「FM 3-0 Operations」(2022年版)【第6章 武力紛争の間の作戦 第II節から第IV節】

「FM 3-0 Operations」(2022年版)【第6章 武力紛争の間の作戦 第I節】に続いて、【第6章 武力紛争の間の作戦 第II節から第IV節】を紹介する。

米陸軍のドクトリンの公開サイトからダウンロードした「FM 3-0 Operations」の第6章冒頭には、第IV節の記述があるが、目次では第IV節がSection IVとして見当たらないので、ここでは「TRANSITION TO POST-CONFLICT COMPETITION」を第IV節として展開し紹介している。

また、「第II節‐防勢作戦」と「第III節‐攻勢作戦」のここでの拙訳は、作戦・戦術に馴染みのある方には違和感を覚えるかもしれないがご容赦いただきたい。(軍治)

第II節-防勢作戦:SECTION II – DEFENSIVE OPERATIONS

防御の目的と条件:PURPOSE AND CONDITIONS FOR THE DEFENSE

防御の特性:CHARACTERISTICS OF THE DEFENSE:

敵の攻撃:ENEMY OFFENSE

防勢作戦の種類:TYPES OF DEFENSIVE OPERATIONS

防勢的作戦上のフレームワークの考慮事項:DEFENSIVE OPERATIONAL FRAMEWORK CONSIDERATIONS

攻撃への移行:TRANSITION TO OFFENSE

第III節-攻勢作戦:SECTION III – OFFENSIVE OPERATIONS

攻勢のための目的と条件:PURPOSE AND CONDITIONS FOR THE OFFENSE

攻撃の特性:CHARACTERISTICS OF THE OFFENSE

敵の防御:ENEMY DEFENSE

攻勢作戦の種類:TYPES OF OFFENSIVE OPERATIONS

攻勢的作戦上のフレームワークの考慮事項:OFFENSIVE OPERATIONAL FRAMEWORK CONSIDERATIONS

防勢と安定化への移行:TRANSITION TO DEFENSE AND STABILITY

第IV節-紛争後の競争と安定化作戦への移行:SECTION IV –TRANSITION TO POST-CONFLICT COMPETITION

紛争後の競争への移行間の戦域軍:THEATER ARMIES DURING TRANSITION TO POST-CONFLICT COMPETITION

紛争後の競争への移行間の軍団:CORPS DURING TRANSITION TO POST-CONFLICT COMPETITION

紛争後の競争への移行間の師団:DIVISIONS DURING TRANSITION TO POST-CONFLICT COMPETITION

紛争後の競争への移行間の旅団:BRIGADES DURING TRANSITION TO POST-CONFLICT COMPETITION

第II節-防勢作戦:SECTION II – DEFENSIVE OPERATIONS

敵の襲撃を待つ防御態勢でも、我々の弾丸は攻勢に転じる。つまり、戦争の防御形態は単純な盾ではなく、うまく誘導された打撃で構成された盾である。

カール・フォン・クラウゼヴィッツ

6-172. 防勢作戦(defensive operations)は、敵の攻撃を撃破し、時間を稼ぎ、部隊を節約し、緊要地形を保持し、攻勢作戦に有利な条件を整備するものである。攻勢作戦は通常、決定的な結果を得るために必要であるが、防御することが必要な場合も多く、望ましい場合さえある。国境を守るなど、全体的な政治的到達目標を達成するのに十分でない限り、防勢作戦だけでは通常、決定打を得ることはできない。

防御の目的と条件:PURPOSE AND CONDITIONS FOR THE DEFENSE

6-173. 防御の目的の一つは、陸軍部隊(Army forces)が主導性を取り戻すことができるような攻撃条件を作り出すことである。防御を行う他の理由は以下の通りである。

・ 敵部隊(enemy force)に対して決定的な地形を保持し、重要な地域を与えないこと。

・ 攻撃の前段階として、敵部隊(enemy force)を追い詰め、または固定すること。

・ 敵の行動を妨害する。

・ ある地域でリスクを受け入れ、他の何処かで攻撃の機会を作る。

6-174. 防勢作戦には、多くの潜在的な条件がある。それらは以下の通り。

・ 敵の攻撃により武力紛争が発生した場合、前方の友軍部隊(friendly forces)は防御して時間を稼ぎ、増援まで戦闘力を温存する必要がある。

・ 攻勢作戦が頂点に達し、敵の攻勢作戦に対抗しつつ、戦闘力を高める必要がある。

・ 部隊は、支援の取組みとして戦力の効率的な防御の役割を割り当てられる。

・ 上位部隊階層司令部は、全体行動方針を支援するため、地域、住民、重要インフラ、その他の緊要地形を防御するための任務を指示する。

・ 米軍部隊(U.S. forces)はすべての目標を達成し、将来の敵の侵略を抑止するための防御に移行する。

6-175. 軍団または師団の防御を成功させる鍵は、防御部隊が敵の勢いを止め、主導性を握ることができるような作戦コンセプトである。防御は攻撃と同様に奇襲が重要であり、防御コンセプトは明白な配置や技法を避けるべきである。防御を実行するとき、指揮官は利用可能な全てのドメインから戦闘力を編成し、敵を撃破させる決定的な場所と時間に効果を調和させる。指揮官は、どこに戦闘力を集中させ、どこにリスクを許容するかを決定する。成功のためには、防御部隊が陣前出撃(spoiling attack)や逆襲(counterattacks)のような主導性を握る機会を利用することが必要となる場合がある。

6-176. 防御部隊にとって、時間はしばしば最も重要な資源である。敵は攻撃の時間と場所を選ぶので、友軍部隊が防御を準備する時間は未知数であることが多く、通常は不十分なものである。防御する軍団や師団は、計画策定、調整、リハーサル、情報収集の実施を完了するために、緊急の意識を持たなければならない。部下は、戦闘陣地の準備、後方支援アセットの事前配置、障害物の設置など、交戦地域を整備する時間が必要である。つまり、仕事の優先順位と取組みの優先順位を厳密に守ることが、時間管理には重要なのである。

6-177. 防御指揮官は、効果的な防御を準備するための時間を確保しようとする。軍団長または師団長は、準備時間を増やし奇襲を防ぐ手段として、主戦闘地域(main battle area)部隊の警護または援護のために警戒部隊(security force)をタスク編成し、警戒地域に配備することができる。指揮官はまた、敵の準備を混乱させ、準備のための時間を増やすために、陣前出撃(Spoiling attacks)、急襲、または陽動を行うことができる。防御部隊は、敵部隊(enemy forces)を消耗させ、その作戦計画を混乱させるために、合同および陸軍の火力と航空で敵部隊(enemy force)を継続的に縦深まで攻撃する。友軍の通常戦力および特殊作戦部隊は、敵部隊(enemy force)の移動と補給を複雑化することにより、敵の攻撃を遅らせることができる。敵部隊(enemy forces)がいつ、どこで攻撃してくるかわからない場合、指揮官はより多くの予備を維持する必要がある。

6-178. 防御を成功させるには、利用可能なすべてのアセットを一体化し、同期化することが必要である。防御指揮官は、任務を割り当て、部隊(予備を含む)を配分し、機能的および多機能的な支援と後方支援のための資源を、主たる取組みと支援取組みの構成の中で配分する。指揮官は、戦場の情報準備の結果に基づいて、どこに防御の取組みを集中し、どこでリスクを受け入れるべきかを決定する。この決定には、敵の偵察と監視の取組み、および敵の集中火力に対する友軍の脆弱性を考慮することが含まれる。指揮官は、友軍部隊(friendly forces)に影響を与えることができる各ドメインにおける敵の能力を考慮することにより、敵の攻撃に対抗するように努める。

防御の特性:CHARACTERISTICS OF THE DEFENSE:

6-179. 成功した防御策には、いくつかの重要な特性がある。それらは以下の通りである。

・ 混乱(Disruption‐敵の偵察部隊を欺き、破壊し、戦闘編成を分断し、部隊階層を分離し、敵部隊(enemy force)の諸兵科連合の同調する能力を阻害することである。

