人工知能の軍事意思決定プロセスとミッション・コマンドにおける影響 (The Defence Horizon Journal)
MILTERMではこれまでも多くの軍事分野における人工知能の適用の論稿を紹介してきた。今回紹介するのはスイス軍に所属の将校による軍事意思決定プロセス(MDMP)とミッション・コマンド(MC)に焦点を当てたThe Defence Horizon Journal – security and defence related topicsに掲載の論稿である。
MILTERMで紹介してきた「人工知能と軍の指揮」に関する米国の文献としては、「トルストイの不満:人工知能の時代におけるミッション・コマンド (Modern War Institute)」、「エージェント型AIの時代における決心の支配性 (Small Wars Journal)」がある。
紹介する論稿は、人工知能を軍の集権的な指揮への適用と分権的な指揮への適用は、どのような違いがあるかなどを「指揮・リーダーシップ・マネジメント」の三つの次元から分析し、AIの統合は軍事意思決定プロセス(MDMP)とミッション・コマンド(MC)にどのような影響を与えるかについて論じたものである。
AIを活用して意思決定の精度とスピードを高めることで、指揮官は状況に応じて集権的な指揮と分権的な指揮を柔軟に使い分けることが可能になるとしている。
人工知能(AI)の導入は、軍の指揮におけるドクトリン、手順、文化に大きな変革をもたらす。その影響は、軍事意思決定プロセス(MDMP)をOODAループの各ステップへの適用の中で分析できる。
軍の指揮においては、集権化と分権化の二元論ではなく状況に応じて変化する指揮の連続体として捉えるべきで、戦略レベルでは、AIを集権的な業務に戦術レベルでは、分権的な業務に適応出来る。AIの進展により指揮官は集権的な指揮への誘惑を覚えるがマイクロマネジメントに陥る罠に嵌ってはならない。ミッション・コマンド(MC)の哲学を保持しながら状況に適応した指揮が求められる。
AIの導入は、軍事指揮を「複雑適応型システム」として再定義出来る。軍には技術イノベーションだけでなく、ドクトリン・文化・構造の変革が必要である。AIを活用しつつ、ミッション・コマンドの精神を維持することが、将来の軍事優位性の鍵となるとしている。(軍治)
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人工知能の軍事意思決定プロセスとミッション・コマンドにおける影響
The Impact Of Artificial Intelligence On The Military Decision-Making Process And Mission Command
Written by Patrick Hofstetter, Marius Geller, Florian Gerster on September 11, 2025
パトリック・ホフシュテッター(Patrick Hofstetter)スイス軍中佐(博士号、修士号)は、チューリッヒ工科大学(ETH)付属スイス軍事アカデミーのリーダーシップ・コミュニケーション研究部門共同責任者を務める。スイス連邦軍現役の参謀将校であり、作戦研究・訓練担当参謀部訓練将校として勤務している。研究分野は軍隊における指揮・リーダーシップ・マネジメント。スイス軍における戦術指揮と訓練に関する論文を発表し、アンソロジー『リーダーシップ・コンセプト:国際的視点』(2024年)を共同編集した。
マリウス・ゲラー(Marius Geller)スイス軍中尉は第85山岳歩兵大隊の歩兵小隊長であり、まもなく中隊長に就任する。スイス連邦軍における職業将校となるため、陸軍士官学校で学士号を取得中である。研究分野はリーダーシップおよび軍事社会学。職業軍人として、予備役兵の指導と教育にあたる予定である。
フロリアン・ゲルスター(Florian Gerster)スイス軍少尉は、第1砲兵群参謀部において火力支援将校として勤務している。第1偵察大隊の中隊長となることを目指している。スイス連邦軍における職業将校となるため、チューリッヒ工科大学付属軍事アカデミーにて学士号の取得を目指している。研究分野は、軍隊におけるリーダーシップ、技術、戦略である。職業将校として、予備役兵の指導と教育にあたる予定である。
要旨
人工知能(AI)の漸進的な統合は、軍の指揮をドクトリン、手順、文化のあらゆる次元に変革をもたらす。AIは、指揮レベル全体における集権化(centralisation)と分権化(decentralisation)のバランスを再構築する。ジョン・ボイド(John Boyd)大佐のOODAループを軍事意思決定プロセス(MDMP)の汎用モデルとして用いることで、情報収集から戦術実行に至るまで、AIが意思決定の各段階にどのように影響を与えるかを理解し、分権型リーダーシップ哲学としてのミッション・コマンド(MC)への影響を評価することができる。分権型意思決定の長年の伝統を持つ西側諸国の軍隊は、AIを監視ツールではなく、権限委譲(empowerment)のツールとして活用する上で特に有利な立場にあると言えるだろう。
本論稿での問い
人工知能 (AI)の統合は、軍事意思決定プロセス (MDMP)とミッション・コマンドにどのような影響を与えるか?
本論稿での結論
ミッション・コマンドを弱体化させるのではなく強化するためにAIを軍事意思決定プロセス(MDMP)に効果的に統合することで、指揮官は集権型アプローチと分権型アプローチを意図的に切り替えて、意思決定の精度とスピードを最大化できるようになる。
Source: shutterstock.com/Shutterstock AI Generator |
はじめに
軍事作戦への人工知能(AI)の統合は、従来の指揮・統制(C2)モデルや軍事意思決定プロセス(MDMP)に新たな課題をもたらす。世界中で、軍隊は作戦のスピード、精度、そしてドメイン間の一貫性を向上させるために、AIへの依存度を高めている。
しかし、この技術的変化(technological shift)は、ミッション・コマンドが中核を成す西側諸国の軍隊における中核的なリーダーシップ哲学にも影響を与えている。ミッション・コマンドとは、分権化(decentralisation)と部下の主導性(initiative)に基づくリーダーシップ・スタイルとドクトリン上の原則である。AIシステムがかつてないほどデータへのアクセスを可能にする中で、上級指揮官は権限の分配方法、状況の複雑さの解釈方法、そして階層間の信頼維持方法を再考する必要がある。
ミッション・コマンドとは、分権化(decentralisation)と部下の主導性(initiative)に基づくリーダーシップ・スタイルとドクトリン上の原則である。
ドクトリンと文化に関わる技術的イノベーション(technological innovation)の複雑さをより深く理解するため、本稿では、ジョン・ボイド(John Boyd)のOODAループを、歴史的あるいは空軍特有の文脈ではなく、軍事意思決定プロセス(MDMP)の汎用モデルとして用いる。その際、AIをあらゆるレベルの軍事プロセスと組織に統合することで、直感に反して人間の意思決定者の重要性が高まる可能性があるというジェームズ・ジョンソン(James Johnson)の主張を踏襲する[1]。
ドクトリン、文化、軍事意思決定プロセス、指揮・統制におけるミッション・コマンド
ミッション・コマンドというリーダーシップのコンセプトは、 19世紀のプロイセン軍改革にまで遡る[2]。今日、西側諸国の軍隊のほとんどがこれを目指している[3]。正確な定義は各種ハンドブックや規則によって異なるが[4]、[5] 通常、分権化(decentralisation)と下級リーダーの権限委譲(empowerment)が含まれる。ロシアによる侵攻に対するウクライナの対応、特に侵攻初期の対応は、こうしたアプローチの優位性を強調している。国内の観測者[6]と国外の観測者[7]の両方が、より機敏なウクライナ軍の戦術的優位性は、ミッション・コマンドの採用が成功したためだとした。対照的に、ロシアの硬直した「詳細コマンド(Detailed Command)」アプローチは、集権的で指示的なリーダーシップからなる対抗コンセプトである。
