認知戦 (NATO Chief Scientist Research Report)

情報戦あるいはハイブリッド戦、認知戦に関する認識は、報道等を見ると高まっているように見受けられる。

その一方で、防衛省・自衛隊では「認知領域を含む情報戦への対応」として取組みを紹介しており、防衛省が公表している年度の防衛予算の概要書「防衛力抜本的強化の進捗と予算」にも組織の新編等が挙げられているがその内容は分からないのが現実のようだ。

民間では、シンクタンクである笹川平和財団は情報戦・認知戦に関して情報戦・認知戦ニュースレターを発行していたりもする。

また、最近の情報戦、認知戦に関する本も以下の本があげることができる。

・『情報戦、心理戦、そして認知戦――サイバーセキュリティを強化する』著者:佐藤雅俊(ラック・ナショナルセキュリティ研究所長)/上田篤盛(ラック・NSコンサルタント)

・『認知戦 悪意のSNS戦略』―イタイ・ヨナト(著)、訳:奥山真司

MILTERMでもこれまでに「認知戦」についてのいくつかの記事を紹介してきている。

今回紹介するのは、NATOが取り組んでいる「認知戦」の状況についてのレポートである。NATOとして2020年にイノベーション・ハブとして開始した「認知戦」に関する研究から逐次研究が進展してきた概要がうかがえる。

NATOが科学・技術機構(STO)として行う体系化された認知戦に対する研究活動についての内容とその成果を知る機会を提供するレポートとなっている。

認知戦に関して今から研究しようとするには一種の手引きになると思われる。(軍治)

認知戦

主席科学者研究レポート

Cognitive Warfare

NATO Chief Scientist Research Report

December 19, 2025

主席科学者研究レポートについて

主席科学者研究レポート(CSRR)は、NATOの上級政治・軍事指導部に対し、科学・技術(S&T)の発展に関する明確かつ証拠に基づく洞察を提供する。これらの報告書は複雑な研究成果を実践的な分析に変換し、同盟が将来の安全保障環境と戦場を形成するために、潜在的な技術的混乱を予測し、想定される能力のギャップを特定し、戦略的に適応することを支援する。

NATO指導部の上級科学顧問として、主席科学者(Chief Scientist)はNATO科学・技術機構(STO)の最先端研究を活用し、計画策定、政策、意思決定を支える証拠基盤を提供する。主席科学者研究レポート(CSRR)は科学的認識の向上に寄与し、長期的な考察を支援するとともに、科学・技術的考慮事項が広範な防衛計画及び政策策定に組み込まれることを保証する。主席科学者研究レポート(CSRR)は決心支援ツールとして、同盟の知識基盤と現実世界の優先課題を結びつける役割を果たす。上級指導者が知識を行動に移し、新たな安全保障上の課題に機敏かつ一貫性を持って対応するNATOの能力強化を導くものである。

NATO科学・技術コミュニティの中核をなすのは、同盟の防衛科学・技術協力における主要機関である科学・技術機構(STO)である。NATO科学・技術統括委員会(STB)の統括のもと、科学・技術機構(STO)は多国籍の作業計画を実施し、同盟国およびパートナー国間の科学協力の拠点として機能する。応用研究、実験、試作機試験、分析に取り組む各国の専門家を結集している。相互運用性と情報交換を促進することにより、科学・技術機構(STO)は加盟国がNATOの共有知識基盤に共同投資した成果を、あらゆる軍事力行使手段において決定的な優位性としてNATOが活用することを可能にする。

序文

人間の振舞い(human behaviour)とそれを導く思考を理解することは、戦略的意思決定と軍事的意思決定において極めて重要である。自らの状況認識、判断力、計画策定能力を向上させるためであれ、敵対者の振舞い(adversary behaviour)をより正確に予測・操作・意味付け(make sense)するためであれ、NATOは人間の認知(human cognition)に対する理解を深める必要性をますます認識している。高度な人工知能ツールの登場と世論操作を伴うハイブリッド攻撃の脅威が増大する中、認知戦への防御能力と遂行能力への投資は、現在そして将来においてかつてないほど重要となっている。

この認識に基づき、NATOは認知戦能力の向上への取り組みを明確に表明している。2021年NATO用兵基本コンセプト(NATO Warfighting Capstone Concept :NWCC)の要綱では、NATOの中核的任務達成に向けた5つの長期的な「戦いの開発の必須事項(Warfare Development Imperatives :WDI)」を提示しており、そのうち「認知的優越性(Cognitive Superiority)」と「影響力と戦力投射(Influence & Power Projection)」の2つは認知戦の原則を大きく基盤としている。NATOの2022年戦略的コンセプトは「国家及び集団の復元性(national and collective resilience)の確保は、我々の全ての核心的タスクにとって極めて重要であり、諸国家、社会、共有価値を守る取組みの基盤を成す」と強調している。情報処理、通信、ソーシャル・メディアなどを通じて人間の振舞い(human behaviour)を変容させる技術は、軍人・民間人を問わずターゲットとされ得る。従って、認知攻撃を検知・軽減・対応するためには、民間と防衛関係者の連携が不可欠である。