・ 柔軟性(Flexibility-敵の様々な行動を予測し、それに応じて資源を配分する計画を策定すること。

・ 機動(Maneuver)-敵部隊(enemy force)に対して物理的に有利な位置を獲得し、利用すること。

・ 量と集中(Mass and concentration-特定の場所に圧倒的な戦闘力を作り出し、主たる取組み(main effort)を支援する。

・ 縦深(Depth-複数の敵の部隊階層、敵の長距離火力、後方支援、指揮・統制(C2)への関与。

・ 準備(Preparation-攻撃する敵部隊(enemy forces)が到着する前に防御を準備すること。

・ 保全(Security-警戒、防護、情報活動、作戦保全、およびサイバースペースと電磁戦のタスクを実施する。

(防御の特性についてはADP 3-90を参照のこと)。

敵の攻撃:ENEMY OFFENSE

6-180. 敵の戦術、能力、および想定される行動方針はすべて防御の計画策定に反映される。防御指揮官は、脅威の行動方針と敵部隊(enemy force)が利用しうる友軍の弱点の両方を予測するために、関連する全てのドメインにおいて敵の視点から地形と自軍を見なければならない。防御指揮官は敵の目標とそれを達成するための敵の接近経路(enemy avenues of approach)の可能性を確認する。全てのドメインにおける敵の能力を理解することは、最も効果的な友軍の防御策を考案するために不可欠である。敵の限界を把握することは、友軍の優位性を利用する機会を決定するのに役立つ。

6-181. 攻勢作戦の開始時、敵部隊(enemy forces)は友軍指揮・統制(C2)の混乱と破壊、圧倒的な火力の適用、そして友軍後方への急速な侵入を目指す。敵部隊(enemy force)は情報戦により、情報システムを攻撃し、欺瞞し、自軍の情報システムを防護する。敵部隊(enemy forces)は、指揮・統制(C2)システム、情報収集システム、防空システム、航空機に対して電子攻撃や長距離打撃を行う。敵の到達目標は、統合部隊の意志決定、防空・ミサイル防衛、航空戦闘能力を弱めるか破壊することであり、これにより敵部隊(enemy forces)が早期に決定的な成功を収める機会を作り出す。

6-182. 敵部隊(enemy force)が早期の支配性を達成するための能力の鍵は、最初に打撃することである。敵部隊(enemy force)の攻勢作戦を開始する決心に影響を与える一般的な考慮事項には、敵が統合部隊に攻撃の準備がないと判断した場合、敵が統合部隊の弱点を突いた場合、敵が完全に準備しいつでも作戦に参加できる場合、が含まれる。敵の決心は、最初の会戦に勝つための最大の機会を提供する要素に結びつけられ、それが後の作戦の成功の可能性を大きく高めると考えるからである。

6-183. 敵部隊(enemy force)は、空・宇宙・サイバースペースドメインで早期に優位性に立ち、海のドメインと陸のドメインで優位性に立つための条件を整えようとする。敵部隊(enemy force)は、統合部隊が紛争地域に追加部隊を投入することを阻止し、前方展開部隊を可能にする友軍の兵站システムを混乱させることを狙いとする。敵部隊(enemy forces)は長距離攻撃を指揮・統制(C2)ノード、兵站基地、集結地に集中させ、統合部隊の防勢作戦を混乱させ、統合部隊の攻勢作戦準備能力を低下させる。

6-184. 敵のリーダーが攻勢作戦中に地上戦に部隊を投入する場合、通常、地上での複数の固定攻撃により主たる取組み(main effort)の位置を隠蔽し、友軍前方部隊を孤立させることを試みる。敵部隊(enemy forces)は火力や電子攻撃により、重要な友軍の指揮所、レーダー、火力指示センターを混乱させる。

6-185. 一般に、敵部隊(enemy forces)は成功の補強を目指し、脆弱な地点に戦力を集結して大きな戦力比の優位性を獲得し、友軍防御陣地への迅速な侵入を可能にする。敵のリーダーは移動部隊を使用して、侵入を迅速に最大限の縦深まで利用し、友軍全体の防御陣地を維持できなくさせる。敵部隊(enemy forces)は火力の量と範囲の両方で優位性に立ち、侵入地点で同時に大量の火力を行い、迅速な閉鎖と突破を可能にし、自軍の前線に沿って他の友軍要素を固定し、防御の縦深に沿って重要な友軍指揮・統制(C2)および兵站ノードをターゲットとする。敵部隊(enemy forces)は、可能な限り友軍戦闘陣地を固定し、移動し、必要な場合は破壊された部隊の中を移動するために、火力を使用することを望む。敵部隊(enemy forces)は、その全体的な戦略目的を支援するために、作戦目標を達成する縦深まで戦術的に機動しようとする。敵部隊(enemy forces)は、偵察、電子戦、情報戦およびその他の能力を駆使して、初期の戦術的成果を可能にし、それを利用する。これらには化学兵器も含まれる可能性が高い。(敵の攻勢作戦の想定図は6-34ページの図6-4を参照)。

 

図6-4. 想定される敵の攻勢作戦

防勢作戦の種類:TYPES OF DEFENSIVE OPERATIONS

6-186. 防勢作戦には3つの種類がある。これらの作戦は、著しく異なるコンセプトを持ち、異なる問題を提起する。部隊は防御を計画策定し実行する際、それぞれを独立して検討する。これらの種類の名称は選択された作戦の全体的な狙いを伝えるが、師団やそれ以上の部隊階層におけるほとんどの防御は、3つの種類すべての要素を兼ね備えている。防勢作戦の種類は次のとおりである。

・ 地域防御(area defense)

・ 移動防御(mobile defense)

・ 後退(retrograde)

地域防御:AREA DEFENSE

6-187. 地域防御(area defenseは防勢作戦の一種で、敵を完全に破壊するのではなく、指定された地形への敵部隊(enemy forces)のアクセスを一定時間拒否することに重点を置く(ADP 3-90)。地域防御のバリエーションとしては、線状障害物の防御、円陣防御(perimeter defense)、反射面防御(reverse slope defense)などがある。地域防御の目的は、防御部隊の大部分が相互に支援する準備された陣地に位置する地形を保持することである。部隊はその位置を維持し、これらの位置の間の地形を制御し、交戦地域に火力を集中させる。部隊はこれらの火力を逆襲(counterattacks)の可能性で補うことができる。すべての部隊階層の部隊は地域防御を行うことができ、陸軍部隊(Army forces)は海上の交戦地域を持つことができる。陸軍部隊(Army forces)は攻勢作戦、後退作戦、または安定化作戦に移行するために地域防御を行うことができる。(地域防御の詳細については、ADP 3-90を参照。)

移動防御:MOBILE DEFENSE

6-188. 移動防御(mobile defenseは、打撃部隊による決定的な攻撃により敵を破壊または撃破することに重点を置いた防勢作戦の一種である(ADP 3-90)。移動防御は、敵部隊(enemy forces)を打撃部隊による決定的な逆襲(counterattacks)にさらされる地点まで前進させることにより、敵部隊(enemy force)を撃破または破壊することに主眼を置く。打撃部隊(striking forceは、利用可能な戦闘力の大部分で構成される移動防御における専用の逆襲部隊(counterattack force)である(ADP 3-90)。拘束部隊(fixing forceは、特定地域からの敵の移動を一定時間阻止することにより、打撃部隊を補足するために指定された部隊である(ADP 3-90)。拘束部隊(fixing force)は、攻撃する敵部隊(enemy forces)を所定の位置に保持し、攻撃する敵部隊(enemy forces)を伏撃地域に転換し、打撃部隊を送り出す地域を保持するために使用される。

6-189. 移動防御(mobile defense)には、相当な縦深地域を割り当てる必要がある。部隊は戦場を形成し、敵部隊(enemy force)に後方連絡線(lines of communications)を過剰に延長させ、敵部隊の翼側を露出させ、その戦闘力を浪費させる。同様に、部隊は自軍を攻撃部隊を撃破できる位置まで移動させることができなければならない。通常、師団やそれ以上の編成は移動防御を行う。(移動防御の詳細については ADP 3-90 を参照)。

後退:RETROGRADE

6-190. 後退(retrogradeは、敵から離れるための組織的な移動を伴う防勢作戦の一種である(ADP 3-90)。後退(retrograde)の3つのバリエーションは、遅延、撤退、および退却である。敵部隊(enemy force)がこれらの作戦を強要することもあれば、警戒部隊(security force)が主戦闘地域(main battle area)を後方に通過するときなど、部隊が自発的に実行することもある。いずれの場合も、後退(retrograde)を実行する上位部隊階層司令部は、その作戦を開始する前に承認しなければならない。後退(retrograde)は単独で行われるものではなく、過渡的な作戦である。それは、将来の作戦のために戦闘力を維持するようにデザインされた、より大きな作戦計画の一部である。前方駐留部隊は、紛争初期に劣勢になった場合、多国籍軍の一部として後退作戦(retrograde operations)を実行する準備を整えておく必要がある。

