「FM 3-0 Operations」(2022年版)【第6章 武力紛争の間の作戦 第1節】

「FM 3-0 Operations」(2022年版)【第5章 危機の間の作戦】に続いて、【第6章 武力紛争の間の作戦 第1節】を紹介する。

「はじめに:Introduction」によると、「第6章では、武力紛争時に陸軍がどのように作戦するかについて、大規模戦闘作戦において統合部隊を有効にし、すべてのドメインの能力を一体化する方法に焦点を当てながら解説している」とある。

危機から武力紛争へ移行した場合の統合部隊の一部として陸軍がどのように作戦するかについて記述されているが、第6章は三つの節で構成されており、ここでは、第1節を紹介する。第6章の冒頭にあるように、第1節は「大規模戦闘作戦とその変化について紹介する。敵の手法、相対的優位性、統合部隊との一体化、撃破メカニズム、作戦を可能にする活動など、攻勢的作戦と防勢的作戦の両方に適用できるテーマ」を扱っている。(軍治)

 

第6章 武力紛争の間の作戦:Chapter 6 Operations During armed conflict

第1節-武力紛争と大規模戦闘作戦:SECTION I – ARMED CONFLICT AND LARGE-SCALE COMBAT OPERATIONS

武力紛争への敵のアプローチ:ENEMY APPROACHES TO ARMED CONFLICT

武力紛争の間の相対的優位性:RELATIVE ADVANTAGES DURING ARMED CONFLICT

統合部隊の一部としての作戦:OPERATING AS PART OF THE JOINT FORCE

統合強行突入作戦:JOINT FORCIBLE ENTRY OPERATIONS

撃破メカニズムの適用:APPLYING DEFEAT MECHANISMS

作戦を可能にする活動:ENABLING OPERATIONS

第6章 武力紛争の間の作戦:Chapter 6 Operations During armed conflict

兵法は簡単だ。敵の居場所を突き止めろ。出来るだけ早く敵を捕らえできる限り激しく打ち、そして進み続けろ。

ユリシーズS.グラント

本章の第I節では、大規模戦闘作戦とその変化について紹介する。敵の手法、相対的優位性、統合部隊(joint force)との一体化、撃破メカニズム(defeat mechanisms)、作戦を可能にする活動(Enabling operations)など、攻勢的作戦と防勢的作戦の両方に適用できるテーマを扱っている。第II節では防勢的作戦について説明する。第III節では攻勢的作戦について述べる。第IV節では、紛争後の競争と安定化作戦への移行について説明する。

第1節-武力紛争と大規模戦闘作戦:SECTION I – ARMED CONFLICT AND LARGE-SCALE COMBAT OPERATIONS

6-1. 武力紛争は、相手が目標を達成し、他者に彼らの意志を課すための主要な手段として、致死性の力(lethal force)を用いる戦略的関係の状態を包含する。致死性の力(lethal force)の行使は、武力紛争の特徴であり、陸軍の主要な機能である。致死性の直接的な効果は、物理的な次元、つまり敵の闘うための能力と能力容量を低下させることである。しかし、致死性の力(lethal force)の効用は情報と人間の次元にまで及び、他の国力の手段とともに、敵の行動、意志決定、闘う意志(will to fight)などに影響を与える。

6-2. 武力紛争の間、通常、通常戦と非正規戦のアプローチを組み合わせた作戦が行われる。リーダーは、通常戦のアプローチを必要とする限定的な不測事態において、大規模戦闘作戦のためのドクトリンを適用する。非正規戦には、対反乱戦と非通常戦が含まれるが、これらは他の出版物で特に扱われている。大規模戦闘作戦の初期行動は、競争や危機の間に開始される行動と重なる可能性が高い。例えば、ある部隊は攻勢作戦または防勢作戦に従事しているが、他の部隊は敵部隊(enemy forces)と接触しながら非戦闘員の避難を完了させているかもしれない。(対反乱戦についての詳細な情報はFM 3-24を参照。非通常戦の詳細についてはATP 3-05.1 を参照)。

6-3. 大規模戦闘作戦は、投入される部隊の範囲と規模から見て大規模な統合戦闘作戦であり、武力行使を 通じて作戦・戦略目標を達成することを狙いとする戦役(campaigns)として実施される。陸上での大規模戦闘は、より大規模な統合戦役のフレームワークの中で行われ、通常、陸軍司令部が統合部隊(joint force)司令部の基盤となる。これらの作戦は通常、高いテンポ、高い資源消費、高い死傷率を伴う。大規模戦闘は、他の作戦では一般的でない複雑さ、致死性、曖昧さ、スピードのレベルを軍事活動にもたらす。

6-4. 大規模戦闘作戦は、通常、国家対国家の紛争に関連する状況で発生し、複数のドメインから統合および陸軍の能力を諸兵科連合の様式に使用する師団や軍団を包含している。非正規戦の活動は、通常戦、非正規戦、および特殊作戦部隊が互いに接近して作戦を実施し、大規模戦闘作戦を補完することが多い。このような近接は、成功を収めるためには、あらゆる種類の友軍部隊(friendly forces)が協力する必要がある。また、非正規戦の大部分が第二次統合作戦地域(joint operations area :JOA)または別の作戦地域で発生する場合もある。このような場合、戦闘軍指揮官(combatant commander :CCDR)は、国家レベルでの目的の統一を支援するために、作戦の十分な調整を確保する。

6-5. 大規模戦闘作戦の成功は、敵武装部隊(enemy armed forces)を撃破すると同時に、土地と住民の支配を確立し、作戦・戦略目標を達成するものである。大規模戦闘作戦は、優れた軍事能力を活用して、弱い敵を迅速に圧倒し、迅速な戦役(campaign)の一環として獲得した戦果を集約・強化することができる。より能力の高い敵部隊(enemy forces)に対する大規模戦闘作戦は、数カ月またはそれ以上の長期間に及ぶ可能性が高い。

6-6. 陸軍部隊(Army forces)は、地上機動部隊の大部分を構成するのではなく、支援する、実現可能にする、または助言する役割で大規模戦闘作戦を実施することができる。その一例が、2014年に始まった「イラク・シリア・イスラム国」の打倒を目指すイラク治安部隊とシリア民主軍を米軍主導の統合任務部隊が支援した「生来の決意作戦(OPERATION INHERENT RESOLVE)」である。これらのケースでは、米軍部隊(U.S. forces)はパートナー部隊を支援するために大規模戦闘作戦戦術を適用した。

6-7. 大規模戦闘作戦の特性は、敵を含む多くの要因に基づいて変化する。能力が劣る敵と闘う場合、米統合部隊(U.S. joint force)はほとんどのドメインで大きな優位性を持つことができる。このような作戦での主な関心事は、最小限のコストでいかに迅速に勝利するか、獲得した戦果を集約・強化するか、地域の責任を合法的な当局に移行させるか、などである。全てのドメインで統合部隊(joint force)と闘うことができる同等の敵(peer enemy)と闘う場合、作戦環境はより困難になる。統合防空・長距離火力システム、サイバースペースと電子戦能力、化学・生物・放射線・核能力(CBRN)、グローバル偵察・監視ネットワークは、特に紛争初期や自国の国境近くで作戦する場合、一つ以上のドメインで同等または敵の大きな優位性を生み出すことができる。成功するためには、米統合部隊(U.S. joint force)は自ら相対的優位性を作り出し、戦闘力を維持し、作り出した機会を迅速に利用しなければならない。指揮官はリスクを負って機会を作り出し、作戦を順序立てて行わなければならない。なぜなら、一回の決定的な会戦(decisive battle)で敵部隊(enemy forces)を撃破することはできないからである。

武力紛争への敵のアプローチ:ENEMY APPROACHES TO ARMED CONFLICT

6-8. 同等の敵(peer enemies)は、主に競争の間に戦略目標を達成しようとするが、リスクに見合う報酬が得られると判断すれば、武力紛争に関与する。武力紛争に至ると、同等の敵(peer enemies)は脅威の方法を組み合わせて、可能な限り米国の軍事力を無用のものとし、米国、同盟国、パートナーに受け入れがたい損失を与える。ロシアと中国は、国力と軍事力の手段をそれぞれ異なる方法で使用している。

ロシア:RUSSIA

6-9. ロシアの戦争観は、しばしば宣戦なしに、比較的限定された政策的目標のために闘われ、全てのドメインで発生する、というものである。ロシアのリーダーは、現代の紛争は、過去よりも破壊的で急速な初期戦争期間が特徴であり、決定的なものであると評価している。また、ロシアは、非核の戦略的精密誘導兵器が核兵器と同等の戦略的効果を発揮できると考えている。理論的には、非核兵器による攻撃がロシアの主権を脅かす場合、それに対応するために核兵器を使用する計画である。

6-10. 武力紛争の間、ロシアは全てのドメインで同時に圧力をかけようとする。ロシアの戦略は、対立のコストを高め、米国とその同盟国の目標を政治的・経済的に支えられないようにすることを意図している。ロシアの目標は、米軍部隊(U.S. forces)に目につきやすく恥ずかしい損失を与えることで、紛争を継続しようとする米国の国家意志を弱めることである。

6-11. ロシア軍は大規模かつ精密な火力で紛争に勝利することを意図している。ロシア軍は、米軍部隊(U.S. forces)の展開が最終的に米国の国益に反するように、作戦条件を設定しようとする。米国が部隊を展開する場合、ロシアの到達目標は、米国の戦役(campaign)の成功を妨げる制約を作り出すことにある。ロシアの方法論は、4つの主要な分野に焦点を当てている。

・ 作戦環境を混乱させ、理解を妨げる。ロシアの情報戦活動は、ロシアの好む結果に合うように、情報の取得、伝達、提示を操作する。

・ 安定をターゲットとする。ロシアは、主要地域や主要な集団の間で不安定さを助長し、地域の安全保障条件が米国の作戦要求を支援しないようにする可能性がある。

・ パートナーシップの分断。ロシアは米国の同盟国やパートナーに働きかけ、米国が望ましい合同、統合、省庁間協力の方法で活動する能力を低下させる。

・ 接近を阻止する。ロシアは紛争前の活動として、当初は非致死的手段を用い、必要であれば致死的手段に移行して、米軍部隊(U.S. forces)への接近を拒否する。関係を損ない、政治的利害を高め、世論を操作し、基地の権利、上空飛行回廊、後方支援、同盟国の協調行動を制約または拒否するために決意を攻撃しようとするのである。

6-12. ロシアは国力の手段を適用する際、全体的な戦役(overall campaign)の一環として、軍事力およびその他の手段を選択した時と場所で一体化し、望ましい目標を達成する。ロシアは、犯罪やテロ行為を含む攻撃的・防御的な戦術や技術を用いる。これらの行動は、国民の知覚を操作し、米軍やその他の機関への支援を思いとどまらせるために用いられることもある。ロシアは必要に応じて、物理的な暴力行為、心理作戦、情報操作のさまざまな手段を用いて、ターゲットの住民に影響を与え、自発的または強制的な協力を展開させる。同時に、間接的な手段で米国の戦闘力やインフラ資源を徐々に低下させ、作戦環境の政治、社会、経済、軍事、情報の変数に心理的な影響を与えることも行っている。

