米陸軍マルチドメイン変革(米陸軍参謀総長文書#1)

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米陸軍のマルチドメイン変革でも紹介した米陸軍参謀総長文書である「米陸軍のマルチドメイン変革―競争と紛争における勝利への備え(一部を除き)」を紹介する。(軍治)

米陸軍マルチドメイン変革

競争と紛争における勝利への備え

米陸軍参謀総長文書#1:秘区分なし

米陸軍参謀本部

2021年3月16日

 

序文:Preface

米陸軍は国家を守り、平和を維持するために奉仕する。歴史的に、これは常に ― 必要に応じて、闘って勝利すること ― 言わば、国家の戦争に備えることを意味している。米陸軍は闘って勝利するための準備を常に行わなければならない。大国間競争の時代において、米陸軍も国益を守るために積極的に競争しなければならない。

米国は長きに渡り、軍事力により平和を維持してきた。この強さの大部分は、世界中の強力で有能なパートナーと相まった、強力で有能な米陸軍により提供された戦争の抑止する実力(ability)によるものである。

我が国の米陸軍は今でも相手を圧倒する能力を維持しているが、それはいつしか失われてゆくものである。断固たる決意を保持する敵対者(determined adversaries)と、加速する技術の進歩に直面する中で、我々は明日の課題に対応するため、今日において変革しなければならない。将来の紛争は、より広い範囲で、あらゆるドメインにわたって、そして物理的にも認知的にも遥かに速い速度で発生するであろう。よって我々は、21世紀型の人材管理システムの導入、新しい兵器システムの開発と配備、ドクトリンの変革、新しい組織の構築、そして訓練方法の変化を継続して行わなければならない。この大胆な変革は、次の戦いに勝利するための決心の優位性(decision dominance)と、相手を圧倒するために必要不可欠な最先端技術による効力範囲(range)、スピード(speed)、コンバージェンス(convergence)を統合部隊に提供する。

米陸軍は米統合部隊に特有の貢献を行い、国益を守り、国内外での米国民の安全を確保する。競争において、我が国の到達目標は、国力のあらゆる要素を活用して、闘わずして勝つことにある。抑止力は、成功裏に競争するための重要な要素の一つである。侵略を抑止するために、米統合部隊は闘って勝利するための疑いの余地のない、示威された実力(ability)を持たなければならない。競争における我々の利点をより広範囲に拡大するために、米陸軍は前方プレゼンスを維持し、世界中で永続的な地上戦力パートナーシップ(land power partnerships)を育んでいる。米陸軍はまた、情報空間で作戦し、国家が常に、真に勝利を収めることを確実にする能力を活用している。我々は、移動性のある長距離火力、後方支援(sustainment)、防護力、そして敵対者(adversary)の接近阻止・領域拒否(A2/AD, anti-access/area denial)の階層(layer)内で機動可能な部隊を提供する。また、米統合部隊を構成する他の軍種と密接に一体化するという姿勢を示すことにより、我々の戦争抑止のメッセージの信頼性を高めていく。

2020年、我々は米陸軍の高い即応性と幅広い専門性により、危機の際にタイムリーで効果的な支援を提供できることを示した。1月に我々は、海外に対し米国が紛争をエスカレートさせずに防ぐための強さと決意を示すことを助けた。コロナウィルスの世界的流行時において、米陸軍の科学者は国家のワクチン、治療法、試験の取り組みを支援し、米陸軍工兵隊(Army Corps of Engineers)は市長や知事による緊急治療施設の整備を支援し、米陸軍の衛生及び作戦部隊が全国で緊急に必要な支援を行った。米陸軍部隊はまた、市民の暴動、ハリケーン、山火事、洪水に適切に対応するなど、数え切れないほどの米国の地域社会に多大な専門的支援を提供した。

米陸軍は、戦闘力の適用において、革新性、創造性、起業家精神を必要とする変曲点(inflection point)に直面している。我が国の敵対者(adversaries)は、米統合部隊の質的・量的な優位に追い迫っている。米陸軍が変化しなければ、抑止力と国家の最も神聖な利益の維持を失うリスクがある。私は、米陸軍が、継続的な大規模戦闘作戦(LSCO, Large Scale Combat Operations)において敵対者(adversaries)を支配するための近代化と準備を整える時期として、2035年を米陸軍の目標点(Aimpoint)に定めた2028年は我々の中間点(Waypointであり、将来に関する我々の仮定を包括的に再評価し、それに応じて投資を調整する。

変化のためには、制度的、組織的、概念的な推進力が必要であり、もはや適切ではない慣習やプラットフォームを捨て去ることが求められる。このような変革により、米陸軍の能力を増やし、海上、航空、宇宙、サイバーの各ドメインに我々の効果を拡大することができる。将来の戦闘空間は、まさにマルチドメインであり、速いペースで、テクノロジー主導のものとなり、米陸軍はその準備を整えることとなる。我々が将来を見据える時、一つの要因は不変である ― それは人(People)であり、米陸軍と米統合部隊の原動力である。人は、我々が同盟国やパートナーとともに鍛える(forge)重要な関係を可能にし、人、すなわち適応力のある兵士は、軍事作戦において決定的な優位をもたらす最高の能力である。

人が第一!勝利こそが全て!米陸軍よ、強くあれ!

米陸軍参謀総長 米陸軍大将ジェームズ C.マッコンビル

 

I.  はじめに:Introduction

米国は、未だかつてない国益に対する一連の挑戦に直面している。中国とロシアは、ルールに基づく国際秩序に挑戦し続けている。両国は、世界規模で米国に取って代わることを狙い、彼らの議題を進める取り組みの中で強硬姿勢をさらに強めている。2040年までに、中国とロシアは、独自の安全保障パートナーシップを構築しながら、米国、同盟・パートナー国の集団的意志を弱めるため、全ての国力の手段・方法を兵器化する。これにより、紛争と平和の境界線が曖昧な、構造化されていない国際環境へ導いている。中国とロシアが軍隊の近代化を進める中で、米統合部隊は、そのような国々の不法で攻撃的な行動を抑止することが、ますます困難となる。

我々の敵対者(adversaries)は、我々の強みを弱体化させ、弱みを利用するために、非対称的なアプローチを開発してきた。その最も顕著な例が、米国が軍事力を投射できないようにするためのA2/AD能力に彼らが投資していることである。技術の進歩により、宇宙、サイバー、情報、電子戦能力の統合が可能になり、米国の戦力投射を未然に止めることが可能となった。人工知能、自律型制御、そしてロボット工学は、戦役(campaigns)の特徴を継続的に変化させ、その結果、戦場はより速く、致死性が増大し、分散したものとなるだろう。紛争時には、敵対者(adversaries)は最新の化学・生物・放射性物質・核(CBRN)兵器の使用を通じたスタンドオフ(遠隔からの攻撃)を強化する。このような階層化されたアプローチは、統合機動の自由を侵食し、他の国力の手段による有効性を低下させる。このような新たな課題に対応する変革のための喫緊の必要性は、いくら強調してもし過ぎることはない。米陸軍は、この変革を実行する態勢にある

2035年のマルチドメイン陸軍は、統合の用兵(joint warfighting)に変革をもたらす。2035年までに米陸軍は、必要とされる点においてスピードと効力範囲(range)で相手を圧倒するマルチドメイン能力の調整された戦力態勢(calibrated force posture)で、競争から紛争に至るまで、米統合部隊が機動して勝利することを可能にする。競争における米陸軍の動的な運用と態勢は、複雑なA2/ADシステムを突破するための深い効力範囲(range)を提供し、クロス・ドメイン効果 ― すなわち、最初の会戦(first battle)で勝利するための機会を創出し、抑止し、エスカレートさせず、あるいは迅速な移行のための選択肢を提供する。米陸軍の編成(formations)と能力は、物理的にも認知的にも必要なスピードを提供し、より速いペースで、分散し、かつ複雑な作戦環境に必要な、決心の優位性(decision dominance)を実現する。マルチドメイン陸軍は、米統合部隊が国家主体を倒すために必要な、一体化した戦役に闘って勝利するための条件を作為する。

現在も将来も、最初の会戦(first battles)がその後の戦役の結果を決める。紛争の長期化や事態のエスカレーションを防ぐためには、最初の会戦(first battle)に勝利すること、あるいは危機における既成事実化を防ぐことが必要である。陸上部隊は、位置的・能力的な優位を活用して、危機対応のための選択肢を迅速に提供し、紛争に勝利するため、最初の会戦(first battle)を決定的に形成する。復元性(resilient)と移動性(mobile)があり、一体化され、残存性に優れた陸上部隊は、米統合部隊司令官に、あらゆるドメインで敵対者(adversaries)を抑止し、打ち負かすための非対称の選択肢を提供する。同盟・パートナー国の総力を結集して、前方に動的に配置された陸上部隊は、敵対者(adversary)の精巧な防御計画を内側から打ち破り、空軍、海軍、そして全ドメインの部隊(all-domain forces)が利用できる回廊を形成することができる。全てのドメインにおいて、米陸軍の能力は、防御と攻撃の両方の行動範囲を維持し、可能にし、拡張し、拡大する。

競争の中で、米陸軍は国防総省(DoD)に環境を形成するための基礎的な能力と能力容量を提供する。米陸軍部隊は、相対的な位置的・能力的優位を追求し、統合部隊の目標と政治的目標を支援する。前者は主に、同盟・パートナー国と協力して、世界規模の地上戦力ネットワーク(Global Landpower Network)を拡大することで得られる。後者は、革新的なスピードでマルチドメイン作戦(MDO)を支援する能力、部隊構造、ドクトリンや訓練の開発を通じて得られるものである。統合による確実な戦力投射の示威は、軍事的な抑止力の信頼性を高め、政策立案者が外交、経済、情報の手段の適切な組み合わせを採用し、紛争が始まる前にこれを防ぐことを可能にする。

米陸軍のマルチドメイン変革(本文書)は、なぜ、そして如何にして米陸軍が、我々の中核とすべき適正な能力(core competencies)を強化し、競争から紛争に至る間、米統合部隊の勝利を可能とする、適切な配置と能力を備えたマルチドメイン部隊へ変革すべきかについて説明する。さらに本文書は、競争から危機対応、そして紛争にわたって統合全ドメイン作戦(Joint All Domain Operations)を支える「マルチドメイン作戦コンセプト(2018年発表文書)」の適用について説明する。

II.  新たな軍事上の問題:The Emerging Military Problem

統合作戦環境文書(JOE, Joint Operating Environment)によれば、2040年までに、20世紀型の国際秩序の衰退によって、紛争と平和の境界線が曖昧な、構造化されていない国際環境が生起する。米国の敵対者(adversaries)は、新技術の普及により、我々の行動の自由を制限し、我々の戦略的優位を侵食する。2040年までに、敵対者(adversaries)は新たな非対称能力を開発するものと見積もられる。とりわけ、中国は最も永続的な戦略的課題であり、2040年までに米統合部隊との軍事的均衡を達成する可能性が最も高い。このような新たな脅威に対処できなければ、米統合部隊は競争において先制され、世界規模での脅威にさらされ、分断され、崩壊するという重大なリスクに直面することになる。

a. 競争における先制:Outflanked in Competition

競争において、米統合部隊に対する先制を試みる敵対者(adversary)に対し、我々が必要とするのは同盟・パートナー国との関係強化である。米国の同盟・パートナーシップ国は、競争において決定的優位を発揮するが、この優位を維持する我々の実力(ability)は、今の時代の地域的、世界的なリーダーシップをめぐる争いの中では予断を許さない。目標を達成するためには、互恵的な同盟関係やパートナーシップが成功の鍵である。互恵的な関係を構築することにより、米陸軍は、あらゆる事態におけるタイムリーな対応策を米統合部隊に提供する。

