容量と相まって、相互の利益を守るための統一されたアプローチを強化する。前方に駐留する少数の米陸軍部隊(U.S. Army forces)であっても、同盟国やパートナーと共に行動する場合、打ち破ることは困難である。大規模戦闘作戦に対応できる部隊は、国力の他の手段の効力と一体化に貢献し、戦闘軍指揮官(CCDR)に段階的な対応能力を提供し、陸軍が武力衝突ではなく競争を通じて国家戦略目標の達成を支援することを可能にする。

競争間の敵対者の手法:ADVERSARY METHODS DURING COMPETITION

4-4. 競争間の作戦を効果的に計画、準備、実行、評価するには、戦略的環境と敵対者(adversary)の一般的な手法と目標を幅広く理解することが必要である。敵対者(adversaries)は、競争間に米国の目標達成を妨げ、自国の利益を増進するために、さまざまな技法を用いる。前方に配置された陸軍部隊(Army forces)は、こうした敵対者(adversary)の活動を探知し評価することができるかもしれない。敵対者(adversary)の手法を理解し、効果的に対抗することで、陸軍部隊(Army forces)は統合部隊(joint force)と省庁間パートナーの目標達成を支援することができる。

戦略的到達目標を達成するための活動:ACTIVITIES TO ACHIEVE STRATEGIC GOALS

4-5. 敵対者(adversaries)は、米国と直接軍事的に対立することなく戦略的利益を追求するために、国力のあらゆる手段を複合的に用いる。たとえば、ロシアは「新型戦争」(「ロシア新世代戦争」とも呼ばれる)と呼ばれるアプローチで国力の要素を適用している。このアプローチにより、ロシアは武力紛争のレベルではなく、限られた軍事力の行使で戦略的到達目標の多くを達成することができる。外交、情報、経済の手段による強制がうまくいかない場合、ロシアは必要に応じて従来型の軍事力と代理人部隊(proxy forces)を用いる用意がある。中国もまた、国力の諸手段を包括的に活用することに依存している。ロシアと同様、中国も戦略目標の多くを非軍事的な国力手段で達成しようとし、軍事力はあからさまな軍事行動以外の方法で、現地で確立した事実を補強する支援的な役割にとどめようとしている。

4-6. 国力のあらゆる手段を用いることで、敵対者(adversary)は、米軍部隊よりも優位性を提供する非軍事的・軍事的活動の範囲を通じて、自国の利益を増進することができる。非軍事活動の例としては、ロシアや中国が地域の影響力を拡大する方法として、近隣諸国と安全保障協力協定を締結する外交取組みを行っていることが挙げられる。もう一つの例は、中国が「一帯一路構想(Belt and Road Initiative)」の一環として、経済的影響力を拡大するためにインフラストラクチャー・プロジェクトを利用していることである。いずれの例でも、敵対者(adversaries)は主に非軍事的な手段を用いて戦略的目標を達成する一方で、米国の影響力を弱め、米国と同じ地域内の他の国々との政治的・軍事的パートナーシップを損なっている。

4-7. 敵対者(adversaries)は、海外での自国の利益を守り、地域の安定を維持し、地域的・世界的に影響力を行使する軍事活動を通じて、より攻撃的な選択肢を追求することができる。これらの活動には、グローバル・コモンズの特定の地域への接近を統制または削減すること、他国が確立した国境に挑戦すること、あるいは近隣諸国の決心に影響を与えるために力の脅威(threat of force)を用いることが含まれる場合がある。敵対者(adversaries)は、従来型の軍事部隊を用いてあからさまに、あるいは代理人部隊(proxy forces)、非通常戦、情報戦の組み合わせにより、これらの活動を追求することができる。

4-8. 代理人部隊(proxy forces)は一般に、それぞれの国家主体に連携する非国家主体であり、国家主体の戦略目標を代弁して、あるいはそれに沿って活動を行う。代理人(proxies)の例としては、準軍事組織、犯罪組織、民間の市民組織、民間企業、特別利益団体、宗教団体などがある。代理人部隊(proxy forces)の利用などの隠された手法(covert methods)は、敵対者(adversaries)に戦略的目標達成のためのもっともらしい否認権やコスト削減をもたらす。

米国の対応に対抗するための活動:ACTIVITIES TO COUNTER A UNITED STATES RESPONSE

4-9. 敵対者(adversaries)は米国の関与なしに自国の利益を高め、到達目標を達成することを望むが、米軍の対応に対抗する準備も整えておく。そのために、敵対者(adversary)は次のような方法で、米国が地域に戦力を投射する能力を阻止または制約し、米国の対応選択肢を制限しようとすることがある。

・ 敵対者(adversary)の行動を正当化し、米国を侵略者(aggressor)と見なすような情報の取得、伝達、提示を操作する情報戦の活動を行う。

・ 非致死性手段により、関係を損ない、政治的利害を高め、世論を操作し、基地化の権利、上空飛行ルート、後方支援、同盟国の協調行動を制約または排除する決意を失わせる阻止活動(preclusion activities)を実施する。

・ 米国の作戦上の必要性を高めるために、重要な地域や関係する行為主体間で不安定さを助長することによって、米国を同盟国やパートナーから孤立させること。

・ 国際法や条約協定による米軍やパートナー軍からの聖域の創出、国境を越えたパートナー軍の監視・攻撃、代理人部隊(proxy forces)の活用など。

・ 重要な戦力投射・後方支援インフラ・ノードに対するサイバースペース攻撃を実行し、米国の戦力展開能力を遅延または妨害することにより、システム戦を遂行する。システム戦のアプローチには、国内インフラへの無属性攻撃や、孤立(isolation)と阻止(preclusion)の取組みを支援するネットワーク化された軍事能力の採用が含まれる。

米国の地域への接近を阻止するための活動:ACTIVITIES TO PRECLUDE UNITED STATES ACCESS TO A REGION

4-10. 敵対者(adversaries)は、通常、国境に近い場所で、地域に対する米国の接近を制限または阻止する条件を確立しようとする。これには、レイヤー化し一体化した防空、早期警戒監視レーダー、ロケット砲、電子戦能力、および対宇宙能力の前方配置が含まれる。さらに、敵対者(adversaries)は中距離弾道ミサイル、巡航ミサイル、固定翼航空機、無人航空機システム、海軍の地上・水中戦力を配置して、自国に有利な作戦環境を形成しようとすることもある。接近阻止(A2)戦略を支援するシステムを配置することで、敵対者(adversaries)に敵対行為発生時に米国の地域への接近を拒否または妨害することができ、同時に武力行使の可能性を持つ友好的パートナー国に対して影響力を与えることができるようになる。さらに、通常弾と核弾頭を運搬できるシステムの配置は、米国にとってさらなる課題となる。敵対者(adversary)が強固な接近阻止(A2)システムを構築、維持、実証する能力は、国内のナラティブ(narratives)を強化する一方で、パートナー国の信頼と信用を損ねることになる。

4-11. 友軍部隊は、敵対者(adversary)が利用できるあらゆる手段、特に宇宙とサイバースペースで利用できるため、常に監視下に置かれていることを想定しなければならない。敵対者(adversaries)は、接近阻止(A2)や領域拒否(AD)アプローチを支援する前方配置能力に加えて、紛争地域内の米軍部隊の配置、即応性、活動の把握を求めている。敵対者(adversary)の活動には、弾道ミサイルや長距離火力の潜在的ターゲットを特定するための、米軍施設、部隊の動き、乗降港、中継地の偵察が含まれる。敵対者(adversaries)は、サイバースペース・ツールを使用して友軍ネットワークの偵察を行い、利用する可能性のある脆弱性を特定する。敵対者(adversary)は、空と海のドメインで探査行動を行い、米軍部隊や他の友軍部隊の反応を試すことがある。これらの活動を通じて得たインテリジェンスは、状況が武力紛争に拡大した場合に、敵対者(adversary)に敵対行為への準備をさせる。(具体的な脅威の能力と採用戦略に関する詳細な議論については、ATP 7-100シリーズを参照のこと。敵対者(adversaries)が紛争初期にどのように接近阻止(A2)や領域拒否(AD)能力を使用する可能性が高いか、その具体例については第6章と第7章を参照)。

大規模戦闘作戦のための準備:PREPARATION FOR LARGE-SCALE COMBAT OPERATIONS

4-12. 武力紛争中に信頼できる作戦を実行できない陸軍部隊(Army forces)は、敵対者(adversaries)を抑止することも、同盟国や他の統一された行動パートナーに保証を与えることもできない。したがって、大規模戦闘作戦の準備は、競争間の陸軍通常戦力の主要な焦点である。武力紛争にはさまざまな形態があるが、国家主体間の大規模戦闘は最も複雑で致死性の形態であり、それに備えるには複数の取組み目標(lines of effort)に沿った多大な焦点が必要とされる。武力紛争に備えるために陸軍部隊(Army forces)が実施する活動には、以下のようなものがある。

・ 戦域を設定する。

・ 同盟国・パートナーの能力と能力容量の構築

・ 統合および多国籍の相互運用性の向上

・ 前方駐留部隊(forward-stationed forces)の防護

・ 作戦計画(OPLANs)の移行と実行の準備。

・ 特定戦域における作戦のためのリーダーの訓練・育成。

戦域の設定:SET THE THEATER

4-13. 戦域の設定(Setting the theaterとは、戦域での作戦遂行を成功させるための条件を整えるために継続的に行われる広範な活動のことである。戦域設定に終わりはない。戦域設定は、友軍部隊に有利な形で作戦環境を強化するために行われ、競争間、危機の間、武力紛争の間に行われる。戦域の設定は各戦略的文脈において行われるが、最も時間があるのは競争間であるため、その重要性は最も高い。陸軍部隊(Army forces)は、時間が侵略者(aggressor)に有利となる危機や紛争時に迅速な移行を可能にするため、競争間に戦域を設定しなければならない。陸軍部隊(Army forces)は、軍事的関与(military engagements)、安全保障協力(security cooperation)、およびその他の活動を用いて、戦域内の現状を評価・理解し、統合部隊(joint force)やその他の統一された行動パートナーを可能にするために、特定の戦域設定活動を実行する。

4-14. 戦域の設定には、統一された行動パートナーや二国間・多国間の外交協定による包括的なアプローチが必要であり、米軍部隊が将来の作戦を支援するために責任地域(area of responsibility :AOR)の港、ターミナル、飛行場、基地にアクセスできるようにする必要がある。これには、戦域の開放、「受け入れ、ステージング、前方移動、一体化(reception, staging, onward movement, and integration :RSOI)」、ネットワークの確立、ルートの分類、および責任地域(AOR)での作戦の条件を設定するその他の作戦活動が含まれるが、これらに限定されない。情報活動は、戦域を設定する上で重要な役割を担っている。意志決定を可能にし、友軍の情報を防護し、国内外の聴衆に情報を提供し、外国の聴衆に影響を与えるとともに、敵対者(adversary)の情報戦への対抗を支援する。

4-15. 戦域の設定は、すべての参謀部門と用兵機能(warfighting functions)にとって継続的な活動である。この活動には、責任地域(AOR)全域における米国の国益に対する既知または潜在的な脅威に対抗するための条件設定に焦点を当てた、重要な後方支援、航空・ミサイル防御(AMD)、工兵活動、情報収集、インテリジェンス、および通信が含まれる。参謀本部と指揮を構成するすべての用兵機能(warfighting functions)、機能分野、および兵科は、それぞれの専門分野の中で戦域を設定するための固有の考慮事項に対処するため、作戦環境の準備を行う(たとえば、環境の民事準備や作戦環境の統合インテリジェンス準備など)。(紛争時の戦域設定に関する陸上構成部隊の役割と責任の詳細については、JP 3-31とJP 3-35を参照されたい。戦域設定に関連する陸軍の下位タスクと活動に関する追加情報は、ATP 3-93とFM 4-0を参照すること。戦域軍特有の考慮事項については本書第4-61項および第4-62項を、海洋環境下での戦域設定に関する考慮事項については第7章を参照されたい)。

