中国の「認知戦」の将来:ウクライナ戦争の教訓 (War on the Rocks)
中国の「認知戦」について、現在行われているウクライナ戦争での各種事例から得た教訓から分析した現役自衛官の論稿が、2022年7月22日付でWar on the Rocksに掲載されたので紹介(日本語原文)する。先ほど公表された令和4年版防衛白書においても「認知戦」や「認知領域」が取り上げられている内容であり、本論稿で「認知戦」についての理解を深めていただきたい。(軍治)
中国の「認知戦」の将来:ウクライナ戦争の教訓
The Future of China’s Cognitive Warfare: Lessons from the War in Ukraine
Colonel Koichiro Takagi
Colonel Koichiro Takagi is a visiting fellow of the Hudson Institute. All views in the article are his own. He is a former Deputy Chief, Defense Operation Section, 1st Operations Division, J-3, Joint Staff Japan, and has designed joint operation plans and orders in the severe security environment of East Asia.
人工知能や神経科学、ソーシャル・メディアなどのデジタル・アプリケーションの発達により、中国人民解放軍(PLA)の上級将校や戦略家は、将来、敵の脳に影響を与え、人間の認知に直接影響を与えることが可能になると主張している。そうすれば、技術的あるいは情報的な手段によって、戦わずに敵を屈することができる可能性が生まれる。ウクライナ戦争の教訓は、彼らのこのテーマに対する考え方を変えるだろうか、そしてその結果、将来起こりうる台湾侵略の計画を変えるだろうか。
ロシアの対ウクライナ戦争は、単にキネティックなものだけではなく、ウクライナ、ロシア、そして国際社会の指導者の意志と世論をめぐる凄まじい闘争(fierce struggle)になっている。この認知的な戦い(cognitive battle)において、デジタルな手段による情報発信(dissemination of information)は、戦争の帰趨を左右する重要な要素となっている。しかし、ウクライナの戦争は、認知戦が独立した戦略的優位性を提供することの限界を示すものである。中国の戦略家が人間の脳を次の戦場と信じているのであれば(そして、その証拠がいくつかある)、ロシアのウクライナでの経験は、その理論に過度に投資することの慎重さを示唆している。
認知戦だけでは戦争に勝つことはできない。西側諸国のアナリストも同様に、中国が台湾を征服するために、認知的あるいは非物理的手段に依存すると想定することには注意が必要である。中国の軍事理論家の間では、敵の認知に影響を与えることは以前からよく議論されてきたが、欧米の評論家が考えているような教訓をウクライナの抵抗から得ていないかもしれないのである。
認知戦とは何か?:What Is Cognitive Warfare?
中国のある理論家は、認知戦とは、勝利を達成するために、世論、心理的手段、法的手段を用いることであると述べている[1]。孫子の「戦わずして敵の抵抗を破ることを至高とする」という言葉通り、中国は長い間、物理的な戦闘なしに敵を倒すことが理想とされてきた。2003年に改定された『人民解放軍(PLA)政治工作条例』では、人民解放軍(PLA)が行うべき「三戦(three battles)」が示された[2]。三戦(three battles)は、国内外の世論に影響を与える世論戦、敵の兵士や民間人に衝撃を与え士気を低下させる心理戦、国際法や国内法を通じて国際的な支持を得る法律戦から構成されている。このように、三戦(three battles)は、いずれも認知戦と密接な関係がある。