敵対者(adversaries)は、米国との直接の紛争を避けるか、あるいは紛争の範囲と期間の両方を制限することを望むだろう。この企図はすなわち、米国の介入を妨害する新たな能力と相まって、敵対者(adversaries)が計画的に自らを配置することを意味する。これにより、敵対者(adversaries)は戦わずして戦略的到達目標を達成するか、もしくは、米国が武力紛争を決心する閾値を超える前に、迅速に目標を奪取して既成事実化を図る。

b. 世界規模での争われた状況:Contested Globally

「砂漠の嵐作戦」以降、中国とロシアは米国の戦争方法を研究し、特に戦力投射において、米国の強みに対抗し、弱点を突くコンセプトと能力をデザインしてきた。米統合部隊は、もはや国土が聖域であると仮定したり、「グローバル・コモンズ」が脅威にさらされることはない、などと考えたりすることはできない。米統合部隊の展開は、戦力投射の実力(ability)が侵食される中、基地から港、そして壕の中に至る間、脅威にさらされるだろう。米陸軍と米統合部隊は、各戦闘軍指揮官(CCDRs, Combatant Commanders)に必要な部隊と装備を提供するために、如何にして戦闘力を動員し、投射し、これを維持するかを考えなければならない。

中国とロシアの軍隊は、我の意思決定の空間を奪い、米国のプラットフォームを圧倒するような組織的かつ持続的な圧力によって、米国とそのパートナー国の軍隊を圧倒しようとする。中国とロシアの近傍(near abroad)において、敵対者(adversaries)は、高密度のA2/ADネットワークを構築し、戦略的に優位な防御態勢で戦うことを可能にする作戦距離の短さ(shorter operational range)の利点を活用する。2035年までに、中国は空軍・海軍・陸軍との必要な後方連絡線(lines of communication)や基地の安全を確立しつつ、その世界規模での(作戦可能な)範囲を拡大するだろう。米統合部隊は、すべてのドメインからこのアプローチを破壊し、打ち負かす準備をしなければならない。

米統合部隊は、敵対者(adversary)の兵器システムの効力範囲(range)、スピード、致死性(lethality)、精度の向上や、世界規模のプレゼンス、拠点化及び作戦により、戦場のあらゆる場所での絶え間ない接触に直面するだろう。自由な行動が許される(permissive)空間は極めて貴重なものとなり、国土はもはや聖域ではなくなり、戦力の形成と展開の努力は妨げられるであろう。

c. 分断と崩壊:Fractured and Disintegrated

敵対者(adversaries)は、米国の戦争の方法における統合と諸兵種連合の一体化の重要性を認識しており、統合部隊の連携を分断するための独自のマルチドメインの組み合わせを採用するだろう。米統合部隊を分断し崩壊させようとする敵対者(adversary)の試みは、基礎的な軍事インフラへの攻撃、集中的なマルチドメイン戦(multi-domain warfare)、そして多様な敵対者の戦力デザイン(adversary force designs)といった大きく3つの方法で現れるだろう。

競争や紛争における統合作戦において、指揮統制(C2, command and control)は電磁スペクトラム(EMS, electromagnetic spectrum)、宇宙、及びサイバーの各ドメインから継続的な妨害を受ける。効果的な統合指揮統制(joint C2)の欠如は、分散した部隊を孤立させ、危機や紛争における敗北のリスクとなる。

敵対者(adversaries)は、統合部隊の能力を相殺する、あるいは凌駕する新たな能力を我々に示すだろう。このような能力は、軍民両用技術(dual-use)、人工知能などの革新的な技術、材料科学やバイオテクノロジーなどの出現と、民主化によって出現する。敵対者(adversaries)が21世紀型の軍事能力を一体化する中で、米統合部隊はこれらの能力を相殺しなければ、敵対者(adversary)の行動に対する抑止効果が低下し、戦闘における戦場でのリスクが増大する危険性がある。

III. 紛争(Conflict)におけるマルチドメイン作戦(MDO):MDO During Conflict

a. 大規模紛争の将来の課題:The Future Challenges of Large-Scale Conflict

将来の紛争において、米陸軍部隊は時間と距離という2つの基本的な課題に直面する。米国が効果的な対応を行う前に迅速に目標を奪取するため、敵対者(adversaries)はこれらの課題を米統合部隊に対して活用しようとする。敵対者(adversaries)が一体化したA2/ADネットワークの効力範囲(range)とスピードを拡大することにより生じる物理的距離、またはスタンドオフは、悪意ある行動の機会の窓(window of opportunity)を形成する。紛争が始まれば、敵対者(adversaries)は米軍の遠征部隊が到着する前に戦果を確保し、エスカレートさせないための時間を稼ぐため、我々の移動を世界規模で脅威にさらす。基本的な物理的距離と、軍を集結させて戦域に展開するために必要な対応時間は、技術の進歩のみで解決することはできない。

前方戦域での作戦に勝利するため、米統合部隊は、効力範囲(range)とスピードの面でコンバージェンスを実現する適切な能力を組み合わせて、前方における配置と準備を整えなければならない。数ヶ月をかけて本土から戦力を投射し、コールドスタートの状態から国家主体と戦うことは、もはや実行可能な行動方針ではない。脅威にさらされる戦域において、部隊の動的なプレゼンスにとって代わるものはない。米陸軍部隊は、このようなプレゼンスを確立するための独自の構造を持っており、効力範囲(range)とスピードの縦深を提供する一連の能力を持ち、パートナー国の陸軍との広範な地上戦力ネットワーク(landpower networks)の恩恵を受けている。競争力を備えた、調整された戦力態勢(CFP, calibrated force posture)は、米統合部隊が危機、あるいは紛争に移行できるための明確な要件である。危機の発生時に、その場に居合わせていないことは、国家の意思決定者が(敵対者(adversary)の)国家主体に対し、その意志を強要する実力(ability)を著しく弱めることとなる。(敵対者(adversary)の)国家主体は、米国が戦闘力を動員し、展開するために必要な時間を与えない。米陸軍のマルチドメイン作戦(MDO)コンセプトは、紛争における勝利を確実にするために、非対称な方法でこれらの課題に取り組んでいる。

b. 紛争における地上戦力の優位:Landpower Advantage During Conflict

マルチドメイン陸軍は、統合の用兵(joint warfighting)を変革する。2035年において、米陸軍 ― 圧倒的な地上戦力(land power)を発揮する ― は、統合部隊が複雑で高度な敵対者(adversary)の防御システムを突破することを可能にする。マルチドメイン作戦(MDO)とは、統合全ドメイン作戦(JADO, Joint All Domain Operations)に対する米陸軍の貢献である。米陸軍のマルチドメイン作戦(MDO)コンセプトは、米統合参謀本部の新たな統合用兵コンセプト(JWC, Joint Warfighting Concept)に影響を与え、また、その影響を受けている。2035年までに、米陸軍は以下のために戦い方を変革する。

i.  闘いを維持する:Sustain the Fight

紛争に先立ち、米陸軍部隊は統合部隊の作戦を可能にする戦域アーキテクチャを確立する。2035年には、戦域アーキテクチャの必要性は変化しないものの、米陸軍部隊がこれを確立する方法は根本的に変化する。米陸軍は、米統合部隊が紛争において任務を遂行できるようにするために、強固で復元性(resilient)のある通信、防護、後方支援(sustainment)のウェブを構築する。

戦域アーキテクチャと後方支援(sustainment)の近代化は必要であるものの、戦力投射における時間と距離の問題を根本的に変えることはない。よって米陸軍は、最初の戦闘において敵(enemies)に素早く接近し、最初の会戦(first battle)から勝利を収めるために、革新的な手法を活用して、部隊、装備及び人員を動的に配置しなければならない。全ての用兵ドメイン(warfighting domains)において、米陸軍の能力は、防御と攻撃の両方の行動範囲を維持し、可能にし、拡張し、拡大する。

米統合部隊は、時間と人手を必要とする古い構造を用いた後方支援(sustainment)の同期化から脱却しなければならない。2035年までに、後方支援(sustainment)の結節(node)は残存性を備え、米統合部隊の作戦を可能にする兵站を迅速に動かすことが可能となる。米陸軍は、リアルタイムで一体化され、データに基づく意思決定を可能にし、米陸軍と統合部隊の後方支援(sustainment)要求を予測する直感(anticipatory intuition)と結びついた、米統合部隊戦域後方支援システム(Joint Force theater sustainment system)の基盤を提供する。

ii.  戦場を拡大する:Expand the Battlespace

米陸軍は、新たな能力と前方への配置を活用して、従来の戦域の「内側」と「外側」の幾何学形状内の地域を機動することにより、戦域を拡大する。戦域の内側の部隊は、敵対者(adversary)のA2/ADゾーン内で作戦し、敵対者(adversary)の領域拒否の計略の根幹を揺るがすような、信頼できる残存能力を提供する。戦域の外側の部隊は、地域及び世界規模の遠征部隊、増派部隊(surge)、国土防衛部隊などで構成され、地形を制御し、利益を確保し、戦略的支援地域の安全を確保するために必要である。戦場の拡大により、統合部隊司令官は対等な敵対者(peer adversary)に対する世界規模の統合作戦において、戦略上及び作戦上の間接的な手段を活用するための選択肢を保持することができる。

米統合部隊司令官の「インサイド・フォース(inside force)」として作戦を行う米陸軍は、固有の、陸上での作戦を基礎とする基盤的な能力を通じて、ほぼ対等な敵対者(near-peer adversary)の軍隊がもたらす課題に、非対称の対抗策を提供する。非対称の優位は、迅速な機動と通信、射程距離に応じた打撃、複雑な地形での残存を可能にする地上戦力の実力(ability of landpower)に基づくものである ― すなわち、決心の優位性(decision dominance)と相手を圧倒する力をより高める。

作戦レベルにおいて、米陸軍の「インサイド・フォース」は、持続性のある、クロス・ドメイン機動(cross-domain maneuver)を行い、側背からの攻撃や旋回機動を行う。前方に分散して配置された米陸軍部隊は、作戦上の移動回廊を形成するため、戦域内における作戦の境界線を越えて、攻撃や襲撃を行う。同時に、米陸軍部隊は、全ドメインでの決定的な作戦のための条件を作為し、米統合部隊が主導権を獲得することを可能とするため、世界規模で、各ドメインにわたって敵(enemy)の後続部隊を減速、混乱、分散、撃破する。

進化した敵対者(adversary)の能力と能力容量に対応するため、必要に応じて集中と分散を行いながら迅速に機動し、秘匿が容易で、分散型かつ致死性能力の高い大量の「インサイド・フォース」が必要となる。大規模作戦では、これらの発見困難な部隊が、固定された秘匿困難な作戦前哨基地に取って代わり、継続的な部隊の陣地(位置)変換(displacement)が標準となる。このような非連続的な戦場では、指揮官は長距離精密火力を一体化し、複数のドメインを横断して効果を生み出さなければならない。

米陸軍は、「インサイド・フォース」を提供することに加えて、戦略および戦域レベルで「アウトサイド・フォース(outside forces)」を提供する。この部隊は、世界中の緊要な地域・地形、戦略的難所、後方連絡線の安全を確保し、敵対者(adversary)の戦略上の側背を脅かし、敵対者(adversary)の関心(interests)を危険にさらす能力と能力容量を保持する。このようなインサイドとアウトサイドの部隊の組み合わせは、世界規模での行動範囲と、陸上での行動を基礎とする遠征能力を持つ、対等な敵対者(peer adversaries)の脅威に対処するために重要である。

将来の非線形の戦場では、非対称の手段の機会が生まれる。2035年の米陸軍は、これらの手法を用いて、相対的に優位な配置を獲得し、敵(enemy)に対し複数の作戦上のジレンマを与えることにより、戦場をさらに拡大する。米陸軍部隊は、特に区画化された地形において、強制的な侵入、襲撃、接近戦を通じて、緊要地形を奪取・保持し、資源を統制し、住民の安全を確保する。非対称の手法は、適切に活用されることにより、米統合部隊に対し、数的に優位で技術的に同等の敵(equivalent enemy)を痛烈に打撃する機会を提供する。

iii.  各ドメインの縦深で打撃する:Strike in Depth Across Domains

致死性及び非致死性のクロス・ドメイン効果を用いた縦深打撃能力は、対等な敵対者(peer adversary)に対する作戦において、これを圧倒するために不可欠である。米陸軍のマルチドメイン部隊は、陸上作戦における効果を他のドメインに拡張するために組織化、装備化され、初期段階から統合火力プロセスを一体化する一連のツールを提供する。これには、敵対者(adversary)の縦深にわたり陸・空・海の能力と交戦し、撃破するための短距離・中距離・長距離の精密火力が含まれる。

