生き残るために、騙すために:陸上戦におけるデコイ (warontherocks.com)

陸上戦におけるデコイに関する記事を紹介する。科学・技術の進展によってデコイにも変化が必要になっている状況が興味深い。(軍治)

生き残るために、騙すために:陸上戦におけるデコイ

TO SURVIVE, DECEIVE: DECOYS IN LAND WARFARE

RÉMY HÉMEZ

APRIL 22, 2021

編集部注:この記事は、Défense & Sécurité Internationale(DSI)に掲載されたフランス語の論文から抜粋したものである。

多くの本や新聞で見られるモノクロ写真は、ノルマンディ上陸(D-Day)侵攻に不可欠な欺瞞(deception)を説明するために、4人の男性がバラックと思われる場所の近くで30トンのシャーマン戦車を運んでいる様子である。この有名な画像は奇妙である。もちろん、この写真に写っているのは膨張式の戦車(inflatable tank)で、1944年のノルマンディー上陸作戦にまつわる膨大かつ複雑な欺瞞作戦(deception operation)に使われたデコイである。

シャーマンM4戦車を模した膨張式の戦車(inflatable tank)で、フォーティテュード作戦の一環としてドイツ軍の航空偵察任務を欺くために作られたもの。写真:IWM

陸上戦術的デコイ(Land tactical decoys)とは、敵の観測者を欺くことを意図した装甲車、架橋能力、砲弾、レーダーなどの替え玉装備(dummy equipment)や施設(建物、橋、滑走路)である。古来より戦い(warfare)において標準的に使用されてきた。

数え切れないほどの例の中で、比較的現代的なデコイとしては、アメリカ南北戦争のクエーカー砲(大砲を模した丸太)、1918年9月のメギドの戦い(Battle of Megiddo)でイギリスが使用した木と毛布でできた「馬(horses)」、1942年のバートラム作戦(Operation Bertram)のために女王陛下の土木工兵が作った8,400台の替え玉車両(dummy vehicles)や各種装置などである。最近では、1990年と1991年のイラク、1999年のコソボのセルビア人シリアとイラクの自称イスラム国イエメンのフーシ派2020年のナゴルノ・カラバフのアルメニア人とアゼルバイジャン人が使用した敵機を欺くさまざまなデコイがある。

木と毛布でできた「馬(horses)」

当然のことながら、欧米諸国の主要な潜在的敵対者(adversaries)は、自国の軍隊にデコイの居場所を確保している: 例えば、中国は装備も充実しており、作戦行動においてデコイを重要な位置づけに置いているように見える。また、北朝鮮は自国の装備を保護するためにデコイを集中的に使用し、戦い(warfare)で広範に使用する計画であると伝えられている。

ロシアは、長年の軍事ドクトリンである「マスチロフカ(maskirovka(欺瞞(deception))」に忠実であり、モスクワ地方のナカビノ付近に専門の部隊(独立迷彩第45連隊)を置くほど、デコイに気を配っている。

しかし、西側諸国の軍隊は、デコイ作戦を取りやめたように見える。その主な理由は、あまりにも長い間、「作戦上の快適さ(operational comfort)」、特に海外介入時の明白な航空優位の恩恵を受けてきたからである。

2014年と2015年のクリミアとドンバスでの紛争が示したように、西側の軍隊が、欺瞞(deception)とデコイを常用するだけでなく、より重要なことに、敵を観察し検出する手段も持っている、洗練された同等またはほぼ同等の敵対者(peer or near-peer adversaries)との衝突に備えることを真剣に考えるなら、それは変えなければならない。

対等な脅威に対抗するフランス軍の能力回復に尽力するフランス陸軍参謀長ティエリー・ブルカール元帥の言葉を借りれば、「あまりにも長い間、我々は策略の利用を軽視してきた。それは、敵を欺くことを組織的に試みなければならない中隊の戦術的機動に始まり、部隊にデコイ手段を装備させることに続く」。と述べている。とはいえ、欺瞞の価値(value of deception)が広く認められている一方で、それを地上で運用することは困難であることが判明している

