ロシアのウクライナに対する戦争 -現代のクラウゼヴィッツ戦争の複雑性- ⑥ロシアの対ウクライナ戦争を理解する ロシア・セミナー2024
前回の投稿「ロシアのウクライナに対する戦争 -現代のクラウゼヴィッツ戦争の複雑性- ⑤ロシアの空中ドメインでの戦いの方法 ロシア・セミナー2024」に続いてロシア・セミナー2024の論文集の第6弾を紹介する。この論考は、ウクライナでの戦争をロシア国民にどのように理解させようとしているのか、あるいはロシア国内の有識者(軍事学者や歴史家)がどのように解釈しようとしているのかをロシアの二つの研究コミュニティを主体とする文献を解析し一定の結論を得たものである。
分析にあたっては、ロシア人の戦争の見方を明確にしようとアナトール・ラポポートの戦争の類型を使用している。アナトール・ラポポート(またはアナトール・ラパポート)は、ウィキペディア(Wikipedia)によると、「アナトール・ラポポート(またはアナトール・ラパポート、1911年5月22日 – 2007年1月20日)は、ロシア生まれの、ユダヤ系アメリカ人の数理心理学者と出てくる。ゲーム理論などを研究分野とした人」とある。論考の著者(カトリ・ピニョニエミ(Katri Pynnöniemi)とカティ・パルペイ(Kati Parppei))が研究においてロシアの戦争観を導くには、軍事を研究する際には戦争を政治の道具としてみる見方では難しいからと言えるのかもしれない。結果、このような導き出した戦争観は「西欧文明とロシア文明の対立」は宿命的といったロシアのナラティブにしていくことを確認できる。(軍治)
ロシアのウクライナに対する戦争 -現代のクラウゼヴィッツ戦争の複雑性-
Russia’s war against Ukraine -Complexity of Contemporary Clausewitzian War- |
6_ロシアの対ウクライナ戦争を理解する:政治的、終末論的、大惨事論的次元[1]
6_ UNDERSTANDING RUSSIA’S WAR AGAINST UKRAINE:POLITICAL, ESCHATOLOGICAL AND CATACLYSMIC DIMENSIONS
カトリ・ピニョニエミ(Katri Pynnöniemi)とカティ・パルペイ(Kati Parppei)
カトリ・ピニョニエミ(Katri Pynnöniemi)博士は、2017年よりヘルシンキ大学およびフィンランド国防大学の准教授であり、ロシア安全保障研究のマンネルハイム教授を務めている。統合教授職は2017年に設立された。ロシアの戦略思想と欧州安全保障への影響に関する研究に専念するマンネルハイム教授職のワーキンググループを率いる。また、国防大学のロシア研究グループのメンバーでもあり、ロシアの戦略思想に関する研究の指導と監督を担当している。ロシアの体制変化やロシアの外交・安全保障政策に関する著書多数。現在の研究テーマはロシアの戦略的思考で、特にロシアの対ウクライナ戦争に関する国民の知覚(perceptions)を形成するナラティブ、ロシアの軍事思想、軍事的脅威の分析に焦点を当てている。
カティ・パルペイ(Kati Parppei)博士は、歴史学者で、東フィンランド大学地理歴史学部の大学講師(ロシア史専攻)。ケンブリッジ大学クレアホール終身会員。専門分野は、精神・思想史、イメージ研究、歴史理論、ロシア史、国境問題など。特に、過去の大衆的表象と利用、各時代における歴史の政治化に関心がある。最近では、これらの現象を現代ロシア社会や戦争プロパガンダの文脈で考察している。
ロシア・セミナー2024におけるカトリ・ピニョニエミ(Katri Pynnöniemi)とカティ・パルペイ(Kati Parppei)のプレゼンテーションは、フィンランド国防大学(FNDU)のYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=5NofPSfLSSU)2:31よりご覧いただける。
要約
研究コミュニティは、主要な軍事的出来事の重要性を評価し、解釈する上で重要な役割を担っている。現代のロシアの状況において、学者たちはロシアの対ウクライナ戦争について代替的な分析を提供する代わりに、クレムリンの最大主義的な戦争レトリック※1を固めることに主に従事している。ロシアの軍事専門誌や軍事史専門誌に掲載されたテキストは、ウクライナの政治制度や社会の組織的破壊を呼びかけ、この地域を「旧ウクライナ」と呼ぶことでウクライナの主権を否定し、ロシアに対してグローバルなハイブリッド戦争を仕掛けている「集団的西側」を非難している。我々は、こうしたナラティブを真剣に受け止め、ロシアの学者や当局者がどのような戦争について考えているのかを調査することが重要だと主張する。彼らはどこで線引きをしているのか、それともむしろ無制限の戦争を擁護しているのか。
※1 レトリックとは言い回しを工夫することによっての相手の感情に訴えかける方法、実質を伴わない表現上だけの言葉(参考:https://gimon-sukkiri.jp/rhetoric/)
我々の研究では、ロシアの軍事・軍事史関係の定期刊行物におけるこの戦争についてのロシアの研究コミュニティが対ウクライナ戦争をどのようにナラティブを再構築する際に、ラポポート(Rapoport)の戦争の類型論(政治的ゲーム、終末論的使命、大惨事論的破局として)を適用する。本稿では、当初の3次元的な分析の枠組みは、さらに軍事的-政治的、終末論的-大惨事論的という二つの説明モデルに分けることができると主張する。軍事的-政治的な説明は、軍事的脅威と国益に関する古典的な計算を参照して戦争を説明するものであり、ロシアに対する既存の、そして潜在的にエスカレートしうる軍事的脅威を強調するのに対し、終末論的-大惨事論的なモデルは、戦争を新しい世界秩序を創造する行為として、ロシアを被害者とみなしロシアにとって存亡をかけた闘争として解釈し紛争を実存的な用語で描写する。これら2つのモデルは相互に排他的ではないが、ロシアのウクライナに対する大規模な侵攻の最初の2年間に戦争に与えられた意味の変遷を照らすとともに、ロシアにとっての戦争とその意味について、2つの異なるメタ・ナラティブを提供している。「軍事的-政治的モデル(military-political model)」は、ロシアの条件(ウクライナの能力と抵抗を続ける意志の排除)で戦争が終結することを正当化するために用いることができ、一方、「終末論的-大惨事論的モデル(eschatological-cataclysmic model)」は、戦争継続の根拠(西側の無限の侵略の犠牲者としてのロシアの国家-文明)を提供する。この戦争がどのような結末を迎えるかを考える際には、両方のモデルを考慮しなければならない。
はじめに
研究コミュニティは、主要な軍事的出来事の重要性を評価し、解釈する上で重要な役割を担っている[2]。歴史的に、戦争は正規戦争、非正規戦争、国家間戦争に分類され、また世界的に重要な戦争から内戦や民族解放のために戦われた戦争まで、その規模によって区別されてきた。また、特定のドメイン(サイバー戦争、経済戦争、情報戦争)の発展や、それらをハイブリッド戦(hybrid warfare)として組み合わせたコンセプト化もある[3]。
これらの異なるコンセプト化には、研究コミュニティが戦争を説明し、正義(just)か不義(unjust)か、不合理か合理的かを判断する政治的・規範的前提が内在している[4]。
ロシアの大規模なウクライナ侵攻の前夜、西側の研究者の多くは「戦争は不合理な振舞いや偶然によって起こる(wars occur due to irrational behaviour or accident)[5]」と考え続け、それゆえプーチンの決断に驚いた。続いて、ロシアの軍事的パフォーマンスに対する期待が裏切られ、攻撃がウクライナの迅速な降伏につながらなかった理由についての議論が行われた[6]。一方、ロシアの文脈では、10年にわたる紛争が侵攻(「特別軍事作戦(special military operation)」)へとエスカレートすることは必然的なオーラを帯びていた[7]。ロシアの軍事専門誌や軍事史専門誌に掲載されたテキストは、実際の戦争遂行についてはほとんど沈黙し、その代わりに、ウクライナの政治制度と社会の組織的破壊を呼びかけ、ウクライナの主権を否定し、ロシアに対してグローバルなハイブリッド戦争を仕掛けている「集団的西側(collective West)」を非難した[8]。ロシアの政治指導者たちが、戦略的環境とロシアの国益に対する脅威をどのように見るかを形成した長期的な言説パターンによって、戦争は考えうるものとなった[9]。
本稿は、ロシアの学者や政府関係者がどのような戦争について考えているのかを調査することで、ロシアの戦略的思考に関するこれまでの研究に貢献するものである。彼らは、ロシアにとってのこの戦争の意味、その目的、歴史における位置づけをどのように説明しているのだろうか。そして、3日間で終わるように設計された攻撃が、ロシアがウクライナに対して行った「複数かつ多様な個々の(戦争)犯罪の包括的パターン[10]」を捉える広範なカテゴリーである「大量虐殺戦争」へと堕落したのはなぜなのか。これらの疑問に答えるために、アナトール・ラポポート(Anatol Rapoport)の政治的、終末論的、大惨事論的な戦争哲学のコンセプト化を適用する。本稿のために行った調査分析に基づき、この3次元的な分析の枠組みはさらに、「軍事的-政治的(military-political)」、「終末論的-大惨事論的(eschatological-cataclysmic)」という2つの説明モデルに分けられる。「軍事的-政治的モデル」は、軍事的脅威と国益に関する古典的な計算を参照して戦争を説明するのに対し、「終末論的-大惨事論的モデル」は、戦争を新たな世界秩序を創造する行為として、またロシアにとって存亡にかかわる闘争として解釈する。これら2つのモデルは相互に排他的なものではないが、ウクライナに対する大規模な侵攻の最初の2年間に、戦争に与えられたさまざまな意味とその展開を明らかにするのに役立つ。本稿の残りは以下のように進める。次に、ラポポート(Rapoport)の戦争の3つの次元をより詳細に紹介し、現代ロシアにおける軍事・軍事史研究者コミュニティの役割について簡単に論じる。続いて、分析に用いた研究資料について述べる。続く2つの章では、ロシア軍および軍事史研究コミュニティにおける戦争を説明する「軍事的-政治的モデル」と「終末論的-大惨事論的モデル」について論じる。特に、戦争終結の条件を理解する枠組みとして、また戦略的欺瞞のナラティブ的資源として、これら2つの説明モデルの意味について論じている。後者の機能についてはさらなる研究が必要であり、本稿では詳述しない。
戦争について考える: 政治的、終末論的、大惨事論的次元
アナトール・ラポポート(Anatol Rapoport)は、カール・フォン・クラウゼヴィッツ(Carl von Clausewitz)の古典「戦争論(On War)[11]」の序文で、「戦争の本質は、人間が戦争についてどのように考えるかによって、かなりの程度決定される」と書いている。人々が戦争についてどのように考え、語り、書くかは、決して無関係ではない[12]」とラポポート(Rapoport)は説明する。政治的、終末論的、大惨事論的という3つの戦争哲学を区別し、ゲーム、使命、大惨事という3つの隠喩(metaphors)を用いて、これらのアプローチの重要な違いを概説している。政治哲学(political philosophy)の観点からは、戦争は戦略ゲームと考えることができ、終末論的哲学の観点からは、戦争は使命あるいはドラマの結末と考えることができる。戦争の大惨事論的哲学は、主体性の問題を脇に置き、戦争を火災、疫病、大災害としてとらえる。
