米陸軍の統一されたネットワーク計画2021

米陸軍の変革への動きは、2021年3月16日に公表された米陸軍参謀総長文書「米陸軍マルチドメイン変革」という情報文書(information paper)に見て取ることが出来る。マルチドメイン作戦に対応する部隊になるための方策は、米陸軍近代化戦略米陸軍デジタル変革戦略などに具体化され、更に米陸軍のプロジェクト・コンバースなどによって、その実現の可能性が検証されつつあると言ってよいだろう。

ここで、紹介するのは2021年10月8日に公表された米陸軍のネットワーク計画である。ネットワーク計画という名前であるが、本文書では米陸軍が行おうとしているマルチドメイン作戦とはどのような戦いなのかをイメージすることが出来るものである。

通信・ネットワークは、正に作戦を支える重要な機能であり、戦いの方法が変われば、それに応じて新たな技術を適用しながら、変革していくものだということがよく分かる。

また、米陸軍の変革は時間のかかるものであり、これまでの資産を受け継ぎながら必要なものは取得し、使えるものは米陸軍としてまとめ上げていく、そして、その中には捨て去るものも出てくる。このことを決めるのも米陸軍が失われつつあった優位性(dominance)を確実なものへとしていくためのコンセプトであり、具体化されつつあるドクトリンであろう。(軍治)

米陸軍の統一されたネットワーク計画2021マルチドメイン作戦の実現に向けて –

THE ARMY UNIFIED NETWORK PLAN 2021 – ENABLING MULTI-DOMAIN OPERATIONS –

2021年10月8日

統一されたネットワーク

何時でも、何処でも、繋がる

 

要約:Executive Summary

世界の安全保障環境はますます複雑化しており、自由で開かれた国際秩序への挑戦と、国家間の長期的な戦略的競争の再燃を特徴としている。技術の急速な進歩は、ほぼ対等な競争相手の台頭と相まって、将来の戦場(future battlefields)における作戦環境を根本的に変えることになるだろう。戦争の性質の変化に対応するために、米陸軍は過去40年間で最も大規模な近代化事業に着手した。米陸軍の変革の核心は、マルチドメイン作戦(MDO)を可能にすることである。これは、空、陸、海、宇宙、サイバースペースのすべてのドメイン(all domains)で作戦し、競争し、必要に応じて闘い、勝利する能力(ability)である。

米陸軍が 2028 年までに マルチドメイン作戦対応の部隊(MDO-capable Force)に変革するためには、ネットワークの近代化に対するアプローチも変革する必要がある。明日のマルチドメイン作戦対応の米陸軍(MDO-capable Army)は、統合・連合部隊(Joint/Coalition Force)の一部として、米陸軍がすべてのドメイン(all domains)、すべての環境、すべての地理、すべての用兵機能(warfighting functions)で同時にかつシームレスに一体化・作戦できる統一されたネットワーク(Unified Network)を持たなければならず、米陸軍は必要な時点で戦力態勢(force posture)を調整し、能力を収束させることが可能となる。

統一されたネットワーク(Unified Network)は、不安定で混雑した争いの多い環境で成功するために、兵士や文官が必要とする重要な能力を提供しなければならない。米陸軍が明日の戦場(tomorrow’s battlefields)で成功するためには、統合・連合部隊(Joint/Coalition Force)に意思決定の優位性に必要な作戦範囲の拡大と速度の向上を提供する統一されたネットワーク(Unified Network)が必要である。

「米陸軍の統一されたネットワーク計画(Army Unified Network Plan)」は、米陸軍の情報技術とネットワークを包括的に扱うものである。したがって、この計画における「米陸軍の統一されたネットワーク(Army Unified Network)」という用語は、戦場の最前端(forward edge of the battlefield)から我々の哨所(posts)、駐留地(camps)、駐屯地(stations)に戻るまでのすべてのハードウェア、ソフトウェア、インフラを含むものである。「米陸軍の統一されたネットワーク計画(Army Unified Network Plan)」は、米陸軍の近代化の優先事項に沿ったものであり、2028年までにマルチドメイン作戦対応の部隊(MDO-capable Force)を構築するという米陸軍の意図を支えている。

「米陸軍の統一されたネットワーク計画(Army Unified Network Plan)」では、将来の米陸軍を形成するために重要な5つの取組み目標(LOE)を設定している。

取組み目標第1(LOE 1):マルチドメイン作戦(MDO)を可能にする統一されたネットワーク(Unified Network)の構築

取組み目標第2(LOE 2):マルチドメイン作戦(MDO)のための部隊の態勢整備

取組み目標第3(LOE 3): セキュリティと残存性(survivability) – サイバースペースにおける指揮官の行動の自由

取組み目標第4(LOE 4): プロセスと政策の再編 – パフォーマンスの改善と価格の手頃さ

取組み目標第5(LOE 5): ネットワークの維持 – 米陸軍事業体(enterprise)ネットワークおよび戦術的ネットワークの維持

米国の敵対者が、すべての作戦ドメイン(operational domains)における米国の歴史的な優位性(historical dominance)にますます異議を唱えるようになる中、統一されたネットワーク(Unified Network)は、将来の軍隊の成功を可能にする重要な要素である。この枠組みは、敵対者に対する技術的優位性(technological dominance)を確保するための道筋を米陸軍に示し、2028年にマルチドメイン作戦対応の部隊(MDO-capable Force)となるために必要な要素を米陸軍が確実に実現するための積極的な実装計画(implementation plan)の基盤(foundation)を確立する。

米国陸軍次官の職務遂行上級職員 クリストファー・ローマン(Christopher Lowman)

米陸軍副参謀総長 米陸軍大将 ジョセフ・M・マーティン(Joseph M. Martin)

はじめに:INTRODUCTION

「米陸軍の統一されたネットワーク計画(Army Unified Network Plan)」では、2028年までに、ネットワークを目に見えない資産と考えられていたものから、マルチドメイン作戦(MDO)の中間目標部隊(Way Point Force)を支える兵器システムへと進化させることを目指している。米陸軍の統一されたネットワーク(Unified Network)は、生存可能で安全なエンド・ツー・エンドの能力を提供し、競争、危機、紛争時に米陸軍が統合・連合部隊(Joint/Coalition Force)の一員として活動することを可能にし、あらゆる作戦ドメイン(operational domains)(海、陸、宇宙、サイバー、空)での活動を可能にする。

米陸軍参謀総長が発表した「米陸軍のマルチドメイン作戦(MDO)への変革に関する白書」は、2028年までにマルチドメイン作戦対応の部隊(MDO-capable Force)を編成するという目標を掲げており、米陸軍の統一されたネットワーク(Unified Network)に対する重要なニーズに注目している。決心の優位性(decision dominance)と相手を圧倒する能力(overmatch ability)がマルチドメイン作戦(MDO)の核心であり、米陸軍は復元力があり、安全で、世界規模のネットワーク能力と容量があって初めてこれを達成することができる。これに基づき、「米陸軍の統一されたネットワーク計画(Army Unified Network Plan)」では、複数の複雑なネットワーク近代化の取組みを、マルチドメイン作戦(MDO)を支援するために必要な単一の一貫したアプローチにまとめている。

「米陸軍の統一されたネットワーク計画(Army Unified Network Plan)」では、複数の取組みを行うことで、2028年の中間目標部隊(Way Point Force)に向けて統一されたネットワーク(Unified Network)を提供し、その後、情報技術が急速に進化し続ける中で継続的に近代化を図っていく。