課題は、「致命的な可視化(fatal visibility)」の時代に突入したことである。検出手段はますます強力になっている。例えば、ハイパースペクトル・レーダー(hyperspectral radars)は、地表に見えるものだけでなく、土壌やガス、スペクトル異常などの物質の性質や分類を検出することができるようになった。レーダー画像のドメインでは、干渉計(interferometry)を使用することで、車両の通過などの活動を検出することができる。

さらに、センサーには人工知能(AI)を搭載することができる。実際、より多くのセンサー搭載機器が大量のデータを生成するようになると、人工知能(AI)はこれらの情報を体系的にラベル付けし、処理し、分析するための効率的なツールとなり得る。

信号システム、レーダー、測位手段、アクティブプロテクションシステムなどの使用により、軍事部隊の電磁的占有面積がますます大きくなり、遠隔攻撃手段(浮遊弾を含む)が民主化されていることも相まって、デコイの使用はより複雑かつ不可欠になっている。装備品の隠蔽や偽装が難しくなった今、デコイの重要性はさらに増している。

指揮官は、さまざまな目的を追求しながら、敵の注意を引くために作戦の中でデコイを使用する。まず、陸軍は、主に航空脅威(ドローン、飛行機、ヘリコプター)や間接砲火に直面して、施設、部隊、または設備の生存率を高めるためにデコイを使用できる。

これは、デコイが代替のターゲット(alternative targets)を提供することで、敵対者(adversary)が実際のターゲット(real targets)を攻撃する機会を減少させることができるためである。また、弾薬は高価であり、貯蔵量も少ないことから、相手に弾薬を消費させるという大きな効果がある。

第二に、デコイは、兵器、部隊、装備の数や位置について、敵対者(adversary)、特に航空偵察の目を欺くために使用することができる。

例えば、あるセクターで威嚇したり行動を起こさせないようにする、実際より多く見えるようにする、接触線(contact line)上の装備や軍人を入れ替え、実際には再配置しているにもかかわらず実際の部隊がまだそこにいるように見せる。偽の部隊を作って一方向に脅威を与え、主たる行動(main action)から敵の注意をそらす。敵の火力を引き付けて敵対者(adversaries)に自分の位置を明らかにさせ、火力にさらさせる。敵の進行を遅らせたり、敵を特定の方向に誘導したりするために、人工の障害物を設置する(デコイの即席爆発装置、地雷など)といった効果が考えられる。

デコイは、欺瞞作戦(deception operations)において最も有効な手段の一つである。1980年代末に行われた米陸軍の研究では、1970年代末に開発された旅団レベルまでの諸兵科連合戦(combined warfare)シミュレーションが可能なプログラム「Janus」を用いて、2個装甲中隊(計28両)のソ連戦車連隊に対する戦闘をシミュレートしている。

その結果、デコイを装備した部隊は効率が良く、デコイに対する敵の反応により、相手を発見する能力が28パーセント向上したことが分かった。友軍の戦車損失は18.3パーセント少なく、敵戦車の撃破数は4.5パーセント多かった。

これは、戦車の前にデコイを配置した場合に特に顕著で、戦車の後方や戦車の間にデコイを配置した場合はそれほどでもなかった。また、この研究では、実戦車1台につき1個以上のデコイを配置しても良い結果は得られず、戦車1台に4個のデコイを配置すると、欺瞞(deception)の試みが敵により明らかになるため、逆効果になる可能性があると結論付けている。

デコイを効果的に使うには、いくつかの基本的なルールに従わなければならない。まず、この方程式に忠実であるべきである。デコイは、それがシミュレートする機器よりも安価で、敵対者(adversary)がそれを検知または破壊するために要する時間と労力よりも少ない材料と設置に要する時間と労力でなければならない。したがって、デコイは何よりも価値の高い、しばしば移動性の低いターゲット(司令部、地対空砲台、架橋装置など)をシミュレートしなければならない。