「戦争に関する政治哲学(political philosophy of war)」において、戦争とは本質的に「国策の合理的手段(a rational instrument of national policy)[13]」であり、それはクラウゼヴィッツ(Clausewitz)の主要著作に象徴されている。ここで重要なのは政治的要素である。戦争に踏み切る決断は「合理的な(rational)」根拠に基づいており、戦争はそれ自体が最終目的(end)ではなく、何らかの(政治的な)到達目標を達成するために行われ、最後に、この手段は政治的実体である国民国家の利益を増進するために用いられると仮定されている[14]。しかし、政治的現実はしばしば理論の期待に沿うものではない。ラポポート(Rapoport)が指摘するように、クラウゼヴィッツ(Clausewitz)は「戦争を行うか回避するかの実際の決定が、関連する状況を十分に考慮することなく行われることが多いこと、戦略や戦術が戦争の目標とは無関係な事柄によって決定されることが多いこと、そして彼自身の時代まで、戦争は国家間の戦争ではなかったことを認識していた」とラポポート(Rapoport)は書いている[15]。
第二の戦争哲学である「終末論的戦争哲学(eschatological philosophy of war)」は、戦争を歴史的運命、「神的、自然的、人間的な壮大な計画の展開(the unfolding of some grand design – divine, natural, or human)」という観点からとらえるものである[16]。ラポポート(Rapoport)はこの思想の二つの主な変種を区別している。第一は、「グランド・デザイン(grand design)」を実行する運命にある機関がすでに存在すると想定されるメシア的なものであり、第二は、「デザイン(design)」の機関が最終戦争の混乱(chaos of the final war)の中から生まれると想定される世界的なものである。ナチスの教義であるマスター・レース(Master Race)※2や十字軍(crusades)は前者の例であり、共産主義終末論における「世界プロレタリアート(the world proletariat)」は後者の例である[17]。
※2 支配者民族(◇自らはどの民族よりも優秀なのだから他民族を征服・支配するのは正当であると考える民族;ナチス時代のドイツ人など).(参考:https://kotobank.jp/ejword/master%20race)
しかし、第二次世界大戦の破壊力によって、戦争は「警戒すべき災害」とみなされるようになった[18]。ラポポート(Rapoport)は、彼が「戦争の大惨事論的哲学(cataclysmic philosophy of war)」と呼ぶものには、民族中心主義とグローバル主義という2つの変種があると区別した。「民族中心主義的な変種(ethnocentric variant)」では、戦争は我々に起こるものであり、決定的なのは、「我々自身の防衛手段が、到達目標を追求する手段としてではなく、単に災害を未然に防いだり、その影響を緩和したりする手段としてしか我々には見えない」ということである[19]。この思想の世界的な変種では、「戦争は人類(humanity)を苦しめる大惨事とみなされる。戦争は人類を苦しめる天変地異とみなされ、特に戦争に責任を負う者はおらず、戦争から利益を得る者もいない(war is seen as cataclysm which afflicts humanity. No one in particular is held to be responsible for war and no one is expected to gain from it)」とラポポート(Rapoport)は説明する。レフ・トルストイ(Lev Tolstoy)が書いたロシアの古典「戦争と平和(War and Peace)」は、戦争に対する大惨事論的哲学の特異な見解を示している。トルストイ(Tolstoy)は、クラウゼヴィッツ(Clausewitz)を含む軍事指導者たちを否定的に表現し、その代わりに「戦争はこれまで知られていなかった歴史的な力の作用によるものである(attributes wars to the action of hitherto unknown historical forces)」としている[20]。
これら3つの戦争哲学を総合すると、ロシアの軍事・軍事史研究コミュニティがロシアの侵略に与えたさまざまな意味を明らかにすることができる。我々は、戦争と武力紛争に関する研究を行うために1994年に設立されたロシア軍事科学アカデミーが発表した研究を参考にしている[21]。ロシアの軍事思想に関するこれまでの研究は、戦略的抑止(strategic deterrence)[22]や情報戦(information warfare)[23]といった特定の重要なコンセプトの起源と変遷をたどるものであったが、異なる学派間の「大論争(great debates)」の輪郭を理解しようとするものでもあった[24]。ドミトリー・ミニク(Dmitri Minic)が論じたように、戦争の性質の変化に関する修正主義的な考え方は、「ロシア軍内の教育、研究、作戦構造(teaching, researching and operational structures within the Russian army)」に変化をもたらした[25]。一方、ロシアの外交政策思想の文脈では、ロシアの軍事・安全保障エリートにおける陰謀論的世界観の推進と正当化が、「ロシアの政治的発展と外交政策行動に反映し、影響を与えている(reflect and affect Russian political development and foreign policy conduct)」ことが、これまでの研究で示されている[26]。
本稿で取り上げるもう一つの研究コミュニティは、ロシア軍事史学会である。同学会は2012年に大統領令によって設立され、その目的は「ロシア軍事史研究における国家的・社会的勢力を強化し、ロシア軍事史の研究を促進し、その歪曲を防止し、軍事史科学の成果の普及を確保し、軍務に対する感謝の念を高め、愛国心を教育すること」である[27]。
国家予算に独自のポストを持ち、ロシアの大企業からも資金提供を受けているこの協会の会長は、元文化大臣で現プーチン大統領補佐官のウラジーミル・メディンスキー(Vladimir Medinsky)である。同氏は、国家の歴史政策を推進する上で数々の要職を歴任し、2022年春のウクライナとの交渉ではロシア代表団の団長を務めた[28]。同協会の活動は、記念事業、各種イベントの開催、教育・出版活動、さらには広範なオンライン歴史ポータルの管理など多岐にわたる。過去の出来事に対する学術的な言説や学問的なアプローチが、ロシア国民の愛国的な教化という政治的な到達目標に完全に従属するような、イデオロギー化された戦史記述の考え方を実践している社会と言える[29]。メディンスキー(Medinsky)自身、「役に立つ神話(useful myths)」は事実よりも重要であり、歴史研究の唯一の根拠はロシアの国益であると宣言している[30]。したがって、どのようなコンセプトや計画がロシアの政治指導部によって承認されているのかを正確に言うことはできないが、これまでの研究によれば、軍事・軍事史研究者によって共有され、議論されている言説パターンは、軍事・政治指導部における戦争と戦略環境に関する一般的な思考の輪郭を示しており、また、可能と考えられる一連の選択肢を形成している可能性がある。
研究素材
本稿では2つのコーパス※3に分けて分析を行った。最初のコーパスは、2022年と2023年に軍事科学アカデミー(Vestnik Akademii Voennyih Nauk, Vestnik AVN)で発表された記事である。2022年(128本)と2023年(121本)に出版された記事の総数から、さらなる分析のために51本を選んだ。選択された論文のほとんどは、もともと「地政学と軍事安全保障(geopolitics and military security)」というセクションか、「軍事術(military art)」のセクションに掲載されたものである。
※3 「コーパス(Corpusまたはcorpora)」とは、自然言語のテキストや使い方を大規模に収集し、コンピュータで検索できるよう整理されたデータベースのこと。日本語では「言語全集」などとも呼ばれる。(参考:https://aismiley.co.jp/ai_news/corpus/)
2022年、本誌における議論は、ウクライナ危機という当初の枠組みから、「ロシアの軍事的・国家的安全保障(Russia’s military and national security)」に対する紛争の直接的・中間的影響へと発展した。2022年秋に掲載された論文では、バルト海地域での紛争がエスカレートする可能性[31]に焦点が当てられ、ロシアの戦略的意思決定[32]を改善するために必要な条件が列挙され、現在の状況が第三次世界大戦に発展する可能性があるかどうかが問われた[33]。最後の2号は2022年9月にウクライナが反攻に成功した後に発行されたが、どの記事も現地の状況の変化を直接取り上げてはいない。その代わり、2022年の最終号では、ウクライナの「非ナチ化(denazification)」に特化した特集が組まれ、戦争の最大主義的な政治目標が概説された。2023年、同誌の地政学と軍事安全保障のセクションでは、西側諸国がロシアに対して本質的に攻撃的な姿勢をとっていることを論じ[34]、ロシアの国家安全保障システムをどのように変えるべきかを概説し[35]、現代の国家間紛争の特徴を分析した[36]。2022年と比較すると、ウクライナにおける「特別軍事作戦(special military operation)」を直接的または間接的に取り上げた記事は少なかった。その代わりに、ロシアの軍事・国家安全保障システムの包括的発展に重点が移った[37]。
第二のコーパスは、ロシア軍事史学会が運営する歴史ウェブサイトに掲載されたテキスト資料である。視覚的に印象的なこの歴史ウェブサイトには、ロシアの歴史に関するさまざまな記事、ニュース、記録、コラムが掲載されている。これらの資料に共通するのは、ロシアの国家的なナラティブであり、ロシアの過去を、敵と戦い、挑発に対応するという防衛行動の連続体として提示している。資料はほとんどロシア語のみであるため、前述の愛国教育の精神に基づき、主に国内の読者を主要な狙いとしていると推測できる。2022年3月初旬、このサイトに「ウクライナにおける特別軍事作戦(Special military operation in Ukraine)」というタグが登場した。この見出しの下に、軍事装備の説明や前線からの報告から作戦を正当化する記事まで、8つのブログ形式のテキストがまとめられていた。後者のテキストは3つあり、内容分析と精読を駆使してさらに詳しく調べた。特別作戦のイデオロギー的背景に関する他の2つのテキストも、何らかの理由でこのタグが付けられていなかった。さらに、ウェブサイトは2022年と2023年に、オンライン雑誌「未来のイデオロギー(Ideology of the Future)」11号を発行した。この雑誌には、「特別軍事作戦(special military operation)」を明示的または暗黙的に扱ったテキストがいくつか掲載されていた。合計19のテキストが、作戦の理由、正当化、目標を明らかにするため、より詳しく調査するために選ばれた。2022年夏以降、「特別軍事作戦(special military operation)」に明示的に関連するブログ形式のテキストは、サイト上で公開される頻度が減り、2022年秋以降は、9月の「未来のイデオロギー(Ideology of the Future)」誌を除いては皆無となった。