6-13. ロシアの戦術レベル部隊は、精密打撃と集団火力の両方の効果を利用するために、諸兵科連合部隊として活動する。劣勢な相手に対しては、ロシア軍は可能な限り縦深機動を採用し、紛争の初期に敵の抵抗意志を撃破する。また、より限定的な目標を達成するために、敵の戦線を固めつつ、大量の戦力を投入する場合もある。どのような状況であっても、ロシア軍の行動の基本原則は、軍事的成功のための条件を作り出すために打撃行動の効果を利用することである。

6-14. ロシアは機動部隊の使用に先立ち、利用可能なすべての国力の要素を用いることを好む。力対力作戦開始後も、これらの統合的な国力を用いて戦術的な機動を支援する。また、ロシア軍は作戦の真意を覆い隠すために、否定と欺瞞(maskirovka)を使用する。戦術を実行するために、ロシア軍は科学的根拠に基づく情報手法と意志決定を適用する。

・ 作戦に影響を及ぼす作戦環境の状況を理解することができる。

・ 特定の時間と場所において任務を遂行するために必要な戦術的機能を判断し、必要な戦闘力の配分を計算することができる。

・ 作戦環境において競争する友軍部隊(friendly forces)、侵略軍、地域住民、その他のアクター間の心理的・認知的問題を理解する。

中国:CHINA

6-15. 中国は、国の紛争観として、「包括的国力(comprehensive national power)」「欺瞞(deception)」「三戦(Three Warfares)」の3つを考えている。包括的国力(comprehensive national power)とは、ハード・パワーとソフト・パワーで構成される。ハード・パワーには、軍事能力と軍事能力容量、防衛産業能力、情報力、および脅威や威圧などの関連する外交行動が含まれる。ソフト・パワーには、経済力、外交取組み、対外開発、グローバルなイメージ、国際的な威信などが含まれる。中国は、総合的な国力を自国の世界的地位の重要な尺度として捉えている。最終的には、軍事、外交、その他のあらゆる形の紛争が、中国の包括的な国力を高めるものでなければならない。(中国の包括的な国力の詳細については、ATP 7-100.3を参照されたい。)

6-16. 欺瞞は、中国の紛争に対するアプローチのあらゆる部分で重要な役割を担っている。人民解放軍の計画策定者は、欺瞞の到達目標を達成するために軍略(stratagems)を使用する。軍略(stratagems)は敵の考え方を説明し、いかにして相手が望む知覚を得るかに焦点を当て、そしてその知覚を利用する方法を規定する。

6-17. 中国の紛争に対する戦略的アプローチには、人民解放軍の伝統的な軍事作戦を支援・強化するためにデザインされた「三戦(Three Warfares)」が採用されている。これらのアプローチは「戦い(warfares)」と呼ばれるが、普遍的に非致死性であり、直接的な戦闘作戦を伴わない。もし戦闘を行わなければならない場合、「三戦(Three Warfares)」は相手のバランスを崩し、欺き、強要し、相手の知覚に影響を与え、優位性に立てるようデザインされている。「三戦(Three Warfares)」とは

・ 世論戦(public opinion warfare)

・ 心理戦(psychological warfare)

・ 法律戦(legal warfare)

6-18. 世論戦は、政治的議論の条件を設定するためにデザインされた中国のハイレベルな情報戦役(information campaign)である。中国はこの取組みを、世論を形成し、政治的立場を左右し、中国の国益に対する国際的受容を構築することによって、発砲される前に紛争における主導権を握ることができると考えている。

6-19. 中国の心理戦は、特定の聴衆の行動に影響を及ぼすことを意図している点で、米軍の情報支援作戦と大 きく類似している。心理戦とは、ターゲットの聴衆の心理的反応を意図的に操作することであり、中国の目標に有利な態度や行動を生み出し強化し、敵対者の行動を中国の望ましい結果に導くようにデザインされている。

6-20. 中国にとっての法戦とは、国内および国際的な勝利のための法的条件を設定することである。法的戦争は、国際法または国内法を利用して相手の軍事行動を妨げることにより、潜在的な相手のバランスを崩し、世界中で人民解放軍の作戦を法的に正当化し、有効な法的フレームワークを通じて中国の国益を支援しようとするものである。人民解放軍が捕虜、抑留者、民間人をどのように扱うか、また人民解放軍が国際法条約、規範、法律をどのように遵守するかという指針となっている。

6-21. 武力紛争の間、中国はシステム戦を、封じ込め、孤立、聖域といった他の脅威方法と組み合わせて用いる。中国は、全てのドメインとすべての戦争レベルにおいて、これらの脅威方法を採用している。システム戦には以下が含まれる。

・ 敵システムの得意分野を回避し、非対称にアプローチすることで戦闘優位性を獲得する。

・ 敵のシステムの弱点を突くことに長けたシステムを開発し、それによって敵のシステムの強みを相殺し、与えられた任務を遂行する能力を弱めること。

・ 外交取組みによる国際的な同盟関係の弱体化。

・ 航空・海港を不能にするサイバースペース攻撃を行う。

・ 特殊作戦部隊を使い、秘密作戦で市民の士気を低下させる。

注 中国はATP 7-100.3に基づき、特殊部隊を識別するために「特殊作戦部隊」という用語を使用している。ロシアのドクトリンでは、特殊部隊に対して「特殊目的部隊」という用語が使用されている。本書では簡潔にするため、敵対者または敵に雇われた特殊部隊を表すのに「特殊作戦部隊」という用語を使用する。

6-22. 世界の舞台では、ロシアを含む多くの主体がシステム戦のコンセプトを受け入れているが、中国はその戦闘能と方法のあらゆる側面にこのコンセプトを織り込んでいる。システム戦のコンセプトは、2つの基本的な考え方から成る。すなわち、主要な能力を1つのコマンドの下に一体化した専用の作戦システムを構築することと、これらの作戦システムを使用して、相手システムの脆弱な部分を非対称的にターゲットにし、利用することである。人民解放軍は、重要な能力を効果的に破壊、隔離、無力化、相殺することで、敵の意志と抵抗力を十分に低下させ、勝利を達成できると考えている。

6-23. 戦術レベルでは、システム戦はレーダー、指揮通信ノード、野砲と防空システム、および重要な後方支援手段などの高価値の戦場システムをターゲットとすることが大きな中心となっている。中国は、友軍の統合イネーブラと指揮・統制(C2)ノードをターゲットとするため、最大スタンドオフ距離での長距離火力を多用する。戦術的システム戦の例としては、重火器ロケット砲を使用して敵のレーダーや砲兵システムを撃破・破壊すること、電子戦で敵の指揮・通信ネットワークを制圧・無力化すること、敵リーダーの状況理解をターゲットとした欺瞞作戦などが挙げられる。

武力紛争の間の相対的優位性:RELATIVE ADVANTAGES DURING ARMED CONFLICT

6-24. 陸軍リーダーは敵の優勢を予測し、それを克服する計画を持たなければならない。陸軍部隊(Army forces)は敵の強さに直接攻撃することを避ける。陸軍部隊(Army forces)は与えられた目標を達成するために、自分たちの有利な状況を作り出すことによって、敵の有利な状況を克服するのが最善である。陸軍の編成が最も効果的にオーバーマッチを達成できるのは、複数のドメインの位置から採用される統合および多国籍能力の統合と同期化によって、連鎖的なジレンマを生み出し、敵の作戦アプローチを撃破する場合である。

物理的優位性:PHYSICAL ADVANTAGES

6-25. 友軍部隊(friendly forces)は、敵部隊(enemy forces)を撃破し陸地を占領し、後方連絡線(lines of communications)を支配し、情報と人的優位性を得るための物理的インフラを守るために、物理的優位性を必要とする。武力紛争中、リーダーは以下のような物理的優位性を求める。

・ 位置

・ 範囲

・ 移動の速さ

・ 技術的な優位性

・ 地形・天候

6-26. 位置的優位性は、ある部隊の位置が敵の弱点を突くことを容易にする場合に生じる。例えば、異なる方向を向いている敵の防御の側面を攻撃するように配置された部隊は、敵部隊(enemy forces)に再配置させ、準備された防御の利点の一部を否定するため、有利となる。この優位性を得るためには、通常、機動が必要であり、編成や担当区域の別の場所でのリスクを負うことになる。

6-27. 友軍部隊(friendly forces)は、特に統合能力を使用する場合、射程の優位性を享受することができる。優れた射程距離により、敵部隊(enemy force)が即座に対応できないような効果を発揮することができる。射程の優位性は、敵部隊(enemy forces)に対して友軍部隊(friendly forces)が移動できる距離にも適用され、特に友軍部隊(friendly forces)が迅速に移動できる場合は顕著である。

6-28. 敵部隊(enemy forces)より速い移動速度は、リーダーがそれを利用して敵部隊(enemy forces)が効果的に反応したり再配置したりするよりも速く移動するときに有利となる。移動速度は、判断して使用すれば、他のほとんどの物理的優位性を可能にする。敵の火力能力の範囲内で部隊が敵部隊(enemy forces)に接近する場合、速度は危険を軽減し、防御を可能にする。敵との接近が早ければ早いほど、被爆時間は短くなる。しかし、スピード重視の判断では、敵の交戦区域に迷い込み、大きな損失を被ることもある。

6-29. リーダーは行動方針策定と作戦計画を指示しながら、技術的優位性を利用する。新しい技術的優位性は、必ずしも新しい装備品である必要はない。旧来の技術を利用したり、陸軍能力と統合能力を新しく斬新な方法で組み合わせたりすることは、優位性に立つために有効であることが多い。

6-30. 地形と天候は、特に移動性(mobility)と移動対抗性(countermobility)の面で有利に働くことが多い。リーダーは移動速度を上げるために高速の進入路を使用する。敵の機甲部隊の移動性を低下させるために、厳しい制約のある地形を利用する。攻撃では、リーダーは地形を利用して動きを隠す。防御では、逆勾配を利用して掩護とコンシールメントを提供する。攻守ともに、雨は歩兵が森林地帯を下馬して移動する際の騒音を軽減させるのに有効である。視界の悪い時間帯は、敵の偵察活動から戦闘位置や友軍の動きを隠すのに役立つ。

情報的優位性:INFORMATION ADVANTAGES

6-31. 情報的優位性は常に物理的優位性及び人的優位性と重なり合い、そこから生まれる。情報的優位性を得るために、部隊はまず物理的または人的優位性を必要とする。陸軍部隊(Army forces)は、作戦環境の物理的・人的次元を通じて行動することにより、情報的優位性を創造し活用する。リーダーは、情報的優位性と他の優位性を組み合わせて、敵部隊(enemy forces)よりも早く状況を理解し、判断し、行動する。武力紛争の間における情報的優位性の例としては、以下のようなものがある。

