米国の2026年国家防衛戦略[全文](U.S. Department of War)

1月23日(米国時)に公開された、昨年12月公開の米国家安全保障戦略に基づく、米国の国家防衛戦略を紹介する。(軍治)

#国防戦略 #nationaldefensestrategy #nds

2026年国家防衛戦略

新たなアメリカの黄金時代のための力による平和の回復

2026 National Defense Strategy

Restoring Peace Through Strength For A New Golden Age Of America

国防総省上級幹部、戦闘軍指揮官、防衛機関及び国防総省現地活動責任者宛の覚書

件名:2026年国家防衛戦略

長きにわたり、米国政府は国民とその具体的な利益を最優先することを見過ごしてきたばかりか、拒んできた。歴代政権は、軍事的優位性や国民の命、善意、資源を、壮大な国家建設プロジェクトや「ルールに基づく国際秩序(the rules-based international order)」といった架空の抽象概念を守るという自己満足的な公約に浪費してきた。過去の指導者たちは、我々の戦闘員の戦士の精神(warfighters’ warrior ethos)と、軍隊が果たす核心的で代替不可能な役割-闘うこと、勝利すること、それによって国民にとって真に重要な戦争を抑止すること-を軽視し、しばしば積極的に損なってきた。その結果、トランプ大統領が就任した時点で、国家は我々が準備不足のままで臨むこととなる破滅的な戦争の瀬戸際に立たされていた。

トランプ大統領はこれを断固として変え、勇気をもってアメリカ国民を最優先(Americans first)に掲げ、真にアメリカを再び偉大にした。彼のリーダーシップのもと、米国は世界最強かつ最も致死性で、最も有能な軍隊-まさにこの世界がかつて見たこともない最強の軍隊-を擁している。国防総省はもはや介入主義、終わりのない戦争、政権交代、国家建設に気を取られることはない。代わりに、我々は国民の現実的で具体的な利益を最優先する。我々は「強さによる真の平和の政策(a policy of actual peace through strength)」を支持する。平和を到達目標としつつ戦争を抑止する剣と盾となるが、必要とあれば国のための戦争を闘い勝利する覚悟で臨む。

これは孤立主義(isolationism)を意味するものではない。むしろ、わが国が直面する脅威と、それらをいかに最善に管理するかについて、焦点を絞った真に戦略的なアプローチを意味する。このアプローチは、世界の現実を冷静に見据える柔軟で実践的な現実主義(realism)に基づいており、米国国民の利益に奉仕するために不可欠である。国家安全保障戦略(NSS)が明示するように、これはトランプ大統領が推進してきた常識的なアプローチである。

アメリカ第一。力による平和。常識。

このアプローチの不可欠なのは、我々が直面する脅威の規模と、それらの脅威に対処するために利用可能な資源について現実的に認識することにある。我々が単独であらゆる地域で行動することは、アメリカの義務でもなければ国益にもかなわないことを認識しており、同盟国の指導者たちの無責任な選択による安全保障上の不足を、米国が補うこともない。代わりに国防総省は、米国国民の利益に対する最重要かつ重大で危険な脅威を優先的に対処する。我々は戦士の精神(the warrior ethos)を回復し、統合部隊を再構築する。そうすることで、アメリカの敵が我々の決意や脅威に断固として対応する能力を決して疑うことがないようにする。我々は同盟国やパートナーには自らの役割を果たすことを求め、彼らが行動を起こした際には支援の手を差し伸べる。我々はアメリカ国民の生命、資金、支援に対する責任ある管理者となる。

我々は本土を守り、西半球における我々の利益が保護されることを確保する。インド太平洋地域では対立ではなく力によって中国を抑止する。世界中の同盟国・パートナーとの負担分担(burden-sharing)を強化する。そして大統領が主導する「100年に一度のアメリカ産業復興(once-in-a-century revival of American industry)」の一環として、米国の防衛産業基盤を再構築する。

その過程で、我々は力を通じて平和を回復する。それはトランプ大統領の政権の期間中だけではなく、今後数十年にわたって、アメリカ国民が当然得るべきものなのである。2026年国防戦略がその道筋を示す。

本戦略はトランプ大統領によるわが国の防衛に対する歴史的なアプローチを反映したものである。徹底的かつ迅速に、そして包括的に実施されねばならない。国防総省の全構成機関は、添付の指針と指示に従うものとする。

米国防長官 ピーター・ブライアン・ヘグセス

はじめに

トランプ大統領は、最初の任期中および2025年1月に再任されて以来、アメリカ軍を世界最高の、最も強大な闘う部隊(fighting force)へと再建した。しかし、これがどれほど大きな成果であったかを強調することが不可欠である。

事実として、トランプ大統領は2025年1月に、わが国史上最も危険な安全保障環境の一つの中で就任した。国内では米国の国境が突破され、麻薬テロリスト(narco-terrorists)やその他の敵が西半球全域で勢力を拡大し、パナマ運河やグリーンランドといった重要地域への米国のアクセスはますます危ぶまれる状況にあった。一方、欧州では、トランプ大統領が北大西洋条約機構(NATO)同盟国に対し防衛の重要性を認識させるよう主導していたにもかかわらず、前政権は事実上、同盟国にタダ乗りを奨励した結果、ロシアのウクライナ侵攻を効果的に抑止・対応できない同盟体制を招いていた。

中東では、イスラエルが10月7日の野蛮な攻撃の後、自らを守り抜く能力と意志を示した-つまり、模範的な同盟国であることを証明した。しかし前政権はイスラエルを強化するどころか、その手を縛った。その間も中国とその軍隊は、世界最大かつ最も活力ある市場圏であるインド太平洋地域で勢力を拡大し続け、アメリカ国民の安全保障、自由、繁栄に重大な影響を及ぼしている。

こうした事態は決して必然ではなかった。アメリカは冷戦を終えて、圧倒的な差で世界最強の国として台頭した。我々は自国半球において安全を確保し、用兵に焦点を当てた他国をはるかに凌駕する軍事力、協力的な同盟国、そして強力な産業を有していた。しかし、こうした苦労して得た優位性を大切に育むどころか、冷戦後のアメリカの指導部と外交政策の体制はそれらを浪費してしまったのである。