NATOはミッション・コマンドを「集権的で明確な意図を持ち、分権的に実行することを提唱する指揮哲学(a philosophy of command that advocates centralised, clear intent with decentralised execution)。『何を(what)』を記述するスタイルであり、『どのように(how)』を必ずしも規定するものではない」と定義している[8]。様々な著者は、この原則を「集権的な計画策定と分権的な実行(centralised planning and decentralised execution)[9]」や「集権的な統制、分権的な実行(centralised control, decentralised execution)[10]」などと曖昧に表現している。NATOの定義は、ミッション・コマンドをトップダウン的に理解させ、最終的には実行のみが委任されるという印象を与えているようだ。しかし、このように理解すると、それはむしろ空虚なコンセプトである。なぜなら、ロシアの指揮理解においてさえ、実行は分権的だからである。
したがって、ミッション・コマンドの一貫した解釈が不可欠である。つまり、意図(intent)のみが集権化され、部下が可能な限り自律的に決定し行動できるようにすることが重要である。さらなる集権化(centralisation)は軍隊文化を反映している可能性があり、おそらく、これが軍隊がミッション・コマンドの導入を成功させるのに苦労する主な理由の一つであると言えるだろう[11]。しかし、必要最低限以上の集権化は、ミッション・コマンドの本来の理解、すなわちプロイセンの「訓令戦術(Auftragstaktik)[12]」と矛盾する。
ミッション・コマンドは、ドイツ語で通常「アウフトラーグスタクティーク(Auftragstaktik)」と呼ばれるが、その優越性(superiority)は第二次世界大戦で特に顕著であった。マーティン・ファン・クレフェルト(Martin van Creveld)は、その有名な研究書「戦闘(Kampfkraft)[13]」 の中で、連合軍の戦略的優越性(strategic superiority)にもかかわらず、ドイツ国防軍が戦争の最終段階まで下位レベルで戦術的優越性(tactical superiority)を維持できた理由を説明している。ジョン・ボイド(John Boyd)大佐は、講演「紛争のパターン(Patterns of Conflict)[14]」で同様の結論に達しており、この講演でミッション・コマンドが軍事意思決定プロセス(MDMP)と指揮・統制(C2)に及ぼした影響を分析している。このような手順的な観点は、プロイセンの将軍がミッション・コマンドを開発した主な理由は19世紀の技術的イノベーション(technological innovation)であったという歴史的説明と完全に一致する。長距離と高速移動のため、会戦の集権指揮はもはや不可能になったからである[15]。
ミッション・コマンドの起源が、少なくとも部分的には、軍のリーダーシップのスピードと軍事行動の乖離をもたらした技術イノベーション(technical innovations)に起因すると仮定する。そうであれば、冷戦終結以降の新技術の導入がミッション・コマンドにどのような影響を与えたのかという疑問が生じるだろう。これは、ミッション・コマンドを調整の取組みと相容れない「必要悪(necessary evil)」と見なす人々にとって特に魅力的である。こうした意見は1990年代に既に存在していた。「ミッション・コマンドは、最後の非デジタル中隊指揮とともに消滅するだろう[16]」。そして近年、自動化と人工知能(AI)の文脈で新たな注目を集めている[17]。
しかし、ミッション・コマンドの優位性を踏まえ、「この傾向に伴う潜在的なリスクは、ミッション・コマンドを犠牲にして戦いをマイクロマネジメントすることだ」と指摘する者もいる[18]。これらの著者や他の著者は、ミッション・コマンドは保持されるべきだと断言している[19]、[20]。しかしながら、ミッション・コマンドが存続できるのか、また存続すべきなのかという疑問は残る[21]。
この傾向に伴う潜在的なリスクは、ミッション・コマンドを犠牲にして戦いをマイクロマネジメントすることである。
軍の指揮は、集権化(centralisation)と分権化(decentralisation)を対立する選択肢としてではなく、任務の文脈と内容に応じて指揮が適応すべきスペクトラムの両端として扱うべきである。これには、ミッション・コマンドの包括的な理解が必要であり、我々は「指揮・リーダーシップ・マネジメント(Command-Leadership-Management: CLM)」のフレームワークを通してこれにアプローチする[22]。
このアプローチはスティーブン・バンゲイ(Stephen Bungay)[23]に遡り、イギリス陸軍のリーダーシップ・ドクトリン[24]として採用され、パトリック・ホフステッター(Patrick Hofstetter)[25]によって定義が明確化され、2025年にスイス国防省の「ビジョン2030戦略(Strategie zur Vision 2030)」によってスイス軍向けに正式化された[26]。簡単な説明では、「指揮・リーダーシップ・マネジメント(CLM)」フレームワークによって、リーダーがミッション・コマンドの3つの重要な側面、つまり第1に軍事ドクトリンとしての重要性[27]、第2にリーダーシップ哲学としての文化的重要性[28]、第3に指揮・統制(C2)と軍事意思決定プロセス(MDMP)の両方での顕在化による手順的および構造的重要性[29]に対処する方法を示す。この全体論的な見方は、一方ではこの3つが組み合わさったモデルで十分であり、他方ではミッション・コマンドの3つの次元は相互に関連しており、それに応じて分析する必要があることを認識するのに役立つ。
著者作成 |
このモデルは、指揮は任務中心(mission-centric)、リーダーシップは人中心(people-centric)、マネジメントは組織中心(organisation-centric)と定義している。これらの側面は、組織の様々な領域に表れる。
・ 命令、すなわち、任務が一般的にどのように達成されるかは、ドクトリンに表れる。
・ リーダーシップ、つまり、一般的に人々が扱われる方法は、文化に表れる。
・ マネジメント、つまり組織が一般的にどのように機能するかは、プロセスと構造に表れる。
コンセプト的には、ミッション・コマンドは、機動戦(manoeuvre warfare)、消耗戦(attrition warfare)、ゲリラ戦(guerrilla warfare)[30]、マルチドメイン作戦(MDO)、ネットワーク中心の戦争(NCW)[31]などの標準化された戦術的アプローチ、作戦的アプローチ、または戦略的アプローチという意味でのドクトリンではない。ミッション・コマンドは、多かれ少なかれ特定の用兵ドクトリン(warfighting doctrine)に一致する可能性のある一般的な指揮ドクトリン(command doctrine)である。
ミッション・コマンドを文化的に考える場合、ミッション・コマンドをうまく適用するための前提条件を検討すると役立つ。導入に伴う障害は、エドガー・H・シャイン(Edgar H. Schein)の組織文化モデル[32]を用いて徹底的に検討されている[33]。しかし、その影響は双方向に作用する。ミッション・コマンドがフォロワーに力を与えるならば、それは間違いなく彼らの信頼、自信、そして主導性(initiative)を育み、ひいてはミッション・コマンドの成功に資する特性となる。この文化は、ホットステートでは構築できない。そのため、ドナルド・E・ヴァンダグリフ(Donald E. Vandergriff)は、「ミッション・コマンドは、基礎訓練の最初からすべての教育と訓練に統合されなければならない」と提言している[34]。
ミッション・コマンドを文化的に考える場合、ミッション・コマンドをうまく適用するための前提条件を検討すると役立つ。
ミッション・コマンドがドクトリンや文化に影響を与えることができるのと同様に、プロセスや構造にも影響を与える。他のドメインと同様に、ここでも影響は相互的である。しかし、ミッション・コマンドは構造ではなくプロセスに影響を与える。結局のところ、指揮・統制(C2)構造は主に政治的または戦略的な決定であり、したがってミッション・コマンドの前提条件であり、結果ではない。