テキストの著者のほとんどは歴史学者とされており、その多くは専門職学位を持っているか、ロシアの大学に所属している。ロシア政権のための報告書を作成するイズボルスキー・クラブ(Izborsky Club)とのつながりもある。その創設メンバーである超国家主義作家アレクサンドル・プロハーノフ(Aleksandr Prokhanov)は、「未来のイデオロギー(Ideology of the Future)」数巻に自分のテキストを掲載した。ウクライナの占領地域にあるドネツク大学の教授職にあるドミトリー・ムザ(Dmitrii Muza)も、ノヴォロシヤ(Novorossiya)※4のイズボルスキー・クラブ(Izborsky Club)の会長として名を連ねている。一方、出版物には、歴史家・社会学者として紹介されているアンドレイ・イリイン(Andrei Ilyin)のような、比較的多いが学問的にはそれほど著名ではない作家も含まれている。オレグ・ベルコフ(Oleg Belkov)のように、本論文で検討したテキストの両方のコーパス(corpora)に寄稿している作家もいる。
※4 ノヴォロシヤ(Novorossiya、ロシア語: Новоро́ссия, ウクライナ語: Новоросія)は、18世紀末にロシア帝国が征服した黒海北岸部地域を差す歴史的な地域名である。「新しいロシア」を意味する。(参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/ノヴォロシヤ)
ロシアにとっての戦争の意味するところを分析する
政治-軍事モデル:敵対的な戦略環境の知覚を固める
本稿のために分析したテキストの大半は、戦争に関する政治哲学の特徴を暗黙的あるいは明示的に含んでいる。この文脈では、戦争は国家がそれぞれの地政学的利益を高めるために行うゲームとして理解される。しかし、テキストにおける戦略的環境の表現は、他のプレイヤーに誤った意図や目標を帰結させ、実際の出来事の流れやそれに伴う政治的現実を歪めている。このテキストは、西側諸国が紛争激化の全責任を負う主体であるというイメージを固め、紛争におけるロシアの役割を軽視するのに役立っている。
調査資料の中で一貫して繰り返されているのは、米国とその同盟国がウクライナを属国に仕立て上げ、ロシアを弱体化させる狙いでロシアの西側国境に紛争を引き起こしたというナラティブである。ウクライナはこのナラティブの中で、ロシアを紛争に「引きずり込み(drawn)」、「反応せざるを得なくした(forced it to react)」西側の属国、挑発工作員として登場する。ウラジーミル・プーチン大統領が2021年7月に発表した擬似歴史エッセイ「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について(On the Historical Unity of Russians and Ukrainians)」などで公然と展開したこの枠組み化は、「ウクライナでの危機(crisis in Ukraine)」と呼ばれる事態の勃発の責任は西側、とりわけ米国にあるという印象を植え付ける[38]。同時に、ロシアの積極的な役割は隠され、ロシアは「侵略の犠牲者(victim of aggression)」として描かれている。
この議論に積極的に参加している一人が、国家安全保障問題研究センター所長で、ロシア軍参謀本部にも在籍したことのあるイーゴリ・ボチャルニコフ(Igor Bočarnikov)である。侵攻のごく初期に発表された論文で、彼は後のテキストでも繰り返される多くの議論を提示している。ボチャルニコフ(Bočarnikov)はウクライナを、ロシアを刺激するために西側の秩序に従って行動する「挑発者(provocateur)」と決めつけている[39]。「このような挑発行為の結果、ウクライナはロシアに敵対する国家へと変貌を遂げ、紛争がエスカレートし、武力段階に移行することになった」とボチャルニコフ(Bočarnikov)は書いている[40]。他の著者も同様の推論を展開している[41]。ロシア国家警備研究所所長で軍事科学博士のイーゴリ・カルダシュ(Igor Kardaš)は、大規模侵攻前のウクライナに対する西側の軍事援助について詳しく説明し、西側の支援がロシアとウクライナの軍事衝突の発生を招いたと主張している。カルダシュによれば、西側の対ロシア政策の核心的要素は、ウクライナの「軍事化(militarisation)」と「ナチ化(nazification)」である[42]。著者の中には、ウクライナとその指導者を、ワシントンから指示された「ショー(show)」に出演する役者として描き、それを理由にウクライナとの直接交渉を拒否する者もいる[43]。つまり、ウクライナは独立した主体とはみなされていないのだ。その代わりに、ウクライナは西側とロシアの地政学的闘争の劇場であり、西側の指示に従って行動する代理人の行為主体(proxy actor)であると表現される[44]。
戦争の政治的意味は、現在進行中の世界秩序の進化、多極化への変容に関連して説明される。例えば、S. A. ジュムリン(S. A. Žmurin)は、2022年6月のサンクトペテルブルク経済フォーラムでのプーチンの演説を引用し、「一極の世界秩序の時代は終わった(the era of the unipolar world order has ended)」と述べている。
過去数十年の間に、地球上に新たな強力な中心が形成された。地政学、世界経済、国際関係のシステム全体における、真に革命的で地殻変動的な変化について、我々は客観的なプロセスについて話しているのだ。これらの変化は、本質的に根本的で、極めて重要で、どうしようもないものである[45]。
ロシアの外交・安全保障政治用語では、より平等な多極化に向けた国際システムの進化は、ロシアに敵対的な意図を持つ西側諸国が反対したり、阻止しようとしたりする「避けられない(inevitable)」プロセスとして提示される[46]。これらのテキストで新しいのは、西側諸国が国際規範を「無視(ignores)」あるいは乱用しており、したがって現在の秩序は「主権を守りたい(preserve their sovereignty)」国々に対して本質的に不公正であるという主張である[47]。この枠組みで解釈すれば、ウクライナの戦争は、西側諸国がロシアを弱体化させるために利用する道具となり、それによってロシア(ウクライナではない)の主権と独立を脅かすものとなる[48]。さらに、「ウクライナの軍事的・政治的危機」は、ロシア近隣に混乱を生み出そうとする米国の膨張主義的外交政策の結果であり、「ロシアを国境周辺の局地的な軍事衝突に引きずり込んだ」とも主張されている[49]。この事態の大きさとロシアにとっての意味は、2022年末に発表されたテキストに表れている。
現在の特別軍事作戦の規模は第一次世界大戦や第二次世界大戦とは比較にならないとしても、世界政治プロセスへの影響という点では、もちろん、同様に重要である。なぜなら、その結果として世界秩序がどうなるのか、そしてこの世界秩序におけるロシアの役割はどうなるのかを話しているからだ[50]。
ロシアの軍事史ポータルサイトに掲載されたテキストは、こうした感情を共有し、ロシアと西側の地政学的対立という二元論的な考えを進めている[51]。オレグ・ベルコフ(Oleg Belkov)は、「ロシアに対する西側集団の攻撃的戦争へとエスカレートしつつある特別軍事作戦」に言及することで、この出来事における一定の時系列を浮かび上がらせている[52]。イウリ・ルブツォフ(Iuri Rubtsov)教授は、西側諸国が「ウクライナのネオナチの軍事力だけでなく、北大西洋同盟の力と手段を使って、ロシアとの軍事衝突を計画している可能性が非常に高い」と示唆することで、ロシアに対する想定される軍事的脅威を強調している[53]。この文脈で、紛争が他の地域に拡大したり、第三次世界大戦に発展したりすることを推測する著者もいる[54]。
終末論的-大惨事論的モデル: ロシアにとっての存立危機事態の明確化
終末論的次元: ロシアの国家文明を救う使命
終末論的哲学の観点からは、戦争はシステムを変える性質を帯びている。戦争は主に、仲間(peers)の偶然のゲームや意志のテストではなく、達成されるべき使命なのである。このように枠組みを立てられると、戦争は合理的な(政治的な)選択によってもたらされるのではなく、新世界の頂点に達する必然的で必要な期間と見なされる。研究資料には、終末論的側面の4つの側面が見られる。
まず、戦争はロシアの「歴史的使命(historic mission)[55]」とウクライナにおけるロシア世界(Russian World)の再現、つまりロシア、ウクライナ、ベラルーシを共通の文明的存在に再統一することに関連して説明される[56]。この文脈では、ウクライナは「ロシアの文明圏に属する」ものであり、ロシアを超える政治的・歴史的実在はないとされている。ウクライナという国家はもはや存在しないとまで主張する著者もいる[57]。ウクライナの主権の不承認は、ウクライナの政治制度と市民社会の完全な破壊の提唱を伴っている。ウクライナの降伏後、ロシア当局は「(ウクライナの)民族排他主義の世界観と日常的実践を根絶するために、長期的な組織的、政治的、イデオロギー的、情報的、文化的教育的活動」を行うべきである[58]。これを達成するためには、現在の戦争を「祖国=ロシア(Motherland-Russia)」の擁護者と「西側諸国が支援する地方協力主義政府との間の『内戦(civil war)』として表現し、わが国の国家としての完全な破壊を目指す」べきである[59]。同様のレトリックは、「ロシア世界の一部としてのウクライナの再生(rebirth of Ukraine as part of Russian world)」を予見するロシアの議論でも定期的に語られている。討論の参加者は、この問題が既存のウクライナの政治体制と社会に対する組織的な抑圧と破壊に関するものであることを公然と認めている[60]。
第二に、戦争に至る軌跡は、ウクライナがロシアに背を向けることから始まり、その後、ウクライナ社会は「反ロシア(anti-Russia)」、つまりロシアと敵対関係を持つ存在へと進化する[61]。この変化は、テキストで説明されているように、偶然のものではない。ウクライナが反ロシア国家に変貌したのは、西側諸国がウクライナの政治家と「大衆意識(mass consciousness)」を操って、ロシアのすべてを拒絶するように仕向けた結果なのだ。こうして、西側諸国は「ウクライナを大砲の餌食にする運命(prepared Ukraine a fate of cannon fodder)[62]」を用意し、対ロシア戦争の戦場としたのである。第三に、上記のナラティブに従えば、ロシアは破壊的な西側の影響力の拡大を食い止めることで「ウクライナを救っている(saving Ukraine)」ことになる[63]。こうしてロシアは、過去8年間絶え間なく攻撃を受けてきたとされる同胞を「救い(saving)」、西側のハイブリッド侵略とウクライナのナショナリズムからロシアのメタ文明を「守っている(defending)」のである[64]。これらのテキストに暗示されているのは、西欧文明とロシア文明の対立が「宿命的な性質(a fateful character)」を持っているということである[65]。西側の国際秩序は、ロシアの真の国益と文明の運命の実現にとって有害であるとして、否定的に解釈されている。2022年秋にポドベレズキン(Podberezkin)教授が主張したように、「西側諸国が押し付ける規範と規則は、必然的に(ロシアの)主権の劣化、国家価値体系の変形、ひいては国家の崩壊と国家の清算につながる」[66]。この論理によれば、「ロシアに対して全面的な破壊戦争が仕掛けられている[67]」のであり、したがってロシアは、「特別軍事作戦(special military operation)」に割り当てられた目標を完全に達成することによって自らを救わなければならない。したがって、2023年初頭にロシアの軍事アナリスト・グループが次のように主張している。