同盟とパートナーの能力と能力容量の構築:BUILD ALLIED AND PARTNER CAPABILITIES AND CAPACITY

4-16. 陸軍部隊(Army forces)は統合部隊と多国籍部隊の一部として闘う。米国は、条約加盟国、パートナー国、その他の統一された行動パートナーの協力なしには、その安全保障上の利益を達成することはできない。パートナー国の国家安全保障制度の構築、再建、維持を支援することは、地域の安定を維持するための重要なステップであり、最終的には米軍部隊にそれを要求するよりも低コストである。さらに、パートナー国の安全保障機構を維持することで、陸軍は敵対者部隊(adversary forces)を抑止したり、敵対者部隊(adversary forces)が武力紛争を通じて到達目標を追求することを選んだ場合に対抗したりする可能性のある集合した部隊(aggregate force)を増強することができる。前線に駐留する米陸軍部隊(U.S. Army forces)は、それ自体では一般に、対等な敵対者(peer adversaries)に対して有利な戦闘力比を享受することはできない。武力紛争時に作戦を遂行できる部隊の大部分は、同盟国やその他のパートナーによって提供される。この共同部隊(combined force)は、パートナー国と米国の双方にとって抑止力を高める。(陸軍部隊(Army forces)が同盟国やパートナー国の能力構築をどのように支援するかについての詳細は、第4-39項から第4-52項を参照されたい)。

4-17. パートナーとの共同訓練(combined training)や共同演習(combined exercises)は、同盟国やパートナーの能力を構築し、作戦環境を形成する上で重要な役割を果たす。このようなイベントは、友軍の能力、相互運用性、そして意志を示す最もあからさまで目に見える手段である。演習はまた、戦域の設定にも役立つ。高いレベルの戦闘即応性(combat readiness)を維持する多国籍部隊は、パートナーを信頼させ、敵対者(adversaries)を抑止するために不可欠な信頼性を提供する。

共同演習(combined exercises)は、同盟国やその他の多国籍パートナーとの関係や相互尊重を築き、パートナーの能力を効果的に活用するためのシステムやプロセスを確認し、改善すべき不足部分を明らかにする。訓練は、戦術部隊から大規模な共同任務部隊(combined task forces)まで、あらゆる指揮の階層で行われる。このような訓練で得た教訓を生かすことが、競争間の多国間相互運用性を向上させる鍵となる。大規模戦闘作戦の準備に失敗した例として、1941年のフィリピンでの出来事がある。

戦争準備の失敗:フィリピン、1941年

1941年の夏、米陸軍部隊( United States Army forces)は日本との武力衝突の可能性に備えるための措置をとった。陸軍省は極東米陸軍(USAFFE)を創設し、ダグラス・マッカーサー将軍を現役に呼び戻し、将軍職たる部隊指揮官( commanding general)として勤務させることにした。陸軍省は、マッカーサー元帥の防勢計画を支援するため、太平洋作戦地域内の装備と増援を極東米陸軍(USAFFE)に優先的に提供した。

1941 年 12 月までに、極東米陸軍(USAFFE)は大きな前進を遂げたが、武力紛争に効果的に備えるには十分で はなかった。日本軍がハワイの真珠湾を攻撃してから10時間後の1941年12月8日にフィリピンを攻撃したとき、極東米陸軍(USAFFE)は人員、物資、装備の不足に陥っていた。暫定的な戦車部隊を除けば、ほとんどの部隊は装備が不十分で、旧式の武器や車両を所有していた。

比軍は、その即応性( readiness)も極東米陸軍(USAFFE)の責任であったが、米軍部隊よりさらに準備不足であった。近代的な武器も、効果的な兵站システムも、訓練も不足していた。陸軍省と極東米陸軍(USAFFE)は、コレヒドール島とバターン半島にあらかじめ置かれた物資を、列島全域に駐留する米軍と比軍の部隊に配給することによって、これらの欠点を補おうとした。

極東空軍も同様に準備不足であった。早期警戒システムも対空砲もない。また、飛行場の生存率向上も計画されていなかったため、航空機は飛行場や駐機場に放置されたままであった。その結果、極東空軍は開戦初日までに保有航空機の半分以上を失い、そのほとんどが地上で破壊された。

米軍と比軍は半年近くにわたって激しい抵抗を続けたが、日本は最終的にバターン半島とコレヒドール島の守備隊を海・空軍で孤立させた。友軍の航空・海軍の支援がないため、米比軍は増援を受けることも、補給を受けることも、避難を行うこともできなかった。その結果、バターン半島の米比軍は1942年4月に日本軍の手に落ち、コレヒドール島とその周辺の島々の残存軍は1942年5月に降伏した。

相互運用性:INTEROPERABILITY

4-18. 陸軍部隊(Army forces)が統合部隊(joint force)、同盟国、パートナー国を一体化して闘う能力は、戦闘力を最大化し、戦場に抑止力を生み出すために不可欠である。相互運用性(Interoperabilityとは、戦術・作戦・戦略の目標を達成するために、首尾一貫して、効果的かつ効率的に行動する能力のことである(JP 3-0)。統合のパートナーや多国籍のパートナーとの相互運用が可能な陸軍部隊は、そうでない部隊に比べ、実質的に能力が高い。統一された行動パートナーとの相互運用性は、効果的な作戦に不可欠である。相互運用性の基準や手続きは、競争間に訓練、テスト、改良されなければならない。危機や武力紛争が始まってから相互運用性を求めるのでは遅すぎる。

4-19. 相互運用性は、多国籍部隊全体の部隊階層間の相互理解から始まる。効果的な相互運用性には、技術的な課題を理解しギャップを埋める方法を開発すること、多国籍部隊の各メンバーの戦術的能力を理解すること、パートナーを統一的な作戦アプローチに一体化すること、が含まれる。競争間は、戦域軍または委任された司令部が、これを可能にするインフラを構築する責任を負う。コミュニケーションは主に、連絡チーム、参謀プロセスの理解、およびパートナー国の指揮・統制(C2)システムへの適切なアクセスの確保(国の注意事項の範囲内で)により達成される。NATOのドクトリン、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド(通称ABCANZ)軍のプログラム相互運用性基準、(韓国内の)連合軍司令部(Combined Forces Command)のプロセスなど、相互運用性の基盤となる要求を理解することは、同盟軍とのコミュニケーションと相互運用に欠かせない。危機や紛争時に必要な相互運用性を構築するためには、これらの要求と基準を、すべての部隊階層における日常の訓練と演習の計画策定に組み込むことが不可欠である。(多国間作戦と相互運用性についての詳細は、FM 3-16を参照)。

前方駐留部隊の防護:PROTECT FORWARD-STATIONED FORCES

4-20. 対等な脅威(peer threats)は、偵察・監視、火力、特殊作戦部隊、および前方駐留陸軍部隊(Army forces)を射程に収め、危険にさらすことができる他の能力を持っている。抑止力が保証されないという前提で、前方の陸軍部隊(Army forces)を防護することは不可欠である。陸軍部隊(Army forces)は、陸軍および陸軍が防護する統合部隊(joint force)やパートナー軍の部隊が、早期警戒をほとんど行わずに初期攻撃に耐えられるように、手順を実施し、必要な活動を行う。これには、何が友軍部隊を危険にさらすのか、脅威はどのように攻撃してくるのかを理解した上で、あらゆるドメインからの脅威の攻撃に備えることが含まれる。敵対者(adversary)は陸上以外のドメインから、地上の状況を整えるため、または友軍の選択肢を制限するためにデザインされたエスカレーション手段として、攻撃を仕掛けてくる可能性がある。従って、陸軍部隊(Army forces)による準備には、計画策定や統合部隊(joint force)の他の要素との一体化も含まれる。武力紛争中に友軍部隊を防護し、支援が得られるまで持ちこたえることができる陸軍能力と統合能力の連携は、抑止力を確立する上で極めて重要である。

4-21. 陸軍部隊(Army forces)が敵対者(adversary)の初期攻撃に耐える能力を示すことは、敵対者(adversaries)に対する一体化した抑止効果を高め、敵対者(adversaries)のエスカレーションを思いとどまらせることができる。ホスト国の能力は、部隊防護(force protection)と前方防御の重要な部分を構成する可能性があるため、戦域防護の取組みに一体化される必要がある。敵対者(adversary)が武力紛争にエスカレートした場合に、適切に防護したり、迅速に再配置したりすることができない前方展開部隊は、より防御力の高い場所に移動させる必要がある。

移行の準備と作戦計画の実行:PREPARE TO TRANSITION AND EXECUTE OPERATION PLANS

4-22. 陸軍部隊(Army forces)の各部隊階層は、支援することが予想される、または支援する可能性が高い作戦計画(OPLAN)を実行するために準備する。その基礎となるのは、積極的かつ継続的な情報収集とインテリジェンス分析である。戦域軍や軍団のような上位部隊階層は、武力紛争の初期段階において、初期のターゲットおよびそのターゲットを攻撃するために必要な陸軍および統合能力を特定する。また、兆候や警告がほとんどない状態で始まった紛争の初期段階において、部下部隊の即時行動を指導する一般防衛計画が必要であるかどうか、あるいは慎重であるかどうかも検討される。

4-23. 作戦計画(OPLAN)を実行するための準備は、すべての部隊階層とパートナーに及ばなければならない。下位戦術的部隊階層は、支援または実行する作戦計画(OPLAN)の部分に関連した戦術的タスクを訓練する。部隊は展開リハーサルと緊急展開準備演習を行い、応答時間を改善し、計画を検証する。統一された行動パートナーとのリハーサルは、相互理解を深め、相互運用性を向上させる。部隊は、すべての後方連絡線(lines of communications)、インフラ、接近経路、集結地、潜在的な火点または会戦地点の徹底的な偵察を実施する。リーダーと兵士は、交戦や会戦が行われる可能性のある実際の地形を歩き、可能な限り、この地形をリハーサルに使用すること。作戦計画(OPLAN)、地形、敵対者(adversaries)の理解を最下の戦術的部隊階層まで共有することで、武力紛争への移行を効果的に行うことができる。

リーダーの訓練と育成:TRAIN AND DEVELOP LEADERS

4-24. リーダーは、特定の戦闘軍(combatant command)責任地域(AOR)での作戦のために、自分自身、部下、および組織を準備する。特定の地域での専門性を高める場合、部隊は適用される作戦計画(OPLANs)に精通し、適宜、戦域軍、軍事インテリジェンス旅団-戦域(military intelligence brigade-theater :MIB-T)、および他の戦域軍所属の部隊と連携する。この地域別即応性は、部隊全体で行われる継続的な訓練とリーダー育成活動を補強する。(作戦中のリーダーの役割については、第8章を参照)。

競争間の相対的優位性:RELATIVE ADVANTAGES DURING COMPETITION

4-25. 陸軍部隊(Army forces)は競争間において、戦域戦略、作戦、および戦術の各レベルで相対的優位性を追求する。相対的優位性とは、陸軍部隊(Army forces)が特定の敵対者(adversary)との関係で統合部隊指揮官(joint force commander :JFC)に提供する優位性であり、常に文脈的である。敵対者(adversaries)を抑止し、米国の国益を促進するために統合部隊(joint force)を支援し、危機や武力紛争時に作戦を実施するための条件を整えるために必要である。これらの優位性は、統一された行動パートナーの活動を補強し、戦闘軍戦役(combatant command campaign)の開発間に特定された軍種固有の問題に対処する。これらの優位性を特定し、達成し、維持することは、陸軍が危機や武力紛争時に戦闘力を効果的に活用するのに役立つ。相対的優位性は一時的である。敵対者(adversaries)は、ひとたび優位性(特に技術的優位性)が生まれたり採用されたりすると、すぐに対抗策に適応し、その有効性を低下させたり排除しようとする。