相互依存性(interdependencies)という点では、2つの点が際立っている。軍事意思決定プロセス(MDMP)は主にドクトリンに関連し、指揮・統制(C2)構造は主に文化に関連している。前者は、意思決定プロセスが究極的には任務遂行の一般的な形式、いわばドクトリン的な内容に満ちた手順の青写真に過ぎないためである。後者は、純粋に社会学的な考察から生じる。つまり、特定の構造内で互いに近い者同士が影響を与え合う可能性が高くなる。例えば、防空部隊が地上部隊に従属している場合、より緊密な交流を通じて、防空部隊は地上部隊と文化的に同調する傾向がある。一方、防空部隊が空軍の一部である場合、対応する文化圏の一部でもある。
著者作成 |
各国軍の軍事意思決定プロセス(MDMP)は国によって特性が異なる。しかし、国固有の答えではなく、一般的な答えを得るには、汎用的なプロセスが必要である。ボイド(Boyd)がOODA(観察する(Observe)、方向付ける(Orient)、決定する(Decide)、行動する(Act))ループ[35]と表現した汎用的なプロセスは、この目的にかなっており、ミッション・コマンドと軍事意思決定プロセス(MDMP)の依存関係を、特定の国特有の形式ではなく、一般的に明らかにしている。同様に、ボイド(Boyd)自身も第二次世界大戦におけるドイツのミッション・コマンドのアプローチの明らかな優越性(apparent superiority)を説明するためにOODAフレームワークを用いている[36]。
・ 「ドイツにおける任務のコンセプトは、上司と部下の間の契約、つまり合意と考えることができる。部下は、上司の意図(his superior’s intent)に沿って行動し、何を達成すべきかという点で同意する。一方、上司は、どのようにその意図を実現するかという点で、部下に想像力と主導性(initiative)を発揮する幅広い自由を与えることに同意する[37]」。
・ 「ドイツの指揮・統制システムの秘密は、暗黙のうちに、あるいは互いに伝達されないことにある。つまり、下位レベルの主導性(initiative)を活用しつつ上位レベルの意図を実現することで、摩擦を減らし、時間を短縮し、迅速性と安全性の両方を獲得するのだ[38]」。
ボイド(Boyd)の中心的な主張の一つは、戦争を成功させるには、自らのOODAループを相手(opponent)よりも速く回転させ、理想的にはスピード、妨害、あるいは欺瞞によって相手(opponent)のループを崩壊させることが不可欠であるという点である。ボイド(Boyd)よりずっと以前から、戦争においてスピードが重要であることは認識されていた。例えばクラウゼヴィッツ(Clausewitz)は「一瞥(coup d’œil:クー・ドーユ)」という言葉を用いて、軍事的天才を特徴づけるのは「通常であれば見逃してしまう、あるいは長い研究と熟考を経て初めて気づくような真実を素早く認識すること」であると説明している[39]。
AIがこのような迅速な認識を促進できることは明らかである。19世紀の技術進歩が加速を可能にしたように、21世紀のイノベーションはOODAループにも反映されている。次のセクションでは、AIを軍事意思決定プロセス(MDMP)、あるいはより一般的にはOODAループに統合する方法について具体的に説明する。そのため、ボイド(Boyd)のOODAループをより詳しく説明する必要がある。
AIが軍事意思決定プロセス(MDMP)に与える影響
OODAループは、当初は米空軍のパイロット兼戦略家であるジョン・ボイド(John Boyd)大佐によって空中戦における意思決定を説明するために開発されたが、その後、多くの西側諸国の軍隊が現代の紛争における適応的意思決定のコンセプト的フレームワークとして採用してきた[40]。その抽象化により、国家のドクトリンや部隊編成に依存しないコンセプト的な議論が可能になる。軍事的成功は、敵対者よりも迅速かつ首尾一貫してこのループを遂行することから生まれるというボイド(Boyd)の核心的な考えに従い[41]、次のセクションでは、AIが各OODAループのステップにどのように影響を与えるか、そしてこれが現代戦における軍事意思決定プロセス(MDMP)の構造と力学を根本的にどのように変える可能性があるかを検討する。
OODAループの最初のステップである「観察(observe)」は、作戦環境から情報を収集することを指す。センサーとデジタル・システムは、ますます増加するデータ量を生成し、現代の紛争におけるこのステップを形作っている。ISR(インテリジェンス・監視・偵察)システム、衛星画像、ドローンからの映像、サイバー・インテリジェンスは、人間のオペレーターの処理能力をはるかに超える情報密度を生み出す[42]。情報の適時性や入手可能性が制約要因であった過去とは対照的に、現代の部隊はますます逆の問題に直面している。つまり、生のデータは豊富にあるものの、それを実用的な知識に変換する能力が限られているということである。
ISR(インテリジェンス・監視・偵察)システム、衛星画像、ドローンからの映像、サイバー・インテリジェンスは、人間のオペレーターの処理能力をはるかに超える情報密度を生み出す。
AI、特に機械学習とパターン認識は、データ過負荷の軽減に役立つ。データ・ストリームの迅速なリアルタイム・フィルタリング、クラスタリング、優先順位付けを可能にする。AI支援システムは、人間の分析のみに頼るのではなく、自律的に異常を検知し、脅威を分類し、多様な入力情報を統合して一貫した画像を構築することができる[43]。しかし、AI支援による「観察(observation)」の精度はデータの品質とアルゴリズム・デザインに依存しており、これが軍事意思決定プロセス(MDMP)に新たな不確実性をもたらす。
AI支援による「観察(observation)」の具体的な用途と信頼性は、それが運用される指揮レベルにも依存する。戦術レベルでは、AIは主にリアルタイムのセンサー・データ融合、ターゲット認識、迅速な脅威分類に用いられ、機動部隊の直接的な支援に利用されている。これらのシステムは厳しい時間的制約の下で運用され、無人航空機や火力統制システムなどのプラットフォームに組み込まれることが多い[44]。
作戦レベルでは、AIは複数の部隊の連携、戦力配分、そして予測モデリングと作戦ウォーゲーミングを通じた敵対者の動きの予測に貢献する。ここで必要なデータの範囲はより広く、システムは異なるドメインや編成からの入力を合成する必要がある[45]。
戦略レベルでは、AIはインテリジェンス分析、長期シナリオ・プランニング、情報およびサイバー・ドメインにおける新たな脅威の検知においてますます活用されている。このレベルでは、地政学的、経済的、軍事的指標を横断したパターン認識が、スピード重視から重視されるようになる[46]。そのため、各レベルはデータ量、信頼性、意思決定の範囲に関してそれぞれ異なる課題を伴う。そのため、AIは技術レベルと指揮レベルの両方の文脈に合わせて調整する必要がある。
戦略レベルでは、AIはインテリジェンス分析、長期シナリオ・プランニング、情報およびサイバー・ドメインにおける新たな脅威の検知においてますます活用されている。
OODAループの2番目のステップである「方向づけ(orient)」は、ボイド(Boyd)の理論の中核を成す。「観察(observation)」はデータを提供するが、「方向づけ(orientation)」はそれに意味を与える。ボイド(Boyd)はこのステップを、文化的背景、過去の経験、訓練、そして分析的推論を合成するものと説明した[47]。ミッション・コマンドとAIに関して、ジョンソン(Johnson)は、「方向づけ(orientation)」のステップが優先事項として理解されなければ、ボイド(Boyd)の理論の核心的なメッセージは失われると強調している[48]。そのため、クラウゼヴィッツ(Clausewitz)の「一瞥(coup d’œil:クー・ドーユ)」が決定ではなく「方向づけ(orientation)」を指していることは印象的である。
最終的に、「方向づけ(orientation)」は情報の解釈を形作り、行動選択肢の含意へと繋がる。AIは、データの分析だけでなく、構造化と提示によってもこのプロセスに貢献する。現代の指揮システムでは、AIツールは相関関係を強調し、リスクを評価し、起こりうる展開を提案することで指揮官を支援する[49]。しかし、これらの出力は、過去のデータと定義されたパラメータに基づいて訓練されたアルゴリズムモデルに依存している。慎重に統合されなければ、このようなシステムは状況の解釈を狭め、検討可能な選択肢の多様性を低下させる可能性がある。