防勢的作戦上のフレームワークの考慮事項:DEFENSIVE OPERATIONAL FRAMEWORK CONSIDERATIONS

6-191. 防御では、指揮官は通常、縦深地域と後方地域を保持するが、近接地域を警戒地域と主戦闘地域(main battle area)の2つの明確な部分に分ける。指揮官はこの方法を用いて、航空・宇宙・サイバースペースを含む作戦を同期化し、敵部隊(enemy force)をその縦深全体で撃破する。図6-5(6-36ページ)は、想定される作戦フレームワークにおける友軍の防勢作戦を描いている。

 

図6-5. 防勢作戦時の想定される作戦フレームワーク

拡張された縦深作戦:EXTENDED DEEP OPERATIONS

6-192. 作戦・戦略レベルの縦深作戦は、通常、軍団または師団に割り当てられた陸上の作戦地域(AO)の外にあるが、一部は陸軍上級編成の関心地域と影響地域内にある。防勢作戦中、陸軍部隊(Army forces)は敵の攻勢作戦を可能にする戦略インフラや聖域に対して、統合部隊指揮官(JFC)やその他の戦略的効果を要求することができる。

6-193. 戦略的リーダーは、陸軍の長距離火力、サイバースペース、宇宙、およびその他のグローバル能力を、友軍の防勢作戦のための条件を整えるために、拡張された縦深地域のターゲットへの攻撃を支援するためにタスクとすることができる。長距離砲兵および地上発射ミサイル能力は、敵の長距離ミサイル砲列、製造・経済拠点、飛行場や港湾などの重要インフラ、戦略的通信拠点、戦略的後方支援・予備拠点などを射程に収めることができる。特殊作戦部隊は、単独でまたは現地部隊(indigenous forces)と組み合わせて、脆弱なターゲットを攻撃し、住民に影響を与え、地元の民兵や抵抗組織などの確立したネットワークを動かして支援し、貴重な情報を集め、敵部隊(enemy forces)に対抗し、敵の攻撃活動に対する民衆の支援を弱めることができる。友好的に支援された現地部隊(indigenous forces)やゲリラ部隊は、重要なインフラに損害や障害を与えて敵の後方支援活動を阻害することも可能である。

防勢作戦間の縦深作戦:DEEP OPERATIONS DURING DEFENSIVE OPERATIONS:

6-194. 縦深作戦は防御の有効性に不可欠である。指揮官はこれを用いて攻撃編成を萎縮させ、孤立させ、混乱させ、先頭の敵部隊階層に対して決定的な行動をとるための好機を作り出す。縦深作戦は、敵の選択肢を制限し、敵の友軍戦闘陣地に対する大量火力能力を混乱させ、後続部隊階層が先頭の部隊階層を支援する能力を否定することにより、主戦闘地域(main battle area)での成功を確保するための指揮官の手段である。指揮官はロケット砲、回転翼航空、無人航空システム(UAS)、特殊作戦部隊、宇宙・サイバースペース能力、電磁戦、影響力活動を駆使し、縦深作戦を展開する。指揮官は、敵の長距離能力を陸軍部隊(Army forces)と直接接触する前に迂回、混乱、遅延、または破壊するために、統合火力を要求する。戦場調整分遣隊は、上級陸軍作戦指揮官の航空部門との連絡役として、統合航空作戦センターに統合火力の要求を伝える中心的な役割を果たす。(阻止に関する情報は JP 3-03 を参照)

6-195. 縦深作戦は、敵が警戒地域内の機動部隊と接近する前に、できるだけ早期に敵の攻撃の結束を混乱させるために開始される。心理的効果は、敵部隊(enemy forces)の闘う意志を低下させ、敵の意志決定を妨げ、特に指揮・統制(C2)ノード、火力、その他の重要な能力への攻撃と組み合わせた場合には、敵の攻撃を開始と同時に混乱させる。防御部隊の位置と配置を隠し、敵の火力の効果を制限するための欺瞞は、敵の大量効果能力を遅らせることができる。防御に当たる陸軍部隊(Army forces)は、縦深作戦を行う。

・ 警戒地域及び主戦闘地域(main battle area)における敵部隊(enemy forces)を後続部隊階層から孤立させる。

・ 敵部隊(enemy force)の火力及び兵站支援能力を混乱させる。

・ 友軍予備の投入を妨げないようにする。

・ 主戦闘地域における有利な戦力比を達成するために、敵の戦闘力を十分に消耗させる。

・ 攻勢に転じる。

6-196. 縦深作戦を実施する一環として、軍団長および師団長は、その関心地域全体における敵部隊(enemy forces)の最新のインテリジェンス図を維持する。特殊作戦の中核的活動によって生み出される効果を調整・一体化し、作戦・戦略目標を達成し、敵の攻撃活動を支える敵部隊(enemy forces)・能力・インフラを崩壊させる。指揮官はまた、縦深作戦が近接作戦に過度に固執することを避けながら、警戒と主戦闘の部隊の条件設定に集中し続けるようにする。

6-197. 敵の編成が前線部隊に接近すると、リーダーは敵の動きを監視し、敵部隊(enemy force)のどの要素が最も脅威であるかを決め、敵の長距離火力、防空システム、兵站アセット、指揮・統制(C2)ノードなどの高報酬ターゲットを攻撃する。指揮官は偵察部隊、警戒部隊(security force)、火力を使用して敵の接近を妨害し、敵の攻撃を非同期化する方法で敵の第2梯隊と予備を遅延させる。利用可能な場合、指揮官は攻撃的な宇宙およびサイバースペース能力を電磁攻撃と組み合わせて採用し、敵の通信を妨害して敵の適応能力を阻害する。防御における縦深作戦は、航空阻止や近接航空支援を含む友軍の航空能力が警戒地域(security area)と主戦闘地域(main battle area)で活動できるように、敵の防空を制圧することも目指すことができる。

6-198. 指揮官は火力支援調整手段を用いて下位部隊階層間の縦深作戦を同期させる。火力調整線(coordinated fire lines)、指揮官がターゲットの迅速な交戦のために使用できる許容的な火力支援調整手段であり、同時に友軍部隊(friendly forces)に柔軟性を提供する。防御では、軍団は配下の師団と協調して火線を確立し、師団が自らの近接地域と縦深地域に集中する必要のある場所より先に、地対地火力で重要な敵能力をターゲットにすることができるようにする。

警戒地域の作戦:SECURITY AREA OPERATIONS

6-199. 防御の間、警戒部隊(security force)は主戦闘地域(main battle area)部隊を奇襲から守るため、戦闘地域の前縁(forward edge of the battle area)より十分前方の割り当てられた地域を占領する。警戒部隊(security force)は、主戦闘地域(main battle area)部隊が敵の機動に対して部隊を再配置する時間を与え、敵の中距離火力の効果を軽減するために早期警戒(early warning)を提供する。

6-200. 指揮官は、任務の変数に応じて、警戒地域で遮蔽、警備、または掩護を採用する選択肢がある。どの選択肢を使用するかを決定するとき、指揮官は以下を考慮する。

・ 利用可能な部隊数に対する警戒地域の縦深、幅、地形

・ 直面する脅威に対する警戒部隊(security force)の能力、特にその移動性

・ 指揮官が警戒部隊(security force)に主戦闘地域(main battle area)での戦力を提供するために必要とする時間

6-201. 指揮官は、利用可能な地形と防御の目的に基づき、警戒地域の位置、方向、縦深を決定する。部隊は敵の接近経路(enemy avenues of approach)を特定し、関心のある地域を指定する。警戒地域の縦深は、敵部隊(enemy forces)の接近に対応するための時間を決定する。縦深警戒地域を占領することにより、警戒部隊(security force)は重要な観測所や位置を損なうことなく、敵の偵察アセットを破壊することができる。敵部隊(enemy forces)が警戒地域に容易に侵入するのを防ぎ、観測所や部隊が移動したり、失われたりした場合の空白を防ぐことができる。警戒部隊(security force)は、縦深に配置する資源が少なく、地形を利用する機会も少ないため、広い戦線に沿った縦深を掩護することができない。浅い警戒地域では、部隊は警戒部隊(security force)をタスク編成し、本隊の反応時間を増やすための警備活動を行わなければならない。

6-202. 警戒部隊(security force)のタスク編成は、防御の全体コンセプトにおけるその役割に依存する。掩護部隊と警備部隊は、遮蔽部隊よりも多くの増援を必要とする。火力、工兵、航空、およびその他の任務は、敵を減速させ、混乱させ、敵の警戒部隊(security force)を低下させ、防御指揮官のために時間を稼ぐための警備部隊または掩護部隊の能力を向上させる。