北大西洋条約機構(NATO)科学・技術機構(STO)は、NATOの作戦的即応性強化において極めて重要な役割を担っている。科学・技術機構(STO)は証拠に基づく研究を通じて、平時・危機時・紛争時を問わず、軍事・政治指導部が効果的な意思決定を行い、敵対者に対する認知的優越性(cognitive superiority)を確保できるよう、認知戦への対応に取り組んできた。2022年、NATO科学・技術委員会は共同作業計画(CPoW)における戦略的研究課題として認知戦を認定した。これを受け、認知戦に関連する20の研究活動が立ち上げられ、26のNATO加盟国・パートナー国から200名以上の専門家が共同で知見を結集している。また認知戦に関する関心共同体(Community of Interest :CoI)が設置され、研究ニーズの議論と特定を目的とした頻繁な会合が開催されている。

本報告書は、この研究から得られた知見を提示し、NATO加盟国が認知戦に対抗できるようにすることを狙いとする。また、科学・技術機構(STO)の認知戦に関する共同作業計画(CPoW)課題に続いて取り組むべき主要な研究課題の認識を高め、特定することを目指す。科学・技術機構(STO)の活動は認知戦の以下の3つの主要機能を概説し、認知戦に対する防御のためのさらなる知識と理解を構築するために注目すべき科学・技術ニーズと新興能力を強調した。

i) 敵対者の能力を低下させ、同盟国の振舞いに影響を与え変化させる能力を減少させることで、同盟国の意思決定能力と認知的優越性(cognitive superiority)を確保すること

ii) 人間および技術の認知能力を向上させ、現在の基準値を超える認知能力を高めること

iii) 認知的脅威(cognitive threats)に直面しても耐え、作戦的能力(operational performance)を回復・維持し、能力を保持する復元性を確保すること。

疑いなく、認知戦はNATOの中核的任務を支えるため、科学・技術機構(STO)における継続的かつ将来の研究における主要テーマであり続ける。

Mr Steen Søndergaard

NATO Chief Scientist

戦略的環境

NATOは予測不可能な戦略的環境を航行している。そこでは戦略的競争相手や潜在的な敵対者が、西洋社会の開放性と相互接続性を悪用し、ハイブリッド戦術を通じて同盟国市民の安全をターゲットとしている。

NATOの防衛・安全保障環境の変化と戦略的意思決定能力は、科学・技術(S&T)によっても大きく影響を受けている(ファクト・ボックス1)。NATO加盟国・パートナー国が、プロパガンダや偽情報(ディープフェイクなど)による世論操作を狙いとした悪意あるキャンペーン(malicious campaigns)に直面し、選挙干渉(election interference)にまで発展する中、科学・機関・政府に対する国民の信頼は分断されつつある。近い将来におけるNATOの安全保障に対する重大な課題には、社会不安、気候変動、大規模な移民が含まれる[1]

多くの脅威主体(その一部は自らをNATOとの戦争状態にあると認識している)は、長年にわたり兵器化された戦術を用いて我々の認識能力と意思決定能力に影響を与えてきた。プロパガンダ(propaganda)、欺瞞(deception)、干渉(interference)、操作(manipulation)は、NATOの敵対者が同盟国市民の認識と振舞い(behaviour)を自らの利益に有利に変化させるために用いる戦術である。これらの主体は民主主義に根ざした自由と保護を悪用し、こうして認知戦を仕掛けている。

ファクト・ボックス1:防衛・安全保障の景観を形作るマクロ・トレンド[2]

NATO科学・技術機構(STO)は、科学・技術(S&T)に影響を与え、また科学・技術(S&T)の影響を受ける6つのマクロ・トレンドを特定し、これらがNATOの戦略的環境を形成していると指摘している。具体的には以下の通りである。

・進化する競争領域

・人工知能(AI)と量子優位性の競争

・バイオテクノロジー革命

・資源格差

・分断化する公共の信頼

・技術統合と依存関係

2022年2月24日のロシアによるウクライナ全面侵攻以前、ロシアは矛盾したナラティブ(narratives)や偽旗作戦を用いて不安定化を図り、決心に影響を与えていた。この戦争は、現代の国家間の戦い(modern interstate warfare)が、多大な物的・人的犠牲を伴う消耗戦であると同時に、デジタル情報技術へのアクセスを通じて人間の精神を巻き込む戦争となり得ることを示した。戦争は、戦争における「認知的次元(cognitive dimension)」の重要性と、社会が安全保障環境を形成する領域を浮き彫りにした。

軍事指揮官は、現代戦(modern warfare)における人間の認知(human cognition)の重要性が増していることを認識している。敵対者は、軍事的意思決定フレームワークである「観察する・方向付け・決定する・行動する(OODA)」の脆弱性を悪用し、認知的弱点をターゲットとする。技術進歩により、人間の振舞いの複雑性(the complexities of human behaviour)を悪用して人間の認知(human cognition)を操作することが容易になった。デジタル情報環境は、市民から軍事指導者まで、社会を誤導し混乱させる可能性を増幅させる。ソーシャル・メディアやその他のデジタル・ツールは情報環境(IE)を形成し、認知に影響を与える。COVID-19パンデミックはソーシャル・メディアにおける偽情報の影響を浮き彫りにし、兵器化された情報が意思決定をいかに脅かすかを示した。

