次世代戦闘機等に関する米ロの動き

9月23日に米空軍の空軍次官補(調達・技術・ロジスティクス担当)であるウィルローパー氏が「米空軍は、業界が5年以内に新しい戦闘機を設計、開発、製造することを要求する新しい計画により、次世代の戦闘機の獲得戦略を根本的に変える準備をしている。」とのインタビュー記事を紹介しましたが、10月3日のDefensenewsでは、この時に未発表だったプログラムマネージャーを紹介するフォロー記事[2]が出ています。
新しいプログラムマネージャーは、デール・ホワイト大佐で、以前、宇宙・ミサイルシステムセンター、空軍研究所、航空情報局で勤務し、空軍のRCO[3](Rapid Capabilities Office)では、B-21爆撃機プログラムの先任資材リーダーおよびシステムプログラムディレクターを勤めていたそうです。

この記事の中では、9月のインタビューでローパー次官補が語った「戦闘機メーカーに単一の精巧な航空優勢プラットフォームを製造する機会を競わせる代わりに、アジャイルソフトウェア開発、オープンアーキテクチャ、デジタルエンジニアリングなどの新しい経費節約技術を使用して、複数の戦闘機の開発に資金を提供する。」という考えの答えをホワイト大佐が見つけると確信しているとも語られ、最後では質問に答えて、「ホワイト大佐の最初の仕事は、プログラムのリーダーとなって、彼の独創的なリーダーシップによって、このプログラムを進める上での調達戦略等を6か月以内に策定し、その3か月後に最終的な戦略を策定することだ。」とローパー氏が語っています。

ホワイト大佐に寄せられる期待の大きさを感じさせる記事となっています。膠着状態にあったNGADが、本当に動き始めるようです。

一方、ロシアの第6世代戦闘機については、先月The National Interestに2件の記事が出ていました。
1件は戦闘に関する記事で、「NATO’s Nightmare: Russia’s 6th Generation Stealth Fighter is Coming Soon」[4]と題して、ロシアが、Su-57 PAK-FAに代わる第6世代戦闘機の概念を健闘し始めているという記事です。


写真は、Su-57 PAK FA T-50

米空・海軍と同じように第6世代の戦闘機に要求される「有人・無人チーミング、指向性エネルギー兵器、極超音速を含む幅広い概念」を検討しているようです。
又、記事の中では、Radio-Electronic Technologies Group(KRET)の第1副CEOで顧問のウラジミール・ミケエフ氏が、国営のTASS通信社とのインタビューで、次世代の戦闘機に搭載されるべき先進のアビオニクスと指向性エネルギー兵器や自己防御兵器の開発について語っています。中でも、ステルスに対応するために開発されている無線フォトニックレーダーについては、「既存のレーダーよりも遠くを見ることが可能になるとともにその特性により、航空機の型式を即座に判別でき又、妨害にも強いだろう。」としてその技術的優位を語っています。

「また、航空機には指向性エネルギー兵器が装備され、ドローンの群れの一部として飛行しているだろう。実際、飛行中の2機の航空機は有人で、その2機のジェット機には20〜30機の無人機が一緒に飛んでいるかも知れない。」として友人・無人のチーミングにも言及しています。

「重要なポイントは、ロシアの防衛産業が軍事科学と兵器技術の重要なトレンドのいくつかを認識していることだと私は考えている。」とコフマン氏は語っていますが、「これらの多数のプロジェクトをサポートするために、2018-2025年の今後の国家軍需プログラムで実際にどのくらいの資金が利用できるかは不明だが、KRETは間違いなくいくつかの努力のサポートを確保することを望んでおり、それ故、ロシアが開発からかなり離れている可能性のある将来のシステムを知らしめている。」と米国と同様に、資金面での政府への働きかけに苦労しているようです。もう1件は、

もう一件は「6th PAK-DA: Russia’s 6th Generation Stealth Bomber Could Be a Real Killer」[1]という記事で、戦略爆撃機に関する全く新しい設計で「第6世代PAK-DA」に関する記事が出ています。此もロシアの防衛産業の首脳が、Su-57の成功から次のターゲットとして、「第6世代」の戦略的ステルス爆撃機に目を向けているという報告となっています。


写真は、新型の超音速戦略爆撃機Tu-160M ブラックジャック

記事の中では、ジュコフスキー試験飛行開発センターの70周年記念で、ツポレフCEOアレクサンダー・コニュホフ氏が、「大型の長距離航空の将来の複合体をテストするための大規模な作業[PAK DA] とともに大幅にアップグレードされたTu-22M3M、Tu-160、およびTu-95MSの航空機をテストし、さらに開発するための大きな計画がある。」と語ったとしています。

そして、ロシアンステートニュースは、爆撃機が現在知られているように、PAK-DAがジュコフスキーセンターで初期テストを受けると報告しており、おそらく、PAK-DAの最も注目すべき点は、戦闘機がロシア空軍(VKS)内で就役するためにどれだけ接近しているかであり、当時のユーリボリソフ国防副大臣によると、最初のプロトタイプは2021-2022年に、処女飛行は2025-2026年に予定されており、連続供給は2028-2029年に開始される事となっていると報じています。

現在、PAK-DAの具体的な仕様についてはほとんど知られていませんが、ロシアの防衛筋は、12,000キロメートルの可能な運用範囲、最大30トンのペイロード、亜音速飛行速度を示唆しており、PAK-DAが速度よりも「ステルス能力」を優先するというVKSの司令官ビクトルボンダレフの説明に照らして特に重要であるとしています。PAK-DAは、Tu-160およびTu-22M3の代替品としての可能性は低く、世界をリードする防空システムに対する高強度で深い侵入能力、核紛争のニッチを埋めるように設計されているようです。

爆撃機の世界も新しい時代に入りつつあるようです。(黒豆芝)