したがって、上級・下級のリーダーは、AIは人間の判断を置き換えるのではなく、支援するものであることを理解する必要がある。主導性(initiative)と独立した意思決定が不可欠なミッション・コマンドにおいては、指揮官は必要に応じてAIが生成した提案に疑問を呈したり、それを覆したりできる必要がある。
OODAループの3番目のステップである「決定する(decide)」は、処理・解釈された情報に基づいて行動方針を選択することを指す。伝統的に、このステップは指揮官の経験、状況認識、そして作戦意図に基づいて行われてきた。AIの統合により、この意思決定プロセスは、シミュレーション、分析、ウォーゲーミング・システムなどのAIツールによってますます支援されるようになっている[50]、[51]。
これらのツールには明確な利点がある。より短期間でより広範なシナリオを評価し、リスクを定量化し、起こり得る結果を視覚化できる。特に時間的制約が厳しい状況や複雑な状況では、こうしたシステムは認知負荷を軽減し、意思決定のスピードを向上させるのに役立つ。しかし同時に、意思決定を後続者に委譲するという問題も生じる。AIシステムへの信頼が高まるにつれて、特に時間的制約のある状況では、若手レベルの戦術リーダーはAIの推奨を精査することなく従う傾向が見られるようになるだろう。
この力学により、意思決定支援と意思決定自動化の境界があいまいになっている。研究によると、オペレーターはプレッシャーのかかる環境下では、批判的な検討をせずにアルゴリズムの推奨に従うことが多い。これは自動化バイアスと呼ばれる現象である[52]、[53]。部分的な自動化は技術的には実現可能かもしれないが、戦略アナリストは、特に法的責任や作戦倫理が関係する状況では、人間による監視が引き続き必要であることを強調している[54]。ミッション・コマンドのフレームワークの中では、意思決定は、最終責任を負う指揮官と、その信頼が不可欠な部下の両方に対して、理解可能で透明性があり、帰属可能なものでなければならない。指揮官にとって、透明性は説明責任を保証し、効果的なリーダーシップを可能にする。部下にとっては、透明性は信頼を育む。ブラックボックスシステムは、ミッション・コマンドが要求する主導性(initiative)と信頼の基盤をほとんど提供しない。課題は、機械が生成した選択肢がより効率的または統計的に妥当に見える場合でも、それらに対する人間の権威を維持することにある。
部分的な自動化は技術的には実現可能かもしれないが、戦略アナリストは、特に法的責任や作戦倫理が関係する状況では、人間による監視が引き続き必要であることを強調している。
OODAループの4番目のステップである「行動(act)」は、一連の行動を実行することを意味する。従来の作戦理解では、このステップは指揮系統、通信、そして部隊展開と結び付けられていた。しかし、自律型および半自律型システムの使用増加に伴い、このステップは大きく変化している。無人プラットフォーム、徘徊型弾薬(loitering munitions)、そしてアルゴリズム制御の防御システムは、特に係争環境(contested environments)において、人間よりも迅速に対応することができる[55]。
技術的には、AIを戦術実行(最下層の指揮・統制下での運用)に統合することは、大きな優位性をもたらす。自律システムは数ミリ秒以内に応答し、制限された環境下で運用し、事前定義されたパラメータに基づいて複雑な機動を実行できる。しかし、これらの能力にはコストが伴う。システムの作戦上の自由度が高まると、説明責任、作戦規定(ROE)、適応性に関する懸念が生じる[56]。誤認された指揮や予期せぬ環境変数によって引き起こされる、人間の意図と機械の実行の間の作戦上の不一致(operational misalignment)は、リスクとなる[57]。
これらの懸念は、人間の意思決定や行動がAIや自動兵器よりも根本的に優れていることを意味するものではない。人は意識的にも無意識的にも間違いを犯す。自ら課したものであれ、外部から義務付けられたものであれ、法律を破り、個人的なものであれ普遍的なものであれ、道徳基準に違反する。不一致は人間と機械の問題だけでなく、何よりもまず人間と人間の問題である。しかし、人々は機械の間違いよりも他人の間違いを受け入れやすいものである。非合理的かもしれないが、ロボット・タクシーが子供をはねた途端、人々はロボット・タクシーを拒否する。たとえロボットの間違いの確率が平均的な人間の運転手の間違いの確率よりもはるかに低いとしてもである[58]。
しかし、責任の帰属と説明責任を求める欲求は、人々の単なる直感的な欲求ではない。究極的には、国家の行動に対する啓蒙の要請である。人間は行政府の恣意性から保護されるべきであり、司法は正義を取り戻すために起こりうる誤りを正すべきである。誤りを犯す指揮官は有罪判決を受け処罰される可能性があるが、誤りを犯すロボットはそうではない。たとえこの説明責任への欲求が理性ではなく感情や直感から生じたものであったとしても、法哲学的な根拠に基づいて妥当性を保つことができる[59]。
ミッション・コマンドにおいては、「実行する(act )」ステップにおいて、ある程度の人間による監視が不可欠である。スピードと効率性を高めるために、特定の機能を委任することは可能だが、全体的なフレームワークは、行動が単なるコードではなく、意図に基づいて行われることを保証する必要がある。これには、介入メカニズム(mechanisms for intervention)、中止基準(abort criteria)、そして実行チェーンにおける人間と機械の権限の明確な区分が含まれる。
潜在的な「対立者(antagonists)」が、法的または倫理的制約について同じ懸念を共有していない可能性もあるのは事実である。しかし、これは新しい問題ではない。軍事倫理と国際人道法は、こうした規範を無視する相手(opponent)への対処という課題に長年取り組んできた。ジュネーブ諸条約は、相手(opponent)が無視したとしても、我々の義務が免除されるわけではないことに同意している[60]。報復に関する考慮事項が示すように、軍倫理の観点から見ると、この問題はより複雑に見える[61]。しかし同時に、相手(opponent)が異なる基準を遵守しているという理由で我々が自らの倫理基準を拒否することは、自らの倫理基準を放棄することに等しい。我々がこれらの原則にコミットするかどうかは、相互関係ではなく、我々が守ると主張する価値観を堅持するかどうかにかかっている。
軍事倫理と国際人道法は、こうした規範を無視する相手(opponent)への対処という課題に長年取り組んできた。
AIをOODAループに統合することは、軍事的意思決定における論理的進化と根本的な変化の両方をもたらす。「観察(observation)」、「方向づけ(orientation)」、「決定(decision)」、「行動(action)」という4つのステップすべてにおいて、AIシステムはスピードの向上、認知的負荷の軽減、そして人間の能力を超えた複雑性への対応を可能にする可能性を秘めている。こうしてAIシステムは、ボイド(Boyd)の包括的到達目標、すなわち敵対者の意思決定サイクル内で活動し、戦術的優位性および作戦的優位性を獲得するという到達目標の達成を支援する[62]、[63]。
著者作成 |
ミッション・コマンドの観点から見ると、課題はAIの使用を阻止することではなく、AIの統合において、分権型かつ意図主導型のリーダーシップの根底にある原則を尊重することを確実にすることである。人工知能が最終的に軍事意思決定プロセス(MDMP)とミッション・コマンドにおける集権化(centralisation)を促進するか、分権化(decentralisation)を促進するかは、その能力がどのように運用されるかにかかっている。
集権化と分権化:対立から連続へ