認知戦は軍事的課題であると同時に社会的課題でもある。神経生物学、人工知能、バイオテクノロジー、人間とコンピュータの統合における進歩は、認知攻撃の可能性を高めている。認知戦自体は新しいものではないが、技術とデジタル・プラットフォームはその到達範囲と効果を強化する。NATOは、戦争時と平時を問わず、認知と人間の生活に影響を与える新興破壊的技術(EDT)の入り口に立っている。社会・認知・技術的文脈を理解し、新興破壊的技術(EDT)を統合することは、NATOの意思決定における優位性を確保するために極めて重要である。

したがってNATOは、認知戦から同盟国を守るため科学・技術への投資を強化しなければならない。これには敵対者に対する認知戦の科学的基盤、課題、機会を理解することが含まれる。認知と技術の関係性、およびその兵器化の可能性に関する知見の深化が不可欠である。脅威主体、情報環境、ならびに技術的・防衛的・社会的影響に関する広範な理解こそが、認知戦に対抗する上で極めて肝要である。

認知戦の再浮上

紀元前5世紀、中国の軍事家・戦略家である孫子は、戦い(warfare)と軍事手法に関する一連の技法を記述した。これは『孫子兵法(The Art of War)』として広く知られる。この著作は東アジアと西洋の軍事理論・戦略の両方に深い影響を与えた[3]

「敵を知り己を知れば百戦危うからず。己を知りて敵を知らざれば、一勝一敗。敵を知らず己を知らざれば、毎戦必敗。」…「敵を惑わし、我が真意を推し量らせぬこと、これこそが全秘訣なり」

– 孫子の兵法

現代の認知戦はこれらの戦略を維持しつつ、技術的アプローチによって拡大し、軍隊を超えたより広範な対象をターゲットとする。この戦いの形態(form of warfare)が再浮上したのは、敵対者が今や人口の大部分をターゲットとできる技術にアクセスできるようになったためである。孫子の戦略的思考のいくつかの要素は、今日の軍事的意思決定におけるOODAループに組み込まれている。

文献では認知戦について様々な定義が提案されている[4]。デュ・クルーゼル(Du Cluzel)は認知戦を「敵の認知を操作し、弱体化させ、影響を与え、遅延させ、さらには破壊することを狙いとしたもの」と定義する[5]。認知戦は人間の意思決定に影響を与え、その影響範囲を一般市民、社会、軍隊にまで拡大する。情報は多様なプラットフォームを通じて兵器化され、個人、政府、大衆意識をターゲットとし、敵対者の戦略的目標を正当化する。認知戦はまた、認知を通じて人間の振舞い(human behaviour)に影響を与え、最終的に意思決定を操作・変更することを最終の到達目標として、あらゆる知識、戦略、利用可能な手段を用いるものと定義できる。最近ではNATOが認知戦を「認知的優位性の争い」と定義している。この環境下での競争は、「認知的優越性(Cognitive Superiority)」を獲得・維持・保護するためにデザインされた、「競争の連続体(the continuum of competition)」全体にわたる意図的かつ同期化された軍事・非軍事活動から構成される[6]

図1は認知戦の全体像を示している。

図1. 認知戦の主要な側面の図解。稲妻は、認知戦が人工知能だけでなく人間(軍民双方)をもターゲットとし得ることを示す。左側は個人・集団・社会レベルにおける様々な影響を示す。現代技術により個人間の繋がり(点で結ばれた部分)が増大し、情報拡散を促進、新たな欺瞞手法(例:ディープフェイク)を可能にし、しばしば人間の認知(human cognition)を代替する。図の右側は認知戦への三つの主要な対応策を示す:敵対者の能力を低下させること、攻撃に耐える復元性(resilience)を高めること、人間と技術の認知機能を向上させること。(図版提供:オランダ応用科学研究機構(TNO)教授ホセ・ケルストホルト(José Kerstholt)博士)

認知戦は、情報作戦(InfoOps)、心理作戦(PsyOps)、メディア作戦、メッセージ発信と抑止、戦略的コミュニケーション(STRATCOM)、エンゲージメント活動といった影響力関連能力を通じて、NATO及び同盟国に対して攻撃的に使用される可能性がある[7]。認知戦はNATO内において複数の領域と能力計画に足跡を残している(ファクト・ボックス2)。これは人工知能/機械学習ネットワークの進展に伴い、心理作戦、情報作戦、サイバー作戦が融合した形態であり、人間の脆弱性を悪用し、出来事に対する人間の理解を形成することで、敵対者の戦略的アジェンダの拡散を可能にする[8]

