指揮所の墓場 May-June 2023 Military Review
ウクライナでの戦いに関する報道や文献等によると、宇宙からの監視、監視・偵察ドローンの多用等々、地上に展開して作戦する部隊にとって気の抜けない作戦環境となっている。部隊の指揮・統制に欠かせない指揮所について考察した論文が米陸軍機関誌「Military Review」の5・6月号に掲載されているので紹介する。マルチドメイン作戦の信条(tenets of multidomain operations)の Agility、Convergence、Endurance、Depthのそれぞれの点から、指揮所の重要性と脆弱性の克服を満足するための今後あるべき指揮所の在り方(指揮・統制)について考察したものである。拡張現実(augmented reality)と仮想現実(virtual reality)を取り入れたアイデアも含まれている。なお、文中の下線部は訳者によるものである。(軍事)
指揮所の墓場
大規模戦闘作戦における指揮・統制について、チョルノバイウカが教えてくれるはずのこと
The Graveyard of Command Posts
What Chornobaivka Should Teach Us about Command and Control in Large-Scale Combat Operations
May-June 2023 Military Review
※ チョルノバイウカ(Chornobaivka)は、ウクライナ南部のヘルソン州、ヘルソンのライオンにある郊外の村
Lt. Gen. Milford “Beags” Beagle, U.S. Army
Brig. Gen. Jason C. Slider, U.S. Army
Lt. Col. Matthew R. Arrol, U.S. Army
ミルフォード「ビーグス」ビーグルJr(Milford “Beags” Beagle Jr)米陸軍中将はカンザス州フォート・レベンワースにある米陸軍諸兵科連合センターの司令官として、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップ、人事、施設、政策など、実戦部隊の近代化を一体化する責任を負っている。小隊から師団レベルまで複数の指導的立場にあり、ハワイから大韓民国まで世界中に派遣された経歴を持つ。第10山岳軽師団の師団長を務めた経験もある。サウスカロライナ州立大学から理学士号、カンザス州立大学から理学修士号、米陸軍高等軍事研究学校(SAMS)から理学修士号、米陸軍士官学校から理学修士号を取得した。
ジェイソンC.スライダー(Jason C. Slider)米陸軍准将は、米陸軍ミッション・コマンド高等研究所(CoE)の責任者である。米空軍戦争大学で戦略学の修士号を、ルイビル大学で人類学の学士号を取得。以前は、米陸軍訓練ドクトリン・コマンドのG-3/5/7副部長を務めていた。アフリカの角、フィリピン、アフガニスタンに派遣された経験を持つ。
マシュー・アロール(Matthew Arrol)米陸軍中佐は、フロリダ州ハールバート・フィールドにある米陸軍統合支援チームの司令官である。NATOの間接火力に関する一体化能力グループの貢献メンバーでもある。指揮参謀学校を卒業し、民間の学校教育ではミシガン州立大学で歴史と政治学の学士号、イースタン・ミシガン大学で経営学修士(MBA)を取得した。直近の作戦任務は、ドイツ・ラムシュタインの第19戦場調整分遣隊の副指揮官として、2016年から2020年まで勤務した。これまでの戦術的任務には、第16野戦砲兵連隊第3大隊の大隊作戦将校および執行官、第1騎兵師団のG-5火力計画担当者などがある。
衛星画像は、2022年3月15日、ロシア占領下のへルソン国際空港(ウクライナ・チョルノバイウカ(Chornobaivka))で、ウクライナの攻撃を受けて大規模な火災が発生し、多数の航空資産が破壊されている様子を示している。(写真提供:プラネット経由Twitter) |
ウクライナのチョルノバイウカ(Chornobaivka)にあるヘルソン国際空港は、ウクライナ軍がロシアの指揮所(Russian command post)を含む多様なロシアのターゲットを破壊した後、2022年12月7日に大きな被害を受けた。(写真提供:ウクライナ国防省) |
ウクライナでは、チョルノバイウカ(Chornobaivka)という村は伝説の村である[1]。歌にもなっている[2]。2022年、へルソン郊外にあるこの小さな町とその飛行場は、ロシア軍にとって肉弾戦の場となった。2月の最初の占領から11月の解放まで、ウクライナの攻撃は戦争ではめったに見られない正確さと致死性をもって降り注ぎ、散らばった防御者が地域の怪物リバイアサンを倒すことができた[3]。
愛国的な熱意はともかく、この苦労して勝ち取った勝利をよく観察すると、へルソン州におけるロシアの野望の残骸の下に潜んでいたのは、米国とその同盟国が耳を傾けるべき、レガシーな指揮所(command posts :CP)の脆弱性に関する警告であることがわかる。チョルノバイウカ(Chornobaivka)の物語は、指揮・統制に対する執拗な攻撃の一つであり、規模や戦術階層を問わず、ロシアの指揮所(CP)に対する組織的な攻撃によって特徴づけられる[4]。
ウクライナの複雑な火力攻撃は、8ヶ月の間に、ロシアの第8統合軍、第49統合軍、第22軍団、第76衛兵航空攻撃師団、第247衛兵航空攻撃連隊、およびその下部組織の本部を、22回にわたって攻撃することに成功した[5]。これらの攻撃は、ロシア軍のドニエプル川西側での連携作戦を計画・実施する能力を著しく低下させた。
効果的な指揮・統制を失ったことで、ロシアの勢いは衰え、獲得した利益を一体化することができず、最終的に追放に至った。その過程で、ウクライナはロシアの首脳部を打ちのめし、第49統合軍司令官のヤコフ・レサンツェフ(Yakov Resantsev)中将を殺害し、第8統合軍司令官のアンドレイ・モルディチェフ(Andrey Mordichev)中将をほぼ殺害した[6]。へルソンを越えても、集中的ではないにせよ、このパターンは似ている。
国全体の指揮所(CP)に対するウクライナの攻撃により、上級のロシア軍事指導者が大幅に減少している[7]。これは、ロシア軍の目的、動機、方向性の源泉を取り除くことで、ロシア軍の能力と意志に打撃を与えるというプログラム的なアプローチを反映している。どのように考えても、ウクライナ軍の成功は印象的である。ロシアの対ウクライナ戦争では、将校10人、大佐・中佐152人を含む1,500人以上の将校が死亡している[8]。
チョルノバイウカ(Chornobaivka)やその他の場所でのロシアの経験は、ロシア人が専門性、訓練、通信における課題を克服できなかったことや、指揮・統制に対する根本的に異なる哲学的アプローチによって説明できるとする人もいる[9]。ロシアの苦境を無能さだけに求めるのは、ある程度正しいが、ウクライナ側がマルチドメイン・ターゲティングによって敵の指揮・統制システムを体系的に解体している効果を軽視している。
さらに、ウクライナ軍は、実質的な空軍や大規模な長距離砲撃の恩恵を受けることなく、こうした効果を実現している[10]。この問題をロシアの軍事首脳部の失敗に限定することは、指揮・統制に破壊的な効果をもたらすことができる技術と能力が今日存在するという事実を無視することになる。中国を含む潜在的な敵対者は、指揮・統制システムを攻撃することを明確な目標としている[11]。特に、指揮所(CP)がターゲットにされるのは、それが容易にターゲットに出来るようになったからである。
南軍管区第49軍司令官のヤコフ・レザンツェフ(Yakov Rezantsev)中将は、ウクライナ軍が殺害したと主張する最高位のロシア軍将校である。ウクライナ当局は、2022年3月25日、へルソン市北西のチョルノバイウカ(Chornobaivka)飛行場にある指揮所(command post)に対するウクライナの攻撃により死亡したと主張している。(写真提供:pobeda26.ru/east2west news) |
