2019年米陸軍近代化戦略

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紹介するのは、米陸軍が2018年11月に公表したThe U.S. Army in Multi-Domain Operations 2028(TRADOC Pamphlet 525-3-1を実現するために必要となる米陸軍の装備を中心とする近代化のための戦略文書である。将来への投資との一文があるようにいわゆる投資(予算獲得)のための文書でもある。

2019年米陸軍近代化戦略:将来への投資ー2019 Army Modernization Strategy: Investing in the Futureー

Army Modernization Strategy:米陸軍近代化戦略

米陸軍近代化戦略(AMS)は、2035年までに全米陸軍(正規米陸軍、国家警備隊、米陸軍予備役、米陸軍民間人)をどのようにマルチドメイン部隊に転換し、米国の防衛を提供する統合部隊の一部としての永続的な責任を果たすかを、そしてどのようにして地球規模での支配的な地上戦力としての地位を維持するかについて述べているものである。議会に対する2018年の米陸軍近代化戦略報告は、我が米国の戦争に展開し、戦いそして勝利するために兵士と部隊をより致命的にするための米陸軍の6つの近代化の優先事項を導入した。この2019 米陸軍近代化戦略(AMS)は、米陸軍のアプローチをこれらの6つの優先事項を超えて拡大し、そして、これらの優先事項の継続性を維持しながら近代化のためのより包括的なアプローチを概説しているものである。近代化は、米陸軍全体の協業を必要とする継続的なプロセスである。したがって、この米陸軍近代化戦略(AMS)は2035年の将来の米陸軍の終末状態(end state)の概要を示しているが、軍の近代化は、作戦コンセプトの試験と改良を続け、新しい技術を活用し続け、作戦環境の変化の予測を継続し続けなければならない。

Army Modernization Framework:米陸軍の近代化の枠組み

2018年の米陸軍戦略の入れ子にされた2019年の米陸軍近代化戦略(AMS)の主要な終末状態(end state)は、2028年までに単一の戦域で一体化された統合部隊の一部としてマルチドメイン作戦(MDO)を実施でき、そして、2035年までには複数の戦域でのあらゆるシナリオにわたってマルチドメイン作戦(MDO)を遂行するために近代化された米陸軍である。マルチドメイン作戦(MDO)のコンセプトは、米陸軍として、我々は紛争に至らなければ競争し、抑止に失敗した場合は戦いそして勝つように相手を阻止し、勝利するために、地上、海上、空中、宇宙、そしてサイバースペースのあらゆるドメインの戦いでの迅速で継続的な一体化した統合部隊をどのように支援するかを述べたものである。

2035年までにこの終末状態(end state)を達成するために、米陸軍は、我々がどのように戦い、何と戦い、そして我々は誰なのかを近代化するのである。このアプローチは、米陸軍内のドクトリン、組織、訓練、装備、指導者育成と教育、人事、施設、および政策(DOTMLPF-P)の要素を、他の統合部隊の要素、および同盟国とパートナー国とともに一体化する。我々が戦う方法は、コンセプト、ドクトリン、組織、および訓練の領域である。我々が戦う相手は、米陸軍の6つの近代化の優先事項に基づいて、装備の開発と調達によって特徴づけられる。我々は指導者育成、教育、および21世紀の人材管理を網羅しているのである。各取り組みを同期化させたやり方で近代化することで、米陸軍は訓練された兵士を確保し、現代の兵器システムと世界の中のあらゆる場所の、あらゆる戦場で、いかなる紛争にも勝つための十分な世界中のあらゆる場所で勝利するのに十分な能力容量ともに効果的な戦闘編成に組織化されることを確かなものにする。これらの要素は相互に依存していることと、そして、米陸軍の近代化の取り組みが長期にわたって、および他の統合部隊と同期していることを確実にするために、全地球規模の部隊態勢、施設、および政策に対応する更新が求められる。

米陸軍の変革の努力は、官僚主義を削減させ、これらの近代化努力を可能にするために我々の最優先事項に向けて資金が再調整された。米陸軍は、近代化企業の要素を再編成し、将来の部隊開発プロセスに努力の統一をもたらすために、米陸軍将来司令部(AFC)を設立した。たとえば、米陸軍将来司令部(AFC)の下位要素である機能横断チーム(CFT)は、要件開発者を試験、兵站、科学・技術、およびその他のコミュニティの調達専門職および調達の代表者と連携させ、能力ギャップの特定から試作試験と作戦的な実験までの期間を削減する。米陸軍はまた、優先的な近代化の取り組みを完全に調達するという確約を示した。米陸軍は、2020-2024年度のプログラム目標覚書(POM)で330億ドル以上を再編成し、機能横断チーム(CFT)承認済みの取組に対する適切な資金を確保した。近代化企業の再編成と資金の優先順位付けは、共に、作戦部隊からのフィードバックと相まって、米陸軍近代化戦略(AMS)を実行する手段である。

