GAOがF-35戦闘機プログラムの信頼性と整備性への改善を提言

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米空軍は、先月ユタ州ヒル空軍基地から中央軍に配備されたF-35がISISへの攻撃に初めて参加し、第5世代の戦闘機のウオーターバックとしての役割を十二分に発揮したと発表[1]しましたが、会計検査院は、F-35計画に関する年次報告で、国防総省の現在の進め方について大きな疑問符を投げかけています。

今週開かれた米国下院軍事小委員会での報告[2]では、飛行時間あたりの経費を2018年現在の44,000ドルから2025年には25,000ドルに下げる目標を達成したいと述べていますが、国防総省のCAPE(Cost Analysis and Program Evaluation office)の見積もりでは、この目標の達成には疑問符が付き、戦闘機の使用が進むにつれ再び上昇する可能性があるとされています。

F-35戦闘機のコストの問題については度々報じられていますが、今回のGAOの指摘はどういうものなのかAirforce  Magazineの記事を紹介したいと思います。

GAO Pushes Pentagon on F-35 Reliability and Maintainability, Block 4 Business Case4/29/2019 ––JOHN A. TIRPAK
米国会計検査院は、F-35の信頼性と整備性について国防総省にブロック4をプッシュ

ユタ州Hill AFBから出発する前のタクシー中のF-35A。空軍提供

米国会計検査院はJoint Strike Fighterの年次レビューにおいて、国防総省が信頼性と整備性について苦心している事を考慮して、F-35の運用要求を再検討し、これ以上の開発契約を進める前に、戦闘機のブロック4へのアップグレードに関するビジネスケース(投資効果の検討書)の作成を促進するべきだとした。

議会で義務付けられている年次報告書F-35の第4で、GAOはプログラムが信頼性と整備性の向上において「ゆっくりと持続的な進歩」を遂げたが、まだこの分野で必要とされている指標の半分しか満たしていないと述べている。
監視機関は、国防総省が「ある程度の目標」とタイムラインのある明確な改善計画を作成しておらず、またこれらの欠陥を是正することをどのように優先するかを説明していないとしている。「R&M(reliability and maintainability)の要件が満たされていない場合は、戦闘機は当初の計画よりも信頼性が低くより高価な航空機となる可能性がある。」

GAOはまた、国防総省がアップグレードのためのビジネスケースを作成し、「独立した技術評価」を実行するまで、ブロック4のアップグレード開発契約を進めることを本当に待つべきであるという以前の主張を繰り返した。
最初の近代化開発契約はいつでも可能だと述べているが、ブロック4の技術成熟度評価、独立したコスト見積もり及びテストと評価のマスタープランは、今年の10月から12月までに完了すると見込まれていない。

その結果、契約を締結する前にリスクが適切に軽減されているという「高レベルの信頼」を得ることはできないだろうとしている。「開発期間のF-35プログラムで経験したものと同様のコストとスケジュールの超過」が発生する可能性がある。

GAOの報告書にある5つの勧告のうち、4つはR&Mと関係がありそれは国防長官に示された:

  • R-Mの目標が「まだ実現可能」であるかどうかを確認するためにF-35の運用要求書(ORD)をもう一度調べ、そうでない場合はORDを修正する。
  • F-35プログラムがR&M改善計画のために明確な目標とタイムテーブルを設定することを確認する。
  • 改善計画で定められたR&Mに関して設定された目標を実際に達成するために予想される処置をF-35ジョイントプログラムオフィスが確認し文書化する事を保証する。
  • R&O改善計画にためにJPOが「資金を優先する」事を保証する。
  • 少なくとも初期のブロック4形態に関して、独立した経費と技術成熟度見積もりが終了し、リソースと航空機の不足と資金への対処のマスタープランの試験と査定の承認がおりるまでこれ以上の開発契約を締結することを延期する。

F-35 JPOは、プログラムに関してGAOが行った4つの勧告に同意したが、Block 4アップグレードの開発に関する作業に着手するには時期尚早だと反論した。
声明の中で、JPOは信頼性と改善に関する計画の更新に着手しており、これらはGAOが求めたものの詳細を詳しく説明するだろうと述べた。しかし、ブロック4のビジネスケース作成に関する5番目の勧告に同意しなかった。

JPOは、「このプログラムには、開発を開始するための適切なコスト、スケジュール、および技術的な成熟度に関する知見を有している。」し、プログラムのベースラインには「ブロック4のコスト見積もりとスケジュールのマイルストーンが含まれている。」
JPOは、秋に国防長官の承認を予期して、新しいプログラムディレクターが6月にブロック4のテストと評価のマスタープランを承認する予定である。「テストサイトはJPOと密接に連携しており、当面のブロック4のテスト計画と実行に必要な情報とリソースを有している。」としている。

また、ブロック4の技術的成熟度は「システムの機能性について評価されており、JPOは現在、リスクと技術的成熟度を継続的に評価するためのプロセスを確立しつつある。」とも述べている。ペンタゴンのF-35監督および統括する高官が、木曜日の下院軍事戦術航空小委員会に出席する予定である。
(黒豆芝)


[1] http://www.airforcemag.com/Features/Pages/2019/April%202019/USAF-F-35A-Makes-Combat-Debut-Drops-JDAM-on-ISIS-Network-in-Iraq.aspx

[2] http://www.airforcemag.com/Features/Pages/2019/May%202019/JPO-Seeks-to-Slash-F-35A-Flight-Hour-Costs.aspx