ロシアの安全保障に対する脅威の根底にあるのは、何世紀にもわたる西欧文化とスラブ文化の対立であり、世界政治の主権主体としてのロシアの存在の可能性そのものを否定する西欧世界の攻撃的な姿勢である[68]。
第四に、ウクライナの社会と国家の完全な破壊を明示的[69]・暗示的[70]に提唱することは、終末論的戦争哲学の特異な特徴である。この文脈では、ロシアの言う戦争終結とは、ウクライナをいわゆるロシア世界の下に完全に服従させ、ウクライナの市民社会を「ロシアのルーツ(Russian roots)」とされるものに戻すことを意味する。実際には、ウクライナの占領地域で見られるように、これはウクライナの文化財の破壊、ウクライナ語の禁止(特に学校での使用)、ロシアの学校システムによる子供たちの洗脳、積極的なウクライナ市民の濾過、拷問や死への服従を意味する[71]。クレムリンの戦争レトリックは、ウクライナとウクライナ人に対する敵のイメージを投影する際に、恐怖と恐怖の極端な感情を用いている。敵国イメージの論理は、戦争の大惨事論的哲学を参照して説明することができる。
戦争の大惨事論的哲学: 敵の悪魔化の枠組み
大惨事論的哲学の枠組みでは、戦争は特定の政治的目標を達成するための手段ではなく、災害を未然に防ぐことに言及して説明される。この意味での戦争とは、「我々(us)に起こりそうなこと、具体的には、他者(others)が我々を脅かすようなこと」である。この場合、ラポポート(Rapoport)は「我々は戦争から何の利益も得られないと考える」と説明する。我々自身の防衛手段は、到達目標を追求するための手段ではなく、災害を回避したり、その影響を緩和したりするための手段に過ぎない[72]。この文脈では、潜在的あるいは現実的な敵としての他者に重点が置かれ、実際の戦争遂行は根無し草のように扱われる。
他者を敵として表現することは、二元論的な白黒思考(a dualistic, black-and-white thinking)に基づいている。したがって、自分の参照集団の崇高な資質と、「脅威となる他者(threatening other)」の全面的な悪、退廃、不道徳とが厳密に区分され、相殺される[73]。ロシアでは、この二元論が、特に21世紀のロシアとその先人の軍事行動にも遡及的に適用されてきた。現代の言説では、西側諸国はロシアの歴史的宿敵であり、常に対外的な紛争を引き起こしてきただけでなく、対内的な紛争をも引き起こしてきた。
悩みの時代から今日に至るまで、ロシアの歴史におけるすべての災難と大惨事は、西側の嘘の浸透の結果であり、西側の嘘に惑わされずロシア人であり続けた人々と、ロシア人の一部がそれを信じて戦争をしたのである。これはロシア史の悲劇的な「法則(law)」であり、今日でも完全に有効である[74]。
ほとんどのヨーロッパ諸国では、歴史と国家神話を批判的に検証するポスト・ナショナルの方向へとシフトしているが、ロシアでは正反対の方向が選択され、慎重に構築された歴史政治が強化されている[75]。ナチズムや大量虐殺(genocide)という誤ったナラティブでウクライナやウクライナ人を悪者扱いするテキストが数多く見られるのも、このカテゴリーに属するからである。
テキストは、ウクライナにおける「ナチズム(Nazism)」の2つのバージョンに言及している。まず、ウクライナにおけるナチズムやネオ・ナチズムは「国家イデオロギー(a state ideology)」の一形態として説明されている[76]。もうひとつは、ウクライナのナショナリズムをナチズムと比較してウクライナを悪者扱いするものである[77]。どちらの場合も、ナチズムとされるもののルーツは、第二次世界大戦中の歴史的な出来事か、ウクライナを反ロシアに変貌させた「西側の影響(Western influence)」にあるとされている[78]。特に、非の打ちどころのないソ連兵がファシズムを打ち負かす「大祖国戦争(Great Patriotic War)」のプロパガンダ的なイメージやレトリックは、ウクライナでの戦争のプロパガンダに効果的に使われている。ロシア人にこうしたイメージを効果的に共鳴させる土台は、特にこの20年間、戦争とナチズムに対するソ連の勝利というカルトを熱狂的に定着させることによって築かれた。マルレーヌ・ラリュエルが言うように、「『ファシズム(fascism)』は、歴史上の敵であると同時に、現在あるいは未来において実現しうるその姿を象徴している」のである[79]。過去の敵のイメージは、ロシアにとっての脅威を強調するために、また一方で、現在の出来事における国家の潔白を強調するために、鏡のように映し出され、利用されている[80]。
ロシアでは、ナショナリズムはしばしば愛国主義として表現され、他の地域では(特に旧ソビエト共和国では)、いかがわしい過激主義として表現される。ウクライナ人の場合、愛国主義はいわゆる西側諸国がロシアを不安定化させるために意図的に支援したナチズムとして描かれている。こうしてウクライナでも、NATOと米国の支援を受けた人為的な「準イデオロギー(quasi-ideology)」が出現し、それがウクライナ人にとって「精神的麻薬(mental narcotic)」として機能していると説明される。ある作家によれば、このイデオロギーは本質的に歪曲された歴史観に基づくもので、ロシアの国家ナラティブの一部としてのウクライナの役割に異議を唱え、ウクライナの独立性を偽って強調している。大統領を含む国全体が、歪曲の上に築かれたトランプの家として紹介されている[81]。ある記事は、1930年代のウクライナの超国家主義者の見解をウクライナの現状に反映させ、「ウクライナ主義(Ukronazism)」の到達目標は常にロシアを破壊することであったと論じている[82]。これは、「特別軍事作戦(special military operation)」を正当化する理由として、ロシアに対する歴史的、継続的、あるいは再発的な存亡の危機を強調している。
特にドンバス地方(Donbass region)は、「バンデラ・ファシスト(bandera fascist)、米国・NATOの膨張主義」に対する抵抗の中心地として強調され、そこではロシア人に対する絶滅戦争や文化的・言語的大量虐殺が行われてきた[83]。著者の一人であるO.E.ヴォロノヴァ(O.E. Voronova)は、この文脈で「ロシアのホロコースト(Russian Holocaust)」[84]という言葉を使っている。このように、ロシアが被害者であるという枠組みは、ロシア人に対する抑圧という疑惑によって、草の根レベルでも具体化されている。ドンバス(Donbass)はロシア世界の精神的な砦であり、「ロシアの未来のための実験的なプラットフォーム(an experimental platform for the Russian future)」を提供するものと見なされている[85]。アレクサンドル・プロハーノフ(Aleksandr Prokhanov)は、「聖なるロシア(Holy Russia)」はノヴォロシヤ(Novorossiya)に具現化され、「輝いている(shines)」と指摘する。「ロシア人は、貪欲な世界銀行家や、ヒトラー主義の茶色い種から芽生えた雑草のような獣のようなファシストに対して、普遍的な幸福のために戦っている」[86]。プロハーノフ(Prokhanov)自身、ドンバス(Donbass)を「世界の最も奥深い中心(the innermost centre of the world)」と表現しており、そこでは「神聖なクリミアと悪魔のような西側が、永遠で無慈悲な死闘を繰り広げている」と述べている[87]。西側を悪魔や「反キリスト(Antichrist)[88]」と表現することは、特に最近のロシアの戦争レトリックにおいて、終末論的哲学や大惨事論的哲学の特徴が絡み合っていることを示している。さらに、いくつかのテキストでは、レトリックが学問的慣習から離れ、宗教的二元論、さらには原理主義のレトリックへと向かっている。この点で、歴史サイトに掲載された資料は、主要なテーマは同じだが、軍事的なテキストとは異なっている。
クレムリンの戦争レトリックは、いわゆる鏡の中の非難、つまり非難する側が実際に行ったこと、または行うつもりであることで相手側を非難する、という特徴がある[89]。これによって、イメージのレベルでは、自分の責めを負わない参照グループと邪悪な敵との間の厳格な区分が維持され、相手側の疑惑の行動に注意が移される。したがって、たとえば、「ナチズムとは、ある民族が他の民族よりも優位にあると主張し、それに基づいて、その民族を抑圧したり、滅ぼしたりすることが可能だと考えるイデオロギー的潮流である[90]」という表現は、ウクライナの文脈やロシア自身の行動に照らせば、不合理に思えるが、クレムリンの戦争レトリックを映し出すという点では完全に首尾一貫している。西側諸国とウクライナがロシアに対する情報戦争で、組織的に捏造や歴史の歪曲に頼っているという非難も同様である[91]。同様に、ウクライナに対する侵略戦争は、西側の挑発に対する防衛として明確に枠組み化することができる。2022年春、複数の関係者が「ロシアは誰も攻撃したことがない(Russia has never attacked anyone)」と主張したが、これは「敵に包囲された脅威反応国(threat-reactive country besieged by enemies)」という確立された考え(established idea)に沿ったものだ[92]。
また、ブチャ(Bucha)での民間人虐殺を発見したことで、著者の一人は、「ナチス軍による平和的な民間人の皮肉な処刑(the cynical execution of peaceful civilians by Nazi forces)」は、ロシア兵に濡れ衣を着せるために企てられたものだと主張するテキストに触発された。著者によれば、この陰謀は「トリックと偽造の達人(masters of tricks and forgeries)」である西側のアドバイザーによって企てられたものであり、彼らは歴史上、このような濡れ衣を着せた他の事件にも責任があるという[93]。ロシア人捕虜の扱い-「若い少年たち、本物の愛国者たち(young boys, real patriots)」-「本物の怪物による野蛮な暴力(savage violence by real monsters)」、「本物の獣の手による(at the hands of real animals)」-も同じ精神で描かれている。敵の極端なイメージの中で、相手の人間性は否定され、捕虜を拷問したとされる者がもはや人間ではないと著者が述べるとき、相手の人間性も否定される[94]。この振舞いのルーツは1941年、ナチスによるウクライナ占領時代にさかのぼり、著者によれば、犯罪者は流刑隊に編成された[95]。
敵の対極にある英雄は、第二次世界大戦に関するロシアの歴史の使い方にも見られる。
彼らの(ウクライナの敵の、筆者の追加による)行く手には、命の火のために死んだ解放者の子孫たちが立っている。ナチズムの新たなサイクルから我々を救うためにやってきたロシアの英雄である[96]。
同じ精神で、前述のプロハーノフ(Prokhanov)は、ロシア文化における「勝利のイデオロギー(ideology of victory)」について、宗教的な隠喩を用いたテキスト全体を発表した。このテキストでは、ロシアの歴史的勝利が強調され、現代世代の課題は1991年の歴史的過ちを正すことであると提案され、「クリミアのロシアへの返還(return of Crimea to Russia)」がロシアの「奇跡の復活(miraculous resurrection)」の最も重要な部分であると述べられている。同じように、「NATOのジハード主義者(jihadists of NATO)」は、現在ロシアが勝利を収めている「聖戦(holy war)」と対立すると定義した[97]。