現代の幕舎式指揮所(tented command posts)は、電波を発するアンテナ、何十台もの発電機や車両、大規模な支援要件を備えているため、訓練を受けていない人でも簡単にターゲットにすることができる。大規模戦闘作戦(large-scale combat operations)中、これらの指揮所(CP)は拡大し続けるセンサーに簡単に見られ、同様に戦場の縦深(depth)と幅に渡って補完的な影響を受けやすくなっている。
現代の指揮所(command post)のような仰々しいものには、真の聖域は存在しない[12]。ロシアを非難するのは早いかもしれないが、欧米の指揮所(CP)は残存性に大きな課題を抱えている。指揮所(CP)の移動性を向上させるための取組みがなされているとしても、この巨大な構造物のマルチスペクトラム・シグネチャを隠すことができず、さらに持続的な戦場監視と精密兵器があれば、せっかくのメリットが台無しになり、第2撃が不要になってしまう可能性が高い[13]。より高度な組織では、この残存性の問題はさらに深刻化する[14]。
チョルノバイウカ(Chornobaivka)の会戦(battle for Chornobaivka)は、2020年のナゴルノ・カラバフ戦争で導入された戦いの理論(theory of warfare)に焦点を当て、指揮・統制の用兵機能(warfighting function)に対するマルチドメイン効果の協調的な採用を通じて、現代の戦場の致死性と透明性を露わにする[15]。それは、この新しい時代の戦い(new era of warfare)のために指揮所(CP)を再考する必要性を明らかにするものである。
現在の指揮所(Command Post)パラダイム この図は、脅威のレベルに応じて、指揮所(CP)の有効性と指揮所(CP)の残存性の間で現在必要なトレードオフを表している。現在のパラダイムとそれに関連する指揮・統制システムおよびインフラストラクチャは、「今夜闘う(fight tonight)」シナリオにおいてトレードオフを必要とするものである。しかし、この記事の推奨事項を実施することで、トレードオフを減らし、有効性と残存性を確保するための敏捷性(agility)と保護の両方を保持する冗長な指揮所(command post)機能を実現することができる。(図:ミッション・コマンド高等研究所Mission command CoE) |
この差し迫った脅威に直面した米陸軍は、すべての用兵機能(warfighting functions)においてこの新しい作戦コンセプトに移行する際に、マルチドメイン作戦の信条(tenets of multidomain operations)を取り入れるために指揮・統制を変革しなければならない。大規模戦闘作戦(large-scale combat operations)において現代の戦場で闘い勝利するために、米陸軍の指揮所(CP)は、効果を犠牲にすることなく、より柔軟で俊敏、かつ復元的になることができ、またそうしなければならない。そうでなければ、我々の指揮所(CP)は指導者が死にに行くような場所になりかねない。
我々の指揮所(CP)がどのように進化しなければならないかを理解するためには、指揮所(CP)が米陸軍で果たす役割を理解することから始まる。その機能と現在の形態を定義した上で、その形態がいかに目的にそぐわず、マルチドメイン作戦の信条(tenets of MDO)と相容れないかを説明することが可能になる。これにより、大規模戦闘作戦(large-scale combat operations)に最適化された短期的な到達目標と客観的な最終状態で、マルチドメイン指揮・統制を促進するためのより良いアプローチについて議論することができるようになる。
カリフォルニア州フォートアーウィンのナショナル・トレーニング・センター(NTC)で訓練中の旅団戦闘チーム(BCT)の電子放射シグネチャを示す衛星画像である。旅団戦闘チーム(BCT)は南東から北西に攻撃していくつかの峠(重要地形)を占領しており、対抗部隊(OPFOR)は逆斜面防衛を実施している。旅団戦闘チーム(BCT)の前縁にある分散した色の地域と左下の強度の高い地域は、旅団戦闘チーム(BCT)の偵察部隊と先頭の機動大隊である。黄色で縁取られた明るいマゼンタ色の地域は、非常に目立つ電磁シグネチャを発する様々な指揮所(command post)や維持場所である。この画像は、現代の指揮所(command post)を探知や攻撃から隠すという課題を浮き彫りにしている。ナショナル・トレーニング・センター(NTC)の対抗部隊(OPFOR)は、電子戦システムを使用して、このような画像を訓練ツールとして生成し、訪問部隊に上空センサーからのデジタル・シグネチャを示すとともに、演習中にその部隊をターゲットにして、現代の戦場における敵の探知・観測技術による実際の脅威をシミュレーションするために、このような画像を使用する。(写真提供:米陸軍スコット・ウッドワード(Scott Woodward)大佐) |
米陸軍技術公刊物(ATP)6-0.5「指揮所の組織と作戦(Command Post Organization and Operations)」では、指揮所(command post)を「指揮官と参謀が活動を行う部隊の本部」と広く定義し、「指揮官は指揮所(Command Post:CP)内またはその他の場所で指揮を執る」と述べている[16]。この記述は、指揮所(command post)の目的である 「指揮官のミッション・コマンド(mission command)の遂行を支援する」ことを補強している[17]。
この言葉を知らない人のために説明すると、「ミッション・コマンド(mission command)」とは、米陸軍の哲学的なコンセプトで、「状況に応じて部下の意思決定と分権的な実行の権限を与える」指揮・統制のアプローチを表すものである[18]。
すべての国や軍種が指揮・統制を同じように捉えているわけではないが、多くは指揮所(CP)の目的を、作戦の理解、可視化、説明、指示、指導、評価のための指揮官のプロセスを可能にする道具として、同様に捉えている。適切で受け入れ可能な形態の指揮所(CP)は、これらの基準を達成しなければならない。
今日の指揮官の仕事に対する間違ったツール:Wrong Tool for the Job of Commanders Today
その核心は、現在の指揮・統制のジレンマが、指揮所(CP)が効果的で残存性が高くあるための機能上の要求のアンバランスを反映していることである。歴史を通じて、戦争の複雑さと規模が拡大するにつれて、指揮所(CP)の組織、構成、および拡散も拡大してきた。
指揮官とその参謀は、戦争の混沌の中で編成(formations)を統制し、敵よりも早く適切な判断を下し、指揮官の経験とリーダーシップを活用して効果を高めるための最善の手段を提供するために、これらの構造を誂えた。19世紀、産業レベルの戦いは、指揮所(CP)の産業モデルと、それを管理するための付随する官僚主義(accompanying bureaucracy)を生んだ[19]。
このアプローチは、200年経った今でも、ナポレオン参謀モデルに代表されるように、多くの点で残っており、組織デザインの主流となっている[20]。20世紀初頭、航空戦力の台頭は軍隊の有効性を大きく向上させたが、統制を複雑にし、21世紀には他の2つのドメインが加わることになる第3のドメインを同期化する必要性を生み出した。
米陸軍戦術指揮所(Army tactical command posts)の現在の構成は、サイズと電子署名のために大きな戦場の脆弱性をもたらしている。(写真提供:米陸軍) |
指揮官は、これらすべての地域を統制し、知識を得る必要があるため、人的・技術的な意思決定支援ツールに対する需要が生まれた。これは当初、機能的に拡張し続ける専門参謀という形で現れたが、今日では、コンピュータ・サーバーや、我々の作戦に溢れるデータの海を処理し意味を見分けるために必要なデジタル・アプリケーションという形でも現れている[21]。
理解や指揮官の可視化を可能にする決心の質の情報に対するこの飽くなき要求は、時代とともに高まるばかりである。現在の形では、これらのツールや参謀は指揮・統制システムの敏捷性(agility)を重くし、その脆弱性を桁違いに高めている。
2022年3月13日、破壊されたロシア軍の陣地を撮影したこのスクリーン・ショットをよく見ると、侵攻初期におけるロシアの指揮所(Russian Command Post)構成の車両や構造物が、現在の米国の指揮所(U.S. Command Post)構成のほとんどと酷似していることがわかる。(写真提供:ウクライナ軍) |