戦略上、作戦上、及び戦術上の縦深作戦は、数の優勢と複雑なA2/AD防御システムを享受する対等な敵(peer enemy)に対し不可欠である。戦術上の作戦では、接触前の敵部隊(enemy force)の戦闘有効性を低下させ、近接(戦闘)地域における相対戦闘力をより優位にする。作戦上・戦略上の縦深における阻止は、幅広い作戦効果をもたらす。

縦深作戦では、米陸軍指揮官が無人システムの固有の特性を活用して、奇襲、同時性、速度を実現する。作戦上の価値が最も高い目標、すなわち我々の部隊への攻撃が可能、もしくはその準備をしている目標(敵対者(adversary)の部隊等)を打撃するため、縦深への作戦は最大限の柔軟性を保持すべきである。機械学習によって強化された情報・監視・偵察(ISR, intelligence, surveillance and reconnaissance)の進歩は、縦深への作戦の柔軟性と即応性を向上させる。最も重要なのは、縦深への作戦が敵(enemy)の作戦計画を混乱させ、非同期化させ、これを打ち負かすために必要であるという点である。

米陸軍のクロス・ドメイン機動と縦深効果は、A2/ADシステムを突破する非対称の優位をもたらし、戦役を行って勝利するために、諸職種連合/統合部隊の機動の自由の増大を可能にする。

iv.  決心の優位性(decision dominance)の獲得し維持する:Gain and Maintain Decision Dominance

クロス・ドメインの縦深打撃の必要性と相まった戦場の拡大は、あらゆる階層の梯隊(echelon)での指揮統制の在り方の変革を必要とする ― これは、米陸軍が決心の優位性(decision dominance)と呼ぶものである。決心の優位性(decision dominance)は、指揮官が敵対者(adversaries)よりも迅速かつ効果的に感知し、理解し、決定し、行動し、評価する望ましい状態である。決心の優位性(decision dominance)は、全てのセンサーを最適なシューターと適切な指揮統制(C2)ノードに接続し、コンバージェンス、スピードとスケールの観点から見る、感じる、伝える、撃つ、動く実力(ability)を必要とする。

決心の優位性(decision dominance)を獲得するため、米陸軍は諸兵種連合の統合全ドメイン指揮統制(CJADC2, Combined Joint All-Domain Command and Control)を支援するプログラムを推進しており、システムデータの標準化、クラウドへの移行、統合コミュニティでのソフトウェアベースの実験に注力している。コンバージェンスの目標は、情報、作戦、射撃の各機能間で、用兵システム(warfighting systems)が自律的かつ相互に作用することである。人工知能と機械学習(AI/ML, artificial intelligence and machine learning)を利用したコンピューティングにより、指揮官や幕僚が、時間の要する認知分野の業務から解放され、最適化された意思決定の促進に力を注ぐことができるようになる。

米陸軍の軍団級部隊(Corps)は、諸兵種連合の統合全ドメイン指揮統制(CJADC2)の統合指揮所機能を担う最良の選択肢である。マルチドメイン軍団は統合部隊に対し、全てのドメインにわたる作戦を一体化し、同期させるための調整可能な戦域レベルの指揮所を提供する。マルチドメイン軍団は、米統合部隊のために、拡大された戦場を横断し、全ドメインの作戦および戦略攻撃を持続的に維持しつつ、クロス・ドメインの戦術的闘い(cross-domain tactical fights)を一体化する。

マルチドメイン師団と戦術部隊は、継続的かつ相互に作用するセンサーと兵器システムを装備し、複雑な地形において、技術的に強化された決定的な優位を生み出し、敵(enemy)に接近し撃破を可能とする。我々の初のマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF, Multi-Domain Task Force)で行われている開発と実験は、これらの機能をスケールに応じて扱うための分析を提供する。

v.  相手を圧倒する能力を作り出す:Create Overmatch

米陸軍は、戦場を拡大し、各ドメインにわたる縦深打撃を行うことにより、スピード、効力範囲(range)、最先端技術によるコンバージェンスを活用し、統合部隊司令官に対し、決心の優位性(decision dominance)と大規模戦闘で勝利するために必要な相手を圧倒する能力を形成する。

米陸軍部隊は、非線形の作戦を実行し、これを可能にすることにより、将来の統合部隊司令官に相手を圧倒する能力を創出する。世界規模で脅威にさらされる作戦の幾何学的な拡大と、数的に優位な敵対者(adversary)が存在する状況の中で、米陸軍部隊は戦場の縦深にわたる攻撃する実力(ability) ― そして、敵対者(adversary)の反撃に対する残存性により相手を圧倒する力を形成する。

複雑な地形の利点を生かし、米陸軍部隊は統合のセンサーとプラットフォームを一体化することにより、陸・空・海の目標を攻撃し、撃破する。敵(enemy)の抵抗の意志は、移動型の作戦攻撃配置から同時に行われる機動、射撃、及び情報の活用によって圧倒される。この地上攻撃配置の作戦上のアプローチは、非線形戦(nonlinear warfare)の強みを利用している。

vi.  大規模戦闘において勝利する:Prevail in Large-Scale Combat

2035年の米陸軍は、米統合部隊と米国民のために、その戦略的役割を果たし続ける。米陸軍の最も基本的な戦略的役割は、大規模戦闘で勝利を収める能力と能力容量である。米陸軍は、紛争の初期段階で米統合部隊の成功に大きく貢献し、唯一の可能な方法 ― すなわち近接戦闘での戦いに勝利することにより、戦勝を強固なものにする。

米陸軍部隊は、全てのドメインの効果を一体化して緊要地形を奪取・確保することにより大規模戦闘(large-scale combat)での勝利を収める。世界規模で一体化された戦役において、米陸軍部隊はパナマ運河やマラッカ海峡などの世界的な緊要地形を安全にし、国土防衛の基盤を提供する。戦役の進展に伴い、米陸軍部隊は米統合部隊の戦果を確保する。このような勝利のための能力があるからこそ、国家の政策立案者は、他の国力の要素を用いて戦略目標を達成し、有利な条件での紛争終結が可能となる。

IV.  危機(Crisis)への対応におけるマルチドメイン作戦(MDO)MDO During Crisis Response

a. 危機への対応における将来の課題:The Future Challenges of Crisis Response

危機は、競争の連続体(competition continuum)の最上位に位置する ― 危機は、競争と紛争の間の「橋」であり、時に「導火線」となる。今後数年間、米陸軍は米統合部隊の一部として、この競争の連続体(competition continuum)の範囲で挑戦を受け続けることとなる。我々が統合部隊として、信頼できる抑止の選択肢を提示できず、悪意のある行動に対してコストを課す実力(ability)を示すことができなければ、敵対者(adversaries)は、我々が武力紛争を決意する閾値を超えない空間を自由に利用し続ける。敵対者(adversaries)は、戦わずに戦略的到達目標を達成しようとするか、あるいは目標を迅速に奪取し、既成事実化を図るであろう。米国の政策立案者や各戦闘軍指揮官(CCDRs)の視点では、これらの攻撃は、「米国の対応」もしくは「新たな現状の黙認」のいずれかの判断が求められる、急速に発展する明らかな危機である。米陸軍のマルチドメイン作戦(MDO)コンセプトは、世界規模で一体化し急速に発展する危機において、統合部隊司令官や国家政策立案者に対し、付加的な、信頼性の高い選択肢を提供し、同時に、同盟・パートナー国に対する保証(assurance)を強化する。

b. 危機における米陸軍マルチドメイン作戦(MDO)の付加価値:The Added Value of Army MDO During Crisis

マルチドメイン陸軍は、危機における重大な統合のギャップ(joint gap)を埋め、各戦闘軍指揮官(CCDRs)に以下の幅広い選択肢を提供する。

i.  すべてのドメインでの接触を維持する:Maintain Contact in All Domains

米陸軍は、統合ターゲティングと状況認識の強化のための継続的な監視と偵察を行う能力を提供する。これらの能力は、各戦闘軍指揮官(CCDRs)に、競争における接触と、危機における接触の維持を与える「マルチドメイン・戦域スクリーン(screen)部隊」を提供する。これらの部隊により、米統合部隊司令官は敵対者(adversary)の行動 ― 全てのドメインにおいて ―を先に察知し、敵対者(adversary)が目標への行動を開始する前に、敵対者(adversary)の攻撃を無効化する、もしくは阻止する行動を可能にする。

米陸軍は、マルチドメインの実験の中心組織、マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF, Multi-Domain Task Force)を開発済みである。MDTF-1は、ワシントン州ルイス・マッコード統合基地に司令部を置き、米太平洋陸軍に所属し、各戦闘軍指揮官(CCDRs)にマルチドメイン能力を提供する初の部隊である。MDTFの全ドメイン作戦センター(ADOC, All-Domain Operations Center)が現在創設中であり、全ドメインにおける敵対者(adversary)との接触を24時間体制で監視可能となる。MDTFについて、次ページで詳細を説明する。

ii.  敵対者(adversary)の利益にリスクを与える:Hold Adversary Interests at Risk

マルチドメイン部隊は、正しく配置され、その攻撃性を示威する時、潜在的な敵対者(adversaries)に対し、敵対者(adversaries)の関心はリスクにさらされる、という明確なシグナルを送る。相手の関心をリスクにさらす実力(ability)は、通常抑止の本質である。米陸軍は、武力を用いて目標を達成しようとする敵対者(adversaries)のリスク計算を根本的に変化させる。世界規模で一体化される将来のシナリオでは、ネットワーク化された米陸軍部隊が、異なる地域や各ドメインにわたる水平方向の(事態の)エスカレーションを警告することにより、敵対者(adversaries)は行動を思いとどめる。

iii.  悪意ある行動にコストを課す:Impose Costs on Malign Actions

米国、同盟国及びパートナー国の総力を結集しても敵対者(adversaries)を抑止できない場合、前方に配置されたマルチドメイン能力と陸軍増派部隊との迅速な展開のバランスをとることにより、悪意のある行動に対しコストを課すという米国の決意を示すことができる。スティムソン・センターの短期戦争研究などの歴史的分析によれば、軍隊の動的な戦力運用は、競争相手を効果的に抑圧し、陸上部隊は特にほぼ対等な行為主体(near-peer actors)に対して効果的であることを示している。米陸軍は危機に対応するため、全てのドメインにわたって致死性及び非致死性の選択肢を提供する。地上部隊の運用は、敵味方を問わず(to friend and foe alike)、米国は危険を厭わず最善を尽くす ― 最も重要な時点において ― という明確なメッセージを送ることとなる。信頼できる地上部隊によるコストの賦課は、敵対者(adversary)の意思決定分析を複雑にし、たとえ限定目標への攻撃であっても、エスカレーションのリスクを再考させる。

マルチドメイン・タスク・フォース

近代化の中心組織であるMDTFは、全ドメインの機動における実験(experimentation)と試験(testing)を通じ、変化を加速させる。MDTFは、米統合部隊の新たな戦争方法の開発を支援し、統合全ドメイン作戦に向けた国防総省の変革を促す。

戦域レベルの機動部隊であるMDTFは、全てのドメインにおける敵対者(adversary)のA2/ADネットワークに対して、全てのドメインにある精密効果と精密射撃を同期させることにより、統合部隊が、作戦計画で示された任務を遂行することが可能にする。MDTFは、統合における行動の自由を可能にする。

MDTFは(作戦レベルから戦域戦略レベルまで)拡張可能であり、統合部隊司令官の要求に応じたカスタマイズが可能(tailorable)である。MDTFは、統合による対A2/AD能力の計画、一体化、統制、追跡、及びその効果の評価する実力(ability)を被支援司令官に提供する。