2022年3月、レトリックはウクライナの政権や軍に代表される「ナチス(Nazis)」と、いわゆる一般民衆を切り離していた。こうして、戦争捕虜の待遇疑惑に関する記事の著者は、「この人たちをウクライナ人とは呼べない(you cannot call these people Ukrainians)」、「農民やコサックの誇り高き人々は、この群衆とは何の関係もない(Farmers and the proud people of the Cossacks have nothing to do with this crowd)」と断言した[98]。ウクライナ人の抵抗が予想以上に粘り強く、団結していることがわかると、敵のイメージのゴールポストを国民全体をカバーするように移動させなければならなかった。2022年4月、ウクライナの国民全体が8年の間に、ロシアとナチズムに対して友愛的から敵対的へと変化したという主張は、米国によって後押しされ、「国民と軍隊の意識に深く浸透した(penetrated deep into the consciousness of the people and the army)」[99]。戦争が長期化するにつれて、ナチズムは西側の集団の根底にあるイデオロギーとしてますます紹介されるようになり、紛争の(擬似的な)歴史二元論的性格が強調されるようになった。たとえば、ロシアは「新世界秩序とその道具であるナチズムに反対する世界で唯一の国であり、西側が利己的な目的のためにウクライナで育てたものである[100]」とされ、「第四帝国(Fourth Reich)」は米国の指導の下、西側で形成されたとされている[101]。
ウクライナでの戦争は、歴史的な「ロシア恐怖症(Russophobia)」と、ヨーロッパと世界全体を支配しようとする西側の試みの集大成として描かれている。こうした願望とされるものは、とりわけ、ロシアがヨーロッパ諸国の家族の一員として望まれたことは一度もなく、ロシアと西側の価値観の対立は「形而上学的で実存的(metaphysical and existential)」な核心を持っているというものである[102]。皮肉屋で「リベラル・ファシスト(liberal-fascist)」な西側諸国は、ロシアとその価値観に対して「全面戦争(total war)」を仕掛けているとされ、それが「特別作戦(special operation)」の必要性の根本原因だと考えられている[103]。
結論として 戦争終結のための説明の進化とその意味
本稿では、ロシアがウクライナに対して行っている戦争について、ロシアの軍事学者や歴史家が何を考えているのか、また、これらの意味がどのように発展してきたのかを分析した。この問題を探求するために、3つの異なる前提(ゲーム、使命、大惨事としての戦争理解)を参照してロシアの議論を分析した。実証的分析に基づき、戦争に至る歴史的、論理的な一連の出来事を解体し、主要な聴衆の知覚(perceptions)を形成し、この戦争についての考え方の特定のパラメータを統合する(consolidate)ためのナラティブ的資源として機能する2つの説明モデルを特定した。その結果、この2つのモデルは、特異な悪役(idiosyncratic villains)と当然と思われていた帝国的想像力(taken-for-granted imperial imaginations)を持つ、架空の、しかし一貫した「ロシアの国家物語(national story of Russia)」の一部となった[104]。
「軍事的-政治的モデル」と呼ばれるものは、ウクライナ、西側諸国、ロシア間の紛争ダイナミズムの説明として、ロシアに対する既存の(そしてエスカレートする)軍事的脅威の知覚(perception)を優先する。ロシアの軍事コミュニティは、ウクライナの軍備増強と、ウクライナが西側の軍事機構(とりわけNATO)に統合(一体化)されたとされることに言及して、「特別軍事作戦(special military operation)」を正当化している[105]。ロシアの軍事作戦の成功は、古典的な方法で定義される[106]。つまり、「ウクライナの抵抗の意志と能力の破壊(destruction of the will and capability of Ukraine to resist)」である。したがって、「紛争後の規制(post-conflict regulation)」は、ロシアが新たな領土を自国の「地政学的軌道(geopolitical orbit)」に集めることができ、その結果、国の軍事的、経済的、科学的、その他の可能性が高まるというゼロ・サム・ゲーム(zero-sum game)として予見されている[107]。このように、ウクライナ紛争は、より広範な地政学的な勢力争いの一環であると解釈されている。ウクライナの主体は、ロシアを弱体化させ、ロシアの国際的な大国としての地位に疑問を投げかけようとする西側の隠れた利益に従属するものとみなされている[108]。
「終末論的-大惨事論的モデル」は、ウクライナの戦争を終末論的な言葉で表現している。すなわち、退廃的で敵対的な西側に対するロシアの国家・文明の闘争である。したがって、西側諸国はウクライナを反ロシア国家に仕立て上げ、いまやロシアの任務は、ウクライナから外国の影響を排除し、それによって西側諸国がロシアの弱体化という到達目標を達成するのを阻止することである[109]。スコット・ラドニッツ(Scot Radnitz)が主張するように、ロシアを侵略者から被害者に位置づけ直すことは、ロシアの行動が正当化されると聴衆を説得することを狙いとしている[110]。これには、ロシアとウクライナに関わる紛争から、「核の黙示録の影(shadow of nuclear apocalypse)」に隠れた複数の戦線を持つ潜在的な世界戦争へと、紛争の規模を再考することが含まれる。
ロシア軍事史学会が管理するウェブサイトに掲載されたテキストは、より多くの読者に向けて、同じようなメッセージを、微妙に異なる、感情に訴えかける、さらには宗教的なレトリックで伝えている。2022年秋以降、これらのテキストには終末論的、さらには原理主義的な特徴が増えており、これは読者をより効率的に説得する圧力が高まっていることを意味し、擬似的な学術的議論にも頼っている。特に敵のイメージ(ナチズム)による第二次世界大戦への言及、ロシアに敵対する「西側(West)」の属国としてのウクライナの描写、「非ナチ化(denazification)」によるウクライナ社会のロシアへの「完全な再統合(total reintegration)」という考え、そして「聖戦(Holy War)」という考え方がその中心となっている。西側諸国によって生み出され、維持されている対立は、歴史的かつ実存主義的な連続体の一部として描写されており、これは暗黙のうちに実存的脅威に言及していると見ることができ、西側のリベラルな退廃とは対照的なロシアの価値観に訴えることで読者を納得させようとしている。クレムリンが国家史政策の分野で行っている包括的な教化により、こうした主張はロシアの読者の少なくとも一部に響いていると推測できる。
この文脈では、戦争の終結は、ウクライナとロシアが一つの国家であるという考えに基づく「新しいウクライナのアイデンティティ(a new Ukrainian identity)」の誕生として予見されている。ナチズムから解放されつつあるウクライナに、「エゴイスティックな西側の生き方(egotistical Western way of life)[111]」に対する精神的価値観に基づく本物の代替案と、ロシアとウクライナの「民族的(ethnogenetic)」、地政学的、歴史的結びつきの理解に基づく「新しいアイデンティティ(new identity)」を提供するためには、ロシアにおいても価値観の見直しが必要であると論じている[112]。ウクライナの「浄化(cleansing)」は、学校の教科書から博物館、劇場からコンサートホールに至るまで、社会のあらゆる制度や文化的産物にまで及ばなければならない。「非ナチ化が体系的に行われれば、他のすべての問題は解決するだろう」[113]。
ウクライナの非ナチ化はまた、「新世界秩序の強化(the consolidation of the new world order)[114]」の一環であるだけでなく、「大祖国戦争のプロセスの論理的終着点(the logical end point for the process of the Great Patriotic War)」ともみなされている[115]。この議論は、第二次世界大戦中にウクライナ人がナチスと友好関係にあったという非難に基づいており、前述の歴史的因果関係の論理の脱構築と再編成を的確に反映している。
また、「非ナチ化(denazification)」に関する著作では、ロシアの支配下で「悪(evil)」を根絶やしにし、ウクライナを西側の退廃的な誘惑から救うことができるという前提に立っている。歴史ポータルの著作は、「領土的に『独立』し(territorially “independent)(文中引用符)、ネオナチ化したウクライナは、ロシアにとって軍事的脅威の源泉であり続ける[116]」ため、非ナチ化と非軍事化はこれを行わなければ完全には実行できないと、暗黙的にも明示的にも示唆している。さらに、ロシア戦史ポータルに掲載されたテキストの著者たちによれば、この脅威は単なる軍事的なものではなく、実存的、さらには形而上学的な性質のものであり、「自由の聖戦(a holy war of liberty)」であり、「善と悪の間の形而上学的な戦い(metaphysical battle between Good and Evil)」なのだという[117]。
結論として、本稿のために分析したテキストの大半は、クレムリンの戦争レトリックに明示的または暗黙的に沿ったものであった[118]。議論から浮かび上がってくる「基本的真実(ground truths)」のひとつは、ウクライナを西側(属国)かロシア(反ロシア)のどちらかに結びつけて表現することである。したがって、ウクライナは独立した主体とはみなされていない。この議論のもうひとつの重要な特徴は、ウクライナが完全に屈服し、ロシアの国益に従属する存在に変貌するという期待である。この狙いは、ウクライナを経由して西側諸国が集団的に提示するロシアへの存亡の危機を排除する緊急の必要性によって正当化される。ここで暗示されているのは、この最大主義的な目標が達成されるまで戦争は続くということだ。「終末論的-大惨事論的モデル」には、「大量虐殺戦争の典型的(paradigmatic of genocidal war)」な特徴、特に「ウクライナとウクライナ人の悪魔化(demonization of Ukraine and Ukrainians)」があるとさえ言える。一方、「軍事的-政治的モデル」の文脈では、戦争はロシアと西側同盟の「力の相関関係(correlation of forces)」として、より抽象的な言葉で組み立てられている。クレムリンは、西側諸国に対する戦略的コミュニケーションにおいて後者のモデルを強調する一方、国内的な文脈では、「終末論的-大惨事論的な次元(eschatological and cataclysmic dimensions)」に言及して戦争を正当化している。したがって、ロシアがウクライナに対して行っている戦争のタイプを完全に理解するためには、これらすべての次元の存在を認めることが重要である。また、ロシアにとって戦争は実存的な本質(war’s existential nature)を持つものであることが強調されるようになった。
ノート
[1] Full text of the article: Pynnöniemi, K., & Parppei, K. (2024). Understanding Russia’s war against Ukraine: Political, eschatological and cataclysmic dimensions. Journal of Strategic Studies, 1–28. https://doi.org/10.1080/01402390.2024.2379395.