2000 年代初頭に中国の戦略家が発表したいくつかの論文では、将来の情報戦は物理的領域、情報的領域、認知的領域の3つの領域で共起すると述べている。これらの戦略家は、時間の経過とともに認知的領域の重要性が増し、最終的には戦争の要となることを予言していた[3]。それ以来、過去 20 年間に中国の戦略家が発表した多くの研究は、戦争は陸・海・空・宇宙という物理的領域、通信ネットワークとその中の情報という情報的領域、 そして指導者の意志と世論からなる人間の認知という領域で起こるという考えに基づいている。
中国の戦略家は、2000年代には情報通信技術に着目していた。近年は、ソーシャル・メディアなどのデジタル技術に加え、人工知能や「脳科学」と呼ばれる技術の発展にも注目している。例えば、中国人民解放軍(PLA)戦略支援軍情報工学大学学長の郭雲飛(Guo Yunfei)は2020年に、物理的領域、情報的領域、認知的領域のうち、大国間の軍事対決の究極の領域となるのは認知的領域であると主張した[4]。認知環境での闘いは脳に直接影響を与え、感情、動機、判断、行動に影響を与え、敵の脳を支配することさえある。認知のエンジンとして、脳は将来の戦争の主戦場となる可能性がある。脳を制御する能力は、将来の戦争で最も重要な認知的領域での戦闘の鍵である。
さらに郭雲飛は、物理・情報的領域での作戦とは異なり、認知的領域での作戦は、戦わずして敵を倒すという考えを具現化したものであると述べている[5]。また、中国共産党の前参謀長である戚建国(Qi Jianguo)は、将来の戦争では、相手の認知的領域を支配する者が戦わずして相手を制圧することができるだろうと述べている[6]。このように、認知的領域での作戦は、戦わずして敵の抵抗を破るという孫子の言葉を体現していると、人民解放軍(PLA)の上級将校は主張する。
この認知戦のコンセプトは、中国の既存の「情報化」戦(informationized warfare)の軍事戦略であるに加え、2019年に言及された中国の新たな軍事戦略である「智能化」戦[7](intelligentized warfare)との融合により、さらに強固なものとなる。智能化戦(intelligentized warfare)は人工知能の活用に重点を置き、情報処理能力の向上、迅速な意志決定、群れ(swarms)の活用、認知戦の4つを特徴としている[8]。
中国の戦略家は、人間の認知こそが智能化戦(intelligentized warfare)の焦点であり、敵の認知に直接作用することで戦略目標を達成できると述べている[9]。人民解放軍(PLA)の元陸軍副参謀長である戚建国(Qi Jianguo)は、新世代の人工知能技術の開発で優位に立った者は、国家安全保障の生命線である人間の認知をコントロールできるようになると述べている[10]。また、中国の戦略家は、敵の脳に直接干渉したり、無意識にコントロールすることで、敵に精神的なダメージ、混乱、幻覚を誘発し、武器を捨てさせ、降伏させることができると主張している[11]。
中国が将来の技術を使って敵の脳をどのようにコントロールするつもりなのかは定かではない。現在利用可能な技術の場合、人民解放軍(PLA)は軍事行動と偽情報の使用による威嚇を考えているようだ。威嚇には、部隊の特定地点への機動展開、戦略核兵器部隊の作戦準備、威嚇を目的とした軍事演習などがある。偽情報は、インターネットやテレビ放送を通じて流布することができる。また、敵の情報・監視・偵察活動を電磁波やサイバーの手段で欺き、指揮官の判断を誤らせることも含まれる。
また、智能化戦(intelligentized warfare)を提唱する龐宏亮(Pang Hongliang)は、小型無人システムによる監視など米国の技術的成果を幅広く取り上げ、最新技術による人間の認知への影響力の重要性にも言及している。例えば、サイバースペースで動作するソーシャル・メディア・ボットなどの無人システムは世論を操作することができ、将来的には小動物に似た超小型の無人システムが大統領などの最高意志決定者の部屋にひそかに入り込んで威嚇したり殺害したりして、敵の意志を制圧し支配することができるとしている[12]。