図1.米陸軍近代化戦略の枠組み

The Strategic Environment: Renewed Great Power Competition in the Information Age:戦略的環境:情報化時代の新たな大国間競争

2018年の国家防衛戦略(NDS)では、地域の敵対者を抑止し、不正規戦能力を維持しながら、中国およびロシアとの長期的な戦略的競争を優先しなければならないと述べている。政治的、経済的、社会的、技術的な変化は、陸上の支配を維持する米陸軍に対しての挑戦と機会を生み出し続ける。将来戦は、地理的規模、各ドメイン、および行為主体の類型だけが拡大する一方で、決心サイクルと対応可能な時間は圧縮されていく。

ロシアは、現在は米陸軍の「歩調のあった脅威(pacing threat)」である。ロシアは、短期的には我が国で最も有能な核武装の脅威である。ロシア軍は、現代戦争を遂行する能力を復活させることでかなりの進歩を遂げ、クリミア、ウクライナ東部、およびシリアから学んだ作戦上の教訓を活用している。ロシアは、代理者の使用、無人システムおよびロボットシステム、精密打撃兵器、高度なサイバー機能などの新しい能力を発表した。ロシアは、空挺部隊、化学兵器および生物兵器を含む他の能力の開発を続けている。

また、中国は軍隊の急速な近代化を進めており、中国は、中長期的には最も有能な脅威となり、ロシアを上回ると予測されている。中国は、技術研究開発における世界のリーダーの1つである。中国は現在、人工知能(AI)、極超音速、ロボット工学、スウォーミング、先進材料、生物工学、量子情報科学、宇宙技術、生体認証、およびその他の分野を含む幅広い軍事関連技術の研究を行っている。中国は、海軍、巡航ミサイル、弾道ミサイル、およびサイバーおよび宇宙作戦における恐ろしいほどの熟練の腕前を含んで、接近阻止・領域拒否(A2 / AD)能力に焦点を合わせている。

米国は、多くの同盟国やパートナーとともにこれらの課題に直面している。ロシアと中国はしばしば国力の非軍事手段と競争しており、多くの国々は彼ら修正主義国の行動にますます懸念している。米陸軍は、この近代化のアプローチを追求する中で、長年の同盟国やパートナーと緊密に協力し続け、独自の視点と能力を提供する新しいパートナーを引き付けなければならない。各同盟国は、軍事的および政治的パートナーシップを強化し、潜在的な侵略を阻止し、相互運用性と作戦の有効性を高め、将来の課題に対応する部隊と能力を配置し、作戦コンセプトと戦術実践を洗練するための強さを示す。

Assumptions:前提とする事項

この戦略は、4つの主要な前提に基づいている。これらの前提のいずれかの変化は、米陸軍の近代化への戦略的アプローチに影響を与える可能性がある。

・米陸軍の予算が横ばいであり、その結果、時間の経過とともに力が減少していく。

・この戦略を実行している間、米陸軍に対する要求は比較的一定のままである。

・研究開発は、2035年までに米陸軍の能力を大幅に改善するためにやがて成熟していく。

・敵対者の近代化プログラムは、能力レベルと時間軸の観点から現在推定されている軌道に留まる。

The Strategic Approach: Maintaining our Priorities and Generating Momentum:戦略的アプローチ:優先順位を維持し、勢いを生み出す

米陸軍近代化戦略(AMS)は、2018年の米陸軍戦略で述べられている優先事項を支援し、これにより、現在の作戦への即応性を維持しながら、2022会計年度までに近代化に我々の重点を移していく。6つの米陸軍の近代化の優先事項(長距離精密射撃、次世代戦闘車両、将来垂直揚陸、ネットワーク、航空防衛およびミサイル防衛、および兵士の致死性)は一定のままである。さらに、米陸軍はビジネスプロセスの変革を続け、産業時代から情報化時代へのアプローチに移行し、米陸軍の近代化の優先事項に利用可能な十分な資金を確保する。我が議会、防衛産業、および国際的なパートナーは、これらの優先事項、および我々の焦点が一定のままであることの確信を残すことが出来る。我々の戦う方法、戦う相手、そして我々が誰であるかについて近代化する意図して同期化したアプローチは、2035年までに米陸軍がマルチドメイン作戦(MDO)に即応する部隊を構築できるように不可逆的な勢いを達成することを可能にする。