4-26. 敵対者(adversary)に対する優位性を理解するには、敵対者(adversary)の能力と意志、味方の能力と意志、そして戦域内の作戦環境を理解することが必要である。さらに、物理的、人的、情報的要因が特定の文脈下で互いにどのように影響しあうかなど、作戦環境における各次元の相互関連的な影響を理解することも必要である。ある次元の変化は、しばしば他の2つの次元や、複数の物理的ドメインに影響を及ぼす。

競争間の物理的優位性:PHYSICAL ADVANTAGES DURING COMPETITION

4-27. 作戦のテンポが速いことが予想されるため、戦闘軍指揮官(CCDR)に信頼できる抑止力を提供し、敵対者(adversary)の行動に必要に応じて対応できるよう、適切な能力で構成された十分な数の陸軍部隊(Army forces)を前方駐留させなければならない。物理的優位性には、戦闘力と戦力の相関関係、すなわち、効果を発揮する能力、優れた射程距離、優れた能力を適切な場所と時間に集中させる能力が含まれる。競争間に物理的優位性を生み出す活動の例としては、以下のようなものがある。

・ 同盟国と協力し、作戦計画(OPLAN)の一体化と相互運用性を向上させるため、戦域に合わせた部隊の展開演習を実施する。

・ 前方工兵支援チームと集結地の候補地を調査し、適切に分散した陸軍編成を収容するのに十分な広さがあるかどうかを判断する。

・ 敵対者(adversary)の潜在的な可能行動に対応するため、攻撃に対する施設の強化と訓練のリハーサルを行う。

・ 危機や武力紛争時に部隊の展開を加速するため、重要な物資や装備の在庫(陸軍事前配置在庫(Army pre-positioned stocks :APS))を懸念地域内またはその近くに維持する。

競争間の情報的優位性:INFORMATION ADVANTAGES DURING COMPETITION

4-28. 情報活動は、競争間に重要な役割を果たす。これには、戦闘軍(combatant command)と統一された行動パートナーの戦略的メッセージに対する陸軍の支援が含まれる。省庁間および他の統一行動パートナーとの調整は、敵対者(adversary)の偽情報に対抗する首尾一貫したメッセージの作成と伝達を支援する。陸軍部隊(Army forces)は、作戦に対する米陸軍の即応性を維持・実証することにより、戦略的メッセージを強化する。相対的な情報的優位性の例は以下のとおりである。

・ 脅威の能力に関するターゲットを特定し、ターゲット開発を行う。

・ 敵対者(adversary)のコンピュータ・ネットワークに侵入する方法を開発し、収束のための条件を設定する。

・ 陸軍情報活動および統合情報活動を通じて統合部隊指揮官(JFC)が国内外の聴衆に情報を提供するのを支援し、敵対者(adversary)の偽情報を信用させ る。

・ 多国間演習や訓練イベントの目的と成果を促進する。

・ 敵対者(adversary)の手法やナラティブ(narratives)の変化を検出するため、作戦環境を継続的に監視する。

競争間の人的優位性:HUMAN ADVANTAGES DURING COMPETITION

4-29. 米陸軍の組織的な縦深と専門性は、陸軍部隊(Army forces)がすべての階級と部隊階層を超えて交流することで、パートナーの治安部隊の士気と意志に貢献する。陸軍の編隊は、相互の軍事訓練の到達目標の達成を促進するため、特定地域のゲストとして法の支配の下で活動する専門部隊として機能する。これは、他の国や集団から金銭的、情報的に獲得したものを含む譲歩を引き出そうとする敵対者(adversaries)に対して、強力な優位性となり得る。この信頼の絆は米国の同盟システムの基盤を形成し、米国とそのパートナーの安全保障を確保するための主要な手段である。人的優位性を実現するための活動の例としては、以下のようなものがある。

・ 戦闘訓練センターにおける多国間演習での米軍およびパートナー国軍の訓練。

・ 同盟国や他の統一された行動パートナーとの日常的な交流により、合意された標準を通じて人的、技術的、手続的な相互運用性を構築・維持する。

・ 米軍専門教育プログラムへの外国人将校の受け入れ、および国際軍事学校への米軍将校の派遣。

・ 戦域連携顧問チームによる持続的なプレゼンスにより、長期的に関係を構築し、相互運用性を促進する。

省庁間調整:INTERAGENCY COORDINATION

4-30. 軍事的関与(military engagements)、安全保障協力、および抑止活動には、通常、軍事部隊と軍事能力の組み合わせが必要だが、省庁間参加者の取組みと一体化されている。これらの活動は、外交使節団長(diplomatic chiefs of missions)と国別チームによって調整される。その役割と関係を理解することが極めて重要である。国務省(Department of State)は、国力の外交手段を担当する。使節団長(chiefs of missions)は、担当する国で発生するすべての米軍活動の最終承認機関であり、競争間の計画された活動の遂行を修正する権限を持っている。(国別計画の詳細についてはJP 5-0を参照)。

4-31. 競争間に発生する活動は、国力の軍事手段が他の国力の手段を支援し、それに従属する幅広い行動を包含している。海外での競争は、一般に、国際機関(例えば国連)および他国の政府機関と協力して、相互の国家安全保障上の利益を防護・強化し、紛争を抑止し、将来の不測事態対処作戦(contingency operations)のための条件を設定することを必要とする。

米国の外交使節:UNITED STATES DIPLOMATIC MISSION

4-32. 米国の外交使節(diplomatic missions)には、その国に物理的に駐在する米国のすべての省庁の代表が含まれる。主席公使(chiefs of missions)は、外交使節(diplomatic missions)を担当する主要な将校である。大使が務めることも多いが、そうでない場合もある。彼らは、ホスト国との間で行われるすべての米国政府プログラムおよび交流を監督する。首席公使は大統領の個人的な代理人であり、国務長官を通して報告し、国内でのすべての活動が米国の国益と地域的・国際的な目標に資するようにする。

4-33. 米国は国によって異なるタイプの外交使節団(diplomatic missions)を維持している。領事館しかない国もあれば、大使館しかない国も多く、大使館と複数の領事館がある国もある。一般に、安全保障協力活動を行う陸軍部隊は、領事館しかない国でも、外交団の職員と調整する。領事事務所との関係は、ケースバイケースで決定される。大使館に存在するのと同じ組織や事務所が領事館にも存在し、連絡を取り合っている。(陸軍の作戦に関連するこの役割の詳細な説明については、FM 3-22を参照されたい)。

国別チーム:COUNTRY TEAM

4-34. 国別チームは、外交使節団の受入国内における調整窓口である。国別チームのメンバーは、必要とされる調整のレベルや国内の状況に応じて異なる。国別チームは、主席公使(chief of mission)の指示により、各米国省庁の上級職員で構成される。チームには、国防省の高官や国防アタッシェ、政務・経済担当官、その他大使が希望する大使館員も参加できる。

4-35. 国別チームは、様々な組織に作戦を知らせ、部隊を調整し、取組みの統一を図る。ホスト国との軍事的関与(military engagements)は、大使館・領事館の防衛駐在官事務所または安全保障協力室を通じて調整される。しかし、他のいくつかのアタッシェや事務所も、安全保障協力活動、プログラム、ミッションに不可欠な存在となりうる。現地チームは、現地に関する知識と、受入国政府および住民との交流の基盤を提供する。恒久的に設置された省庁間組織である国別チームは、戦闘軍(combatant command)や戦域軍が支援する安全保障協力活動の調整、一体化、同期を行う唯一の拠点である。戦闘軍(combatant command)の承認を得て、すべてのドメインで陸軍部隊(Army forces)が関与する軍事的関与(military engagements)、安全保障協力、抑止活動に関する勧告を国別チームと連携して通知することは、戦域軍に課せられた責務である。

競争の活動:COMPETITION ACTIVITIES

味方と一緒に闘うことより悪いことはひとつだけ、それは味方なしで闘うことである。

ウィンストン・チャーチル

4-36. 競争には、戦闘軍(combatant command)内の多数のプログラムの下で実施される活動が含まれる。戦闘軍指揮官(CCDR)はこれらの活動を通じ、パートナー国の安全保障を改善し、国際的正当性を高め、多国間の協力を得、敵対者(adversary)の意志決定に影響を与える。競争活動には、米軍部隊のアクセス確保、戦略環境の状況に影響を与えるための戦域内での十分な前方基地プレゼンス維持、危機や武力紛争につながりかねない状況の緩和が含まれる。競争間はいつでも、しかし、特に緊張が高まっているときには、リーダーは陸軍部隊(Army forces)が誤って危機や武力紛争を誘発するような活動を避けるよう、細心の注意を払わなければならない。陸軍部隊(Army forces)は、戦域軍の指示に従い、意図せず緊張を高めることなく、戦闘軍指揮官(CCDR)の即応性の意図を満たす活動レベルにとどまらなければならない。

4-37. 競争間に行われる活動は、合衆国法典(United States Code)の様々な章に規定された権限や承認されたプログラムに直接関連し、国務省(Department of State)、他の政府機関、国別チーム、大使の計画や目標と一体化・同期化されている。国務省(Department of State)と米国国際開発庁(United States Agency for International Development :USAID)は、地域の到達目標、管理、作戦上の配慮に取り組むため、統合地域戦略の作成を支援する。各国チームは、一体化した国別戦略と国別開発協力戦略の両方を策定し、統合任務の到達目標や、開発、協力、安全保障、外交活動の調整された戦略に取り組んでいる。戦闘軍指揮官(CCDR)は、国務省(Department of State)やさまざまな国別チームと協力し、国別安全保障協力計画を策定する。この計画は、戦闘軍戦役計画(combatant command campaign plan :CCP)の国別安全保障協力セクションで成文化される。戦闘軍戦役計画(CCP)の中には、戦闘軍指揮官(CCDR)の責任地域(AOR)内の状況に好影響を与えるために、資源、権限、プロセス、タイムラインの同期を促進する地域国別計画、態勢計画、戦域配分計画もある。

4-38. 陸軍部隊(Army forces)は、統合部隊(joint force)の戦役の到達目標を支援し、省庁間の要求を満たし、危機および武力紛争時に陸軍の戦闘力を活用するための必要条件を設定する活動を、競争間に実施する。戦域軍は戦闘軍指揮官(CCDR)と協力して、戦域における陸軍部隊(Army forces)の運用目標を策定し、陸軍固有の活動に対応する支援計画を策定する。陸軍部隊(Army forces)は、軍事的関与(military engagements)、安全保障協力、核抑止、対大量破壊兵器活動、人道支援を実施することにより、あらゆる作戦地域にわたって安全保障協力能力を提供する。

軍事的関与:MILITARY ENGAGEMENT:

4-39. 軍事的関与(military engagementsとは、信頼と信用の構築、情報の共有、相互活動の調整、影響力の維持のために、米軍の個人または部隊と他国の軍隊、または国内外の文民当局や機関が接触・交流することである(JP 3-0)。軍事的関与(military engagements)は安全保障協力の一環として行われるが、国内の文民当局との交流にも及んでいる。陸軍部隊(Army forces)はまた、期待や役割が確実に理解されるよう、直接的または間接的に、日常的に非政府組織と意志疎通を図ることになる。

4-40. 戦闘軍指揮官(CCDR)と陸軍の上級リーダーは、パートナーを探し、敵対者(adversaries)とコミュニケーションを取り、共通の関心と緊張のある分野を発見する。これによって、その後の意志決定や資源配分のための知識基盤が増える。このような軍事的関与(military engagements)は、緊張を緩和し、紛争を予防することができる。また、紛争が避けられない場合、米国はより大きなアクセスとより強力な同盟または連合で紛争に入ることができるようになる。陸軍部隊(Army forces)は、下級兵士から上級リーダーレベルまで、統一された行動パートナーとの意図的な交流を通じて、軍事的関与(military engagements)を支援する。州パートナーシップ・プログラムは、軍事的関与(military engagements)がいかに強力なものかを示す好例である。