しかし、多くの中国の上級将校や戦略家が主張するように、物理的な戦闘なしに認知戦で勝利を確保することは可能なのだろうか。ウクライナ戦争の教訓は、これらの理論をどのように変えるのだろうか。本稿の後半では、ウクライナ戦争の教訓を踏まえ、この理論の実現可能性と今後の変化の可能性について考察してみたい。
認知戦の限界:ウクライナの実証:The Limits of Cognitive Warfare: A Ukrainian Demonstration
人民解放軍(PLA)の高官や戦略家は、ウクライナ戦争の教訓をまだ公の場で論じていない。しかし、米国では、ウクライナ戦争の教訓によって、中国の台湾侵略計画の方向性が変わる可能性を指摘する研究が相次いでいる。ある論文では、台湾への直接の軍事侵略はコストが高く、中国は台湾が最終的に降伏するのを辛抱強く待つだろうと予測している[13]。
別の研究では、ロシアの侵略に対する抵抗を見た中国は、核の威嚇による米国の介入妨害、海軍による台湾包囲による物理的孤立、台湾の政治・軍事指導者の暗殺といった手段で台湾に心理的打撃を与え、抵抗の意志を挫こうとする、と予測している[14]。また、別の論文では、中国は攻撃に先立って、台湾社会の分裂を煽り、偽情報を流し、台湾と外部との通信を遮断するなど、より広範な作戦を展開する可能性があると指摘している[15]。
これらの予測は、人民解放軍(PLA)の高官や戦略家が人間の認知が戦いの焦点であると述べ、「戦わずして敵を屈する」ことの重要性に言及していることから、いずれも合理的な分析である。中国の理論家は、ウクライナの戦争では、人間の認知の側面に焦点を当てるだろう。しかし、多くの分析が述べるように、中国は台湾侵略においてこれまで以上に認知戦に依存するのだろうか。
中国の戦略家が述べているように、人工知能や「脳科学(brain science)」を用いた認知戦は、まだ開発されていない将来の技術を用いる。ウクライナにおける認知戦は、そのような新技術を用いた脳への直接的な影響という未来型のコンセプトを備えていないが、人間の認知が戦争の結果に与える影響について分析する価値はある。特に、現在進行中の戦争は、人間の認知に関連する中国の伝統的なコンセプトである、国内外の世論に影響を与え支持を得る世論戦と、敵の軍人と民間人にショックを与え士気を喪失させる心理戦について本質的な教訓を示すものである。
2014年のクリミア半島占拠において、ロシアは人間の認知の領域で巧みな戦いを繰り広げました。所属を示す標章を持たない軍事部隊、いわゆる「リトル・グリーン・メン(little green men)」が突然クリミア半島を占拠したとき、ウラジーミル・プーチン大統領は直ちにロシアの関与を否定する声明を発表した。その発言は数時間のうちに、ワシントン・ポストやBBCなど欧米のメディアで発表された。プーチン大統領の発言の目的は、半島併合のための疑似住民投票という重要な時期に、人々の認識を誤らせることで国際世論を操作し、国際社会の介入を防ぐことであった[16]。
ロシアはまた、公共メディアとトロール工場を使って、「ウクライナにおけるロシア系住民の弾圧」という戦略的なナラティブ[17]を巧妙に流布した[18]。この戦略的シナリオは、ロシアのウクライナ侵略に正当性があるように見せかけ、国際社会に「ウクライナに非がある」という誤った認識を植え付けることを意図していた。例えば、ロシアは「ウクライナのオデーサでの親ロシア派住民の虐殺」と「オデーサの虐殺に対する米国メディアの隠蔽」というフェイク・ニュースを同時に発表した[19]。これらのフェイク・ニュースが重なることで、あたかも真実が隠蔽されているかのような印象を与え、国際社会に誤った認識(false perceptions)を植え付けた。
ロシアには認知戦というコンセプトはなく、代わりに情報・心理的対決というコンセプトを用いている。しかし、デジタルな手段を使って人々の思考や価値観に影響を与えるこの方法は、中国が認知戦と呼ぶものに似ている。そして、ロシアはこのような戦争に関して、2014年に成功を収めている。