この任務編成の例は、計画上のMDTFの能力を示している。

各MDTFは、戦闘軍指揮官(CCDR)のニーズに応じてカスタマイズされる。

・競争において、MDTFは敵対者(adversaries)との接触を図り、これを維持することで、危機や紛争への迅速な移行を支援する。MDTFは、必要な権限を保有し、全てのドメインで機動することにより、敵対者(adversary)を拒否し、遅滞させ、弱体化させ、混乱させる上で相対的に優位な位置を特定し、これを確保することができる。

・危機において、MDTFは敵対者(adversaries)を抑止し、戦闘軍指揮官(CCDR)に柔軟な対応策を提供することで環境を形成する。MDTFは、競争において確保した優位な位置から、ノン・キネティック及びキネティックの組み合わせの機動を行い、友好国と共に我々の決意(friendly resolve)を示し、コストを賦課し、行動を変化させ、有利な条件で危機をエスカレートさせずに、競争の状態へ戻す。

紛争時において、MDTFは敵対者(adversary)のA2/ADネットワークを無力化し、統合における行動の自由を可能にする。MDTFは、競争において条件を作為しつつ、同期化されたノン・キネティック及びキネティックの組み合わせの効果を用いて、A2/AD能力の混乱、撃破、破壊を行う。

iv.  同盟・パートナー国に対する保証の強化:Enhance Assurance of Allies and Partners

危機において、地上にある米陸軍部隊がコミットメントを表明し、同盟・パートナー国に保証を与え、敵対者(adversary)の侵略に直面した際のそれらの国々の決意を強める。米陸軍部隊は、ホスト国とのアクセスおよびプレゼンスに関する合意に従い配置される。長年のパートナーに対しては、マルチドメイン能力が、彼らが必要とする永続的なプレゼンスと、地上部隊のみが提供できる保証を提供する。新興のパートナーに対しては、関係を構築して、将来のアクセスとプレゼンスのための条件を作為し、米陸軍は戦闘軍(CCMD)及び国防総省のリーダーシップとの調整しながら、努力を続ける。

v.  敵対者の接近阻止・領域拒否(A2/AD)ネットワーク内部で存続する:Persist Inside Adversary A2/AD Networks

米陸軍は、存続性、費用対効果、残存性に優れた米陸軍部隊を各戦闘軍指揮官(CCDRs)に提供する。技術的に結合し、地理的に分散する米陸軍部隊は、あらゆる土地 ― 群島であっても大陸であっても ― に展開し、敵対者(adversary)が行う感知(sensing)とターゲティングに対し、緊要な作戦上の問題を与える。平たく言えば、米陸軍部隊は消す(kill)ことが難しいのである。

能力を備えたインサイド・フォースの重要な特性は、復元力(resiliency)である。復元力(resiliency)は、強化された基地の範囲を超えて、相互に支援する多くの特性をもたらす。陸上部隊の復元力(resiliency)は、移動性(mobility)、掩護・掩蔽(cover)、隠蔽、及び欺騙の組み合わせである。移動性(mobility)により、陸上部隊は軽快かつ迅速に作戦を遂行し、敵対者(adversary)のA2/ADゾーン内で確立された地上戦力ネットワーク(landpower network)のノードに沿って位置を変える。掩護・掩蔽は、敵対者(adversary)の攻撃に対する基地等の強化が含まれるが、これに加え、物理的、電子的及びサイバーの手段によって発見されないように隠蔽する部隊の実力(ability)も、増強しなくてはならない。欺騙は、電子的な詭謀(spoofing)と物理的なおとり(decoys)の組み合わせにより、敵対者(adversary)に偽の標的を提示する。これら全ての特性は、インサイド・フォースの復元力(resiliency)を高め、統合部隊司令官に選択肢を提供する上で重要である。

米陸軍は、脅威と戦域に合わせた拡張とカスタマイズが可能な部隊を提供する。そのような部隊は、残存性と予測不可能なことを確実なものとするための代替(予備)及び補足の配置(陣地)を備え、高い移動性(highly mobile)を保持する。そのためには、動的な態勢の取り組み ― 即時始動(turn-key)あるいは温態始動(warm start)の場所の確保が必要であり、従来の基地や恒久的設備にかかるコストやホスト国への負担をかけることなく、機動の機会を提供するものである。この態勢は、より多様で、分散し、標的にするのが難しいインフラにおける、発見困難な前方能力を担い、最大限に活用される。

米陸軍は、敵対者(adversary)の攻撃の直面にも存続する ― これには、敵対者(adversary)の化学・生物・放射性物質・核(CBRN, chemical, biological, radiological, or nuclear)兵器の使用が含まれる。敵対者(adversaries)は、彼らの致命的な利益や政治体制の完全性が危険にさらされる時、CBRN 兵器の使用をためらうことはない。敵対者(adversaries)は、将来の戦場でCBRN能力を発展及び利用する傾向を示しており、これには「戦術(核兵器)」もしくは非戦略核兵器(NSNW, Non-Strategic Nuclear Weapons)、第4世代神経剤(FGA, Fourth Generation Agents)、パンデミックを引き起こす兵器化された生物剤などが含まれる。米陸軍部隊は、装備、訓練及び部隊の行動準備を行い、CBRN戦場の状況下において戦闘及び後方支援作戦(sustainment operations)を遂行しなければならない。米陸軍の編成(部隊)は、全ての用兵機能(warfighting functions)におけるCBRN防護計画策定の考慮事項の一体化を継続して行う。現在及び新たなCBRNの脅威に対する即応を強化することにより、戦術及び作戦レベルの編成(部隊)が、将来の戦場で戦い、残存し、勝利することができる。

vi.  紛争への移行を促進する:Facilitate Transition to Conflict

危機に際し、抑止、デスカレーション、コスト賦課が失敗した場合、マルチドメイン部隊は、統合機動を可能にし、敵対者(adversary)を倒すための条件を作為し、紛争への迅速な移行を促進する。米陸軍は、長距離火力、防護、サイバー、電子戦(EW)及びその他の能力をカスタマイズが可能な形で組み合わせて、統合機動を可能にする。地上部隊は、海上・航空・陸上の部隊が活動するために不可欠な「足がかり(footholds)」を確立する。これらの編成と能力は、戦闘軍(CCMD)の統合ターゲティングと統合プロセスに必須の要素であり、競争から紛争まで、必要に応じて、追加の戦域戦略効果を提供する。マルチドメインの軍団、師団、及びその他の梯隊の司令部によって、マルチドメイン能力の計画、一体化、記録、評価、指揮及び統制が可能となる。

vii.  危機における後方支援:Sustainment During Crisis

米陸軍の後方支援(sustainment)は、選択肢、作戦範囲の拡大、耐久性、行動の自由を提供し、統合部隊司令官の迅速な紛争への移行や、競争へエスカレートさせないことを可能にする。将来のマルチドメイン作戦(MDO)部隊は、ホスト国支援、残存を可能にする軽量電源、米陸軍事前集積備蓄(APS, Army Prepositioned Stocks)の一部としての分散された物資に依存することとなる。このような小型で移動性があり、カスタマイズが可能な物資や弾薬の貯蔵施設は、統合部隊司令官の柔軟な対応の選択を可能にする。

V.  競争(Competition)におけるマルチドメイン作戦(MDO):MDO During Competition

競争において、マルチドメイン陸軍は、相対的な位置上及び能力上の優位を追求し、調整された戦力態勢(calibrated force posture)を確保 ― すなわち、統合部隊及び外交の努力を支援し、これを形成するための適切な能力を適切な場所に配置することによって、国防総省のための条件を作為する。位置上の優位は、主に同盟・パートナー国との世界規模の地上戦力ネットワーク(global landpower network)の拡大によって得られる。能力上の優位は、革新的なスピードでマルチドメイン作戦(MDO)を支援するための能力、戦力構造(部隊編制)、ドクトリンと訓練の開発を通じて得られる。これらの優位の組み合わせは、確実な戦力投射の示威とともに、軍事的抑止力の信頼性を高め、政策立案者が外交、経済、情報の手段を用いて紛争を未然に防止することを可能にする。

米陸軍は、同盟・パートナー国との包括的な地上戦力ネットワーク(landpower network)を通じて、国防総省への安全保障協力の基盤の提供を続ける。復元性(resilient)のある、ネットワーク化された分散型の後方連絡線を開発し、戦闘のための編成(部隊編制)の致死性(lethality)と移動性(mobility)を高めることにより、我々は戦略的な戦力を世界規模で迅速に投射する実力(ability)を示し続ける。主要なマルチドメイン能力が調整された態勢は、競争においては環境を作為し、危機においてはエスカレーションを抑止し、米統合部隊が受け入れ可能で、紛争における最初の会戦(first battles)からの勝利を獲得する条件を決定する。競争においては、この「インサイド・フォース」が敵対者(adversary)のコストとリスクの閾値を大幅に増加させる一方、直接的、間接的な競争における同盟・パートナー国を強化する。

マルチドメイン陸軍は、無数の以下の活動を通じて、競争の中で米統合部隊を強化する。

a. 地上戦力ネットワークを拡大する:Expand the Landpower Network

競争において、米陸軍は同盟・パートナー国との強力なネットワークを培うことにより、相対的な位置上の優位を持続的に構築する。この世界規模の地上戦力ネットワーク(Global Landpower Network)は、国防総省の競争の基盤であり、統合および政府全体の戦略的なエンゲージメントのための入口(inroad)と機動のための空間を創出する。

米陸軍は、この重要なネットワークを維持・拡大するための独自の資格を保持している。同盟・パートナー国との関係は、他に類を見ない戦略上・競争上の優位であり、我々の競争相手を凌駕する。パートナー国の軍隊は、その高官も含めて、主に陸軍種がその中心である。インド太平洋地域では、29名の軍司令官のうち24名が陸軍の将校であり、NATO加盟の30カ国のうち22カ国が、各国の陸軍から軍司令官を派遣している。このような専門家としての親近感を通じ、米陸軍は、政府全体のアプローチで米国の省庁間の目標を支援する上で、大きな役割を果たすことができる。

米陸軍同盟・パートナー国戦略文書(ASAP, The Army Strategy for Allies and Partners、及び調整された戦力態勢(Calibrated Force Posture)計画は、国防総省および戦闘軍(CCMD)の優先事項と整合性があり、調整が行われている。これらの文書は、同盟・パートナー国との関係を構築し、統合もしくは外交努力の条件を作為するロードマップを提供する。

このような持続的かつ計画的なアプローチは、多くの(我々と)同じパートナー国から影響力を獲得しようとする敵対者(adversaries)にとって、複数のジレンマをもたらす。しかしながら米陸軍には、専門意識、価値観、そして安全保障協力活動の幅広さという決定的な優位がある。これらの安全保障協力活動の概要は以下の通りである。

軍事及び主要指導者とのエンゲージメント(KLEs, Key Leader Engagements:米陸軍の関係(構築)は、高官とのエンゲージメントから始まる。KLEsは、関係を前進させ、パートナーシップの障害を打破し、戦略的な利益の活用を促すものである。KLEsはそのための「最初のツール」である。2020年の一年間でも、米陸軍長官と米陸軍参謀総長は、米陸軍の取り組みを世界規模で促進するため、海外のカウンターパートと100回近いエンゲージメントを行った。米陸軍構成部隊司令官は、安全保障協力を改善するために必要な、持続的なエンゲージメントの提供を続ける。

教育と訓練:米陸軍は、世界中のパートナー及び同盟国陸軍の将来のリーダーの育成を支援している。国際軍事教育訓練(IMET, International Military Education and Training)や国際専門軍事教育(IPME, International Professional Military Education)等の様々なプログラムを活用して、米陸軍は協調関係を築き、相互運用性を高めている。これらのプログラムは計り知れない広がりを持つ:2019年、米陸軍は組織全体内の様々なコースで7,100人以上の留学生を訓練した。そのうち、1,200人は専門軍事教育コースの海外の将校であった。米陸軍は、国防総省の同盟・パートナーシップ開発ガイダンス(GDAP, Guidance for the Development of Alliances and Partnerships)に基づき、今後5年間で参加パートナー国の受け入れ枠を50%増やすための、コースの配当を優先する。