軍のリーダーは、AI時代の指揮を、もはや集権化(centralisation)対分権化(decentralisation)という二元論的なレンズを通してコンセプト化することはできない。むしろ、指揮は適応的な連続体であり、その中で軍隊は作戦上の文脈に応じてリアルタイムで自らを再編成しなければならない。技術の進歩は、時には集権的な指揮を促進する一方で、他の時には下級レベルの自律性を高める。例えば、AIによって可能になった「全知の作戦図(omniscient operational picture)」へのアクセスは、上級指導部が集権的な意思決定ハブからすべての戦術的行動をマイクロマネジメントする誘惑に駆られる可能性がある。さらに、潜在的なサイバー攻撃と電磁スペクトラムの複雑さは、「戦術的末端部隊(tactical edge)」での分権型主導性(decentralised initiative)を強化するためにAIがより効果的に活用される可能性があることを示唆している[64]。したがって、集権化(centralisation)と分権化(decentralisation)は相互に排他的な選択肢としてではなく、調整しなければならない単一の動的なもの(single dynamic)の2つの極として理解されるべきである。
西側諸国の軍隊は、この集権化(centralisation)と分権化(decentralisation)の連続体の中で常に舵を取り、作戦上の要件に基づいて態勢を調整している。最近の作戦上のフィードバックは、こうした柔軟性の重要性を裏付けている。この弁証法は新しいものではなく、集権的な意図と分権的な実行を主張するミッション・コマンドの伝統を継承したものである。これは、任務関連、人的要因、組織的要因の影響と重みを測定するフレームワークを通して評価できる。西側諸国の軍隊の場合、この配分は、集権化(centralisation)と分権化(decentralisation)への唯一の実行可能なアプローチは、NATOのミッション・コマンド・モデルと概ね整合したものであることを示唆している。AIはこの基盤を損なうのではなく、むしろ内部の緊張を激化させる。AIは、ほぼ全知的な集権的統制と現場レベルの自動意思決定を可能にするのである[65]。
真に流動的で機敏な指揮理解は、階層レベルと行使される指揮機能に応じて集権化(centralisation)の度合いを適応させる能力を備えていなければならない。戦略レベルと作戦レベルにおいては、共通のビジョンと取組みの統一性(unity of effort)を維持するために、ある程度の集権化(centralisation)が依然として不可欠である。これらの指揮階層では、インテリジェンス集約と戦役計画策定支援のために、大規模言語モデル(LLM)などの堅牢な集権型AIシステムの統合が既に観察されている[66]。これらの戦略的AIツールは膨大な量のデータを処理し、グローバルな選択肢を生成することができ、指揮官の上位層における一種の「ハイブリッドな人間と機械の判断」に貢献している[67]。
しかしながら、これらのレベルにおいても、指揮官はリーダーシップのスタイルを適応させるためにドクトリン上の柔軟性を維持する必要がある。複雑な戦場では、一時的に統制を再調整する必要が生じる場合があり(例えば、マルチドメイン作戦(MDO)の調整)、その後、状況の変化に応じて権限を下位の階層に再委譲し、より高度な主導性(initiative)が求められることもある。
複雑な戦場では、一時的に統制を再調整する必要が生じる場合があり、その後、状況の変化に応じて権限を下位の階層に再委譲し、より高度な主導性(initiative)が求められることもある。
しかし、戦術レベルでは、戦闘のリアルタイムの混乱に対応する上で、分権型主導性(decentralised initiative)が極めて重要になる。ここでは、組み込みAI(エッジAI)と自律システムが決定的な役割を果たす。インテリジェント・センサー、オンボード・ベイズ・アルゴリズム、軽量の意思決定支援システムは、最前線部隊に上位レベルの指示に依存しない即時の分析と行動能力を提供する。これは、拡張OODAループのコンセプトを強化するものであり、「観察する(Observe)」、特に「方向付ける(Orient)」のステップはAIによって加速され、「決定する(Decide)」と「行動する(Act)」のステップは、指揮官の意図に沿った形で、情報に基づいた方法で現場において実行される。このような統合により、小規模な部隊は敵対者よりも早く意思決定サイクルを完了することができ、現代の軍事ドクトリンで求められる決心の優越性(decision superiority)に貢献する[68]。
AI支援によって人間のパフォーマンスが向上するというこのコンセプト化においては、軍の指揮・統制における集権化(centralisation)と分権化(decentralisation)の間の継続的な適応が、デジタル進化における重要な道筋として浮かび上がってくる。下位階層における分権的な自律性は、統制の欠如を意味するものではない。指揮・統制は継続的な情報の流れを通じて可視性を維持し、必要な場合にのみ介入するか、戦略目標に応じて取組みの方向転換を行う。こうしたすべての考慮が、この軍の指揮・統制における適応的な連続性へと繋がる。
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同時に、「指揮・リーダーシップ・マネジメント(CLM)」モデルの各ドメイン(指揮、リーダーシップ、マネジメント)は、AIを活用した適応性からそれぞれ異なる恩恵を受ける。指揮は、「戦略的な方向づけ(strategic orientation)」を支援し、意図の明確な伝達を保証する集権型AIツールの恩恵を受ける。戦術的AIはリーダーシップを根本的に変革している。現場指揮官は、拡張OODAループに示されているような、「前例のない現場の意思決定支援ツール(unprecedented local decision-support tools)」を装備し、全体的な戦略方向と密接に結びついた半自律的な行動を可能にしている。最後に、マネジメントは分析AIシステムを活用して、集権化(centralisation)を優先する傾向がある兵站を最適化できる。しかし、自己組織化ツール(例えば、リアルタイムの最前線のニーズに基づいて補給を動的に割り当てるGallatinなどのモデル)を介して、特定の意思決定を下位レベルに委任することもできる[69]。
戦術的AIはリーダーシップを根本的に変革している。
このように、AI は差別化された触媒として機能する。つまり、グローバル・ビジョンを合成する際の指揮の集権化、実行の加速による最下層のリーダーシップの強化、機能横断的な最適化を可能にすることでマネジメントの合理化を実現する。
より批判的な視点から見ると、集権化(centralisation)と分権化(decentralisation)の間のこの流動的な移行は、理論上は理想的であるものの、軍組織内に根強く残る構造的、ドクトリン的、そして文化的な力と衝突する。一方で、西側諸国の軍隊は、委任と従属的な主導性(initiative)を重視するミッション・コマンドの哲学と補完性の原則に深く根ざしている。これらの原則は、不確実性と戦場の混乱にもかかわらず行動する必要性から生まれた、重要なドクトリン上の遺産である。リーダーは明確な意図を定め、その後は実行手段の統制を放棄し、有能な部下が機会を捉えられるようにしなければならないと主張している。この信頼と権限委譲(empowerment)の文化は、あらゆる効果的な分権化アプローチの前提条件である。
一方、集権化(centralisation)への誘惑は、技術革命(technological revolution)のたびに再び浮上する。今日では、ハイパー・コネクティビティ、膨大なデータとAIの可用性により、軍の司令部は世界的な監視意識を持つようになり、それが意思決定権限の集権化につながる可能性がある。平時や分権した脅威に直面している際には、調整を最適化するために集権的な統制が理にかなっているように見えるかもしれない。「集権的な計画策定は、最適化能力への信念の表れである」[70]。この反射的な行動は産業革命時代の遺産であり、コントロール錯覚などの認知バイアスによって強化されている可能性が高い[71]が、実際の戦闘で求められる即応性を損なう危険性がある。これは、西側諸国の軍隊が重視するミッション・コマンドの哲学に反する可能性がある。
集権的な計画策定は、最適化能力への信念の表れである。
この緊張は、技術アーキテクチャと組織アーキテクチャの間に潜む矛盾を反映している。例えば、フランス陸軍は、特定の「集権的なデジタル・ツール」と官僚機構の複雑さが「部下の主導性(initiative)を鈍らせ、麻痺させ、あるいは阻害する」可能性があると観察している[72]。AIは、トップダウン型の遍在的な統制を強化することでこの機能不全を悪化させる可能性もあれば、部下に独立して洞察力を持って行動する手段を与えることで、この機能不全の改善に役立つ可能性もある。