アメリカ国民の利益を守り推進するどころか、彼らは国境を開放し、モンロー主義(Monroe Doctrine)の英知を忘れ、我が半球における影響力を放棄し、防衛産業基盤(DIB)を含むアメリカの産業を海外移転させた。この基盤こそが我我々の部隊が頼りにしているものである。彼らはアメリカの勇敢な息子や娘たちを、舵のない戦争から戦争へと送り込み、地球の反対側で政権転覆や国家建設を強要した。その過程で軍の即応性を蝕み、近代化を遅らせた。彼らは我々の戦闘員を非難し、かつて先人たちが育み称賛した戦士精神(the warrior ethos)を批判し軽んじた。その精神こそが、このアメリカ軍を世界の羨望の的としたのである。

彼らは、狡猾な敵対者がより強大になることを許容し、むしろ助長した。同時に同盟国に対し、パートナーではなく依存者として振る舞うよう促し、同盟関係を弱体化させ、我々をより脆弱な状態に陥れた。こうして2025年1月、我々は個々の地域が戦争状態にある、あるいは戦争へと向かいつつある世界と対峙するだけでなく、アメリカ自身が複数の戦域で同時多発的な大規模戦争に巻き込まれるリスクが高まっている状況に直面した。トランプ大統領自身が警告したように、第三次世界大戦である。

今、その状況は変わりつつある。トランプ大統領のリーダーシップのもと、国家安全保障戦略(NSS)に示されたビジョンと方向性に沿い、国防総省(DoW)は「強さによる平和の回復(restoring peace through strength)」に集中している。国家安全保障戦略(NSS)で詳述されている通り、大統領のアプローチは柔軟で現実的な実践主義であり、世界を冷静な視点で捉えるものであり、これは米国国民の利益を守るために不可欠である。

これは国防総省にとって明らかな示唆を与える。何よりもまず、アメリカ国民の安全保障、自由、繁栄にとって最も重要な任務を優先することを意味する。すなわち、国防総省の取組みを以下の点に集中させることを意味する。

  • 米国の国土を守る。我々は米国の国境と海上アクセスを確保し、「ゴールデン・ドーム・フォー・アメリカ(Golden Dome for America)」計画と無人航空機脅威対策への新たな重点化を通じて、我が国の空域を防衛する。我が国に対する戦略的脅威に対処可能な強力かつ近代的な核抑止力を維持し、強固なサイバー防衛体制を構築・維持するとともに、我が国を打撃する能力と意図を有するイスラム過激派テロリストを捜索・無力化する。同時に、我々は西半球全域において、積極的に、そして恐れずにアメリカの国益を守る。パナマ運河、アメリカ湾、グリーンランドといった重要地域への米軍の軍事・商業アクセスを保証する。麻薬テロリストがどこにいようとも、トランプ大統領が実行可能な信頼できる軍事オプションを提供する。カナダから中南米のパートナーに至る近隣諸国とは誠意をもって関わるが、彼らが共通の利益を守るために自らの役割を尊重し果たすことを確実にさせる。そして、そうした行動を取らない場合、我々は米国の国益を具体的に推進する焦点を絞った断固たる行動を取る用意がある。これがモンロー主義に対するトランプ的帰結(Trump Corollary)であり、米軍は「断固たる決意作戦(Operation ABSOLUTE RESOLVE)」1で世界が目の当たりにしたように、迅速かつ強力かつ精密にこれを実行する態勢を整えている。