「米陸軍の統一されたネットワーク計画(Army Unified Network Plan)」は、米陸軍戦略の焦点である即応性(readiness)の構築、近代化、米陸軍の再編、同盟とパートナーシップの強化に沿ったものである。既存の戦術的ネットワーク近代化戦略と実装計画は、「米陸軍の統一されたネットワーク計画(Army Unified Network Plan)」の入れ子とし、整合する。さらに、「米陸軍の統一されたネットワーク計画(Army Unified Network Plan)」は、複数のフェーズと時間軸にわたって、米陸軍戦役計画2019+(Army Campaign Plan 2019+)と並行し、実現する。

フェーズ I: 近い将来(現在~2024年) – 統一されたネットワーク(Unified Network)の設定:PHASE I: NEAR TERM (PRESENT-2024)—SET THE UNIFIED NETWORK

このフェーズでは、一体型戦術的ネットワーク(Integrated Tactical Network:ITN)と一体型エンタープライズ・ネットワーク(Integrated Enterprise Networks:IEN)の近代化を同期させることから始まった。このフェーズでの主な取組みは以下の通りである。

  • このフェーズでは、ゼロ・トラスト原則(zero-trust principles)に基づいて構築された標準ベースのセキュリティ・アーキテクチャを確立することが重要であり、最初はSIPRNetの近代化に重点を置き、その後、給与、兵站、契約などを含むNIPRNetの重要な能力に重点を置く。
  • 米陸軍は、統一されたネットワーク(Unified Network)を長期的に進化させるために、複数の取組みを同期させ、ソフトウェア定義ネットワークや5G以降の無線ネットワークなど、ゼロ・トラスト原則(zero-trust principles)に沿った最先端技術を活用した全体的なアプローチの実施を開始する。
  • 米陸軍は、国防次官室の無線セルラー・ネットワークを、戦術的ネットワークと米陸軍事業体ネットワーク(enterprise network)の両方で使用する重要な技術として踏襲している。これにより、ネットワークの統合整理(consolidation)を補完し、非無線ネットワークへの依存を減らすことができる。
  • このフェーズは、クラウド・インフラへの能力の移行を加速させ、レガシー能力やプロセスを迅速に切り離すことから始まる。鍵となるのは、人工知能(AI)や機械学習(ML)などの新しい能力を実現するための共通データ標準の確立である。
  • 任務パートナー環境(Mission Partner Environment:MPE)の継続的な開発は、米陸軍事業体(enterprise)の取組みによって永続的な能力を確立し、無駄な一時的な努力を排除するために継続される。
  • 米陸軍は、国防総省情報ネットワーク運用(DODIN Ops)を実施するための部隊構成の調整を継続し、混雑した環境で統一されたネットワーク(Unified Network)を運用、維持、防御する。
  • 米陸軍は、米陸軍事業体(enterprise)全体のネットワーク収束を完了させ、単一の米陸軍サービス・プロバイダーを調整し、ネットワークの即応性(network readiness)、標準化、相互運用性を向上させ、米陸軍のサイバーセキュリティ態勢を強化し、防御的サイバースペース作戦(Defensive Cyberspace Operations:DCO)への迅速な対応を可能にしなければならない。この収束(convergence)により、統一されたネットワーク(Unified Network)条件が整う。

このフェーズでは、統一されたネットワーク(Unified Network)の基盤(foundation)となる標準化された一体化したセキュリティ・アーキテクチャを確立し、世界のどこにでも迅速に展開してすぐに作戦を遂行できるようにすることで終了する。

「戦場(battlefield)はより速く、より致死的に、そしてより分散されるようになってきている。相手を圧倒する力(overmatch)は、より良い判断をより早く下せる側のものになるだろう。我々は、次の戦いに勝つために必要な「決心の優位性(DECISION DOMINANCE)」と「相手を圧倒する力(OVERMATCH)」を得るために、最先端技術の「速度(SPEED)」、「範囲(RANGE)」、「収束(COVERGENCE)」を統合部隊に提供するために変革している。

米陸軍参謀総長 米陸軍大将ジェームス・C・マッコンビル (GEN James C. McConville)

フェーズ2:中期(2025年〜2027年):統一されたネットワーク(Unified Network)の運用開始:PHASE II: MID TERM (2025 – 2027)—OPERATIONALIZE THE UNIFIED NETWORK

このフェーズは米会計年度2025年度から始まり、一体型戦術的ネットワーク(ITN)と一体型エンタープライズ・ネットワーク(IEN)の能力を引き続き収束させていく。このフェーズでの主な取組みは以下の通り。

  • 競合・混雑した環境下で統一されたネットワーク(Unified Network)の防衛・運用を可能にする支援部隊体制を備えた国防総省情報ネットワーク運用(DODIN Ops)体制の完成。
  • このフェーズでは、人工知能(Al)/機械学習(ML)の能力開発を加速させる戦術的な編成を含むハイブリッド・クラウドの能力を確立する。
  • 米陸軍は、すべての戦闘訓練センター(CTC)およびミッション・トレーニング・コンプレックス(Mission Training Complexes)[1]での使用を含め、米陸軍事業体(enterprise)から戦術的なエッジ(tactical edge)まで、すべてのハードウェア、ソフトウェア、インフラ、および人材を含む永続的な任務パートナー・ネットワーク(Mission Partner Network:MPN)を確立する。

このフェーズは、統一されたネットワーク(Unified Network)が2028年のマルチドメイン作戦(MDO)の中間目標部隊(Way Point Force)を支援するための完全な態勢を整えた時点で終了する。

フェーズ3:長期(2028年以降) – 統一されたネットワーク(Unified Network)の継続的な近代化:PHASE III: FAR TERM (2028 AND BEYOND)—CONTINUOUSLY MODERNIZE THE UNIFIED NETWORK

このフェーズは、「米陸軍の統一されたネットワーク(Army Unified Network)」が2028年のマルチドメイン作戦(MDO)の中間目標部隊(Way Point Force)を支援するために、作戦面、技術面、組織面で完全に準備される米会計年度2028年度の開始前後に始まる。

  • このフェーズで重要なのは、時間をかけて統一されたネットワーク(Unified Network)を近代化するための全体的なアプローチを完全に実装することであり、最先端技術を活用する一方で、安全性の低いレガシー能力を切り離すことである。
  • 米陸軍が統合部隊/連合部隊や任務パートナー(mission partners)との一体化を進める中で、このフェーズを形成するのは、飛躍的に進歩した多くの技術能力である。これらの技術の初期の重点分野は次のとおりである。

– ダイナミックで多様な搬送、堅牢なコンピューティング、エッジ・センサー

– データから決定的な行動へ

– ロボットと自律的な作戦

– 対応するサイバーセキュリティと復元力の能力

情報技術とサイバー・ドメインの急速で一貫した変化のペースを考えると、このフェーズに終わりはなく、近代化は統一されたネットワーク(Unified Network)の成熟へと発展する。これは継続的なプロセスであり、統一されたネットワーク(Unified Network)の最終状態(end state)は決まっていない。

「米陸軍の統一されたネットワーク計画(Army Unified Network Plan)」には、「米陸軍の統一されたネットワーク(Army Unified Network)」の実装という米軍の実行命令(Execution Order:EXORD)が付随しており、枠組み内の努力目標(LOE)と支援目標の追求に関連して、枠組みを近・中期的な時間軸における主要タスクに分解する。ネットワークの一体化とガバナンスの主導者である最高情報責任者(CIO)と米陸軍参謀次長(Deputy Chief of Staff:DCS)、米陸軍参謀本部第6部(G-6)は、「米陸軍統一されたネットワーク実装計画(Army Unified Network Implementation Plan)」を使用して、2028年のマルチドメイン作戦対応の米陸軍(MDO-capable Army)を支援するための統一されたネットワーク(Unified Network)を設定するために、米陸軍全部隊とすべての任務領域(Mission Areas)の取組みを同期化し、評価する。