・ 敵の指揮・統制(C2)システムにアクセスし、敵の情報を混乱させたり、劣化させたり、搾取する能力

・ 奇襲作戦によって生み出された、敵のターゲッティングを阻止する機会

・ 電磁シグネチャをマスクする能力

・ 冗長通信を使用することにより、拒否された、または劣化した環境下で友軍部隊(friendly forces)を一体化し同期させる能力

・ 敵の悪意に満ちたナラティブに対抗するため、国内外と迅速に情報を共有する能力

・ 正当性を維持し、友好的なナラティブを促進するために、幅広い聴衆に情報を提供する能力

・ 指揮官や参謀の間で情報を迅速に共有・分析し、意志決定や命令を円滑に行うことができること。

人的優位性:HUMAN ADVANTAGES

6-32. 戦争は対立する人間の意志の衝突であるため、人間的側面が戦争の中心である。陸軍の編成は主に、心理的効果を持つ殺傷力の威嚇または使用によって目標を達成するようにデザインされている。敵部隊(enemy force)の死傷者に対する耐性とそれに耐える政治的・社会的意志を理解することは、大規模戦闘作戦で敵部隊(enemy forces)に勝利するために必要な取組みのレベルを理解する上で重要である。

リーダーは、敵の闘う意志(will to fight)を削ぐために、物理的・情報的な次元で可能な限りのことをする。武力紛争の間、人間の利点は以下の通りである。

・ 戦略的目標を支援する政治的・国家的意志

・ 経験豊富でよく訓練された編成

・ ミッション・コマンド・アプローチによる指揮・統制(C2)に精通したリーダー

・ 戦争法の遵守

・ 部隊の結束力、戦闘に耐えうる精神的・肉体的スタミナのある兵士

・ ホスト国の住民の信頼

・ 最善の医療と十分な物資を提供する後方支援システムに対する信頼・相互運用性と相互信頼

・ 同盟国と相手国の相互運用性と相互信頼

統合部隊の一部としての作戦:OPERATING AS PART OF THE JOINT FORCE

6-33. 陸軍は常に統合部隊の一員として、また大規模戦闘作戦の際には通常、多国籍連合の一員として闘う。戦闘軍指揮官(combatant commanders :CCDRs)は陸軍上級指揮官を統合部隊陸上構成部隊コマンド指揮官(joint force land component commander :JFLCC)に任命することが多いため、統合部隊陸上構成部隊コマンド指揮官(JFLCC)から旅団レベルまでの陸軍リーダーは、陸上での作戦と統合部隊(joint force)の他のドメインでの作戦の統合を理解することが不可欠である。

6-34. 陸軍は、陸上で敵を撃破するために必要なあらゆる規模の移動、近接戦、火力を通じて、持続的な諸兵科連合の陸上戦力を適用する能力と能力容量を提供することで、統合部隊(joint force)を支援する。陸軍は、陸上での地上作戦を支援するために陸上、海上、航空、宇宙、サイバースペースの各ドメインの能力を用い、他のドメインでの作戦を可能にするために地上の能力を用いることでこれを実現する。

6-35. 陸軍部隊(Army forces)の統合部隊(joint force)への貢献は、陸軍の他軍種への支援(Army support to other Services :ASOS)をはるかに超え、様々な行動を通じて行われている。これらには以下が含まれる。

・ 陸上での指揮・統制(C2)を確立する。

・ 空と海の行動の自由を奪う空とミサイルの脅威に対し、陸上システムを用いて対抗する。

・ 緊要地形の防御と統制する。

・ 敵の接近阻止(antiaccess :A2)及び領域拒否(area denial :AD)の構成要素を撃破する。

・ 大規模戦闘作戦を実施する。

・ 大規模戦闘作戦を維持する。

・ 獲得した戦果を集約・強化する。

陸上での指揮・統制の確立:ESTABLISH COMMAND AND CONTROL ON LAND

6-36. 陸上で指揮・統制(C2)を確立するには、陸上区域を割り当て、下位部隊間の指揮・支援関係を適切に定義する陸上構成部隊コマンド(land component command)が必要である。指揮官は、任務と指揮官の作戦コンセプトに基づいて、陸上地域と指揮・支援関係を割り当てる。指揮官はまた、陸上区域を割り当て、部隊をタスク編成する際、利用可能な統合支援のレベルも考慮する。陸軍部隊(Army forces)は、統合部隊指揮官(JFC)、通常は統合部隊陸上構成部隊コマンド指揮官(JFLCC)の指示により、陸上区域の指揮・統制(C2)を確立する。統合部隊陸上構成部隊コマンド指揮官(JFLCC)は、統一コマンド、従属統一コマンド、または統合任務部隊(JTF)内の指揮官で、指揮官に対して、配属、付属、またはその他の利用可能な陸上戦力の適切な活用を勧告し、陸上作戦を計画策定し調整し、与えられた任務を達成する責任を負っている。陸上構成部隊コマンド指揮官(land component commander)の割り当てられた地域の幅と縦深に渡る指揮・統制(C2)には、戦略的通信へのアクセスが必要である。従って、指揮官は指揮・統制(C2)ノードにおける戦略的通信システムの移動と配置を計画する。(統合部隊陸上構成部隊コマンド指揮官(JFLCC)の詳細については、JP 3-31とFM 3-94を参照。)

6-37. 陸軍部隊(Army forces)は、与えられた任務に加えて、一般に4つの重要な問題を考慮する。それらは、下位の陸上区域の割り当て、下位間の相互支援のコンセプト、時間・空間・目的の観点からの部隊階層の一体化、および陸上部隊の適切なタスク編成である。

陸上地域の割当て:Assigning Land Areas

6-38. 統合部隊指揮官(JFC)は通常、陸上作戦地域(AO)を陸上構成部隊コマンド(land component command)に割り当てる。陸上作戦地域(AO)は通常、統合部隊指揮官(JFC)の統合作戦地域(JOA)の陸上作戦地域全体を包含しないが、統合部隊陸上構成部隊コマンド指揮官(JFLCC)が任務を遂行し、統合部隊陸上構成部隊コマンド指揮官(JFLCC)の統制下にある部隊を防護するために適切な大きさ、形状、位置でなければならない。陸上作戦地域(AO)において、統合部隊陸上構成部隊コマンド指揮官(JFLCC)は作戦地域(AO)の作戦フレームワークを確立し、下位の地上部隊指揮官に責任を負わせ、その責任を果たすための能力を割り当てる。状況に基づき、陸上構成部隊コマンド(land component command)は下位の戦術部隊階層に地域(作戦地域(AO)、ゾーン、またはセクター)を割り当てる。6-8ページの図6-1は、部隊階層ごとの縦深と間口に関する基本的なドクトリンの雛形である。(下位部隊階層への地域割り当ての考慮事項の詳細については、第2章を参照)。

注:政治的制約、地理、同盟国やパートナーの力学、利用可能な戦力、実施される作戦の種類、敵はすべて、各部隊階層に適した作戦地域(AO)の規模に影響を与える。

図6-1. 縦深と幅のドクトリン上のテンプレート

相互支援の適用:Applying Mutual Support

6-39. 指揮官は部隊をタスク編成し、陸上区域を割り当て、部隊を配置する際に相互支援を考慮する。部隊間の高度な相互支援は指揮官に柔軟性と選択肢を与え、敵部隊(enemy forces)に複数のジレンマを生じさせる。部隊が互いに支援し合えれば、指揮官はすべての戦闘機能と全てのドメインにわたる能力を結合するための選択肢を増やすことができる。指揮官と参謀は、相互支援と友軍部隊(friendly forces)の詳細な撃破に対する脆弱性の低減に関する選択肢を詳細に理解するために、部隊間の支援能力を評価する。航空戦力と間接火力は射程距離が長いので、部隊間の支援範囲を広げる選択肢がある。

6-40. 支援距離は編隊の移動性、地形、敵の状況によって異なる。部隊が兵器の射程外で活動する場合、支援距離から機動してお互いを有効にすることができる場合がある。歩兵部隊は、制限の厳しい地形では、装甲編成を有効にするために短い支援距離を機動することができるかもしれない。戦闘航空旅団は、師団の他の部分から孤立した歩兵旅団を支援するために、支援距離にいることができる。部隊が広範囲に分散して活動しなければならない場合、指揮官と参謀は状況に応じて複数の編成の支援に機動できるように予備兵を配置する。

6-41. 部隊が通信できない、または敵部隊(enemy forces)に固定されている場合は、お互いの近接度に関係なく支援距離内とはならない。部隊が共通の作戦映像(COP)を共有している場合、相対的な近接性は機動と火力の調整能力より重要ではない。相互支援の利点を生かすには、部隊が敵部隊(enemy forces)よりも効果的に機動と火力を同調させることが必要である。

6-42. 通常戦力と特殊作戦部隊の双方が参加する大規模作戦では、通常戦力と特殊作戦部隊の取組みの統合と同調が必要である。統合任務部隊(JTF)指揮官は、特に指揮・統制(C2)や後方支援の分野で、通常部隊と特殊作戦部隊の能力や限界が異なることを考慮しなければならない。通常部隊と特殊部隊の間で連絡員を交換すれば、関係するすべての部隊の取組みがさらに一体化される。(通常戦力と特殊作戦部隊の調整に関する詳細は、FM 6-05を参照。)

6-43. 指揮官は、分散した進撃軸に沿って移動するため、あるいは後方地域などの場所で発見を最小限にするため、状況に応じて下位部隊に非連続の地域を割り当てる。このような場合、上位司令部は未割り当ての地域に関連するリスクに対する責任を保持し、自らが管理する能力でそのリスクを軽減する。友軍部隊(friendly forces)が主導権を握り、敵に対応を迫ることができる限り、非連続地域で活動する大規模部隊は後方連絡線(lines of communication)を防護することができ、許容できるリスクで利点を提供することが可能である。しかし、非連続的な部隊のリスクは、特に後方地域で静止する時間が長くなればなるほど、急速に増大する。部隊数が限られた大規模な作戦地域(AO)や、小さな島々をまたいで作戦が行われる海洋環境は、非連続の割り当て地域を必要とする条件である。

6-44. 下位部隊が、他の地上部隊の支援範囲や支援距離を超えた非連続的な作戦区域で活動する場合、統合能力はリスクを軽減することができる。しかし、陸軍指揮官が直接管理できない統合能力を利用することは、敵の活動、天候、または統合部隊指揮官(JFC)の高い優先順位により、それらの能力が利用できなくなるリスクを伴う。(相互支援の詳細については第3章を参照。海洋環境における非連続的な割り当て地域の詳細については、第8章を参照)。

部隊階層の一体化:Integrating Echelons

6-45. 部隊階層の役割と責任を時間、空間、および目的で記述することにより、敵の編隊や非正規軍が友軍部隊(friendly forces)と混在する作戦区域の縦深を通じて、作戦の一貫性を高めることができる。部隊の混在は複雑さを増し、部隊階層間の取組みの統一を保つことを難しくする。指揮官と参謀は、すべての部隊階層の作戦を一体化し、優位性に立ち、目標を達成することを確実にする。