しかし、ロシアは、物理的な領域だけでなく、人間の認知の領域においても、今回の戦争における狙いを達成することができないでいる。抑圧されたロシア国民を救出するための特別軍事作戦という主張[20]は、2014年に彼らが用いた戦略的ナラティブと同じであり、国際社会に対する正当性の主張が目的だったのかもしれない。しかし、この戦略的ナラティブはロシア国内では機能しているが[21]、2014年のように国際世論に影響を与えることはできていない。
これに対し、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアの脅威にもめげず、首都キーウに留まった。大統領の勇気[22]に支えられ、ウクライナ政府は正確な情報を発信し[23]、ウクライナ国民の団結を維持し、国際社会から高い支持を得て、多くの国から物的支援を確保することができた。また、ウクライナ政府は、オープンソースからの情報や米国から提供された情報を利用して[24]、ロシア軍と戦いウクライナの勇気とロシア軍の残虐行為を国際社会にアピールしてきた[25]。
この認知戦において、米国の支援は極めて重要な役割を果たした。米国は開戦前[26]に、プーチンのウクライナ侵略の決定を公表する[27]ために、機密情報を迅速に開示する事前反論戦略(prebuttal strategy)[28]をとったのである。ロシアの戦略的シナリオの信頼性を事前に低下させ、民主主義諸国の結束を高める環境を醸成し、ウクライナへの物的支援につながったということで、多くの記事がこの戦略を賞賛している[29]。また、米軍のサイバー部隊による保護とハイテク企業の支援は、ウクライナの情報通信インフラの維持に不可欠な役割を果たし[30]、ウクライナは世界に向けて迅速に情報を発信することができるようになったのである。
このように、短期的には、ウクライナと米国に代表される民主主義諸国は、公的認知の場において明らかに優位性を有しているのである。この優位性は、ウクライナが戦闘を続けるために不可欠な国際社会からの物質的支援をもたらす。しかし、ロシアの機甲部隊の突進から首都キーウを守り、ロシア占領地の一部を奪還したのは、ドローンとジャベリンで武装したウクライナの物理的戦力[31]であり、認知戦ではない。ウクライナは、より長期的な戦いに備えて、野戦砲、戦車、戦闘機、対空兵器など、より多くの物理的アセットを要求している[32]。
長い目で見れば、ウクライナが認知戦において優位を保てるという保証はない。インターネットとソーシャル・メディアの時代、国際世論は不安定である[33]。この戦争が何年も続けば、国内政治が再びそれぞれの国内のナラティブを支配し始めるので、欧米の支援は衰えるだろう。民主主義諸国からの物質的支援が減少すれば、ウクライナは物理的な戦闘を継続することが困難になる。一方、ロシアは政府の公式発表と異なる情報を流した場合、最高で15年の実刑判決を下すなど[34]抑圧的な体制を強めている[35]。この抑圧的な体制は、国内の認知戦に有利な要素である。ロシアが戦争を継続するための最低条件である自国民の支持を維持することが可能になるのだ[36]。
ウクライナ戦争において、ウクライナとロシアは国際社会や市民の支持を得るために様々な努力をしてきたし、これからもするだろう。そして、長い目で見れば、この点でウクライナが勝ち残ることは難しくなるかもしれない。ウクライナの戦争は、デジタル時代に人々の認知を左右し、国内外の世論の支持を得るために、戦略的に情報を発信することの重要性を示している。しかし、ウクライナは認知戦だけではロシアに奪われた東部と南部の領土を取り戻すことはできない。物理的な領域での闘いが勝敗を決するだろう。
このように、露・ウクライナ戦争は、認知戦だけでは戦争に勝つことができないことを示している。中国の理論家たちが、直接戦闘を伴わない認知戦で戦争に勝つと主張するのは、現在の科学技術では実現不可能なことなのだ。つまり、多くの分析に反して、中国は、核の脅威、封鎖、斬首、偽情報の流布、通信の遮断などによる心理的打撃といった間接的手段のみで、台湾を屈服させることはできないだろう。
新技術は戦略的優位をもたらすか?:Do Emerging Technologies Alone Confer a Strategic Advantage?