6-203. 指揮官は、考えられる全ての敵の可能行動(enemy courses of action)と主戦闘地域(main battle area)で必要とされる準備の評価に基づいて、警戒地域をいつ占領するかを決定する。そして、警戒部隊(security force)の移動と陣地確立のために十分な時間を確保する。任務の変数は、これらの警戒部隊(security force)がどのように展開し、陣地を占領するかに影響を与える。指揮官は、地形の有利不利や敵の配置に応じて、警戒地域を確立するために前進することも、主戦闘地域(main battle area)をさらに後方に準備しながら現在の前線部隊に沿った警戒地域を確立することもできる。

6-204. 情報収集能力は、警戒のタスクの遂行を可能にする。指揮官は、敵部隊(enemy forces)を探知・追跡するために、指定された関心領域に収集を集中させる。UAS、情報活動、地上センサー、国家アセットからのデータと報告は、監視地域を拡大し、早期警戒を提供し、警戒部隊(security force)に合図を送ることができる。回転翼機は、センサーで遠距離の敵部隊(enemy forces)を探知し、報告する。これにより、地上の警戒部隊(security force)は、敵の接近経路(enemy avenues of approach)、指定された関心領域、ターゲットとされた関心地域、センサーの性能を低下させる制限のある地形などに部隊を集中させることができる。指揮官は情報収集アセットを利用して敵部隊(enemy force)の動きを察知し、警戒部隊(security force)を再配置して敵の行動に対抗するためのアセットを採用する時間を確保する。

6-205. 警戒部隊(security force)の後方境界線は、通常、戦闘引渡し線である。警戒地域にいる部隊から主戦闘地域(main battle area)の部隊への戦闘の引継ぎは、混乱と友軍相撃(fratricide)を避けるため、緊密な調整を必要とする。警戒部隊(security force)は、後方通過線を実施するための機動的自由を保持しなければならない。主戦闘地域(main battle area)部隊は、主戦闘地域(main battle area)内の接触点、通過レーン、及び経路を設定する。間接火力の統制は、警戒部隊(security force)が通過レーンを移動する際に主戦闘地域(main battle area)部隊に引き継がれる。通常、警戒部隊(security force)の大隊規模の部隊は、通過する旅団に戦闘を引き継ぐ。規模や部隊階層に関係なく、特定の進入路で敵が接近していることを主戦闘地域(main battle area)指揮官に知らせ、敵の先頭部隊を監視下に置くことができなければならない。通過後、警戒地域部隊は指示された場所に移動し、その後の作戦の準備を開始する。

主戦闘地域の作戦:MAIN BATTLE AREA OPERATIONS

6-206. 主戦闘地域(main battle area)とは、指揮官が部隊の戦闘力の大部分を投入し、襲来する敵部隊(enemy force)を撃破しようとするところである。指揮官は、敵の侵入を阻止するために主戦闘地域(main battle area)に部隊を配置し、敵部隊(enemy forces)が可能な限り不利になるような地形を選択する。指揮官は、下位の機動部隊の作戦を統制する手段として、主戦闘地域(main battle area)において下位の部隊に区域を割り当てる。防御区域は、主要な敵の接近経路(enemy avenues of approach)に沿うべきである。最も危険な区域(dangerous sector)を担当する部隊は、一般的に主たる取組み(main effort)となる。指揮官は、敵の攻撃を阻止し、侵入してきた敵の編成を破壊し、または主導性を取り戻すための逆襲(counterattacks)をするために、主戦闘地域(main battle area)において予備を使用する。

6-207. 制限の多い地形、チョークポイント、河川のような自然の障害物は、通常、緊要地形と進入路を指向する地域防御に有利である。開放的で制限の少ない地形は、通常、敵に照準を合わせた機動的な防御に有利である。師団や軍団レベルの防御のほとんどは、移動防御と地域防御の組み合わせの機会を提供する。軍団長や師団長は、主戦闘地域(main battle area)での近接作戦に関する状況認識を維持しながら、敵部隊(enemy forces)の前方部隊階層の増援や効果的な支援を防ぐための縦深作戦に焦点を合わせる。

6-208. 陣前出撃(Spoiling attacks)と逆襲(counterattacks)は、敵部隊(enemy forces)を混乱させ、主戦闘地域(main battle area)における戦闘力の集結や成功の利用を阻止するために用いられることがある。将来作戦セル(Future operations cells)は、主戦闘地域(main battle area)への潜在的な敵の侵入に対抗するため、通常部隊の再配置と予備の投入の決定点を確立することにより、不測事態対応の分岐(branch)と続行(sequel)の計画策定を行う。

予備:RESERVE

6-209. 指揮官は、敵部隊(enemy force)の能力と意図に関する不確実性のレベルに基づいて、予備の規模を決定する。指揮官の作戦コンセプトは、予備の規模、構成、位置、および計画策定の優先順位を記述する。不確実性が高ければ高いほど、予備は大きくなる。防御中の予備の目的は、不確実性に対するヘッジを維持し、通常、侵入を阻止するか、翼側から包囲することによって、敵の成功に対抗することである。防御を計画策定するとき、指揮官は通常どこでも強いというわけにはいかないので、ありそうもない敵の可能行動(enemy courses of action)についてのリスクを受け入れることになる。予備は指揮官が負うリスクを軽減する。指揮官は予備を、露出した翼側や支援部隊などの敵の弱点に逆襲(counterattack)するため、または敵の前方部隊階層の孤立した部分を撃破するために使用することができる。場合によっては、指揮官は予備を主戦闘地域(main battle area)における戦闘陣地を強化し、重要な地形を保持し、敵部隊(enemy forces)の侵入を阻止し、または師団または軍団の後方領域に対する脅威に対応するために使用しなければならない。部隊は最大限の柔軟性をもって予備部隊(reserve force)を配置する。

6-210. 指揮官は状況の予測に基づき、予備の計画策定の優先順位を決定する。旅団またはそれ以上の編成の指揮官は、通常部隊の約4分の1を予備に保持するが、その割合は作戦計画および指揮官の不確実性のレベルに依存する。不確実性が高ければ高いほど、より多くの予備を必要とする。

6-211. 逆襲(counterattacks)はタイミングが重要である。指揮官は予備の投入を必要とする状況を予測し、主戦闘地域(main battle area)への投入のリハーサルを行わなければならない。リハーサルは予備の対応計画を確認し、対応速度を向上させるのに役立つ。指揮官は、既存の地形や天候の中で、集結地から主戦闘地域(main battle area)までの移動と展開のスケジュールを十分に理解した上で、予備の投入を速やかに決定する。予備の投入が早すぎる場合、期待された効果が得られなかったり、後でより危険な状況(dangerous situation)になったときに投入しやすい状態になかったりすることがある。投入が遅すぎると、予備は全体的な意図を満たすのに十分な影響を与えることができないかもしれない。後方地域の移動統制と防空は、予備を時間通り、秩序正しく戦闘に参加させるために不可欠である。

6-212. 予備は、航空または地上機動部隊、あるいは両者の組み合わせとすることができる。予備は、諸兵科連合能力のタスク編成を行い、統合能力の活用を優先させるべきである。指揮官は予備の長所と短所を考慮し、それに従って計画を立てる。例えば、航空攻撃隊を採用すれば、脅威のある地域に迅速に対応し、緊要地形を押さえた後に敵の翼側を迅速に脅かすことができる編成を提供することができる。しかし、一旦投入されると、移動能力と後方支援能力に限界がある。

6-213. 攻撃航空の移動性と致死性は、最も即応性が高く効果的な予備の1つである。敵の装甲侵入に対して迅速に逆襲(counterattack)することができる。その有効性にもかかわらず、天候の潜在的な影響と、警戒地域の作戦を可能にするような他の重要な役割に十分な航空を利用できないことによるリスクから、攻撃航空は決して唯一の予備の要素(reserve element)であってはならない。

6-214. 指揮官は一旦予備を投入すると、未投入の部隊や脅威の少ない地域の部隊から、直ちに別の予備を構成し始める。新しい予備を選択する際、指揮官はどのような能力がその状況下で最も効果的であるか、また、どのような場所で使用される可能性が高いかを検討する。

防勢作戦間の後方作戦:REAR OPERATIONS DURING DEFENSIVE OPERATIONS

6-215. 後方作戦は、警戒地域と主戦闘地域(main battle area)における行動の自由を維持し、最終段階となることを防止する。後方指揮所は、後方支援の計画策定と指示、地形管理の実施、移動制御の提供、後方地域の地域警備(area security)を行うことにより、この行動の自由を可能にする。後方作戦は、防勢作戦中に需要の高い商品、特に弾薬の迅速な配送を確保する。敵の状況に応じて、指揮官は機動部隊を後方作戦の確保に投入するが、後方作戦を行う全ての部隊は現地の安全を維持し、残存性タスクを実施しなければならない。リーダーは、後方に位置する上級司令部や統合イネーブラの地形、防護、後方支援の必要性を考慮しなければならない。(後方指揮所についての詳細はFM 3-94を参照)。