6-46. 部隊階層は敵部隊(enemy forces)を撃破するために下位の編隊を機動する。任務の成功には、上位の部隊階層が下位の作戦を支援することが必要である。大規模戦闘作戦では、旅団戦闘チーム(BCT)と師団は一般的に敵の機動部隊の撃破に重点を置く。軍団とそれより上位の部隊階層は、統合部隊指揮官(JFC)の計画と優先順位に従って、敵の統合防空システムおよび敵の統合火力コマンドの一部を撃破することに重点を置くのが一般的である。

6-47. 旅団戦闘チーム(BCT)は敵の警戒活動や機動の部隊階層を倒すための時間と空間が必要である。師団は、近接・後方作戦を脅かす後続部隊、予備軍、短・中距離火力の一体化を崩壊させることにより、下位の編隊に時間と防護を提供する。師団は、敵機動部隊に対する近接作戦で旅団を機動させる。師団は攻撃航空と近接航空支援を使用して作戦を可能にし、テンポと作戦範囲を維持するために後方作戦を使用する。敵の機動部隊に焦点を当てることは、旅団戦闘チーム(BCT)と師団が敵の統合防空または火力能力の構成要素を攻撃することを妨げるものではない。海兵隊は通常、師団の割り当て地域または影響範囲内にある優先的な敵の能力を攻撃するよう師団に要求する。

6-48. 軍団は、敵の中・長距離火力、防空・ミサイル防衛能力、およびそれらに関連するネットワークやセンサーを打ち負かすために、宇宙やサイバースペース効果を含む統合能力を用いて師団を機動させ条件を設定する。さらに、軍団は後続の機動部隊の動きを混乱させる。軍団は、師団後方地域がその統制のための能力容量を超えて拡大しないようにし、師団の初期取組みを拡大し、獲得した戦果を集約・強化することを継続する。陸上構成部隊コマンド(land component command)は、他の部門との相互支援を行い、統一行動パートナーとの陸上での取組みの統一を維持する。陸上構成部隊コマンド(land component command)の評価は、戦術的行動が物理的、情報的、人的次元において望ましい効果を上げていることを確認するものである。司令部のナラティブが戦術的状況に合致し、戦術的行動が司令部のナラティブを補強することを保証する。(部隊階層の役割と責任を時間、空間、目的の観点から想定して描いたのが図6-2である。)

6-49. 上級司令部は、単に追加能力を付与するだけでなく、下位の編成の戦闘を積極的に支援する。指揮官と参謀は、自分の部隊階層の役割と責任に固執するあまり、下位の編成の失敗を招くことを積極的に避ける。

図6-2. 異なる部隊階層における時間、空間、目的の観点からの想定される役割と責任

タスク編成:Task-organizing

6-50. 指揮官は、部隊がその役割、責任、目的を果たすことができるように、部隊をタスク編成する。タスク編成(Task-organizingとは、固有のタスクや任務を達成するために、特定の規模と構成を持つ部隊、支援スタッフ、または後方支援パッケージをデザインすることである(ADP 3-0)。部隊をタスク編成する際に考慮すべきことは、任務、訓練、経験、部隊の能力、持続可能性、作戦環境、および敵の脅威である。タスク編成は、下級指揮官へのアセットの割り当てと、指揮・支援関係の確立を行う。タスク編成は、指揮官が作戦中に後続の任務のために部隊を再編成するため、継続的に行われることがある。陸軍部隊(Army forces)のタスク編成能力は、編成の敏捷性を高める。指揮官は、利用可能な資源を最大限に活用するために、部隊を構成することができる。また、陸軍部隊(Army forces)は部隊の能力をタスクに適合させることができる。後方支援部隊の調整能力とタスク編成能力により、指揮官は任務要求に応じた行動の自由を確保することができる。

6-51. 編隊のタスク編成は指揮・統制(C2)を支援し、部隊間の指揮・支援関係を公式化する。効果的なタスク編成は

・ 指揮官の意図と作戦のコンセプトを促進する。

・ 指揮支援関係の適切な使用により、指揮の統一と取組みの同期を確保する。

・ 作戦コンセプトの柔軟性を維持する。

・ 不測の事態に対応し、将来の作戦を支援するための柔軟性を確保する。

・ 主体的な取組みに重点を置く。

・ 敵の脆弱性を突く。

・ 資源を最小限の制約のもとに配分する。

・ 変化する状況に適応する。

・ 効果的な統合部隊を維持・創設する。

・ 有効な諸兵科連合チームを維持・創設する。

・ 制限を相殺し、利用可能なすべての戦力の可能性を最大化する。

・ 可能な限り、下位部隊間の相互支援を行う。

6-52. 部隊は作戦期間中、上位司令部が与える任務に基づいて部隊を編成・再編成する。指揮官は、各下位の部隊階層に任務遂行のための十分な戦闘力が割り当てられ、付着し、または支援されていることを確認する。支援する統合戦力と陸軍戦力の配分は、作戦の段階ごとに主戦力と支援戦力を考慮し、また、戦力の節約に努めてリスクを受け入れ、別の場所で機会を生み出すといった他の要因も考慮する。

6-53. タスク編成の変更は、下位の部隊がいかに機敏であっても、負担をかけることになる。タスク編成を変更する前に、リーダーは支援関係や支援の優先順位の変更など、より破壊的でない選択肢を検討する。

航空脅威とミサイル脅威への対抗:COUNTER AIR AND MISSILE THREATS

6-54. 敵の航空・ミサイル能力は、陸軍部隊(Army forces)にとって重大な脅威である。敵の航空・ミサイル能力は陸軍部隊にとって重大な脅威であり、集結地において戦闘力を構築する部隊、後方連絡線(lines of communications)を通過する部隊、後方作戦を行う部隊に対する危険性を増大させる。攻勢作戦中に友軍部隊(friendly forces)を攻撃することもできるが、特に指揮所や静止している時に発見された部隊にとっては危険である。敵の航空・ミサイルの脅威を撃破することは、攻勢的な機動の機会を創出するために必要である。しかし、前方に配置された敵の航空・ミサイル戦力を移動させる機動部隊の投入は、対空作戦を補完することができる。

6-55. 対空は、地上と空中の敵航空機とミサイルを無力化または破壊することで、望ましい制空権を確立・維持するための攻勢作戦と防勢作戦を一体化した戦域任務である。この作戦には、陸軍の有人・無人航空機や長距離火力、機動部隊、特殊作戦、宇宙作戦、サイバースペース作戦、電磁戦能力を使用することがある。

6-56. 防勢的対空作戦は、友好的領空に侵入または攻撃しようとする敵部隊(enemy forces)を無力化または破壊するために戦域内で行われるすべての防御的措置である。防勢的対空作戦は、友軍部隊(friendly forces)およびアセットに対する敵対的な航空およびミサイルの脅威を破壊し、無効化し、またはその効果を減じるためにとられる能動的および受動的な防御行動を包含している。防勢的対空作戦の到達目標は、攻勢的対空作戦と連携して、部隊が空とミサイルの脅威から防護されながら活動できる地域を提供することである。防勢的対空作戦は、攻勢的対空作戦および他のすべての統合部隊の作戦と一体化され、同期化されなければならない。地域防空指揮官は、統合部隊指揮官(JFC)が設置した場合、防空の計画策定および作戦の責任者である。

6-57. 統合部隊指揮官(JFC)は、統合航空作戦センターを通じて、統合部隊全体の防勢的対空作戦を計画、調整、一体化する権限を持つ地域防空コマンドを指定する。これらの司令部は、統合防空システムを構築する。地域防空コマンドは、構成部隊指揮官の支援を受けて、統合部隊指揮官(JFC)承認の統合地域防空計画を策定し、一体化し、配布する。

6-58. 友軍部隊(friendly forces)は、通常統合部隊航空構成部隊コマンド指揮官である地域防空指揮官が定めたガイドラインと規則に従って、空とミサイルの交戦を行う。統合部隊航空構成部隊コマンド指揮官は、最も多くの航空アセットを持ち、作戦地域(AO)での統合航空作戦を計画、任務、統制する能力を持つ軍種であり、通常、空軍または海軍である。

6-59. 陸軍航空・ミサイル防衛コマンド(AAMDC)は、戦域における陸軍航空・ミサイル防衛(AMD)部隊のための陸軍の主導的組織である。陸軍航空・ミサイル防衛コマンド(AAMDC)指揮官は陸軍航空・ミサイル防衛(AMD)調整官として、ARFOR指揮官と地域防空指揮官を支援し、重要アセットリストの計画策定と調整と防衛アセットリストの作成にあたる。

6-60. 陸軍防空砲兵(ADA)部隊は、統合部隊のために陸軍航空・ミサイル防衛(AMD)作戦を行う。陸軍部隊(Army forces)は、敵の航空・ミサイル戦力の一部を撃破するために、統合部隊指揮官(JFC)による戦域防空・ミサイル防衛システムの配備・運用のための緊要地形を確保するために攻撃することができる。前方展開または早期参入した陸軍防空砲兵(ADA)部隊は、統合部隊指揮官(JFC)が戦闘力を増強する間、重要なアセットを航空攻撃から防御する。

6-61. 重要アセットリストは、防護を必要とする最も重要なアセットを特定し、利用可能な陸軍防空砲兵(ADA)部隊を割り当てる防御アセットリストの基礎となる。統合作戦地域(JOA)における共同または多国籍の陸軍航空・ミサイル防衛(AMD)構成部隊との統合により、陸軍航空・ミサイル防衛(AMD)システムの不足をある程度緩和することができる。短距離防空(SHORAD)は、主に水陸両用上陸地点、港湾、飛行場、指揮所、交差点など、合同および陸軍の重要なアセットに対する低高度の航空脅威に対する防空を提供する。陸軍防空砲兵(ADA)の全部隊階層で一体化された指揮・統制(C2)により、限られたSHORADと早期警戒のアセットを最も効率的に配分することができる。高高度から中高度までの陸軍航空・ミサイル防衛(AMD)部隊は、弾道ミサイルの脅威から統合部隊(joint forces)と陸軍部隊(Army forces)を防御する。

6-62. 陸軍防空砲兵(ADA)部隊の計画策定、配置、及び残存性移動の必要頻度を決定する際、部隊は敵間接火力の範囲及び敵部隊(enemy forces)の陸軍防空砲兵(ADA)部隊のシグネチャを識別する能力を考慮する。機動部隊は地上攻撃から陸軍防空砲兵(ADA)部隊を守るために必要とされることがある。(空とミサイルの脅威に対抗するための詳細な情報はJP 3-01を参照。陸軍陸軍航空・ミサイル防衛(AMD)作戦の詳細についてはFM 3-01を参照)。