近代化は、米陸軍全体での協業が求められる継続的なプロセスであり、米陸軍未来司令部(AFC)は米陸軍の近代化アプローチに努力の統一をもたらすことになる。米陸軍将来司令部(AFC)は、米陸軍省(HQDA)の戦略的指示の下、将来の作戦環境の評価に基づいて、将来のコンセプト、要件、および組織デザインを開発し提供する。米陸軍将来司令部(AFC)は、ドクトリン、組織、訓練、装備、指導者育成と教育、人事、施設、および政策(DOTMLPF-P)全体に作戦部隊にこれらの解決策を一体化し同期させるために、米陸軍の近代化関係者と緊密に連携する。米陸軍将来司令部(AFC)に加えて、近代化企業の主要な米陸軍関係者には以下が含まれる。

・米陸軍省(HQDA)は、戦略的な指針と指示を提供し、米陸軍の政策を策定し、資源に優先順位を付け、米陸軍の戦略的方向性を設定する。

・調達・兵站・技術担当の米陸軍次官補は、米陸軍将来司令部(AFC)と緊密に協力し、米陸軍の調達努力を主導する。

・米陸軍訓練ドクトリン司令部(TRADOC)は、その機能的な高等研究機関(Centers of Excellence:CoE)と共に、ドクトリン開発、組織変更、訓練、指導者育成と教育、および人材の獲得と育成の主導者である。

・新たに設置管理司令部を含むように再編成された米陸軍装備司令部(AMC)は、将来部隊の訓練、後方支援、戦力投入、および維持の要求を満たすために、米陸軍の戦力投入のプラットフォームのための施設の近代化を遂行する。

・米陸軍部隊司令部(AFC)は、現在の作戦と不測事態対応への即応性要求のバランスを取りながら、米陸軍が作戦部隊の試験、実験、洞察力の描画を可能にすることで、陸軍種の戦力提供者(force provider)としての重要な役割を果たす。

図2.全米陸軍にわたる近代化の一体化

How We Fight:米陸軍はどのように戦うか

米陸軍は、マルチドメイン部隊として作戦を遂行するために、ドクトリン、組織デザイン、および訓練を継続的に更新する。米陸軍はマルチドメイン作戦(MDO)のコンセプトを検証を継続し、必要に応じて改良する。米陸軍は、マルチドメイン作戦(MDO)を進化するドクトリンに迅速に一体化するあらゆる機会を追求する。さらに、実験、ウォーゲーム、および分析の使用は、組織デザイン、装備の解決策、およびマルチドメイン作戦(MDO)即応部隊の訓練要求を通知する。各部隊は、自駐屯地(home station)で新しい合成訓練環境(STE)能力を使用してマルチドメイン作戦(MDO)の訓練を行い、再デザインされた戦闘訓練センターは、各指揮階層でのマルチドメイン作戦(MDO)を遂行するための各部隊の集成訓練(collective training)が可能になる。

Multi-Domain Operations:マルチドメイン作戦

中国やロシアのようなほぼ対等な競合国は、時間的、地域的、機能的に米軍部隊と同盟国部隊を分断するために、陸、海、空、宇宙、サイバースペースのすべてのドメインで複数の階層化された離隔距離(stand-off)を使用して彼らの狙いを達成しようとしている。彼らは我々の戦闘力を投入する能力を否定し、それによって事実上の影響圏を作り出すことを望んでいる。我々の各競争国は、一連の政治的および情報的ツールと同様に、長距離、中距離、短距離の兵器システム、従来型の部隊、一体化した防空、電子戦と電子妨害、サイバー攻撃、偵察、航法、通信などの宇宙を基盤とする能力の拒否の組み合わせを通じてこれを行ってくる。

階層化された離隔距離(stand-off)の問題を解決するために、マルチドメイン作戦(MDO)コンセプトは、統合部隊の一部として作戦する戦略的な態勢の米陸軍が、いかに武力紛争の閾値以下で競争し、敵の離隔距離(stand-off)能力を突破する機会の窓に侵入し、そして、有利な条件で競争に戻る方法を述べている。マルチドメイン作戦(MDO)のコンセプトは、マルチドメイン作戦の3つの信条を定義している。最初の信条は、最前線の部隊顕示、遠征能力、統合能力、国家的能力、パートナー国の能力へのアクセス能力を組み合わせた「較正された部隊態勢(calibrated force posture)」である。2番目の信条は、複数のドメインにわたって機動および振り付けの効果を発揮する能力容量、能力、および耐久性を持つ「マルチドメ編成」の使用である。最後の信条は、堅牢なミッションコマンドによって有効化された複数の攻撃形態と冗長なセンサー・トゥ・シュータ―ネットワークを使用して、複数のドメインからの効果を同時にほぼ連続的に迅速に収束させる実力である「収束(convergence)」である。マルチドメイン作戦(MDO)対応の部隊は、一体化された統合部隊の一部として、米陸軍が民間当局に利用可能な選択肢を拡大し、武力紛争に至らない効果的な抑止と競争、または現状を恒久的に変えようとする攻撃への時宜に応じた対応を含めることを可能にする。