残存性を高めるために、指揮官は指揮所(CP)を保護しようと、小型化、硬化、分割、偽装、移動性の向上、航空、サイバー、電子攻撃を含むあらゆる脅威からの積極的な防御に努めた[22]。進歩する技術は、このジレンマの両側面に存在する。通信、自動化、情報技術によって、指揮所(CP)の構造を圧縮し、生産性を向上させることができるようになった。
しかし、技術は、さらなる機能・性能への入り口を作り出し、残存性には逆効果のサイズや構造を追加することにもなった。一般に、有効性と残存性のこの浮き沈みは漸進的なもので、ドクトリン、材料、デザインに反映される行動と反応は、革命的(revolutionary)というよりは進化的(evolutionary)であった。
たまに、進化には突然変異が含まれることがあり、それを放置すると、修正するために革命を必要とする脆弱性に転化することがある。過去20年間の米国の指揮所(CP)がそうであった。大規模戦闘作戦(large-scale combat operations)のスピード、複雑さ、致死性を考えると、我々の指揮所(CP)はその目的にそぐわないものとなってしまったのである。2001年以来、観察可能で攻撃的な脅威が存在しないため、世界的なテロとの戦争(Global War on Terrorism)の中で、指揮所(CP)は徐々に変化していった。
カリフォルニア州フォートアーウィンのナショナル・トレーニング・センター(NTC)で、訓練中にUAVによって撮影された指揮所(command post)の最近の俯瞰画像。機動部隊の指揮・統制を維持するために車両やテントが一箇所に集中することは、今日多くの軍隊で予測可能なパターンであるが、このような集中地帯を迅速にターゲッティングできる現代の検知・観測技術によって、戦場の脆弱性がますます高まっている。(写真提供:スコット・ウッドワード(Scott Woodward)米陸軍大佐) |
アフガニスタン侵攻後の13年間で、指揮所(CP)は大規模戦闘作戦(large-scale combat operations)に適したモデルからどんどん乖離していった。同時に、その組織とシステムによって、指揮官は前例のないレベルの統制と状況認識(situational awareness)を持つことができるようになった[23]。
時には、過剰要員、過処理、過ネットワーク化、過小評価された指揮所(CP)によるマイクロマネジメントを可能にし、ミッション・コマンド(mission command)という米陸軍のリーダーシップ哲学(leadership philosophy)そのものを脅かすことになった[24]。米陸軍では、このギャップが拡大した主な理由の1つは、対反乱作戦(counterinsurgency operations:COIN)に必要な兵力と能力を提供するために、戦術的な下位階層を対象に、ドクトリン、組織、訓練、資材、指導、人員、施設(DOTMLPF)の事業全体を指向していたためである。
例えば、米陸軍の訓練プログラムでは、戦闘訓練センターが20年近く、旅団戦闘チームの指揮所(CP)を評価し、以前は師団レベル以上にしか存在しなかったターゲッティングへの包括的かつプロセス主導のアプローチを促進する慣例(rubric)を使用していた。このため、このことに動機付けられた指揮官は、複雑な作戦を一体化する能力を支援するために、柔軟性、敏捷性(agility)、残存可能性の損失に対して十分な罰を与えることなく、大がかりなインフラを開発することになった[25]。
戦闘訓練センターの「教訓(lessons)」は、その時代と任務にふさわしいものであったとはいえ、有能な敵に対する非常に動的で、移動性があり、かつ致死性の戦いとは矛盾する不死身の感覚(invulnerability inconsistent)を、全世代の指導者に植えつけたのである。このようなアプローチを採用したのは米国だけでなく、世界各地で対テロ、対反乱作戦(COIN)に献身的に参加したNATO同盟国も同様であった[26]。
敵対者も、イラク自由化作戦(Operation Iraqi Freedom)の成功を再現することを望み、自国の遠征地域のもつれを懸念して、戦術的部隊階層における彼らの本部の規模を拡大させた[27]。皮肉なことに、今日の指揮官の経験(experience)、知識(knowledge)、直感(intuition)は、前例のない機能的専門家と技術的ツールのシステムによって支えられており、指揮官の決心のリスクは大幅に減少するが、任務と個人の安全に対するリスクは飛躍的に増大している。
指揮・統制に関するこの時期のすべての意味を完全に検証する余裕はここにはないが、ドクトリン、組織、訓練、資材、指導、人員、施設(DOTMLPF)の各構成要素は、2001年以降の経験と指揮・統制システムおよび指揮所(CP)に対する影響を評価するために独立して評価する必要がある。今日、我々の指揮所(CP)は、我々が必要とする無駄のない、平均的な、殺戮機械から変異し、代わりに太った、ずっしりと重たいものになっている。
ルイジアナ州フォートポークの統合即応性訓練センターで、第4歩兵師団第2歩兵旅団戦闘チーム第12歩兵連隊第1大隊の隊員が移動式戦術作戦センター内で作業している。(写真提供:米陸軍) |
指揮官の手に適切なツールを届ける:Putting the Right Tool in the Hands of Commanders
変化が訪れている。2022年10月に発表された米陸軍の基幹ドクトリン「フィールド・マニュアル3-0、作戦(FM3-0 Operations)」は、すべての用兵機能(warfighting functions)がレガシーな基盤から大きく離れることを成文化し、21世紀の陸上ドメイン(複数のドメインで作戦しながら)の持続的優位へと米陸軍を駆り立てようとするものである[28]。
マルチドメイン作戦(MDO)は、現在の環境における課題を認識し、指揮・統制システムの一要素である指揮所(command posts)は、俊敏性(agility)、コンバージェンス(収束性)(convergence)、耐久性(endurance)、縦深(depth)という信条に従わなければならないと強調している。指揮所(CP)を最適化するためには、物理的な次元(資材)への依存を減らし、情報の次元(データ)の活用を増やし、人間の次元(指導者)との関係を最大化する必要がある。
これら3つの側面(物理的な次元[資材]、情報の次元[データ]、人間の次元[指導者])は、米陸軍の訓練プログラム全体で指揮所(CP)を評価・査定するための新しい慣例(rubric)の枠組みを提供するものである。指揮・統制の新たな基盤を構築するために、マルチドメイン作戦の信条(tenets of MDO) の各項目を検討することは、何が本当に許容可能で、適切で、完全な指揮所(CP)デザインを構成するのか、有能な敵に対する大規模戦闘作戦(large-scale combat operations)において有効で残存可能であるのかを区別するのに役立つだろう。
敏捷性(Agility)。米陸軍の敏捷性(agility)の定義によれば、「敵よりも迅速に部隊を動かし、その配置や活動を調整する能力」であるが、現在の指揮所(CP)は、我々に実証的な優位性をもたらしていないのである[29]。敏捷性(agility)とは、スピードと素早く変化する機敏さを意味する。
現在、指揮所(CP)は、残存性の能力を維持し、作戦のペースを維持するために、設置、解除、配置、移動という作業を無限に繰り返すことになる。これだけでは、敵の妨害がなくても、作戦のテンポを乱し、決心の優位性(decision advantage)を低下させる。幕舎を撤去し、車両搭載システムに移行することで移動性を高めることは、この問題を解決することはできても、解消することはできない。移動性を高めても、我々の指揮所(CP)が新しい場所に到着したときに、以前と変わらないという事実に変わりはない。
2017年5月、アバディーン・プルービング・グラウンドで指揮所・コンピューティング環境(CPCE)のプロトタイプを実演する兵士たち。(写真:米陸軍 ダン・ラフォンテーヌ(Dan Lafontaine)) |