緊要地形の防御と統制:DEFEND AND CONTROL KEY TERRAIN

6-63. 統合部隊は、前方駐留部隊による同盟国の防御、戦闘力の展開を可能にする戦略的後方連絡線(lines of communications)の管理、共同強行作戦で必要となる緊要地形の管理など、永続的な要求を有している。陸軍部隊(Army forces)の貢献は、統合部隊の他の構成員を防護し、有効にするものであり、その結果、陸上での行動の自由度と作戦の機会が拡大する。(大規模戦闘作戦時の防御については、本章第Ⅱ節を参照)。

前方駐留部隊による防御:Defense by Forward-Stationed Forces

6-64. 武力紛争は多くの場合、長期にわたる競争の後に発生し、米国の同盟国またはパートナーに対する何らかの敵の侵略、前方駐留米軍部隊(forward-stationed U.S. forces)に対する攻撃、またはその両方から始まる可能性が高い。戦闘任務が同盟国の取組みの一環としての防御を伴う前方駐留軍は、移動防御または地域防御、後退を行うか、将来の作戦での役割に備えることができる戦術集積地に再配置するよう求められることがある。戦域連携治安部隊支援旅団(SFAB)の顧問団は、脅威となる相手国の側に身を置き、リアルタイムの戦術的情報を提供し、米国の能力を利用することができる。指揮官や参謀は、防御部隊に陸軍火力や統合火力の適切な優先権があることを確認する。作戦計画(OPLAN)および支援する下位計画では、主要な防御位置、警備地域、部隊要求、戦術的集結地の位置、その他の計画地が特定される。競争間の準備に基づき、部隊はこれらの陣地を占領し、可能であれば頭上の掩蔽、隠蔽、通信、射界を改善する。友軍部隊(friendly forces)は、実際の準備と偽陣地(fake positions)の準備を組み合わせることにより、敵の発見取組みを妨げる。競争間の防御準備、特に残存性のある陣地(survivability positions)の確立は、敵の準備火力がほとんどあるいは全く警告なく開始された場合、戦闘力を維持する。

6-65. 武力紛争の初期に再配置する任務を持つ前方駐留軍は、経路と将来の位置について熟知し、理解することが必要である。これは競争間に習得する。リハーサルの一環として、部隊は実際に通過する部隊と一緒に、警戒・召集手順、積載計画、弾薬の引き込みと分配、戦術的な道路行進、および前線の通過を訓練する。リーダーはリハーサルが戦闘状況をできるだけ反映するようにし、視界の限られた移動、友軍との安全な無線通信、移動中の整備計画などの細部に注意を払う。

6-66. 陸軍部隊(Army forces)、特に前方に駐留する部隊や重要な統合能力を防護する任務を負う部隊は、その陣地の生存能力を継続的に向上させる。可能な限り、リーダーは重要な能力を移動できるようにし、不規則に移動させ、カモフラージュを使い、静止しているときは掘り下げ、分散を維持することで、競争や危機の間のターゲットを複雑にする積極的な手段を取る。訓練中に防護意識を植え付け、習慣化させた部隊の基準と規律が、紛争の初期段階での成否を決める。

6-67. 特定の作戦計画や状況に応じて、前方駐留軍は特定の任務を遂行したり、戦闘力を維持するために戦術的集結地に再配置されることがある。これらの作戦は接触しているときでもしていないときでも可能であり、リーダーは作戦を計画し、リハーサルを行わなければならない。作戦が同盟軍の後方通過を伴う場合、部隊は作戦の安全を維持するために、実際の実行と同じ手順と安全な通信を使用してリハーサルに参加する。

6-68. 敵機動部隊に迂回された場合、前方展開部隊の指揮官は率先して戦闘に参加する。敵の後続部隊の要素を撃破しようとする。敵の後方支援能力と長距離火力能力を破壊し、友軍部隊(friendly forces)に対する縦深打撃を行うためにあらゆる試みを行う。これらの作戦は、現地住民の支援を得た場合に最も成功する。(戦線通過の詳細については6-159から6-161項を参照せよ。逆行作戦の詳細については6-190項を参照せよ)

戦略的後方連絡線と緊要地形の統制:Control Strategic Lines of Communications and Key terrain

6-69. 戦略的後方連絡線(lines of communications)と緊要地形を支配することは、戦闘力を持続的に投射するための統合部隊(joint force)の能力が不可欠である。ロシアと中国は、米国本土の戦略的支援地域から、空路、陸路、海路の輸送路、中間準備基地、戦術的集合地域まで、地球上のあらゆる場所で共同作戦に対抗することが可能である。戦略的後方連絡線(lines of communications)は通常、重要な陸上地域を含むため、陸軍部隊(Army forces)はその防御に重要な役割を果たす。

6-70. 敵は通常戦力と非正規戦力を一体化し、戦略支援地域から近接地域までの後方連絡線(lines of communications)を寸断する。敵の航空、宇宙、サイバースペース、ミサイルの能力は、世界のどこのターゲットも射程に入れることができる。敵は、米国本土のインフラや住民を攻撃するために、スパイや代理人(surrogates)を使用することができる。敵の地表・地下の海上能力は、非従来型のアプローチと相まって、海上での後方連絡線(lines of communications)を混乱させる。敵の中・長距離火力は、陸軍が戦闘力を前方戦術集結地に移動させる能力を脅かす。

6-71. 陸軍部隊(Army forces)は飛行場、鉄道駅、港湾などの重要な中継地点を制圧する。彼らは、状況に適した残存性の高い方法と技術を採用し、その地位を固める。作戦や任務の変数によっては、これらの地域は敵のサイバースペース攻撃やその他の情報戦の方法、スパイ活動、テロ攻撃、特殊作戦部隊、弾道ミサイル攻撃、大量破壊兵器に対して脆弱になる可能性がある。

6-72. 航空・海上後方連絡線(lines of communications)の確保は他の軍種が担当するが、陸軍部隊(Army forces)は陸地、特に飛行場や港湾の周辺を確保することがある。航空機や艦船は不定期に移動しなければならないため、敵のターゲットが複雑化し、その結果、陸軍部隊(Army forces)が防護やその他の支援を行う必要がある場合の計画策定要求が複雑化する。他の軍種が利用できる緊要地形を確保することは、他の目的に利用できる戦闘力を最初は低下させるとしても、重要である。他の軍種の使用を可能にすることは、陸軍部隊(Army forces)の戦地への流入を確保するのに役立つ。

6-73. 武力紛争の間、制裁の執行や封鎖を行うための統合作戦で、陸軍部隊(Army forces)が陸上から重要な海上交通の要衝を制圧することが必要になる場合がある。陸軍の能力は、無人航空機システム(UAS)、長距離精密火力、陸軍航空・ミサイル防衛(AMD)、攻撃航空、電磁戦、通知活動・影響力活動、治安部隊支援、地域警備(area security)などで、統合部隊(joint force)に選択肢を提供する。(制海権の詳細についてはJP 3-32を参照)。

6-74. 攻勢作戦の間、指揮官は後方地域の安全確保と後方連絡線(lines of communications)の防護を節約し、主戦力を強化する。リスクを軽減するため、指揮官は統合部隊内部および多国籍軍や他の統一行動パートナーと協力し、支援を受ける。特に同盟国やパートナーは、安全保障の能力容量、状況認識、現地住民との交流に関する専門知識を提供し、陸軍部隊(Army forces)がホスト国軍に適した地域警戒活動(area security operations)を行うのを緩和することが可能である。

敵の接近阻止(A2)と領域拒否(AD)の撃破:DEFEAT COMPONENTS OF ENEMY ANTIACCESS AND AREA DENIAL

6-75. 敵の接近阻止(A2)および領域拒否(AD)アプローチは、友軍の部隊防護と行動の自由を奪う。敵は殺傷力のある手段で接近阻止(A2)および領域拒否(AD)アプローチを追求し、前方駐留部隊のリスクと戦術的集合地域に追加部隊を展開・配置する能力を著しく増大させる。敵の統合火力コマンドの構造と機能を理解することは、友軍部隊(friendly forces)が敵の接近阻止(A2)および領域拒否(AD)アプローチの結束を崩壊させ、統合部隊が攻勢作戦を行うための利用可能な機会を作り出すのに役立つ。

敵の統合火力コマンド:Enemy integrated fires command

6-76. 統合火力コマンドは、指揮・統制(C2)構造と有機および付属の統合火力支援部隊の専用の組み合わせである。統合火力コマンドは、そのレベルの司令部が保持する、割り当てられた専用の火力支援アセットの集中的な指揮・統制(C2)を実施する。これは、異なる司令部や軍種からの航空、砲兵、艦砲火力、および地対地ミサイル部隊を含むことができる。また、その支援に専念するすべての偵察、情報、監視、ターゲット捕捉アセットの指揮・統制(C2)も行使する。統合火力コマンドは、指定された作戦的ターゲットおよび戦略的ターゲットに対処する任務を負う。統合火力コマンドは、通常、戦役レベル(campaigns-level)の司令部に所属する。しかし、統合火力コマンドが劇場レベルで編成される場合もある。例えば、戦域は2つの別々の戦役(campaigns)を持つことができ、戦略または戦域戦役(theater campaign)の目標を達成するために、重要な火力支援アセットを戦域レベルで集中化することが必要となる。敵部隊(enemy forces)は、その能力と状況に応じて、様々な方法で防空・ミサイル防衛能力を統合火力コマンドに一体化する。図 6-3(6-16ページ)は、劇場レベルの統合火力コマンドを想定したものである。

図6-3.想定される戦域レベル統合火力コマンドの火力アセット

6-77. 統合火力コマンドは、支援される司令部のために全ての火力支援任務を遂行する。統合火力コマンドは以下のためにデザインされる。

・ 地上・航空火力支援との連携により、精密火力と大量の火力を駆使する。

・ ターゲット捕捉から交戦までの時間を最短にする。

6-78. 統合火力コマンドとその構成システムは、陸軍部隊(Army forces)が統合部隊の作戦を支援する際にターゲットとすることができる重要な脆弱性を持っている。他の軍事システムと同様に、陸軍部隊(Army forces)が探知し攻撃できる後方支援能力および他の支援を必要とする。それは、全てのドメインからの友軍のインテリジェンス、監視、偵察(ISR)から検出できる電磁シグネチャを有している。敵のネットワークは、陸軍部隊(Army forces)がターゲットとできる指揮・統制(C2)ノードに依存する。おそらく最も重要なことは、統合火力コマンド内のシステムは、センサー、火力能力、指揮・統制(C2)ノードを含む陸上能力で構成され、そのすべてが陸軍部隊(Army forces)の攻撃可能なものであることである。

接近阻止(A2)と領域拒否(AD)の撃破:Defeating Antiaccess and Area Denial Approaches:

6-79. 敵の接近阻止(A2)および領域拒否(AD)アプローチを撃破するためには、継続的な取組みが必要であり、敵対行為開始前に前方に配置され防護された部隊によって最も促進される。これにより、航空・海軍の戦力は統合部隊のターゲットに接近し、出撃回数を増加させることができる。これにより、陸軍部隊(Army forces)をはじめとする前方駐留統合部隊は、友軍部隊(friendly forces)の追加投入に必要な地形と施設を保持することができる。紛争の初期段階において、前方駐留部隊を維持し、重要な地形を戦域内に保持することは、統合部隊の縦深と作戦範囲を拡大する。

