米空軍研究所、Skyborg計画のAIイニシャチブに対するRFIを提出

トランプ大統領が2月に「人工知能分野におけるアメリカのリーダーシップの加速」と題されたAIイニシアチブを創設する大統令に署名し、研究開発へのAI投資を増額するという方向にあるようで、DARPAによるドローンの「Swarming」技術の研究に関して、今後のハイエンドな戦いに必要なAIとオートノーマスの活用のための研究資金獲得に奔走しているという話がAirForce Magazineの4月号に出ていましたが、米空軍でも将来の無人機への適用技術としてAIとオートノーマスは、主要な命題になっているようです。
米空軍研究所は、3月15日に「Skyborgプロブラム」に対するAIやオートノーマスの適用について、市販市場調査と運用分析のための、業界へのCRFI(企業に対する情報提供要求)を提出しました。
空軍研究所の担当するSPDEオフィスの話によると、「2023年末までに初期の運用能力のプロトタイプを登場させるという目標」で調査、研究が行われるようです。
詳しい記事が米空軍のHPに出ていましたので紹介します。
Skyborg program seeks industry input for artificial intelligence initiative
By Bryan Ripple , 88th Air Base Wing Public Affairs / Published March 27, 2019


低コスト消耗型無人戦闘飛翔体Skyborg概念設計 (Air Force Research Laboratory artwork)

空軍研究所の空軍戦略的開発計画・実験(SPDE)オフィスは、早くも2023年の初期の運用能力として、プロトタイプの自律型無人戦闘機の実現に取り組んでいます。Skyborgとして知られているプログラム、SDPEオフィスは、運用要求とSkyborgプログラムの予定に適合できる高度な技術評価尺度(TRL)の機能を有する現在の商業的に実現可能なものを研究するため、業界に対して市場調査と運用分析の概念を実施するための情報要求を3月15日に業界に対して発行した。
SkyborgのプログラムマネージャであるBen Tranによると、Skyborgは2018年10月にSDPEで2019会計年度の資金によるパスファインダープログラムとして正式に立ち上がりました。
「CRFI(Contractor’s Request For Information)に盛り込むべき内容を特定するための多くの分析を行いました。」とTran氏は述べました。「2023年末までに初期の運用能力のプロトタイプを登場させるという全体的な目標が与えられたので、2023年にそのEOC(初期の運用能力)を提供する見通しで、最先端技術をテクノロジとシステムエンジニアリングの観点から現在の最先端は何かということを判断することが最初のステップでした。
Tran氏によると、低コストで使い捨て可能な無人航空機は、将来の潜在的な拮抗する競争者との戦闘に対処する時に、その戦闘に大量に持ち込むというのも1つの方法であるという。
「私たちはまた、人工知能や自律性全般に対して、私たちの拮抗する敵対者たちが多くの投資を行っていることを知っています。自律制御とAIを低コストの使い捨て可能なシステムで組み合わせると、空軍にとって戦闘能力が大幅に向上し、力の増進役となる能性があるため、2023年のゴールラインは、私たちがその様な能力をその戦いに持ち込むことができることを示すために比較的短時間で何かを持ってくる我々の試みです。」
AFRL Aerospace Systems DirectorateのエンジニアであるMatt Duquetteは、特にUAVチームが取り組むその努力にSkyborgプログラムを自律システムへのアプローチとUAVが持つ行動のいくつかを定式化することで支援する間、UAVの制御、自律機能とモデリングとシミュレーションに(彼の)バックグラウンドを持ち込んだ。
「Skyborgは、航空機を飛行させて空域でそれらを制御するためのかなり単純なアルゴリズムから、特定のタスクまたはサブタスクの任務を達成するためのより複雑なレベルのAIの導入まで及ぶAI技術のための一つの器なのです。」
これは、Have Raider[1]や空地における衝突回避システムなどのプログラムで示されているAIとのAFRLの基本的な仕事の多くの上に成り立っています。
「自律機能開発の一部として、システムのための保証を構築しています。これらの自律機能を開発するときには、設計時に、特定の動作を保証する形式的手法またはアプローチを使用するか、航空機で稼働しているときにこれらの動作の機能を評価するより実用的な方法でシステムの保証を構築する事が出来る。
そして、それらは、システムにどのようなタイプの保証が必要かを確認するために実験レベルからの検討が必要で、重要度の高低を組み合わせることができる機能です。」
「さまざまな飛翔体の性能パラメータの範囲を検討しています。ミッション分析は、最終的な結果とは何かを判断するのに役立ち、CRFIからの回答は、現在利用可能なシステムのパフォーマンスが何であり、それらがニーズを満たすかどうかを理解するのに役立ちます。戦闘プラットフォームからセンシング機能を発揮するための速度の遅いプラットフォームまでのすべてを検討しています。そこには様々な可能性が有ります。」とモデリング、シミュレーション、解析によってSkyborgプログラムをサポートしているAFRLのSensors DirectorateのPatrick Berry氏は述べています。
「Skyborgは現時点では特定のタイプの航空機プラットフォームを予定していませんが、CRFIは、自律機能がプラットフォームのミッション能力と関連しているのと同様にセンシング機能の観点だけでなく、総合的なミッションシステムからも、このシステムにモジュール性を持つオープンシステムアーキテクチャの重要性を強調しています。」「我々は、カリフォルニア州エドワーズ空軍基地の第412 Test Wingと提携しています。具体的にはEmerging Technologies複合テストフォース(Emerging Technologies Combined Test Force)と呼ばれる組織と提携しています。私たちは、動きの速い小型UAVから始めて、これらの航空機のAIと自律性の現在の最先端をテストし、飛行中に自律的にチームを組みコラボレーションする能力をテストします」とTran氏は語った。
AFRLのAerospace Systems DirectorateのRyan Carr少佐は、機械学習はここ数年で大きく進歩し、その結果に刺激され、例えばゲーム業界で起こっていることに興奮しています。「テクノロジはかなり急速に成熟し続けると予想されます。私たちが本当に理解する必要があるのは、「それをどうやってそれを現実の世界に持っていき、例えばそれを使って飛ぶようなことをするのか」ということです。私たちが早い段階で達成しようとしているのは、それを安全に行う方法です。安全な飛行試験の非常に長い記録をもつ飛行試験コミュニティと密接に協力して、動作中の保証について議論しています。それが、まさにこの初期の期間に私たちが着目したいものなのです。」とCarr氏は言いました。
「我々は、進むにつれてそのEOCにたどり着いたときに、将来、運用の未熟なものがシステムの動作やそのシステムの安全性を信じるように信頼のベースラインを確立する様システムにおける信頼を構築する方法でこれを構築したいのです。それは、その最終状態の能力だけではなく、あなたが進むにつれて信頼されるものです。」と彼は付け加えました。
運用AIの革新が起こる前に、空軍は当座の運用ニーズを満たし、複雑なAIの開発、プロトタイピング、実験およびフィールディングを容易にするための反復的なプラットフォームとして機能できる自律システムを構築しなければなりません。CRFIはそのためのものなのです。(黒豆芝)


[1] Have Raiderは、米空軍が無人飛翔体が戦場で有人飛翔体とチームメイトとして飛行するのに必要な技術を実証するためにロッキード・マーチン スカンクワークスと連携して実施された実証実験。