統一されたネットワーク(Unified Network)の必要性 – 2028年のマルチドメイン作戦対応の米陸軍(MDO-capable Army)を実現するために:THE NEED FOR A UNIFIED NETWORK — ENABLING THE MDO-CAPABLE ARMY OF 2028

技術の進歩の速さに対処しなければ、数十年にわたって享受してきた相手を圧倒する優位性(overmatch advantage)が劇的に損なわれてしまう。技術の進歩は、宇宙、サイバー、情報、電子戦(EW)の能力の一体化を可能にし、米国の戦力展開を開始前に停止させることができる。人工知能(AI)、自動化(autonomy)、ロボット工学、量子コンピューティング、セルラー無線(5G以降)、地球低軌道(LEO)衛星は、作戦的戦役の性質を変化させ続け、その結果、戦場(battlefield)はより速く、より致死的で、より分散したものになる。我々はもはや、自国が聖域であると仮定したり、「グローバル・コモンズ(global commons)」を争いのないものと考えることはできない。

このような背景から、米陸軍は2028年までにマルチドメイン作戦対応の部隊(MDO-capable Force)、2035年までにマルチドメイン作戦即応部隊(MDO-Ready Force)への変革を開始した。これは、米陸軍、そしてさらに重要なことには、統合・連合部隊(Joint/Coalition Force)にとっての作戦上の必須事項である。

米陸軍参謀総長(CSA)は白書の中で、復元性(resilient)、信頼性(trusted)、機動性(maneuverable)、防御性(defendable)を備えた統一されたネットワーク(Unified Network)の必要性を説いている。これは、完全なドクトリン(Doctrine)、組織(Organization)、訓練(Training)、装備(Materiel)(能力)、リーダーシップ、政策(Policy)、施設(Facility)(DOTML-PF)からなる統一されたネットワーク(Unified Network)で、迅速かつ世界規模の展開を可能にする。統一されたネットワーク(Unified Network)により、米陸軍部隊は、競争が激しく混雑した作戦環境において、迅速かつ世界規模の範囲で活動することができ、決心の優位性(decision dominance)と相手を圧倒する力(overmatch)の維持が可能となる。

米陸軍は、何よりもまず、統合・連合部隊(Joint/Coalition Force)が、競争から紛争に至るまで、決心の優位性(decision dominance)を確保するために必要な時点で、速度+範囲+収束(speed + range + convergence)によって相手を圧倒する力(overmatch)を提供するマルチドメイン能力の調整された戦力態勢(force posture)で、機動し、勝利することを可能にする。

明日の紛争は非線形で、すべての階層と世界規模の規模で争われることになり、敵対者のキネティックな攻撃またはノン・キネティックな攻撃から自国を守る聖域ではなくなる。このアプローチでは、米陸軍はネットワークを全体論的に扱い、戦術的ネットワークと米陸軍事業体(enterprise)(戦略)ネットワークの両セグメントを1つの統一されたネットワーク(Unified Network)に完全に一体化する必要がある。

第二に、米陸軍は統合・連合部隊(Joint/Coalition Force)に、競争や紛争にかかわらず、指揮官が選択した時間と場所で、すべてのドメイン(all domains)にわたって戦略的、作戦的、戦術的効果を提供する能力を提供する。米陸軍は新たな能力を活用して、敵対者の接近阻止/領域拒否(A2/AD)バブルの「内側」や、従来の戦域構造の「外側」で機動することで、戦場空間(battlespace)を拡大する。米陸軍のマルチドメイン作戦(MDO)は、統合・連合指揮官を支援するために、世界規模で行われる。

2028年までに米陸軍がマルチドメイン作戦対応の部隊(MDO-capable Force)に変革するためのその他の重要な点は以下の通りである。

  • すべてのドメイン(all domains)において、米陸軍の能力は、防御的および攻撃的な行動の範囲を維持し、可能にし、拡張し、拡大する。
  • 米陸軍の「内側の部隊(inside forces)」は敵対者の接近阻止/領域拒否(A2/AD)ゾーン内で活動し、敵対者の領域拒否の取組み(area denial efforts)を抑止または撃退する、信頼できる生存可能な能力を提供する。
  • 「外側の部隊(outside forces)」は、地形を統制・制御し、獲得した利益を統合・整理し(consolidate gains)、戦略的支援地域を確保するために必要な、地域的および世界規模の遠征隊、増派、国土防衛編成から構成される。
  • 米陸軍は、数的優位性と複雑な接近阻止/領域拒否(A2/AD)防御システムを持つ対等な敵に対して必要不可欠な、戦略的、作戦的、戦術的な縦深での作戦を遂行する。

戦略的、作戦的、連合、戦術的の効果と能力を一体化することは、マルチドメイン作戦(MDO)の実施の基礎となる。この要件を満たすには、最先端の技術と効果を収束し、統合・連合部隊(Joint/Coalition Force)指揮官を可能にするネットワークが必要である。統一されたネットワーク(Unified Network)は、ドメインを問わずすべての作戦を可能にする。そのため、統一されたネットワーク(Unified Network)は、2035年の米陸軍の狙いとする部隊(Aim Point Force)に先立ち、2028年の米陸軍の中間目標部隊(Way Point Force)を支援する態勢を整えなければならない。そして、技術の変化や敵対者の能力の進化に合わせて、継続的に近代化していかなければならない。統一されたネットワーク(Unified Network)には最終状態(end state)がない。

戦略的階層から戦術的階層におけるマルチドメイン作戦

米陸軍の統一されたネットワークの定義-マルチドメイン作戦の実現に向けて:DEFINING THE ARMY UNIFIED NETWORK—THE ENABLER FOR MULTI-DOMAIN OPERATIONS

「米陸軍の統一されたネットワーク(Army Unified Networkは、生存性のある安全なエンド・ツー・エンドのネットワークであり、大規模な戦闘作戦(large-scale combat operations)において、統合・連合、同盟国、パートナーとの間で、あらゆる敵対者に対抗し、必要に応じて闘い、勝利することを可能にする。他の兵器システムと同様に、統一されたネットワーク(Unified Network)は復元力、防御力、機動力を備えていなければならず、指揮官が決心の優位性(decision dominance)を獲得し、必要な時に必要なだけキネティックな効果やノン・キネティックな効果を提供できるようにしなければならない。

「米陸軍の統一されたネットワーク(Army Unified Network)」は、共通運用環境(COE)、サービス・インフラ、トランスポート層を採用し、統一されたネットワーク運用(Unified Network Operations)とサイバー防御能力を備えている。このネットワークは、マルチドメイン作戦(MDO)を行うために必要な、あらゆるレベルのネットワークの秘密区分のインテリジェンスを提供する。例えば、統一されたネットワーク(Unified Network)は、後方支援活動のための秘区分なしのネットワークと、ミッション・コマンド(Mission Command)や火力システムのための米軍および連合軍の秘区分の能力を提供する。統一されたネットワーク(Unified Network)は、国家、戦略、戦術の各階層間でのインテリジェンス作戦を可能にすると同時に、長距離精密射撃(Long-Range Precision Fires)に必要な縦深のセンシング能力を支援する。

 

凡例

P/C/T:Posts, Camps, Stations(哨所、駐留地、駐屯地)、CPS:指揮所(Command Posts)

ESI[2]:DoD Enterprise Software Initiative(米国防総省エンタープライズ・ソフトウェア・イニシアティブ)

TSI[3]:Tactical Server Infrastructure (戦術的サーバー・インフラ)