6-80. 接近阻止(A2)と領域拒否(AD)は、統合部隊が通常遭遇すると予想される、2つの異なる敵のアプローチである。地理的地域へのアクセスを維持または回復するには、全てのドメインを通じてのまとまった共同アプローチが必要なため、統合部隊はしばしばこれらを同じ課題の一部と見なす。接近阻止(A2)と領域拒否(AD)を破るには、陸軍部隊(Army forces)が重要な地形を保持または確保し、敵部隊(enemy forces)を破るのに必要な縦深を確立することを含む、マルチドメインのアプローチが必要である。

6-81. 指揮官は、複数のドメインを介した多重攻撃により、敵の接近阻止(A2)および領域拒否(AD)アプローチを撃破する。ネットワーク化された接近阻止(A2)および領域拒否(AD)の能力を補完・強化することは、単一攻撃ラインに対する復元性がある。国境付近で作戦する敵は、自国の聖域から戦力や能力を再構成することができる。すべての脅威のシステムがフル稼働している場合、重要な脆弱性を攻撃するために適切な能力を範囲内で作戦することは、リスクが高すぎるかもしれない。したがって、リーダーは敵のシステムの最も露出した部分を時間をかけて破壊または分離し、作戦を支援し、他の活用の機会を生み出すのに十分な程度に劣化させるのである。敵の統合火器や防空システムの様々な部分の破壊、隔離、転位(dislocation)はすべてその崩壊に貢献する。

6-82. 敵の接近阻止(A2)および領域拒否(AD)システムの主な物理的構成要素は、センサー、火力プラットフォーム、ネットワーク、指揮・統制(C2)、後方支援、およびそれらを確保する部隊である。陸軍部隊(Army forces)は、利用可能なすべての能力を一体化した統合作戦の一部として、これらの構成要素を攻撃する。統合部隊陸上構成部隊コマンド指揮官(JFLCC)は、陸軍を支援するために統合効果を要求する。統合部隊陸上構成部隊コマンド指揮官(JFLCC)は、敵のシステムを探知するための宇宙機能、特定の効果を狙った攻撃的宇宙作戦、敵のネットワークを攻撃するための攻撃的サイバースペース作戦または電磁能力を要求できる(攻撃的サイバースペース作戦に関する情報はFM 3-12を参照)。

6-83. 統合部隊陸上構成部隊コマンド指揮官(JFLCC)は、下位の機動を可能にするために、統合能力を一体化し、その運用と効果を同期させて輻輳を達成する責任を負っている。コンバージェンスを達成することは、敵の接近阻止(A2)及び領域拒否(AD)を撃破するためのアプローチの重要な部分である。

6-84. 陸軍部隊(Army forces)は接近阻止(A2)と領域拒否(AD)の指揮・統制(C2)ネットワークを混乱させ、他の効果を生み出すために、宇宙とサイバースペース効果を要求する。陸軍の編隊は敵のネットワークに対してサイバースペースと電磁戦の効果を同期させ、センサー、火力部隊、指揮所間の人間および自動通信を混乱させる。陸軍の計画ナーは、要求を特定すると、部隊の手順に従って、宇宙およびサイバースペース効果を要求する。彼らは、要求している効果に必要な計画策定と準備のタイムラインを理解しなければならない。例えば、サイバースペース効果を開始するには時間がかかり、それは最初の作戦計画(OPLAN)開発と改訂の一部であるべきである。多くのサイバースペース効果は、いったん開発されれば迅速に提供できるにもかかわらず、その生成には数カ月を要することがある。これは、戦闘中の計画策定期間が時間や日単位で測定される陸軍の部隊階層にとっては難題である。したがって、陸軍のリーダーは、望ましいサイバースペース効果を、それを一体化する必要が生じる時期よりかなり前に、予測することが重要である。(サイバースペース効果の要求に関する詳細については、FM 3-12を参照。宇宙作戦の詳細については、FM 3-14を参照)。

6-85. 陸軍部隊(Army forces)は、敵の接近阻止(A2)および領域拒否(AD)システムの構成要素を攻撃するため、敵の機能の凝集力を低下させ、最終的に撃破するという全体的な意図の下に、撃破メカニズム(defeat mechanisms)を組み合わせて使用する。下位の部隊階層は、陸上構成部隊コマンド(land component command)が設定した条件に自らの作戦と目標を合致させ、それを利用するために迅速に行動する。このような攻撃と目標の組み合わせは、最終的に敵の好む作戦手法を打ち破り、敵部隊を統合部隊指揮官(JFC)による後続作戦に対して脆弱にする。指揮官は意図的ターゲッティングと動的ターゲッティングを使用して、敵を攻撃する機会を作り、友軍部隊(friendly forces)のために冗長性を作り出す。(動的ターゲッティングと意図的ターゲッティングの詳細についてはJP 3-60とATP 3-60を参照。)

6-86. 指揮官は、敵部隊(enemy forces)がその能力の一部または全部を、場合によっては他の場所から部隊を再配置することによって再生することができる可能性を考慮しなければならない。指揮官と参謀は敵の接近阻止(A2)および領域拒否(AD)システムを継続的に評価し、敵の再生取組みを打ち負かすのに十分な戦闘力を維持することで奇襲を避け、友軍の行動の自由を保持することができる。敵の接近阻止(A2)および領域拒否(AD)アプローチを撃破することで、通常、統合強行突入作戦と、友軍部隊(friendly forces)の空中離発着港や海上離発着港から戦術的集結地までの移動が可能になる。

統合強行突入作戦:JOINT FORCIBLE ENTRY OPERATIONS

6-87. 強行突入(Forcible entryとは、武装した敵に直面して軍の宿営地を占領・保持すること、あるいは作戦達成のための移動・作戦を可能にするため、拒否された地域へのアクセスを強制することである(JP 3-18)。強行突入作戦は、主導権を握るための統合部隊指揮官(JFC)の最初の一手となりうる。強行突入作戦は、位置的優位性を得るための作戦行動や、欺瞞の一部として使用されることもある。

6-88. 指揮官は、武装勢力に対抗して宿営地を奪取・保持するために、強行突破作戦を立案する。拠点(lodgment)とは、敵対的または潜在的に敵対的な作戦地域内に指定された地域で、これを占領・保持すれば兵員や物資の継続的な上陸が可能になり、その後の作戦に機動空間を提供できる(JP 3-18)。このため、友軍部隊(friendly forces)は宿営地の地上に到着する前に戦闘装甲を施し、即時の戦闘行動に備えておく必要がある。部隊は、脱走して攻勢作戦を行うのに十分な戦力が整うまで、宿営地の周囲を防御する。

大規模戦闘作戦の遂行:CONDUCT LARGE-SCALE COMBAT OPERATIONS

6-89. 大規模戦闘作戦中、陸軍部隊(Army forces)は敵部隊(enemy forces)を撃破するため、攻撃、防御および安定化作戦を展開する。近接戦闘による敵部隊(enemy forces)の撃破は、通常、敵対行為開始後の戦役目標(campaign objectives)および国家戦略的到達目標を達成するために必要である。師団および軍団は、大規模戦闘作戦の実施に中心的な編成であり、近接戦闘中に下位部隊の成功を可能にする縦深作戦、後方作戦および支援作戦のために組織、訓練および装備されているからである。地上戦で勝利する能力は、敵の紛争継続の意志を断ち切るための決定的な要因である。紛争解決には、陸軍が国家目標を達成するために必要な限り、統一行動パートナーと共に持続的な作戦を実施することが必要である。第6章第2節および第3節では、陸軍部隊(Army forces)が統合部隊の一部として、大規模戦闘時にどのように防勢作戦および攻勢作戦を行うかについて述べている。

大規模戦闘作戦の維持:SUSTAIN LARGE-SCALE COMBAT OPERATIONS

6-90. 大規模戦闘作戦は、他の作戦に比べてより大きな後方支援を必要とする。そのテンポの良さと致死性は、維持の必要性と物資、弾薬、装備の支出を著しく増加させる。大規模な戦闘では、大量の死傷者が出る危険性があり、医療サービス支援、霊安室業務、大規模な人員と装備の交換などの要求が高まる。大規模な戦闘活動では、膨大な量の物資、人員、装備を移動・分配するための後方支援システムが必要となる。(後方支援の詳細についてはFM 4-0を参照)。

6-91. 陸軍の後方支援は、陸上における統合部隊の重要な推進力である。陸軍部隊(Army forces)は統合部隊指揮官(JFC)の指示に従い、統合部隊の他の部隊に後方支援を提供する。統合部隊指揮官(JFC)は戦域全体の後方支援に全責任を持つが、統合部隊指揮官(JFC)司令部は戦域後方支援コマンド(TSC)を通じて後方支援の責任の多くを遂行する。陸軍の後方支援能力は、指示があれば、行政機関、共通利用者兵站、主導する軍種、その他の共通後方支援資源を通じて、他の軍種に対する陸軍支援の大部分を提供する。(統合の後方支援に関する詳細はJP 4-0を参照。陸軍の後方支援の役割と責任に関する詳細はADP 4-0を参照)。

6-92. 他のドメインからの能力により、陸軍部隊(Army forces)隊の後方支援が可能になる。航空後方支援能力は、優先度の高い要求に対応する後方支援を提供する。海兵隊が提供する後方支援は、大規模な要求をサポートする。宇宙およびサイバースペース対応のネットワークは、後方支援要求の迅速な伝達と正確な配給を可能にする。

6-93. 成功する後方支援作戦は、後方支援能力の防護と、前線部隊の近くでの迅速な支援との間でバランスを取っている。よく計画され実行された後方支援作戦は、柔軟性、耐久性、および戦闘力の適用を可能にする。計画は、敵部隊(enemy forces)が友軍の後方支援能力を探知し攻撃するリスクを予期し軽減しなければならない。後方支援編成は、他のすべての部隊と同じレベルで作戦の安全性、残存性、および防護を追求する。

後方支援作戦の多くは、師団や軍団に戦闘力を配分する際の戦力の効率化を図るものであるが、縦深・近接作戦においては、これらの作戦の継続性と残存性が極めて重要である。

6-94. アセットの分散と冗長性が後方支援編成の防護に役立つ。後方支援編成を分散させることで、敵の長距離火力によって大量の物資が破壊される可能性を低くすることができる。また、分散させることにより、複数のノードが単一障害点なしに後方支援のコンセプトを実行できるため、柔軟性が生まれる。しかし、分散した後方支援作戦は指揮・統制(C2)を複雑にし、集中したアプローチよりも効率が悪くなる可能性がある。指揮官は分散と効率のバランスをとり、敵の攻撃から身を守る一方で、支援部隊のテンポ、持久力、作戦範囲を維持する。