例えば、師団指揮所(division command post)が破壊された場合、旅団指揮所(brigade command post)がより低い能力でその役割と機能を引き受けなければならないかもしれないのに、旅団指揮所(brigade command post)が急速に師団指揮所(division command post)になることはできない。本当に重要なもの、つまり指揮官のプロセスを中心に指揮所(CP)を組織すれば、そのプロセスを提供するものには無関心でいられる。
我々の指揮所(CP)を場所や物ではなく、サービスとしてとらえれば、敏捷性(agility)を大幅に向上させることができるかもしれない。軍団、師団、旅団の指揮官が到着し、あらゆる指揮所(CP)を掌握し、ボタンを押すだけで適切な部隊階層の能力を受け取ることができるとしたらどうなるだろうか。もし、より高度な戦術的部隊階層の指揮所(CP)が、データの接続性(connectivity)とアクセス可能性(accessibility)に基づいて、本当に融通が利くようになったらどうだろうか。
もし、幕舎や何十台もの車両や発電機の代わりに、個人警備隊(3~4台)の大きさの専有面積(footprint)で指揮所(CP)機能を提供できるとしたらどうだろう[30]。敏捷性(agility)のテナントを実現するこのアプローチは、ゲームチェンジャーとなり、超活発な環境における指揮官の優位性を高めることができる。統合と米陸軍の能力を機敏に活用することで、コンバージェンス(収束性)(convergence)の条件が整う。
コンバージェンス(収束性)(convergence)。フィールドマニュアル3-0で新たに導入されたコンバージェンス(収束性)(convergence)の考え方は、「システム、編成(formation)、意思決定者、または特定の地理的領域に対して効果を生み出すために、あらゆるドメインの決定的なポイントの組み合わせに対して複数のドメインと部隊階層から能力を協調的に採用することによって生まれる結果」である[31]。
コンバージェンス(収束性)(convergence)は、統合全ドメイン指揮・統制(JADC2)によって達成されるため、将来の指揮所(future command posts)構成における原動力とならなければならない部分もある。コンバージェンス(収束性)(convergence)は、活動を簡素化するために部隊階層での能力を放棄するのではなく、より強固な一体化と相互運用性によって、より大きな効果を達成できるような指揮所(CP)デザインでなければならないことを思い起こさせる。
機械学習と人工知能が可能にするセンサー、シューター、意思決定者をつなぐ指揮所(CP)は、「行動の自由と任務の達成を可能にする利用可能な機会」を生み出すために、レガシーのキル・チェーン(kill chain)をキル・ウェブ(kill web)に変える[32]。
このようなデータ一体化の義務付けにより、指揮官のプロセス(理解、可視化など)を可能にする意思決定品質のデータが、現代の指揮所(CP)の中心に位置づけられる。敏捷性(agility)を維持し、適切なデータを適切な指導者に常に提供するために、指揮所(CP)は、意思決定を支援する主要な手段として、従来の縦割りシステム、オンサイト・サーバー、および付随する支援メカニズムにもはや頼ることができない。
その代わりに、クラウドに移行し、データ・メッシュとデータ・ファブリックのコンセプトを活用して、データを安全に整理し、指揮官とその参謀が使用できる方法で利用できるようにする必要がある。データ・メッシュとデータ・ファブリックは、データ管理に対する補完的なアプローチで、接続性(connectivity)とアクセス可能性(accessibility)を実現するものである。
データ・メッシュは、ドメイン内およびドメイン間でデータの作成、管理、共有を連携させる分散化したデータ・アーキテクチャである[33]。データ・ファブリックは、データ・メッシュ内のドメインで、データ一体化を自動化し、結合軍、同盟軍、パートナー軍を含む戦域の広さと縦深(depth)にわたってデータ成果物を見つけ、作成し、広く共有するための接続性(connectivity)とアクセスを可能にする。
民間部門におけるこれらのデータ管理コンセプトは、我々の指揮所(CP)の耐久性(endurance)と敏捷性(agility)を高め、指揮所(CP)の移転や敵の行動の影響によって閉じ込められ孤立する可能性のある単一のプラットフォームやリポジトリへの依存を減らすことができる。ここでは、物理的な次元から情報的な次元へのシフトが始まり、作戦を促進するために、大きく異なるアプローチとスキルセットが必要とされている。
データ中心の指揮所(data-centric command posts)では、指揮官はデータ開発、セキュリティ、運用エンジニアに頼ることができる。このエンジニアは、新しいアプリケーションの安全な開発と一体化を、作戦上のタイムラインで、必要な時点で迅速に行うことができる[34]。このようなデータ専門家は、現在のネットワーク中心の指揮所(network-centric command posts)の構成と編成を担当する作戦軍曹のレガシーな雇用に取って代わるだろう。
軍団の指揮・統制(C2)の挿話 これらの能力により、軍団指揮所(corps command post)から離れ、戦場で配下の旅団司令官と行動を共にしている軍団司令官が、予期せぬハイリスクかつタイム・センシティブな判断を要求するために、戦術無線で参謀から連絡を受けるというシナリオが可能になる。軍団司令官は、旅団指揮所(brigade command post)機能に即座にアクセスし、クラウドとメッシュ・ネットワークによって実現された共通作戦運用図(COP)アプリケーションのプルダウン・メニューを使用して、司令官が決定を下すために必要な可視化ツールと意思決定支援ツールに即座にアクセスすることができる。 |
これにより、指揮官は、独自の任務上の要求や指導者の好みに基づいて、指揮・統制システムを微調整できる柔軟性を得ることができる。残存性を維持するためには、「サービスとして(aaS)」提供されるものの物理的な配置を指揮所(CP)から切り離す必要がある。これには、通信(CaaS)、無線(Raas)、そして特に知識(KaaS)が含まれる。
「サービスとして(as-a-service)」モデルに馴染みのない方のために説明すると、「サービスとして(aaS)」は、運用と保守に必要な機能的専門知識とインフラを必要とする所有権ベースの維持管理の負担をアウトソースする破壊的なビジネスアプローチである。このような過去の慣行は、レガシー・システムとスキル・セットへの依存を強化し、イノベーションを停滞させる[35]。
「サービスとして(aaS)」のアプローチは、新しい技術とモビリティの迅速な導入を可能にし、プロバイダー間の競争への扉を開くことで、兵士が利用可能な最高の能力を持つことを保証する。例えば、ウクライナは衛星や関連するスキル・セット、支援インフラを所有することなく、スターリンク(Starlink)の能力をユニークかつ創造的に使用している。
しかし、指揮官が物理的な次元に依存するのを減らし、情報的な次元を優先させることで、指揮所(CP)全体のシグネチャを減らし、参謀を1つの場所に集める必要性を減らすことで、残存性を高めることができる。コンバージェンス(収束性)(convergence)の可能性を最大限に発揮するためには、指揮所(CP)は、イラクやアフガニスタンで闘った世代の指導者には認識できないほど適応する必要がある。
耐久性(endurance)。耐久性(endurance)とは、「作戦環境の縦深(depth)を通して時間をかけて耐え抜く能力」と定義され、マルチドメイン作戦(MDO) の次の重要な信条である[36]。より有能で俊敏な指揮所(CP)は、耐久性(endurance)に対して明らかな利益をもたらすが、その指揮・統制能力を長期にわたって維持することは、想像しうる限り最も過酷で最も致命的な状況下で行われる。
指揮所(CP)は、一時的な隔離や過酷な条件下で、復元性と持続性を示さなければならない。このことは、移動性の高い指揮所(highly mobile command posts)も、現在の拡張可能なバンやテントでは不可能な方法で保護されなければならないことを意味する。また、空挺部隊や軽遠征部隊など、指揮所(CP)を固めることが困難な部隊に拡張可能な能力を提供するソリューションを開発しなければならない。