FIXED:固定化された基地等、DEPLOYED:展開地

共通運用環境(Common Operating Environment:COE。共通運用環境(COE)は、安全で相互運用可能なアプリケーションを可能にするコンピューティング技術と標準を提供し、戦争における速度でデータを処理する。共通運用環境(COE)は、指揮官が世界のどこからでも、迅速なデータ駆動型の意思決定ツールを利用して、分散した部隊を指揮することを可能にする。戦術的なコンピューティング環境と国家的または戦略的なリソースを接続し、マルチドメイン作戦(MDO)を速度と範囲で実施する共通運用環境(COE)を実現するために必要な共通の情報サービスを提供する。

共通サービス・インフラ(Common Services Infrastructure:CSI。共通サービス・インフラ(CSI)は、データの保護、保存、計算のためにデザインされた、世界規模にアクセス可能な共通のハードウェアとソフトウェアを提供する。共通サービス・インフラ(CSI)は、データ分析、人工知能(AI)、機械学習(ML)を可能にし、部隊全体でデータに基づく意思決定を支援し、組織ネットワークの収束を可能にする。共通サービス・インフラ(CSI)は、商用クラウドサービスやハイブリッド・クラウド能力、その他の「アズ・ア・サービス(as a service)」モデルを最大限に活用し、最新の情報技術へのアクセスを可能にする。

共通トランスポート層(Common Transport Layer:CTL。共通トランスポート層(CTL)は、信頼性、拡張性、安全性、復元力に優れた経路を提供し、あらゆる環境、あらゆるデバイスを使用して、データ、情報、コラボレーション・サービスを指揮官に世界規模で提供する。共通トランスポート層(CTL)は「色のついていない(colorless)」トランスポート・モデルに収束し、ソフトウェア定義ネットワーク(Software Defined Networking:SDN)、オープン・システム・アーキテクチャ、商用トランスポート、暗号化技術を使用している。これらの技術をすべての階層で活用することで、指揮所がホーム・ステーションの作戦センターと同じ速度で機能するようになる。5G以降の技術をすべての階層で活用することで、エンド・デバイス向けに統合された「モノのインターネット(Internet-of-Things:IoT)」配信ネットワークが構築され、基地の作戦から戦術的なエッジまでをつなぐことができる。市販の無線技術を可能な限り活用し、移動性(mobile)、迅速性(agile)、安全性(secure)に優れたネットワーク接続を実現する。

統一されたネットワーク運用(UNO。統一されたネットワーク運用(UNO)は、統一されたネットワーク(Unified Network)の機密性(confidentiality)、可用性(availability)、完全性(integrity)を創出し維持するために、サイバースペースを確保、設定、運用、拡張、維持するために必要な能力を提供する。統一されたネットワーク運用(UNO)は国防総省情報ネットワーク運用(DODIN Ops)担当者に、統一されたネットワーク(Unified Network)の確認、確保、維持、対応のための能力を提供する。統一されたネットワーク運用(UNO)は、これらの能力を米陸軍事業体(enterprise)ネットワーク、戦術的ネットワーク、および任務パートナー・ネットワーク(MPN)にシームレスに一体化する。

 

統一されたネットワーク運用

統一されたネットワーク運用(UNO)は、作戦指揮官がマルチドメイン作戦(MDO)を実施するために、サイバー・ドメイン内でのネットワークの可用性と機動の自由(freedom of maneuver)を確保する。統一されたネットワーク運用(UNO)は、作戦環境、サービス・インフラ、トランスポート層を含む一連の一体化された活動を通じて、ゼロ・トラストの原則を採用した共通のハードウェアとソフトウェアを提供し、本格的な国防総省の情報ネットワーク(DODIN)と防御的サイバースペース作戦(DCO)を可能にする一体型戦術的ネットワーク(ITN)と一体型エンタープライズ・ネットワーク(IEN)の収束(convergence)を支援するように構築されている。

米陸軍事業体(enterprise)ネットワークと戦術的ネットワークの中核となる基盤(foundation)(トランスポート、コンピューティング、サービスとインフラ)を整合させ、標準化し、一体化することは、統一されたネットワーク(Unified Network)運用とサイバーセキュリティ能力に支えられた作戦上の必須事項である。統一されたネットワーク(Unified Network)は、世界規模のクロス・ドメイン機動(cross-domain maneuver)を可能にし、米陸軍や統合・連合部隊(Joint/Coalition Force)が急速に出現する明日の戦場(battlefield of tomorrow)で必要とされる速度と範囲で、戦略上、作戦上、戦術上の効果を適用するための基盤(foundation)となる。

戦略的アプローチ:STRATEGIC APPROACH

統合・連合部隊(Joint/Coalition Force)に最先端技術の範囲、速度、収束を提供するという米陸軍の大胆な変革を達成するためには、次の闘いに勝つために必要な将来の決心の優位性(decision dominance)と相手を圧倒する力(overmatch)を達成する必要がある。米陸軍は、戦術的、作戦的、戦略的のすべての階層にわたって一体化され、同期されたネットワーク近代化アプローチを持たなければならない。

ここ数年、米陸軍は一体型戦術的ネットワーク(ITN)能力セット(Capability Sets)の導入により、戦術の編成の近代化を大きく進めてきたが、米陸軍事業体(enterprise)の近代化は大幅に遅れており、主に施設内の秘区分なしのローカル・エリア・ネットワーク(LAN)に焦点を当てている。このような偏ったアプローチは、世界規模の規模ですべてのドメイン(all domains)の活動を行う上でのリスクとなる。

「米陸軍の統一されたネットワーク計画(Army Unified Network Plan)」の枠組みは、米陸軍の「マルチドメイン作戦対応の部隊(MDO-capable Force)への変革」を達成するための重要な要素である。以下の取組み目標(LOE)は、それを支える目標とともに、米陸軍の統一されたネットワーク(Unified Network)近代化の取組みを形成、同期、一体化、管理し、マルチドメイン作戦(MDO)を実現するために必要な人員、組織、能力を各階層で同期させるのに役立つ。

米陸軍の統一されたネットワーク計画の枠組み

取組み目標第1(LOE 1): 統一されたネットワーク(Unified Network)を確立し、マルチドメイン作戦を可能にする:LINE OF EFFORT #1: ESTABLISH THE UNIFIED NETWORK—ENABLING MULTI-DOMAIN OPERATIONS

この取組み目標(LOE)は、2028年までにマルチドメイン作戦(MDO)を支援するために、一体型戦術的ネットワーク(ITN)と一体型エンタープライズ・ネットワーク(IEN)の統合と調整、および複数の異種の組織ネットワークを「米陸軍の統一されたネットワーク(Army Unified Network)」に収束させることを可能にするものである。この取組みの中心となるのは、米陸軍全体のネットワーク近代化の取組みを同期させることである。統一されたネットワーク(Unified Network)を実現するために必要なネットワーク標準とインターフェイスの開発と、成熟したCl/CD[4]パイプラインの一体化により、ネットワーク上の展開をターゲットにアプリケーションと能力を提供できる標準的で安全なパイプラインを構築する。さらに、この取組み目標(LOE)は、国防総省の情報ネットワーク(DODIN)に対する米陸軍の貢献として統一されたネットワーク(Unified Network)を確立するとともに、同盟国やその他の連合パートナーとの相互運用を目標とした米陸軍の任務パートナー環境(MPE)を確立する。マルチドメイン作戦(MDO)の性質と、将来の作戦における任務パートナーの能力と容量への依存度から、米陸軍は将来の連合作戦を支援するために任務パートナー環境(MPE)内で今日の訓練を行う必要がある。この取組み目標(LOE)は、以下の5つの目標で構成されている。

目標 1.1: 標準ベースのネットワーク・アーキテクチャを提供する:OBJ 1.1: Deliver a Standards-Based Network Architecture.