※1 2026年1月の米国によるベネズエラ攻撃

  • インド太平洋地域において、対立ではなく力によって中国を牽制する。トランプ大統領は中国との安定した平和、公正な貿易、相互尊重に基づく関係を模索しており、その目標達成のため習近平国家主席と直接対話する意思を示してきた。しかし同時に、強固な立場から交渉することの重要性も示しており、国防総省(DoW)に対しそれに応じたタスクを課している。大統領の姿勢に沿い、国防総省は人民解放軍(PLA)との間で、より広範な軍間対話を模索し開始する。その焦点は、北京との戦略的安定性の維持、およびより広義における衝突回避と緊張緩和の促進にある。しかし我々は、中国の歴史的な軍事増強の速度、規模、質についても、冷静かつ現実的に認識する。我々の到達目標は中国を支配することでも、締め上げたり屈辱を与えることでもない。むしろ、我々の到達目標は単純明快である。中国を含むいかなる勢力も、我々や同盟国を支配できないようにすること-つまり、インド太平洋地域における力の均衡という国家安全保障戦略(NSS)目標を達成するために必要な軍事的条件を整え、我々全員がまともな平和を享受できるようにすることである。その最終目的のために、国家安全保障戦略(NSS)が指示する通り、第一列島線(FIC)に沿って強力な拒否防御を構築する。主要な地域の同盟国・パートナーに対し、集団防衛への貢献拡大を促し支援する。これにより拒否による抑止力を強化し、全ての国が平和と自制こそが自国の利益にかなうと認識させる。これが軍事的優位性を確立する道であり、トランプ大統領が我が国にとって有利な条件を交渉できる基盤となる。我々は強硬でありつつも不必要な対立は避ける。これが、重要なインド太平洋地域において、トランプ大統領の「強さによる平和(peace through strength)」というビジョンを実現する道である。
  • 米国の同盟国・パートナーとの負担分担を強化する。我々の戦略は孤立主義ではない。国家安全保障戦略が示す通り、これは米国国民の具体的かつ現実的な利益を推進することを明確に視野に入れた、海外における重点的な関与の戦略である。この「アメリカ第一(America First)」の常識的な視点を通じて、米国の同盟国・パートナーは重要な役割を担うが、それは前世代の依存関係としての役割ではない。むしろ、国防総省が国土防衛と中国抑止を正当に優先する中で、その他の脅威は持続し、それらすべてに対処するには同盟国が不可欠となる。同盟国は我々への恩恵としてではなく、自らの利益のためにこれを行う。自由で開かれた地域秩序を我々と共有するインド太平洋地域では、同盟国・パートナーの貢献が中国を抑止し均衡を図る上で不可欠となる。欧州その他の戦域では、我々にとって深刻度が低いものの同盟国にとって深刻な脅威に対し、同盟国が主導し、米国は重要だがより限定的な支援を行う。いずれの場合も、我々は率直かつ明確に、彼らに自らの役割を果たす緊急の必要性があること、そして遅滞なく行動することが彼ら自身の利益になることを伝える。我々は彼らに踏み出すよう促し、そのための環境を整える。これには過去のトーンやスタイルからの転換が必要だが、それはアメリカ国民だけでなく、同盟国やパートナーにとっても不可欠である。長きにわたり、同盟国やパートナーは我々が彼らの防衛費を負担することに甘んじてきた。政治エリートが功績を独占する一方で、一般のアメリカ国民が代償を支払ってきた。トランプ大統領の下で、新たなアプローチが実施されている。トランプ大統領は既に、NATOハーグ・サミットにおいて防衛支出に関する新たな世界基準を設定した。核心的な軍事支出に国内総生産(GDP)の3.5%、安全保障関連支出に追加で1.5%、合計でGDPの5%を充てるというものだ。我々は同盟国・パートナー国に対し、欧州だけでなく世界中でこの基準を満たすよう働きかけていく。同盟国が米国と共にこの基準を満たすことで、世界各主要地域において、たとえ同時多発的な侵略に直面した場合でも、潜在的な敵対者を抑止または撃破するために必要な戦力を展開できるようになる。これが、我々が世界中で強さによる永続的な平和の条件を整える方法である。
  • 米国の防衛産業基盤を強化せよ。トランプ大統領は、戦略産業を米国に回帰させ、過去の世代が海外に移転させた産業を再活性化させるという、100年に一度の米国産業復興を主導している。我々は、この歴史的取組みを活用し、自国および同盟国・パートナー国の防衛を支える防衛産業を再建する。我々は再び自国のみならず同盟国・パートナー国にも、大規模かつ迅速に、最高水準の品質で供給できる兵器庫として世界最高の兵器庫となるべきだ。これを達成するため、我々は米国防衛生産への再投資を行い、生産能力を拡充する。革新者を支援し、人工知能(AI)などの新技術を導入する。そして、統合軍が直面する優先課題に対応するために必要な生産形態と規模を阻む、時代遅れの政策・慣行・規制その他の障害を取り除く。同時に、同盟国・パートナー国の生産能力を活用し、自国の要求を満たすだけでなく、彼らに防衛費増額のインセンティブを与え、追加戦力を可能な限り迅速に配備できるよう支援する。この過程において、我々は自国の防衛産業における優位性を確保するだけでなく、同盟関係を強固な基盤に置くことで、同盟国が力による平和維持に、強固かつ公平で持続可能な基盤の上で、その役割を果たせるようにする。

国防総省がこれらの優先事項に集中して取り組むことで、統合軍が抑止態勢を整え、必要に応じてアメリカ国民の利益に対する最も危険な脅威に対し国家目標を達成し、勝利を収める準備を整えることを保証する。

同時に、この戦略により統合軍はトランプ大統領に対し、他の目標達成に必要な作戦上の柔軟性と機動性を提供できるようになる。特に、あらゆる場所の標的に対して決定的な作戦を発動する能力——米本土からの直接攻撃も含む——を可能とする。これは米軍兵士が「ミッドナイト・ハンマー作戦(Operation MIDNIGHT HAMMER)」2で見事に実証した通りである。統合軍が世界最高水準であることを保証することで、大統領が米軍を運用する上で最大限の選択肢を確保する。

※2 2025年6月の米国のイラン核施設への攻撃

この戦略の中核となる論理は、トランプ大統領による歴史的かつ必要な転換と一致し、具体的かつ実践的な方法で米国国民の利益を最優先に置くことである。そのためには、我々が直面する脅威と、それらに対処するために我々と同盟国が利用できる資源について、現実を直視することが必要である。アメリカ国民にとって最も重要であり、その利益に対する最も深刻かつ重大な脅威がどこにあるのかを優先順位付けすることが必要である。同盟国やパートナーに対して、アメリカ国民への恩恵としてではなく、彼ら自身の利益のために、より迅速に行動しなければならないことを率直かつ明確に伝えることが必要である。

これはアプローチ、焦点、トーンにおける急激な転換を意味する。しかし、破滅へと向かう従来の道筋から脱却し、アメリカを再び偉大にするためには、それが必要なのだ。それはまた、国内のみならず国外においても持続的な平和の条件を整えるものであり、言い換えれば、アメリカ国民だけでなく同盟国やパートナーにとってもより良い結果をもたらすものである。ユートピア的理想主義は捨てよ。現実主義を貫け。これが我々国防総省(DoW)が抱くべき使命だ-大胆に、積極的に、そして躊躇なく。

トランプ大統領は我が国を新たな黄金時代へと導いている。その過程で、大統領はしばしば平和の回復について語る。しかし同時に、それは強さの立場からでなければ達成できないとも明言している-その強さとは、根本的には軍事力を含む。国家の利益を守る力を提供できるのは国防総省(DoW)のみであり、我々は躊躇なくその責務を果たす。我々は国家の剣であり盾となる。大統領の指示のもと、強さによる永続的な平和というビジョンを実現するため、常に決断をもって振るわれる準備を整えている。この国防戦略(NDS)がその道筋を示すものである。

安全保障環境

国家安全保障戦略(NSS)が示すように、「アメリカ第一戦略(America First strategy)」の本質は、評価し、選別し、優先順位をつけることにある。現実的な手法で最終目的(ends)、方法(ways)、手段(means)を実践的に関連づけなければならない。このアプローチに沿い、本戦略は、アメリカ国民が直面する脅威を明確に理解し、それらの脅威をアメリカの国益に沿った方法でいかに現実的かつ実践的に対処できるかを、現実的で実践的なアプローチによって定義するものである。

この戦略は、冷戦後の歴代政権が掲げた壮大な戦略とは根本的に異なる。それらの戦略は、アメリカ国民の実益に焦点を当てた具体的な視点から切り離されていたからだ。この戦略は、アメリカ国民の利益と世界の他の地域の利益を混同しない-地球の反対側にいる人物への脅威がアメリカ人への脅威と同等であるという考え方を否定する。また、武力による我々の生活様式の実践を必要とは見なさない。世界のあらゆる問題を解決しようとするものでもない。