関与を成功させる: 州パートナーシップ・プログラム

州パートナーシップ・プログラムは、パートナー国との永続的な関係を構築し、パートナーの能力を高め、相互運用性を改善し、米国のアクセスと影響力を強化する活動を実施し、新たな課題に対応するために米軍とパートナー軍の即応性を高めることによって、戦闘軍指揮官(CCDR)の安全保障協力目標を支援する。このプログラムは、州の州兵をパートナー国の軍隊、治安部隊、災害対応組織と協力関係で結ぶ。

1993年にバルト三国との間で始まったこのプログラムは、現在では89カ国との間でパートナーシップを結ぶまでに拡大した。ヨーロッパで最初に州パートナーシップ・プログラムを開始したパートナー国のほとんどは、その後NATOにおける米国の同盟国となり、その多くは、州パートナーシップ・プログラムとその州兵パートナーがその実現に貢献したと評価している。相互の信頼と支援に基づく永続的な関係を構築することで、州パートナーシップ・プログラムは、連携するグローバルな安全保障提供者を拡大し、世界中の米軍部隊とパートナー国の軍隊の両方の能力を向上させた。

安全保障協力:SECURITY COOPERATION

4-41. 安全保障協力(Security cooperationとは、米国の特定の安全保障上の利益を促進する安全保障関係を構築し、自衛および多国間活動のための同盟国およびパートナー国の軍事・安全保障能力を開発し、米軍に同盟国およびパートナー国への平時および有事のアクセスを提供するための国防省と外国の安全保障機関とのすべての交流を指す(JP 3-20)。こうした取組みには、陸軍部隊(Army forces)が統合演習や多国間演習に参加し、地域的に連携した部隊を採用することも含まれる。安全保障協力の実施は、陸軍の主要な安定化タスクの1つである。

4-42. 安全保障協力は、外国援助法(合衆国法典第22編第2151条)と武器輸出管理法(Arms Export Control Act(合衆国法典第22編第2751条)により、国防総省(DOD)と他国との相互作用が規定されている。国務省(Department of State)は安全保障部門援助の主導機関である。すべての国防総省(DOD)安全保障協力プログラムは、国務省(Department of State)の安全保障部門指針に適合していなければならない。(統合安全保障協力の詳細についてはJP 3-20を、安全保障協力に対する陸軍支援の詳細についてはFM 3-22を参照)。

4-43. 指揮官と参謀は、自衛と多国籍作戦のための同盟国や他の友好国の軍事能力を開発し、情報交換とインテリジェンス共有を改善し、米軍部隊に平時と有事のアクセスを提供し、危機につながりかねない状況を緩和するために、安全保障協力を実施する。複数の種類の安全保障協力活動が、しばしば重複した目的をもって同時に行われることがある。これらの活動には、安全保障支援、治安部隊支援(security force assistance :SFA)、対外国内防衛(foreign internal defense :FID)、安全保障部門改革取組みへの支援などが含まれる。

安全保障支援:Security Assistance

4-44. 安全保障支援は、米国政府が防衛用品、軍事訓練、およびその他の防衛関連サービスを、無償、リース、融資、信用、または現金販売によって提供するために使用するプログラム群である。安全保障支援プログラムは、通常、適格な外国政府への防衛品やサービスの移転、外国軍人の訓練や教育の提供、パートナー国の軍事施設を支援するための建設サービスの販売に重点を置いている。軍事教育と訓練の交換は、米軍とパートナー国の兵士の間に相互運用性を構築し、長期的な信頼を育む上で非常に重要である。

治安部隊支援:Security Force Assistance

4-45. 治安部隊支援(Security force assistanceとは、外国の治安部隊とその支援機関の能力開発を支援する国防省の活動である(JP 3-20)。治安部隊(Security forcesとは、国家の正規の軍事、準軍事、警察、および治安維持部隊(constabulary forces)のことである(JP 3-22)。国防総省(DOD)の治安部隊支援(SFA)方針に基づき、陸軍は、外国の治安部隊および関連支援機関の組織化、訓練、装備、再建または構築、助言の取組みを支援するために、その職員の能力を開発、維持、制度化する。治安部隊支援(SFA)活動は主に、パートナー国が外部および国境を越えた脅威要因から防衛する能力を構築するのを支援するために実施される。治安部隊支援旅団(SFAB)は、この任務に特化した陸軍の組織である。(治安部隊支援旅団(SFAB)に関する情報は、段落4-88から4-89およびATP 3-96.1を参照)。

4-46. 治安部隊支援(SFA)と安全保障支援は異なる。安全保障支援は、訓練だけでなく、装備の移転や売却など、より広範なプログラムを含んでいる。治安部隊支援(SFA)は、安全保障支援プログラムと連動しながら、特に外国の治安部隊とその支援機関の能力強化に重点を置いている。

対外国内防衛:Foreign Internal Defense

4-47. 対外国内防衛(Foreign internal defenseとは、ホスト国政府がその社会を破壊、無法、反乱、テロおよびその安全に対するその他の脅威から解放し防護するために行うプログラムや活動に、政府または国際機関の文民機関および軍事部隊が参加することである(JP 3-22)。対外国内防衛(FID)には、非軍事組織と軍事部隊の両方の行動が含まれる。

4-48. 対外国内防衛(FID)は、民主的統治と文民統治への軍事的尊重に向けたパートナーの発展を支援する包括的アプローチである。これらの活動は、外交、情報提供、および経済的手段とともに、軍事部隊の間接的使用を用いることができる。対外国内防衛(FID)は、ホスト国政府およびその軍事部隊または準軍事的な軍事部隊の支援を含む。米国のすべての対外国内防衛(FID)活動の焦点は、ホスト国の国内防衛と開発プログラムを支援し、ホスト国の自給自足達成のための能力と能力容量を構築することである。対外国内防衛(FID)は陸軍特殊作戦部隊の中核的活動である。(対外国内防衛の詳細な議論については、JP 3-22およびATP 3-05.2を参照)。

4-49. 治安部隊支援(SFA)と対外国内防衛(FID)には、友好国が自国を防衛する能力を高めるという点で多くの共通点がある。重複することもあるが、対外国内防衛(FID)活動は内的脅威に対して、軍と文民政府機関の両方を含む広範な機能を強化することを狙いとしている。治安部隊支援(SFA)活動は、内外の脅威に対して軍やその他の治安部隊を強化するものであり、他の政府機関を主に支援する活動は含まれない。

安全保障部門改革の支援:Support to Security Sector Reform

4-50. 安全保障部門改革(Security sector reformとは、安全、治安、司法を提供する方法を改善するために、ホスト国が実施する一連の包括的なプログラムと活動である(JP 3-07)。全体的な目標は、透明性が高く、文民権力に対して説明責任を果たし、国民のニーズに応える効果的かつ合法的な公共サービスを促進する方法で、これらのサービスを提供することである。

4-51. 安全保障部門改革とは、国防と軍隊の改革、文民管理と監督、司法、警察、矯正、インテリジェンス改革、国家安全保障計画と戦略支援、国境管理、武装解除、動員解除と社会復帰、武装暴力の削減の支援における一体化した活動を含む包括的な用語である。陸軍の主な役割は、競争の連続体である軍隊と防衛部門の改革、再編、再確立を支援することである。

4-52. 米軍とパートナーの軍事部隊は、省庁間の代表者や他の文民組織と協力し、安全保障部門改革戦略、計画、プログラム、活動を立案し、実施する。国務省(Department of State)は、一体化された国別戦略を通じて、これらの取組みを主導し、監督する。安全保障部門改革プログラムの望ましい成果は、法の支配にしっかりと根ざした、効果的で合法的な安全保障部門である。

核抑止と大量破壊兵器の対応:NUCLEAR DETERRENCE AND COUNTERING WEAPONS OF MASS DESTRUCTION

4-53. 米国の核戦力は、敵対者(adversary)の大量破壊兵器の使用を抑止するための基盤である。この抑止力の信頼性を確保するため、統合部隊(joint force)と陸軍部隊(Army forces)は、核兵器と通常戦力の計画策定と作戦を一体化しなければならない。さらに、陸軍部隊(Army forces)は、敵対者(adversary)が大量破壊兵器を使用することによって得られると思われる優位性を否定するために、敵対者(adversary)の脅威または大量破壊兵器の使用の下で作戦を実施するための計画、訓練、演習を行わなければならない。そのためには、指揮官や参謀は敵対者(adversary)の化学、生物、放射線、核(CBRN)兵器使用や汚染の危険性を継続的に評価し、防護し、その影響を緩和する必要がある。また、大量破壊兵器を模擬した状況下で訓練を行わなければならない。核攻撃の脅威がある場合、指揮官は、核の影響を緩和するために部隊を作戦地域(AO)全体に分散させるリスクと、目標を達成するために十分な戦闘力を集中させる能力のバランスをとらなければならない。化学物質で汚染された環境では、兵士の体力、反応時間、後方支援への影響により、指揮官の意志決定能力は複雑化する。これらの環境はそれぞれ、編成の機動し、闘い、作戦の維持を確実にするための独自の行動を必要とする。(大量破壊兵器への対処に関する詳細はATP 3-90.40を参照)

人道支援:HUMANITARIAN ASSISTANCE

4-54. 米国国際開発庁(USAID)は、民間海外援助の管理、人道支援、災害救援を行う、国務長官に責任を負う米国政府の主要機関である。米国国際開発庁(USAID)は、兵士が援助を提供するよう命じられると、しばしば陸軍部隊(Army forces)と協力して活動する。米国国際開発庁(USAID)は、国防総省が人間関係を構築し、現地住民の信頼、信用、支持を得るために行う民政活動を行う部隊を補完することができる。人道支援活動が成功した一例は、2014年にリベリアでエボラ出血熱が発生した時である。

リベリア:ユナイテッド・アシスタンス作戦

2014年10月、3000人の兵士、船員、航空兵、海兵隊員からなる統合部隊(joint force)がリベリアに展開し、エボラウイルスの封じ込めと根絶を支援した。第101空挺師団(空中攻撃)は、この作戦で統合任務部隊( joint task force :JTF)本部として活動した。第101師団は、リベリア政府、米国大使館、米国アフリカ陸軍、米国国際開発庁(USAID)、米国疾病対策予防センター、米国公衆衛生局と協力した。

米国国際開発庁(USAID)が主な連邦政府機関でした。陸軍部隊は、リベリア全土の17のエボラ治療センターの建設と支援に協力した。陸軍部隊(Army forces)は1,500人の医療従事者を訓練し、医薬品や建築資材を提供する物流システムが確立された。迅速な対応と団結力の達成の結果、リベリアでは1日に80人が新たにエボラ出血熱に感染していたのが、7カ月でエボラ出血熱ゼロと宣言された。

競争間の米陸軍各部隊階層の役割:ROLES OF ARMY ECHELONS DURING COMPETITION

4-55. 戦域軍は、敵対者の悪意ある行動(adversary malign action)を抑止しながら国家目標を達成するために、戦域部隊階層司令部および旅団を含め、競争間に重要な機能を果たす。軍団、師団、および旅団戦闘チーム(brigade combat teams :BCT)は、競争間の作戦、活動、および任務の遂行に不可欠である。これらの部隊は、多国間演習に参加し、人道的活動やその他の民軍活動、開発援助、訓練交流を実施することで、治安部隊支援(SFA)や対外国内防衛(FID)を支援することができる。軍団以下の部隊階層の陸軍部隊(Army forces)は、パートナー軍、政府組織、非政府組織、民間人と直接関わり、任務を遂行し、信頼関係を構築し、安定を促進する条件を改善する。