6-216. 後方作戦は戦闘力を他の優先事項から転用するため、指揮官はこの転用の必要性を他の潜在的影響と比較検討しなければならず、任務分析と実行予測の両方に基づいてリスクを引き受ける覚悟が必要である。リスクを負うということは、後方地域で作戦する部隊が重要な局面での自己防御に集中できるよう、後方地域の重要な作戦以外を一時的に停止するというような単純なことかもしれない。

6-217. リーダーは、敵の探知を制限し、重要なノードを固め、敵の攻撃が大きな損失を与える前に対抗するために可能な限りのことをすることで、指揮所、支援地域、準備地域、輸送作戦に関連する脆弱性を軽減する。効果的な対無人航空システム(UAS)作戦は、報酬の高い友軍ターゲットを特定しようとする敵の偵察に対抗するために重要である。特に重要な指揮・統制(C2)ノードの敵のターゲットを複雑にするために、後方地域内の電磁防護、限定的な攻撃的宇宙統制作戦、分散、再配置能力は、師団や軍団が長期間比較的静止している防御時に非常に重要である。(対UAS作戦の詳細についてはATP 3-01.81を参照)。

攻撃への移行:TRANSITION TO OFFENSE

6-218. 防勢作戦の究極の到達目標は、敵の攻撃を撃破し、攻撃への移行を図ること、またはそのおそれがあることである。部隊は移行を意図的に計画し、移行を成功させるために必要な友軍及び敵の条件を特定し確立しなければならない。友軍部隊(friendly forces)が防御目標を達成すると、部隊は攻勢作戦のために集約・強化し、再編成を行い、または新編成のために前方での超越交代(passage of lines)を促進する準備を行う。部隊は、友軍部隊(friendly forces)が後続の作戦の準備をしている間に、敵部隊(enemy forces)が前方部隊階層を強化し、集約・強化し、再編成することを防ぐために可能な限りのことを行うべきである。

6-219. 指揮官は、敵に圧力をかけ続けるのに十分な戦闘力があると判断した時点で攻撃に移行する。敵の編成を完全に撃破することで、回復後に同じ敵の編成と戦って犠牲者が出るリスクを減らすことができるからである。指揮官は相手と比較して自軍の戦闘効果を継続的に評価し、その評価に基づいて敵部隊(enemy forces)をどれだけ激しく追撃するか、どれだけ高いテンポを維持するかを決定する。(防御に関する追加情報はADP 3-90を参照)。

第III節-攻勢作戦:SECTION III – OFFENSIVE OPERATIONS

私は、特に多勢に無勢の場合、攻撃しなければ勝つことはできないと確信しているからである。しかし、今日の戦場で攻撃するには、技巧と狡猾さが必要である。

ドン・A・スターリー米陸軍大将

6-220. 攻勢作戦(offensive operations)を成功させる鍵は、最高潮に達する前にすべての望ましい目標を達成することである。そのためには、攻撃側の部隊が物理的、情報的、または人的次元において、何らかの相対的優位性を持つことが必要である。一般的に、攻勢作戦は複数のドメインで優位性に立つ必要があるが、指揮官は戦闘力という物理的手段だけでなく、欺瞞作戦や奇襲によってその優位性を達成することができる。

攻勢のための目的と条件:PURPOSE AND CONDITIONS FOR THE OFFENSE

6-221. 攻勢作戦の目的は、敵部隊(enemy forces)を撃破または破壊し、地形、資源、または人口集中地の支配権を獲得することである。攻勢作戦は敵部隊(enemy force)から何かを奪う。攻勢作戦は、下位指揮官の積極的な主導性、機会を作り出し利用するための主たる取組み(main effort)の迅速な移動、勢い、敵の防御計画およびそれを可能にする能力を最も縦深に、かつ最も迅速に破壊することによって特性づけられる。

攻撃の特性:CHARACTERISTICS OF THE OFFENSE

6-222. 攻勢作戦はリスクが高く、テンポが速く、物理的な負担が大きいため、部隊の訓練、士気、結束力が高いことが必要である。成功する攻勢作戦は、これらの特性を備えている。

・ 大胆さ(Audacity-リスクを負ってでも大胆に行動し、チャンスを生み出す能力

・ 集中(Concentration-機会を作り出し、それを利用するために、力や効果を組織化すること。(効果を集中させることを「量(mass)」と呼ぶ)。

・ 奇襲(Surprise-敵部隊(enemy forces)の意表をつく行動

・ テンポ(Tempo-敵よりも速いペースを維持するが、与えられたすべての目標を達成するのに必要な時間だけ維持することができないほど速くはないこと。(攻撃の特性についての詳細はADP 3-90を参照)。

敵の防御:ENEMY DEFENSE

6-223. 敵の防勢作戦の目的は、攻勢作戦を再開するための軍事的条件を整えること、または敵が有利な政治的結果を達成するまで防御することである。敵は、一般に移動防御と地域防御の2種類の防御を用いる。移動防御は、地形を利用して相手の編成の一部を破壊し、相手の戦闘システムを無力化する機会を提供する。地域防御では、敵は重要な地域を友軍部隊(friendly forces)に与えない。対等な相手(peer opponent)や優越する相手(superior opponent)に対しては、ほとんどの場合、敵部隊(enemy forces)は主要な戦闘力を維持するために地形を放棄することを厭わない。なぜなら、これらの戦力の損失は敵の国家や体制の存続を脅かすからである。6-42ページの図6-6は、敵の移動防御を想定したものである。

 

図6-6. 想定される敵の移動防御

6-224. 敵は有利な地形に防御システムを構築し、戦場の縦深全域に能力を用いる。敵の到達目標は、地上部隊と米統合部隊(U.S. joint force)の一体化した行動を不可能にする層状のスタンドオフを形成することにより、統合部隊の縦深攻撃能力に抵抗することである。混乱ゾーンでは、敵部隊(enemy forces)は長距離火力と地上軍による限定目標の攻撃(limited objective attacks)で統合部隊を攻撃し、統合部隊の計画した攻撃を先制したり、混乱させたりする。敵部隊(enemy forces)は航空、野戦砲、弾道ミサイルを使用して、統合部隊の指揮・統制(C2)システム、長距離火力能力、攻撃ヘリ、兵站基地、集結地に対する遠距離攻撃を行う。敵は、特殊作戦部隊、ゲリラ部隊、代理人部隊を利用し、友軍部隊(friendly forces)の攻勢作戦の準備を妨害する限定目標の攻撃(limited objective attacks)を行っている。

6-225. 主戦闘ゾーン(main battle zone)において、敵部隊(enemy force)は統合部隊の地上・空中・航空攻撃部隊による主防御線の侵入と包囲を破るために防御システムをデザインする。敵はその防御線に沿って、障害物、準備された陣地、電子戦、有利な地形を組み合わせて友軍部隊(friendly forces)を減速させ混乱させようとする。敵の基本的な到達目標は、友軍部隊(friendly forces)を機動部隊で固定し、重層的な防御アプローチで集中火力で破壊することである。重層的なアプローチは、長距離の空・宇宙・サイバースペース能力を持つ友軍部隊を特定することから始まり、近接戦で機動可能な範囲に入る前に火力でターゲットにする。理想的なのは、友軍部隊(friendly forces)が最初の成功を収めるための戦闘力を欠くところまで消耗させることである。

6-226. 敵部隊(enemy forces)は、敵部隊(enemy forces)に対する攻撃をより高価にし、敵部隊(enemy force)が最小限の地上戦闘力を前方に投入できるような方法で、継続的に陣地を改善する。敵部隊(enemy forces)は欺瞞、分散、再配置を行い、友軍の情報収集システムによる容易な捕捉を回避する。敵部隊(enemy forces)は通常、侵入と包囲の試みに逆襲(counterattack)するため、かなりの予備を使用する。縦深に配列された統合防空システムは、敵の機動部隊と火力システムを防護し、移動の自由を提供する。

6-227. 前方に配置された敵部隊(enemy forces)は、長距離地対地システムに対して観測火力を行い、これらのシステムが効果的に交戦するのに十分な時間、友軍部隊(friendly forces)を固定することに重点を置いている。敵部隊(enemy forces)は、可能な限り、後続の一連の戦闘陣地を利用して縦深を確保し、機動的な防御を行う可能性が高い。敵の指揮官は、防御する地上部隊が再配置される際に、火力や障害物を利用して決定的な交戦を妨げ、一方、友軍部隊(friendly forces)を連続火力の下でできるだけゆっくりと移動させることを目指す。敵部隊(enemy force)は、この防御取組みの一環として、重要な電子戦、偵察、監視(UASを含む)、およびサイバースペース能力を使用すると予想される。同等の敵(peer enemies)は化学兵器を使用し、一部は戦術核兵器を使用して、防御力の集大成を阻止することができる。