そのためには、車両に搭載され、硬化した構造物を占拠し、密集した都市の地形に溶け込むために迅速かつ容易に降車できる、マルチモーダルな指揮所(CP)能力を追求すべきである。指揮所(CP)はまた、視覚、熱、電子、音響、そして近い将来には量子シグネチャを隠すことで、敵対者のターゲッティングを複雑にするマスキング能力も備えていなければならない[37]。
最終的に、あらゆる部隊階層にある指揮所(CP)の規模と構造を数台の戦術的装甲車に縮小することができれば、高い戦術的指揮所(high-tactical command posts)と作戦的指揮所(operational command posts)の異常なシグネチャは、装甲車が偏在する戦場の電磁スペクトラムや背景の乱れに消えていくことになる。
このようにして、敵に優先的かつ価値の高いターゲットを見分ける能力を失わせることができる。この能力は、精密弾薬が不足することもある環境では貴重な能力である。このアプローチは、「すべての戦いは欺瞞に基づいている(all warfare is based on deception)」という孫子の訓示を強化し、それを指揮所(CP)に適用することで、我々の指揮所(CP)が指揮する作戦に反映されることを望むトーンを設定する[38]。
ワシントン州ルイスマコード基地の第2歩兵師団第2ストライカー旅団戦闘チームによる運用試験中の指揮所一体化インフラ・システム(Command Post Integrated Infrastructure System)を収容するM1087拡張バンシェルター。(写真:米陸軍作戦試験コマンド フレデリック・E・エステップ(Frederick E. Estep)米陸軍1等軍曹)。 |
また、物理的、情報的、人的な残存可能性は、耐久性(endurance)の一側面に過ぎないことも忘れてはならない。また、耐久性(endurance)には持続性(sustainment)という側面もあり、どのような指揮・統制システムであっても現場に投入されることを意味する。つまり、どのような指揮・統制システムであっても、無期限で作戦が可能でなければならない。過去には、このことは、作業-休息-整備のサイクルを支援するために、山のような兵站と人員を意味したかもしれない。
将来的には、産業界がグローバルなワークフローを管理するのと同じように、ミッション・コマンド(mission command)を分散化したノード(distributed nodes)のコンステレーション内のいずれかの分散化した指揮・統制ノード(distributed command-and-control nodes)に転送するだけで、この問題を解決できるかもしれない。
第4歩兵師団は、2021年12月、コロラド州フォート・カーソンの訓練場で、CPI2(Command Post Infrastructure Integration)テスト中に、新しい師団戦術作戦センターのセットアップを完了させた。CPI2のデザインにより、戦術作戦に必要な物理的面積を削減しながら、師団司令部の拡張性、モジュール性、俊敏性を高めることができる。(写真:モンティ・ブラミレス(Monty Blamires)米陸軍少佐) |
縦深(depth)。最後に、残りの作戦の考え方である「縦深(depth)」に対して将来の指揮所(future command posts)を評価する場合、指揮所(CP)が「時間、空間、(認識的)目的において作戦を拡張する[39]」能力を測定することができる。
マルチドメイン作戦の枠組みを拡大すると、大規模戦闘作戦(large scale combat operations)の過活動の本質を相殺し、指揮官に比較優位をもたらすような形で、機会を利用または創出するために効果を最適化する指揮・統制ノードを示唆する。
また、この優位性は、攻めと守りの統合全ドメイン・パートナーの一体化によって達成される。人的、物理的、情報的な3つの次元すべてにおいて、また作戦の枠組み全体を通じて効果を発揮することを可能にし、同時に自軍の戦闘力を保護することができる。
これらの補完的な取り組みにより、友軍は敵の能力に対して戦闘力を発揮し、時間と空間における優位性を獲得することができる。また、敵の意思決定サイクルを中断または延長することで、敵の認知的縦深(cognitive depth)を混乱させ、さらに友軍指揮官にとって有利な状況を作り出すことができる。縦深(depth)の時間的、空間的、認知的側面にわたる複合的な効果は、友軍の作戦範囲を拡大する。
人間の次元:The Human Dimension
戦争は、現在も将来も、人間の努力(human endeavor)によるものである。指揮所(CP)が存在するということは、指揮官の理解や意思決定における人間の能力の限界と、物理的な手の届かないところでのリーダーシップの有効性を増幅させる必要性を物語っている。
このように、大規模戦闘作戦(large-scale combat operations)中の指揮・統制における人間的側面と心理の重要性は、いくら強調してもし過ぎることはない。米陸軍の指揮・統制の哲学であるミッション・コマンド(mission command)を採用する場合は、信頼、理解の共有、意図、部下の主導性を非常に重視するため、現在または将来の指揮所(future command post)モデルの価値を検討する際には、指導者の近接性がより重要になる[40]。
大規模戦闘作戦(large-scale combat operations)において、指揮官はリーダーシップを発揮するために物理的に存在する能力だけでなく、理解を得るために必要な場所に素早く移動する能力も必要である。士気やモチベーションを高めるという観点からは、特に陸上ドメインにおける指導者は、率いる者の苦難や危険を分かち合う姿を見せる必要がある。
ミッション・コマンド(mission command)に必要な信頼(trust)と結束(cohesion)は、指揮官が作戦遂行に個人的に関与し、利害関係を持つことから生まれる。現在、これは物理的な意味で、「戦場循環(battlefield circulation)」や部隊の拠点への常駐を通じて行われているが、時間がかかるだけでなく、高いリスクを伴う可能性がある。
あるいは、指揮官は音声通信によって近接の問題を事実上解決することもできるが、この方法では文脈が限定され、ストレス下にある部下の心理的ニーズに必ずしも応えられない可能性がある。チョルノバイウカ(Chornobaivka)では、最も単純な作戦であっても、ロシアの上級指導者が前方に大きく展開した理由の1つが通信の不備であった。
そのためには、指揮所(CP)は、指揮官と参謀、指導者と被指導者の距離が近くなるような、確実で冗長性のある通信手段を備えていることが望ましい。このような課題と望ましい特性を考慮すると、将来の指揮所(future command post)を想像することは困難であるが、不可能ではない。
目標とする指揮所の組織デザインとその採用について:Organizational Design and Employment of an Objective Command Post
我々自身のチョルノバイウカ(Chornobaivka)を回避し、敏捷性(agility)、コンバージェンス(収束性)(convergence)、耐久性(endurance)、縦深(depth)といった特性を備えた指揮・統制を提供するためには、効果的で残存性の高い指揮所(CP)が非物理的な構造で存在する必要がある。我々は、機能、プロセス、能力を集約し、一体化しなければならないが、それらを提供するために歴史的に関連付けられてきた人、設備、および物事は関係ない。
これは、行動指針の策定における実現可能性の基準に反すると思われるかもしれないが、深く分析すると、現在その技術は存在し、オンラインゲームの世界が我々に道を示していることがわかる。マルチドメイン作戦(MDO)の信条(tenets of MDO)を満たすためには、拡張現実(augmented reality)と仮想現実(virtual reality)の両方に大きく依存する必要がある。米陸軍はすでに両技術を実験しているが、指揮・統制空間におけるその有用性をまだ十分に追求していない[41]。