むしろ、それはアメリカ国民の安全、自由、繁栄に対する現実的で信憑性のある脅威に実践的な方法で焦点を当てる。そうする中で、自国への脅威のように、他の脅威よりも直接的で本能的に感じられる脅威があることを認識している。しかし同時に、たとえ遠く感じられる脅威-例えば世界最大の市場圏であるインド太平洋地域への米国のアクセス維持の重要性-であっても、わが国の国益にとって極めて現実的、いや根本的な影響を及ぼすことを認めている。

国家安全保障戦略(NSS)が指示する通り、本戦略は脅威のすべてが同等の深刻さ、重大性、結果をもたらすわけではないことを明確に認識している。しかし、重要度が低い脅威であっても依然として重要であり、無視してはならない。

したがって、本戦略は我が国の安全保障、自由、繁栄にとって最も重大な脅威を優先しつつ、その他の脅威に対しても効果的かつ持続可能な形で対処できるよう、我が国と同盟国・パートナーを位置づけるものである。これにより、大統領の残任期間のみならず、今後長年にわたり「強さによる平和(peace through strength)」を実現する基盤を築く。

米国本土と西半球

数十年にわたり、米国の外交政策の主流派は自国の国土防衛を軽視してきた。これは一部、そのような防衛がもはや必要ないという見解によるものだった。しかし同時に、ワシントンの政策決定者たちが国境管理を緩和し、人々の不法移民や無制限で不公平な物品の流入を促進したいという欲求が高まっていたことも背景にあった。

悲惨な結果は言うまでもない。ここ数十年、わが国は不法移民の洪水に圧倒されてきた。同時に麻薬が国境を越えて流入し、何十万人ものアメリカ人を毒している。この我々の半球の麻薬密売組織はこの悪行で莫大な利益を得ており、当然ながら外国テロ組織(FTO)に指定されている-しかしそれだけではない。

「サザン・スピア作戦(Operation SOUTHERN SPEAR)」3は、トランプ大統領が麻薬テロリストによる致死性薬物の国内流入を阻止する決意が揺るぎないことを示している。大統領は麻薬テロリストを法の下に裁くことにも真剣だ。例えばニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)は、アメリカ人を毒殺しても罰せられないと考えていた。しかし「断固たる決意作戦」が彼にその誤りを思い知らせた-全ての麻薬テロリストは肝に銘じるべきだ。

※3 2025年9月1日から始めている、米国の「国境を越えた犯罪組織や違法な海上ネットワークを検知、破壊、弱体化させる」ことを目標とする軍事・監視作戦

近年、アメリカ本土に対するより直接的な軍事的脅威も増大している。これには核脅威に加え、各種従来型の打撃能力、宇宙・サイバー・電磁波戦能力が含まれる。同時に、米国は過去数十年間でアルカイダやISISといったイスラム過激派組織を著しく弱体化させたものの、これらの勢力は適応を続け、現実的な脅威を呈し続けている。

西半球全域において、米国の国益も脅威に晒されている。早くも19世紀、我々の先人たちは、米国の経済的・国家安全保障を守るためには、半球の諸問題においてより強力で主導的な役割を担わねばならないと認識していた。この洞察こそがモンロー主義、そしてその後のルーズベルト的帰結(Roosevelt Corollary)を生み出したのである。しかし、このアプローチの英知は失われていった。我々が支配的立場を当然視するうちに、その地位はすでに揺らぎ始めていたのだ。

その結果、敵対者の影響力は北極圏のグリーンランドからアメリカ湾、パナマ運河、さらに南方の地域へと拡大している。これは半球全域における米国の重要地域へのアクセスを脅かすだけでなく、アメリカの安定性と安全保障を損ない、米国の利益と地域パートナーの利益の両方を損なうものである。

中華人民共和国(PRC)

あらゆる指標で、中国はすでに米国に次ぐ世界第二位の強国であり、19世紀以来、米国にとって最も強力な国家である。そして、中国が非常に重大な国内の経済的・人口統計的・社会的課題に直面しているとはいえ、その実力は増大しているという事実がある。

北京は近年、国内の優先事項を犠牲にして、すでに人民解放軍に莫大な資金を投じてきた。それでも中国は、もしそう選択すれば、さらに軍事費を増やす余裕がある-そして効果的にそうできることを示してきた。実際、西太平洋での作戦を想定した部隊から、はるかに遠方の目標を攻撃可能な部隊に至るまで、中国の歴史的な軍事増強の速度、規模、質はそれ自体が物語っている。

これは米国の国益にとって重要である。国家安全保障戦略(NSS)が認めるように、インド太平洋地域はまもなく世界経済の半分以上を占めるようになるからだ。したがって、米国国民の安全保障、自由、繁栄は、インド太平洋地域において強固な立場から貿易・関与を行う能力に直接結びついている。仮に中国-あるいは他のいかなる国であれ-がこの広大かつ重要な地域を支配すれば、米国が世界の経済的重心を形成する地域へのアクセスを事実上拒否されることになり、再工業化能力を含むわが国の経済的展望に永続的な影響を及ぼすだろう。

だからこそ、国家安全保障戦略(NSS)は国防総省に対し、インド太平洋地域において軍事力の優位な均衡を維持するよう指示している。中国を支配し、屈辱を与え、締め上げる目的のためではない。むしろ、我々の到達目標はそれよりもはるかに限定的で合理的なものだ。単に、中国も他のいかなる国も、我々や同盟国を支配できないようにすることである。これには政権交代やその他の存亡をかけた闘争は必要ない。

むしろ、アメリカにとって有利でありながら中国も受け入れ、その下で共存できる条件による、まともな平和は実現可能である。これがトランプ大統領の北京との外交に対する先見的かつ現実的なアプローチの賢明な前提である。同時に、国務省の取組みがこのアプローチを支える基盤となる強固な基盤を提供するだろう。