第二に、敵に本物だと思わせるためには、デコイは明らかに実際的でなければならない。デコイは模擬対象物のように見えるだけでは十分ではない。レーダーや他のセンサーから見て、模擬装備と同じようなマルチスペクトラム・シグネチャを持つ、その物体のように「見える(look)」必要がある。また、精度を高めるために、デコイが実機と同じように爆発したり燃えたりすることが望まれる。そのため、射撃や爆発のシミュレーターを追加することが有効である。

最後に、デコイは忠実に再現されたものだけでは不十分である。欺瞞(deception)は「大規模な映画作品(a large-scale movie production)」であるため、その環境も実際的でなければならない。手がかりがデコイの存在を裏切らないようにするためには、考慮すべき要因(factors)がたくさんある。例えば、デコイの偽装は、効果がありすぎず、存在しないわけでもないという意味で、もっともらしいものでなければならない。

デコイを配置する場所は現実的でなければならず、特にドクトリンに適合していることが重要である。また、最低限の人間の存在を確保することも重要である(電池交換など、デコイのメンテナンスにも有効である)。照明や発煙、あるいはエンジン音などを流す音響装置など、さまざまな工夫をすることで、シミュレーションの信憑性をさらに高めることができる。

デコイの信頼性の問題だけでなく、凡庸なデコイを配備したり、「場面」を設定しなかったりすることが、さらなるリスクを生むという事実を見失ってはいけない。欺瞞(deception)を察知した敵対者(adversary)は、実際のターゲット(real target)を見つけるために、より大きな取組みをする傾向がある。

しかし、このリスクを超えて、デコイの使用は通常、作戦の成功に寄与する: 敵がデコイの存在を疑わなければ、欺くことができる。敵対者(adversary)が敵が誘き寄せる(decoying)の能力を知っていれば、牽制のために時間を浪費することになる。

デコイは、例えば、視覚のみの装置や部隊によるDIYのような基本的なものから、精巧なものまである。その設計の戦術的妥当性は、特に部隊が利用できる時間と装備、そして何よりも敵が利用できるセンサーに依存する。

実際、探知手段の進化を考えると、より多くのマルチスペクトルデコイ、例えば戦闘車両の替え玉(dummies)で、実際の車両の外観だけでなく、熱、レーダー、電磁波、音響シグネチャもシミュレートする必要が明らかに高まっている。

現在、Fibrotex社(イスラエル)、Rusbal社(ロシア)、Saab社(スウェーデン)、Tempestini社(イタリア)、Lubawa社(ポーランド)、Inflatech社(チェコ・ロシア)など、複数の企業がこの種の製品を提供している。これらのデコイは、視覚的な外観(最も効果的なものは100メートル先までリアルに見える)と、熱信号(抵抗器や導電性布を組み込むなど)、赤外線信号、あるいはレーダー信号を組み合わせている。

2Dや3D、インフレータブル、木製や金属製のパネルなど、さまざまな種類がある。デコイは頻繁に分解できる。重量や大きさも様々である。例えば、インフラテックのインフレータブルSA-17は58キロ(128ポンド)、T-80は37キロ(81.6ポンド)である。

デコイは、通常、輸送にはトラックが必要であるが、オーストラリアのGaardTech社が製造した金属製戦車10両は、分解して海上コンテナに収めることができる。また、ベラルーシのMinotor-Service社のT-72のように、トレーラーをベースにしたモデルもあり、重量3.5トン、20分で展開することができる。マルチスペクトラムのデコイの価格は大きく異なるが、手頃な価格である。

主戦闘戦車(main battle tank)のシミュレーションには、30,000ユーロから150,000ユーロ(36,000ドルから180,000ドル)の費用がかかる。結局、これは現代の戦車の値段に比べれば控えめなものだ。2001年、Cours des Comptesは、フランスのルクレール戦車の総単価を1590万ユーロ(1910万ドル)と推定している。

将来のデコイに関連する技術動向は、大きく4つに分けることができる。第一に、電子戦(electronic warfare)能力の発達と普及に伴い、デコイの電磁シグネチャが不可欠となる。弾薬発射型の電子戦システム(Munition-launched electronic warfare systems)も選択肢の一つで、例えば、サイレント・インパクト(Silent Impact)は、155ミリ砲弾を飛行中の「サイバー電磁攻撃(cyber-electromagnetic attack)」ペイロードの運搬機構として使用し、パラシュートで長時間上空にとどまり、着陸後は地上にとどまることができる。