このことは、ウクライナにおけるサイバー戦の経験によって補強されている。過去10年間、多くの政府関係者[37]やサイバー専門家が、人々の命を奪い、重要なインフラを破壊しかねない壊滅的なサイバー攻撃について警告してきた[38]。今年のロシアの侵略以前にも、専門家はウクライナの電力網へのサイバー攻撃により、何百万人ものウクライナ人が厳しい寒さの中で暖房もなく、心理的にも参ってしまうだろうと予測していた[39]。
2月24日のウクライナ侵略に伴い、ロシアはウクライナ政府、軍、重要インフラのコンピューター・システムに対してサイバー攻撃を仕掛け[40]、一部のシステムが誤動作する事態となった[41]。ウクライナの軍や情報機関が使用するKA-SATもサイバー攻撃により機能停止した。しかし、サイバー戦は戦前に予想されたほど決定的なものではなく、ロシアはサイバー戦だけで戦略的優位性を獲得したわけではない[42]。ウクライナ戦争は、サイバー戦が単独で戦略的効果を達成するのではなく[43]、陸海空の作戦を支援する道具として使うのが最善であることを示している[44]。
このように、ウクライナ戦争は、デジタル手段を用い、非物理的領域で行われる認知戦やサイ バー戦が、単独で戦略的優位性をもたらすわけではないことを明らかにした。もし、人民解放軍(PLA)の高官や戦略家が同じ認識に至れば、既存の物理的領域での作戦と非物理的領域での作戦を引き続き重視することになるであろう。実際、彼らは機械化された(mechanized)、情報化された(informationized)、智能化された(intelligentized)戦い(warfare)の共存を認識しており、今後もそうするだろう。
戦わずして敵を屈することを理想とした孫子も、間接アプローチ戦略[45]を提唱したイギリスの戦略家B・H・リデル・ハートも、その実践方法について具体的な助言を与えてはいない[46]。そして、長い戦いの歴史の中で、敵の意志を制圧するのは物理的な戦い(physical battles)であったのである。
結論:米国及びその同盟国への推奨事項:Conclusion: Recommendations for the U.S. and Its Allies
このような教訓から、中国は認知戦を重視する一方で、既存の物理的領域への投資を継続し、両領域間の連携を強化するものと思われる。中国に対抗するために、米国とその同盟国は、中国の認知戦のコンセプトを分析すると同時に、認知、情報、物理の各領域における作戦の連携について検討する必要がある。
米国とその同盟国は、民主主義国家として、独自の認知戦理論を強化する必要がある。他国の認知的領域に影響を与えるには、その国の文化を理解し、ターゲットを特定し、そのターゲットの特徴に合わせた戦略的なナラティブを作成することが必要である。認知戦において、情報は弾薬であり、適切な弾丸を適切なタイミングと場所で発射する必要がある。2014年以降、ロシアはデジタル手段による偽情報の拡散の有効性を実証してきた。しかし、ウクライナ戦争は、民主主義社会の最高の武器は、正確な広報と迅速な情報公開であることを示した。
ウクライナの戦争は、国内外の世論の重要性を示している。しかし、認知戦は戦略的優位性を得るための一つの手段に過ぎず、戦わずして敵を屈することの実現性には疑問がある。だからといって、認知戦が役に立たないわけではなく、むしろ数あるツールの中の1つとしてとらえるべきだろう。サイバー戦も、それ自体で圧倒的な戦略的優位性を獲得することはほとんどない。それでも、陸海空の作戦に組み込まれ、現代戦に欠かせないものとなっている。
同様に、認知戦は、陸・海・空・宇宙・サイバーの各領域における作戦に効果的に一体化される必要がある。相手の知覚(perception)に影響を与える手段には、情報の伝達や開示だけでなく、物理的アセットの行動による威嚇や抑止、さらにデジタルでの情報発信も含まれるため、認知戦と他の作戦との連携が不可欠となるのである。既存の作戦に認知戦を取り入れるには、ターゲティングの手順[47]が有効であり、敵の認知に影響を与える複数の手段を割り当てることができる。
ノート
[1] 梁晓波.(May 16, 2022).认知域作战是语言对抗新的主战场.中国社会科学网. (http://ex.cssn.cn/zx/bwyc/202205/t20220516_5408453.shtml)
[2] 人民日报. (December 15, 2003). 中国人民解放军政治工作条例颁布. (https://news.sina.com.cn/o/2003-12-15/08241342714s.shtml)
[3] 飯田将史. (June 29, 2021). 中国が目指す認知領域における戦いの姿. NIDSコメンタリー. (http://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/pdf/commentary177.pdf)