ロシア

ロシアは、当面の間、NATOの東部加盟国にとって持続的ではあるが対処可能な脅威であり続けるだろう。実際、ロシアは様々な人口統計的・経済的困難に直面しているものの、ウクライナでの継続的な戦争は、同国が依然として軍事力と産業力の深い蓄積を保持していることを示している。ロシアはまた、近隣諸国における長期にわたる戦争を持続させるために必要な国家的な決意を有していることも示した。

さらに、ロシアの軍事的脅威は主に東欧に向けられているものの、ロシアは世界最大の核兵器を保有し、その近代化と多様化を継続しているほか、米国本土に対して行使可能な水中・宇宙・サイバーの能力も有している。

この状況を踏まえ、国防総省は米本土に対するロシアの脅威から防衛する態勢を整える。また、国防総省は、欧州戦域における米軍の態勢と活動を調整し、米国の利益に対するロシアの脅威と同盟国の能力をより適切に考慮しつつ、NATO自体においても引き続き重要な役割を担っていく。

モスクワは欧州覇権を争う立場にない。欧州のNATOは経済規模、人口、ひいては潜在的な軍事力においてロシアを圧倒している。同時に、欧州は依然として重要ではあるものの、世界経済におけるシェアは縮小傾向にある。したがって、我々は欧州への関与を継続するものの、米国本土の防衛と中国への抑止を最優先せねばならないし、そうするつもりだ。

米国を除くNATO加盟国の経済能力はロシアを大きく上回る

幸いなことに、我々のNATO同盟国はロシアよりもはるかに強力である-比較にならないほどだ。ドイツの経済規模だけでもロシアを圧倒している。同時に、トランプ大統領のリーダーシップの下、NATO同盟国は防衛費をGDP比5%という新たな世界基準まで引き上げ、そのうちGDP比3.5%をハードな軍事能力に投資することを約束している。

したがって、NATO同盟国は欧州の従来型の防衛において主導的責任を担う強固な立場にあり、米国は重要ではあるがより限定的な支援を行う。これにはウクライナ防衛支援の主導的役割も含まれる。トランプ大統領が述べたように、ウクライナでの戦争は終結しなければならない。しかし大統領が強調したように、これは何よりもまず欧州の責任である。したがって、平和の確保と維持には、NATO同盟国によるリーダーシップとコミットメントが求められる。

イラン

トランプ大統領は一貫して、イランが核兵器を入手することを許さないと明言してきた。そして「ミッドナイト・ハンマー作戦」により、彼は自らの言葉を決断力を持って実行に移すことを示した。世界中のどの軍隊も、「ミッドナイト・ハンマー作戦」のような規模、複雑さ、重大性を伴う作戦を実行することはできなかった。しかし統合軍はこれを完璧に遂行し、イランの核計画を壊滅させた。米軍はまた、12日間戦争を通じてイスラエルの防衛に重要な支援を提供し、イスラエルの歴史的な作戦的・戦略的成功を可能にした。今やイラン政権は、過去数十年間で最も弱体化し、脆弱な状態にある。

イランの「抵抗の枢軸(Axis of Resistance)」も同様に壊滅状態にある。イスラエルの作戦により、ヒズボラとハマスは深刻な弱体化を余儀なくされた。トランプ大統領の指示のもと、米国は「ラフ・ライダー作戦(Operation ROUGH RIDER)」4も展開し、フーシ派の打撃能力を低下させ、最終的に和平を求めさせるとともに、米艦船への攻撃を停止させた。この過程で、短期間で鋭く決定的な戦役を通じて、大統領は米艦船の航行の自由を回復することに成功した。

※4 2025年3月の米国のイエメンへの攻撃

それでもなお、イランはここ数カ月で深刻な挫折を経験したにもかかわらず、従来型の軍事部隊の再構築に意欲を示しているようだ。イラン指導部はまた、実質的な交渉を拒否するなどして核兵器取得を再試行する可能性も排除していない。さらに、イランの代理勢力は著しく弱体化しているが、破壊されたインフラや能力の再建を図る可能性もある。

また、イラン政権がアメリカ人の血を流していること、イランが依然として緊密な同盟国イスラエルを破壊しようとしていること、そしてイランとその代理勢力が、この地域のアメリカ軍兵士の生命を脅かすだけでなく、この地域の指導者や国民の多くが明らかに望んでいるような平和で繁栄した未来を追求することを妨げている地域危機を日常的に引き起こしているという事実も無視できない。

しかし我々の前には重要な機会も存在する。イスラエルは長年、米国からの重要ではあるが限定的な支援のもとで、自らを守る意思と能力の両方を示してきた。

イスラエルは模範的な同盟国であり、トランプ大統領が中東和平実現のために歴史的な取組みを重ねてきたことを踏まえ、今こそイスラエルが自らを守り、我々の共通の利益を推進する力をさらに強化する機会を得ている。同様に、湾岸地域においても、米国のパートナー諸国は、様々な米国軍事システムの取得・配備を含め、イランとその代理勢力に対する自衛能力を強化する意思と能力をますます高めている。

これにより、個々のパートナーが自国の防衛のためにより多くのことを行えるよう支援する機会がさらに広がる。また、地域パートナー間の連携を促進し、彼らが共同でより多くのことを実現できるよう支援することも可能となる。

朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)

朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)は、米国の条約同盟国である大韓民国(ROK)と日本に対して直接的な軍事的脅威を呈している。北朝鮮の大型の従来型の部隊の多くは老朽化または整備不良であるものの、韓国は北朝鮮の侵攻の脅威に対して警戒を怠ってはならない。北朝鮮のミサイル部隊は、従来型の兵器や核兵器、その他の大量破壊兵器を用いて韓国と日本のターゲットを打撃する能力も有している。

同時に、北朝鮮の核戦力は米国本土を脅かす能力をますます高めている。これらの戦力は規模と高度化が進んでおり、米国本土に対する核攻撃の明白かつ差し迫った危険をもたらしている。

同時性問題と連合国負担分担への示唆

米国とその同盟国が、複数の戦域にわたり、複数の潜在的な相手(potential opponents)が協調的または機会主義的に共同行動を起こす可能性に備えるのは当然の措置である。同盟国やパートナー諸国が過去数十年にわたり防衛力に十分な投資を行っていれば、このようなシナリオはそれほど懸念される事態ではなかっただろう。