米陸軍情報技術(IT)標準テクニカル・プロファイルを定義、デザイン、文書化し、運用、組織、米陸軍事業体(enterprise)のゼロ・トラスト原則(zero-trust principles)、任務能力(mission capabilities)、システム一体化(systems integration)、データと情報の流れを結びつけるネットワークデザインを知らせる。米陸軍は、復元力があり、安全で、戦略、運用、戦術の各レベルでデータや情報をシームレスに保存できるハイブリッド・クラウド・アーキテクチャを確立する。これにより、米陸軍は、相互運用性を確保し、冗長性を排除し、サービスを合理化しながら、より俊敏な買収を促進し、一体化された実装を標準化し、リソースの効率化を図ることができる。

目標 1.2: 統一されたネットワーク(Unified Network)を設定する。:OBJ 1.2: Set the Unified Network.

この目標は、ネットワークの断片化、サイバー脆弱性、複雑性、脆弱性、統合・連合任務パートナーとの相互運用性の問題などに対処するため、現行のネットワークを最適化することである。そのためには、ドメインや環境を超えて米陸軍事業体(enterprise)や配備されたネットワーク能力を効果的に一体化し、特定のネットワーク能力の「プラグ・アンド・プレイ(plug and play)」を可能にする統一されたトランスポート層を備えた、標準ベースのアーキテクチャを導入する必要がある。全体的なネットワーク・セキュリティ・アーキテクチャの確立に重点を置くことで、戦術的な編成が統一されたネットワーク(Unified Network)の中で「プラグ・アンド・プレイ」できるようになり、エッジでの複雑さが軽減される。この目標のためには、機密性の高いデータソースを保護しながら、複数の秘密区分のネットワーク・エンクレーブでマルチドメイン作戦(MDO)の重要な情報を最大限に共有するための柔軟なクロス・ドメイン・ソリューションが必要である。また、混雑した競合環境下でクロス・ドメイン機動(cross-domain maneuver)を行うために必要な最先端技術を集約しながら、速度と範囲を拡大するように最適化された復元力のある米陸軍事業体ネットワーク(enterprise network)、プラットフォーム、アプリケーション、サービスを提供する。マルチドメイン作戦(MDO)が求める速度で統一されたネットワーク(Unified Network)を運用するためには、米陸軍はネットワークの自動化、機械学習、ビッグ・データ・プラットフォームの能力を最大限に近代化しなければならない。

「これは、最終状態(end state)への反復的な構築である。本当の意味で最終状態(end state)に到達することはなく、最終状態(end state)とは絶え間ない革新である」

米陸軍未来司令部指揮官 米陸軍大将ジョン・M・マレー(GEN John M. Murray)

目標 1.3: ネットワークの収束:OBJ 1.3: Network Convergence.

この目標は、ネットワーク管理ツールや人員の合理化と統合・整理を行いながら、垂直方向には戦術的な編成と、水平方向には個別の組織ネットワーク(ORGNETS)との間で、ネットワークを収束させるものである。米陸軍は、機動性と防御性を備えつつ、速度と範囲を拡大するように最適化された復元力のある統一されたネットワーク(Unified Network)を提供する。この目標は、ストーブパイプ化し(stove-piped)そして脆弱なネットワークを統一されたネットワーク(Unified Network)の中に壊して取り込み、同時に米陸軍全体の国防総省情報ネットワーク運用(DODIN Ops)能力を一体化し、財政効率を高めるものである。

目標 1.4: 戦術的編成・ネットワーク能力の近代化:OBJ 1.4: Modernize Tactical Formation Network Capabilities.

近代化は、戦術レベルから戦略レベル、米陸軍事業体(enterprise)レベルまで遡って行われ、復元力があり、安全で機動性のある統一されたネットワーク(Unified Network)を構築しなければならない。米陸軍は、2年サイクルで能力セット(Capability Sets)を配備し、時間をかけて反復的に戦術編成を近代化していく。能力セット21(Capability Sets 21)から始まった一体型戦術的ネットワーク(ITN)の能力セット(Capability Sets)は、技術の変化に応じて時間をかけて調整され、世界中のどこでも統一されたネットワーク(Unified Network)内で「プラグ・アンド・プレイ(plug and play)」できるようになり、戦略的・作戦的な情報や効果を戦術レベルに提供できるようになる。一体型戦術的ネットワーク(ITN)の主な取組みとしては、ネットワーク・トランスポートの保証、共通運用環境(COE)、マルチドメイン作戦対応の指揮所(MDO-capable Command Posts)、エッジにおける統合/連合の相互運用性など、すでに進行中の主要な戦術的ネットワーク構想を実現することが挙げられる。一体型戦術的ネットワーク(ITN)は、復元力があり、安全で、機動性があり、広大な距離に分散した部隊を支援し、複数のドメインからの効果を収束させ、マルチドメイン作戦(MDO)における共通の状況把握を維持する能力を備えていなければならない。

「大規模でマルチドメイン戦闘作戦の規模、テンポ、致死性、複雑性は、米陸軍が争われたドメインで対等な脅威に打ち勝つことを可能にするために、米陸軍の装備、組織、構造を大きく変える必要がある」と述べている。

米陸軍大将ポール・E・ファンク2世(GEN Paul E. Funk II)、訓練ドクトリン・コマンド司令官

目標 1.5: 相互運用性の達成と維持:OBJ 1.5: Achieve and Sustain Interoperability.

米陸軍が国家的なパートナーシップとパートナーの容量を構築するリーダーであり続けることは明らかである。したがって、相互運用性を高め、戦術的、作戦的、戦略的な目標を達成するために、首尾一貫して効果的かつ効率的に共に日常的に行動する能力を持つ必要がある。相互運用性を達成・維持し、多国間パートナーシップの構築をリードするためには、米陸軍は相互運用性の人的・手続き的・技術的側面において効果的でなければならない。今日まで、任務パートナー環境(MPE)能力は一時的なものであり、迅速な展開と即時の作戦に必要な持続的な能力の手段を欠いていた。

取組み目標第2(LOE 2): マルチドメイン作戦(MDO)のための部隊の態勢:LINE OF EFFORT #2: POSTURE THE FORCE FOR MULTI-DOMAIN OPERATIONS

この取組み目標(LOE)は、軍人と民間人の両方の人材に焦点を当て、マルチドメイン作戦(MDO)環境での競争、運用、戦闘を成功させるための訓練と組織構成を提供している。この取組み目標(LOE)の基盤(foundation)となるのは、遠征通信大隊強化型(Expeditionary Signal Battalion– Enhanced:ESB-E)の組織デザインへの移行と、それに続く世界規模の国防総省情報ネットワーク運用(DODIN Ops)の枠組みの導入であり、統一されたネットワーク(Unified Network)の運用、維持、安全確保、操縦を行うことである。米陸軍は、急速な技術の進化に対応するために、組織、人材、訓練、人材管理の取組みを同期化し、一体化する必要がある。

目標 2.1: 訓練システムとインフラの強化:OBJ 2.1: Enhance Training Systems and Infrastructure

米陸軍戦略では、密集した都市部の地形、電子的に劣化した環境、常に監視されている状態での活動に重点を置いて、高強度の紛争を訓練することが強調されている。米陸軍は、統一されたネットワーク(Unified Network)で兵士を訓練するために、適切な施設、システム、インフラを部隊に提供しなければならない。すべての兵士は割り当てられたネットワーク能力を運用できなければならず、学校でも自宅でも、ネットワーク技術の急速な進化を考慮して、サイバーと通信の訓練を継続的に適応させなければならない。

目標 2.2: 軍隊のデザインと構造の改善:OBJ 2.2: Improve Force Design and Structure.