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[12] Rapoport, ‘Introduction’, 12.
[13] Rapoport, ‘Introduction’, 13.
[14] Ibid.
[15] Ibid.
[16] Rapoport, ‘Introduction’, 15.
[17] Ibid.
[18] Rapoport, ‘Introduction’, 39.
[19] Rapoport, ‘Introduction’, 16.
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[33] K.V. Sivkov, ‘Veroâtnyj harakter tretʹej mirovoj vojny’, Vestnik AVN 80/3 (2022), 102–109.
[34] Kulakov, ‘Ukrainskij krizis kak sledstvie politiki SŠA i ih soûznikov (kollektivnogo zapada) po sozdaniû poâsa strategičeskogo okruženiâ Rossii’, 21–32.
[35] A.D. Gavrilov, I.V. Grudinin, and D.G. Maiburov, ‘Nekotorye prikladnye aspekty sovremennoj transformacii kategorii vojna’, Vestnik AVN 78/1 (2022), 55–61.
[36] A.V. Serzhantov and S.I. Мuzyakov, ‘Mežgosudarstvennoe protivoborstvo v sovremennyh usloviâh: faktornyj analiz’, Vestnik AVN, 85/4 (2023), 33–40.
[37] Gavrilov, Grudinin and Novikov, ‘Transformaciâ sistemy ugroz nacionalʹnoj bezopasnosti Rossii i specialʹnaâ voennaâ operaciâ’, 6–16; V.P. Baranov and N.V. Bolgov, ‘Protivodejstvie ugrozam voennoj bezopasnosti na sovremennom ètape razvitiâ Rossii’, Vestnik AVN 84/3 (2023), 16–21; S. Yu. Lavrenov, ‘O nekotoryh aspektah sootnošeniâ politiki i voennoj strategii v sovremennyh usloviâh’, Vestnik AVN 85/4 (2023) 48–52.
[38] I.V. Bočarnikov, ‘Ukrainskij krizis v usloviâh sovremennyh geopolitičeskih transformacij’, Vestnik AVN 78/ 1 (2022a), 4–12; I.V. Bočarnikov, ‘Prioritetnye napravleniâ informacionno-analitičeskogo obespečeniâ specialʹnoj voennoj operacii’, Vestnik AVN 78/4 (2022b), 46–53; Kulakov, ‘Ukrainskij krizis kak sledstvie politiki SŠA i ih soûznikov (kollektivnogo zapada) po sozdaniû poâsa strategičeskogo okruženiâ Rossii’, 21–32; O.A. Ovsyannikova, ‘Protivoborstvo v informacionnoj vojne (na primere ukrainskogo krizisa’, Vestnik AVN 79/2 (2022), 37–41; A.D. Gavrilov, I.V. Grudinin and V.A. Novikov, ‘Transformaciâ sistemy ugroz nacionalʹnoj bezopasnosti Rossii i specialʹnaâ voennaâ operaciâ’, Vestnik AVN 82/1 (2023), 6–16. See also Vladimir Putin, ‘Ob istoricheskom edinstve russkih i ukraincev’, July 12, 2021, Kremlin.ru, http://kremlin.ru/events/president/news/66181 ; Roy Allison, ‘Russia’s Case for War against Ukraine: Legal Claims, Political Rhetoric, and Instrumentality in a Fracturing World Order’, Problems of Post- Communism, (12 Sep. 2023), 1–12.
[39] Bočarnikov, ‘Ukrainskij krizis v usloviâh sovremennyh geopolitičeskih transformacij’, 4; see also Kulakov, ‘Ukrainskij krizis kak sledstvie politiki SŠA i ih soûznikov (kollektivnogo zapada) po sozdaniû poâsa strategičeskogo okruženiâ Rossii’, 21.
[40] Bočarnikov, ‘Ukrainskij krizis v usloviâh sovremennyh geopolitičeskih transformacij’, 7.
[41] Igor Kardaš, ‘Istoričeskie aspekty politiki zapada po voennoj konfrontacii ukrainy s Rossiej’, Vestnik AVN 79/2 (2022), 16–20; also V.P. Baranov, ’Ukraina – forpost NATO v Evrope’, Vestnik AVN 79/2 (2022), 5–8.
[42] Kardaš, ‘Istoričeskie aspekty politiki zapada po voennoj konfrontacii ukrainy s Rossiej’, 13.
[43] Bočarnikov, ‘Prioritetnye napravleniâ informacionno-analitičeskogo obespečeniâ specialʹnoj voennoj operacii’, 47; Bočarnikov, ‘Ukrainskij krizis v usloviâh sovremennyh geopolitičeskih transformacij’, 7; Kulakov, ‘Ukrainskij krizis kak sledstvie politiki SŠA i ih soûznikov (kollektivnogo zapada) po sozdaniû poâsa strategičeskogo okruženiâ Rossii’, 29.
[44] Gavrilov, Grudinin and Novikov, ‘Transformaciâ sistemy ugroz nacionalʹnoj bezopasnosti Rossii i specialʹnaâ voennaâ operaciâ’, 10; O.A. Ovsyannikova, ‘Otraženie transformacii sovremennogo miroporâdka v dokumentah strategičeskogo planirovaniâ mirovyh faktorov (na primere SŠA i NATO)’, Vestnik AVN, 83/2 (2023), 36; Bočarnikov, ‘Ukrainskij krizis v usloviâh sovremennyh geopolitičeskih transformacij’, 7; A.V. Manoilo, ‘Informacionnye diversii v konflikte na Ukraine’, Vestnik AVN 81/4 (2022), 54.
[45] S.A. Žmurin, ‘Ugrozy nacionalʹnoj bezopasnosti gosudarstv-učastnikov SNG’, Vestnik AVN 80/3 (2022), 67.
[46] Katri Pynnöniemi and Olli-Matti Mikkola, ‘Venäjän strategisen toimintaympäristön tulkintakehykset ja niiden merkitys Suomelle’, Maanpuolustuskorkeakoulu, Julkaisusarja 3, Työpapereita 22 (Helsinki 2021), 4–5; Putin, ‘Speech and the following discussion at the Munich Conference on Security Policy’.
[47] I.A. Kopylov and A.A. Naletov, ’Sovremennaâ voenno-političeskaâ obstanovka i ee vliânie na nacionalʹnuû bezopasnostʹ rossijskoj federacii’, Vestnik AVN 80/3 (2022), 24; Gavrilov, Grudinin and Maiburov, ‘Nekotorye prikladnye aspekty sovremennoj transformacii kategorii vojna’, 57.
[48] Kopylov and Naletov, ’Sovremennaâ voenno-političeskaâ obstanovka i ee vliânie na nacionalʹnuû bezopasnostʹ Rossijskoj Federacii’, 54.
[49] Kulakov, ‘Ukrainskij krizis kak sledstvie politiki SŠA i ih soûznikov (kollektivnogo zapada) po sozdaniû poâsa strategičeskogo okruženiâ Rossii’, 21.
[50] Bočarnikov, ‘Prioritetnye napravleniâ informacionno-analitičeskogo obespečeniâ specialʹnoj voennoj operacii’, 48.
[51] Irina Kaznacheeva, ‘Desiat’ let bor’by na voenno-istoricheskom fronte: k 10-letiiu RVIO’, Ideologiia budushego. Obshestvenno-politicheskii zhurnal 7 (December 2022), 16; Vladimir Kiknadze, ‘Nacizm kak ideologiâ kievskogo režima i zadači specoperacii po denacifikacii Ukrainy: politiko-pravovoj analiz’, Ideologija budushego. Obshestvenno-politicheskij zhurnal 6 (September 2022), 30.
[52] Oleg Belkov, ’Sovetskii istoricheskii opyt i problema ego primenimosti na sovremennom etape razvitiia Rossii’, Ideologiia budushego. Obshestvenno-politicheskii zhurnal 10 (August 2023), 35–44.