決定的な違いは、採用されている指揮・統制文化にある。西側諸国の軍隊は、長年にわたる分権型意思決定の伝統を有しており、AIを監視ではなく権限委譲(empowerment)のツールとして活用する上で特に有利な立場にあると言えるだろう。しかしながら、そのためには訓練、教育、そしてドクトリンの適応への継続的な投資が必要である。人的要因、特に指揮階層間の相互信頼は、この変革において依然として中心的な役割を果たす。盲目的な委任や押し付けがましい干渉に屈することなく、AIが生成した勧告を信頼することを学ぶことが極めて重要となる。
同様に、補完性の経験が少ない軍隊も進化する可能性がある。最近の中国の軍事思想家によるドクトリン上の考察では、新興技術に支えられた柔軟性の向上(greater flexibility)と現場の主導性(local initiative)も提唱されている[73]。これは、文化決定論が作戦上の現実とAIがもたらす機会によって混乱する可能性があることを示唆している。
二元論から多元論へ:軍事指揮の適応モデルに向けて
これらの分析は、AI時代における集権化(centralisation)と分権化(decentralisation)の動的な流れを視覚的に表現できる適応型指揮の理論モデルの必要性へと収束している。各軸が主要な要素に対応する3次元のフレームワークを想定することができる。すなわち、指揮の集権化(centralisation)の程度(完全な集権化から完全な分権化まで)、指揮レベルまたは行動規模(戦略的から戦術的まで)、そして採用されるAIの種類(集権型クラウド・ベースAI/大規模言語モデル(LLM)、分権型ベイジアンAI、組み込み型エッジAI)である。
この3次元空間において、指揮は固定点を占有するのではなく、変化する作戦上の要求を反映した多様な可能性のボリューム内を動き回る。例えば、高度な特殊作戦は、組み込みAIが優勢な、戦術軸上の高度に分権化された点として表現される可能性がある。対照的に、初期の統合部隊戦役(joint-force campaign)は、インテリジェンス集約AIシステムに支えられた戦略的に集権化された極に近い位置にあるように見えるかもしれない。このモデルは動的である。このボリューム内の軌跡またはベクトルは、作戦の展開に伴い、状況の変化(新たな脅威、通信途絶、好機)に対応しながら、ある指揮モードから別の指揮モードへの移行を示す。
高度な特殊作戦は、組み込みAIが優勢な、戦術軸上の高度に分権化された点として表現される可能性がある。
「指揮・リーダーシップ・マネジメント(CLM)」モデルは、この三次元性を強化する。指揮は、ドクトリン的アプローチを捉える「指揮レベル」軸によって定義される平面と平行であり、リーダーシップ次元は、人間的アプローチを表す「集権化の度合い(degree of centralisation)」軸の平面と一致し、マネジメントは、構造的アプローチを反映する「採用されるAIの種類」軸によって定義される平面と平行である。
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このようなコンセプト的フレームワークにより、遷移を視覚化することができる。たとえば、交戦開始時の集権的な制御から、行動がより複雑になるにつれて従属部隊に付与される自律性の増加への段階的な移行、その後、決定的な取り組みを同期させるために一時的な再集権化(recentralisation)が行われる可能性などである。
また、このモデルは、異なるドメインの具体的な貢献を明らかにし、モデル内の位置に応じてどの次元が支配的になるかを強調している。このモデルを3次元空間に適用することで、将来の指揮に関する批判的かつ将来を見据えた視点が得られる。批判的視点とは、軍の指導者に認知バイアス(過度な集権化や容易な統制放棄といった傾向)に立ち向かうよう促し、最適なスペクトラムに沿った継続的な再配置を促すという点である。また、将来を見据えた視点とは、AIによって実現される斬新で機敏な組織形態への道を開くという点である。
究極的には、人工知能時代の指揮とは、敵対者よりも迅速に自らの行動様式を再構築する能力に優越性(superiority)を持つ、複雑適応型システム(complex adaptive system)として理解されるだろう。特定の技術ではなく、このドクトリン的、知的、そして構造的な機敏性こそが、明日の決定的な優位性を構成するだろう。したがって、課題は単に集権化(centralisation)と分権化(decentralisation)の弁証法や、より高速で最適化されたOODAループの実現ではなく、ドクトリン、文化、そして組織がそれぞれ重要な役割を果たす多次元的で動的である。
人工知能時代の指揮とは、敵対者よりも迅速に自らの行動様式を再構築する能力に優越性(superiority)を持つ、複雑適応型システム(complex adaptive system)として理解されるだろう。
この変革に対応するには、技術的イノベーション以上のものが求められる。AI時代に適応した新たなドクトリン、文化、そして指揮構造(command structures)が求められる。ミッション・コマンドに内在するアジャイル精神(agile spirit)と大胆さ(agile spirit)を維持しながら、AIを活用して意思決定の精度とスピードを向上させるものである。AIの統合は、抽象的な原則から具体的な応用への移行を迫る。集権化(centralisation)と分権化(decentralisation)のダイヤルを継続的に調整するには、持続的な知的規律、組織の機敏性、そして何よりも未来に適応したドクトリンが求められる。
提案された動的モデルは、機敏性の向上に向けたコンセプト的なステップに過ぎない。それは、変化について考えるための包括的なフレームワークを提供し、軍事ドクトリン、文化、構造、手順の中で変化を実行するために必要な条件となる。
ノート
[1] ジェームズ・ジョンソン(James Johnson)著「インテリジェント・マシン時代のOODAループの自動化:デジタル時代の指揮・統制の意思決定における人間の役割の再確認」、国防研究23、第1号(2023):43-67。
[2] ルネ・A・ヘレラ(René A. Herrera)著「歴史、ミッション・コマンド、そしてアウフトラグスタクティックへの熱狂」 、ミリタリー・レビュー、2022年7~8月、https://www.armyupress.army.mil/Journals/Military-Review/English-Edition-Archives/July-August-2022/Herrera/、2025年3月21日にアクセス。
[3] エイタン・シャミール(Eitan Shamir)著「コマンドの変革:米軍、イギリス軍、イスラエル軍におけるミッション・コマンドの追求」スタンフォード、カリフォルニア州:スタンフォード大学出版局、2011年。
[4] 陸軍省、「ミッション・コマンド:陸軍部隊の指揮・統制(ADP 6-0)」、ワシントンD.C.:陸軍省本部、2019年。
[5] イギリス陸軍、「陸軍リーダーシップ・ドクトリン」、2021年、https://www.army.mod.uk/media/25267/cal-mission-command-and-leadership-on-operations-2024-final-v2.pdf、2025年3月21日にアクセス。
[6] ヴィタリー・シュヴァリウチンスキー(Vitalii Shvaliuchynskyi)著「ミッション・コマンドと人工知能」、空軍士官学校レビュー1、第1号(2023):85〜92、https://sciendo.com/pdf/10.2478/raft-2023-0010、2025年3月21日にアクセス。
[7] リチャード・サンダース(Richard Sanders)著「ミッション・コマンド:対等な紛争のためのドクトリン的改善」、ワイルド・ブルー・ヨンダー4、第2号(2023):45–58、https://www.airuniversity.af.edu/Wild-Blue-Yonder/Articles/Article-Display/Article/3913449/mission-command-doctrinal-improvements-for-peer-conflict/、2025年3月21日にアクセス。