[4] 郭云飞. (June 2, 2022). 争夺制脑权,未来战争要如何才能“不战而屈人之兵”. 中国军网解放军报. (http://www.81.cn/xue-xi/2020-06/02/content_9826822.htm)
[5] Ibid.
[6] 戚建国.(July 25, 2019). 抢占人工智能技术发展制高点. 中国军网国防部网.
(http://www.81.cn/jfjbmap/content/2019-07/25/content_239260.htm)
[7] 中華人民共和国中央人民政府. (July 24, 2019). 新時代的中国国防. (http://www.gov.cn/zhengce/2019-07/24/content_5414325.htm)
[8] Yatsuka, M. (October 2020). PLA’s Intelligentized Warfare: The Politics on China’s Military Strategy. Anzenhosho Senryaku Kenkyu (Security & Strategy), Vol. 1, No.2. (http://www.nids.mod.go.jp/publication/security/pdf/2020/10/202010_02.pdf)
[9] 李大鹏. (July 11, 2019). 智能化战争怎么打. 中国青年报. (http://zqb.cyol.com/html/2019-07/11/nw.D110000zgqnb_20190711_3-12.htm)
[10] 戚建国.(July 25, 2019). (http://www.81.cn/jfjbmap/content/2019-07/25/content_239260.htm)
[11] 朱雪玲&曾华锋. (October 18, 2017). 制脑作战:未来战争竞争新模式. 中国军网解放军报. (https://www.sohu.com/a/198597081_778557)
[12] 龐宏亮. (May 3, 2021). 知能化戦争(Japanese translation version). Gogathu Shobo Shinsha.
[13] Nathan, A J. (June 23, 2022). Beijing Is Still Playing the Long Game on Taiwan. Why China Isn’t Poised to Invade. Foreign Affairs. (https://www.foreignaffairs.com/articles/china/2022-06-23/beijing-still-playing-long-game-taiwan)
[14] Montgomery, E & Yoshihara, T. (April 5, 2022). Leaderless, Cut Off, and Alone: The Risks to Taiwan in the Wake of Ukraine. War on the Rocks. (https://warontherocks.com/2022/04/leaderless-cut-off-and-alone-the-risks-to-taiwan-in-the-wake-of-ukraine/)
[15] Sacks, D. (May 16, 2022). What Is China Learning from Russia’s War In Ukraine. America and Taiwan Need to Grasp – and Influence – Chinese Views of the Conflict. Foreign Affairs. (https://www.foreignaffairs.com/articles/china/2022-05-16/what-china-learning-russias-war-ukraine)
[16] Nimmo, B. (2015). The Case for Information Defense: A Pre-Emptive Strategy for Dealing with the New Disinformation Wars. Transitions Forum, Legatum Institute, 29. (https://li.com/reports/information-at-war-from-chinas-three-warfares-to-natos-narratives/)
[17] Miskimmmon, A, O’Loughlin, B & Roselle, L. (2013). Strategic Narratives. Routledge.