このペイロードは、レーダーや兵器システム、通信を模倣したデコイとしても使用できる。現在のところ、最も効果的な欺瞞的行動方針(deceptive courses of action)の1つは、敵が本物の司令部を特定しターゲットにする能力を制限するために、司令部の指揮ネットワークを再現することだろう。2030年か2040年までには、司令部や車両の電磁シグネチャを再現できる、空中投下可能なデコイが一般的になるかもしれない。

また、陸上デコイ(land decoys)は、従来は固定式でしたが、移動式にして遠隔操作できるようにすることもできる。メリットはたくさんある。ロボットのデコイは、作戦における実機と同じ速度で移動させることが容易であるため、攻撃的な行動方針(courses of action)でより容易に使用できる(デコイの使用を作戦の速度に合わせることは、これまでの課題であった)。

また、その運動性によって、より現実性が強化される。特定のシグネチャを再現し、タブレットを使って最大20km離れた場所から遠隔操作するターゲットは、GaardTech社製などすでに存在している。少し手を加えれば、相手を欺くために戦闘に利用することも可能である。

3つ目の構造化技術トレンドは、長期的には、人工知能(AI)の貢献により、ロボットによるデコイ編成(robotic decoy formations)が特定の部隊の動きを再現することができるようになることである。すでにGaardTechのタブレットでは、訓練で複数のターゲットをまとめて動かすことが可能になっている。

将来的には、機甲部隊にロボットを搭載し、移動の途中でロボットを別のルートにセットして、攻撃先を誤魔化すことも可能である。一般論として、デコイと戦闘ロボットの境界はますます曖昧になると思われる。なぜなら、ロボットのデコイ(robotic decoys)は、敵対者(adversary)を混乱させ、攻撃するためのものだからである。

第4の技術トレンドは、部隊を模倣するにしても、相手のセンサーや攻撃手段(地上・航空システム、監視ネットワーク、迎撃担当オペレーターなど)を飽和させるにしても、戦術的デコイ(tactical decoy)として空中ドローンが果たすべき役割(特に群れでの使用)がますます重要になるということである。

例えば、1機以上のドローンが輸送ヘリコプターや攻撃ヘリコプターの電磁波やレーダーのシグネチャを再現し、偵察やヘリボーン作戦(heliborne operation)のような偽りの姿(false appearance)を作り上げることができる。レーダー反射板を搭載したドローンが戦場や後方を巡回することで、複数の誤警報を発生させ、特に敵対者(adversary)の共通作戦運用図(common operational picture)を混乱させることができる。

さらに、デコイの技術として有望だが成熟していないものとして、ホログラフィー(holography)を挙げることができる。ボリューム感のある3Dホログラムや、音を出して「触れる(touched)」ことができるタイプの科学研究が大きく進んでいる。長期的には、ホログラフィー(holography)を使えば、説得力のある視覚的なデコイ(visual decoys)を作ることができる。しかし、そのためにはまず持ち運びができるようになり、十分な大きさのディスプレイと適切な解像度を持つ必要がある。

最後に、欺くための代替・補完オプションとして、車両や施設の視覚、熱、レーダー、電磁波シグネチャを変更し、敵対者(adversaries)が他のものと混同するようにすることも可能である。これは、バートラム作戦(Operation Bertram)で採用された722台の「サンシールド(sunshields)」のモデルである。木製のフレームとキャンバスでできた天蓋で、戦車(クルセイダー(Crusader)、バレンタイン(Valentine)、グラント(Grant)、スチュアート(Stuart)、シャーマン戦車(Sherman tanks))を、より脅威的でない3トン・トラックへと視覚的に変えることができる。

台湾軍が歩兵戦闘車をクレーンに改造して都市環境に溶け込ませる実験をしたのもこの方法である(ただし、軍用車を民間車に偽装するのは背信行為(perfidy)と言える)。このように、ある種の車両に改造キットを装着し、デコイに変身させることも考えられる。