[53] Juri Rubtsov, ‘Sud’ba Ukrainy v planakh tretij reikha: uroki istorii dlia Berlina i Kieva’, Ideologiia budushego. Obshestvenno-politicheskii zhurnal 6 (September 2022), 68.
[54] Kopylov and Naletov, ’Sovremennaâ voenno-političeskaâ obstanovka i ee vliânie na nacionalʹnuû bezopasnostʹ Rossijskoj Federacii’, 27–28; Sivkov, ‘Veroâtnyj harakter tretʹej mirovoj vojny’, 105.
[55] Kardaš, ‘Istoričeskie aspekty politiki zapada po voennoj konfrontacii ukrainy s Rossiej’, 20.
[56] Modestov, ‘Aktualʹnye voprosy celepolaganiâ pri planirovanii meropriâtij denacifikacii’, 154.
[57] Modestov, ‘Aktualʹnye voprosy celepolaganiâ pri planirovanii meropriâtij denacifikacii’, 147. See also Vladimir Putin, ‘Ob istoricheskom edinstve russkih i ukraincev’, 12 July 2021, Kremlin.ru, http://kremlin. ru/events/president/news/66181.
[58] Modestov, ‘Aktualʹnye voprosy celepolaganiâ pri planirovanii meropriâtij denacifikacii’, 148; Grigorii Gerasimov, ‘Denacifikaciâ Germanii i Ukrainy: obŝee i osobennoe’, Istorija.rf (5 Apr. 2022).
[59] Rostislav Ishchenko, ‘K voprosu ob ideologicheskom obespechenii SVO: do i posle pobedy’, (2023), 51.
[60] Sergei Markov, ‘Ukrainskij nacizm – polittehnologičeskij’, Ukraina: informacionno-analitičeskij monitoring 171/2 (2023), 19–22; Andrei Nikiforov, ‘Nužna totalʹnaâ deukrainizaciâ do poslednego ukrainca Ukraina’, Informacionno-analitičeskij Monitoring, 171/2 (2023), 25.
[61] Bočarnikov, ‘Prioritetnye napravleniâ informacionno-analitičeskogo obespečeniâ specialʹnoj voennoj operacii’, 46; Karpovich, ‘Informacionnaâ vojna protiv Rossii v usloviâh osuŝestvleniâ specialʹnoj voennoj operacii’, 13; A.S. Korzhevskiy and S.I. Muzyakov, ‘Osnovnye zakonomernosti i principy upravleniâ oboronoj gosudarstva v sovremennyh usloviâh’, Vestnik AVN 80/3 (2022), 19; Kopylov and Naletov, ’Sovremennaâ voenno-političeskaâ obstanovka i ee vliânie na nacionalʹnuû bezopasnostʹ Rossijskoj Federacii’, 27; see also D.E. Muza, ‘Ukraina i Donbass kak arena civilizacionno-geopolitičeskogo protivostoâniâ Rossii i Zapada’, Istorija.rf (11 Mar. 2022b).
[62] Kopylov and Naletov, ’Sovremennaâ voenno-političeskaâ obstanovka i ee vliânie na nacionalʹnuû bezopasnostʹ Rossijskoj Federacii’, 27.
[63] Bočarnikov, ‘Ukrainskij krizis v usloviâh sovremennyh geopolitičeskih transformacij’, 10.
[64] S.A. Modestov, ‘Politiko-pravovye aspekty specialʹnoj voennoj operacii na Ukraine kak strategičeskoj kontrterrorističeskoj operacii’, Vestnik AVN 79/2 (2022a), 53; O.V. Kepel and B.N. Nedbailo, ‘Gosudarstvennyj patriotizm v istorii rossijskogo voinstva’, Vestnik AVN 84/3 (2023), 128; Kirill Frolov, ‘Vystuplenie na zasedanii Vizantijskogo Kluba’, https://i-sng.ru/publikacii/pochemu-rossiya-yavlyaetsya-svyashhennoy-der/. (21 Dec. 2023).
[65] Kulakov, ‘Ukrainskij krizis kak sledstvie politiki SŠA i ih soûznikov (kollektivnogo zapada) po sozdaniû poâsa strategičeskogo okruženiâ Rossii’, 31.
[66] Podberezkin, ‘Razvitie strategičeskoj obstanovki posle fevralâ 2022 goda i politika Rossii’, 93.
[67] V.F. Prokofyev, ‘Osobennosti sovremennyh informacionnyh vojn. uroki na buduŝee’, Vestnik AVN 80/3 (2022), 113.
[68] Gavrilov, Grudinin and Novikov, ‘Transformaciâ sistemy ugroz nacionalʹnoj bezopasnosti Rossii i specialʹnaâ voennaâ operaciâ’, 7.
[69] Modestov, ‘Politiko-pravovye aspekty specialʹnoj voennoj operacii na Ukraine kak strategičeskoj kontrterrorističeskoj operacii’, 57–58; Modestov, ‘Aktualʹnye voprosy celepolaganiâ pri planirovanii meropriâtij denacifikacii’, 148; Viacheslav Zimonin, ‘Ukrainskaia gosudarstvennost’: na puti k krakhu’, Ideologiia budushego. Obshestvenno-politicheskii zhurnal 10 (August 2023).
[70] Bočarnikov, ‘Ukrainskij krizis v usloviâh sovremennyh geopolitičeskih transformacij’, 12; Gavrilov, Grudinin and Novikov, ‘Transformaciâ sistemy ugroz nacionalʹnoj bezopasnosti Rossii i specialʹnaâ voennaâ operaciâ’, 14.
[71] Shaw, ‘Russia’s Genocidal War in Ukraine: Radicalization and Social Destruction’, 361–363; Sarah Fainberg and Celine Marange, ‘Between intentionality and Inevitability: Uncovering the Enablers of Russian War Crimes in Ukraine, Online Papers, No.1 (Apr. 2023), 6–7.
[72] Rapoport, ‘Introduction’, 16.
[73] See e.g., Marja Vuorinen, Enemy images in war propaganda. (Newcastle – upon – Tyne: Cambridge Scholars Publishing 2012) 3–5; Vilho Harle, ‘On the concepts of the “other” and the “enemy”’, History of European Ideas 19/1–3 (1994), 27–34; Parppei, ‘Enemy images in the Russian national narrative’, 23–47.
[74] Vitali Darenskii’, Zapad kak ‘Imperiia lzhi’ v ideologii politike’, Ideologiia budushego. Obshestvenno-politicheskii zhurnal 10 (August 2023), 70.
[75] See for example Olga Malinova, ‘Political Uses of the Great Patriotic War in Post-Soviet Russia from Yeltsin to Putin’, in J. Fedor, M. Kangaspuro, J. Lassila & T. Zhurzhenko (eds.), War and Memory in Russia, Ukraine and Belarus (Cham: Palgrave Macmillan 2017), 43–70; Veera Laine, ‘New Generation of Victors: Narrating the Nation in Russian Presidential Discourse 2012–2019’, Demokratizatsiya: The Journal of Post-Soviet Democratization 28/4 (2020), 517–540; Kati Parppei, ‘A Thousand Years of History: References to the Past in the Addresses to the Federal Assembly by the President of Russia, 2000–19’, in R. Välimäki (ed.) Medievalism in Finland and Russia (London: Bloomsbury 2022), 39–56.
[76] V.P. Baranov, ‘Ukraina – forpost NATO v Evrope’, Vestnik AVN 79/2 (2022), 8–9; Prokofyev, ‘Osobennosti sovremennyh informacionnyh vojn. uroki na buduŝee’, 111; I.I. Kardaš, A.V. Knyazev and A.V. Anan’ev, ‘Organizacionno-pravovye aspekty denacifikacii: istoričeskij opyt i uroki’, Vestnik AVN 81/4 (2022), 158.
[77] Kardaš, ‘Istoričeskie aspekty politiki zapada po voennoj konfrontacii ukrainy s Rossiej’, 14; Baranov, ‘Ukraina – forpost NATO v Evrope’, 8–9.
[78] Bočarnikov, ‘Ukrainskij krizis v usloviâh sovremennyh geopolitičeskih transformacij’, 5; Ovsyannikova, ‘Protivoborstvo v informacionnoj vojne (na primere ukrainskogo krizisa’, 38; Juri Rubtsov, ‘Bitva s nacizmom prodolžaetsâ: operaciâ po denacifikacii Ukrainy estʹ logičeskoe zaveršenie Velikoj Otečestvennoj vojny’, Ideologija budushego. Obshestvennopoliticheskij zhurnal 5 (June 2022), 13, http://histrf.ru/files/ideology_of_future_part5.pdf; Kiknadze, ‘Nacizm kak ideologiâ kievskogo režima i zadači specoperacii po denacifikacii Ukrainy: politiko-pravovoj analiz’, 24–39.
[79] Marlene Laruelle, Is Russia Fascist? Unraveling Propaganda East and West (Ithaca New York: Cornell University Press, 2021), 61; see also Dina Khapaeva, Putin’s Dark Ages: Political Neomedievalism and Re- Stalinization in Russia (London: Taylor & Francis 2024), 2.
[80] See e.g., Gregory Carleton, Russia: The Story of War (Cambridge: The Belknap Press of Harvard University Press 2017); Stephen M Norris, A war of images. Russian popular prints, wartime culture, and national identity 1812–1945 (DeKalb: Northern Illinois University Press 2006); Parppei, ‘Enemy images in the Russian national narrative’, 23–47.
[81] A.S. Trushin, ‘Vojna fejkov’: informacionnoe protivoborstvo v hode specoperacii po demilitarizacii i denacifikacii Ukrainy’, Ideologija budushego. Obshestvenno-politicheskij zhurnal 5 (June 2022), 27–32, https://histrf.ru/files/ideology_of_future_part5.pdf; Sergei Antonov, ‘Ukrainskij nacionalizm: istoriâ smertelʹnoj transformacii’, Istorija.rf (11 Mar. 2022), https://histrf.ru/read/articles/ukrainskiy-nacionalizm-istoriya-smertelnoy-transformacii.
[82] Kiknadze, ‘Nacizm kak ideologiâ kievskogo režima i zadači specoperacii po denacifikacii Ukrainy: politiko-pravovoj analiz’, 24–39.