[18] Laity, M. (2015). NATO and the Power of Narrative. Transitions Forum, Legatum Institute, 24. (https://li.com/reports/information-at-war-from-chinas-three-warfares-to-natos-narratives/)
[19] Singer, P.W. & Brooking, E.T. (2019). Like War: The Weaponization of Social Media, First Mariner Books edition, 204.
[20] Kolesnikov, A. (March 3, 2022). Will Putin Lose Russa? His Grip on Power Rests on Fantasy and Fear. Foreign Affairs. (https://www.foreignaffairs.com/articles/2022-03-03/will-putin-lose-russia)
[21] Macklnnon, A. (April 8, 2022). West Seeks to Pierce Russia’s Digital Iron Curtain. Governments and media sites are finding creative ways to get the truth about Russian President Vladimir Putin’s war to regular Russians. Foreign Policy. (https://foreignpolicy.com/2022/04/08/west-russia-digital-iron-curtain-media/)
[22] Kuleba, D. (April 27, 2022). The Fight for Ukraine Is Forging a New World. If Ukraine prevails against Russia, the global movement toward a more empowered and freer digital world will accelerate. Foreign Policy. (https://foreignpolicy.com/2022/04/27/ukraine-war-internet-metaverse-cyber-cryptocurrency/)
[23] Kuldkepp, M. (May 10, 2022). Stop Falling for Russia’s Delusions of Perpetual Victory. The best sources on the war are the Ukrainians on the ground. Foreign Policy. (https://foreignpolicy.com/2022/05/10/russia-blind-spots-ukraine-propaganda/)
[24] Abdalla, N.S, Davies, P.H.J, Gustafson, K, Lomas, D & Wagner, S. (May 19, 2022). Intelligence and the War in Ukraine: Part 2. War on the Rocks. (https://warontherocks.com/2022/05/intelligence-and-the-war-in-ukraine-part-2/)
[25] Greenberg, E.L & Milonopoulos, T. (May 30, 2022). Boots on the Ground, Eyes in the Sky. How Commercial Satellites Are Upending Conflict. Foreign Affairs. (https://www.foreignaffairs.com/articles/ukraine/2022-05-30/boots-ground-eyes-sky)
[26] Walton, C. (February 28, 2022). Can Intelligence Tell How Far Putin Will Go? War on the Rocks. (https://warontherocks.com/2022/02/lessons-of-cold-war-intelligence-for-ukraine-today/)
[27] The White House. (February 18, 2022). Remarks by President Biden Providing an Update on Russia and Ukraine. (https://www.whitehouse.gov/briefing-room/speeches-remarks/2022/02/18/remarks-by-president-biden-providing-an-update-on-russia-and-ukraine-2/)
[28] Abdalla, N.S, Davies, P.H.J, Gustafson, K, Lomas, D & Wagner, S. (May 11, 2022). Intelligence and the War in Ukraine: Part 1. War on the Rocks. (https://warontherocks.com/2022/05/intelligence-and-the-war-in-ukraine-part-1/)
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[41] Ibid.
[42] Vicic, J & Mehta, R.N. (March 14, 2022). Why Russian Cyber Dogs Have Mostly Failed to Bark. War on the Rocks. (https://warontherocks.com/2022/03/why-cyber-dogs-have-mostly-failed-to-bark/)
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[45] Liddell Hart, B.H. (January 1, 1942). The way to win wars; The strategy of the indirect approach. Faber and Faber Ltd. (https://www.amazon.com/way-win-wars-strategy-indirect/dp/B0007IWPA8/)
[46] Handel, M. (January 1, 1991). Sun Tzu and Clausewitz: The Art of war and On war compared. US Army War College. (https://www.amazon.com/Sun-Tzu-Clausewitz-compared-Professional/dp/B001UIDGKW)
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