さらに、同盟国のオープン・ソース・インテリジェンス(Open-Source Intelligence :OSINT)およびヒューマン・インテリジェンス(HUMINT)は人間の認知(human cognition)を考慮する。一部のコミュニティではソーシャル・メディア・インテリジェンス(SOCMINT)の活用が議論されている[9]。これは、技術的進歩を敵対者の到達目標達成に利用する意図的な行動に対し、NATOが備える必要性が極めて重要であることを強調している。しかし、本報告書で言及されるNATO科学・技術機構(STO)の研究は、認知戦を純粋に防御的な観点から捉えている。認知戦は軍事・民間双方をターゲットとするため、この戦いの種類(type of warfare)に対抗する戦略と能力を確保するには、政府全体および社会全体を巻き込んだアプローチが必要である。

ファクト・ボックス2:認知に遭遇する伝統的なツールには、戦略的コミュニケーション(STRATCOM)機能の一部として、軍事戦術や心理作戦(PsyOps)、情報作戦(InfoOps)を通じたアプローチが含まれる[10]
心理作戦(PsyOps):承認された対象者に向け、通信手段その他の方法を用いて計画的に実施される活動であり、認識・態度・振舞いに影響を与え、政治的・軍事的目標を達成することを目的とする。これらの作戦は、特定かつ明確な目標に向けた独自の計画と準備に基づいて実施される。 情報作戦(InfoOps):軍事任務の一環として、軍事情報活動を助言・調整し、敵対者、潜在的敵対者、および北大西洋理事会が承認したその他の当事者の意思、理解、能力に望ましい効果をもたらすことで、同盟の任務目標を支援する。情報作戦(InfoOps)は認知戦を実施する複数の手段の一つであり、戦い/行動が行われる情報環境とは区別される。 戦略的コミュニケーション(STRATCOM):NATOの狙いと目標を支援するため、情報環境を形成するべく、通信能力及び情報参謀機能を他の軍事活動(広報、心理作戦(PsyOps)、情報作戦(InfoOps)を含む)と統合する。ストラトコムは計画過程で考慮され、作戦デザインに反映され、指揮官の意図として表明され、実行及び目標設定の段階で適用される。

 

認知戦は情報作戦(InfoOps)、心理作戦(PsyOps)、戦略的コミュニケーション(STRATCOM)、サイバー作戦よりも広範であり、これらは以下とは異なる。

「認知(cognition)」が伝統的なドメイン(海上、陸上、航空、宇宙、サイバー)のように独立したドメインとして認識されていないにもかかわらず、認知戦は横断的な効果次元である。NATOのマルチドメイン作戦(MDO)コンセプトは、あらゆる作戦ドメインと作戦環境における軍事活動の調整と、軍事活動と非軍事活動の同期化を推進するものであり、情報環境、ひいては「認知的次元(cognitive dimension)」を含んでいる。

NATOは同盟国およびパートナー国と緊密に連携し、情報脅威を理解し、対処し、復元性(resilience)を構築している。NATOの脅威対策アプローチには、情報環境の理解深化、情報脅威の予防、情報インシデントの軽減、脅威からの強固な回復を通じた、予防的措置と対応オプションが含まれる[11]。こうした取組み全体として、今後数年間にわたり、認知戦および「認知的次元(cognitive dimension)」に関する研究に基づく知識と理解が必要となることが示唆される。

NATOの認知戦のアプローチ

2021年NATO用兵基本コンセプト(NWCC)は、NATOの中核的任務を達成するための5つの「戦いの開発の必須事項(WDI)」を概説している:「認知的優越性(Cognitive Superiority)」、多層的復元性(Layered Resilience)、「影響力と戦力投射(Influence & Power Projection)」、クロス・ドメイン指揮、統合型マルチドメイン防衛である[12]。「認知的優越性(Cognitive Superiority)」とは、同盟自身の能力・戦力・目標に対する作戦環境及び潜在的敵対者の理解を指す(ファクト・ボックス3)。「認知的優越性(Cognitive Superiority)」は「戦いの開発の必須事項(WDI)」の中核をなす認知戦は、他の「戦いの開発の必須事項(WDI)」にも影響を及ぼす。多地域・多次元(物理的、仮想的、認知的)・マルチドメイン作戦環境における将来の用兵(future warfighting)を理解するには、認知戦の理解が不可欠である。

2022年NATO戦略的コンセプトは、あらゆるドメインと脅威にわたる抑止力と防衛を強化する360度アプローチを通じた集団防衛の確保がNATOの責務であることを強調する。軍事と民間の連携の重要性を明示している。NATO戦略的コンセプトはまた、同盟の核心的タスクを果たすため、社会と国家を守り、国家及び集団の復元性(national and collective resilience)を高める必要性を強調している。

2020年、連合軍変革コマンド(ACT)イノベーション・ハブは、新たな戦いの形態(a new form of warfare)としての認知戦の探求を開始し、NATOが第六の作戦ドメインである「人的ドメイン(Human Domain)」の検討を提案した[13]。2021年6月、フランスは認知戦に関する初のNATO科学会議を主催した[14]

2021年NATO認知戦対策イノベーション・チャレンジは、「NATO軍及び同盟国の「認知ドメイン(the cognitive domain)」に対する攻撃を評価し防御するための革新的ツール及び対策」の特定に焦点を当てた[15]。複数のNATOイニシアチブを踏まえ、認知戦の影響に対抗するNATOを支援するための確固たる科学・技術基盤の提供が重要課題として認識された。