Multi-Domain Formations:マルチドメインの体制

米陸軍は、統合部隊指揮官が抑止し、競争し、必要に応じて武力紛争に迅速に移行できるための力量を可能にするための、あらゆる能力を提供することが求められる。さらに、米陸軍は、必要に応じて戦域を強化するための後続部隊を提供するのに十分な遠征許容能力を備えていなければならない。これらの能力は、「フォースパッケージ」と総称される。

2028年のマルチドメイン作戦(MDO)対応部隊では、「フォースパッケージ」は、戦略的に配置され、国家レベルの能力と権限を活用できる近代化された体制を構成する。マルチドメイン作戦(MDO)対応部隊は、ネットワーク化された有人および無人のプラットフォーム、各種火力、電子戦、サイバー、インテリジェンス、監視、偵察、工兵、後方支援、通信、および分隊から戦域までのすべての階層における防護能力の調整可能な体制を組み合わせたものである。

米陸軍は、戦略的環境の継続的な評価に基づいて、マルチドメイン作戦(MDO)フォースパッケージの能力を長期にわたって構築、採用、改良する。この開発は、継続的な運用試験と分析によって促進されることになる。たとえば、ヨーロッパおよびインド太平洋の戦域でのマルチドメインタスクフォースによる進行中の実験、定期的な戦争ゲームおよび実験、展開配備された部隊や野戦における部隊での迅速で反復的な能力評価などである。米陸軍は、この実験から学んだ教訓を使用して、将来のマルチドメイン体制のデザインを改良する。

What We Fight With:米陸軍が戦うもの

米陸軍の6つの近代化の優先事項は、マルチドメイン作戦(MDO)対応部隊の装備開発を促進する。全体は部分の合計よりも大きく、これらの能力の組み合わせが米陸軍のマルチドメイン作戦(MDO)の戦いを可能にする。

・長距離精密火力により、マルチドメイン部隊は敵のA2 / AD能力に侵入し無力化することができ、すべての指揮階層で軍事的に打ち勝つことを確実にする。

・次世代の戦闘車両は、陸上部隊の火力、速度、および残存性を向上させ、戦場で優位な位置に機動し、ロボット車両とペアリングできるようにする。

・将来の垂直揚陸プラットフォームと技術は、米陸軍航空機の機動性、耐久性、致死性、および残存性を向上させ、ほぼ対等な競合者に対する作戦範囲と有効性を高める。

・米陸軍ネットワークテクノロジーの近代化は、広大な地形に分散された部隊を指揮・統制し、複数のドメインからの効果を収束させ、マルチドメイン作戦(MDO)での共通の状況理解を維持するために必要である。

・競合者は、防空およびミサイル防衛能力の近代化を必要とする間接射撃およびミサイル能力に多額の投資を行っている。新しい技術は、敵対者の空中脅威から地上部隊を守り、空中およびミサイルの脅威から我々と同盟国とパートナーのインフラストラクチャを防御する。

・最後に、兵士の致死性を近代化する取り組みは、個々の兵士兵器の能力を高め、兵士に強化された暗視能力を提供し、新たな状況を素早く理解して反応する能力を高め-致死性、精度、および残存性を高める。これらの取り組みは、兵士の装備だけでなく、兵士の近代化を確実にするために、フィットネス、栄養補給、復元性を改善するための進行中の兵士のパフォーマンスの取り組みを補完するものである。

米陸軍将来司令部(AFC)の機能横断チーム(CFT)は、近代化の優先事項を可能にする。機能横断チーム(CFT)は、主要な利害関係者(要求関係者、調達関係者、科学・技術関係者、試験関係者、兵站関係者)と共に、時宜に応じた方法でマルチドメイン作戦(MDO)を支援する要求事項を開発するために協力するものである。初期の試作品作成、試験段階、および作戦部隊からの兵士との接点は、生み出された解決策が正しいものであることを確実にすることを助けるものである。8つの機能横断チーム(CFT)は、米陸軍の6つの近代化の優先事項に、二つの有効化する領域(確実化する現在位置表示(positioning)、航法(navigation)、時刻規正(timing)、そして合成訓練環境(synthetic training environment))を加えて並び称される。絶えず近代化する米陸軍の構成要素として、機能横断チーム(CFT)は技術の進歩と競合者の適応状況に合わせて調整されるものである。さらに、米陸軍は、マルチドメイン作戦(MDO)の準備が整った部隊を一線配備するために、現在の事業プログラムの漸進的な近代化を必要とする。機能横断チーム(CFT)プログラムが第一線に整備されると、現在のいくつかのシステムが更新され、補完的な敵対者に打ち勝てる能力が提供されることになる。

