ノイズの中から信号を見つける:人間のパターン認識について情報戦士が知っておくべきこと (irregularwarfare.org)

軍事における認知戦に関わる記事を多く紹介している中で、違った側面から示唆に富む記事があったので紹介する。この記事は、相手が行う認知戦に対して有効に対応するためには、認知科学(特に人間のパターン認識・記憶・感情理解)の理解と適応が重要であることを前提にした内容である。人がどのように認知行動をしているかをパターン認識の仕組みで説明し、人間の脳の仕組みから、なぜ相手の意図するように仕向けられてしまうかを構造的に説いている。

また、従来信じられていた「情報戦・認知戦」での対応も変更すべきことがあるようにも述べられており、「個々の投稿(post)を見る」認識を捨て、「パターンで見る」へ転換して、投稿やメッセージの背後にある「構造(パターン)」を見て先回りして阻止することや、機械による検知での限界と人間による意味の理解の再認識などを提言している。

今後の「情報戦・認知戦」への対応の具体化を考えれば、認知科学の知識を持った人材の採用や育成も重要なことだと考えさせられます。(軍治)

ノイズの中から信号を見つける:人間のパターン認識について情報戦士が知っておくべきこと

Finding the Signal within the Noise: What Information Warriors Need to Know About Human Pattern Recognition.

January 28, 2026 by Douglas Wilbur

編集者注:この記事は、IWIとSWJ間の再掲載取り決めの一環として、Small Wars Journalの許可を得て再掲載されている。元の記事は2025年12月18日に公開され、こちらで閲覧可能。

ダグラス・S・ウィルバー博士彼は4度の派遣経験を持つ元米陸軍情報作戦将校である。軍務を終えた後、ミズーリ大学ジャーナリズム学校で戦略コミュニケーションの博士号を取得した。彼の研究専門はプロパガンダと情報戦。

2022年、ロシア国営メディアはウクライナ政府を「ネオナチ(neo-Nazi)」と呼び、市民を西側の操作の犠牲者として描く協調的なナラティブ戦役(narrative campaign)を開始した。「ネオナチ(neo-Nazi)」というナラティブ(narrative)は、第二次世界大戦の神話における深い文化的記憶を呼び覚ました。そこではファシズムの打倒が国民的アイデンティティの中心とされていた。ロシアが作ろうとしたこの信号はシンプルだが強力だった。ロシアは道徳的に正しい、ウクライナは本質的に危険、軍事行動は正当化されるだけでなく必要なものだ。数日以内に、数千の自動化されたソーシャル・メディア・アカウントがTelegram、VKontakte、Twitter、YouTubeで同じストーリー・フレーム(story frame)1を繰り返し始めた。その繰り返しが証拠を超えた一貫性を生み出した。利用者は事実に納得しなかった。彼らは馴染み深いパターン(familiar patterns)、英雄(heroes)、悪役(villains)、そして直感的に真実に感じられる道徳的贖罪(moral redemption)に安心感を得ていた。RAND研究所の分析官たちは後に、この「虚偽の噴射(firehose of falsehood)」アプローチを、論理よりも量と反復によって批判的思考(critical thinking)を圧倒するシステムだと表現した。これらの作戦が成功するのは、人間が混沌の中で秩序を求める自然な方法を兵器化しているからである。認知研究によると、人々が欠落や混乱した情報に直面したとき、脳は自動的に空白を埋めて完全な全体像を作り出す。イメージや物語(story)2、メッセージの一部が不明瞭であれば、心は記憶や期待から欠けている詳細を補い、それを一体感のあるものにする。このプロセスは不確実性を減らし、たとえ利用可能なデータが不完全または誤解を招く場合でも秩序感(a sense of order)を生み出す。このパターン完成へのバイアス(bias)により、直感的な判断(intuitive judgments)が間違っていても正確に感じられる。敵対者がそのパターンを形作ると、信念(belief)も形作られる。

※1 ストーリー・フレーム(Story Frame)」とは、特定の政治的・軍事的な狙いを達成するために、敵対者や聴衆の知覚、感情、価値観を誘導するように構築された枠組み

※2 物語(story)とナラティブ(narrative)の違いは、この記事では、物語(story)を個別の起承転結を持った出来事の最小単位を指し、ナラティブ(narrative)は個別の物語(story)を束ねて解釈する際に参照されるように意図をもって構築されたものを指している。