6-95. 指揮官は、人員、物資、装備の大きな損失の可能性に備えて計画を立てなければならない。継続的かつ効果的な後方支援支援を受けたとしても、敵の行動により部隊は急速に戦闘不能に陥る可能性がある。あらゆるレベルの指揮官は、効果のない部隊を、再編成された部隊が将来任務を遂行できるような有効性のレベルにまで回復させるための再編成(reconstitution)の取組みを行う準備をしなければならない。再編成(Reconstitutionは、部隊を任務の要求と利用可能な資源に見合った望ましいレベルの戦闘効果に回復させるために、指揮官が計画し実施する作戦である(ATP 3-94.4)。

6-96. 再編成(reconstitution)は重要な諸兵科連合作戦であり、再編成(reconstitution)に関わる行動は通常の日常的な部隊後方支援行動を超える。再編成(reconstitution)は司令部の決定であり、通常、復興する部隊の部隊階層の2つ上で行われ、既存のシステムと部隊を使用して、すべての戦力機能にまたがって行われる。再編成(reconstitution)だけを行うだけの資源は存在しない。再編成(reconstitution)には、将来の任務成功に見合った必要な結果を得るためには、あらゆる部隊階層の指揮官と参謀の全面的な支援が必要である。化学、生物、放射線、核(CBRN)攻撃後の復旧作業には、さらに大きな課題がある。部隊が装備品を汚染除去できない場合、指揮官は汚染された装備品を使って、あるいは使わずに作戦を継続する場合の任務と人員に対するリスクを評価しなければならない。(再建の詳細については、ATP 3-94.4を参照)。

6-97. 戦闘軍指揮官、ASCC、野戦軍、軍団、または師団の部隊階層の作戦指揮官は、作戦として再編成(reconstitution)を指示する。司令部の指針は、時期、場所、部隊の再建の程度、および再建された部隊が作戦を再開するまでに必要な訓練について述べるべきである。一般に、部隊が劣化し戦闘不能になればなるほど、部隊を戦闘可能な状態に戻すために必要な後方支援の取組みと個人および集成訓練の量は多くなる。(再編成(reconstitution)の補給の詳細についてはFM 4-0を参照。)

武力紛争の間の獲得した成果の集約・強化:CONSOLIDATE GAINS DURING ARMED CONFLICT

6-98. 陸軍部隊(Army forces)は、一時的な利点をより永続的なものにすることで、統合部隊の獲得した戦果を集約・強化する。獲得した戦果を集約・強化は段階的なものではなく、むしろ戦役(campaigns)と作戦の最終的目的を達成するための必須事項である。陸軍部隊(Army forces)は、各部隊階層が時間経過とともに重視する点を変えながら、作戦実施中に継続的に獲得した戦果を集約・強化する。獲得した成果の集約・強化は、まず、敵部隊(enemy forces)が最初に撃破した地域でいかなる形の抵抗も再開できないようにするために、戦術的成功の活用に焦点を当てる。小部隊が目標を集約・強化し、敵の逆襲(counterattacks)に備えることは、獲得した戦果を集約・強化するためのより大きな取組みの最初の部分となり得る。

6-99. 獲得した成果の集約・強化するための目的の統一は、戦域戦略レベルで始まり、リーダーは統合部隊指揮官(JFC)の望む最終状態を達成するために必要な資源を計画し、調整する。リーダーは、望ましい政治的・戦略的最終状態に必要な安全保障条件を、下位の部隊階層と共有で可視化する。望ましい最終状態を達成するためには、一般に、作戦地域内外の統一行動パートナーとの政府全体の取組みが必要である。作戦・戦術レベルでは、陸上構成部隊コマンド(land component command)と軍団は、敵残存部隊、迂回部隊、および敵部隊(enemy forces)が紛争を長引かせるために軍事化しうる能力との接触を維持することによって、師団の戦術的成功を利用する。友軍部隊(friendly forces)は残存する敵部隊(enemy forces)を細部にわたって撃破するため、殺傷能力および非殺傷能力を使用する。指揮官は情報活動を指示し、これらの部隊の抵抗意志と地元住民の支援意志を低下させる。

6-100. 抑留作戦(detainee operation)の実施は、獲得した成果の集約・強化する上で重要な役割を果たす。敗走する敵部隊(enemy forces)を迅速に確保できなければ、敵部隊(enemy forces)は接触を断ち、闘う意志(will to fight)を回復し、残された手段を駆使して抵抗を再編成する機会を得ることになる。したがって、友軍の行動によって分離または混乱した敗走する敵の部隊および個人の捕獲は極めて重要である。戦術部隊が戦闘力を流用して被留置者の処理と確保を行うため、大量の被留置者が作戦部隊に多大な負担をかける可能性がある。さらに、友軍部隊(friendly forces)は、市民の安全や市民管理の欠如を利用する非正規軍や犯罪行為者の抑留を考慮しなければならない。リーダーは、非正規軍や犯罪行為者がもたらす脅威を評価し、これらの集団が友軍部隊(friendly forces)の抑留を正当化するかどうかを判断する。(抑留作戦(detainee operation)の詳細についてはFM 3-63を参照)。

6-101. 陸軍部隊(Army forces)は、獲得した成果の集約・強化は資源を必要とし、統一行動パートナーとの重要な調整を必要とするため、意図的に計画し準備する必要がある。獲得した成果の集約・強化の計画策定には、作戦リスク、利用可能な戦闘力、タスク編成の変更、および望ましい最終状態を達成するために必要な追加アセットの評価が含まれる。アセットには以下が含まれる。

・ 地域警備(area security)タスク提供するための追加的な部隊

・ ホスト国、パートナー国、同盟国の治安部隊

・ インテリジェンス、監視、偵察(ISR)アセット

・ 工兵

・ 憲兵隊

・ 爆発物処理部隊

・ 衛生部隊

・ 兵站部隊

・ 民事部隊

・ 心理作戦部隊

・ 化学、生物、放射線、核(CBRN)部隊

6-102. 獲得した戦果を集約・強化するための作戦は多くの形態をとることができる。これらの作戦は以下を含むことができる。

・ 攻勢作戦。固定または迂回した敵部隊(enemy forces)を完全に撃破するために、攻勢作戦を行う部隊。

・ 地域警備(area security)。部隊は、敵の残党、代理人または反乱軍、およびテロリストを撃破し、人口と緊要地形を管理し、割り当てられた地域内の経路、重要インフラ、人口、および活動を確保するために警備任務を遂行する。

・ 安定化作戦。部隊は、必要最小限の安定化作戦の任務を遂行し、(ホスト国の支援またはホスト国に代わる)必要不可欠な政府サービスの提供、緊急インフラの再建、人道的救済を確保する。これには、軍事的な統治が含まれることもある。

・ 地元や地域の聴衆に影響を与える。指揮官は、特定の聴衆に信頼できるメッセージを伝え、妨害を防ぎ、作戦やホスト国への支援を生み出す。

・ 防勢作戦(Defensive operations)。外部からの脅威に対する安全保障を確立する。指揮官は、友軍部隊(friendly forces)が獲得した軍事的利益を覆す、あるいは破壊しようとする様々なドメインにわたる脅威から物理的混乱を防ぐために、十分な戦闘力が投入されることを確認する。

・ 抑留作戦(detainee operation)。指揮官や参謀は、紛争前、紛争中、そして大規模な戦闘行為が終わった後の抑留作戦(detainee operation)について考えなければならない。抑留作戦(detainee operation)は、作戦上、戦略上、長期的な影響を及ぼす。

6-103. 作戦レベルでいつ、どのように獲得した戦果を集約・強化し、戦術レベルで必要な資源を投入するかを決定するには、作戦中にどこでリスクを受け入れるかを明確に理解する必要がある。獲得した戦果を集約・強化を失敗すると、最初の戦術的成功が踏みにじられ、紛争を長引かせようとする敵に主導権を奪われてしまうため、一般に望ましい最終状態の達成に失敗することになる。警戒は、合法的な統治当局への責任移行と戦闘作戦の成功のために必要である。陸軍部隊(Army forces)は、すべての統一行動パートナーの能力を一体化し、獲得した戦果を集約・強化する際にその雇用を同調させる。

6-104. 獲得した戦果を集約・強化する作戦は、時には戦力の節約になるかもしれないが、統合部隊の作戦の長期的成功には不可欠である。敵部隊(enemy forces)は、有利な政治的解決のための時間を稼ぎ、抵抗を長引かせる条件を整え、紛争の性質を変えて相対的な優位性を得るために、敵部隊(enemy forces)を撃破した後も獲得したものに挑戦し続けるであろう。敵部隊(enemy forces)は情報戦を展開し、文化の違いを利用し、安全保障に挑戦し、資源獲得競争を促し、対立するナラティブを広め、宗教的分裂を支援し、正当な権威に代わるものを作り出すだろう。敵部隊(enemy forces)に抵抗の意志がある限り、友軍の獲得したものを損なおうとし続けるだろう。

6-105. 獲得した成果の集約・強化するには、テンポと敵主力部隊への圧力を維持するための戦闘力に加えて、かなりの戦闘力の投入が必要である。陸軍部隊(Army forces)は、現地住民との密接な交流を伴う作戦に適した敵国軍を、利用可能な場合は信頼する。敵国や同盟国が支援を提供できない場合、陸軍部隊(Army forces)は獲得した成果の集約・強化する責任を負う。大規模戦闘作戦においては、軍団は師団を、師団は旅団戦闘チーム(BCT)を計画し、獲得した成果の集約・強化を目的とした作戦を実施すべきである。

撃破メカニズムの適用:APPLYING DEFEAT MECHANISMS

6-106. 第2章で述べたように、撃破メカニズム(defeat mechanisms)とは、指揮官が敵部隊(enemy forces)をどのように撃破するかを視覚化し、説明するための広範な手段である。撃破メカニズム(defeat mechanisms)には、利用可能な資源と想像力によってのみ制約される、相互作用的で動的な関係がある。撃破メカニズム(defeat mechanisms)が最も有用なのは、師団レベル以上の指揮官が、敵部隊(enemy forces)を撃破するための作戦・戦略的アプローチを開発する場合である。旅団戦闘チームレベル以下の指揮官にとって、撃破メカニズム(defeat mechanisms)の有用性は限定的であろう。撃破メカニズム(defeat mechanisms)は戦術的な任務ではないので、下位の戦術的部隊階層の指揮官は撃破メカニズム(defeat mechanisms)や安定性メカニズムを開発したり、採用したりしない。

6-107. 撃破メカニズムを開発すると、指揮官と参謀は敵部隊(enemy forces)を倒すための戦術的選択肢を詳細に決定することができるようになる。指揮官は撃破メカニズムを戦術に変換し、作戦コンセプトに記述する。指揮官は戦術を利用して、できるだけ多くのドメインから最も有利な方法で敵部隊(enemy forces)に対して友軍の能力を適用する。戦術がどのように各撃破メカニズムを支えているかを理解することは、戦術的判断を向上させる。(戦術の詳細についてはADP 3-90を参照)