攻勢作戦の種類:TYPES OF OFFENSIVE OPERATIONS

6-228. 攻勢作戦の種類は、攻撃の一般的な順序と推奨されるフォーメーションを記述している。目的は、1つを他のものと区別する。攻勢作戦の4つの種類は

・ 接触までの移動(movement to contact)

・ 攻撃(attack)

・ 戦果拡張(exploitation)

・ 追撃(pursuit)

接触までの移動:MOVEMENT TO CONTACT

6-229. 接触までの移動(Movement to contactは、状況を発展させ、接触を確立または回復させるためにデザインされた攻勢作戦の一種である(ADP 3-90)。それは、その後の戦術的行動のための有利な条件を作り出す。部隊は、敵の状況が漠然としているか、攻撃を行うには十分でない場合に、接触までの移動(Movement to contact)を実施する。接触までの移動(Movement to contact)を行う部隊は、実行可能な最小の友軍と接触することを目指す。接触までの移動(Movement to contact)の結果、遭遇戦(meeting engagement)になることもある。遭遇戦(meeting engagementとは、戦闘のための展開が不完全な移動部隊が、予期せぬ時間と場所で敵と交戦することによって起こる戦闘行為である(ADP 3-90)。友軍部隊(friendly forces)が敵部隊(enemy force)と接触した場合、攻撃、防御、迂回、遅延、撤退の5つの選択肢がある。

攻撃:ATTACK

6-230. 攻撃(attackとは、敵部隊(enemy forces)の撃破、地形の確保、またはその両方を行う攻勢作戦の一種である(ADP 3-90)。攻撃は、協調的な作戦を取り入れる。攻撃は、敵の配置を知ることにより、部隊が同期し、戦闘力をより効果的に使用することができるため、接触までの移動(Movement to contact)とは異なる。攻撃には4つのバリエーションがある。

・ 伏撃(ambush)

・ 逆襲(counterattack)

・ 襲撃(raid)

・ 陣前出撃(spoiling attack)

戦果拡張:EXPLOITATION

6-231. 戦果拡張(exploitationとは、通常、攻撃の成功に続いて行われる攻勢作戦の一種であり、敵の縦深を混乱させるようにデザインされている(ADP 3-90)。戦果拡張(exploitation)は、敵部隊(enemy forces)が降伏または退却する以外に選択肢がない程度まで敵部隊(enemy forces)を崩壊させることを目指す。師団および上級部隊階層司令部は通常、現在の作戦の分岐(branch)または続行(sequel)として作戦を計画する。

追撃:PURSUIT

6-232. 追撃(pursuitとは、逃走しようとする敵対する部隊(hostile force)を破壊する狙いを伴って捕捉または遮断し、これを撃破することをデザインした攻勢作戦の一種である(ADP 3-90)。追撃(pursuit)は、迅速な移動と分散制御を必要とする。敵の抵抗がなくなり、敵部隊(enemy forces)が逃亡した場合、あらゆる攻勢作戦は追撃(pursuit)に移行することができる。一般に、追撃(pursuit)は通常、攻略に成功した後に行われる。追撃(pursuit)には2つの種類がある。

・ 正面(frontal)

・ 複合(combination)

攻勢的作戦上のフレームワークの考慮事項:OFFENSIVE OPERATIONAL FRAMEWORK CONSIDERATIONS

6-233. 上位部隊階層の指揮官の作戦フレームワークと一般的な段階的計画との関連において、指揮官は部下の統制のとれた主導性を可能にしながら、すべての部隊階層にわたって敵部隊(enemy forces)を撃破する攻撃をデザインしなければならない。攻撃をデザインする際、指揮官は敵部隊(enemy force)を撃破するタスクを分担し、縦深作戦、近接作戦、後方作戦を通じて一体化されたアプローチを維持する。指揮官は作戦フレームワーク全体にわたって、空、宇宙、サイバースペース、そして関連する場合は海上の能力を考慮する。図6-7は、想定される作戦フレームワークにおける友軍の攻勢作戦を示したものである。

 

図6-7. 攻勢作戦時の想定される作戦フレームワーク

攻勢作戦間の拡張された縦深作戦:EXTENDED DEEP AREA DURING OFFENSIVE OPERATIONS

6-234. 拡張縦深地域は、友軍部隊(friendly forces)に損害を与え、友軍部隊(friendly forces)の作戦範囲と耐久力に影響を与える敵の能力が存在するため、どの編成の関心地域においても重要な部分である。敵の戦略的指揮・統制(C2)ノードと地上ミサイルや航空アセットなどの長距離火力能力は、一般的に軍団や師団の作戦地域(AO)から外れた縦深地域に位置している。拡張された縦深地域の状況は今後の作戦に影響を与え、攻勢作戦が進展し、前方の境界線が前進し、部隊が戦場を移動すると、割り当てられた地域の一部となることがある。指揮官は、特殊作戦部隊とパートナーである非正規部隊の効果と活動を、拡張された縦深地域において一体化する。陸軍部隊(Army forces)は、縦深地域において統合効果を要求し、統合部隊指揮官(JFC)から拡張された縦深地域のターゲットに対して長距離火力を行うよう命じられることがある。敵の意志決定を混乱させ、敵の長距離火力能力を破壊することで、敵の連携防御能力を制限し、逆襲(counterattacks)のために再編成または準備中の敵部隊(enemy forces)を破壊することができる。

攻勢作戦間の縦深作戦:DEEP OPERATIONS DURING OFFENSIVE OPERATIONS

6-235. 縦深作戦は、編成の主力(main body of the formation)と直接火力接触していないが、将来接触する可能性のある、割り当てられた地域の一部に焦点を当てる。長距離火力能力を有する師団や軍団では、縦深地域は部隊の前列を越え、陸軍能力や統合能力が到達可能な距離まで広がっている。師団と軍団は、指揮・統制(C2)関係に応じて特殊作戦部隊を縦深作戦に一体化し、敵の闘う意志(will to fight)を低下させ、報酬の高いターゲットを破壊し、敵の防御インフラと後方支援を混乱させる。縦深地域で作戦する特殊作戦部隊は、行動を同期させ、リスクを軽減するための統制手段を必要とする。

6-236. 指揮官は縦深地域において、ターゲットに対する責任、火力の使用、前進の軸、将来の地上目標を明確にするために図表統制手段(graphic control measures)を使用する。前方境界線、火力調整線(coordinated fire lines)、火力支援調整線、キル・ボックス(kill boxes)、火力制限区域はすべて、指揮官が部隊階層間の縦深作戦を一体化するために使用する調整手段である。

6-237. 指揮官は、敵の部隊階層を混乱させ、予備を無力化し、近接作戦に影響を与える対戦車レーダーや火力システムを含む重要な能力を破壊するために、縦深地域において統合および組織的な致死性・非致死性効果を同期化させる。例えば、指揮官は敵の予備に対する集中火力と軍事情報支援作戦を組み合わせ、その部隊の補給作戦を攻撃して本体(main body)から心理的に孤立させ、その闘う意志(will to fight)を喪失させることができる。

6-238. 軍団と師団は、近接作戦を支援し、縦深作戦を実施するために間接火力能力を使用することができる。指揮官は空と地上の偵察部隊と警戒部隊(security force)を運用し、初期接触を行い、ターゲットを探知し、縦深作戦を支援するための火力を容易にする。また、主たる取組み(main effort)を支援するために、縦深作戦から近接作戦へと火力の優先順位を変更することもある。

6-239. 指揮官はまた、縦深作戦を行うために偵察部隊と警戒部隊(security force)を採用することができる。指揮官は、可能な限り小さな地上部隊と接触し、本隊が決定的に交戦する前に状況を進展させるために、専門の警戒部隊(security force)をタスク編成することができる。通常、攻撃部隊は大規模な前方警戒部隊(forward security forces)を必要としない。ほとんどの攻撃は、すでに敵と接触している位置から行われるため、別個の前方警戒部隊(forward security forces)の有用性は低くなる。ただし、攻撃部隊が防御から攻撃に移行する際に、防御の一環として前方警戒地域を設置した場合は例外である。