対外有償援助(FMS, Foreign Military Sales)による安全保障支援米陸軍は、タイトル22プログラムを最大限に活用し、米国の技術や用兵装備(warfighting equipment)の取得を通じ相互運用性を高めている。米陸軍と統合部隊が敵対者(adversaries)を凌駕しようとする時、同時に我々のパートナーをも置き去りにしかねない。米陸軍は、特にレガシー・プラットフォームとの、ある程度の相互運用性の維持を確保しなければならない。米陸軍参謀本部(HQDA, Headquarters, Department of the Army)は、この点について、米陸軍構成部隊司令部(ASCCs, Army Service Component Commands)、国防長官室(OSD, the Office of the Secretary of Defense)、及び統合参謀本部と連携を続ける。

助言と支援:米陸軍は、特殊部隊を通じた世界レベルの「助言と支援」能力を常に維持してきた。この重要な能力を構築しつつ、米陸軍は同盟・パートナー国に従来の(通常戦力による)助言・支援能力を提供するため、安全保障部隊支援旅団(SFABs, Security Force Assistance Brigades)を創設した。SFABは、大隊や旅団規模の編成に重点を置き、より大規模に、これらの任務を遂行する実力(ability)を高める。さらに、州兵部隊のパートナーシップ・プログラム(SPP, State Partnership Program)は、州兵部隊を世界の84カ国以上と連携し、陸軍の態勢目標を達成するために不可欠な、陸軍相互の習慣的関係を構築している。

b. 能力の効力範囲(range)の誇示する:Demonstrate Range of Capabilities

米陸軍が戦役を遂行するために必要な、即応の形態としての戦略的な地上戦力(landpower)の脅威は、競争や危機における勝利を求め、長期にわたる紛争を避ける敵対者(adversaries)にとって、重要な抑止力であり続ける。米陸軍は、新たなアプローチを用いて、設定された戦域及び全世界に対する確実な戦力投射と動的戦力運用を通じた、我々の能力の効力範囲(range)を示し続けることが不可欠である。

確実な戦力投射:危機や紛争において断固たる対応をとるためには、競争において戦域の後方支援(sustainment)基盤を構築することが重要である。米陸軍と統合部隊の後方支援(sustainment)機能は、複数のドメインで持続的に脅威を受ける。米陸軍は、指揮統制(C2)ネットワークインフラ、米陸軍事前集積備蓄(APS)、後方支援(sustainment)物資を収容する、複数の補足の即時始動ノードで構成される、復元性(resilient)のある戦域アーキテクチャを開発し、基地から港、壕に至るまで、戦闘力を迅速に投射し、これを維持しなければならない。これらの施設は、好意的なパートナーや同盟国によってホストされており、敵(enemy)のA2/ADエリア内における米統合部隊の増派と、復元性(resilient)の維持を可能にする。米陸軍は、競争から紛争に至るまで、統合部隊司令官の作戦範囲、耐久性、行動の自由を拡張する5つの努力を進める。

1) 復元性(resilient)のある一体化された後方支援(sustainment)のミッション・コマンド:兵站における意思決定の優位を達成し、権限と指揮関係を洗練し、防護された兵站情報のアクセスを提供し、分断・分散環境での効果的な作戦を促進し、予測型・プッシュ型の兵站を開発する。

2) 迅速な戦力投射:戦略的な部隊展開を防護し、米統合部隊による迅速な運用を可能にし、脅威を受ける中での本土から運用地点までの部隊展開を容易にし、迅速かつ復元性(resilient)ある後方連絡線(LOCs, lines of communication)を提示し、世界規模の戦力態勢を強化し、戦域間相互と戦域内との能力移行を最大化する。

3) 戦域の設定:前方態勢の調整、米陸軍事前集積備蓄(APS)を近代化し、パートナーの能力容量を構築し、相互運用性を向上する。

4) 産業基盤の近代化:要求に対応する先進的な製造を保持し、近代化され、連携した産業基盤であり、戦時中の要求を満たすための米国の請負業者の拡大、米国の請負業者の海外資源への依存度の低減、サプライチェーン・セキュリティを含む。

5) 分散型作戦のための後方支援(sustainment:パートナー国との協力による動的な前方プレゼンスを確立・維持し、需要を減らし、分散型作戦のための小型プラットフォームで移動性(mobility)を増強し、後方連絡線(LOC)を防護し、迅速に回復して移動する。

動的戦力運用(DFE, Dynamic Force Employment:動的戦力運用の革新的なアプローチは、大規模なディフェンダー演習(DEFENDER)のシリーズから、より個別的な能力の示威や敵対者(adversary)の関心地域内での移動まで、多岐にわたる。DFEは、競争における軍事的・政治的目標を支援するために、米陸軍が提供できる能力の効力範囲(range)を示すものである。

合同演習は、陸軍、統合部隊、多国籍の軍隊の訓練を強化し、統合全ドメイン作戦(JADO)の相互運用性を高めるだけでなく、地上戦力(land power)を迅速かつ規模に応じて運用する実力(ability)を示す ― 統合部隊や政府の高官が決意を示す重要なツールである。また、これらの演習は、あらゆる施設から世界のあらゆる場所へ迅速に展開し、集結する実力(ability)をも示す。そのためには、各戦役計画(GCPs, Global Campaign Plans)を支援するために米陸軍部隊を計画的に配置し、地域別戦闘軍(GCC, geographic combatant command)の境界を越えて行動し、クロス・ドメインの適用による情報・拒否・欺騙作戦の一体化が必要である。

マルチドメイン能力の個別の行動は、各戦役計画(GCPs)や戦闘軍司令部(CCMD)の計画を支援するための競争空間を形成する上で重要である。競争において機動し、敵対者(adversary)の関心地域内で一時的な示威行動を行うことにより、同盟国に保証を与え、悪意のある行動を抑止することができる。「インサイド・フォース」は、拡大された地上戦力ネットワーク(landpower network)によって与えられた、調整された動的アクセスと態勢を通じて、これらの多くを提供する。

c. 新たな能力を開発する:Develop New Capabilities

マルチドメイン陸軍は、新たな編成と新たな能力を開発・示威し、リーダーと兵士の能力を向上させることで、競争において能力上の優位を確立する。米陸軍は、敵対者(adversaries)に対する相対的な能力上及び位置上の優位を達成するため、重要な変革の取り組みをすでに開始している。次の章では、これらの取り組みの概要を説明する。

VI.  変化:マルチドメイン作戦(MDO)の目標点(Aimpoint)への到達:Change: Getting to the MDO Aimpoint:

2035年のマルチドメイン陸軍に必要な能力と編成を構築することが、目標点である。以下は、現在から2028年までの暫定的な変化、すなわち「中間点」を通じて、米陸軍が如何にして目標点を目指すかについての全般的な説明である。

1) 継続的な分析(continuum of analysisを実施し、総合的なウォーゲーム、実験、シナリオ開発を通じて、マルチドメイン作戦(MDO)のコンセプトを成熟させる。この反復的なプロセスにより、マルチドメイン作戦(MDO)コンセプトが能力開発と並行して進化し、統合用兵コンセプト(Joint Warfighting Concept)との整合性を保つことができる。

2) 位置上の優位(positional advantageを獲得し、統合部隊司令官の要求を満たす適切な部隊を適切なタイミングで、適切な場所に配置する。この広範な取り組みには、有能な部隊と米陸軍事前集積備蓄(APS)装備が利用可能となった時点で、それらの戦域を支援するために展開することにより、戦域毎に調整された戦力態勢(calibrated force posture)を実施することが含まれる。機密扱いの本文書の附属書Aには、各戦域の調整された戦力態勢(calibrated force posture)の実施計画の概要が記載されている。

3) 能力上の優位(capability advantageを開発し、相手を圧倒する能力を維持し、マルチドメイン作戦(MDO)変革を可能にする。まずは何よりも、最高の人材 ― すなわち我々の人(people)を確保することである。この取り組みに不可欠なのは、米陸軍の6つの近代化優先事項を実現することである。地域別調整即応性および近代化モデル(Regional Aligned Readiness and Modernization Model: ReARMM)は、現在の需要と近代化のバランスをとるための部隊のライフサイクル管理モデルを提供する。

a. 米陸軍継続分析(ACA, Army Continuum of Analysis):Army Continuum of Analysis (ACA)

マルチドメイン作戦(MDO)コンセプトは、継続的な分析によって支えられる。防衛計画策定シナリオ(DPS, Defense Planning Scenarios)と、これに対応する分析は、マルチドメイン作戦(MDO)の作戦コンセプトで議論されている「インサイド・フォース」の必要性を示している。

分析は、マルチドメイン作戦(MDO)コンセプトの策定と意思決定に影響を与える進化の重要な部分である。分析作業は、米陸軍内部、米陸軍主催の統合参謀本部の参加、または統合参謀本部主催の米陸軍参加のいずれであっても、マルチドメイン作戦(MDO)を形成し、試験を行い、これを検証するるつぼ(crucible)となった。

統合作戦環境が用兵ドメイン(warfighting domains)そして地理的に拡大するにつれ、リスクと機会に関する潜在的な意思決定を生成、分析、評価するために使用される戦闘シナリオも進化しなければならない。シナリオデザインは、戦力運用、戦力開発、戦力デザインの時間軸を明示的に結びつけるものでなければならない。これにより、真に斬新な戦争遂行方法の開発と評価が可能になる。米陸軍継続分析(ACA)は、3つの時間軸に対する米陸軍分析コミュニティの作業を優先している。米陸軍は、米陸軍継続分析(ACA)のバックボーンとして、世界規模のほぼ対等なシナリオ(Global Near-Peer Scenario)を作成し、米陸軍高官の意思決定のための結合した参照空間(cohesive reference space)を作り出すことを目指している。この世界規模のシナリオは、4つの重要な環境(context)において、既存のシナリオを改善するものである。

地理的文脈(Geographic Context:米陸軍のシナリオは、世界規模の視点で作られる。対等な敵対者(peer adversaries)は、世界規模の争点(pressure points)を持つ世界規模の主体である。敵対者(adversaries)は、適切に引かれた戦闘軍(CCMD)の境界線には従わない。シナリオは、異なる地理的環境では異なる勝利の理論が必要であることも認識している。

時間的文脈Temporal Context:敵対者(adversary)の国家は、数年単位ではなく数十年単位で長期的な戦略的計画策定を遂行できる政治構造を保持している。米陸軍が適切かつ効果的であり続けるためには、時間的環境を拡大し、2028年から2035年、そしてそれ以降に至るまでの一貫した知的情勢(intellectual picture)を追求する必要がある。

戦略的文脈(Strategic Context:世界規模のほぼ対等なシナリオは、競争、危機、紛争などの戦略的環境にまたがり、政府全体への影響を十分に考慮した上で作られる。

制度的文脈(Institutional Context:米陸軍は、様々なプロセスを合流させて進化していくが、同時にドクトリンの進化やコンセプトの開発も行っている。米陸軍のシナリオは、国防総省の制度的な投資と、意思決定プロセスを形成する分析を促進する上で、十分な体力を備えている。

b. 位置上の優位の獲得:Gaining Positional Advantage

調整された戦力態勢(calibrated force posture)は、21世紀の前方プレゼンスに対する、革新的なアプローチを提示する。米陸軍の調整された態勢の実現に向けた取り組みは、2020年、総合的な戦略文書「インド太平洋における地上戦力(land power)の変革」に始まり、現在、米陸軍は他の地域別戦闘軍(geographic CCMD)と協調して計画を策定している。