注: 4-56から4-96に記載された組織は、競争間に重要な役割を担っている。その他にも数多くの組織が重要な貢献をしている。

競争間の戦域軍の役割:THEATER ARMY ROLES DURING COMPETITION

4-56. 戦域軍は、陸軍部隊(Army forces)が競争間に実施する活動の計画、準備、監督を行い、これらの活動の結果を評価する陸軍の主要組織である。また、戦闘軍指揮官(CCDR)が責任地域(AOR)全域で優位性に立ち、パートナー国の安全保障能力を向上させるために重要な作戦アクセスを追求・維持することを支援・可能にする。競争間において相対的に優位性に立つには、友軍部隊に対する敵対者(adversary)の能力と意図についてインテリジェンスを得る必要がある。敵対者(adversary)の意図はより把握しにくいが、能力に加えて悪意ある意図があれば、どちらか一方だけよりも大きな脅威となるため、両要素は等しく重要である。この理解により、戦域軍指揮官は、敵対者(adversary)の到達目標を阻害する行動を戦闘軍指揮官(CCDR)に勧告したり、敵対者(adversaries)に米国の国益にとってより有利な代替的行動方針を模索するよう説得したりすることができる。

4-57. 戦域軍は、戦闘軍指揮官(CCDR)に代わって陸軍部隊(Army forces)と能力を他の国力の手段と一体化する。また、戦闘軍指揮官(CCDR)の要求を満たすと同時に、大規模戦闘作戦に備える陸軍部隊(Army forces)に関する軍種固有の要求も満たす。戦域軍は、7つの機能に集中し、競争間は陸軍の下部組織に監督または指揮・統制(C2)を提供することによって、統合部隊(joint force)と陸軍の両方への支援を実現する。各戦域軍の機能の中には、戦域軍がその任務を達成するために遂行し得る複数の任務が存在する。(段落4-58に記載された各機能と、各機能内の下位タスクの詳細については、FM 3-94およびATP 3-93を参照されたい)。

4-58. 競争間、戦域軍は米国、同盟国、および他の統一された行動パートナーが、戦闘軍指揮官(CCDR)の指示する方法で、武力紛争の閾値以下で効果的に競技できるようにすることに焦点を当てる。このような持続的かつ定期的な活動は、パートナー国に保証を与え、敵対者(adversaries)を抑止する。戦域軍は、以下の機能に重点を置いてこれを行う。

・ 戦闘軍指揮官(CCDR)の日常的な作戦上の要求を実行する。

・ 陸軍部隊(Army forces)の管理統制(ADCON)を行う。

・ 戦域を設定し維持する。

・ 作戦区域を設定し、支援する。

・ 戦域の陸軍部隊(Army forces)に対する指揮・統制(C2)を行使する。

・ 範囲、規模、期間が限定された統合作戦を実施する。

・ 危機及び武力紛争に対する不測事態対処(contingency)の計画策定を実施すること。

戦闘軍指揮官の日々の作戦的要求:Combatant commander Daily Operational Requirements

4-59. 戦域軍は、戦闘軍指揮官(CCDR)の計画と要求を陸軍部隊(Army forces)の具体的行動に反映させる。これには、以下の活動及び作業が含まれるが、これらに限定されない。

・ 他軍種への陸軍支援の実施(ASOS)。

・ 戦域安全保障協力の実施

・ インフラストラクチャーの評価と開発

・ コンセプト計画と作戦計画(OPLANs)の開発

・ 脅威モデルを維持し、作戦環境の重大な変化に関するインテリジェンスを提供する。

管理統制(ADCON)の提供:Provide Administrative Control

4-60. 行政管理とは、管理および支援に関して、下位組織または他の組織に対する指示または権限の行使をいう。管理統制(ADCON)の行使は、軍部の法的責任を果たす。管理統制(ADCON)は、合衆国法典第10編で特定される管理・支援責任と同義である。管理統制(ADCON)には、軍種部隊の編成、資源・装備の管理、人事管理、部隊後方支援、個人・部隊訓練、即応性、動員、復員、規律、その他作戦任務には含まれない事項が含まれる。戦域軍司令部は、平時と戦時の両方において、責任地域(AOR)内の全陸軍部隊(Army forces)の管理統制(ADCON)に責任を負う。(管理統制(ADCON)の詳細についてはAR 10-87を参照)。

戦域の設定と維持:Set and Maintain the Theater

4-61. 戦域設定には、すべての用兵機能(warfighting functions)からの貢献を含む広範な要求(段落4-13から4-15に概説)に加え、戦域軍は作戦環境の後方支援準備の実施により、戦域設定に対する固有の要求を満たす。作戦環境の後方支援準備とは、指揮官の作戦計画(OPLAN)を維持する陸軍の能力に影響を与える作戦環境のインフラ、環境、または資源要因を特定するための分析を含む継続的な形成活動である。分析成果には、ホスト国の支援、後方連絡線(lines of communications)の選択、作戦用在庫アセットの決定、交換作業、戦域の流通ネットワークと情報技術インフラのデザインなどのトピックが含まれる。る合意に従って、他の国のパートナーと共有されることになる。(作戦環境の後方支援準備の詳細についてはFM 4-0を参照)。

4-62. 戦域軍は、必要とされる陸軍能力を各統合部隊指揮官(JFCs)に迅速に提供するため、陸軍事前配置在庫(APS)を継続的に分析、評価し、指示があれば拡大する。陸軍事前配置在庫(APS)は、既に戦地に配備されている陸軍ローテーション部隊および戦地配属部隊を増強する。危機または武力紛争時の作戦のテンポと強度は、配分された部隊の装備一式を、戦略空輸または海上輸送によって米国から適時に展開することを許さない場合がある。戦域によっては、複数の強化用地を拠点とする大規模かつ分散した装備部隊の態勢が必要となる場合がある。必要であれば、陸軍部隊(Army forces)が戦場に到着してから数日以内に装備品を落下させて使用できるように、陸軍事前配置在庫(APS)の高い作戦準備率が維持されることになる。戦域軍は陸軍資材司令部と調整し、陸軍事前配置在庫(APS)を維持・最適化する。(陸軍事前配置在庫(APS)に関する追加情報については、ATP 3-35.1を参照のこと)。

作戦地域の設定と支援:Set and Support Operational Areas

4-63. 統合部隊(joint force)の作戦地域の設定と支援は、作戦的部隊階層と戦術的部隊階層で行われる。競争間、戦域軍は地上部隊のための統合作戦地域(joint operations areas :JOA)の可能性を確認するのを支援する。戦域軍は、主に陸上ドメインで作戦する部隊が必要とする基地やベース・キャンプが統合作戦地域(JOA)に含まれることを確認する。(基地とベース・キャンプの計画策定については、ATP 3-37.10を参照)。計画策定者は、他部隊のニーズを理解し、陸軍の要求に応えるために、全体的なアプローチを取る必要がある。統合作戦地域(JOA)を適切に設定し、支援するためには、戦術的部隊階層で大量の情報を必要とするため、戦域軍は通常、潜在的な作戦地域(AOs)を検討する複数年計画を策定する必要がある。戦域軍は、この戦術レベルの分析を行うために、多数の低密度かつ高需要の部隊に依存している。これらの能力の多くは、米国陸軍州兵または米国陸軍予備軍に存在する。

戦域における陸軍部隊に対する指揮・統制の実行:Exercise Command and Control Over Army forces in the Theater

4-64. 戦域軍は陸軍軍種構成コマンド(Army Service component command :ASCC)であり、管理統制(ADCON)と作戦統制(operational control :OPCON)または戦術統制(TACON)を通じて、責任地域(AOR)内の付属・配属陸軍部隊(Army forces)を統制する責任を有する。戦闘軍(combatant command)の陸軍部門として、陸軍軍種構成コマンド(ASCC)は戦域のARFOR(※)となる。陸軍部隊(Army forces)を含む下位の統合任務部隊(JTF)が設立された場合、その統合任務部隊(JTF)の上級陸軍司令部は通常、そのARFORとして指定される。(指揮・支援関係の詳細については付録Bを参照)。

※ ARFORとは、米陸軍の構成部隊で、戦闘軍(combatant command)、下位の統合部隊コマンド、統合機能コマンド、多国籍コマンドに所属するすべての米陸軍部隊の上級陸軍司令部。(FM 3-94))

4-65. 戦域軍は、統合作戦地域(JOA)において下位の統合任務部隊(JTF)に統制権が移るまで、責任地域(AOR)に配属されたすべての陸軍部隊(Army forces)の統制権を最初に保持する。この統制は通常、陸軍部隊(Army forces)の前進と統合任務部隊(JTF)への一体化の準備が整った時点で、戦域軍から統合任務部隊(JTF)に引き継がれる。陸軍部隊(Army forces)を統制する一環として、戦域軍(またはARFORとして指定された他の司令部)は陸軍部隊(Army forces)の管理統制(ADCON)を維持し、他軍種への陸軍支援の実施(ASOS)の調整などの軍種の責任に対処する。

制限された範囲と機関の統合の役割の遂行:Perform Joint Roles of Limited Scope and Duration

4-66. 陸軍軍種構成コマンド(ASCC)として従事している間、戦域軍は戦闘軍指揮官(CCDR)のために3つの統合の役割を果たす能力を有する。戦域軍は、統合作戦地域(JOA)における戦域統合部隊陸上構成部隊コマンド(joint force land component command)、統合任務部隊(JTF)、または統合任務部隊(JTF)の統合部隊陸上構成部隊コマンド(joint force land component command)となることができる。しかし、これらの役割は、統合部隊指揮官(JFC)が大幅な補強を行わない限り、限られた範囲、規模、期間でしか行えない。

危機と紛争のための不測事態対処計画の策定:Contingency Planning for Crisis and Conflict

4-67. 戦闘軍(combatant command)および軍種構成部隊が競争間または危機の間に行う計画策定の重要な側面は、不測事態対処計画(contingency plans)の開発である。不測事態対処計画(contingency planは、指定された脅威、破局的事象、および危機的状況以外の不測事態の任務に関する仮想的状況に基づいて計画される戦役計画の一分野である(JP 5-0)。不測事態対処計画(contingency plans)は、世界的、地域的、機能的、戦闘軍の戦役計画の一部であり、軍事行動を正当化する形で、一つまたは複数の国益を危険にさらす潜在的脅威に対処する。不測事態対処計画(contingency plans)は、競争間の戦役活動が侵略を防げなかったり、重要な国家や地域の不安定に対応する必要があったり、自然災害に対応したりする可能性を予期する(不測事態対応計画については、JP 5-0を参照)。(不測事態対処の計画策定の詳細については、JP 5-0を参照)。

4-68. 戦域軍指揮官と参謀は、必要に応じて陸軍部隊(Army forces)の下位計画を策定することも含め、戦闘軍(combatant command)の不測事態対処計画(contingency plans)の開発を支援する。戦域軍計画策定者は、不測事態対処計画(contingency plans)が実行可能であることを確認するため、定期的に不測事態対処計画(contingency plans)を見直し、更新する。これには、陸軍部隊(Army forces)の構造と統合時相戦力・展開データ(joint time-phased force and deployment data :TPFDD)との関係の見直しが含まれる。この関係については、段落4-71の戦力調整で詳しく説明する。特定の戦闘軍(combatant command)に地域配備されている陸軍の軍団と師団は、指示に従って従属的な計画を開発することができる。陸軍の軍団と師団は、統合参謀本部が指示する演習、陸軍ミッション・コマンド訓練プログラム演習、およびその他の訓練イベントで、これらの計画のために訓練し、リハーサルを行うことができる。(陸軍の計画策定に関するドクトリンについては、ADP 5-0を参照。)