機能横断的チーム(CFT) 承認済みの取組
長距離精密火力 • 戦略的火力

• 精密打撃ミサイル

• 拡大射撃範囲の野戦砲兵

次世代戦闘車両 • 選択可能な友人戦闘車両

• 装甲多目的車両

• 移動型防護化火力

• ロボット化戦闘車両

将来垂直揚陸機 • 将来攻撃型偵察航空機

• 将来長距離攻撃航空機

• 将来無人航空機

• 組立型オープンシステムアーキテクチャ

ネットワーク • 統一されたネットワーク

• 指揮所の共通環境

• 統合レベルの総合運用性/連合のアクセス可能性

• 指揮所の移動性/残存性

位置情報取得、航法、時刻確認(PNT)の確実化

行動可能範囲の確実化

• 位置情報取得、航法、時刻確認(PNT)の確実化

• 戦術的空間

• 航法戦

防空及び対ミサイル防衛 • 米陸軍の防空及び対ミサイル防衛

• 機動間の短距離防空

• 間接火力防護

• 低空域における防空及びミサイル防衛

兵士の致死性 • 次世代分隊兵器 – 自動小銃

• 次世代分隊兵器 – 小銃

• 強化型夜間暗視ゴーグル – 双眼鏡タイプ

• 一体型視覚増強システム(IVAS)

合成訓練環境(STE)

訓練可能範囲の確実化

• 合成訓練環境システム(STE-System)

• 再構成可能型仮想集成訓練装置(RVCT)

• 分隊没入型仮想訓練装置(SIVT)

• 分隊/兵士用仮想訓練装置(S/SVT)

• 単一の地球全体の地形生成(OWT)

図3.現行の機能横断的チームと承認済みの取組

米陸軍は、すべてのシステムの最初のデモンストレーションと実験で成功しないかもしれないが、我々はそこから教訓を得て、プログラムとコンセプトを迅速に適合化していく。我々の近代化の最終目標を達成するために必要な技術を開発するための鍵は、米陸軍内の革新の文化を奨励し、伝統的産業および非伝統的産業、学術界、および他のパートナーとの新しいパートナーシップを鍛えることである。中間層取得など、議会当局の全範囲を活用する適応力ある調達アプローチを使用して、装備能力の開発、生産、および提供を加速する。また、他の取引当局や共同研究開発契約などの革新的な契約ツールを使用して、革新を促進し、米国の中小企業が我々の兵士の現在および将来のニーズを満たすのを支援する。知的財産(IP)への意図的でバランスの取れたアプローチを採用することで、我々はより洗練された顧客を創り出し、知的財産(IP)を護りながら、民間部門から生まれる創造的な技術にアクセスできるようになる。

米陸軍の調達アプローチ方法の変更に加えて、装備能力の開発方法も根本的に変更する。高度な製造方法と装備は、システムのデザイン、開発、生産、維持に組み込まれる。システムのライフサイクル全体でこれらの高度な技術を採用することで、次世代の兵器システムを迅速に開発し、ほぼ対等な敵対者に対しての打ち勝つ能力を維持できることになる。

最後に、デジタル変革と米陸軍の基盤となるネットワークとコンピューターインフラストラクチャの近代化への投資は、我々陸軍の成功に不可欠である。具体的には、クラウドはこの近代化の取り組み全体の基盤である。米陸軍はクラウドコンピューティング技術を開発し、データアクセスと共有環境を改善し、ソフトウェア開発ツールとサービスを合理化する。これらの技術投資により、米陸軍が、進展する機械学習とAI技術の優位性を活用して、競争者よりも速く理解し、視覚化し、決心し、指示することができる。クラウドのオープンアーキテクチャを活用することで、企業と地上の兵士の間で情報を迅速にやり取りできる。これにより、指揮官は物理環境で行うのと同じくらい効果的に情報環境で敵対者に対抗し、認知空間で勝つことができるのである。