情報戦士たちはしばしばパターン認識(pattern recognition)をアルゴリズム検出、つまり機械が繰り返されるデータ・シーケンスを識別する方法と同一視する。しかし、意味自体はパターン化されている。人間は記憶、感情、物語の入れ子状で進化する構成を通じて世界を解釈する。プロパガンダはこれらの解釈パターンを利用して、文化的な神話や道徳的枠組みを反映(mirroring)し、認識を説得へと変えることができる。このパターン化された戦闘空間(patterned battlespace)を理解することは、今や情報戦(information warfare)の中心となっている。機械は繰り返しのハッシュタグ、投稿サイクル、ネットワーク・クラスターを検出できるが、それらのパターンが何を意味するのか、活動の急増が恐怖、憤り、連帯、あるいは組織的な操作のシグナルかを解釈できるのは人間だけである。

パターンとは何か?

パターン理論(pattern theory)によれば、パターンとは、知覚的、認知的、感情的、または象徴的な要素間の関係性の繰り返しの構成であり、人間が経験に意味を解釈し、予測し、帰属させることを可能にする。パターンは心の外側にある世界の繰り返される構造の中に存在する。それらは、ソーシャル・ネットワークがどのように影響力を組織し、経済がどのように変動し、軍隊がどのように連携し、プラットフォーム間のコミュニケーションがどのように流れるかに現れる。例えばソーシャル・メディアでは、数人のインフルエンサーがトラフィックの大半を占め、数千の小規模アカウントが彼らのコンテンツを反映している。このべき乗則(power-law)構造はほぼすべてのプラットフォームで繰り返される。さらに重要なのは、パターンが心の中に存在し、経験に意味を与える内的枠組みとして機能していることである。パターン理論は、人間は記憶、感情、事前の理解から構築された馴染みのある心的構造と新しい情報を結びつけることで世界を解釈すると考える。心は常に入ってくる信号を整理し、比較し、単純化し、生データを一貫した形に変換している。メッセージが誰かがすでに信じている物語や信頼しているシンボルと一致すると、検証されなくても真実のように感じられる。これらの内的なパターンは、外的なメッセージに力を与えている。情報は、人々がすでに理解している世界と結びついて初めて説得力を持つ。例えば、「外部の者が国を脅かしている」という繰り返しの主張のような外部的なパターンは、内部のパターンと一致して初めて説得力を持つ。長年の外国の裏切りへの恐怖や、過去の侵略に関する文化的な物語(cultural story)のように。外部のメッセージが内部記憶に合致すると、証拠がなくても真実のように感じられる。情報は、人々がすでに理解している世界と結びついて初めて説得力を持つ。

パターン理論は、パターンは規則性(regularity)、形態(form)、秩序(order)という三つの基本的な考え方に基づいて構築されると考える。規則性(regularity)とは、物事が繰り返し起こり、追跡や予測が可能なことを意味する。情報空間(information space)では、投稿スケジュール、ミーム・サイクル(meme cycles)、選挙や抗議などの重要なイベント前の連携メッセージの急増などが、規則性として現れる。これらの繰り返される動作はランダムではない。彼らはコミュニケーションのリズムとテンポを作り出す。それに気づく分析者は、内容自体がプロパガンダと認識される前から、影響の動きを早期に見抜くことができる。形態と秩序は、それらの通常の行動がどのように形を成し、つながるかを説明する。形態(form)とは、物事の知覚された構造や構成のことである。例えば、スローガン、ハッシュタグ、動画スタイルなどで、情報戦役に形を与えることで認識されるようにしよう。秩序(order)とは、知覚可能なものがどのように配置され、順序づけられ、望ましい効果を生み出すことを指す。どのメッセージが導くか、どのシンボルが繰り返されるか、そして感情的な手がかりを重ねて注意を引きつけるかを決める。秩序は、どのメッセージが導くか、どのシンボルが繰り返され、感情的なトリガーがどのように重層的に重なって注意を導くかを決定する。実際には、形態は反復に形を与え、秩序はその方向性を与える。これら三つの要素が一体となって、ナラティブの一貫性と信頼が築かれる。秩序が崩れると、メッセージは明確さを失い、聴衆は漂流する。この関係性を理解することで、情報戦士は情報の戦闘空間(information battlespace)を通じて意味がどのように構造化され、繰り返され、強化されているかを理解できる。