4-69. 戦域軍と選択された下部組織は、作戦計画(OPLAN)作成中に特定された後方地域で発生しうる作戦に備える。後方地域作戦の計画策定と準備は、武力紛争中の獲得した成果を集約・強化を促進する。可能であれば、戦域軍は地域配備軍団および師団の後方地域司令部を、それらの部隊の作戦地域(AOs)に含まれる可能性が高い後方地域を扱う計画の策定および改良に関与させるべきである。主に後方地域で活動する地域配備部隊は、可能な限り、計画策定および演習に参加させなければならない。

4-70. 各陸軍の編成は、ホスト国の安定・安全ミッションの遂行を調整し、リハーサルを行い、支援する。これらの取組みは、他の優先事項から戦闘力を転用するのを最小限に抑えるのに役立つ。民事部隊は、こうした任務の遂行に必要な潜在的な文民ネットワークを分析する専門知識を備えている。彼らは、環境の整備と市民ネットワークの構築・関与のプロセスを通じて、潜在的な市民ネットワークを特定する。環境の市民的準備(Civil preparation of the environmentとは、作戦地域内の市民的知識を継続的に開発し、指揮官が安定・安全活動のための作戦に一体化できる市民社会内の能力を特定できるようにすることである(FM 3-57)。これにより、後方地域での陸軍部隊(Army forces)の必要性を最小化し、ホスト国の統治と正統性の維持または回復を促進することができる。

戦力調整:Force Tailoring

4-71. 戦力調整(Force tailoringとは、統合部隊指揮官(joint force commander)を支援するために、適切な戦力の組み合わせとその展開順序を決定するプロセスである(ADP 3-0)。これには、戦闘軍(combatant command)内の利用可能な部隊と陸軍部隊(Army forces)のプールから、統合作戦に適した部隊構造(force structure)を選択することが含まれる。指揮官は次に、戦力投射の一環として、部隊を作戦地域(AO)に配置する。統合部隊指揮官(JFC)は戦役段階ごとに部隊を要請・受領し、必要な取組みに見合うよう、軍種構成部隊の数量を調整する。統合時相戦力・展開データ(TPFDD)文書には部隊構成と部隊の流れの要求が含まれており、統合部隊指揮官(JFC)が受入部隊を調整する主な方法である。戦域軍は、統合部隊指揮官(JFC)が決定した陸上部隊の要求を満たすように部隊を調整し、その要求を満たすための配備順序を推奨する。戦力調整は継続的に行われる。(戦力調整と統合時相戦力・展開データ(TPFDD)開発の詳細については、JP 3-35を参照)。

戦域軍配属部隊:THEATER ARMY ASSIGNED FORCES

4-72. 各戦域軍は、戦闘軍指揮官(CCDR)の責任地域(AOR)を越えて追加支援を提供し、戦域軍の目標達成を支援する戦域レベルの部隊を割り当てられているまたは割り当てられている。異なる戦域は、戦域要求と部隊利用可能性に基づき、明確な指揮・支援関係を持つ異なる従属部隊を持つ。段落4-73から4-87に記載された部隊は、競争間の作戦を促進する戦域レベルの共通編成である。

戦域後方支援コマンド:Theater Sustainment Command

4-73. 戦域後方支援コマンド(Theater Sustainment Command :TSC)は、戦域における後方支援の一体化と同調化のための陸軍の組織である。戦域後方支援コマンド(TSC)は戦略的イネーブラを戦術的フォーメーションに結びつける。戦域後方支援コマンド(TSC)は各戦域の陸軍の戦力であり、戦域安全保障協力と戦闘軍指揮官(CCDR)の日常作戦要求のための合衆国法典第10編の陸軍部隊(Army forces)支援に重点を置いている。

4-74. 戦域後方支援コマンド(TSC)は、責任地域(AOR)全域の後方支援作戦を一体化・同期化しながら、配属・付着部隊を通じて後方支援作戦を実施する。戦域後方支援コマンド(TSC)は戦域の部隊に対して、戦域開放、戦域分配、後方支援、戦域閉鎖の4つの作戦責任を負う。タスク編成された戦域後方支援コマンド(TSC)は、割り当てられた責任地域(AOR)内で作戦レベルの後方支援支援を提供するよう調整される。戦域後方支援コマンド(TSC)は、責任地域(AOR)内に前方駐留、通過、または活動するすべての陸軍部隊(Army forces)を含む、戦域軍の後方支援作戦を一体化し同期化する。戦域後方支援コマンド(TSC)は戦域全体にわたり、合衆国法典第10編、他軍種への陸軍支援の実施(ASOS)、国防総省(DOD)執行機関、および主務官庁の責任を調整する。(戦域後方支援コマンド(TSC)の詳細についてはATP 4-94を参照)。

軍事インテリジェンス旅団-戦域:Military intelligence Brigade-Theater

4-75. 軍事インテリジェンス旅団-戦域(MIB-T)は通常、戦闘軍(combatant command)に配属され、作戦統制(OPCON)は戦域軍に委譲される。軍事インテリジェンス旅団-戦域(MIB-T)は、戦域軍の情報収集とインテリジェンス分析能力を、すべてのインテリジェンス分野にわたるミッション・コマンド(mission command)を提供し、戦域と国のアーキテクチャとデータを一体化して、戦域軍の日常業務要求と不不測事態対処作戦(contingency operations)の準備を支援する。戦域軍司令部は、脅威の特徴、インテリジェンスの推定、脅威と市民への配慮、データ・サービス、インテリジェンス・アーキテクチャの開発・保守、および全ソース・インテリジェンス成果物について軍事インテリジェンス旅団-戦域(MIB-T)に特に依存している。これらの取組みにより、戦闘軍戦役計画(CCP)を支援する陸軍計画の策定や作戦計画(OPLAN)、不測事態対処計画(contingency plans)の維持など、戦域軍の計画策定要求を支援している。

4-76. 軍事インテリジェンス旅団-戦域(MIB-T)は派遣部隊のインテリジェンス拠点として、戦域に特化した専門知識と支援を提供する。軍事インテリジェンス旅団-戦域(MIB-T)は、派遣部隊や戦域連携部隊がアクセスできる地域インテリジェンス・アーキテクチャを維持する。これにより、部隊は任務の計画策定と訓練を調整し、広範なインテリジェンス事業を効果的に活用することができる。軍事インテリジェンス旅団-戦域(MIB-T)の地域的な焦点は、分析的なインテリジェンス成果物に継続性と文化的な文脈を与える。軍事インテリジェンス旅団-戦域(MIB-T)は、長年にわたって戦域の国家・非国家主体の脅威の特徴とドクトリンを収集、分析、追跡し、作戦環境の変化の兆候と警告を提供することができる。これにより、軍事インテリジェンス旅団-戦域(MIB-T)は利害関係者や地域の軍事部隊の進化する理念と能力に関するインテリジェンスの貴重なデータベースを作成し、維持することができる。(軍事インテリジェンス旅団-戦域(MIB-T)の詳細については、FM 2-0を参照。)

戦域航空要素:Theater Aviation Elements

4-77. 戦域航空支援は、戦域航空旅団、戦域飛行場運用グループ、戦域航空後方支援整備グループによって実行される。各戦域航空旅団は、戦域とその下級司令部を支援するために攻撃支援航空タスク(assault support aviation tasks)または一般支援航空タスク(general support aviation tasks)を行うことができるが、攻撃、偵察、および警戒作戦を行うために攻撃航空または無人航空機システム(UAS)部隊による増強が必要である。戦闘航空旅団はまた、揚陸、攻撃力、および無人航空機システム(UAS)能力で戦域航空作戦を支援することができる。戦場飛行場作戦集団は航空交通サービスを提供し、飛行場管理作戦を行い、航空アセットの「受け入れ、ステージング、前方移動、一体化(RSOI)」要求を支援する。戦場航空後方支援集団は戦域作戦地域(AO)全域で航空後方支援整備と限定的な補給処後方支援支援を行う。(航空旅団と航空集団に関するより詳しい情報はFM 3-04を参照のこと)。

米陸軍防空ミサイル防衛コマンド:Army Air and Missile Defense Command

4-78. 陸軍防空ミサイル防衛コマンド(AAMDC)は防空砲兵部隊の最上位部隊階層である。陸軍防空ミサイル防衛コマンド(AAMDC)指揮官は戦域軍の航空・ミサイル防御(AMD)調整役を務め、通常戦域軍または指定された場合は陸上構成部隊コマンド(land component command)の作戦統制(OPCON)下にある。また、陸軍防空ミサイル防衛コマンド(AAMDC)は通常、戦域空軍、または指定された場合は航空構成部隊コマンドを直接支援し、陸軍防空ミサイル防衛コマンド(AAMDC)指揮官は戦域防空副指揮官として勤務している。陸軍防空ミサイル防衛コマンド(AAMDC)は戦域演習に参加し、航空・ミサイル防御(AMD)作戦のすべての側面で統合および多国籍パートナーと一体化している。前方に配置された統合部隊(joint force)と陸軍部隊(Army forces)、および重要なインフラを、空爆、ミサイル、ロケット攻撃から守るために、アセットを提供し、範囲を調整する。この防護には、早期警戒、監視、追跡、戦術的短距離ターゲットから中距離弾道ミサイルまでの防御が含まれる。(陸軍防空ミサイル防衛コマンド(AAMDC)の計画策定と実行の詳細については、FM 3-01とATP 3-01.94を参照)。

通信コマンド(戦域)又は戦略通信旅団:Signal Command (Theater) or Strategic Signal Brigade

4-79. 戦域軍は、すべての責任地域(AOR)において戦域通信およびネットワーク・インフラストラクチャを設定し支援する国防総省(DOD)の執行機関として指定されている。戦域軍は、責任地域(AOR)を支援するために割り当てられた通信コマンド(戦域)または戦略通信旅団を通じて、これらの責任を実行する。いずれの部隊も、国防情報システム・ネットワーク・サービスへの接続性を最大で秘密分類まで提供する。この接続性には、責任地域(AOR)で活動するすべての統合部隊(joint force)と陸軍部隊(Army forces)を支援するための戦域ネットワーク・アーキテクチャの確立と運用が含まれる。

4-80. 通信コマンド(戦域)または戦略通信旅団は、戦域ネットワークとスペクトラム管理支援に関する監督、指導、技術的指示を、戦域全域の全陸軍部隊に提供する。また以下を提供する。

・ データ、音声、映像の各ネットワークの集中管理(統合システム、組織間システム、多国間システムとのインターフェースを含む)。

・ 戦闘軍指揮官(CCDR)と戦域軍指揮官を支援するためのグローバル・サイバーセキュリティ政策の実施。

・ 戦域における通信支援システム及び統合・多国籍パートナー・システムとのネットワーク・インターフェースを設置、運用、維持、確保する部隊の監督。

・ 指揮官の情報要求を満たすネットワーク能力を確保するための任務の優先順位を設定する。

戦域工兵コマンド:Theater Engineer Command

4-81. 戦域工兵コマンド(theater engineer command :TEC)は、機動性の向上、生存能力の強化、戦力投射と兵站の実現、パートナーの能力構築、インフラ整備のために陸軍の戦闘・一般・地理空間工兵アセットを組織・指揮し、戦域軍を支援する。競争間の戦域工兵コマンド(TEC)の主な焦点は、米軍部隊の展開を促進し、前方に駐留する米軍部隊を防護し、可能であれば同盟国やパートナー国の能力を高めて、対等な脅威(peer threat)による最初の襲撃に耐えるために必要なインフラを決定し構築することである。戦域工兵コマンド(TEC)が指示する工兵活動の例としては、旅団戦闘チーム(BCT)のような大規模な陸軍部隊の集結地の候補となるルート解析や地形解析の実施、後方地域に分散した基地群を建設して近接地域の兵站活動を支援するために必要なアセットの特定などがある。また、指示があれば、戦域工兵コマンド(TEC)は、他軍種や多国籍組織の工兵の指揮・統制(C2)を担当し、統合部隊指揮官(JFC)が定めた関係に従って、契約した建設技術者の技術監督(品質保証と監視)支援を行う。(戦域工兵コマンドの詳細については、FM 3-34を参照。)