近接作戦:CLOSE OPERATIONS

6-240. 近接戦は師団以下の部隊階層の機動と旅団戦闘チーム(BCT)以下の部隊階層の直接戦闘が最も多く行われる場所である。旅団戦闘チーム(BCT)以下の部隊階層の編成は、近接作戦中の移動及び火力により敵部隊(enemy forces)を破壊し、又は戦闘不能に陥らせる。旅団戦闘チーム(BCT)レベル以下の近接戦闘は、リーダーと小部隊チームの戦技と決意に大きく依存する。会戦訓練(Battle drills)と集団間接火力を効果的に行うことが、近接戦闘の成功に重要な役割を果たす。

6-241. 指揮官は近接地域での初期目標を達成すると、作戦の次の段階へ移行し、または状況により当初の計画の変更を必要とする場合には、分岐(branch)または続行(sequel)を実行する。分岐(branch)では、友軍部隊(friendly forces)に師団の翼側にある逆襲する敵部隊(enemy force)を統合能力または予備で撃破することを要求することがある。指揮官は敵の防御部隊(enemy defensive forces)の大部分を撃破すると、獲得した成果を集約・強化することに重点を移すことができる。例えば、先行する友軍の部隊階層が敵部隊(enemy forces)を固定し、迂回させて勢いを維持する場合、後続の友軍部隊(friendly forces)は迂回した敵部隊(enemy forces)を撃破し、友軍の後方連絡線(lines of communications)を混乱させ、地元住民に悪影響を与え、あるいは脱走することを防がなければならない。指揮官は、敵部隊(enemy units)に接近している間に、できるだけ早い段階で獲得した成果を集約・強化する作戦を開始し、敵部隊(enemy units)との接触が途切れたときに発生しうるリスクを軽減する。

6-242. 近接作戦では、戦闘力の適用を同期化し、下位部隊の統合を確保し、敵への最大限の圧力を維持し、友軍内の友軍相撃(fratricide)のリスクを軽減するために、図表統制手段(graphic control measures)を必要とする。特定の作戦で図表統制手段(graphic control measures)の数を最小化または最大化することに、任意の利点はない。最適な図表の数は、任務の変数に依存する。多くの図表があることで、計画に選択肢と敏捷性がもたらされ、これは特に空と地上の連携や迅速な方向転換を促進するのに役立つことがある。リーダーは、統制手段の複雑さのバランスをとる。大胆に実行できるほど単純であり、状況に応じて機敏に適応できるほど詳細であるべきである。統制策を採用する最善の方法は、下位部隊の行動の自由度を最大にし、下位部隊が合理的に達成できる以上のタスクを持つことがないようにすることである。

6-243. 指揮官は状況に応じて図表統制手段(graphic control measures)の採用を調整するが、常に下位部隊の能力の範囲と速度、および全体的な作戦テンポを考慮する。部隊の前進に伴い、後方の境界線は通常、部隊の割り当て領域がその影響範囲を超えないように対応するシフトを必要とする。旅団戦闘チーム(BCT)は長い後方連絡線(lines of communications)を管理する能力が限られており、そのテンポと持久力は、補給、死傷者の避難、その他の後方支援に関する考慮事項の時間と距離によって影響を受ける。師団の境界は同様の考慮を必要とするが、作戦を支援するために師団指揮・統制(C2)ノードを移動させるという複雑さも加わる。師団指揮・統制(C2)ノードの移動は、下位編成の継続的な指揮・統制(C2)を維持し、不必要な戦術的中断を避けるために、慎重な計画策定を必要とする。

6-244. 指揮官と参謀は、関心地域内の隣接する友軍部隊(friendly units)と敵部隊(enemy units)について状況認識を維持する。指揮官と参謀は攻撃地域がどこになるかの計画を持ち、それを使って初期境界線と他の図表統制手段(graphic control measures)を作ることができるが、敵部隊(enemy forces)はそれとは無関係に行動する。つまり、友軍部隊(friendly forces)には担当区域外の能力を使用する上で何らかの制約や制限があるが、敵部隊(enemy forces)にはそれがない。このため、友軍は担当区域外の敵の能力が友軍の作戦にどのような影響を及ぼすかを理解し、翼側や後方の友軍部隊と対応を緊密に調整する必要がある。

攻勢間の後方作戦:REAR OPERATIONS DURING THE OFFENSE

6-245. 後方作戦は、軍団または師団の後方指揮所を通じて直接統制される広範な活動を包含する。後方作戦には、後方支援作戦、支援地域警備(support area security)、下位部隊に割り当てられていない地域のリスク軽減、地形管理、移動制御、防護能力の調整と同期化、獲得した成果を集約・強化、および必要に応じた安定化作戦の実施などが含まれる。軍団と師団の予備は通常、投入前に後方地域に位置しており、再配置または投入される際には後方地域を優先して移動しなければならない。後方作戦は、作戦範囲、テンポ、行動の自由度、耐久力、および編成全体の勢いに寄与する。

6-246. 後方作戦は攻撃する師団または旅団戦闘チーム(BCT)の前進に適応しなければならない。そのため、攻撃の進行に伴い、支援部隊、後方指揮所、および後方支援活動を前方に移動させることが必要となる場合がある。後方指揮所は通常、攻撃部隊が新たに獲得する陸地の大部分を担当する。師団後方指揮所は、前進する部隊によって残された土地の責任を引き受ける準備をしなければならない。特に、経路の管理と修復、後続の支援部隊のための地形管理、そして師団予備の移動が妨害されないようにするための準備が必要である。これらの活動は、後方指揮所が重要なインフラや重要な資源を脅かす爆発物の削減を指示することも必要となる場合がある。

6-247. 戦術部隊は軍団または師団の作戦に一体化される途中、後方地域を移動する。これらの部隊は後方指揮所を通じて報告し、近接または縦深作戦の一部として採用される場合、主指揮所と一体化できるまで後方指揮所が指定する集結地を使用する。遠距離火力、陸軍防空砲兵(ADA)、化学、生物、放射線、核(CBRN)除染、航空、および予備部隊(reserve units)は、後方地域の集結地および他の位置を占有している。火力やその他の支援物資の要求、地上や空域の使用、その他の活動は、主指揮所の指示がない限り、後方指揮所を通じて調整される。

6-248. 指揮官は通常、後方作戦を防護するために確保した戦闘力を節約する。迂回した敵部隊(enemy forces)、敵の特殊作戦部隊、および非正規軍は、後方作戦に大きな脅威を与える。通常、師団は後方地域の安全を確保し、獲得した戦果を集約・強化するために旅団戦闘チーム(BCT)を配置する。機動強化旅団は増強部隊とともに、主要な後方支援ノードや主要補給路を含む支援地域全体でレベル3の脅威を撃破するために戦術的戦闘力を用いる(脅威レベルの詳細についてはJP 3-10を参照)。

6-249. 後方作戦は、移行期に重要な役割を果たす。例えば、防御と攻撃の間の移行では、作戦に必要な燃料、整備、移動支援の量が増加する。安定化作戦への移行では、人道支援物資、戦力防護・建設資材、契約支援などがより多く必要となる。

6-250. 必要な場合、指揮官は敵の直接火力の可能性が低い後方領域で復興作戦を実施する。復興作戦は後方支援の要因に支配されるが、後方支援部隊の独占的な責任ではない。すべての戦力は効果的な復興に貢献する。

6-251. 安定化作戦が重視されるようになると、指揮官は任務に照らして利用可能な資源を評価し、最低限必要な安定化作戦のタスクを遂行する最善の方法と、許容できるリスクを判断しなければならない。陸上構成部隊コマンド指揮官(land component commander)は、後方地域で活動する民事任務部隊(civil affairs task force)を設置し、暫定的な軍事当局を形成したり、望ましい戦略的最終状態を支援するために、最終的な獲得した成果の集約・強化を促進する文民行政を支援したりすることが可能である。民事任務部隊(civil affairs task force)の目的は、指揮官の主たる取組み(main effort)の下に、作戦地域(AO)における安定化活動を集中させることである。さらに、指揮官は、現地の警戒部隊(security force)がタスクを遂行できるようになるまでの間、すべての兵科の兵士に暫定的な治安維持タスクなどの民事治安関連タスクを行わせることができる。米軍部隊(U.S. forces)から現地当局への移行が迅速に行われるかどうかは、戦術・作戦レベルでの統治の整備と正当化を狙いとした要素を計画・統制できるかどうかにかかっている。(民事任務部隊(civil affairs task force)に関する詳細はFM 3-57を参照)

防勢と安定化への移行:TRANSITION TO DEFENSE AND STABILITY

6-252. 敵部隊(enemy forces)を撃破する前に攻勢作戦が終了した場合、友軍部隊(friendly forces)は速やかに防御に移行する。指揮官は、敵部隊(enemy forces)が機会を十分に生かすことができない場合、または敵部隊(enemy forces)が効果的に反応する前に攻撃再開のための戦闘力を構築できると確信した場合、意図的に防御に移行することができる。集束の場所によっては、友軍部隊(friendly forces)は防御可能な地形に部隊を再配置し、任務変数の評価に基づいて防御形態(form of defense)と機動の計画(scheme of maneuver)を策定する必要がある場合がある。