誤検知(false positive)と見逃し(false negative)

人間はパレイドリア(pareidolia)と呼ばれるコンセプトでパターン認識の誤りを誤検知(false positive)する。人々が心の中に意味のある形やパターンを見ているが、それは外的現実には存在しない。シリア内戦中、ソーシャル・メディアの利用者は衛星画像や雲の中に隠された記号を繰り返し見たと主張した。例えば、宗教的なアイコンや旗、顔の輪郭を、一方の側を好む神聖な印として解釈するなどである。同様の問題は国家レベルやボットネット・レベルでも発生している。2016年の米国選挙期間中、いくつかのロシア系ボット・ネットワークは、オンライン・チャットの無関係な急増を新たな「草の根運動(grassroots movements)」と誤解し、それを自発的な火種と誤認して積極的に拡散した。実際には、これらの急増の多くは自動スパムや無関係なバイラル・エンターテインメント・コンテンツ(viral entertainment content)3から発生していた。この誤検知パターン(false-positive pattern)の検出は作戦上の脆弱性を生み出した。ボットネット(botnets)は無関係な資料に過剰に関与することで自らを露呈し、研究者がその調整パターンを検出・除去しやすくした。したがって、ノイズを信号として誤解することは、世間の知覚(perception)を操作するためにデザインされた作戦自体を弱めてしまう可能性がある。このバイアスは、限られたデータでも感覚入力を予測的に馴染みのある形態にマッチングするという利用可能なヒューリスティックを反映している。人間は逆の誤り、つまり見逃し(false negative)を経験する。これは実際に存在するパターンを認識できないことである。情報戦(information warfare)において、分析者が断片的または偶然に見えるために、協調された振舞いや繰り返されるナラティブ構造を見逃すことがある。これらの実際のパターンを見逃すと、影響力戦役や協調的不正行為(coordinated inauthentic activity)の発見が遅れてしまう。

※3 バイラル・エンターテインメント・コンテンツ(Viral Entertainment Content)とは、インターネットやソーシャル・メディア(SNS)を通じて、短期間に口コミやシェアによって爆発的に拡散され、多くの人々に消費される動画、画像、記事、ゲームなどのエンターテインメント性の高いコンテンツのこと

人間の記憶とパターン認識

パターン理論は、パターンは記憶の集積から生じると考える。人は新しい情報を処理するたびに、記憶に保存された類似の経験と比較する。脳は事実だけでなく、出来事や感情、結果の関係、つまりパターンそのものも保持している。感情はこの過程で中心的な役割を果たす。なぜなら、感情的覚醒は記憶の符号化と回想を強化し、感情に満ちたパターンをより鮮明で持続的にするからである。 これらの記憶されたつながりは理解のための近道を生み出す。フレーズや色、シンボルが一瞬で物語全体を呼び起こすことができる。記憶パターンは過去と現在をつなぐ架け橋となり得る。プロパガンダが馴染み深い手がかりや古い戦時歌、国民的英雄、歴史的な恨みを再利用すると、感情的な記憶が呼び覚ます。メッセージは、聴衆がすでに意味のあるものとして覚えていることと一致しているため、本物らしく感じられる。これにより、感情記憶に結びつくメッセージは分析の精査を回避し、共有されたアイデンティティ・グループを通じてより速く拡散し、後の修正に対してはるかに耐性があるため、敵対者にとって大きな作戦上の優位性をもたらす。

記憶はまた、パターンの持続と拡散の形にも影響する。人々がナラティブのパターン、つまり誰が正しくて誰が間違っているのか、なぜそうなのかを説明する物語を内面化すると、それが新しい情報を判断するための心のテンプレートとなる。すべての将来の出来事がその保存されたストーリーラインと比較される。ナラティブに合う細部は記憶され、強化される。それに反する者は却下されるか忘れ去られる。この選択的な想起はパターンを安定させ、感情的に満足させる。プロパガンダはこの仕組みに依存している。なぜなら、裏切りや国家再生、英雄的な犠牲など、既存の記憶構造に沿った物語を繰り返すことで、古い感情が再び現代的に感じられるからである。その結果、連続性が生まれる。記憶はプロパガンダを馴染み深い経験-過去の勝利、裏切り、共有した苦しみ-に根付かせ、ナラティブはそれらの感情を新たな出来事へと運ぶ。倒れた英雄を偲ぶスピーチ、生存を祝う祝日、あるいは国民的な不満を繰り返すミーム(meme)4など、すべてが過去を感情的に活発に保つ。それらは共に自己持続的なサイクルを形成し、それぞれの語りが感情を強化し、新しい情報の評価方法を形作る。記憶された感情が解釈を導き、新しい物語が記憶を刷新することで、信念(belief)を動かし続ける自己持続的なサイクルを生み出す。