戦場調整分遣隊:Battlefield Coordination Detachment

4-82. 戦場調整分遣隊(battlefield coordination detachment :BCD)は、上級陸軍作戦指揮官の航空部門との連絡官として従事する、地域に特化した陸軍の部隊である。戦場調整分遣隊(BCD)は統合航空作戦センター(joint air operations center :JAOC)、共同航空作戦センター(combined air operations center)、または空軍航空作戦センターと同一地に配置している。4-83. 戦場調整分遣隊(BCD)は、陸軍が統合航空作戦センター(JAOC)とシステムを接続し、要員を統合航空作戦センター(JAOC)の要員と一体化するためのインターフェースである。戦場調整分遣隊(BCD)は大規模戦闘作戦の間、陸上構成部隊コマンド(land component command)を支援する。陸軍軍団は陸上構成部隊(land component)に要求と要請を伝え、陸上構成部隊(land component)は戦場調整分遣隊(BCD)を通して統合部隊空軍構成部隊(joint force air component)の支援に対する要求と要請を伝える。戦場調整分遣隊(BCD)は統合航空作戦センター(JAOC)内の統合航空任務のサイクルを通じて、統合部隊陸上構成部隊指揮官(joint force land component commander)を代表する。(戦場調整分遣隊(BCD)に関するドクトリンはATP 3-09.13を参照)

戦域火力コマンド又は戦域火力要素:Theater Fires Command or Element

4-84. 陸軍の戦域火力コマンドまたは戦域火力要素は、割り当てられた火力能力の指揮・統制(C2)を提供し、割り当てられたまたは割り当てられた火力能力を一体化するために戦域軍に割り当てられた上級組織として機能し、重要な火力支援機能を実行する。また、戦域全体の統合ターゲットを策定し、指名する。この統合のターゲッティングへの支援は、戦域および連合軍陸上構成部隊指揮官(coalition forces land component commander :CFLCC)、野戦軍(構成されている場合)、および軍団作戦の連続的な設定を支援する。戦域火力コマンドまたは部隊は、陸軍の統合ターゲッティング・プロセスへの貢献が、競争間や危機の際に効果的に計画・実行され、地上部隊指揮官の優先順位に従って大規模戦闘作戦に迅速に移行できることを保証する。(戦域火力コマンドおよび要素に関する追加情報は、FM 3-09を参照)

陸軍野戦支援旅団:Army Field Support Brigade

4-85. 陸軍野戦支援旅団は、戦略的資源を戦術的部隊に結びつけるものであり、戦域軍または軍団を支援するために配置される。また、危機や武力紛争時に到着した部隊が使用できるように在庫を維持し、陸軍事前配置在庫(APS)の即応性を整える。陸軍事前配置在庫(APS)の機器構成とハンドオフ操作の実行は、個別のイベントとして、またDEFENDER演習シリーズを含む大規模演習の一部として演習される。陸軍野戦支援旅団はまた、ロジスティクス民間増強プログラムも実施している。これらは、戦域全体の契約や戦域の設定と開設要求への他の支援を含む、新たなニーズにリソースを提供するために使用することができる。潜在的な契約支援組織との競争間に構築された関係は、戦場に既にある組織を使用して後方支援要求を満たすために活用することができる。これらの機能やその他の機能は、陸軍部隊(Army forces)の迅速かつ効果的な到着と配置を可能にすることにより、大規模戦闘作戦のための戦闘力を構築し維持するために不可欠である。(陸軍野戦支援旅団の詳細については、ATP 4-98を参照)。

マルチドメイン・タスク・フォース:Multi- domain Task Force

4-86. マルチドメイン・タスク・フォース(multi- domain task force :MDTF)は、指揮官の目標を支援するために、複数のドメインからの長距離精密火力およびその他の効果を用いることができる編隊を統合部隊(joint force)に提供する。情報収集と様々な形態の致死性火力と非致性火力により、複雑な敵システムを撃破するようデザインされている。必要であれば、統合任務部隊(JTF)または構成部隊指揮官に能力を提供するために、タスク編成を行うことができる。競争間は、マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)は戦闘軍指揮官(CCDR)の責任地域(AOR)に前方駐留して、ターゲット開発の支援に統合および陸軍の能力を活用することができる。マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)本部は、配属された編隊の情報収集活動を、他の戦域および国のアセットと調整・同期化する。

4-87. マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)は、敵の編隊、指揮・統制(C2)ノード、およびサイバースペース電磁活動を欺き、無力化し、または混乱させるために、サイバースペース電磁活動および宇宙能力を長距離地上火力と調整し一体化することができる。これは、陸軍および統合部隊(joint force)が敵の接近阻止(A2)および領域拒否(AD)を可能にする指揮・統制(C2)システムに侵入してこれを崩壊させ、その結果生じる自由な行動を利用できるようにするためである。マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)は、統合部隊(joint force)の活用の機会を創出する効果をもたらす能力を保持しながら、分散型に運用されるようデザインされている。特定の任務変数に基づき、マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)は用兵機能(warfighting functions)全体から得られる能力で補強することができる。

治安部隊支援旅団:Security Force Assistance Brigades

4-88. 治安部隊支援旅団(SFAB)は、戦域安全保障協力目標を支援するため、外国の治安部隊とその支援機関の能力開発のための治安部隊支援(SFA)活動を世界中で実施するための顧問団(advisors)を提供する。顧問団(advisors)は、同盟国を強化し、永続的なパートナーシップを構築することによって、作戦環境を形成する。顧問団(advisors)は統合演習を通じてホスト国の能力を高め、他の国力の手段と連携してパートナー国部隊の作戦と近代化を支援する態勢を維持する。治安部隊支援旅団(SFAB)は、すべての戦闘機能にわたってパートナー国部隊に助言するチームを提供することにより、相互運用性を向上させる。治安部隊支援旅団(SFAB)は、大隊、旅団、師団、および軍団の各レベルで助言を行う。治安部隊支援旅団(SFAB)が一貫してパートナー国に適用されれば、パートナー国の治安部隊を向上させることができる。

4-89. 治安部隊支援旅団(SFAB)は特定の地理的地域に配置され、その地域特有の懸念事項に対処できる深い知識と経験基盤を育成する。治安部隊支援旅団(SFAB)の顧問団(advisors)は、民政部や戦域情報収集部隊と連携し、相手の戦力に関する直接的な知識とその住民に関する経験を有しているため、戦闘軍指揮官(CCDR)にとって共通インテリジェンス図(common intelligence picture)を高めることができる。また、武力紛争時に多国籍の作戦を可能にするための連絡・支援活動も行う。治安部隊支援旅団(SFAB)は、戦略的な競争の間にある地域に永続的なプレゼンスを提供し、相互運用性を促進し、パートナーの通常戦能力を構築し、不測事態対処作戦(contingency operations)の条件を整えるために、独自の人員と装備を有している。(治安部隊支援旅団(SFAB)の詳細については、ATP 3-96.1を参照。)

競争間の軍団の役割:CORPS ROLES DURING COMPETITION

4-90. 軍団は、戦闘軍指揮官(CCDR)の責任地域(AOR)に存在する場合、下位の戦術的部隊階層と戦域戦略部隊階層の間の指揮・統制(C2)リンクを提供する。例えば、第5軍団は、第2騎兵連隊、第12戦闘航空旅団、第41野戦砲兵旅団などの戦域配属部隊を監督し、米欧州軍に配属されているマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)の運用を監督する。また、競争間は、遠征後方支援コマンド、作戦火力コマンド、遠征軍事インテリジェンス旅団、総合支援衛生旅団を有することが普通である。

4-91. 大規模戦闘作戦を準備するための演習では、軍団は3つの役割のうちの1つを果たす。軍団は、複数の師団を使用する戦術陸上本部として指定されることがある。また、必要な訓練と統合補強を行った後、有事作戦や訓練イベントにおいて、統合任務部隊司令部または陸上構成部隊コマンド司令部(land component command headquarters)の役割を担うこともある。軍団が陸上構成部隊コマンド司令部である場合、ARFORの役割も果たす。(軍団に関する詳細はFM 3-94および ATP 3-92を参照)。

競争間の師団の役割:DIVISION ROLES DURING COMPETITION

4-92. 師団は、競争間に様々な統一された行動パートナーとの主要な接点となることが多い。地域的に連携する場合、戦闘軍戦役計画(CCP)の実行を支援するために、正規軍と予備軍の両方からなる従属旅団とその他の支援者のパッケージが調整された師団が戦闘軍指揮官(CCDR)に配属される。追加的な支援者の例としては、機動強化旅団や、民政、軍事インテリジェンス、憲兵、CBRN、心理作戦、爆発物処理、工兵部隊などがある。

4-93. 地域配備された師団は通常、多国籍パートナーと協力し、長期間にわたって安全保障協力を実施する。師団は、習慣的な関係を築くことにより、同盟国を保証し、パートナー国との信頼を築き、パートナー国や他の統一された行動パートナーとの相互運用性を構築することを支援する。師団は、共有された状況理解を構築し、パートナーの能力容量を高めるのを支援する。また、演習、訓練、装備、教育、会議、軍事参謀協議などの様々な活動の実施を通じて、紛争を抑止する。安全保障協力に対する師団の支援は、以下のような形で地域の安定を形成するのに役立っている。

・ 米国の安全保障上の利益を促進する防衛関係を構築する。

・ 自衛および多国籍作戦のための友軍の軍事能力を開発する。

・ 紛争を予防・抑止するために、師団および他の米軍部隊に平時および有事の際のホスト国へのアクセスを提供する。

・ 同盟国・パートナー国の編成を取り込むための即応性を向上させる。

4-94. 師団司令部は、パートナーとの安全保障協力や相互運用性開発を支援する特定の作戦を実施する任務を負った旅団の直接指揮を執る。また、本国の旅団に訓練資源を提供し、監督する。師団司令部は大隊レベルまでのリーダー育成に責任を負う。師団は、自らが影響力を持つ陸軍部隊(Army forces)の即応性を継続的に改善し、彼らの時間を守り、厳しい現実的な訓練が第一優先であることを保証する。

4-95. 師団司令部は、任務や基幹となる訓練演習に備える旅団を支援するため、NATOや米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド(ABCANZ)の部隊が関与する場合の相互運用性基準に関する認識など、専門的な知識を提供する。密度の低い軍事職業専門家や専門部隊は、訓練イベントを師団に集約・強化することで利益を得ることができる。師団には、低密度専門分野の主題専門家がおり、いくつかの部隊階層にまたがる訓練プログラムを開発、実施、実行、評価することができる。(師団の役割と責任については、FM 3-94とATP 3-91を参照されたい。)

競争間の旅団戦闘チーム:BRIGADE COMBAT TEAMS DURING COMPETITION

4-96. 旅団戦闘チーム(BCT)は、戦闘軍指揮官(CCDR)に対して、師団または統合任務部隊の一部として活動することができる諸兵科連合の近接戦闘部隊を提供する。競争間は、大規模戦闘作戦の作戦計画(OPLAN)の実行に備えて、戦術的タスクの完成に集中する。前方に展開した旅団戦闘チーム(BCT)は、敵対者(adversary)の能力に対する防御策を評価・改善し、ホスト国の戦術部隊との相互運用性を推進する。ローテーション旅団(rotational brigade)の訓練のほとんどは米国本土で行われ、パートナー国部隊を巻き込むことはないが、旅団はホスト国部隊との一体化の方法を予測・計画する。合意された連合軍または二国間の相互運用性基準に精通していることは、同盟または連合軍の能力を高め、実行中の学習に必要な時間を最小にするのに役立つ。(旅団戦闘チーム(BCT)に関する情報はFM 3-96、多国籍作戦に関する情報はFM 3-16を参照)。