Who We Are:米陸軍とは何者か

米陸軍は常に有能で高度な訓練を受けた兵士に依存してきた。新興する技術とグローバルな安全保障環境の複雑さ、および我々の洗練化されたマルチドメイン作戦(MDO)コンセプトは、その信頼性はさらに向上している。2019 年の米陸軍人材戦略(Army People Strategy)でより詳細に述べられているように、米陸軍は、リーダーの開発および教育プロセスを更新して、次世代の米陸軍リーダーがマルチドメイン作戦(MDO)の複雑さに準備できるように、批判的思考、創造的思考、およびシステム思考を増強させる。人材管理の原則を使用して人事システムを変革し、兵士と民間人が最大限の潜在的能力を発揮できるように支援する個々の知識、技能、振舞い、選好性を最大化する。さらに、我々は全米陸軍(Total Army)が、将来の環境に必要な人材を確保するための、より柔軟な人材管理のアプローチと機会の探求を続ける。最後に、新しい分隊能力モデル(Squad Performance Model)は、能力指標を使用して、近代化の取り組みが兵士レベルで致死性をどのように改善しているかを評価する。

米陸軍は常に同盟国およびパートナーとともに、統合部隊の一員として戦うことになる。パートナーシップは、大国間の競争力の鍵であり、米国の同盟国とパートナーは、重要な非対称的な優位性を我々に与えてくれる。我々が共に戦う準備ができており、必要に応じて戦う用意があるという知識は、潜在的な敵対者に対する強力な抑止力である。

近代化の取り組みの一環として、我々は、我々の同盟国やパートナーとのコンセプトや能力を開発する機会を模索する。技術的な相互運用性だけでなく、人間と手続き型の相互運用性も強化して、1つのチーム(one team)として戦えることを確実なものにする。我々は、その相互運用性を強化し、統合および連合部隊としてのマルチドメイン作戦(MDO)への我々のアプローチを改善するために、演習、訓練の機会、およびリーダーの交換制度を利用する。

Critical Enablers:成功のための重要な要素

2022年までに、米陸軍はマルチドメイン作戦(MDO)に必要となる較正された部隊態勢、すなわち、前線プレゼンス、遠征能力の力量、および国家レベルの資産へのアクセスを決定する。戦略的部隊態勢は、マルチドメイン作戦(MDO)の遂行に必要な権限の委任と同期化が伴うものである。

米陸軍はまた、マルチドメイン作戦(MDO)を可能にする新しい技術と装備を支援するために設備と施設を近代化し、より効率的で効果的で復元性のあるシステムを開発して、ホームステーションからの遠征部隊の動員、防護、展開、および後方支援の仕方を支援する。米陸軍事前配置在庫は、マルチドメイン作戦(MDO)に戦略的な柔軟性を提供するための近代化能力と遠征能力を相互に支援する。さらに、我々の設備と有機的な産業基盤は近代化され、紛争に対する即応性、動員、および増派の要件を支援し、機能横断チーム(CFT)によって開発され全米陸軍(Total Army)に装備された装備品を支援する。

さらに、マルチドメイン作戦(MDO)では、アクセス、監視、雇用という3つの広範な領域にわたって、既存の政策と権限の進行中の再評価が必要である。米陸軍部隊は、競争および武力紛争における監視、欺瞞、および防護作戦を可能にする軍事ネットワークおよび民間ネットワークへのアクセスを必要とする。競争が武力紛争にエスカレートする場合、米陸軍部隊は、電子攻撃、攻撃的なサイバースペースと宇宙、致命的な打撃などの能力を迅速に適用する能力を持たなければならない。

最後に、米陸軍は、科学・技術(S&T)解決策を提供するための発見、革新、および移行の理念に根ざした、関連性のある変革的研究を行っている。米陸軍の科学・技術(S&T)は、基礎研究および応用研究への集中的な投資を維持している。米陸軍は、部隊の近代化の要素に対処する基礎知識と技術を提供する投資戦略を実行する。この取り組みを支援するために、米陸軍は研究所を優先的な近代化の取り組みに合わせ、外部のパートナーシップ契約を策定している。たとえば、米陸軍将来司令部(AFC)は、ハイパーソニックスについてはテキサスA&M大学、ロボット工学についてはテキサスオースティン大学、人工知能についてはカーネギーメロン大学と協力協定を結んでいる。米陸軍の科学・技術(S&T)は、脅威に基づいた、コンセプト駆動型の、能力に基づいた研究を通じて、中長期の能力を引き続き重視する。

米陸軍優先研究分野
1. 破壊的エネルギー:小さい設置面積で2倍以上のエネルギー獲得
2. 無線周波数電子材料:指向性エネルギーのためにダイヤモンド材料の光学的および熱的特性の活用
3. 量子力学:比類のないセキュリティを備えた最適化された情報転送、センシング、および通信
4. 超音速飛行:航空力学、素材、プロセス
5. 人工知能:台頭する脅威に対応可能な速度と俊敏性の増加
6. 自律性:プラットフォームの機動性と路外移動性
7. 合成生物学:反応性および応答性皮膚/スペクトル選択材料/反材質特性
8. デザインによる装備開発:将来脅威に対する確実な防護性
9. 積層造形学:増加する斜距離および致死性のための次世代弾薬