※4 「ミーム(meme)」とは、模倣によって人から人へ広がる文化的な情報(アイデア、画像、動画、行動様式など)の単位で、特にインターネット上で面白おかしく拡散される画像や動画などのコンテンツ(インターネット・ミーム)を指し、日本語では「流行」「ネタ」「ネタ画像」などが意味合いとして近い。

感情や記憶はパターンを保存するだけでなく、どのパターンが見えるかに注意を向ける役割を果たす。過去の感情経験が、脳が重要とみなすものを形作り、過去の報酬や脅威に関連する手がかりに注意を向ける。

旗や傷ついた子供、反抗的な指導者の馴染み深いイメージは、中立的な情報よりも早く注目を集め、長く引き留める。感情的に帯びた信号に注意が固定されると、より深い認知処理を受け、長期記憶として保存される可能性が高まる。実証的な証拠によれば、感情的覚醒は注意力と記憶の統合を強化し、感情信号が事実内容だけでなく強い影響を及ぼすことが示されている。時間が経つにつれて、注意はパターン化していく。人々は同じ感情的な手がかりに気づき続け、それが新しい情報の見方を形作る精神的なつながりを強化する。デジタル戦(digital warfare)では、この反射動作を利用して強い感情と重要なメッセージを組み合わせ、より多く見られ、信じられ、記憶される可能性を高める。

マイクロ・パターン、メソ・パターン、マクロ・パターン

パターンは、マイクロ(micro)、メソ(meso)、マクロ(macro)という三つの相互に繋がったレベルで発展し、互いに積み重なっていく。各レベルがその下のレベルに構造と安定性を加えている。

マイクロ・パターン(micro-patterns)は意味の最小の構成要素である。それらは、考え(ideas)、感情(emotions)、イメージ(images)の繰り返しの連想を通じて個人の認知の中で形成される。各人は新しい情報を解釈する方法を形作るマイクロ・パターンを形成する。例えば、権威(authority)と支配(control)、宗教(religion)と道徳(morality)、旗(flag)と忠誠(loyalty)を結びつけるなどである。しかし、マイクロ・パターンは通常一時的であり、記憶に変換されないことが多い。情報ドメイン(information domain)において、マイクロ・パターンは反射的な反応として現れる。例えば、自分の集団に対する侮辱と感じた怒り、苦しむ市民のイメージに同情すること、あるいは馴染みのある口調やアクセントを使うメッセージへの信頼である。これらの反応は速く、感情的で、ほぼ自動的に起こる。彼らは、なぜ一つのツイートやミーム(meme)、写真が、ある人には即座に「正しい(right)」と感じられ、別の人には「偽り(false)」に感じられるのかを説明している。

メソ・パターン(meso-patterns)は、多くの人々が同じマイクロ・パターンを共有し強化することで生まれ、解釈の集団的な習慣が生まれる。したがって、メソ・パターンは人間がそれを認識すれば記憶に保存されやすい。それらは、共通の道徳的手がかりやナラティブを中心に組織されたネットワーク、ハッシュタグ、談話コミュニティの中で見ることができる。例えば、2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際、ハッシュタグ#SaveDonbasPeople #DenazifyUkraineは、個々の怒りを共通の使命感に同期させた。解放、兄弟愛、被害者意識の協調したイメージが、出会ったことのない聴衆を一つにまとめる認識可能な構造を形成した。

マクロ・パターン(macro-patterns)は、この層の上で機能し、人が認知的にそれを詳細に説明するため記憶に保存される。また、それらは他の人々と共有されるため、個人の思考から集合的な共有された考え(ideas)へと外部化することができる。それらは、ロシアの「祖国防衛(defense of the motherland)」や中国の「共有された運命の共同体(community of shared destiny)」のような包括的なイデオロギー的・文明的枠組みであり、多くのメソ・パターンを一つの世界観に結びつけている。これら三つのレベルは、発展の連続体に沿って配置されている。