[8] NATO、「同盟国統合出版物AJP-01(D): 同盟国統合ドクトリン」、ブリュッセル: NATO標準化事務所、2022年。
[9] ゾルタン・ファゼカス(Zoltán Fazekas)著「軍事作戦における信頼と人工知能」、タリン:NATO協力サイバー防衛高等研究所(CCDCOE)、2022年。
[10] アリスター・バイフォード(Alistair Byford)著「航空指揮・統制について我々はどれだけ理解しているか?」エア・パワー・レビュー17、第2号(2014年):92-97。
[11] ドナルド・E・ヴァンダグリフ(Donald E Vandergriff)著「ミッション・コマンドの採用:優れたコマンド文化のためのリーダーの育成」ミネアポリス:ミッション・コマンドプレス、2018年。
[12] エイタン・シャミール(Eitan Shamir)著「変革する指揮」
[13] マーティン・ファン・クレフェルト(Martin van Creveld)著「戦闘:軍隊の組織とパフォーマンス」、1939~1945年、フライブルク: ロンバッハ、1989 年。
[14] ジョン・リチャード・ボイド(John Richard Boyd)著「紛争のパターン(Patterns of Conflict)」、未発表の説明スライド、1986年、https://www.ausairpower.net/JRB/poc.pdf、2025年3月21日にアクセス。
[15] ルネ・A・エレーラ(Réne A. Herrera)(2022年)は、これについてより微妙な歴史的説明を書いており、現代の解釈におけるいくつかの誤解を反駁するとともに、米軍におけるミッション・コマンドの現在の理解がせいぜいオリジナルの中途半端なコピーであることを示している。
[16] ロバート・L・ベイトマン(Robert L. Bateman)著「フォースXXIとアウフトラグスタクティックの終焉」、ARMOR、1996年1月~2月:13~15、https://www.benning.army.mil/armor/eARMOR/content/issues/1996/JAN_FEB/ArmorJanuaryFebruary1996web.pdf、2025年3月21日にアクセス。
[17] ロザリオ・M・シモネッティ(Rosario M. Simonetti)とパオロ・トリポディ(Paolo Tripodi)著「自動化と指揮・統制の未来:アウフトラグスタクティックの終焉?」Journal of Advanced Military Studies 14、第1号(2023年):85–102、https://www.usmcu.edu/Portals/218/JAMS_Vol14_No1_Simonetti_Tripodi.pdf、2025年3月21日アクセス。
[18] 同上、142。
[19] ペドロ・デレオン(Pedro DeLeon)とパオロ・トリポディ(Paolo Tripodi)著「マイクロマネジメントの排除とミッション・コマンドの採用」、ミリタリー・レビュー、2022年7月~8月:19~27、https://www.armyupress.army.mil/Portals/7/military-review/Archives/English/MilitaryReview_20220831_art005.pdf、2025年3月21日にアクセス。
[20] ジェームズ・M・ビーグル(James M. Beagle)、ジョン・D・スライダー(John D. Slider)、マイケル・J・アロル(Michael J. Arrol)著「21世紀のミッション・コマンド:現代戦への適応」、パラメータ53、第1号(2023年):35~47、https://press.armywarcollege.edu/parameters/vol53/iss1/4/、2025年3月21日にアクセス。
[21] 後者には正当性があり、それは「責任の連鎖」アプローチによって説明できる。パトリック・ホフステッター(Patrick Hofstetter)著「行政における軍事リーダーシップ訓練の付加価値:訓練の場からスイスにおける指揮、リーダーシップ、マネジメントのベンチマークへ」チューリッヒ行政フォーラム、no. 11 を参照。 10 (2025)、 https: //www.ius.uzh.ch/de/staff/professorships/alphabetical/glaser/Z%C3%BCrcher-FORUM-zur-Staatsleitung/Der-Mehrwert-milit%C3%A4rischer-F%C3%BChrungsausbildung-in-der-Staatsleitung.html、2025年4月15日にアクセス。
[22] パトリック・ホフシュテッター(Patrick Hofstetter)著「指揮、リーダーシップ、マネジメント: 95 Thesen zur Führung in der Schweizer Armee und darüber hinaus」、Stratos 3、no. 2 (2023): 126–135、https://stratos-journal.ch/ausgaben/stratos-3-2/hofstetter/、2025年3月21日にアクセス。
[23] スティーブン・バンゲイ(Stephen Bungay)著「21世紀のミッション・コマンド:別の視点」、イギリス陸軍レビュー150(2011年):20~29、https://www.army.mod.uk/our-people/army-command-organisation/command-leadership-management/、2025年3月21日にアクセス。
[24] イギリス陸軍、「陸軍リーダーシップ・ドクトリン」、2021年、https://www.army.mod.uk/media/25267/cal-mission-command-and-leadership-on-operations-2024-final-v2.pdf、2025年3月21日にアクセス。
[25] ホフシュテッター(Hofstetter)著「指揮、リーダーシップ、マネジメント」
[26] スイス軍、「Strategie zur Vision 2030 der Gruppe Verteidigung」、内部文書 81.377d、2025 年。
[27] ジム・ストー(Jim Storr)著「情報化時代の指揮哲学:ミッション・コマンドの継続的な重要性」、国防研究3、第3号(2003年):119-129、https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/14702430308405099、2025年3月21日にアクセス。
[28] ヴァンダグリフ(Vandergriff)著「ミッション・コマンドの採用」
[29] ボイド(Boyd)著「紛争のパターン」
[30] パトリック・ホフステッター(Patrick Hofstetter)、アラン・ボリオリ(Alan Borioli)、ティル・フレミング(Till Flemming)著「機動性は死んだが、復活できる:競争優位性を獲得することで膠着状態を克服する」ディフェンス・ホライズン・ジャーナル、2024年10月28日、https://tdhj.org/blog/post/manoeuvre-innovation/、2025年3月22日にアクセス。
[31] アーサー・K・セブロウスキー(Arthur K. Cebrowski)、ジョン・J・ガーストカ(John J. Garstka)著「ネットワーク中心の戦争:その起源と未来」、Proceedings 124、第1号(1998年):28-35、https://www.usni.org/magazines/proceedings/1998/january/network-centric-warfare-its-origin-and-future、 2025年3月22日にアクセス。
[32] エドガー・H・シャイン(Edgar H. Schein)著「組織文化とリーダーシップ」第2版、サンフランシスコ、カリフォルニア州:ジョセイ・バス、1992年。
[33] シャミール(Shamir)著「変革する指揮」