ファクト・ボックス3:NATO用兵基本コンセプト(NATO Warfighting Capstone Concept: NWCC)2021、「認知的優越性(Cognitive Superiority)」

同盟の状況認識能力と戦略的予測能力の向上は、同盟の強化された抑止力と防衛態勢における重要な側面である。同盟が情勢を主導し、対抗し、戦う能力の基盤は、知識と理解を拡大し、最終的に認知的優越性(cognitive superiority)を達成することにある。この理解は全手のドメインにわたって連携され、技術によって支えられる必要がある。これにより指揮官の予測、思考、決断、行動の能力を最大化できる。潜在的な敵対者に対する認知的優位性を達成するための状況認識と理解の向上に向けた取り組みは、同盟にとって優先課題である。

科学・技術機構(STO)の認知戦に対する研究活動

認知戦に関連する最初の2つの科学・技術機構(STO)活動は、「情報環境における作戦のためのソーシャル・メディア活用」(IST-177 RTG、2019-2023年)と「ハイブリッド戦争対策の軍事的側面:経験、教訓、ベストプラクティス」(SAS-161 RTG、2020-2023年)であった。これらの研究は情報環境とハイブリッド戦(hybrid warfare)に焦点を当てた。

2022年、NATO科学・技術統括委員会(STB)は、ノルウェーが主導する科学・技術機構(STO)共同作業計画(CPoW)において、認知戦を戦略的研究課題として認定した。共同作業計画(CPoW)課題は、科学・技術統括委員会(STB)が毎年実施するメカニズムであり、同盟国にとって戦略的に重要な分野を示すものである。これらは1つ以上の国が主導し、包括的な問題定義を中心に展開され、短期・中期における協力関係と新たな科学・技術機構(STO)研究活動の創出を目指す。これらの課題は通常1年間継続し、具体的な要求事項を実行可能な科学協力へと転換するための専門家ワークショップが行われる。

科学・技術機構(STO)人間要因・医学(HFM)科学・技術委員会(STC)は、専門チーム(HFM-ST-356)を通じて認知戦の様々な側面を最初に特定した。このチームにはNATO ACT及び7つの同盟国が参加し、認知戦に関する共同作業計画(CPoW)課題への洞察と枠組みを提供した[16]。この専門家チームは、認知戦の到達目標を「認知の諸側面を悪用して人間の意思決定を妨害、弱体化、影響、または変更すること」と定義し、認知戦の多面的かつ多次元的な本質を反映するモデルを確立した(図2)。このモデルは2022年のNATO ACTタイド・スプリント会議で検討され、科学・技術ニーズ、優先順位、将来投資のための枠組みを提供している。

ハウス・モデルは、敵対的アプローチを理解し、認知戦がNATOの民主的価値観に及ぼす影響を軽減するために不可欠な知識分野として、7つの科学・技術領域を特定した。これらの領域は独立した科学・技術分野であるが、運用化され、NATOの認知戦防衛という観点から見ると相互依存関係になり得る。認知戦とは、知識を相反する目的に利用すること、および脆弱性を低減するための緩和策・対応戦略を開発することを含む。したがって、ハウス・モデルは認知戦をブルーチーム(ボトムアップ)とレッドチーム(トップダウン)の両方から捉えるために活用できる。ハウス・モデルの7つの知識領域(ファクト・ボックス4)は、i)戦力増幅装置(バー)として機能する4つの横断的知識領域、およびii)これら4つの横断的領域が戦力増幅装置となる3つの知識の柱で構成される。柱とバーの両方は、NATOの法的・倫理的枠組みに基づいて構築されている。

図2. NATO科学技術局(STO)が開発したハウスモデル(HFM-ST-356)は、7つの科学技術知識領域を特定した。認知戦の到達目標は、認知の諸側面を悪用して人間の意思決定を妨害、弱体化、または改変することである。ハウス・モデルは認知戦の多面的かつ多次元的な本質を反映している。認知戦は、戦争の閾値以下および以上において、顕在的・潜在的な目標を達成し、認知の側面を悪用して人間の意思決定を妨害・弱体化・影響・修正することで、我々の思考・行動・決心に影響を及ぼす。現代の技術的基盤は戦力増幅装置として機能する。新たな手法と作戦様式(modus operandi、ファクト・ボックス4参照)により、敵対者は個人及び集団の意識・無意識に浸透・浸透することで、同盟国の状況認識能力や事象理解能力をターゲットとした認知効果を及ぼすことが可能となる[17]

 

ファクト・ボックス4. 認知戦への緩和策と対応策

ハウスモデル(STO HFM-ST-356)で特定された7つの科学・技術知識領域を理解することが極めて重要である。図2を参照のこと。

1. 状況認識/センスメイキング(意味付け):科学・技術は、曖昧な状況や非線形に展開する事象を理解しようとする試みを可能にする要因や阻害要因を理解するために必要である。なぜなら、意味付けは意思決定を導くと同時に、その前提条件となるからである。