競争間の獲得した成果を集約・強化すること:CONSOLIDATING GAINS DURING COMPETITION

4-97. 陸軍部隊(Army forces)は、米国の戦略的利益にとって優位性ある作戦環境を維持するために、継続的に獲得した成果を集約・強化している。陸軍部隊(Army forces)が競争間に行うことは、たとえ過去に戦闘がなかった場所であっても、安定を確保し、地域全体で人為的な危機や武力紛争の可能性を低減するのに役立つことは、経験によって証明されている。競争間に獲得した成果を集約・強化する例としては、輸送システムの改善(港湾、飛行場、鉄道の後方連絡線(lines of communications)を含む)、戦域補給品の増加、インテリジェンス協力、戦闘軍(combatant command)の人道支援・市民支援活動を支援する陸軍医療要員の提供などが挙げられる。同盟国やパートナーと共に人道支援活動に貢献する陸軍部隊(Army forces)は、既存の国際関係を強化し、他の場所で新たな関係を築くための条件整備に貢献する。

4-98. 陸軍部隊(Army forces)は、作戦地域に永続的または恒久的なプレゼンスを維持することで、最も効果的に戦果を挙げることができる。このプレゼンスにより、予測可能で信頼性の高い関係を築くことができ、陸軍部隊(Army forces)は同盟国やパートナーに高度の定期的アクセスを提供することができる。これらの活動の永続的な成果は、大使、国別チーム、および統合部隊指揮官(JFC)が、相互に有益な目標を追求する際に、同盟国やパートナーに対してより大きな影響力を得るのに役立つ。この影響力の増大に加えて、陸軍の獲得した成果を集約・強化する活動は、抑止力を支援するための統合の取組みに貢献する。

4-99. 武力紛争や危機の後の競争間における獲得した成果を集約・強化することは、定常状態の競争とは大きく異なる。最近の武力紛争や破壊的危機が発生していない地域では、陸軍部隊(Army forces)は定常的な競争活動の成功を強化することで、利得を強固にする。これは、同盟国やパートナーに予測可能性を提供する一貫した方法で、先に開始されたことを実行することによって行われる。ほとんどの場合、これらの活動は、パートナーの能力を高め、脅威勢力に対するその他の優位性を向上させることをデザインした他の競争活動と区別がつかない。

4-100. 武力紛争後の獲得した成果を集約・強化するには、重要な作戦が必要であり、適切に実施されないと、危機や紛争に逆戻りするおそれがある。こうした取組みには、脅威、住民からの支持、それらを打ち負かすために利用できる選択肢を理解するための情報収集とインテリジェンス分析が含まれる。獲得した成果を集約・強化するには、住民に安全、食糧、水、避難所、医療を提供する安定化タスクも含まれる。適切な場合には、陸軍部隊(Army forces)は市民機関の復旧・復興に努め、治安維持・安定化タスクをこれらの機関に移行させる。(安定化作戦と統治に関する詳細は、FM 3-07とFM 3-57を参照)。

4-101. 危機や武力紛争の後、当面の懸念が解消されると、戦域軍と支援部隊は戦域戦略的な獲得した成果を集約・強化にその取組みの大半を傾ける。彼らは、戦域の他の部門、戦闘軍(combatant command)、省庁間パートナー(主に国務省(Department of State))、パートナー国、および他の統一された行動パートナーと協力し、長期目標を策定し達成する。一般に、このような獲得した成果を集約・強化する活動は、それほど激しくなく、より長い期間にわたって行われる。陸軍部隊(Army forces)は、統一された行動パートナーとのターゲットを定めた関与を実施することにより、過去の紛争の成功に立脚している。この例には、前方展開部隊やローテーション部隊による韓国の部隊、日本の部隊、NATOの部隊との定常的な関与が含まれる。(競争間の獲得した成果を集約・強化するための戦域軍の日常的な活動の詳細な概要については、ATP 3-93を参照されたい)。

4-102. 平和活動(Peace operations)は、獲得した成果を集約・強化する手段である。平和活動(Peace operationsは、紛争を封じ込め、平和を是正し、和解と再建を支援する環境を整え、合法的統治への移行を促進するために、軍事的使命を帯びた国力のあらゆる手段が関与する、多機関・多国籍の危機対応・限定的不測事態対処作戦(contingency operations)である(JP 3-07.3)。通常、国際連合などの組織やアフリカ連合などの地域機関を通じて結ばれた協定の下で行われる。(平和活動(Peace operations)の詳細については、JP 3-07.3および ATP 3-07.31を参照されたい。)

危機と武力紛争への移行:TRANSITION TO CRISIS AND ARMED CONFLICT

4-103. 移行(transitions)は本質的に複雑で予測不可能である。なぜなら、予測される環境条件は急速に変化し、明確な理解に必要なすべての情報を持っていない戦略的リーダーの知覚を変える可能性があるからである。一方が対応すると、他方がエスカレートしていると知覚し、緊張を高める結果となりかねない。また、予期せぬ環境の変化により、対応を必要とする危機が発生することもある。競争から危機や武力紛争への移行は、多くの場合、4種類の決定、その結果の行動、および最初の行動から派生する後続の関連効果に基づいている。例えば、以下のようなものがある。

・ 武力紛争をエスカレートさせる、または開始させる国家の指揮当局の決定。2003年のイラク侵攻、2011年のリビア攻撃、2020年のイランのカセム・ソレイマニ(Qasem Soleimani)将軍に対する攻撃などがその例である。

・ 敵対者(adversaries)による武力衝突の拡大・開始の意志決定。2006年のヒズボラによるイスラエルへのロケット弾攻撃、2008年のロシア・グルジア戦争、2014年と2022年のロシアによるウクライナ侵攻などがその例。

・ 同盟国が武力紛争をエスカレートさせたり、開始させたりすること。例えば、1967年にエジプト、シリア、ヨルダン、イラク、イスラエルの間で起こった6日戦争。

・ 急激な環境変化に対応するための意志決定で、どちら側も計画していなかったが、緊張が高まること。例としては、2020年のパンデミックによって戦略的環境にもたらされた変化がある。

4-104. 陸軍部隊(Army forces)とリーダーは、作戦環境における紛争の可能性を予期する。これは、インテリジェンス機関からの情報および戦略レベルリーダーの指示によってもたらされる。治安部隊支援旅団(SFAB)やその他の地域連携部隊は、機密性の高い地域や同盟国・パートナー国のリーダーに接触することができる。そのアクセス力と強固な通信手段により、現場の実情を把握し、流動的な状況下で意志決定者にリアルタイムの最新情報を提供することができる。危機や武力紛争の初期段階における意志決定は、敵対者(adversaries)の意志決定や特定の状況の最終的な結果に大きな影響を与える。

4-105. 危機または武力紛争が始まると、敵対者(adversaries)は自由に使えるあらゆる能力を駆使して、陸軍部隊(Army forces)の展開を混乱させる。彼らは、陸軍部隊(Army forces)と統合部隊(joint force)が戦闘力を展開し、構築するために必要な時間を得ることを妨げようとする。このような混乱とそれに伴う摩擦(frictions)が、陸軍部隊(Army forces)が対応する環境となる。

紛争のタイプの確定:CONFLICT TYPE DETERMINATION

4-106. 陸軍部隊(Army forces)とリーダーは、国家がどのような紛争を闘うことになるかを予測する必要がある。これは、インテリジェンス機関からの情報および戦略レベルのリーダーからの指示によってもたらされる。危機や武力紛争の初期段階における意志決定は、敵対者(adversaries)による意志決定や特定の状況の最終的な結果に大きな影響を与える。陸軍の戦略的リーダーによる最初の決定や提言は、陸軍が適時に戦力を投射する能力に影響を与える。

部隊防護:FORCE PROTECTION

4-107. 戦域における徴候や警告は、危機や武力紛争を予期して陸軍部隊(Army forces)を動員・展開する決定を促しうる。陸軍部隊(Army forces)は、米国内であれ前方展開であれ、作戦の初期段階において、敵対者(adversary)の行動を予測し、敵対者(adversary)が所在する位置をターゲッティングすることで対処する。敵対者(adversaries)は、陸軍部隊(Army forces)の展開能力を低下させ、混乱させようとする。敵対者(adversaries)はサイバースペース攻撃を用いて、本国の停電を引き起こし、輸送ネットワークをターゲットにして部隊の装備品の輸送を遅らせ、兵員や家族に対するソーシャル・メディア攻撃を行い、陸軍部隊(Army forces)に対する国民の支持を低下させる抗議行動を扇動することができる。内部脅威と代理人(proxies)は、米国内外の駐留米軍部隊に対し、テロ行為、妨害行為(sabotage)、策略(subterfuge)、その他の活動を行うことができる。敵対者(adversaries)は、空、海、サイバー、宇宙などの能力を駆使して、陸軍部隊(Army forces)に対して即座に致死性能力を発揮し、奇襲を利用する可能性がある。前方駐留部隊(forward-stationed forces)は、敵の攻撃に対する防御を準備するために、駐屯地から分散した場所に展開する準備をしなければならない。移行期間中の部隊防護(force protection)には、物理的安全対策、作戦安全対策、敵対者(adversary)の誤った通知や兵士・家族・支援組織・地域への影響に対抗するための積極的な情報の取組みが含まれる。

非戦闘員救出作戦:NONCOMBATANT EVACUATION OPERATIONS

4-108. 危機または武力紛争への移行に伴い、非戦闘員避難作戦(noncombatant evacuation operation :NEO)が必要となる場合がある。陸軍部隊(Army forces)は様々な条件下で非戦闘員避難作戦(NEO)を実施する。比較的安定した状況下で行われることもあれば、敵の戦闘員を巻き込んだ不安定な状況下で行われることもある。理想的には、リーダーが非戦闘員避難作戦(NEO)の必要性を予期し、危機や武力紛争の前に実行できるようにすることである。敵対者(adversary)の意図が不明確で暴力の脅威があると、避難民や地元住民の間に自暴自棄(desperation)が生まれ、非戦闘員避難作戦(NEO)を実施する部隊の複雑さとリスクが増大することがよくある。

4-109. 非戦闘員避難作戦(NEO)が要請、承認、指示されると、戦闘軍指揮官(CCDR)は国務省(Department of State)および首席公使(chief of mission)を支援するための避難作戦を実施するよう軍に指示する。非戦闘員避難作戦(NEO)、特に大規模なものは、他の任務に充てられるはずの陸軍部隊(Army forces)を必要とする。(非戦闘員避難作戦(NEO)の詳細についてはJP 3-68を参照)。

前方駐留部隊の初期の運用INITIAL EMPLOYMENT OF FORWARD-STATIONED FORCES:

4-110. 競争間または危機における重要な戦略的決定は、前方に配置された部隊が地形を保持するために前方を防御するか、より優位性ある位置へ移動するかである。この決定は、危機が予期せぬ形で展開し、決定点を迫られない限り、競争間に行われるべきである。移行の間、前方駐留陸軍部隊(forward-stationed Army forces)には3つの行動方針がある。統合部隊指揮官(JFC)は、陸軍部隊(Army forces)をホスト国の陸上構成部隊と一体化して移動防御または地域防御の一翼を担わせること、米陸軍部隊(U.S. Army forces)に戦域予備の役割を与えること、あるいは、両方の行動方針を組み合わせた計画を実行すること、ができる。戦域予備の役割があれば、統合部隊指揮官(JFC)は将来の攻撃作戦のために陸軍の戦闘力を温存することができる。陸軍部隊(Army forces)は、展開部隊を受け入れるために、重要な地形やインフラを守ることが必要になる場合がある。陸軍リーダーは、作戦地域(AO)の現況に基づいて、前方駐留部隊(forward-stationed forces)の最適な使用方法を統合部隊指揮官(JFC)に助言する。