仮想世界(virtual world)では、指揮官は物理的な指揮所(physical command post)全体を必要に応じて複製、拡張、横断、対話することができ、自分がいる部屋や車両から離れる必要はない。指揮所(CP)間をシームレスに移動し、必要な時に必要な場所に存在することができる。将来の陸軍指揮所(future Army command posts)の1つのビジョンは、レガシー構造における「機能的参謀幕舎(functional staff tent)」だったものを表す、3~4台の小型装甲車による指揮・統制ノードの拡散である。
これらのノードは、戦場に広く分散し、移動可能である。ソフトウェアやデータ・エンジニアの支援により、指揮官や参謀は、さまざまなタスク、時間軸、または機能横断的な領域を中心にこれらのノードを編成することができる。これらの分散化した指揮・統制ノード(distributed command-and-control nodes)は、物理的環境において接続され、作戦を遂行することができるようになる。
国防総省は、移動中の電力能力を戦場に届ける速度を向上させるため、Army Futures Commandのモバイルパワープログラムを選択した。(写真:、米陸軍戦闘能力開発コマンド、C5ISRセンター広報のダン・ラフォンテーヌ(Dan Lafontaine)) |
拡張現実(augmented reality)を利用することで、指揮官や参謀は没入型の仮想空間(immersive virtual space)にアクセスし、必要な指揮・統制の部隊階層にアクセスすることができる。これにより、指揮官は、指揮所(CP)のコンステレーションを初期化、設定、接続し、データ・メッシュ内のすべてのデータ、知識、意思決定支援ツールへのアクセスを維持することができる。
広範囲に分散した指揮・統制ノードのコンステレーションで作戦地域(area of operations)を埋め尽くし、マスキング技術で戦場のシグネチャを減らすことで、最も能力の高い敵のターゲティング・プロセスの有効性を最小化することができるだろう。指揮・統制ノードが同様のデザインの戦術的機動要素とともに運用される場合、敵のターゲティングのジレンマをさらに悪化させることになる。
残念ながら、このアプローチでは、確実な通信がさらに重要になり、かなりの帯域幅が必要になる。しかし、最近の宇宙ベースの能力開発と量子通信の科学は、当面の間、帯域幅が制限要因にならない可能性を示している[42]。また、量子的なソリューションによって、レガシー・アンテナへの依存や、現代の戦場における電磁シグネチャに関連するリスクを排除できるかもしれない。
通信はともかく、このアプローチでは、指揮官や参謀が仮想世界(virtual world)でやりとりしていることを忘れるような「アバター」レベルの仮想現実(virtual reality)を実現するために、開発者や合成訓練コミュニティ(synthetic training community)が多大な仕事(significant work)が求められる[43]。物理的に存在しなくても、戦場のどこにでも自分の存在を映し出すことができる指揮官の優位性は、革命的なものである。
ここで述べた目標の最終状態への道は、資源を必要とし、米陸軍の上級指導者による集中的かつ指示された指導、産業界との連携、政治的な賛同が必要である。しかし、それは可能であり、やらなければならない。
大きく考え、小さく始めて、速く行き、そして制度化する:実践的デモ:Think Big, Start Small, Go Fast, and Institutionalize: A Practical Demonstration
上記で提案した変化の大きさは、必然的に批判や反対を招き、支持と勢いを得るために初期の「勝利(wins)」が必要となる。このアイデアを指揮・統制システムに導入する成功のためには、小規模なものから始めて、実験を通じて有用性を実証する必要がある。
仮想現実(virtual reality)や拡張現実(augmented reality)を利用したマルチドメイン作戦対応型指揮所(multidomain-operations-capable command post)のテスト・ケースとして、作戦上動的な環境下で物理的・機能的一体化を維持することが常に求められる組織、師団の統合空地一体化センター(JAGIC)での実験が有効だろう。
この30人ほどの小さな指揮・統制拠点は、米陸軍と米空軍の人員と、さまざまな機能を実行する連絡部隊で構成されている。現在、これらの組織は、近接の闘い(close fight)において効果的かつ効率的に統合効果(joint effects)を発揮するために結集する必要がある。その価値にもかかわらず、これらの組織が本質的に持っている問題は、駐屯地では、それらが存在しないことである。
訓練や作戦のために必要な場合、統合空地一体化センター(JAGIC)は師団や航空支援作戦分隊の参謀から編成される。そのため、人員配置のサイクルや駐屯地での活動を考慮すると、高度な熟練度、ましてや専門性を備えた統合空地一体化センター(JAGIC)を編成、訓練、維持することは非常に困難である。この場合、仮想(virtual)統合空地一体化センター(JAGIC)は完全な指揮所(CP)の縮図として機能することができる。
このように、この実験は、既存の現実的で持続的な即応性の課題に取り組むと同時に、米陸軍全体の指揮所能力の向上への道筋を示すことになる。
結論:チョルノバイウカを過ぎて口笛を吹く?:Conclusion: Whistling Past Chornobaivka?
夜の教会の庭で、木漏れ日を頼りに、かばんを手にした小学生が、勇気を出すために声を出して口笛を吹いているのを見たことがある。
スコットランドの詩人ロバート・ブレア(Robert Blair)、1745年[44]
最近、米陸軍のナショナル・トレーニング・センターを気軽に訪れ、ツイッター・フィードを通じてウクライナ戦争を注視している人なら、あの環境では米軍の指揮所(CP)が苦戦することを証明できるだろう。米陸軍は、大規模戦闘作戦(large-scale combat operations)に最適化された画期的な新しい指揮所(CP)構造を一夜にして導入することはできないかもしれないが、中国のような有能な潜在的敵対者に対してであっても、戦争の差し迫った見通しに直面した場合、無力ではない。
指揮官は毎日、大規模戦闘作戦(large-scale combat operations)中にマルチドメイン作戦(MDO)を実施する立場から、脅威を現実的に理解した上で彼らの指揮所(CP)を評価し、その環境に備えることができるようになる。師団レベル以上の指揮官であれば、統合一体化(joint integration)、ターゲティング、その他戦術的エッジのためのプロセスなど、より重い仕事をすることで支援することができる。
同時に、米陸軍は将来に焦点を当て続けなければならない。この記事で取り上げたすべてを可能にする技術は、ここにあるか、あるいは近い将来に登場するものである。世界の安全保障情勢を考えると、漸進的な変化で我々の指揮所(CP)の課題に対処する時間はなさそうである。
米軍と欧米諸国は、指揮・統制システムと指揮所(CP)の近代化について、危機感、リーダーシップ、目的の統一をもって、チョルノバイウカ(Chornobaivka)の教訓に応えなければならない。
・・・・・・
ジョン・アンタル(John Antal)米陸軍大佐(退役)には、我が軍に対する継続的なリーダーシップと支援に特別な謝意を表す。
ノート
[1] “Зеленський: Чорнобаївка увійде в історію. Інформаційне агентство” [Zelenskyy: Chornobayivka will go down in history], Ukrainian Independent Information Agency, 20 March 2022, accessed 14 March 2023, https://www.unian.ua/war/zelenskiy-chornobajivka-uviyde-v-istoriyu-novini-vtorgnennya-rosiji-v-ukrajinu-11751448.html.