統合ウォーゲームにより得られた知見

– 米陸軍のマルチドメイン作戦(MDO)コンセプトは、JWC(統合用兵コンセプト)の策定に大きく貢献した。

– マルチドメイン作戦(MDO)の大部分は、すでに統合ウォーゲームで検証されている。

– これらのウォーゲームの多くは、紛争開始前に配置される「インサイド・フォース」の有用性を明らかにしている。

– 米陸軍のインサイド・フォースは、危機や紛争において、タイムリーな統合火力と復元性(resilient)のある指揮統制を可能にする。

– 競争の間、前方プレゼンスは同盟・パートナー国に決意を示す。

– 米陸軍の能力は、地理的に分散した効果を複数のドメインにおいて収斂(converge)し、勝利をもたらす。

*注:本文書の機密版では、これらの知見について、より詳細に説明している。

 

大規模な地上戦のための永続的な能力は、米欧州軍(EUCOM)や米中央軍(CENTCOM)のような先進的戦域における前方態勢の重要な部分であり続けるが、調整された戦力態勢(CPF)は、マルチドメイン部隊の強化された技術的能力を活用し、より少ないコストと小さな展開規模(footprint)で各戦闘軍指揮官(CCDRs)が求める効果を達成する。

前述のとおり、調整された戦力態勢(CPF)はプレゼンスを恒久的に行うものではなく(not permanent)、持続的(enduring)に行う ― すなわち、割り当てられた部隊、ローテーション部隊、主要な能力へのアクセスの組み合わせによるものである。米インド太平洋軍(INDOPACOM)では、作戦上、さらには戦略上の範囲で、全てのドメインの標的と交戦可能な、比較的軽量のマルチドメイン部隊が、第一列島線の一部に事前配置され、効果的な統連合防衛の要として機能する。第一列島線における統連合能力は、対艦ミサイル、対空ミサイル、地対地ミサイルを組み合わせ、敵対者(adversary)の部隊に早期損害の脅威を与えることができる。これらの作戦は、地域パートナー国と協力して遂行されるため、費用の負担がより軽減される。

c. 能力上の優位の獲得:Gaining Capability Advantage

i.  米陸軍近代化優先事項(Big6):Army Modernization Priorities (Big 6)

2018年に米陸軍ビジョン文書(Army Vision)と米陸軍戦略文書(Army Strategy)が発表されて以来、我々は長距離精密火力、次世代戦闘車両、将来型垂直離着陸機、ネットワーク、防空・ミサイル防衛、兵士の致死性(lethality)という6つの幅広い優先事項にわたって、物的資源(materiel)の近代化を追求してきた。米国議会、国防産業、そして海外のパートナー国は、我々の焦点が不変であることを確信している。我々が如何に戦い、何と共に戦い、そして我々が何者であるかについて、これを近代化する計画的で同期したアプローチは、2035年のマルチドメイン陸軍を構築するための、後戻りの無い勢いを生み出す。

6つの近代化の優先事項は、マルチドメイン陸軍のための物的資源の開発を引き続き推進する。全体は部分の総和よりも大きい ― これらの能力の組み合わせにより、米陸軍はマルチドメイン作戦(MDO)を実行することができる。

  1. 長距離精密火力により、マルチドメイン部隊は敵(enemy)のA2/AD能力を突破して無力化し、あらゆる梯隊において、軍事的圧倒を確保することができる。
  2. 次世代戦闘車両は、米陸軍の火力、スピード、残存性を向上させ、戦場において優位な位置に機動し、ロボット車両とチームを組むことを可能にする。
  3. 将来型垂直離着陸機プラットフォームとその技術は、米陸軍航空機の機動性、耐久性、致死性(lethality)、残存性を向上 ― ほぼ対等な競争相手(near-peer competitors)に対する作戦上の範囲と有効性を高める。
  4. 米陸軍ネットワークの近代化は、広大な地形に分散した部隊を指揮統制し、複数のドメインからの効果を収束(converge)させ、統合全ドメイン作戦(JADO)における共通状況把握(common situational understanding)を維持するために必要である。
  5. 防空・ミサイル防衛能力は、有人・無人の航空・ミサイルの脅威から米統合部隊、同盟・パートナー国を守る。
  6. 兵士の致死性(lethalityは、個々の兵士が新たな状況を素早く理解して、対応する能力を高める ― 致死性、正確性(精度)、残存性を向上させる。

米陸軍優先研究分野

 革新的エネルギー:小型化による発電量の増加

 高周波(RF)電子材料:ダイヤモンド材料の活用による指向性エネルギーの実現

 量子研究:センシングとコミュニケーションを最適化による比類のないセキュリティの実現

 極超音速飛行:エアロダイナミクス、材料、プロセス

 人工知能:新たな脅威に対応する速度と敏捷性の向上

 自律型制御:プラットフォームの移動性(mobility)・路外走行性

 合成生物学:反応性皮膚、スペクトル選択性材料、装備等に対する特性

 デザイン素材:将来の脅威に対する相手を圧倒する力の保護

 付加的製造:射程距離と致死性が向上した次世代弾

 

それぞれの近代化の優先事項において、米陸軍は一連の具体的なシステムと能力を積極的に開発している。米陸軍の近代化事業は、米陸軍将来コマンド(AFC, Army Futures Command)が主導し、総合的な習得キャンペーンを実施している。米陸軍は、用兵コンセプト(warfighting concepts)から情報を得て、そのコンセプトに影響を与える反復的かつ迅速な開発を通じて、成功したプログラムを強化し、米統合部隊に先進的な能力を提供する立場にある。

米陸軍は、長期的な研究への深重な投資の必要性を理解している。米陸軍は、科学技術(S&T, science and technology)の解決策を提供するため、発見、革新、移行の原則に根ざした、関連性のある変革的な研究を行っている。米陸軍の科学技術は、基礎研究と応用研究に重点的に投資している。米陸軍は研究所を近代化に向けて調整し、テキサスA&Mやカーネギーメロンなどの研究大学と部外パートナーシップ契約を結んでいる。米陸軍の科学技術は、脅威に基づき、コンセプトを重視し、能力に基づく研究を通じて、中長期的な能力に重点を置いている。

米陸軍はまた、統連合パートナーとの実験と開発の共同キャンペーンにも貢献している。米陸軍と米空軍は、米空軍の航空戦闘管理システム(ABMS, Air Battle Management System)と米陸軍のプロジェクト・コンバージェンス(Project Convergence)を通じて、諸兵種連合の統合全ドメイン指揮統制(CJADC2, Combined Joint All-Domain Command and Control)の追求を先導しており、複数年にわたる習得キャンペーンを構成している。プロジェクト・コンバージェンスは、科学者と現場の兵士がチームを組んで行う実験プログラムである。プロジェクト・コンバージェンスにはすべての軍種が参加しており、今後は同盟・パートナー国も参加予定である。米陸軍はさらに、マルチドメイン作戦(MDO)の相互運用性を効果的に確保するため、5つの優先分野において英国陸軍と協力している。

ii.  地域別調整即応性および近代化モデル(ReARMM):現在の需要を満たし変革する:ReARMM: Transforming While Meeting Current Demand

米陸軍は、その変革のみに没頭することはできず(cannot transform in a vacuum)、統合部隊司令官の作戦要求に応え続けなければならない。米陸軍の地域別調整即応性および近代化モデル(ReARMM, Regional Aligned Readiness and Modernization Model)は、近代化され、高度な訓練を受けた即戦力をバランスよく供給するための部隊ライフサイクルモデルである。

作戦テンポ(OPTEMPO, operational tempo)の加速と即応性の能力容量の低下は、紛争に備えた部隊を提供する米陸軍の実力(ability)を侵食する。作戦テンポ(OPTEMPO)の争いの中で、縮小した部隊規模で競争を支援する部隊を計画的に近代化する時間と空間はさらに減少していく。また、兵士や装備の使用頻度が高くなることにより、国家防衛戦略(National Defense Strategy)で定められた将来の課題に効果的に対処するための新たなプラットフォーム、ドクトリン、部隊編成の開発が阻害され、即応能力が消費される。

地域別調整即応性および近代化モデル(ReARMM)は、作戦テンポ(OPTEMPO)の問題に対処しながら、米陸軍が革新的な近代化 ― 既存のプラットフォームの段階的な能力向上 ― から、変革を達成し将来の課題に対応する能力の世代を超えた革命的な近代化へと移行するための道筋を提供する。

地域別調整即応性および近代化モデル(ReARMM)は、米陸軍部隊を主要な地域や機能に合わせて配置し、即応性を高め、マルチドメイン対応の部隊へと近代化し、人材管理を最大限に行いながら、予測可能な方法で各戦闘軍指揮官(CCDRs)に部隊を提供する。地域別調整即応性および近代化モデル(ReARMM)は、危機に対応し、紛争に勝利するための態勢を整えつつ、日々の競争の要求に対応するための米陸軍の構造である。

地域別調整即応性および近代化モデル(ReARMM)は、部隊の習慣的な連携を作り出すことで、調整された戦力態勢(calibrated force posture)の取り組みを強化する。この連携により、戦闘軍(CCMD)、統合部隊、同盟・パートナー国の軍隊との組織的な知識と信頼を深め、計画、演習、関係の理解が促進する。習慣的な連携は、軍事作戦の範囲に対応できる、訓練された部隊を提供することになるが、戦闘軍指揮官(CCDR)の要求に対しては、要求に応じて任務を調整した部隊を提供する。さらに地域別調整即応性および近代化モデル(ReARMM)では、各師団の部隊タイプ(ストライカー、軽装甲及び機甲)を標準化することで、戦力投射能力の向上を目指している。これにより、一時的なローテーションを体系化し、動的戦力運用の柔軟性を高めることで、長期的な予測可能性を提供する。最後に、このモデルは、適切な能力を適切な戦闘軍(CCMD)に配置することで、世界規模で一体化された作戦への支援を向上させる。

iii.  マルチドメインに対応する組織の構築:Aligning Multi-Domain Capable Organization Now

我々の目標を達成するためには、現在の部隊の人員、訓練、装備、組織のあり方を変革する必要があり、我々は今、梯隊(echelon)における、マルチドメインに対応できる編成の開発を始めなければならない。米陸軍の近代化のあらゆる側面において、我々は当初から統連合での一体化を追求している。将来の戦いは、同盟・パートナー国との相互運用性だけでなく、新たなレベルの統合(joint)と世界規模での一体化(integration)にかかっている。変化のペースとスケールが加速する中で、米陸軍は統合効果をシームレスかつ迅速に一体化できなければならない。これを実現するため、米陸軍は軍団と師団、安全保障部隊支援旅団(SFABs)、マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)を地域別戦闘軍(geographic CCMD)と連携させることから始めた。

軍団及び師団司令部:これらの司令部は、一体化された統合火力、情報、機動の一体化が可能なマルチドメインの用兵司令部(multi-domain warfighting headquarters)となる。軍団は、すでに地域別の連携がなされている。師団は、2022年度までに連携が図られる。8つの州兵師団司令部は、常備軍師団と習慣的な関係を持ち、訓練や組織的知識を強化し、必要に応じて増強を行う。これらの強化された司令部の組み合わせは、競争から危機に至るまで統合全ドメイン作戦(JADO)を実行するために必要な能力を戦闘軍(CCMD)に提供する。これらの司令部は習慣的な連携を通じて、米陸軍構成部隊司令部、各戦闘軍(CCMDs)、他の軍種や統合部隊司令部、さらには同盟・パートナー国との間で、組織的な深い知識を発展させる ― 計画、物理的地形、民族・文化(human terrain)に関する状況把握を大幅に強化する。

安全保障部隊支援旅団(Security Force Assistance Brigades:米陸軍は6つの安全保障部隊支援旅団(SFABs)を創設し、外国のパートナー軍を訓練・助言する特別顧問部隊としての役割を果たしている。安全保障部隊支援旅団(SFAB)の任務には、紛争地帯(hotspot)を抱えている世界中のパートナー国を訓練し、支援し、助言することが含まれる。