2. 認知的効果:科学・技術(S&T)は、行為者が目標とするターゲットとする聴衆に影響を与え、望ましい到達目標を達成しようとする手法を理解するために必要である。これにはドクトリン的効果動詞(例:歪曲、注意散漫化、機能低下)に加え、神経生物学が認知機能、模倣機能、あるいは社会的伝染の誘発に及ぼす影響も含まれる。

3. 作戦様式:科学・技術は、敵対者がターゲットとする聴衆に意図した効果をもたらすために用いる手法や戦略を理解・分析し、介入の機会を特定するために必要である。これには、敵対者が心理的準備を整えターゲットを定めるための活動の同期化を理解することも含まれる。

4. 技術的推進要因と戦力増強要因:科学・技術(S&T)は、主体が到達目標を追求することを可能にする技術的進歩を理解するために必要である。この側面は、特にビッグデータ、人工知能、情報通信技術、神経生物学、バイオテクノロジーといった、広範な新興技術および破壊的技術を対象とする。

5. 認知神経科学:推論、センスメイキング(意味付け)、意思決定の生理学的・神経学的メカニズムを理解するためには科学・技術が必要である。

6. 認知・行動科学:意味づけ、意思決定、社会的相互作用、人間の振舞い(human behaviour)、感情、コミュニケーション、信頼に関する心理学的知見を理解するためには科学・技術が必要である。

7. 社会・文化科学:科学・技術は、個人および集団の振舞いを形成し、力を与える社会的、文化的、経済的、政治的文脈における構造的・制度的要因をより深く理解するための学際的アプローチを理解するために必要である。

現代の戦場において、戦闘員の認知能力は極めて重要である。膨大なデータと情報を迅速かつ正確に処理し、収集した情報の信頼性・正確性・確実性を確保する必要がある。処理上の誤りは作戦環境における効果的な意思決定に連鎖的な影響を及ぼしうる。ハウス・モデルは作戦レベルのOODA軍事的決心フレームワーク(図3)と関連している。認知戦はこの決心サイクル(decision cycle)の観点から捉えることができるためである。認知戦はOODAループをターゲットとし、指揮官の決心(commander’s decision)に影響を与える可能性がある。したがって、ハウス・モデルは研究コミュニティと作戦コミュニティの間の重要な相乗効果を浮き彫りにしている。

図3. 観察-方向付け-決定-行動(OODA)ループ決心サイクル(ジョン・ボイド、1986年)。OODAループは、4段階のアプローチを通じて意思決定プロセスを理解する手段である。軍事分野において、OODAループは意思決定の枠組みとして機能する。OODAループは、意思決定者(decision-makers)がリアルタイムで情報を収集しながら変化に適応することを可能にする。

観察する(Observe) – 複数情報源からのデータ収集段階、すなわち全情報源からの情報集約。

方向付け(Orient) – 情報のフィルタリング、分析、強化、すなわち情報の分析、評価、優先順位付け。

決定する(Decide) – 実行可能な洞察が最善の対応を可能にする、すなわち選択肢と行動方針の選択。

行動する(Act) – 決定の実行、行動の正否の判断。

HFM-ST-356および認知戦に関する共同作業計画(CPoW)課題のフォローアップとして、2022年11月にノルウェー国防研究所(FFI)にて科学・技術機構(STO)ワークショップが開催された。本ワークショップでは、認知戦に関する共同作業計画(CPoW)問題定義(ファクト・ボックス5)と、知識の向上および緩和戦略の提供に向けた4つの重要要素を特定した[18]

本ワークショップは、認知戦に関するさらなる認識向上と共通理解の獲得を狙いとし、ハウス・モデルの7つの知識領域に基づき、新たな科学・技術機構(STO)活動の基盤構築に成功した。科学・技術機構(STO)の科学・技術委員会(STC)から16カ国・75名以上の参加者がワークショップに参加し、認知戦について深く掘り下げ、将来を見据えた研究アジェンダを策定した[19]。その後、2023年の科学・技術統括委員会(STB)春季会合において6つの科学・技術機構(STO)活動が承認された。HFM-ST-356の後、科学・技術の見地から短期間のうちに、認知戦に関する17の追加科学・技術機構(STO)研究活動が特定され開始された(2025年4月20日現在)(図4)。全ての研究活動は、HFM-ST-356で特定された7つの科学・技術知識領域に対する深い理解を得るとともに、達成可能な成果を見据えて知識そのものを強化することを狙いとしている。

ファクト・ボックス5. 共同作業計画(CPoW認知戦 – 問題定義

STO HFM-ST-356研究および科学・技術統括委員会(STB)共同作業計画(CPoW)認知戦チャレンジに基づき、認知戦に関する科学・技術機構(STO)活動は計20件開始され、うち5件は委員会横断活動である。2025年4月現在、11件が完了、5件が進行中、3件が計画中、2件が科学・技術統括委員会(STB)承認申請中である。科学・技術機構(STO)活動の6件は公開可能、14件は機密扱いである(図4)。

26の同盟国・パートナー国に加え、関連するNATO組織5機関(ACT、戦略的コミュニケーション高等研究所(STRATCOM CoE)、対即席爆発装置高等研究所(C-IED CoE)、統合航空作戦センター(CAOC)、統合分析・教訓センター(JALLC))が、これら20の科学・技術機構(STO)活動に参加済みまたは現在参加中である。