米陸軍は現在、2028年までにマルチドメイン作戦対応の部隊(MDO-capable Force)への変革を支援するため、通信・サイバー部隊の構造を更新している。この再デザインの重要な要素の1つは、遠征通信大隊強化型(ESB-E)組織デザインへの移行であり、より少ない人員で運用能力(operational capability)と維持管理能力(sustainment capability)を大幅に向上させる。この重要な目標により、米陸軍は、世界規模の作戦を可能にする国防総省の情報ネットワーク運用(DODIN Ops)の構成をデザインし、実装し、階層での防御的なサイバースペースの作戦を完全に一体化し、人工知能と意思決定の速度を可能にするハイブリッド・クラウド能力の実装を支援し、最も複雑なタスクを適切な作戦階層に統合・整理することでエッジでの技術的複雑さを軽減することができる。

「米陸軍のネットワークとデータは、情報化時代の部隊にとって基盤(foundation)となる兵器システムと弾薬である。マルチドメインの米陸軍の成功は、ネットワーク、データ、兵器プラットフォームの無慈悲な防衛に依存している。我々は、データに基づいた防御的なサイバー作戦を実行し、任務に適した速度で脅威を検知、排除、撃退する」。

米陸軍サイバーコマンド司令官 米陸軍中将スティーブン・G・フォガティ(LTG Stephen G. Fogarty)

目標 2.3:即応性の構築:OBJ 2.3: Build Readiness.

米陸軍のサイバー労働力(cyber workforce)とサイバー能力(cyber capabilities)は、大規模な地上での戦闘作戦において、ほぼ対等な競合相手に対する地上戦力ーの優位性を可能にする準備ができていなければならない。この目標は、米陸軍種構成コマンド(Army Service Component Commands:ASCC)が、戦闘軍指揮官の要求と作戦計画に従って、それぞれの戦域で戦闘の即応性(combat readiness)を最大限にするための能力とリソースを保有することを確実にするものである。

目標 2.4:人的資本の開発:OBJ 2.4: Develop Human Capital.

成功を導くのは人である。マルチドメイン作戦(MDO)で優位に立つという目標を達成するためには、我々の人材と同盟国のパートナーとの関係が不可欠である。この目標は、米陸軍戦略の「人材を大切にする」という呼びかけに沿ったものである。我々は、戦略・作戦・戦術の各レベルで作戦を支援するために、高品質で高度なスキルを持つ米陸軍サイバー労働力(cyber workforce)の兵士と文官を採用・開発・保持する米陸軍の能力を最適化する人材管理戦略を実現する。

取組み目標第3(LOE 3): セキュリティと残存性-サイバースペースにおける指揮官の行動の自由:LINE OF EFFORT #3: SECURITY AND SURVIVABILITY—COMMANDER’S FREEDOM OF ACTION IN CYBERSPACE

サイバースペースでは、米陸軍は今日、武力紛争レベル以下で活動する敵対者と競争している。競争、危機、紛争のいずれの場合でも、統一されたネットワーク(Unified Network)は、それが保護され、防御されている場合にのみ、戦略的、作戦的、戦術的効果を適用する手段を提供することができる。今日の環境では、敵対者は、何十年も前に作られた旧式の統制・制御システムを使って、産業基盤(industrial base)や設備を含むネットワークを攻撃する機会を絶えず探している。

米陸軍は、米陸軍のリスク管理枠組みを中心とした現行のサイバーセキュリティ・プロセスを再編し、反復的で時間のかかる負担の大きいプロセスを削減し、侵入テストや継続的な監視などの運用プロセスに注力しなければならない。技術の変化のペースとその高度化に伴い、米陸軍は恣意的な3年間のレビュー・サイクルに従うことはできない。リスクが高すぎるし、敵対者は能力の展開を待ってはくれない。米陸軍は、商業技術を採用しながらも、従来の情報技術(IT)資産と非従来の運用技術(OT)資産の両方で増え続ける攻撃対象領域(attack surface area)を保護できなければならない。これを実現するために、米陸軍は、すべてのシステムのゼロ・トラスト能力の現状評価を完了することで、情報技術(IT)および運用技術(OT)資産にゼロ・トラスト原則(zero-trust principles)を導入する。

この取組み目標(LOE)は、サイバー・ドメイン内での行動の自由を確保するために、脅威の情報に基づいてリスク管理された作戦上の意思決定を行うことに重点を置いている。これには、データの完全性、ユーザー認証、および許可されたユーザーに与えられたアクセスに基づくデータの可用性が含まれる。

目標 3.1: サイバーセキュリティ・プロセスの再編と運用化/リスクの管理:OBJ 3.1: Reform and Operationalize Cybersecurity Processes/Manage Risk.

マルチドメイン作戦(MDO)に必要な速度でのサイバースペース作戦を可能にするために、米陸軍はネットワークのアクセス容易性(accessibility)、復元力(resiliency)、防御の要件に対応しなければならない。これには、サイバースペースの主要な地形(key terrain)を認識し、必要な時にアクセスできるようにデータをどのように配置するかを理解することが含まれr。米陸軍は、これまでの消極的で区分けされたサイバーセキュリティの慣行を維持するのではなく、ネットワーク、データ、インフラを保護するために、攻勢的サイバー作戦(offensive cyber operations)と防勢的サイバー作戦(defensive cyber operations)を完全に一体化するアプローチを採用しなければならない。最終的な到達目標は、作戦上のリスクを完全に把握しながら、サイバーセキュリティ能力を自動化することである。

その意図は、リスク・マネジメント枠組み(Risk Management Framework:RMF)をはじめとする、現在のサイバーセキュリティ・プロセスを運用することにある。この目標の鍵となるのは、継承された統制・制御の使用と組織間の相互関係の拡大である。米陸軍は、コンプライアンスから、重要なネットワークおよび兵器システムの積極的なセキュリティ、防御、監視へと移行しなければならない。米陸軍はこの新しいアプローチをリスク・マネジメント枠組み2.0(RMF2.0と呼んでいる。

目標 3.2: 統一されたネットワーク(Unified Network)を安全なものにする。:OBJ 3.2: Secure the Unified Network.

この目標のための主な取組みは、地球規模での競争、危機、紛争時にマルチドメイン作戦(MDO)を支援するために、統一されたネットワーク(Unified Network)を安全なものにすることである。統一されたネットワーク(Unified Network)を安全なものにするには、4つの重要な側面がある。第一に、統一されたネットワーク運用(Unified Network Operations)能力の提供は、戦術的なものから戦略的なものまで、すべての階層に共通するものである。

第二に、ゼロ・トラスト原則(zero-trust principles)に基づく統一されたセキュリティ・アーキテクチャの導入。第三は、遠征通信大隊強化型(ESB-E)の移行に伴う人員の再投資を活用した国防総省情報ネットワーク運用(DODIN Ops)枠組みを世界規模で導入することである。最後に、米陸軍は統一されたネットワーク(Unified Network)全体に防御的なサイバー能力を展開し、サイバー保護チーム(Cyber Protection Teams:CPT)がネットワーク内で迅速に活動し、敵対者を狩ることができるようにする。この目標の主要な部分には、通信保全(community security:COMSEC)の近代化、秘区分ありの商用ソリューション、準拠性の高いクロス・ドメイン・ソリューションのレベルアップなどが含まれる。

「米陸軍のネットワークは、我々の近代化努力のすべてを支えている。それは復元力があり、信頼性があり、争いのある環境の中で泥まみれになっても作戦できるものでなければならない」。

米陸軍参謀総長 ジェームス・C・マッコンビル米陸軍大将(GEN James C. McConville)

目標 3.3: データを安全なものにする:OBJ 3.3: Secure Data.:

データ・セキュリティでは、許可されたエンティティのみが必要なデータにアクセスできるようにし、データが使用されている間はデータの完全性が保たれるように統制・制御を実施する必要がある。そのためには、データの状態を監視し、変化する脅威や脆弱性を特定して緩和し、時間の経過とともにデータの妥当性を確保する能力が必要である。この目標は、暗号化技術の近代化やアルゴリズムの安全性を確保する方法の導入など、様々な手段を用いてデータのセキュリティと利用を同時に強化することに重点を置いている。

目標 3.4: 兵器システムとプラットフォームの堅牢化:OBJ 3.4: Harden Weapon Systems and Platforms.