[2] Фольклорний гурт “Святовид” (ЗСУ) – Чорнобаївка/Chornobaivka (with English subs), YouTube video, posted by “ListenPlay&Enjoy,” 3 May 2022, accessed 14 March 2023, https://www.youtube.com/watch?v=cVg8iKwc25I ; ЧОРНОБАЇВКА (Chornobaivka) , YouTube video, posted by “Анімаційні історії,” 12 April 2022, accessed 14 March 2023, https://www.youtube.com/watch?v=X6Itg1km3cg ; Alcohol Ukulele – Чорнобаївка [Alcohol ukulele – Chornobaivka], YouTube video, posted by “Alcohol Ukulele,” 31 March 2022, accessed 15 March 2023, https://www.youtube.com/watch?v=SK2mIKNcWNY.
[3] Zhanna Bezpiatchuk, “Ukraine War: Chornobaivka Airbase, Symbol of Russian Defeat,” BBC News, 29 November 2022, accessed 14 March 2023, https://www.bbc.com/news/world-europe-63754797.
[4] David Axe, “In Southern Ukraine, Kyiv’s Artillery Drops Bridges and Isolates a Whole Russian Army,” Forbes (website), 29 July 2022, accessed 14 March 2023, https://www.forbes.com/sites/davidaxe/2022/07/29/in-southern-ukraine-kyivs-artillery-drops-bridges-and-isolates-a-whole-russian-army/?sh=4e11426d1e1a.
[5] “Чорнобаївка, де ЗСУ 6 разів знищили окупантів, увійде в історію воєн, – зеленський” [Chornobayivka, where the armed forces of Ukraine destroyed the occupiers 6 times, will go down in the history of wars, – Zelenskyy], РУДАНА, 20 March 2022, accessed 14 March 2023, https://rudana.com.ua/news/chornobayivka-de-zsu-6-raziv-znyshchyly-okupantiv-uviyde-v-istoriyu-voyen-zelenskyy ; Julie Coleman, “Ukraine Says It’s Killed one of Russia’s Top Generals in Ukraine,” Business Insider, 25 March 2022, accessed 14 March 2023, https://www.businessinsider.com/ukraine-claims-its-killed-one-of-russias-top-generals-in-ukraine-2022-3 ; Jay Beecher, “Update: Ukrainian Rocket Strike Killed Twelve Russian Officers near Kherson,” Kyiv Post (website), 13 July 2022, accessed 14 March 2023, https://www.kyivpost.com/post/2295 ; “Пекло для рашистів на півдні України: вражаюча кількість знищених об’єктів та техніки армії РФ за одну добу” [Hell for Russian soldiers in the south of Ukraine: An impressive number of destroyed objects and equipment of the Russian army in one day], Defense Express, 6 August 2022, accessed 14 March 2023, https://defence-ua.com/news/peklo_dlja_rashistiv_na_pivdni_ukrajini_vrazhajucha_kilkist_znischenih_objektiv_ta_tehniki_armiji_rf_za_odnu_dobu-8452.html ; “Ворожий склад з боєприпасами та командний пункт 247 десантно-штурмового полку знищено в Чорнобаївці, – ОК ‘Південь’” [The enemy warehouse with ammunition and the command post of the 247th Airborne Assault Regiment were destroyed in Chornobayivka, – OK “Pivden”], Censor.net, 23 August 2022, accessed 14 March 2023, https://censor.net/ua/news/3362604/vorojyyi_sklad_z_boyeprypasamy_ta_komandnyyi_punkt_247_desantnoshturmovogo_polku_znyscheno_v_chornobayivtsi.
[6] Olena Roshchina, “Another General: Commander of Russia’s 49th Army Killed by Ukrainian Armed Forces, Says Arestovych,” Ukrayinska Pravda, 25 March 2022, accessed 14 March 2023, https://www.pravda.com.ua/eng/news/2022/03/25/7334482/ ; Ben Tobias, “Russian General Yakov Rezantsev Killed in Ukraine,” BBC News, 26 March 2022, accessed 14 March 2023, https://www.bbc.com/news/world-europe-60807538.
[7] Phelan Chatterjee and Sam Hancock, “Ukraine War: Exiled Governor Reports Strike on ‘Wagner HQ,’” BBC News, 12 December 2022, accessed 14 March 2023, https://www.bbc.com/news/world-europe-63933132 ; David Axe, “The Ukrainians Keep Blowing Up Russian Command Posts and Killing Generals,” Forbes (website), 23 April 2022, accessed 14 March 2023, https://www.forbes.com/sites/davidaxe/2022/04/23/the-ukrainians-keep-blowing-up-russian-command-posts-and-killing-generals/?sh=5f78a6f9a350 ; John Varga, Tom Watling, and Katherine McPhillips, “Zelensky Launches Christmas Revenge Attack on Russian HQ before Jet Explodes,” Express, 27 December 2022, accessed 14 March 2023, https://www.express.co.uk/news/world/1713889/ukraine-live-war-zelensky-russian-hq-hit-kherson-region-putin-belarus-mig-31-fire.
[8] William Booth, Robyn Dixon, and David L. Stern, “Russian Generals Are Getting Killed at an Extraordinary Rate,” Washington Post (website), 26 March 2022, accessed 14 March 2023, https://www.washingtonpost.com/world/2022/03/26/ukraine-russan-generals-dead/ ; Will Stewart and David Averre, “Putin ‘Has Lost 160 Generals and Colonels among 1,500 Officers’, Ukrainian Military Official Claims,” Daily Mail Online, 28 November 2022, accessed 14 March 2023, https://www.dailymail.co.uk/news/article-11477163/Putin-lost-160-generals-colonels-1-500-officers-Ukrainian-military-official-claims.html.
[9] Tom Nagorski and Joshua Keating, “Ukraine Mystery: Why Have So Many Russian Generals Been Killed?,” Grid News, 7 April 2022, accessed 14 March 2023, https://www.grid.news/story/global/2022/04/08/ukraine-mystery-why-have-so-many-russian-generals-been-killed/ ; Austin Wright, “Why Russia Keeps Losing Generals,” Foreign Policy (website), 20 July 2022, accessed 14 March 2023, https://foreignpolicy.com/2022/07/20/why-russia-keeps-losing-generals-ukraine/.
[10] Sébastian Seibt, “Devastating Strike on Russian Military Base in Ukraine Exposes ‘Gross Criminal Incompetence,’” France 24, 4 January 2023, accessed 14 March 2023, https://www.france24.com/en/europe/20230104-devastating-strike-on-russian-military-base-in-ukraine-exposes-gross-criminal-incompetence.
[11] Jeffrey Engstrom, Systems Confrontation and System Destruction Warfare: How the Chinese People’s Liberation Army Seeks to Wage Modern Warfare (Santa Monica, CA: RAND Corporation, 2018), accessed 14 March 2023, https://www.rand.org/pubs/research_reports/RR1708.html.