マイクロ・パターンは感情を駆動し、メソ・パターンはアイデンティティを組織し、マクロ・パターンは真実と正当性の知覚(perception)を形作る。これらのレベルが合わさって、敵対者が意図的に推進できるエスカレーション経路を形成する。マイクロ・パターンは素早い感情反応を生み出し、聴衆を刺激する。メソ・パターンは、それらの反応を共有されたアイデンティティや集団の一致へと変える。マクロ・パターンは共有されたアイデンティティを完全なイデオロギー的枠組みへと高め、人々が出来事を解釈し、側につき、行動を正当化する方法を整理する。敵対者はしばしば意図的にこのスケールのパターンを押し上げる。マイクロ・レベルで感情のトリガーの種をまき、ネットワークを通じて増幅してメソ・レベルのクラスターを形成し、それらのクラスターをより大きな文明的または道徳的ナラティブに結びつける。戦略的には、各レベルは異なる役割を果たし、マイクロ・パターンは感情を形作り、メソ・パターンは所属を形作り、マクロ・パターンは信念(belief)を形作る。これらの層がどのように段階的に進むかを理解することで、アナリストは戦役が現在どこに位置し、何を目指しているのか、そしてどこが最も混乱に弱いのかを把握できる。

パターンの共有

人々は意図的であれ無意識的であれ、コミュニケーションを通じて自分の内なるパターンを外の世界に投影することで意味を共有する。誰かがストーリー・フレーム(story frame)やスローガン、イメージのように馴染みのある信号に出会うたびに、それがパターンのインスタンスとなる。人々はこれらの信号を既存の記憶パターンに関連していると認識する。人々がこれらの信号を再現したり模倣したりして他者の反応を引き出すと、パターン的な表現が生まれる。ミーム(meme)、スローガン、ナラティブ形式の繰り返しなど、既知の構造を意図的に表現すること。パターン表現はさらに一歩進み、パターンそのものの根底にある構造や意味を伝えるためにデザインされたメッセージである。彼らは表象以上の感情的または道徳的な意味を明らかにすることで、他者に見せる手助けをする。明確なパターン表現を作るには、慎重な思考と聴衆の解釈理解が必要である。抗議のチャント、募集動画、州のドキュメンタリーはこのように機能する。情報戦(information warfare)において、これらの繰り返される形態は共有された感情や道徳的テーマを聴衆に広め、個々の認識を集団的な信念(collective belief)へと変えた。

パターン・システムとその言語

多くのパターン表現や表象が相互作用し始めると、それらはより大きな意味構造を形成する。時間が経つにつれて、これらの個別の信号はパターン・システムに組織化され、これは単一のドメインに属し、共有されたルールや認識可能なスタイルに従うネットワーク化されたパターン表現の集合体である。これは自発的な表現から組織的なコミュニケーションへの転換を示している。人々が馴染みのある記号を繰り返すことから始まるものが、やがて信念(belief)を形作り、行動を導く構造化された言語へと成長する。単一パターンからシステムへのこの進化を理解することで、孤立したメッセージがどのように持続的な情報戦役へと変わるのかを説明できる。例えば、軍事コミュニケーション、宗教的レトリック、オンライン活動はそれぞれ独自のパターン・システムを用いている。

パターン言語は主に文法(grammar)と構文(syntax)の2つの部分から成り立っている。文法(grammar)はパターン表現を組み合わせるルールを定義する。何が属し、どんな対立があり、どの順序が一貫性を生み出すのか。構文(syntax)は、パターンが使われ、ドメインの規範に適合するように使われる慣用句や文体的な方法を定義する。言語(language)は一貫性があり標準化され、メッセージが明確で繰り返し可能かつ相互に強化されるものでなければならない。第一は構造であり、パターンの記述を作り出す。次に応用で、パターンが特定の問題の解決策を生み出す方法を説明する。次に、パターン要素間の関係性の確立である。権威(authority)とは、パターン・システム内でどのパターンが有効と認められるかを定める原則である。不変性(invariance)は、表面的な詳細が変化してもパターン・システム内で何が変わらないかを定義する。最後に密度(density)とは、システム内のパターンの集中と相互接続を指す。これらの原則が合わさることで、システム内のすべてのメッセージがより大きな意味の秩序とつながることを保証する。したがって、パターン言語はユーザーに一貫した意味表現の方法を提供し、システム内の他の人が即座に認識し応答できるようにする。