[83] Muza, ‘Ukraina i Donbass kak arena civilizacionno-geopolitičeskogo protivostoâniâ Rossii i Zapada’, Istorija.rf (11 Mar. 2022b).
[84] Voronova, ‘Duhovnaâ bezopasnostʹ russkogo mira v kontekste specoperacii po denacifikacii Ukrainy’, 42.
[85] Voronova, ‘Duhovnaâ bezopasnostʹ russkogo mira v kontekste specoperacii po denacifikacii Ukrainy’, 45.
[86] Cited in Muza, ‘Ukraina i Donbass kak arena civilizacionno-geopolitičeskogo protivostoâniâ Rossii i Zapada’, Istorija.rf (11 Mar. 2022b).
[87] A.A. Prokhanov, ‘Donbasskij vektor russkoj istorii’, Ideologija budushego. Obshestvenno-politicheskij zhurnal 6 (September 2022), 212. http://histrf.ru/files/ideology_of_future_6.pdf.
[88] Vitali Darenskii, ’Bog blagoslovliaet pravednuiu bran’ . . . ’: o khristianskom smysle SVO’, Ideologiia budushego. Obshestvenno-politicheskii zhurnal 11 (December 2023), 39.
[89] Kenneth L. Marcus, ‘Accusation in a mirror’, Loyola University Chicago Law Journal 43/2 (2012), 357–393.
[90] Gerasimov, ‘Denacifikaciâ Germanii i Ukrainy: obŝee i osobennoe’; see also Aleksandr Golodov, ‘SVO i istoricheskie feiki na stranitsakh germanskoi pressy v kontekste informatsionnoi voiny Zapada protiv Rossii’, Ideologiia budushego. Obshestvenno-politicheskii zhurnal 11 (December 2023).
[91] Golodov, ‘SVO i istoricheskie feiki na stranitsakh germanskoi pressy v kontekste informatsionnoi voiny Zapada protiv Rossii’; Trushin, ‘Vojna fejkov’: informacionnoe protivoborstvo v hode specoperacii po demilitarizacii i denacifikacii Ukrainy’, 27–33; Maksim Vaskov, ‘Mify i fal’sifikatsii sovremennoi ukrainskoi istoriografii na sovremennom etape informatsionnoi voiny protiv Donbassa’, Ideologiia budushego. Obshestvenno-politicheskii zhurnal, 10 (August 2023).
[92] Louis Jacobson, ‘Russian spokesman’s statement ignores centuries of Russian attacks’, PolitiFact (21 Feb. 2022), http://www.politifact.com/factchecks/2022/feb/21/dmitry-peskov/russian-spokesmansstatement-ignores-centuries-rus/ Orthodox Times, ‘Kirill’s provocative statement: Russia has never attacked anyone’, Orthodox Times, 4 May 2022, https://orthodoxtimes.com/kirills-provocative-statement-russia-has-never-attacked-anyone/; See also Dmitrii Semyonov, ‘Rossiâ vojny ne načinaet. Ona ih zakančivaet’, Krasnaja Zvezda, 2 Mar. 2022; Prokofyev, ‘Osobennosti sovremennyh informacionnyh vojn. uroki na buduŝee’, 114.
[93] Andrei Manoilo, Anatolii Petrenko and Konstantin Strigunov, ’Osnovnye aspekty informacionnoj vojny Ukrainy i zapada protiv Rossii v hode specoperacii’, Ideologija budushego, Obshestvenno-politicheskij zhurnal 6 (September 2022),, 53–54, http://histrf.ru/files/ideology_of_future_6.pdf; Andrei Ilyin, ‘Istoriâ fejkov i poddelok: kto stal krestnym otcom gazetnyh utok iz Buči’, Istorija.rf (5 Apr. 2022), https://histrf.ru/read/articles/istoriya-feykov-i-poddelok-kto-stal-krestnym-otcom-gazetnyh-utok-iz-buchi.
[94] Bočarnikov, ‘Prioritetnye napravleniâ informacionno-analitičeskogo obespečeniâ specialʹnoj voennoj operacii’, 50; M.V. Zhuravlev, ‘Vyzovy i ugrozy nacionalʹnoj bezopasnosti Respubliki Belarusʹ v svâzi s provedeniem specialʹnoj voennoj operacii Vooružennymi Silami Rossijskoj Federacii na Ukraine’, Vestnik AVN 80/3 (2022), 69.
[95] Andrei Ilyin, ‘Zabveniû ne podležit. Istoki nasiliâ neonacistov nad voennoplennymi’, Istorija.rf (31 Mar. 2022), https://histrf.ru/read/articles/zabveniyu-ne-podlezhit-istoki-nasiliya-neonacistov-nad- voennoplennymi.
[96] Ilyin, ‘Zabveniû ne podležit. Istoki nasiliâ neonacistov nad voennoplennymi’.
[97] A.A. Prokhanov, ‘Ideologiâ Russkoj Pobedy: naši svâŝennye kody’, Ideologija budushego. Obshestvenno-politicheskij zhurnal 5 (June 2022), 34–40. https://histrf.ru/files/ideology_of_future_part5.pdf.
[98] Ilyin, ‘Zabveniû ne podležit. Istoki nasiliâ neonacistov nad voennoplennymi’. During the fall, Andrei Sementkovski’s article published on the 6th of March was removed from the site. The removed article further emphasised this difference, and explored what could be learned from the ‘Great Patriotic War’ for the benefit of the special operation.
[99] Gerasimov, ‘Denacifikaciâ Germanii i Ukrainy: obŝee i osobennoe’.
[100] Darenskii, Vitali, ’Zapad kak ‘Imperiia lzhi’ v ideologii politike’.
[101] Golodov, ‘SVO i istoricheskie feiki na stranitsakh germanskoi pressy v kontekste informatsionnoi voiny Zapada protiv Rossii’, 33.
[102] D.E. Muza, ‘Cennostnyi antagonizm Zapada i Rossii v istoriko-filosofskom izmerenii (vzglâd iz Donbassa)’, Ideologija budushego. Obshestvenno-politicheskij zhurnal 5 (June 2022), 34-40. https://histrf.ru/files/ideology_of_future_part5.pdf.
[103] O.E. Voronova, ‘Duhovnaâ bezopasnostʹ russkogo mira v kontekste specoperacii po denacifikacii Ukrainy’, Ideologija budushego. Obshestvenno-politicheskij zhurnal 5 (June 2022), 41–42. https://histrf.ru/files/ideology_of_future_part5.pdf.
[104] Kati Parppei, ‘Enemy images in the Russian national narrative’, in Katri Pynnöniemi (ed.), Nexus of Patriotism and Militarism in Russia (Helsinki: Helsinki University Press 2021).
[105] Kulakov, ‘Ukrainskij krizis kak sledstvie politiki SŠA i ih soûznikov (kollektivnogo zapada) po sozdaniû poâsa strategičeskogo okruženiâ Rossii’, 31.
[106] Modestov, ‘Aktualʹnye voprosy celepolaganiâ pri planirovanii meropriâtij denacifikacii’, 147.
[107] K.A. Trotsenko and A.N. Stolyarov, ‘Teoriâ i praktika postkonfliktnogo uregulirovaniâ – problemy i realii načala XXI veka’, Vestnik AVN 80/3 (2022), 115.
[108] Kopylov and Naletov, ’Sovremennaâ voenno-političeskaâ obstanovka i ee vliânie na nacionalʹnuû bezopasnostʹ Rossijskoj Federacii’; see also Dmitry Minic, ‘Russia’s invasion of Ukraine. A political- strategic break?’, Notes de L’IFRI, 126 (2022).
[109] Modestov, ‘Politiko-pravovye aspekty specialʹnoj voennoj operacii na Ukraine kak strategičeskoj kontrterrorističeskoj operacii’, 57–58; Oleg Belkov, ‘Denacifikaciâ Ukrainy’, (30 June 2022), https://nic-pnb.ru/politicheskij-krizis-naukraine/denaczifikacziya-ukrainy/; Sivkov, ‘Veroâtnyj harakter tretʹej mirovoj vojny’, 102–109; Podberezkin, ‘Razvitie strategičeskoj obstanovki posle fevralâ 2022 goda i politika Rossii’, 94.
[110] Scott Radnitz, ‘Conspiracy Theories and Russia’s Invasion of Ukraine’, Russian Analytical Digest No. 299 (4 Aug. 2023), 12.
[111] Gerasimov, Denacifikaciâ Germanii i Ukrainy: obŝee i osobennoe’.
[112] Oleg Belkov, ’Denacifikaciâ Ukrainy kak ponâtie i âvlenie: celi, ètapy, metody’, Ideologiia budushego. Obshestvenno-politicheskij zhurnal (June 2022), 45, http://histrf.ru/files/ideology_of_future_6.pdf.
[113] Sergei Chernjakhovskii, ‘Centralʹnoe zveno: denacificiruûŝaâ rekonstrukciâ’, Istorija.rf (4 April 2022), https://histrf.ru/read/articles/centralnoe-zveno-denacificiruyushchaya-rekonstrukciya; See also Belkov, ’Denacifikaciâ Ukrainy kak ponâtie i âvlenie: celi, ètapy, metody’, 40–48.
[114] Belkov, ’Denacifikaciâ Ukrainy kak ponâtie i âvlenie: celi, ètapy, metody’, 47.
[115] Rubtsov, ‘Bitva s nacizmom prodolžaetsâ: operaciâ po denacifikacii Ukrainy estʹ logičeskoe zaveršenie Velikoj Otečestvennoj vojny’, 13–16.
[116] Belkov, ’Denacifikaciâ Ukrainy kak ponâtie i âvlenie: celi, ètapy, metody’, 42; see also Chernjakhovskii, ‘Centralʹnoe zveno: denacificiruûŝaâ rekonstrukciâ’.
[117] See e.g., D. E. Muza, ‘O sviashsennom statuse nyneshnei voiny s terroristicheskim kvazi-gosudarstvom ‘Ukraina’ i ‘kollektivnym Zapadom’, Ideologiia budushego. Obshestvenno-politicheskii zhurnal 7 (September 2022), 30.
[118] Dimitri, Minic, ‘What does the Russian army think about its war in Ukraine? Criticism, recommendations, adaptations, Russie.Eurasie.Reports, No. 44 (Paris: Ifri 2023), 8–12.