[12] Mykhaylo Zabrodskyi et al., “Preliminary Lessons in Conventional Warfighting from Russia’s Invasion of Ukraine: February–July 2022,” Royal United Services Institute, 30 November 2022, accessed 14 March 2023, https://rusi.org/explore-our-research/publications/special-resources/preliminary-lessons-conventional-warfighting-russias-invasion-ukraine-february-july-2022.
[13] Samuel Northrup, “New Army Vehicles Being Developed to Counter Modern Threats,” Army.mil, 3 April 2019, accessed 14 March 2023, https://www.army.mil/article/219567/new_army_vehicles_being_developed_to_counter_modern_threats.
[14] Michael Greenberg, “It’s Time to Fix the Command Post: Optimizing Headquarters’ Mobility, Survivability, and Interoperability for the Future Fight,” Modern War Institute at West Point, 19 August 2020, accessed 14 March 2023, https://mwi.usma.edu/its-time-to-fix-the-command-post-optimizing-headquarters-mobility-survivability-and-interoperability-for-the-future-fight/.
[15] John F. Antal, 7 Seconds to Die: A Military Analysis of the Second Nagorno-Karabakh War and the Future of Warfighting (Philadelphia: Casemate, 2022).
[16] Army Techniques Publication 6-0.5, Command Post Organization and Operations Army (Washington, DC: U.S. Government Publishing Office [GPO], 1 March 2017), 1-1, accessed 14 March 2023, https://armypubs.army.mil/epubs/DR_pubs/DR_a/pdf/web/ATP%206-0_5%20(final).pdf.
[17] Ibid.
[18] Field Manual (FM) 6-0, Commander and Staff Organization and Operations (Washington, DC: U.S. GPO, 16 May 2022), 1-3. accessed 14 March 2023, https://armypubs.army.mil/epubs/DR_pubs/DR_a/ARN35404-FM_6-0-000-WEB-1.pdf.
[19] Frederick Winslow Taylor, The Principles of Scientific Management (New York: Harper & Brothers, 1911).
[20] John F. Price Jr., “Napoleon’s Shadow: Facing Organizational Design Challenges in the U.S. Military,” Joint Force Quarterly 68 (1st Quarter, 2013): 48–52, accessed 14 March 2023, https://ndupress.ndu.edu/Portals/68/Documents/jfq/jfq-68/JFQ-68_48-52_Price.pdf.
[21] Jaspreet Gill, “At Project Convergence, Data Management Is Army’s Biggest Challenge,” Breaking Defense, 15 November 2022, accessed 14 March 2023, https://breakingdefense.com/2022/11/at-project-convergence-data-management-is-armys-biggest-challenge/.
[22] Stew Magnuson, “Army Scrambles to Make Command Posts Survivable,” National Defense (website), 1 December 2017, accessed 14 March 2023, https://www.nationaldefensemagazine.org/articles/2017/12/1/army-scrambles-to-make-command-posts-survivable.
[23] Jeremy Horton and Ted Thomas, “Adapt or Die: Command Posts – Surviving the Future Fight,” Army.mil, 27 May 2020, accessed 14 March 2023, https://www.army.mil/article/235968/adapt_or_die_command_posts_surviving_the_future_fight.
[24] Justin T. DeLeon and Paolo G. Tripodi, “Eliminating Micromanagement and Embracing Mission Command,” Military Review 102, no. 5 (September-October 2022): 88–98, accessed 14 March 2023, https://www.armyupress.army.mil/Journals/Military-Review/English-Edition-Archives/September-October-2022/DeLeon-Tripodi/.
[25] U.S. Army Center for Army Lessons Learned (CALL), National Training Center Operations Group Fire Support Handbook (Fort Leavenworth, KS: CALL, November 2020), accessed 14 March 2023, https://usacac.army.mil/sites/default/files/publications/21558.pdf.
[26] Federico Clemente Clemente, Jan Willem Streefkerk, and Marcel Scherrenburg, The Future of the Command Post, part 1 (Utrecht, NL: NATOC2COE, January 2019), accessed 14 March 2023, https://c2coe.org/download/the-future-of-the-command-post-part-1/.
[27] Nick, Mordowanec, “Intelligence Report Reveals 3 Intrinsic Russian Tactical Unit ‘Weaknesses,’” Newsweek (website), 29 November 2022, accessed 14 March 2023, https://www.newsweek.com/intelligence-report-reveals-3-intrinsic-russian-tactical-unit-weaknesses-1763215.
[28] FM 3-0, Operations (Washington, DC: U.S. GPO, 1 October 2022), 1-3, accessed 14 March 2023, https://armypubs.army.mil/epubs/DR_pubs/DR_a/ARN36290-FM_3-0-000-WEB-2.pdf.
[29] Ibid., Glossary-3.
[30] John Antal, “Sooner Than We Think: Command Post Survivability and Future Threats,” 4 August 2022, in The Convergence: An Army Mad Scientist Podcast, episode 62, 44:13, accessed 14 March 2023, https://theconvergence.castos.com/episodes/62-sooner-than-we-think-command-post-survivability-and-future-threats-with-col-ret-john-antal.
[31] FM 3-0, Operations, Glossary-5.
[32] Christian Brose, The Kill Chain: Defending America in the Future of High-Tech Warfare (New York: Hachette Books, 21 April 2020); FM 3-0, Operations, 3-3.
[33] “What Is a Data Mesh?,” IBM, accessed 14 March 2023, https://www.ibm.com/topics/data-mesh.
[34] “What is DevSecOps?,” IBM, accessed 14 March 2023, https://www.ibm.com/topics/devsecops.
[35] Daniel Newman, “Why the ‘As-A-Service’ Model Works so Well for Digital Transformation,” Forbes (website), 27 June 2017, accessed 14 March 2023, https://www.forbes.com/sites/danielnewman/2017/06/27/why-the-as-a-service-model-works-so-well-for-digital-transformation/?sh=7ed867b86490.
[36] FM 3-0, Operations, Glossary-6.
[37] Michiel van Amerongen, “Quantum Technologies in Defence & Security,” NATO Review, 3 June 2021, accessed 14 March 2023, https://www.nato.int/docu/review/articles/2021/06/03/quantum-technologies-in-defence-security/index.html.
[38] Sun Tzu, The Art of War, with introduction by B. H. Liddell Hart, trans. Samuel B. Griffith (Oxford: Oxford University Press, 1971), 66.
[39] FM 3-0, Operations, Glossary-6.
[40] Scott Schroeder (command sergeant major, retired, U.S. Army Forces Command), in discussion on command and control with author Matthew Arrol, 6 December 2022.
[41] Lisa Daigle, “Army Goes Deep into VR/AR for Training and Combat,” Military Embedded Systems, 17 October 2022, accessed 14 March 2023, https://militaryembedded.com/radar-ew/sensors/army-goes-deep-into-vrar-for-training-and-combat.
[42] “NIST-Led Research Shows Advantages of Quantum-Enabled Communications for Internet,” National Institute of Standards and Technology, 28 October 2022, accessed 14 March 2023, https://www.nist.gov/news-events/news/2022/08/nist-led-research-shows-advantages-quantum-enabled-communications-internet.
[43] Avatar, directed by James Cameron (Los Angeles: 20th Century Studios, 2009).
[44] Robert Blair, “The Grave,” All Poetry, accessed 14 March 2023, https://allpoetry.com/The-Grave-.