 

図4. 2019年以降、科学・技術機構(STO)は20件の認知戦活動を開始しており、これには科学・技術統括委員会(STB)共同作業計画(CPoW)研究戦略的課題「認知戦2022」の成果としての活動も含まれる。科学・技術機構(STO)活動のうち6件は公開情報(緑枠)、14件はNATO非機密以上(青枠・赤枠)である。色分けは2025年4月20日時点の活動状況を表す:白:STB承認申請中。灰色:計画中。水色:進行中。青:完了。HFM-ST-356、HFM-361 RSY、HFM-377、SAS-161の各報告書はNATO STOウェブサイトで公開されている[20]

科学・技術機構(STO)の活動は、認知戦に関する広範なネットワークと関心共同体(CoI)の構築につながった。この共同体は科学・技術機構(STO)会合を通じて、オンラインと対面の両方で頻繁に会合し、研究ニーズを議論・特定することで、NATO同盟国が認知戦に対抗する能力をさらに強化している。これは、科学・技術機構(STO)共同体が共通の課題とニーズへの協働を通じて、知識と科学・技術をいかに強化し、その力を高めているかを明確に示している。RSY 361および377の議事録は、NATO STOウェブサイトで一般公開されている。

要約すると、科学・技術機構(STO)の活動は認知戦の三つの主要な機能を浮き彫りにし、科学・技術・手法・新興能力の開発において注力すべき到達目標を示している。これらは民主主義的価値観を維持・防衛するための知識と理解をさらに深化させるために必要である:

敵対者の能力を低下させる:敵対者が振舞いに影響を与え、変化させる能力を低下させることで、同盟国の意思決定能力と「認知的優越性(Cognitive Superiority)」を確保する

人間と技術の認知を向上させる:現在の基準値を超える認知能力を強化する

耐性と回復性能(復元性:resilience:認知的脅威(cognitive threats)に直面しても性能を維持・回復する

他のNATO機関との協力

HFM-ST-356の結果は、NATO ACTおよびNATO認知戦コンセプトの開発に貴重な知見を提供した[21]。このコンセプトは、同盟全体にわたる広範な関心共同体(CoI)、特にHFM-ST-356チームとの協力により開発された。このコンセプトは、軍事委員会(MC)によって、「認知的次元(cognitive dimension)」における新たな脅威に関するNATOの知見を強化するため、戦いの開発アジェンダ(WDA)の一環としてタスク化された。

HFM-ST-356はまた、人間の認知拡張(human cognition augmentation)の近代化を評価する「軍事応用における認知拡張」に関するNATO産業諮問グループ(NIAG)の研究(SG-278)に対し、意見を提供し支援を行った。このNATO産業諮問グループ(NIAG)研究は、様々な訓練ツール、手法、技術、リスク、倫理的・道徳的・法的考慮事項を取り上げ、技術進歩に伴う人間の統合の急速な進化を強化する方法を明らかにした。

2023年4月、NATOの科学・技術機構(STO)と戦略的コミュニケーション局(OCS)は、NATO本部において偽情報に関するワークショップを開催し、問題点と懸念事項に関する共通認識の構築を図った。本イベントでは、政府、産業界、学界の代表者とNATO関係者が一堂に会し、偽情報および敵対的情報活動を検証した。2022年にノルウェーで開催された認知戦ワークショップの参加者も出席し、情報環境と認知的側面の関連性について議論した。

結論

認知戦は「あらゆる手段と技術的進歩を通じて人間の振舞いと認知(human behaviour and cognition)を変化させることにより、認知の諸側面を悪用して人間の意思決定を妨害、弱体化、影響、または修正すること」を目指そうとする[22]。軍事的・非軍事的戦術を用い、危機の全段階において軍事要員と民間人の双方をターゲットとする。

一部の専門家は、NATO同盟国およびパートナー国は既に継続的戦い(continuous warfare)の時代にあり、外国の干渉は武力紛争の閾値を下回っているものの、依然として人間の振舞い(human behaviour)に重大な影響を与えていると主張する。さらに、今後数十年にわたり、人間の認知(human cognition)にも影響を及ぼし得る新興技術が発展するため、同盟は将来の「認知的優越性能力(Cognitive Superiority capabilities)」における機会と課題を評価するため、これらを継続的に監視・評価する必要がある。

同盟国とNATOは、認知戦攻撃を検知・分析する適切な手段を必要とし、同時にこうした戦いに対する我々の復元性(our resilience)を高める軽減戦略を開発しなければならない。認知戦が軍民双方に重大な課題をもたらすことを踏まえ、防衛・安全保障に関わる関係省庁全体で、共同研究・政策立案・戦略開発・復元性の計画策定(resilience planning)に向けた政府全体のアプローチを推進すべきである。