例を通じた総括

これらのコンセプトを総合すると、完全な情報作戦(information operation)がどのように一から構築されるかがわかる。戦役はマイクロ・パターンから始まる。感情的なフックは、特定のターゲットの聴衆向けにデザインされた記憶の手がかりから構築される。これらのマイクロ・パターンは、動画や画像、スローガンとして現れ、馴染みのある感情を呼び起こす。オペレーターは同じ構造を繰り返し表示するパターン式や表現を作成し、他の人にも見せる。繰り返しが規則性を生み出し、スケジュールやミーム・サイクル(meme cycles)、予測可能なリズムを生み出す。彼らは視覚的なスタイルや順序を通じて、どのメッセージがリードし、どのメッセージが繰り返されるかを決め、すべてがうまくまとまるように形を形作る。これらの作品は共通のパターン言語、文法、スタイル、トーンに導かれたパターン・システムとして組み合わさっている。権威性(authority)、不変性(invariance)、密度(density)の原則を用いることで、パターンは信頼性が高く安定する。このシステムは記憶と感情に基づいて動いている。感情の手がかりがメッセージを定着させ、注意を向け、ナラティブ記憶は古い物語を通して新しい情報をフィルターする。

具体的な例がこれを明確に示している。2022年のロシアのナラティブ戦役では、オペレーターが短いビデオ・クリップや画像(パターン・インスタンス)の種をまき、これらはロシアに対する脅威に関する古い物語のマイクロ・パターンとして反響した。彼らは、ハブやボットネット((botnets))間で予測可能なサイクルでメッセージを増幅することで、規則性を生み出した。彼らは一貫した視覚テンプレートとスローガン(フォーム)を使い、ショック、不満、団結の呼びかけ(秩序)を生み出す一連の台本を作り出した。ハッシュタグやインフルエンサー・スクリプトは、共有とアイデンティティ形成の中規模のクラスターを生み出した。国営メディアや同盟のインフルエンサーは、これらのクラスターを祖国の防衛やロシア市民の道徳的義務(moral duty)といったより広い文明的枠組みに結びつけることで、イメージが変わっても変わらなかったマクロなパターンを作り出した。このシステムは密度を示していた。歴史、宗教、被害者のナラティブ、軍事的象徴が相互に結びついて同じ結論を支持していた。これにより、規則性、形態、秩序といった初期の原則とのフィードバック・ループが生まれる。なぜなら、パターン・システムを最初に明らかにする手がかりが、分析者がその進化や次の動きを予測するのに役立つからである。

結論

ナラティブが完全に成熟する前にこれらのパターン化された信号を特定することで、分析者は作戦を妨害したり方向転換したりする能力を得て、現代の情報戦(modern information warfare)においてパターン認識(pattern recognition)の習得がいかに重要かを示している。

情報戦(information warfare)は最終的にパターン統制(pattern control)を巡る争いである。情報空間(information space)のあらゆる関係者が、何が一貫性があり、親しみやすく、真実だと感じられるかを定義しようと競い合っている。パターン理論は、信念は事実から始まるのではなく、記憶、感情、物語の認識可能な構造から始まることを示している。最も効果的な作戦は権威を築き、不変性を維持し、メッセージが必然的に感じられるまで密度を増やす。したがって、防御側は個別の投稿(post)ではなくパターンで考えなければならない5。マイクロ・パターンが感情を固定し、メソ・パターンがアイデンティティをどのように構築し、マクロ・パターンがイデオロギーを組織するかを理解することで、説得の背後にある構造を理解することができる。これらのシステムを最初に読み、そのリズムを乱し、真実と感情的・文化的意味を一致させる一貫した代替案に置き換えられる側に有利なのは、認知ドメイン(cognitive domain)において、パターンの習得は知覚(perception)の習得であり、知覚(perception)がすべての戦争を決定づける。

※5 「個別の投稿(ポスト)を追いかけるのではなく、その背後にある構造(パターン)を読み解き、先回りして対処せよ」という防御側の戦略的転換を促すものと解釈される。