しかし彼らはそうしなかった。むしろ、ごく一部の例外を除けば、防衛費を削減し、代わりに公共福祉やその他の国内プログラムに投資しながら、米国に防衛を任せることに甘んじる場合が多すぎた。過失があったのは彼らだけではない。確かに、自国の防衛に投資を怠ったのは彼ら自身の決断であった。しかし、この決断は往々にして過去の米国政策立案者たちによって助長されたもので、彼らは同盟国がパートナーというより依存関係にある方が米国にとって有益だと軽率に信じていたのである。

幸いなことに、それは今や過去のものとなった。トランプ大統領が明らかにしたように、同盟国やパートナー国は集団防衛の負担を公平に分担しなければならない。これは彼らにとって当然の責務であり、特に米国が数十年にわたり彼らの防衛費を補助してきた後ではなおさらである。しかし戦略的観点からも、我々にとっても彼らにとっても極めて重要だ。トランプ大統領のリーダーシップのおかげで、2025年1月以降、特に欧州と韓国において同盟国が責任を果たし始めている。

これが、防衛戦略において負担分担が極めて重要な要素である理由である。防衛戦略では統合軍の拡大を最優先課題とし、その成長を支えるための防衛予算総額の確保を提唱しているにもかかわらず、である。米国の同盟関係とパートナーシップはユーラシア大陸を囲む防衛ラインを形成している。これらの関係は地理的に有利なだけでなく、世界有数の富裕国を多数包含している。

総合的に見れば、我々の同盟ネットワークは、潜在的な敵対者すべてを合わせたよりもはるかに豊かである。したがって、同盟国やパートナー国がハーグ・サミットで設定された新たな国際基準に沿って防衛に適切に投資すれば、たとえ相手が同時に行動した場合でも、潜在的な敵対者を抑止するのに十分な戦力を共同で生み出すことができる。

こうした方法で、我々は国家安全保障戦略(NSS)の指示に従い、世界の主要地域それぞれにおいて有利な勢力均衡を維持する。米軍が国土防衛とインド太平洋地域に注力する中、その他の地域の同盟国・パートナー国は、米軍による重要ではあるがより限定的な支援を受けつつ、自らの防衛に対する主たる責任を担うことになる。これによりトランプ大統領は、今後数十年にわたり「強さによる平和(peace through strength)」を持続させる道筋を確立し、冷戦終結後いかなる時点よりも強固な同盟・パートナーシップを後世に残すことが可能となる。

戦略的アプローチ

当部門の戦略的アプローチは、以下の主要な取組みの目標(LOE)に基づいている。

  1. 米国本土の防衛
  2. インド太平洋における中国への抑止力は対立ではなく力である
  3. 米国の同盟国・パートナーとの負担分担を強化する
  4. 米国防衛産業基盤の強化

本節の残りの部分では、各取組みの目標(LOE)について、さらなる明確化、ガイダンス、および方向性を提供する。

取組みの目標その1(LOE 1):米国本土の防衛

トランプ大統領が述べたように、米軍の最優先課題は米国本土の防衛である。したがって国防総省は、西半球全域における米国の利益の防衛を含め、まさにその任務を最優先する。そのための取組みは以下の通りである。

  • 国境の安全を確保せよ。国境の安全は国家の安全である。従って国防総省(DoW)は、国土安全保障省(DHS)と連携し、国境の封鎖、あらゆる形態の侵入の阻止、不法移民の国外退去を最優先課題とする。
  • 半球における麻薬テロリスト対策。国務省が米国の国境警備に尽力する一方で、我々は国境への脅威に対処するためには半球のより深い地域での取組みも必要であることを認識している。したがって我々は、アメリカ全域における麻薬テロ組織の弱体化に向けたパートナー国の能力構築を支援し、その取組みを支えると同時に、単独で断固たる行動を取る能力も維持する。しかしパートナー国が自らの役割を果たせない、あるいは果たそうとしない場合、統合軍が「断固たる決意作戦」で示したように、単独で断固たる行動を取る用意がある。
  • 西半球における重要地形の確保。国家安全保障戦略が示す通り、米国は西半球の重要地形へのアクセス権や影響力をもはや譲渡しない。従って国防総省は、北極から南米に至る重要地形、特にグリーンランド、アメリカ湾、パナマ運河への米軍の軍事・商業アクセスを保証する信頼性のある選択肢を大統領に提供する。我々はモンロー主義が現代においても堅持されることを確約する。
  • トランプ大統領の「ゴールデン・ドーム・フォー・アメリカ(Golden Dome for America)」及びその他のドローン対策により、米国の空域を防衛する。国防総省は、トランプ大統領の「ゴールデン・ドーム・フォー・アメリカ」開発を最優先課題とし、特に大規模なミサイル集中攻撃やその他の高度な航空攻撃を費用対効果の高い方法で撃退する選択肢に重点を置く。加えて、国防総省は無人航空システムに対抗する能力とシステムを開発・配備する。また、米国防総省は、国土防衛に必要な電磁スペクトラムへの米軍アクセスを確保する。
  • 米国の核戦力を近代化・適応させる。米国は、国家の総合戦略及び防衛戦略に適応した強力かつ安全で効果的な核戦力を必要とする。我々は、変化する世界の核情勢の中で抑止力とエスカレーション管理に重点を置き、核戦力をそれに応じて近代化・適応させる。米国は核による脅迫に対して決して脆弱であってはならないし、決してそうすることはないだろう。
  • サイバー脅威の抑止と防御。国防総省は、米軍及び特定の民間目標に対するサイバー防衛の強化を優先する。国防総省はまた、米国本土に対するサイバー脅威を抑止または弱体化させるための他の選択肢を開発する。
  • イスラム過激派テロ対策。国防総省は、米国本土を打撃する能力と意図を有する組織に焦点を当て、資源持続可能なアプローチによるイスラム過激派テロ対策を維持する。

取組みの目標その2(LOE 2):インド太平洋における中国への抑止力は対立ではなく力である

国防総省はトランプ大統領の方針に従い、より多様な形式を通じて中国人民解放軍の担当部署と関与を進めてまいります。その過程において、我々の焦点は戦略的安定性の維持、およびより広範な意味での衝突回避と緊張緩和の促進に置かれます。