すべての兵器システムは、何らかの形で統一されたネットワーク(Unified Network)に接続されている。米陸軍は、主要兵器システムのサイバー脆弱性を評価するために、サイバースペース作戦復元性評価プラットフォーム(Cyberspace Operational Resiliency Assessment-Platform:CORA-P)事業を継続するが、これは始まりに過ぎない。その目標は、兵器システムのライフ・サイクルを通じて、対等な敵対者またはほぼ対等な敵対者から主要兵器システムのサイバー脆弱性を評価し、リソースを確保し、作戦上のリスクを軽減する手段を確立することである。

目標 3.5: 統制システムの強化:OBJ 3.5: Harden Control Systems.

米国国土安全保障省(Department of Homeland Security:DHS)は、260社以上のベンダーが提供する統制システムの構成品に1,000件以上の脆弱性を確認した。これはほんの一例に過ぎない。米陸軍の迅速な展開能力(Army’s ability to rapidly deploy)に対するこの脅威に対処するため、米陸軍はサイバースペース作戦復元性評価設備(Cyberspace Operational Resiliency Assessment- Installation:CORA-I)の取組みを実施し、米陸軍の重要インフラ、有機的産業基盤(Organic Industrial Base:OIB)、ハードウェア・ソフトウェアのサプライ・チェーンの脆弱性を評価し、緩和した。米陸軍は、同じサイバー・インフラを使用して、従来の情報技術(IT)から運用技術(OT)やモノのインターネット(IoT)デバイスまで、ネットワーク内のすべての終点(end point)を識別、管理、監視、防御しなければならない。目標は、ガバナンスと政策(policies)を確立し、要件を検証し、リソースを同期させて機動の自由を確保することである。

取組み目標第4(LOE 4):プロセスと政策(policies)の改革-パフォーマンスとアフォーダビリティの向上:LINE OF EFFORT #4: REFORM PROCESSES & POLICIES—IMPROVE PERFORMANCE AND AFFORDABILITY

この取組み目標(LOE)は、統一されたネットワーク(Unified Network)ポートフォリオ全体のバランスのとれた、効率的で効果的な投資を支援するガバナンスと管理の枠組みを確立するものである。米陸軍が情報技術(IT)カテゴリー管理を実施し、Army 365[5]などの共通サービスの管理を一元化し、柔軟な契約手法を確立することで、米陸軍は財政的に最も効率的な方法で統一されたネットワーク(Unified Network)を迅速に適応させることができる。これらの取組みは、米陸軍の現行プロセスによる要件の検証を必要とし、米陸軍がレガシー・システムを積極的に切り離す一方で、重複する要件を削減する再編をターゲットとすることを可能にする。

目標 4.1: 任務領域(Mission Areas)を一体化する:OBJ 4.1: Integrate Mission Areas.

米陸軍事業体の情報環境任務領域(Enterprise Information Environment Mission Area:EIEMA)は、米陸軍の統一されたネットワーク(Unified Network)の取組みやイニシアチブを支援するすべての任務領域(Mission Areas)で国防総省情報ネットワーク運用(DODIN Ops)を一体化するための基盤(foundation)となる。この目標には、米陸軍デジタル監視評議会(Army Digital Oversight Council:ADOC)、情報技術監視評議会(IT Oversight Council:ITOC)、およびその他の主要なガバナンス機関を支援するツール、データ標準、およびプロセスの開発と実装に対する統一されたアプローチ、ならびに統一されたネットワーク(Unified Network)戦略、政策(policies)、およびリソースの作成と調整が含まれる。

目標 4.2: ガバナンス・プロセスと構造の最適化:OBJ 4.2: Optimize Governance Processes and Structure.

米陸軍は、既存の米陸軍プロセスを通じて、投資の優先順位付けとリソース配分を実施する。米陸軍エンタープライズ・ネットワーク評議会(Army Enterprise Network Council:AENC)は、「米陸軍の統一されたネットワーク計画枠組み(Army Unified Network Plan Framework)」のガバナンスのための主要なフォーラムとしての役割を果たし、米陸軍上級指導者の決定を必要とするトピックを検討し、米陸軍デジタル監視評議会(ADOC)および情報技術監視評議会(ITOC)に照会する可能性がある。このガバナンス構造は、決心を同期化し、サイロ化したフォーラムで作業されるアクションを排除し、リスク情報に基づいた実行の方向性を導く。

目標 4.3: 政策(policy)の再形成:OBJ 4.3: Reshape Policy.

米陸軍は、望ましい能力や成果を妨げている既存の政策(policies)を特定し、米陸軍の戦略目標を満たすために政策(policies)の変更を推奨する。政策プロセス(policy process)の改定は、強固な知識管理能力を活用し、パフォーマンスの向上とリスクの低減に寄与するものでなければならない。

目標 4.4: 統一されたネットワーク投資の説明責任を果たす:OBJ 4.4: Ensure Unified Network Investment Accountability.:

パフォーマンスと、変化する米陸軍の優先事項や要求に基づいて、事業のポートフォリオ全体のパフォーマンスを最適化する。この目標の望ましい成果のために、米陸軍の戦略的目標と作戦上の必要性に基づいて統一されたネットワーク(Unified Network)のリソースを決定するために、米陸軍の事業化・計画策定・予算・実行システム(Programming, Planning, Budget, and Execution System :PPBES)と一体化・連携した一貫性のあるアプローチを提供することが重要である。重要な構成要素は以下の通りである。

  • カテゴリー管理により、情報技術(IT)支出の可視性と優先順位を確立する。
  • 必要に応じて、米陸軍の米陸軍事業体(enterprise)レベルの管理を実施し、購買力を高め、ストーブパイプ化(stove-piped)したアプローチや能力を排除する。
  • レガシーな能力や重複した能力を積極的に切り離す。
  • 2028年のマルチドメイン作戦対応の米陸軍(MDO-capable Army)を構築するための事業やサービスの評価、優先順位付け、バランス調整を、リソースと資金の制約の中で行う。

取組み目標第5(LOE 5): ネットワークの維持管理-米陸軍事業体(enterprise)および戦術的なネットワークを維持する:LINE OF EFFORT #5: NETWORK SUSTAINMENT—SUSTAIN ENTERPRISE AND TACTICAL NETWORKS

統一されたネットワーク(Unified Network)と情報技術は、常に変化している状態にある。このように変化し続ける環境の中で、米陸軍は従来のネットワーク能力の維持管理モデル(sustainment model)を見直さなければならない。2028年のマルチドメイン作戦対応の米陸軍(MDO-capable Army)や、客観的には 2035年の マルチドメイン作戦即応の米陸軍(MDO-Ready Army)を支援するためには、技術や、それと同様に重要な脅威の進化に合わせて、統一されたネットワーク(Unified Network)も継続的に進化しなければならない。統一されたネットワーク(Unified Network)が、競争、危機、紛争の中で、米陸軍や統合・連合部隊(Joint/Coalition Force)を支援するために、復元性、防御力、機動性を維持できるように、維持要件を文書化し、計画し、事業化しなければならない。

さらに、人工知能(AI)や機械学習(ML)などの新しい能力を備えた統一されたネットワーク(Unified Network)を構築する際には、近代化に伴ってレガシー能力を積極的に切り離す必要がある。この取組み目標(LOE)は、米陸軍が継続的に進化する技術の維持管理(sustainment)のアプローチ方法の大きなパラダイム・シフトであり、米陸軍は敵対者に追いつくために近代化とライフ・サイクルの維持管理(sustainment)のバランスを取る必要がある。

目標 5.1: 統一されたネットワーク(Unified Network)の維持管理要件の決定:OBJ 5.1: Determine Unified Network Sustainment Requirements.

