在独米軍の500人増強について

米国防長官のオースティン氏が4月13日、ドイツのクランプカレンバウアー国防相とベルリンで会談し、会談後の共同記者会見で、在独米軍を500人増強する方針を明らかにしたとの報道があった。この報道にあるとおり、トランプ前大統領が示していた在独米軍の削減の意向とは反する動きである。この米陸軍の新たな部隊の設置等に関して米陸軍ヨーロッパ・アフリカがその内容を公表している。

新たに配置される部隊については、4月8日の「米陸軍のマルチドメイン変革について(4月16日一部更新)」でも紹介したマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)が含まれてる。このことに関するbreakingdefense.comの記事と、米陸軍ヨーロッパ・アフリカ公表の記事を紹介するものである。(軍治)

breakingdefense.comの記事 米陸軍はヨーロッパに新たに2つの部隊を構築する

米陸軍ヨーロッパ・アフリカ公表の記事 米陸軍ヨーロッパ・アフリカは、2つの新しい部隊を受け取り、3つのサイトを保持する

米陸軍はヨーロッパに新たに2つの部隊を構築する

US Army building up force in Europe with two new units

By: Jen Judson

2021年4月13日

2020年11月に浮橋の最後の部分を横切る米装甲車両を誘導するポーランド兵士

(写真:エヴァン・ルチョッツケ米陸軍3等軍曹)

ワシントン発-米陸軍は、待望の動きで、2つの新しい部隊(マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)と戦域火力コマンド)をヨーロッパに送っている。

4月13日に発表された米陸軍ヨーロッパ・アフリカの声明によると、約500人の兵士を構成する2つの編成が「今後数か月以内に」到着する。これにより、750人の家族がドイツの米陸軍ヴィースバーデン駐屯地に到着する。

マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)部隊は今年9月16日に発動するように設定されており、戦域火力コマンドはその1か月後に発動する予定であると声明は述べている。

米陸軍は、マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)部隊をヨーロッパに持ち込むことについて長い間話し合ってきたが、その種の最初のものがインド太平洋の戦域でその有用性を証明し続け、そこで注目を集める演習に積極的に取り組んできた。 最初のマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)は、米陸軍の用兵コンセプトであるマルチドメイン作戦を実験するために設置された。現在、米陸軍は、そのような部隊が作戦能力容量に役立つと判断し、北極圏にマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)を設置し、太平洋に2番目のマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)を、必要に応じて3番目のマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)を設置する計画を立てている。

米陸軍ヨーロッパ・アフリカの司令官であるクリストファー・カヴォリ米陸軍大将は、今年初めにそのような部隊と戦域火力コマンドを求めた。

「マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)-ヨーロッパは、野戦砲部隊、複合防空部隊とミサイル防衛部隊、インテリジェンス、サイバースペース、電子戦、および宇宙部隊、航空と旅団の支援要素で構成される。戦域火力コマンドは、米陸軍のヨーロッパ・アフリカを支援するために、演習と作戦における統合火力および多国籍火力を一体化することにより即応性と多国籍の相互運用性を改善させる」と声明は述べている。

「ヨーロッパの戦域火力コマンドとマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)は、米陸軍ヨーロッパ・アフリカが統合火力と効果を同期させ、すべてのドメインにわたる将来の長距離火力を統制することを可能にし、ヨーロッパでより多くの宇宙、サイバーおよび電子戦能力を生み出す」 と、米陸軍ヨーロッパ・アフリカの報道官であるジョー・スクロッカ米陸軍大佐は語った。

ヨーロッパの米陸軍はまた、「ヨーロッパの戦域での作戦上の要件の高まりにより、以前はドイツ政府に返還される予定だった」3つのサイトを保持することとなる。

トランプ大統領は、軍事指導者、立法者、防衛および国家安全保障の専門家の助言に反して、ヨーロッパにおける米軍のプレゼンスを引き下げる計画を持っていた。

声明によると、保持されるサイトは、マインツカステルのマインツカステル駅とマインツカステル住宅、およびダルムシュタットのダガー・コンプレックス基地である。

「我々の作戦上の要件は、米陸軍が構造を承認する際に受け取ると予想される新しい部隊の施設条件の設定に引き続き取り組んでいるため、施設の建設と改修を上回っている。私たちは、ホスト国のすべての従業員に感謝している。彼らなしでは、私たちの重要な使命を達成することはできなかった」と述べている。

「新しい戦略と絶えず変化する作戦環境には、同盟国とパートナー国を支援する能力を高めるために必要なインフラストラクチャを我々が確保するために、より多くの能力容量が求められる」と、第21戦域維持コマンドの指揮官であるクリス・モハン米陸軍少将は述べている。「我々はドイツ当局と緊密に協力して、これらのサイトを維持することで合意に達し、彼らの継続的な支援に非常に感謝している」

米陸軍ヨーロッパ・アフリカは、2つの新しい部隊を受け取り、3つのサイトを保持する

U.S. Army Europe and Africa to receive two new units and retain three sites

2021年4月13日

ドイツ、ヴィースバーデン発

米陸軍ヨーロッパ・アフリカは、今後数か月以内に2つの新しい部隊を受け取り、ヨーロッパの戦域での作戦上の要件の高まりにより、以前はドイツ政府に返還される予定だった3つのサイトを保持する。

部隊はマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)と戦域火力コマンドになる。合わせて、彼らは約500人の兵士、35人の地元の地位、および750人の家族をドイツの米陸軍ヴィースバーデン駐屯地に連れて行くことになる。

マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)-ヨーロッパは、野戦砲部隊、複合防空部隊とミサイル防衛部隊、インテリジェンス、サイバースペース、電子戦、および宇宙部隊、航空と旅団の支援要素で構成される。戦域火力コマンドは、米陸軍のヨーロッパ・アフリカを支援するために、演習と作戦における統合火力および多国籍火力を一体化することにより即応性と多国籍の相互運用性を改善させる。

「ヨーロッパの戦域火力コマンドとマルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)は、米陸軍ヨーロッパ・アフリカが統合火力と効果を同期させ、すべてのドメインにわたる将来の長距離火力を統制することを可能にし、ヨーロッパでより多くの宇宙、サイバーおよび電子戦能力を生み出す」と、米陸軍ヨーロッパ・アフリカの報道官であるジョー・スクロッカ米陸軍大佐は語った。

戦域火力コマンドは2021年10月16日に発動し、マルチドメイン・タスク・フォース(MDTF)は2021年9月16日に発動する予定である。

保持されるサイトは、マインツカステルのマインツカステル駅とマインツカステル住宅、およびダルムシュタットのダガー・コンプレックス基地である。

我々の作戦上の要件は、米陸軍が構造を承認する際に受け取ると予想される新しい部隊の施設条件の設定に引き続き取り組んでいるため、施設の建設と改修を上回っている。私たちは、ホスト国のすべての従業員に感謝している。彼らなしでは、私たちの重要な使命を達成することはできなかった。

「新しい戦略と絶えず変化する作戦環境には、同盟国とパートナー国を支援する能力を高めるために必要なインフラストラクチャを我々が確保するために、より多くの能力容量が求められる」と、第21戦域維持コマンドの指揮官であるクリス・モハン米陸軍少将は述べている。「我々はドイツ当局と緊密に協力して、これらのサイトを維持することで合意に達し、彼らの継続的な支援に非常に感謝している」