同時に、トランプ大統領はインド太平洋地域において、貿易が自由かつ公正に流通し、すべての国が繁栄し、各国の利益が尊重される、健全な平和を望む意向を明確にしている。国防総省はこうした対話を通じて、中国当局に対しこのビジョンと意図を伝えるとともに、自らの行動を通じて、こうした平和で繁栄した未来を実現し維持したいという我々の誠実な意思を示す。

ただし我々は、トランプ大統領が国防総省に示した最重要方針である「強さによる平和(peace through strength)」を見失うことはない。この認識のもと、国防総省における我々の本質的責務は、インド太平洋地域の平和を維持するため、トランプ大統領が常に強固な立場から交渉を行えるよう確保することである。その最終目的のため、国家安全保障戦略が指示する通り、我々は第一列島線(FIC)沿いに強固な拒否防衛体制を構築し、展開し、維持する。

我々はまた、地域の同盟国・パートナーと緊密に連携し、特に効果的な拒否防衛に関連する形で、共同防衛への貢献を促進・支援する。こうした取組みを通じて、米国の利益に対するいかなる侵略的試みも失敗に終わり、そもそも試みる価値がないことを明確に示す。これこそが拒否による抑止の本質である。

このようにして、国防総省(DoW)はトランプ大統領の先見的かつ現実的な外交に軍事力を提供し、それによってインド太平洋地域における勢力均衡の条件を整える。これにより米国、中国、そして地域の他の国々を含む我々すべてが、まともな平和を享受できるようになるのだ。

同時に、第一列島線(FIC)に沿って強固な拒否防衛を構築する過程において、国防総省は統合軍が常に、米本土から直接を含む世界中のいかなるターゲットに対しても壊滅的な打撃と作戦を実施する能力を保持することを保証する。これにより大統領に比類なき作戦上の柔軟性と機動性を提供する。

取組みの目標その3(LOE 3):米国の同盟国・パートナーとの負担分担を強化する

国家安全保障戦略(NSS)に詳述された大統領のアプローチに沿い、本戦略は米国国民の利益に対する最大の脅威への対応を優先する。しかし他の脅威を軽視するものではない。むしろ大統領のアプローチを踏まえ、本戦略は米国の同盟国・パートナーに対し、他の脅威への防衛において主要な責任を担うよう、賢明かつ慎重に働きかけ支援する方針を採る。米国は重要ではあるがより限定的な支援を行う。これにより、あらゆる戦域において「強さによる恒久平和(lasting peace through strength)」の基盤を築くのである。

この最終目的のため、国防総省は、欧州、中東、朝鮮半島において、同盟国・パートナー国が自らの防衛に主たる責任を負うよう、米国軍による重要だが限定的な支援のもとで、そのインセンティブ強化を優先する。同時に、同盟国・パートナー国が集団防衛の負担をより多く分担できるよう最大限の便宜を図る。具体的には、部隊計画・作戦計画における緊密な連携や、重要任務への対応能力強化に向けた協力強化などを通じて実現する。

トランプ大統領が示したように、明確な説明責任が不可欠である。インセンティブは効果を発揮し、同盟政策の重要な要素となる。したがって我々は、模範的な同盟国との協力・関与を優先する。すなわち、必要な支出を行い、地域内の脅威に対して目に見える形でより多くの取組みを、重要だが限定的な米国の支援(兵器販売、防衛産業協力、インテリジェンス共有、その他両国にとって有益な活動を含む)のもとで実施している国々である。具体的な運用として、国防総省(DoW)は以下のように進める。

  • 西半球。カナダとメキシコは、国防総省(DoW)やその他の米国機関と連携し、不法移民や麻薬テロリストが米国の国境に到達するのを防ぐなど、半球防衛において重要な役割を担っている。カナダはまた、航空・ミサイル・水中脅威に対する防衛体制の強化を含め、その他の脅威から北米を防衛する上で重要な役割を果たす。さらに、西半球全域の米国パートナーは、不法移民対策や麻薬テロリストの弱体化、米国の敵対者がグリーンランド、アメリカ湾、パナマ運河といった重要地域を支配または不当な影響力を行使することを阻止するため、はるかに多くの貢献が可能である。国務省はこれらの目標推進に向け、半球全体の各国と連携し、適切な対応強化を促すインセンティブを提供するとともに、その実現を支援する。
  • 欧州。国家安全保障戦略(NSS)が明らかにしているように、欧州が自らの従来型の防衛について主要な責任を担うことが、直面する安全保障上の脅威への答えである。したがって国防総省は、NATO同盟国が欧州の従来型の防衛について主要な責任を担うよう促し、支援する。米国は重要ではあるがより限定的な支援を行う。この取組みの中核として、国防総省は同盟国と緊密に連携し、ハーグ・サミットで表明した防衛支出公約を確実に履行させる。また、これらの目標達成に向け、NATOのプロセスを活用するとともに、大西洋横断防衛産業協力の拡大と防衛貿易障壁の削減に努め、米国及び同盟国の防衛目標達成に必要な戦力を生産する集団的能力を最大化する。最後に、我々は欧州の同盟国に対し、彼らの取組みと資源は欧州に集中させるのが最善であることを明確に伝える。その理由は単純明快である。欧州こそが、我々の集団防衛において最大の成果を上げられる場所であり、また上げなければならない場所だからだ。
  • 中東。トランプ大統領が歴史的なリヤド演説で述べたように、米国はより平和で繁栄した中東を追求している。しかし大統領が明らかにしたように、この変革は地域の将来に最大の利害関係を持つ者たち-すなわち地域そのものにおける我々の同盟国やパートナー-の手によってのみ実現し得る。我々のタスクは、トランプ大統領が明晰な洞察力とたゆまぬ外交取組みによって築いた強固な基盤を礎に、彼らの取組みを支援することである。この最終目的のため、国防総省は地域の同盟国・パートナーがイラン及びその代理勢力に対する抑止・防衛の主たる責任を担えるよう支援する。具体的には、イスラエルの自衛取組みを強力に支援すること、アラビア湾岸パートナーとの協力を深化させること、そしてトランプ大統領の歴史的イニシアチブであるアブラハム合意を基盤に、イスラエルとアラビア湾岸パートナー間の統合を促進することを含む。我々がそうするように、国防総省は米国の利益を守るため、焦点を絞った断固たる行動を取る能力を維持する。このアプローチを通じて、我々は地域における強さによって、持続的な平和のための条件を設定し強化することができる。
  • アフリカ。国務省のアフリカにおける優先課題は、イスラム過激派テロリストが地域の安全な避難場所を利用して米国本土を打撃することを阻止することである。本戦略が掲げる資源持続可能な対テロアプローチに沿い、米国本土を打撃する能力と意図を併せ持つイスラム過激派テロリストに対し、省庁間及び外国のパートナーとの緊密な連携を含め、直接行動を取る準備を整える。同時に、同盟国やパートナーが主導する他のテロ組織の弱体化・壊滅化取組みを支援する。
  • 朝鮮半島。高い防衛費支出、強固な防衛産業、徴兵制に支えられた強力な軍事力を有する韓国は、米国による重要ではあるがより限定的な支援のもと、北朝鮮抑止の主たる責任を担う能力を有する。北朝鮮からの直接的かつ明白な脅威に直面していることを踏まえ、韓国にはその意思も存在する。