科学・技術機構(STO)は、認知戦能力の開発とNATOの「認知的次元(cognitive dimension)」に関する知識の強化を通じてNATOを支援する。これには、認知戦闘空間(the cognitive battlespace)における脅威への対応を強化し「認知的優越性(Cognitive Superiority)」を達成するため、この次元を形作ることも含まれる。科学・技術機構(STO)の認知戦に関する研究に基づく知見は、この分野における政策策定についてNATOの軍事・政治指導部への助言も提供する。科学・技術機構(STO)の活動により、認知戦における以下の3つの主要機能が特定された。

i) 敵対者の能力を低下させ、同盟国の意思決定能力と認知的優越性(cognitive superiority)を確保すること

ii) 人間と技術の認知能力を現行水準から向上させること

iii) 性能を維持・回復し、認知的脅威(cognitive threats)に対するNATOの復元性(NATO’s resilience)を強化すること

これらは科学・技術(S&T)及び新興能力の開発に注力すべき領域であり、認知戦への対応・軽減に向けた知識と理解を深化させる必要がある。

科学・技術(S&T)は、技術が個人・組織・社会レベルで人間の意思決定にどのように影響するか、人間の振舞い(human behaviour)を敵対者の目標に沿うように変容させる方法、そして認知戦闘空間(the cognitive battlespace)を防御・確保する方法を理解するために必要である。

2022年、NATO 科学・技術統括委員会(STB)は認知戦を戦略的研究課題として認定し、その後(2025年4月現在)認知戦に関連する20の科学・技術機構(STO)活動が設立された。これには26のNATO加盟国・パートナー国と5つの関連NATO機関が参加している。科学・技術機構(STO)の学際的アプローチとステークホルダーとの連携により、NATOの認知戦に対する理解と対応能力が向上した。科学・技術機構(STO)はまた、将来の戦いの能力における「認知的次元(cognitive dimension)」への理解を深め、将来の紛争及びNATOの敵対者に対する認知的優越性(cognitive superiority)を達成するため、広範な「認知戦関心共同体(Cognitive Warfare Community of Interest)」を設立した。戦いの将来(the future of warfare)がマルチドメイン作戦にますます焦点を当てる中、認知戦がNATOの中核的任務を支える科学・技術機構(STO)の継続的・将来的な活動における主要研究テーマであり続けることは疑いない。

  1. ノート

[1] NATO Science and Technology Trends 2025 2045 Vol 1. https://sto-trends.com/.

[2] Ibid.

[3] Sun, T. [496 BC] (1910). Sun Tzu on the Art of War. Trans. L. Giles. London: Luzac and Co.

[4] Cowles, N. and Verrall, N. (2023). The Cognitive Warfare concept: A short introduction. Defence Science and Technology Laboratory, UK, DSTL/TR146721 v1.

[5] Du Cluzel, F. (2021). Cognitive Warfare, a Battle for the Brain. STO-MP-AVT-211, STO-MP-HFM-334.

[6] 2025 Cognitive Warfare. https://www.act.nato.int/activities/cognitive-warfare/

[7] See note 4.

[8] Guyader, H. (2022). “Cognitive Domain: A Sixth Domain of Operations”. In Claverie, B., Prébot, B., Beuchler, N. and du Cluzel, F. (Eds.). Cognitive Warfare: The Future of Cognitive Dominance. First NATO Scientific Meeting on Cognitive Warfare (France) ‒ 21 June 2021. NATO STO.

[9] https://www.sciencedirect.com/topics/computer-science/social-medium-intelligence.

[10] AJP-3 ALLIED JOINT DOCTRINE FOR THE CONDUCT OF OPERATIONS, Edition C Version 1 FEBRUARY 2019.

[11] NATO (2024), ”Resilience, civil preparedness and Article 3”, 13 November, https://www.nato.int/en/what-we-do/deterrence-and-defence/resilience-civil-preparedness-and-article-3.

[12] 2021 NATO Warfighting Capstone Concept. https://www.act.nato.int/our-work/nato-warfighting-capstone-concept/

[13] Du Cluzel, F. 2021. “Cognitive Warfare”. Innovation Hub. https://innovationhub-act.org/wp-content/uploads/2023/12/20210113_CW-Final-v2-.pdf.

[14] Claverie, B., Prébot, B., Beuchler, N., and du Cluzel, F. (Eds.). (2021). Cognitive Warfare: The Future of Cognitive Dominance. First NATO Scientific Meeting on Cognitive Warfare (France) ‒ 21 June 2021. NATO STO. https://hal.archives-ouvertes.fr/hal-03635898/document.

[15] NATO Allied Command Transformation (ACT) (2021), ”NATO Innovation Challenge Fall 2021 – Countering Cognitive Warfare”, 8 October, https://www.act.nato.int/articles/innovation-challenge-2021-2-countering-cognitive-warfare.

[16] Masakowski, Y. R. and Blatny, J.M. (Eds). Mitigating and Responding to Cognitive Warfare. 2023. NATO STO. STO-TR-HFM-ET-356.

[17] Ibid.

[18] NATO STB Common Understanding of Cognitive Warfare – Towards a Future Research Agenda.

[19] Ibid.

[20] Science & Technology Organizing (STO), STO Scientific Publications, available at www.sto.nato.int/publications/.

[21] NATO ACT Cognitive Warfare Concept, Exploratory Work 2023.

[22] See Note 16.