探知・防御システムの発達により、デコイの利用が見直されている。実際、近年では生存率を高めるために、潜在的な侵略の影響を遠くから無力化または偏向させることによって回避する能動的な保護システムに注目が集まっている。この種の装備は、レーダー、敵レーダーのパッシブ・リスニング、レーザーとミサイル発射という3つの主要なタイプの検出器を使用する。

これらのシステムは、本当に短時間で脅威を検出し、分類し、場合によっては傍受ポイントを計算し(「ハードキル」システムの場合)、対抗策を講じる必要があるため、これらのアクティブ防護システム(active protection systems)には大規模な自動化が求められる。このような検知と保護の自動化は、新たな可能性をもたらす。

視覚的なデコイ(visual decoys)と発射シミュレーター(レンジ・ファインダー、レーザー照射器、あるいはスモーキー・ミサイル(smokey missile))を組み合わせることで、アクティブ防護システム(active protection system)を自動または半自動で反応させることができる。実際に車両に射撃しなくても、このデコイの型式(type of decoy)によって混乱が生じ、自己防衛システムに対する信頼が失われることになる。

ほとんどの先進的な軍隊で計画されている協働戦闘(collaborative combat)の登場により、その影響はさらに大きくなる可能性がある。フランス陸軍の場合、スコーピオン・プログラム(Scorpion program)の第2段階が完了すると、協調戦闘のコンセプトは、新しい情報システムが装甲戦闘車両(ジャガー(Jaguar)サーバル(Serval)グリフォン(Griffon)ルクレール戦車の近代化版(modernized version of the Leclerc tank))、航空支援部隊、砲兵中隊(artillery batteries)を一つの集中情報共有ネットワークで結び、車両、ロボット、ドローン間で警報、ターゲッティング情報(targeting information)、その他のデータを自動的に配信するようになることを意味している。

到達目標は、相互支援機能の最適化である。このコンセプトの一部は、自動検知(automatic detection)と自動反応(automatic reactions)に基づいている: 侵略(aggression)を検知した車両は、その情報を自動的にその地域に存在する他の車両に送信する必要がある。その結果、他の車両は自動的にターゲットに探知と射撃システムを向けることができる。

到達目標は、「反射時間(reflex time)」で集団的な反応を得ることである。もし、デコイによって部隊全体の反応が半自動化されてしまうと、部隊は身動きがとれなくなり、混乱する可能性があり、間接火力に翻弄されることになりかねない。

一般に、自動処理(例えば、探知、あるいは自動識別、センサーの融合など)の導入により、現実的な多重帯域のデコイ(multi-band decoys)がさらに有用になる。これらのデコイは、アルゴリズムが期待するすべての信号を提供し、人間のオペレーターが持つかもしれない疑念の余地はないだろう。

ロボットによるマルチスペクトルデコイ編成(multispectral decoy formations)のトレンドは、明日の戦い(warfare)におけるデコイの関連性(decoys’ relevance)をさらに強化し、新たな戦術的展望を提供する。

したがって、デコイの調達とこの分野のイノベーション(innovation)の監視は優先されるべきものである。そのため、兵器開発プログラムごとに、兵器開発にかかる総コストの最大1%を、対応するデコイの作成と取得に投資することを約束するのがよいかもしれない。

そして、陸軍はこれらのデコイの使用を推進し、欺瞞(deception)を説明し、デコイの使用を奨励するドクトリンを作成し、演習時にデコイを配備することが必要である。最後に、特に、あまり一般的でないデコイ(橋、地対空装置など)を集め、その中心的役割を果たす専門部隊を創設するのがよいだろう。

このステップを踏むことで、欧米の軍隊は、奇襲をかけ、欺き、生き残るための技法の数々に、不可欠なツールを追加することができる。

Rémy Hémezはフランス陸軍の将校で、元フランス国際関係研究所(IFRI)研究員(2015年から2017年)である。表明された見解は彼自身のものである。