責任の分担におけるこの変化は、朝鮮半島における米軍の態勢を更新するという米国の利益と合致する。これにより、米国の防衛上の優先事項とより整合した、より強固で相互に有益な同盟関係を確保し、持続的な平和の基盤を整えることができる。

取組みの目標その4(LOE 4):米国防衛産業基盤の強化

防衛産業基盤(DIB)は、わが国軍隊が世界最強であり続けるための再建と適応の基盤である。トランプ大統領は議会と連携し、アメリカ産業の100年に一度の復興と国家防衛への世代を超えた投資を実現・主導することに成功した。我々はこれらの貴重な資源を賢明に管理しなければならない。

この戦略を実施するために必要な兵器、装備、輸送・配給能力を米軍が確保するためには、こうした取組みが不可欠である。また、同盟国やパートナーが集団防衛の負担をより多く分担する中で、米国がそれらの国々の武装を支援できることを保証するためにも極めて重要である。これには、より小規模な脅威に対する抑止や防衛の取組みを主導することも含まれる。

したがって、防衛産業基盤(DIB)は本戦略の他の主要な柱を支える基盤である。我々は緊急に、この基盤を動員し、刷新し、確保するための行動を取る。これにより米国防衛産業を強化し、前世紀の課題と同様に、現代の課題にも効果的に対応できる態勢を整える。

我が軍の戦闘力は、防衛産業基盤(DIB)が重要な弾薬、システム、プラットフォームを生産・供給・維持することに依存している。我が軍の即応性、殺傷力、射程、生存性-そして究極的には我々が提供する軍事オプション-は、防衛産業基盤(DIB)が戦闘優位性を確保する装備・物資を安全に開発・配備・維持・補給・輸送する能力に直接的に結びついている。

したがって、我々は有機的な持続能力を強化し、非伝統的ベンダーを育成するとともに、伝統的な防衛産業基盤(DIB)ベンダー、議会、同盟国・パートナー、その他の連邦政府機関と連携し、我が国の比類なき創造性と独創性を再活性化・動員し、革新の精神を再燃させ、産業基盤を回復させる。

防衛産業基盤(DIB)を再び偉大にするには、明確なビジョン、強固な関係構築、そして我が軍の軍事力の究極の基盤を再構築する確固たる決意が必要である。国家安全保障戦略(NSS)が明らかにしているように、この取組みには国家総動員に匹敵する産業動員が不可欠だ。これは前世紀における同様の復興運動に並ぶものであり、最終的に我が国を世界大戦と続く冷戦における勝利へと導いたものである。

結論

わずか1年前には我が国を世界大戦の瀬戸際から救ったトランプ大統領は、今や常識的かつ現実的で具体的な方法でアメリカ国民を最優先とする新たな黄金時代へと導いている。もはや我々は、愚かで壮大な海外の冒険にアメリカ国民の意志や資源、さらには命さえも浪費することはない。しかし我々は退くことはない。

むしろ我々は、柔軟な現実主義の手法で、アメリカ国民の具体的な利益を臆することなく最優先する。戦士の精神(the warrior ethos)を回復させる。アメリカ軍を、国家の戦争を決定的に勝利させるという核心的で代替不可能な目標に再び集中させる。

そうすることで-トランプ大統領がこれほど印象的に強調したように-我々の目的は侵略や永続的な戦争ではない。むしろ、我々の到達目標は平和である。平和は最高の善である。しかし、国民の安全、自由、繁栄を犠牲にする平和ではない。むしろ、アメリカ国民がふさわしい平和-高貴で誇り高い平和である。

幸いなことに、この平和は、潜在的な相手の要求が合理的かつ限定された範囲に留まる限り、彼らの利益とも両立し得る。我々は彼らの屈辱や服従を要求するのではない。むしろ、我々が合理的に構想した利益、そして我々と固く連帯する同盟国やパートナーの利益を尊重することだけを要求する。この点を皆が認められれば、我々の間で柔軟かつ持続可能な力関係の均衡と平和を実現できるだろう。

しかし我々国防総省(DoW)は、この寛大な申し出が拒絶された場合にも備えている。望ましい平和を願うことと、それを実現することは別物だと理解している。したがって、もし潜在的な相手が愚かにも我々の平和的提案を拒否し、代わりに紛争を選択するなら、アメリカ軍は国民の戦争を戦い、勝利する準備を整えている。その方法は、アメリカ国民にとって理にかなった形でなされるだろう。

その実現のため、本戦略は我々の認識と必要な選択を明確にする。米国国民の利益に対する最も重大かつ深刻な脅威への対応を最優先する。直面する脅威に対処するため、同盟国・パートナー国との連携体制を刷新する。そして常に最鋭かつ最強の剣を備えつつ、オリーブの枝を差し伸べる用意も整えることで、万全の態勢を整える。