米陸軍の統一されたネットワーク(Unified Network)を効果的かつ継続的に近代化することは、マルチドメイン作戦(MDO)を遂行する上で最も重要である。「米陸軍の統一されたネットワーク(Army Unified Network)」の維持管理(sustainment)の構成要素は、米陸軍の近代化要件を妨げるのではなく、補強して支援しなければならない。この目標は、維持管理(sustainment)要件を特定して検証し、他の統一されたネットワーク(Unified Network)近代化作業と同期させることである。

目標 5.2: ネットワークライフ・サイクルの維持管理と近代化計画:OBJ 5.2: Network Life Cycle Sustainment and Modernization Planning.:

ライフ・サイクルの維持管理(sustainment)は、あらゆる作戦能力の重要な要素であるが、統一されたネットワーク(Unified Network)のように急速に進化する能力にとっては、さらに重要である。米陸軍は、維持管理(sustainment)と近代化のバランスを取る必要がある。

この目標は、ターゲットとするガバナンスと構成管理委員会の監督を通じて、維持管理(sustainment)と近代化の取組みを結びつけるものである。これは、有機的産業基盤(OIB)がライフ・サイクルを通じて製造、修理、機器の変更を行えるようにするため、契約要件に技術データ・パッケージ(TDP)と知的財産権(IP)を含めることである。

目標 5.3: リソースの維持管理の計画と事業:OBJ 5.3: Plan and Program Sustainment Resources.

米陸軍の年次予算計画で事業化されたリソースは、米陸軍のネットワークと接続されたシステムの即応性(readiness)と可用性を確保する。この目標は、米陸軍の反復的かつ継続的な近代化の取組みとのバランスを取りながら、統一されたネットワーク(Unified Network)の維持管理運用(sustainment operations)のための計画策定、事業化、予算編成、実行計画に焦点を当てている。

目標 5.4: ネットワーク近代化の装備化を支援する。:OBJ 5.4: Support Network Modernization Fielding.

現在、米会計年度2021年度、2023年度、2025年度、2027年度に近代化された能力セット(capability sets:CAPSETS)として、新しい近代化されたネットワークと接続されたシステムを戦術的な戦場空間(tactical battlespace)に提供することが計画されている。戦術的ネットワークの近代化を支援するための能力文書(capability documents)も開発中である。同時に、米陸軍事業体ネットワーク(enterprise network)や接続されたシステムの近代化に向けた取組みも進められており、これらは装備化支援(fielding support)を必要としている。

結論:CONCLUSION

「米陸軍の統一されたネットワーク計画(Army Unified Network Plan)」は、2028 年までに マルチドメイン作戦対応の部隊(MDO-capable Force)への変革を実現するために米陸軍が必要とする統一されたネットワーク(Unified Network)の開発を導く戦略的枠組みである。統一されたネットワーク(Unified Network)の近代化は、単に能力を開発して装備化(fielding)するだけではなく、人材、訓練、組織、政策、プロセスを含めた総合的なアプローチでなければならない。

米国の敵対者が、すべての作戦ドメイン(operational domains)において米国の歴史的な優位性(historical dominance)を争うようになる中、統一されたネットワーク(Unified Network)は、将来の部隊の成功を可能にする重要な要素である。この枠組みは、敵対者に対する技術的優位性(technological dominance)を確保するための道筋を米陸軍に示し、2028年までに米陸軍をマルチドメイン作戦対応の部隊(MDO-capable Force)にするための積極的な実装計画の基盤(foundation)を確立する。

ノート

[1] ミッション・トレーニング・コンプレックスの機能は、①契約およびリソース管理の提供、②低密度の会戦指揮システムの訓練の提供(22の別々のクラス)、③会戦指揮システムシステムの新しいシミュレーション機器訓練、ソフトウェアバージョンのリリース、契約インストラクター認定のためのトレーナー支援の訓練、④シミュレーション、訓練インフラストラクチャ、または会戦指揮システムの訓練に関連する技術特定領域専門(SME)の提供、⑤訓練や運動イベントを支援するための追加の人員の調整・提供、⑥ソフトウェアの構成管理を実行し、教室や作業セルなどの機器とシステムの一体化、⑦シミュレーションとハードウェアのメンテナンスのための調整、⑧PMRおよび訓練関連の会場での代表者の派遣、⑨フォート・ライリー、ナショナル訓練センター(NTC)、統合即応訓練センター(JRTC)、韓国、イラク、ドイツのマップサイトでのゲームおよびコンボイ訓練の提供、⑩参謀訓練-中隊/大隊/旅団/師団、⑪戦術的作戦センター(TOC)標準作戦規定(SOP)/参謀会戦ドリル/その他の戦術的作戦センター(TOC)行動の開発の支援(引用:https://home.army.mil/riley/index.php/about/dir-staff/DPTMS/training-division/mission-training-complex)

[2] DoD Enterprise Software Initiative(ESI)は、ソフトウェアのエンタープライズ管理プロセスを国防総省内に導入するために設立された共同プロジェクト。国防総省ESIワーキンググループによって特定され、採用された23のソフトウェアベストプラクティスを出発点として、国防総省ESIは、企業向けの商用ソフトウェアを取得、配布、管理するための国防総省全体のビジネスプロセスを導入。(引用:https://www.dau.edu/cop/esi/SitePages/About.aspx)

[3] 米陸軍のCOTSで構成される戦術的ハードウェアのことで(https://peoc3t.army.mil/mc/cpce.php)、Tactical Server Infrastructure (TSI)は新たな指揮所モデルにおける作戦とインテリジェンスを実現する重要な要素であり、複数の情報コンポーネントに共通のサーバー・インフラを利用することで、ミッション・コマンド・アプリケーションを実行するための統一された作戦環境を構築するのに役立つ。(引用:https://www.c4isrnet.com/it-networks/2016/08/17/army-building-command-post-of-the-future/)現在は、バージョンが新しくなり、TSI v2(Tactical Server Infrastructure version 2)サーバー・スタックは、任務の必要性に応じて、小型、中型、大型の3つのバージョンで容量と機能を向上させるものである。(引用:https://tacticaldefensemedia.com/devops-delivers-innovation-through-soldier-feedback/)

[4] CI(Continuous Integration)/CD(Continuous Delivery)とは、ソフトウェア開発を高速化するため、ビルドやインテグレート、テストなどを自動化し、すぐに本番環境にリリース可能な状態にする手法のこと。CI(継続的一体化)とCD(継続的配送)の2つの要素がある。CI(継続的一体化)とは、コードに変更があると、ビルドからテストまで自動化する手法。CD(継続的配送)とは、テストをパスしたソフトウェアを自動で実稼働環境にリリースできる状態にする手法。(引用:https://www.ashisuto.co.jp/enishi/service_quality/cicd.html)

[5] Army 365は、サイバーセキュリティ対策を加えた情報共有の向上を支援する、米国陸軍の新しい取り組みです。これは、クラウドベースの機能で、①コラボレーションと接続性を強化し、②作戦効果の大幅な向上、③サイバーセキュリティと防御的なサイバースペース作戦を、大幅なコスト削減で実現する、ものである。Microsoft 365の機能を活用したArmy 365は、米陸軍全体でコラボレーションを行うための永続的な能力を陸軍に提供する。このシステムは、ビデオや音声による電話会議、電子メール、インスタント・メッセージ、共有ドライブへのアクセスなど、さまざまなリソースをホストする。(引用:https://www.army.mil/standto/archive/2021/06/11/)