図4.米陸軍優先研究分野

 

Resourcing:資源の確保

米陸軍は予算編成プロセスを再活性化し、2020-2024年度のPOMで330億ドル以上を再編成し、6つの重要な近代化の優先事項、新しい組織、訓練のアップグレード、施設の改善、その他の近代化の取り組みに資金を提供した。これは重要な出発点であったが、即応性を維持しながらの近代化のコストは、システムが低率の初期生産、そして調達に入るときにのみ増加させる。米陸軍は、システムの開発および拡張を可能にするための資源を確保するために、再編の取り組みを通じて節約を継続しなければならない。たとえば、米陸軍は、ビジネスケース分析に基づいて、持続させるために装備品を移行する意図的なアプローチを取る。これには、能力のニーズ、調達プログラム、および既存のシステムを評価して、最も経済的な持続性のあるアプローチを決定することが必要である。多くの場合、レガシーシステムへの追加の増分アップグレードを控えることになる。米陸軍はまた、近代化の優先事項のために資源を解放するいくつかのレガシープログラムを最終的に売却する。

Towards an MDO Ready Force: The Temporal Framework to 2035:マルチドメイン作戦(MDO)に即応した部隊に向けて:2035年までの時間的枠組み

マルチドメイン作戦は米陸軍を根本的に変革する。新しい体制と能力の実装は、2つの変更期間にわたって行われる。1つ目は、米陸軍が最初の解決策を展開し、試験するような急速な変化の期間である。2番目の期間である根本的な変化の期間は、マルチドメイン作戦(MDO)を作戦化し、2035年のマルチドメイン作戦(MDO)に即応した部隊を生み出す。

2035年のマルチドメイン作戦(MDO)に即応した部隊の主要な最終目標を達成するために、米陸軍は3つの初期の中間点を確立した。これらの目標は、米陸軍全体の努力の着実な進展と調和の確保に役立つことになる。継続的な柔軟性、学習、調整により、米陸軍は2035年のマルチドメイン作戦(MDO)に即応した部隊となり、数十年後にも新たなマルチドメイン作戦(MDO)の里程標を達成し続ける。

Period of Rapid Change:急激な変化の期間

・2020年度から2022年度:この期間中に、米陸軍は機能横断チーム(CFT)の承認済みの取組みの最初の配備を開始する。これらの取り組みは、マルチドメイン作戦(MDO)コンセプトの試験、実験、および分析を行い、マルチドメイン作戦(MDO)コンセプトの要素を検証および改良するために通知される。2022年度までに、米陸軍はドクトリン、組織、訓練、装備、指導者育成と教育、人事、施設、および政策(DOTMLPF-P)分析に基づいて世界的な部隊態勢の調整を開始し、米陸軍全体の近代化の利害関係者からの情報入手を必要とし、一方で、2035年にマルチドメイン作戦(MDO)に即応した部隊を達成するという課題に対処することを始める。

・2023年度から2025年度:前の期間の試験、実験、分析に基づいて、米陸軍はマルチドメイン作戦(MDO)の実行に必要な近代化された装備品を組み込むために、その体制と組織デザインを適合させる。米陸軍はまた、既存の訓練センターを、マルチドメイン環境を模擬させるために変換しながら、訓練の思考枠組み(training paradigm)を洗練された実動環境、仮想環境、および合成環境を融合するように移行する。米陸軍訓練ドクトリン司令部は、マルチドメイン作戦(MDO)のコンセプトをドクトリンに変換し続ける。国内外の施設の近代化により、マルチドメイン作戦(MDO)対応部隊に必要な較正された部隊態勢の条件が設定される。

Period of Fundamental Change:根本的な変化の期間

・2026年度から2028年度:この期間中、米陸軍は最初のマルチドメイン作戦(MDO)フォースパッケージを認証し、次のマルチドメイン作戦(MDO)フォースパッケージの構築を開始する。訓練センターは、旅団から野戦軍までの指揮階層を受け入れるように適応する。米陸軍は、選択可能な有人戦闘車両や将来攻撃偵察機などのシステムを配備する。