安全保障部隊支援旅団(SFAB)は、世界中で米国の関係を促進する独自の能力を持っている。競争の中では、安全保障部隊支援旅団(SFAB)は信頼、相互運用性、パートナー国の能力容量を高める。危機の際には、安全保障部隊支援旅団(SFAB)はパートナー国との調整を強化し、統合部隊や省庁間チームの迅速な対応を可能にする。紛争時には、安全保障部隊支援旅団(SFAB)はパートナー国との連携を強化し、完全な任務を遂行できる旅団に拡大することができる。

現在、安全保障部隊支援旅団(SFAB)はアフリカとアジアで活動している。将来的に安全保障部隊支援旅団(SFAB)は、12人程度の小規模なチームをローテーションで各国に派遣・交代させることにより、持続的な軍対軍のプレゼンスを確立していく。

米陸軍安全保障部隊支援旅団(SFAB)と戦闘軍との連携

• 第1SFAB(ジョージア州フォートベニング)           米南方軍

• 第2SFAB(ノースカロライナ州フォートブラッグ) 米アフリカ軍

• 第3SFAB(テキサス州フォートフッド)                 米中央軍

• 第4SFAB(コロラド州フォートカーソン)              米欧州軍

• 第5SFAB(ワシントン州JBLM)                            米インド太平洋軍

• 第54SFAB(州兵部隊) フロリダ、ジョージア、イリノイ、インディアナ、オハイオ、テキサスに大隊が所在

 

安全保障部隊支援旅団(SFAB)は安全保障支援・協力ミッションを専門化する。これまでのアドホック的な「助言と支援」の編成に比べて、安全保障部隊支援旅団(SFAB)の部隊は恒久的な組織として、これを常時の任務として、より協調的な責任を示すと同時に、通常の旅団戦闘チームや特殊部隊を(それらの任務から)解放することも可能である。安全保障部隊支援旅団(SFAB)は米統合部隊の存在感を高め、信頼関係を構築し、将来の危機に対応する実力(ability)を生み出すことができる。

  • マルチドメイン・タスク・フォース:マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)は、迅速な展開を具現化した組織である。従来の戦力形成の構築は、軍が組織に人員を配置し、訓練を行い、装備を整え、完成状態の部隊を各戦闘軍指揮官(CCDRs)に提供し、運用される。しかし、マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)はこの常識を覆す。各マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)は、支援する統合部隊司令官の要求を満たすため、必要とされる梯隊で作戦できるようにデザインされ、カスタマイズされる。当初から、各マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)は戦闘軍(CCMD)に配属され、戦闘軍指揮官(CCDR)の要求の状態に合わせて構築、訓練、演習を行う。このような迅速な展開により、各戦闘軍指揮官(CCDRs)が効果的に競争し、必要に応じて敵対者(adversary)のA2/ADシステムを突破して、陸・空・海の全ての部隊の機動の自由を実現できるような、より優れた、能力の高い部隊を確保することができる。米陸軍は5つのマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)を構築する:インド太平洋に配置される2つのマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)、欧州に配置される1つのマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)、北極圏に配置され複数の脅威に対応する1つのマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)、そして世界規模での対応に向けた最後のマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)である。インド太平洋に位置するマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)1は、プロジェクト・コンバージェンス2021の中心的存在となる。

iv.  後方支援:Sustainment

米陸軍の後方支援(sustainment)は、米国本土から近接地域まで後方連絡線(LOCs)が延長された拡大戦場で作戦を行う、広範囲に分散した部隊に選択肢を提供し、作戦の範囲、耐久性、行動の自由を向上させる。統合部隊司令官に、このような後方支援(sustainment)の選択肢と柔軟性を提供するために、米陸軍の後方支援(sustainment)に関する機能コンセプトは、以下の5つの努力の方向性を通じて、これを運用する:「復元性(resilient)があり、一体化された後方支援(sustainment)ミッション・コマンド」、「確実かつ迅速な戦力投射」、「戦域の作為」、「産業基盤の近代化」、及び「分散型作戦のための後方支援(sustainment)」である。また、米陸軍の後方支援(sustainment)に関する機能コンセプトでは、以下の3つの兵站近代化の優先事項を掲げている:「エネルギー需要の削減と物流システムへの要求の削減」、「米統合軍のための梯隊における自動センシング(データの可視化)」、及び「統合多様式・自律/半自律型物流」である。米陸軍は、次のような科学技術の優先事項を通じ、これを達成する予定である:「先進的な電力ソリューション」、「代替水源」、「先進的な製造」、「分析型意思決定ツール/診断、予知、一体化したデータ」、「自律型補給」、及び「弾薬のための次世代材料と包装ソリューション」である。

v.  確実な戦力投射:Assured Power Projection

米陸軍施設は、能力基盤のプラットフォームとして、米陸軍の即応性、復元性(resilient)、戦力投射の基礎を提供する。米陸軍と米統合部隊が「確実で迅速な戦力投射」を成功させるための基盤は、戦力投射プラットフォーム(PPPs, Power Projection Platforms)、動員戦力形成施設(MFGI, Mobilization Force Generation Installations)、軍用海上ターミナル(MOT, Military Ocean Terminals)に特に重点を置いた米陸軍施設の復元力(resiliency)と、それを支える商業施設にあり、脅威にさらされ、(我の能力が)劣化する環境でも、作戦の継続が可能である。

米陸軍が十分な戦力を提供できる実力(ability)があるかどうかは、戦闘力の動員、戦力投射、後方支援(sustainment)等の、戦力投射のすべての要素を効果的に実行できるかどうかにかかっている。戦力投射の改革の成果は、(我の能力が)劣化する条件下で、全てのドメインが脅威にさらされる環境における確実で迅速な戦力投射である。そのためには、戦力投射プラットフォーム(PPPs)、動員戦力形成施設(MFGI)、軍用海上ターミナル(MOT)、そしてエネルギー施設や、乗船・積載を行う戦略的港湾を含む商業インフラに重点を置いた米陸軍施設が、統合部隊司令官の選択肢を可能にするための準備を整え、復元性(resilient)を備え、かつ適切に機能することを確実にするため、財政的・知的創造性が必要となる。

「勝利こそが全てであり、そして人が私の最優先事項である。人とは、我々の兵員 ― 常備軍、州兵部隊、予備役 ― 彼らの家族、文官、そして兵士として過ごした者 ― 退職者や退役軍人である。我々は、人を介して勝利を獲得し、人が我々の即応、近代化、改革の優先事項における成功の原動力となる。我々は人を大切にしなければならない。」

-第40代米陸軍参謀総長 ジェームズ・マッコンビル大将

米陸軍事前集積備蓄(APS, Army Prepositioned Stocks)は、直ちに使用可能な準備が必要であり、常に演習を行うことが必要である。米陸軍事前集積備蓄(APS)は、もはや紛争時にのみ使用される戦略的な大量貯蔵施設とみなすことはできない。米陸軍の編成は、部隊を迅速に展開し、戦闘用設定(CFC, Configured for Combat)の装備と連携し、戦術的集結地域に迅速に移動し、戦闘前点検を行い、統合部隊司令官が即座に運用できるよう準備しなければならない。

米陸軍事前集積備蓄(APS)は、危機や有事の際の戦力投射以上の存在へと進化しており、それ自体が競争における関係構築のツールとして機能している。例えば、インド太平洋地域の米陸軍事前集積備蓄(APS)(APS-4)は、新たな地域パートナーとの関係を構築している。これらの施設は、地元地域やホスト国政府との関係を強化し、危機や紛争時に到着する部隊のスピードを向上させる。

vi.  人:米陸軍の最高の能力:People: The Army’s Premier Capability

これまで米陸軍は、その資本(capital)、技術、人材のいずれにおいても、潜在的な敵対者(adversary)に対する競争の優位を享受してきた。競合相手が技術力の差を縮めていく中、我々の人材は永続的な優位をもたらし、世界で最も即応性、致死性、能力の高い陸上戦闘部隊であり続ける。

米陸軍は、人材管理における革新と思慮に富むリーダーシップを約束する。米陸軍の即応性、近代化、改革の取り組みは、21世紀型の人材管理システムと本質的な生活の質の向上によって支えられ、我々の重心(center of gravity)である「人材」の管理の在り方を根本的に改善する必要がある。

米陸軍は、他の職業との競争力を維持しなければならない。これにより、米陸軍が工業化時代から情報化時代へと進み、相手を圧倒する米陸軍の能力を維持・拡大することができる。米陸軍は、人材への投資を優先し、人材を競争上の優位の中心としなければ、相手を圧倒する能力が、潜在的な敵対者(adversaries)によって奪われるリスクがある。

革新と変化の加速により、我々の兵員に対する技術的・認知的要求が高まる。これに伴い、新たな人材や訓練の必要性が生じる。我々は、如何に戦うか、何と共に戦うか、どのように組織するかについて変革を行うが、如何に訓練するか、についても変革しなければならない。この著しく複雑化した環境で作戦を遂行するための、兵士とリーダーの技術的スキルを開発することは、米陸軍の戦略の最前線にある。戦闘訓練センターのような、土にまみれた演習に代わるものは無いが、我々は大幅なコスト上昇を行うことなく、訓練の質を劇的に向上させる拡張現実(augmented reality)やバーチャル訓練環境(synthetic training environment)を用いた訓練を加えなくてはならない。カーネギーメロン大学の米陸軍データ科学者プログラムや、データ技能者プログラム、オースティンに所在する我々のソフトウェア工場などへの投資は、必要なデジタル専門知識を兵士に与え、指揮官が将来の戦場で直面する課題に、迅速に適応することを可能にする。

vii.  再投資の実現:Enabling Re-Investment

米陸軍は、変革のためには厳しい選択が必要であることを認識している。米陸軍は現在進行中のプログラムを継続的に見直し、目標点におけるデザインに貢献しないレガシーシステムを特定している。これらのプログラムを中止または削減することで、米陸軍は近代化プログラムへの再投資を実現する。

2020年の一年間で、米陸軍は全体で24億ドルの削減を達成し、2021年度の米陸軍の優先事項のための資金を再整理した。

・即応性と近代化の資金の再整理のための優先度の低いプログラムの削減または中止

・41のプログラムの廃止、国家防衛戦略や近代化の優先事項に関連しない39のプログラムの削減/延期

・訓練の効率化による2億ドルの再整理

米陸軍は、国防総省の高官と協力し、効率性を確認し、優先順位を確立し、長期的な投資決定に伴うリスクを軽減する。

VII.  結 論:Conclusion

米陸軍は、国内において、そして我々の同盟・パートナー国と共に世界中で行動する米統合部隊に、強力で、有能で、準備の整った決定的な地上戦力(land power)を提供する。米陸軍は、前方態勢、能力、作戦コンセプトを変革することにより、米統合部隊にスピード、効力範囲(range)、コンバージェンスを付与し、決心の優位性(decision dominance)と相手を圧倒する力を提供することにより、我が国が継続的に競争し、勝利し、国益を推進することを可能にする。明日の課題に対応するため、今日の変革を約束することにより、我々の決意を固め、能力を高める大国の競合相手に対しても、我が国が強さによって平和を保証することを今後も可能にする。

未来に目を向けながらも、過去の不朽の教訓を見失ってはならない:それはつまり、米国兵士が米陸軍の成功の要であるということである。レキシントン・コンコードの戦いから、ノルマンディーの海岸を経て、アフガニスタンの山中に至るまで、最終的に我々を成功に導くのは我々の兵士である。どれほど技術の近代化が進もうとも、世界規模で位置上の優位を獲得しようとも、あるいはその他の戦争を起こす要因があろうとも、最高の兵士とリーダーによって、それらが掌握されなければ十分とは言えない。我々は人材に係る取り組みを変革し、最高の能力を備え、人間関係を構築し、複雑な戦場に適応し、忍耐し、勝利する存在であり続けることを確実にする。

付属書A.用語集

目標点2035(Aimpoint 2035):持続的な大規模戦闘作戦(LSCO)で敵対者(adversaries)を支配するために近代化され、準備される将来の部隊、マルチドメイン陸軍。

全ドメイン作戦センター(ADOC:all-domain operations center):マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)コマンドノード。これにより、すべてのドメインの攻撃者の連絡先を24時間年中無休で監視できる。