[34] ヴァンダグリフ(Vandergriff)著「ミッション・コマンドの採用」
[35] ボイド(Boyd)著「紛争のパターン」
[36] 同上
[37] 同上、スライド76。
[38] 同上、スライド79。
[39] カール・フォン・クラウゼヴィッツ(Carl von Clausewitz)著『戦争論(On War)』マイケル・ハワード(Michael Howard)、ピーター・パレット(Peter Paret)編訳(プリンストン大学出版、1976年)、102ページ。
[40] ボイド(Boyd)著「紛争のパターン」
[41] フランス・PB・オシンガ(Frans P.B. Osinga)著『科学、戦略、戦争:ジョン・ボイドの戦略理論』ロンドン:ラウトレッジ、2006年。
[42] ポール・シャーレ(Paul Scharre)著『無人の軍隊:自律型兵器と戦争の未来』ニューヨーク:WWノートン・アンド・カンパニー、2018年。
[43] マイケル・C・ホロウィッツ(Michael C. Horowitz)、ローレン・カーン(Lauren Kahn)、ポール・シャーレ(Paul Scharre)、ミーガン・ランバース(Megan Lamberth)、「アルゴリズム戦:スピードと統制のバランス」、サンタモニカ、カリフォルニア州:RANDコーポレーション、2020年、https://www.rand.org/pubs/research_reports/RRA1076-1.html、2025年3月21日にアクセス。
[44] シャーレ(Scharre)著『無人の軍隊』
[45] ホロウィッツ(Horowitz)他著「アルゴリズム戦」
[46] ヴィンセント・ブーラニン(Vincent Boulanin)、ネッタ・グサック(Netta Goussac)、ソニア・フェルナンデス(Sonia Fernandez)、モア・ペルダン・カールソン(Moa Peldán Carlsson)著「人工知能の戦略的安定性と核リスクへの影響」、ジュネーブ:国連軍縮研究所(UNIDIR)、2020年、https://unidir.org/publication/impact-artificial-intelligence-strategic-stability-and-nuclear-risk、2025年3月21日閲覧。
[47] ボイド(Boyd)著「紛争のパターン」
[48] ジョンソン(Johnson)著「OODAループの自動化」、47。
[49] ホロウィッツ(Horowitz)他著「アルゴリズム戦」
[50] シャーレ(Scharre)著『無人の軍隊』
[51] ホロウィッツ(Horowitz)他著「アルゴリズム戦」
[52] シャーレ(Scharre)著『無人の軍隊』
[53] ブラナン(Boulanin)他著「人工知能が戦略的安定性と核リスクに与える影響」
[54] ホロウィッツ(Horowitz)他著「アルゴリズム戦」
[55] シャーレ(Scharre)著『無人の軍隊』
[56] Total Military Insight、「交戦規則」、2025年4月11日アクセス、https://totalmilitaryinsight.com/rules-of-engagement/。
[57] シャーレ(Scharre)著『無人の軍隊』
[58] 自動運転の倫理の概要については、マルクス・マウラー(Markus Maurer)、J. クリスチャン・ゲルデス(J. Christian Gerdes)、バーバラ・レンツ(Barbara Lenz)、ヘルマン・ウィナー(Hermann Winner)編『自動運転:技術的、法的、社会的側面(Autonomes Fahren: Technische, rechtliche und gesellschaftliche Aspekte)』(ヴィースバーデン: Springer Vieweg、2015)内のパトリック・リン(Patrick Lin)著「自動運転車にとって倫理が重要な理由」、69–85を参照。
[59] クリストフ・ヘインズ(Christof Heyns)著「自律型兵器システム:尊厳ある人生と尊厳ある死」『自律型致死兵器:ロボット戦争の法と倫理の再検証』ネハル・ブータ(Nehal Bhuta)、スザンヌ・ベック(Susanne Beck)、ロビン・ガイス(Robin Geiß)、ヒンヤン・リウ(Hin-Yan Liu)、クラウス・クレス(Claus Kreß)編(オックスフォード:オックスフォード大学出版局、2016年)を参照。
[60] ジャン・ド・プルー(Jean de Preux)著「ジュネーブ条約と相互主義」『赤十字国際評論』(1961-1997年) 25巻244号(1985年):25-29頁。
[61] マイケル・ウォルツァー(Michael Walzer)著「正義と不正義の戦争:歴史的例証による道徳的議論」第5版(ニューヨーク:ベーシックブックス、2015年)、第13章。
[62] ボイド(Boyd)著「紛争のパターン」
[63] オシンガ(Osinga)著「科学、戦略、そして戦争」
[64] シドニー・J・フリードバーグ・ジュニア(Sydney J. Freedberg Jr)著「エンパワード・エッジ対集権化の罠:AIをより有効に活用するのは米国か中国か?」Breaking Defense、2024年2月、https://breakingdefense.com/2024/02/empowered-edge-versus-the-centralization-trap-who-will-wield-ai-better-the-us-or-china/。
[65] ベンジャミン・ジェンセン(Benjamin Jensen)とJ.S.クォン(J. S. Kwon)、「米陸軍、人工知能、ミッション・コマンド」、ウォー・オン・ザ・ロックス、2025年3月、https://warontherocks.com/2025/03/the-us-army-artificial-intelligence-and-mission-command/。
[66] 同上
[67] ティム・スチュワート(Tim Stewart)著「AIとOODAループ:AIが今日の戦闘員の戦略的意思決定をどのように強化するか」、Military Embedded Systems、2024年、https://militaryembedded.com/ai/big-data/ai-and-the-ooda-loop-how-ai-enhances-strategic-decisions-for-todays-warfighters。
[68] 同上
[69] コリン・デマレスト(Colin Demarest)著「独占:8VCの支援を受けたガラティンがAIを活用した軍事物流に参入」、Axios、2025年4月8日、https://www.axios.com/2025/04/08/gallatin-ai-8vc-military-logistics。
[70] デビッド・S・アルバーツ(David S. Alberts)とリチャード・E・ヘイズ(Richard E. Hayes)著「パワー・トゥ・ジ・エッジ:情報化時代の指揮…統制…」(ワシントンD.C.:CCRP、2003年)、http://www.dodccrp.org/files/Alberts_Power.pdf 62ページ。
[71] エレン・J・ランガー(Ellen J. Langer)著「コントロールの錯覚」『人格と社会心理学ジャーナル』 32巻2号(1975年):311-328。
[72] 陸軍、「目的による指揮とは何ですか?」、Ministère des Armées (フランス)、2023年、https://www.defense.gouv.fr/terre/chef-detat-major-larmee-terre/vision-strategique-du-chef-detat-major-larmee-terre/commandement-intention-0。
[73] ラリー・ワーツェル(Larry Wortzel)著「論文:中国軍の硬直性がミッション・コマンドを阻害する」、米国陸軍協会、2024年、https://www.ausa.org/publications/pla-and-mission-command-party-control-system-too-rigid-its-adaptation-china.