6-253. 攻勢作戦が成功するのは、陸軍部隊(Army forces)が与えられた目標を達成したためである。攻勢作戦を成功させるには、安定化作戦と紛争後の政治的到達目標に向けた戦略環境が支配する防御態勢への移行も必要である。これらの作戦は、安全保障と統治の責任を米軍部隊(U.S. forces)以外の正当な当局に移行させることを到達目標としている。

6-254. 安定化作戦への移行が行われると、リーダーは安定化タスクと、住民への情報提供と影響力の行使、治安部隊支援を行うための情報活動に注力する。外交・人道支援組織との効果的な連携は、安定メカニズムを実現する能力を高める。陸軍部隊(Army forces)は、文民当局や政府が割り当てられた地域の支配権を得るまで、統合部隊が軍事的な統治を確立し、実施できるようにする上で重要な役割を果たす。

第IV節-紛争後の競争と安定化作戦への移行:SECTION IV –TRANSITION TO POST-CONFLICT COMPETITION

6-255. 陸軍部隊(Army forces)は、地上において米国に有利な条件を確立することにより、武力紛争を終結させる。陸軍部隊(Army forces)は、武力紛争を通じて、獲得した成果を集約・強化し、望ましい最終状態を念頭に置いて作戦を遂行することにより、これらの状態を支援する。敵対行為(hostilities)が終了すると、安全な環境で合法的な当局に責任を移行させる目的で、安定化タスクが作戦を支配する。陸軍部隊(Army forces)は統合部隊に対し、ホスト国政府などの暫定政府に完全な統治責任を移行する前に、軍事的な暫定政府を樹立する選択肢を提供する。

6-256. 統治責任の移行の基準は、武力紛争の間に確立された有利な条件を維持するための統治組織の信頼性、能力、能力容量に左右される。戦略的リーダーは、作戦開始時に移行のための大まかな条件を決定し、状況の変化に応じてそれを改善する。陸軍部隊(Army forces)は、ホスト国の文化を理解し、重要なインフラを把握し、現実的な移行の到達目標と時期の策定において戦略リーダーを支援し、安定維持に必要な米国のコミットメントの期間と規模を決定する上で重要な役割を担っている。

紛争後の競争への移行間の戦域軍:THEATER ARMIES DURING TRANSITION TO POST-CONFLICT COMPETITION

6-257. 戦域軍は、紛争後の競争への移行において重要な役割を果たす。期間限定の統合任務部隊(JTF)とは異なり、戦域軍は戦域戦略と関連する国益に継続的かつ長期的に焦点を合わせる。戦域軍は、移行を支援するために必要な追加的な部隊、機能的能力、および資源を予期し、要求する。戦闘作戦が縮小し、安定化タスクへの重点が高まるにつれ、戦域要求は変化する。戦域軍は、兵站の見積りを見直し、安全保障協力計画を更新し、インフラ整備が可能な工兵部隊を要求し、民政要求に焦点を合わせ、通信インフラを改善し、その他の重要な要求に対応する。

6-258. 合法的な当局を実現するには、統一行動パートナーとの調整と、取組みを支援する友軍部隊(friendly forces)に対する住民の好意的な態度が必要である。戦域軍の到達目標は、米軍の戦闘部隊をホスト国軍または他の暫定的な当局に置き換えることである。

6-259. 治安部隊支援(SFA)は、移行計画の重要な要素である。治安部隊支援(SFA)には、パートナー国の治安部隊の信頼できるアドバイザーとして、訓練、教育された専門将校と下士官が必要である。戦域軍は、通常戦力と特殊作戦部隊を、移行と持続可能な政治的成果を支援する治安部隊支援(SFA)計画に一体化することで、統合部隊指揮官(JFC)を支援する。

6-260. 戦域軍は、地域の安定を促進し、移行の管理を支援するため、他の地域の関係者を関与させる。ほとんどの場合、移行を成功させるには、戦域軍が装備を後退させ、統合作戦地域(JOA)を締結し、陸軍部隊(Army forces)の再展開を調整し、長期安全保障協力計画を管理することが必要である。地域のリーダーとの関係は、これらの要求を促進し、地域住民に安定をもたらすのに役立つ。

紛争後の競争への移行間の軍団:CORPS DURING TRANSITION TO POST-CONFLICT COMPETITION

6-261. 軍団は、戦闘から安定重視の作戦への移行において、重要な役割を果たす。その一環として、獲得した戦果を集約・強化する活動では、陸軍部隊にこれらのタスクを遂行するための部隊を要求することがある。

・ 軍団作戦地域(AO)全域の地域警備(area security)を確立する。これには、残存する脅威を破壊または無力化し、民間人とインフラを防護するための攻撃と防御のタスクが含まれる。

・ 最終的に合法的な権力への移行を可能にする条件を整えるために必要な安定化タスクを実施する。

・ 外国の治安部隊の能力と能力容量を向上させるための治安部隊支援を実施する。

・ 敵対的または破壊的な作戦を再び開始することを敵や敵対者に思いとどまらせ、制裁、法律、国際的な命令を遵守するよう説得する。

・ ホスト国または他の当局による責任の引き受けを調整し、影響を与える。

・ 友軍部隊の活動(行動、言葉、イメージを含む)と連動した心理的行動を行い、友軍の治安部隊に対する市民の態度に好影響を与え、最終的に合法的な権力への移行を図る。

6-262. 軍団作戦地域(AO)で大規模戦闘作戦が終了すると、軍団は敵部隊(enemy forces)の部隊と作戦の再構成を阻止する態勢を維持しながら、安定化タスクに対する需要の高まりに対応するため、作戦フレームワークを調整し続ける。作戦は主に、脅威の高い地域での地域警備(area security)の提供に重点を置き、次いで脅威の低い地域での安定化タスクの遂行を行う。移行期間中、軍団は攻撃、防御、安定化作戦を同時に実施する可能性が高い。

紛争後の競争への移行間の師団:DIVISIONS DURING TRANSITION TO POST-CONFLICT COMPETITION

6-263. 移行期間中、師団は攻撃、防御、および安定化作戦を同時に行う可能性が高い。師団は、安定化作戦と同時に戦闘作戦を行う部隊を維持しなければならない。さらに、師団の支援部隊は、地域警備(area security)が確立される前に、戦闘活動を行う部隊をよりよく支援するために、確立された支援地域から、安全が確立されていない地域を経て、新しい支援地域に移動できるように準備しなければならない。

6-264. 師団は、合法的な文民当局または統一行動パートナーへの移行を可能にする条件を作戦地域(AO)内に作り出すために必要な安定化タスクを遂行する。また、師団は旅団を管理し、外国の治安部隊の能力と能力容量を向上させる治安部隊支援(SFA)を実施する。最後に、敵対的または破壊的な作戦の再開を思いとどまらせ、制裁、法律、国際的な取り決めを守るよう、敵を説得するのも師団の役割である。

紛争後の競争への移行間の旅団:BRIGADES DURING TRANSITION TO POST-CONFLICT COMPETITION

6-265. タスク編成された旅団戦闘チーム(BCT)は、ほとんどの地域警備(area security)タスクを遂行し、統一行動パートナーと協力して、ほとんどの安定化タスクの達成を促進する。陸軍部隊(Army forces)は、大規模戦闘作戦の終了後、特定の行動をとる。これらの行動には以下が含まれる。

・ 集約・強化(Consolidation)

・ 地域警備(area security)の確立

・ 安定化タスク(stability tasks)の遂行

6-266. 大規模戦闘作戦から地域警備(area security)タスクへの移行はリスクを伴う。戦闘から集約・強化(consolidation)に焦点を移す部隊は、逆襲(counterattack)に対して脆弱である。歴史的な証拠によると、部隊は苦戦の末に勝利した後が最も脆弱である。指揮官と参謀は、迅速な移行を計画し、地域の治安維持の重要性を強調すべきである。(集約・強化(consolidation)に関する追加情報は、FM 3-90-1を参照。)

6-267. 部隊はまず、最低限必要な安定化タスクを遂行し、安定した作戦環境を維持または再確立し、必要不可欠な政府サービス、緊急インフラの再建、人道支援を提供する。旅団戦闘チーム(BCT)はさらに、継続的な情報収集を通じて、状況、知覚、機会を発展させ、再評価し、さらなる利益を得るための積極的な機運を維持する。