接近阻止(A2 :anti-access):前進する敵部隊(enemy force)が作戦地域に入るのを防ぐようにデザインされた、通常は長距離の行動、活動、または能力。(JP 3-0)

領域拒否(AD :area denial):作戦地域内での敵部隊(enemy force)の行動の自由を制限するようにデザインされた、通常は短距離の行動、活動、または能力。(JP 3-0)

米陸軍継続分析(ACA :Army Continuum of Analysis):陸軍分析コミュニティ全体の取り組みを調整および同期することにより、遠い未来、部隊開発、部隊デザイン、軍隊運用、およびプログラム目標覚書開発の全体で米陸軍上級リーダーの決定を支援する枠組みとプロセス。

米陸軍将来コマンド(AFC :Army Futures Command):継続的な陸軍近代化の変革を主導し、将来の戦場を支配するために必要なコンセプト、能力、および組織構造を将来の戦闘員に提供する。

米陸軍事前集積備蓄(APS :Army pre-positioned stocks):戦略的目標を支援するための迅速な戦力投射を可能にする、気候制御された施設内の前方配置の装備品と補給品。

米陸軍種構成コマンド(ASCC :Army Service Component Command):戦闘軍内での米陸軍部隊の割り当てと運用に関する統合部隊司令官への推奨を担当するコマンド。 ASCCとも呼ばれる。(JP 3-31)

同盟国およびパートナーのための米陸軍戦略(ASAP :Army Strategy for Allies and Partners2020年に公開された米陸軍戦略は、米国国防総省および米国政府の目標を支援するために、世界中の同盟国およびパートナーとの米陸軍の関与および協力を導く。ASAPとも呼ばれる。(同盟国およびパートナーのための陸軍戦略、2020年)

調整された戦力態勢(CPF :calibrated force posture):位置と戦略的な距離を越えて機動する実力(ability)の組み合わせ。これには、基地と施設、編成と装備品の即応性、構成部隊間での能力の分散、戦略的な輸送の可用性、相互運用性、アクセス、および権限が含まれるが、これらに限定されない。(TRADOCパンフレット525-3-1)

化学的、生物学的、放射性、および核の被害(CBRN :chemical, biological, radiological, and nuclear hazard):偶発的または意図的な放出および拡散により、悪影響を引き起こす可能性のある化学的、生物学的、放射性、および核の要素。CBRNハザードとも呼ばれる。(JP 3-11)

戦闘軍(CCMD :combatant command):国防長官を通じて、そして統合参謀本部議長の助言と支援を受けて、大統領によって設立され、指定された単一の司令官の下での幅広い継続的な任務を伴う統一されたコマンド、または特定のコマンド。(JP 1)

戦闘軍司令官(CCDR :combatant commander):大統領によって確立された統一または特定の戦闘軍の1人の司令官。CCDRとも呼ばれる。 (JP 3-0)

諸兵種連合の統合全ドメイン指揮統制(CJADC2 :combined joint all-domain command and control、またはJADC2):人工知能と機械学習対応の戦場管理システムで、同盟と統合部隊を全ドメイン作戦に一体化して相手を圧倒する力を生み出す。

競争の連続体(competition continuum):協調、武力紛争以下の競争、および武力紛争の混合を通じて行われる永続的な競争。(統合ドクトリンノート1-19)

コンバージェンス(convergence):すべてのドメイン、電磁スペクトラム、情報環境の能力を迅速かつ継続的に一体化し、ミッション・コマンドと統制のとれた主導性によってすべてが可能になる、クロス・ドメインの相乗効果と複数の形態の攻撃を通じて敵を圧倒する効果を最適化する。(TRADOCパンフレット525-3-1)

決心の優位性(decision dominance):指揮官が敵対者(adversaries)よりも速く、より効果的に感知、理解、決心、行動、評価する望ましい状態。

DEFENDERシリーズの演習(DEFENDER series of exercises):即応性(readiness)、相互運用性を高め、世界規模の戦力投射能力を検証し、現在および将来のコンセプトと能力を実験するための大規模な諸兵種連動の統合訓練演習。

防衛計画策定シナリオ(DPS :defense planning scenarios):計画を開発したり、既存の計画を評価したりするための主要な仮定を使用したコンストラクティブにシミュレーションした環境。

動的部隊運用(DFE :dynamic force employment):不測の事態に対応し、統合部隊の長期的な存続を確保する即応性を維持しながら、即応部隊をより柔軟に使用して戦略的環境を積極的に形成するコンセプト。(2018年米国防戦略)

電磁スペクトラム(EMS :electromagnetic spectrum):ゼロから無限大までの電磁放射の周波数範囲。アルファベット順に26のバンドに分かれている。(JP 3-13.1)

電磁戦(EW :electromagnetic warfare):電磁スペクトラムを統制したり、敵を攻撃したりするための電磁エネルギーと指向性エネルギーの使用を伴う軍事行動。EWとも呼ばれる。指向性エネルギー、電磁攻撃、電磁防護、電磁支援も参照のこと。(JP 3-85)

対外有償軍事援助(FMS :foreign military sales):資金源に関係なく、国防総省が管理する契約に基づく新規調達または現在の在庫の受領者に提供するための防衛物品およびサービスのための米国政府と、認可された受領政府または国際機関との間の合意/契約を必要とする有償プログラムに対する米国の安全保障支援の部分。FMSとも呼ばれる。(JP 3-20)

世界規模の戦役計画(GCP :Global Campaign Plan):統合参謀本部議長または指定された戦闘軍司令官が努力と目的の統一を手配し、戦闘軍の責任地域と機能別の責任全体にわたる統合作戦の計画策定、一体化、調整を導くことを通した主要な手段。GCPとも呼ばれる。(JP 5-0)

世界規模の地上戦力ネットワーク(global landpower network):より大きな統合任務部隊に利益をもたらし、国力の他の要素を強化する陸軍間の関係とパートナーシップのシステム。

同盟・パートナーシップ開発ガイダンス(GDAP :Guidance for the Development of Alliances and Partnerships):米国国防総省の米国同盟国及びパートナーに関する計画策定、資源配分、活動、およびの評価を調整および集中するための調整された戦略的アプローチを達成するための基本的な方向性と優先順位を示す国防長官により承認されたガイダンス文書。

インサイド・フォース(inside forces):敵対者の接近阻止・領域拒否(A2 / AD)ゾーン内で作戦する、存続可能で復元力のあるマルチドメイン部隊は、領域拒否の計略を弱体化させる信頼できる機能を提供する。

国際的軍事教育訓練(IMET :international military education and training):米国の事務所または従業員、契約技術者、請負業者によって、外国の軍の学生、部隊、および軍隊に払い戻し不可(助成金)ベースで提供される公式または非公式の指導、および指導 通信講座、技術的、教育的、または情報的な出版物、そしてあらゆる種類のメディアが含まれる場合がある。IMETとも呼ばれる。(JP 3-20)

国際的軍事専門教育(IPME :international professional military education):リーダーシップと、軍事計画策定、プログラミング、管理、予算編成、およびその部隊に適した高度なレベルまでの部隊開発を実施するための受領部隊の能力を提供または強化するようにデザインされた経歴訓練。(安全保障支援管理マニュアル)

統合(joint):2つ以上の軍事部門の要素が参加する活動、作戦、組織などを意味する。(JP 1)

統合全ドメイン作戦(JADO :joint all-domain operations):すべてのドメインにわたる1つ以上の軍事部門が関与する作戦。

統合運用環境2040(JOE; JOE 2040 :Joint Operating Environment 2040):統合の将来およびコンセプト副局、統合参謀本部J-7によって公開された分析。国防技術および長距離分析局(TLA)、国防インテリジェンス局、統合参謀本部J-2が表す今後20年間にわたって将来の作戦環境についての統合部隊の共通の理解と、将来の作戦環境とその結果としての統合戦(joint warfare)への影響を説明したもの。

統合用兵コンセプト(JWC :Joint Warfighting Concept):統合部隊を運用するための統合参謀本部の作戦ロジック。これは、統合部隊の開発とデザインにも情報を提供し、大国間の紛争と戦争に焦点を当てた大規模な学習戦役のベースラインを確立する。(統合用兵コンセプト草案-2021年1月27日)

軍事及び主要指導者とのエンゲージメント(KLE :key leader engagement):より広い人口にわたるコミュニケーションと協力を促進する関係を構築することを意図した影響力のある指導者との計画された会議。(FM 3-53)

大規模戦闘作戦(LSCO :large-scale combat operations):作戦目標および戦略目標の達成を狙いとした戦役として実施される、コミットされた部隊の範囲と規模に関する広範な統合戦闘作戦。(ADP 3-0)

動員戦力形成施設(MFGI :Mobilization Force Generation Installation):継続的な通常構成部隊/予備構成部隊の戦力投射、戦闘準備、動員後の訓練、後方支援能力、および動員前の訓練支援を提供するように指定された連邦政府が活性化する国営設備を含む陸軍設備。(AR 525-93)

マルチドメイン陸軍(The Multi-Domain Army):2035年の米陸軍であり、競争、危機、紛争のスペクトラム全体で、スピードと規模で広範なマルチドメイン効果を達成することができる。

マルチドメイン作戦(MDO:multi-domain operations):調整された戦力態勢、マルチドメイン編成の採用、作戦上および戦術上の目標を達成するためのドメイン、環境、および機能を時間と空間を通して能力の収束を組み合わせて適用することで、敵対者(または敵)の強みを圧倒するために、複数のドメインおよび争われた空間にわたって行われる作戦。(TRADOCパンフレット525-3-1)

マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF :Multi-Domain Task Force):敵対者の接近阻止および領域拒否戦略の撃破を可能にする新しい能力を統合部隊と連合に提供するための、競争と紛争の両方で防空およびミサイル防衛、電子戦、宇宙、サイバー、情報作戦を一体化した長距離の精密な統合打撃を提供するようにデザインされたマルチドメイン作戦を実行できる新しい陸軍編成。(TRADOCパンフレット525-3-1)

非戦略核兵器(NSNW :non-strategic nuclear weapons):現在の軍備管理条約では一般的に扱われていない、戦場で戦術的および作戦的に使用するための低収量の核兵器。戦術核兵器としても知られている。

アウトサイド・フォース(outside forces):世界規模の緊要地形(戦略的チョークポイント)または後方連絡線(lines of communication)を確保する能力と能力容量を持ち、敵対者の戦略的側面を脅かし、または彼らの利益を危険にさらす戦略的および戦域レベルの部隊。

戦力投射プラットフォーム(PPP :Power Projection Platform):10日以内に戦闘軍作戦計画(CCMD OPLAN)要件を満たすために、通知時に旅団規模以上の部隊を配備できる設備。(AR 525-93)

プロジェクト・コンバージェンス(Project Convergence):人工知能と機械学習対応の戦場管理システムを積極的に追求することを学ぶ米陸軍将来コマンドの戦役。

地域別調整即応性および近代化モデル(ReARMM :Regionally Aligned Readiness and Modernization Model):近代化、訓練、および作戦上の運用の競合する要求のバランスをとるようにデザインされた米陸軍の部隊ライフサイクル・モデル。

安全保障部隊支援旅団(SFAB :Security Force Assistance Brigade):同盟国およびパートナー国との訓練、助言、支援、有効化および付随する作戦を実施するという中核的任務を持った特別な部隊。

州兵パートナーシップ・プログラム(SPP :State Partnership Program):州の州兵を、協力的で相互に有益な関係にある軍隊またはパートナー国の軍隊相当と提携させる州兵プログラム。

戦域スクリーン部隊(theater screen force):地理的戦闘軍の前方配置部隊と呼ばれ、すべてのドメインの敵対者との接触を獲得して維持し、情報を取得し、戦域の戦場を形成し、敵対者にコストを課すか、統合部隊の行動のための時間を買うために遅滞、崩壊させることができる。

中間点2028(Waypoint 2028):米陸軍が将来についての仮定を包括的に再評価し、それに応じて投資を調整する地点。