・2029年度から2035年度:この期間中に、米陸軍は次のフォースパッケージの認証を終了し、ドクトリン、組織、訓練、装備、指導者育成と教育、人事、施設、および政策(DOTMLPF-P)の全範囲で革新と調整を続け、あらゆる敵対者に対して競争上の優位性を維持するための強さ、俊敏性、復元力を備えたマルチドメイン作戦(MDO)に即応した部隊を実現する。積極的な訓練、試験、および分析により、マルチドメイン作戦(MDO)のドクトリンが検証され、新規の体制および既存の体制への能力の継続的なシームレスな一体化を確実にする。

Risk:リスク

米国は、過去数十年にわたって、反乱とテロの脅威に対抗する能力の開発に焦点を合わせたため、大国の競争相手に対する陸上支配を維持するための我々の本来の能力に相当な戦略的リスクを蓄積してきた。2019年の米陸軍近代化戦略(AMS)は、明確に特定された近代化の優先順位を維持し、優先度の高い装備解決策に十分な資金を確保するために困難だが必要な選択を行うことにより、そのリスクを低減する米陸軍の最近の取り組みに基づいている。米陸軍近代化戦略(AMS)はこれらのリスクを緩和する一方で、他のものを導入するため、米陸軍首脳部は引き続き監視する必要がある。

即応性:資源が近代化の取り組みに優先順位を付けられると、即応性リスクが増大する。米陸軍には、即応性の維持を近代化の両方を行う以外に選択肢がない。近代化を支援するためにプログラム開発に充てる資源を増やすと、短期的なニーズに利用可能な資源に圧力がかかる可能性がある。

能力:我々がレガシーシステムを持続し、新しい戦闘システムを比較的大規模でかつ比較的短期間で導入することに移行することで、機能リスクが増大する。これらの移行により、米陸軍の兵站システムにストレスがかかる。また、訓練企業にストレスを与えます。訓練企業は、米陸軍の創設される部隊および作戦部隊からの新しい訓練要件を支援する必要がある。近代化イニシアチブが遅れると、能力リスクも増大する。マルチドメイン作戦(MDO)を支援する組織および装備の取り組みは相互に依存するようにデザインされており、1つの領域の変更または遅延はドクトリン、組織、訓練、装備、指導者育成と教育、人事、施設、および政策(DOTMLPF-P)取り組みの全体的な同期に影響を与える可能性がある。

インフラストラクチャ:米陸軍が新しい兵器システムや体制に合わせて施設を近代化しないと、インフラストラクチャのリスクが高まることになる。これらの移行は、計画外のインフラストラクチャ要求を伴う設備にストレスをかける可能性があり、これにより、配備化のスケジュールがリスクにさらされる可能性がある。近代化された施設は、新しい技術を十分に活かすための支援インフラストラクチャを提供する。米陸軍は、維持整備施設、駐車場、ネットワークインフラストラクチャ、管理施設、住宅、兵舎、安全な施設の更新を計画し、そして有用性は、他の近代化の取り組みに追いつき、このリスクを軽減するように更新する。

予算:資金調達の決定が遅れ、特定されたプログラムや競争に対する業界の早期の関与をリスクにさらし、米陸軍予算からの追加資金を必要とする場合、予算リスクが増大する。科学・技術の進歩とドクトリン、組織、訓練、装備、指導者育成と教育、人事、施設、および政策(DOTMLPF-P)の活動の間には、マルチドメイン作戦(MDO)の必要な能力を達成するための技術が利用可能になるまで、二律背反が存在する。ドクトリン、組織、訓練、装備、指導者育成と教育、人事、施設、および政策(DOTMLPF-P)のすべての要素に沿った解決策は、2035年までにマルチドメイン作戦(MDO)に即応した部隊を生み出すために、装備不足を緩和する必要がある。

Conclusion:結論

2019年の米陸軍近代化戦略は、将来の米陸軍近代化の基礎を築きます。これは、マルチドメイン作戦に即応する部隊をどのように開発し、継続的に近代化する軍隊であり続けるための条件をどのように設定するかである。米陸軍は、より詳細な実装計画と年次近代化指針を使用して、これらの近代化の取り組みを同期させ、それは米陸軍計画指針の付属書として毎年公開されるものである。この戦略を成功させるには、米陸軍省と各米陸軍司令部が統合部隊、議会、同盟国とパートナー、産業界、学術界、および他のパートナーと緊密に連携して重要な役割を果たす、米陸軍全体の努力が必要である。我々が効果的、効率的、持続的に近代化すれば、米陸軍はその役割を果たすことができ、国家の要請に応じて競争、阻止、戦い、勝利するための準備を整えることができる。

 

署名

米陸軍最先任上級曹長 Michael A. Grinston米陸軍上級曹長

米陸軍参謀総長 James C. McConville米陸軍大将

米陸軍長官 Ryan D. McCarthy

(軍治)

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