破壊:DESTROY

6-108. 破壊と破壊の脅威は、すべての撃破メカニズム(defeat mechanisms)の核心であり、特定の文脈でそれらを説得力のあるものにする。これは最も永続的な効果を持つ撃破メカニズムである。指揮官は、小規模な部隊の破壊を大規模な火力で達成することができる。しかし、破壊は大規模に達成するために最も資源を必要とする結果である。指揮官が破壊を撃破のメカニズムとして使用するのは以下の場合である。

・ 敵部隊(enemy forces)は他の手段に対して脆弱でない。

・ 戦術的状況により、圧倒的な戦闘力の使用を必要とする。

・ 損失のリスクは許容できる。

・ 他の撃破メカニズム(defeat mechanisms)を講じるための条件整備が必要である。

6-109. 破壊の物理的効果は、情報と人間の次元で重要な意味を持つ。敵の能力を破壊することは、敵部隊(enemy forces)が劣勢であり、撃破が差し迫っているというメッセージを送ることになる。死傷者や人命の損失は、敵の士気や闘う意志(will to fight)を高揚させたり低下させたりする負の心理的影響を与える。一般に、大きな死と破壊は敵の士気と意志を低下させる。統合部隊は、控えめで的確な戦闘力の行使により、同様の結果を得ることができる場合がある。しかし、控えめな戦闘力の行使は、決定的な結果を得るための統合部隊の能力を長引かせる可能性がある。インフラの過度な破壊は人道的危機を引き起こし、軍事作戦に対する国内外の支援を損なうような民間人の死傷や苦痛を生み出す可能性があるため、指揮官はそれぞれの作戦状況に応じた判断を下さなければならない。道徳的、法的、現実的な理由から、指揮官は作戦の成功に不必要な死や破壊を避けるための予防策を講じるべきであり、武力紛争法を常に遵守しなければならない。

6-110. 作戦レベルでは、物理的破壊が包括的な撃破メカニズム(defeat mechanisms)として実現可能で、受け入れられることは稀である。作戦レベルの指揮官は、他の撃破メカニズム(defeat mechanisms)を可能にするために、破壊されなければならない敵部隊(enemy forces)の要素を選択する。彼らは、陸軍、統合、統一行動パートナーの能力を同期させ、センサー、長距離火力能力、指揮・統制(C2)ノード、補給基地、重要インフラストラクチャなど、敵の戦闘システムの重要な構成要素を破壊する。

6-111. 戦術レベルでは、下位の部隊階層ほど破壊が作戦の中心となる。軍団と師団は、戦術的成功を可能にするために、敵の編成と重要な能力を破壊する。敵の監視、偵察、指揮・統制(C2)、火力、機動、防護、後方支援の各能力を破壊する。これらの能力を破壊することで、敵の攻撃または防御計画の有効性を制限し、友軍の戦闘力を維持する。旅団の部隊階層以下では、敵部隊(enemy forces)を抵抗不能にするため、兵器システム、戦闘プラットフォーム、および人員に接近し、これを破壊する。

転位:DISLOCATE

6-112. 撃破のメカニズムとしての転位(dislocate)は、敵の位置を無効化し、理想的には無関係にする。転位(dislocation)は奇襲を可能にする。敵部隊(enemy forces)に予想外の反応をさせ、敵の意志決定者に新たなジレンマを与える。転位(dislocation)が十分に大きければ、敵部隊(enemy forces)はリスク評価を再考し、もはや成功の見込みがないため、降伏するか再配置しなければならないと結論づけるかもしれない。より一般的には、転位(dislocation)は敵にその配置を大きく変更させ、かなりの地盤を放棄させることになる。

6-113. 転位(dislocation)が難しいのは、敵のリーダーが友軍の望む陣地の価値を理解し、それを守るために取組みしている可能性が高いからである。従って、敵の配置を無効にするほど有利な位置に部隊を移動させるためには、指揮官はしばしば欺瞞を用い、かなりのリスクを負わなければならない。

6-114. 転位(dislocation)は人的・情報的側面にも及ぶ。物理的な作戦と情報活動の組み合わせは、意志決定者とその部隊の自信を失わせることができる。奇襲を可能にする欺瞞作戦は、敵部隊(enemy forces)に予期せぬジレンマを与え、友軍の行動方針について立てた他の仮定に疑問を抱かせることができる。例えば、地形と天候が側面を守ってくれると信じて防御を準備していた敵部隊(enemy forces)は、攻撃中にそこに友軍部隊(friendly forces)が機動してくると驚くことになる。敵の防御の地理的位置と方向が無効となるだけでなく、部隊の自信も失われる。部隊は、時間と友軍との接触という圧力の中で配置を調整する間、その指導力に疑問を持ち始めるかもしれない。

6-115. 作戦レベルでは、指揮官は友軍部隊(friendly forces)を複数の集結地に配置することで敵を混乱させ、単一の行動方針を明らかにせず、敵部隊(enemy force)の大量効果能力を超える複数の前進軸に沿った作戦を威嚇する。転位(dislocation)だけでは敵部隊(enemy forces)の闘う意志(will to fight)を喪失させることはできないが、撃破メカニズム(defeat mechanisms)を組み合わせるための好条件を作り出すことができる。敵のネットワーク化された防空・統合火力システムを圧倒し、敵の防御力が回復できないようなテンポの良い攻勢作戦を可能にすることができる。

6-116. 戦術レベルでは、垂直・水平方向の包囲と迂回(turning movements)が、転位(dislocation)させることができる一般的な機動の方式(forms of maneuver)である。これらの戦術は迅速な成功をもたらすが、後方地域や側面、作戦範囲、および特定のタイムラインに従って目標を達成するために必要な勢いの維持に大きなリスクを伴うことがある。これらの戦術は、支援能力の限界、またはそれを超えて活動する敵部隊、隣接部隊、または予備軍に対して最もよく成功する。基本的に、友軍は有利な位置を獲得し、支援の敵部隊(enemy forces)が反応するよりも早くそれを利用できると判断する。1950年の北朝鮮軍の撃破は、破壊と転位という撃破メカニズム(defeat mechanisms)の関係を示している。

北朝鮮人民軍の撃破(1950年9月)

1950年8月初旬、北朝鮮人民軍(NKPA)の進攻により、米韓両軍は朝鮮半島南東部に後退し、海に突き落とされる恐れがあった。米軍と韓国軍は、北朝鮮人民軍(NKPA)の進出を阻止するため、洛東江と南江に沿って約140マイルの幅で防御境界線を保持した。

その後数週間、北朝鮮人民軍(NKPA)と友軍部隊(friendly forces)は激しい戦闘を繰り広げ、北朝鮮人民軍(NKPA)は防御線を突破しようと、全周囲で攻撃と反撃が発生した。この時期、北朝鮮人民軍(NKPA)は米軍と韓国軍に対して主導権を握っていたが、9月中旬には友軍部隊(friendly forces)に主導権が移った。

9月15日、国連軍と韓国軍が南部で決定的な交戦をしている間に、米第X軍団はソウルの北、韓国の西海岸にあるインチョンに2個師団の水陸両用上陸作戦を実施した。この作戦レベルの迂回(turning movements)は、コードネーム「クロミット作戦」と呼ばれ、敵陣の150マイル後方で行われ、北朝鮮人民軍(NKPA)を完全に不意打ちした。その後、X軍団はソウル-水原地域を占領し、北朝鮮人民軍(NKPA)の後方連絡線(lines of communications)を遮断した。

この水陸両用上陸作戦と同時に、米第8軍は南方で対峙する北朝鮮人民軍(NKPA)12個師団に対して大規模な反攻作戦を開始した。国連軍の航空戦力の支援を受け、第8軍は敵の前方防御を複数箇所で突破し、北西に前進してX軍団と合流した。

第 X 軍団と第8軍の合同行動により、北朝鮮人民軍(NKPA)の推定8個師団は韓国南西部に孤立した。北朝鮮人民軍(NKPA)は側面から攻撃され、補給や増援を受けることができず、また近接・後方地域からの強い圧力にさらされ、崩壊し始めた。一部の北朝鮮人民軍(NKPA)部隊と個人が退却を開始し、最初の退却はすぐに敗走となった。退却できない北朝鮮人民軍(NKPA)部隊は、友軍部隊(friendly forces)によって破壊されるか、捕獲された。9月末には、韓国における組織的な戦闘力としての北朝鮮人民軍(NKPA)は消滅した。

孤立:ISOLATE

6-117. 敵部隊(enemy force)を孤立させることは、その物理的、情報的、人的支援源から敵部隊を切り離すことである。これは、敵部隊(enemy force)から人員や装備の補給、情報へのアクセス、隣接する部隊や上位部隊階層司令部との理解の共有などを奪うことになる。敵の地上部隊が他のドメインの能力を利用できないようにし、手持ちの資源で陸上ドメインの限られた地域でのみ作戦することを余儀なくさせる。

6-118. 作戦レベルでは、敵主力(enemy main body)から物理的に分離されていない敵部隊(enemy force)を完全に孤立させることは困難である。空、陸、海の後方連絡線(lines of communications)へのアクセスが制限されていても、準備と決意のある敵部隊(enemy force)を長期間維持することは可能である。しかし、作戦レベルのコマンドは、1つまたは複数のドメインにおいて、敵の他の編成から部隊または重要な能力を一時的に分離する能力を使用することができる。これにより、敵の細部を撃破したり、他のドメインでの作戦のための条件を整えたりすることができる。作戦司令部は、敵のリーダーをその編成や他の支援源から物理的・心理的に孤立させる活動を行う。これには、特定の敵の部隊階層の通信ネットワークや宇宙・サイバースペース能力へのアクセスを妨害することや、国家目標に対する現地の支援を低下させる影響力活動を行うことが含まれる。敵部隊(enemy force)が異なる国の要素を含む場合、そのうちの1つまたは複数を物理的または情報的手段で孤立させることが可能である。国家目標や文化的分裂の違いを利用することで、敵の全体的な効果を低下させる。

6-119. 戦術レベルでは、後方連絡線(lines of communications)の物理的遮断、緊要地形の制圧、支援部隊の固定、敵部隊(enemy force)の包囲が孤立の達成を支援する戦術である。電磁攻撃能力は、戦術リーダーが敵部隊(enemy forces)から信頼できる通信を遮断するのに役立ち、心理的孤立を作り出すのに大きな役割を果たすことができる。ある部隊階層で敵の指揮所を破壊すると、その部隊階層の下位編成を次の上位部隊階層から孤立させ、首尾一貫した指揮・統制(C2)に一時的に大きな混乱を引き起こすことができる。

6-120. 孤立はそれ自体では撃破を引き起こさないかもしれないが、敵部隊(enemy forces)の破壊、転位(dislocation)、崩壊に対する脆弱性を高める。また、闘う意志(will to fight)を低下させ、情報に基づかない意志決定の確率を高め、他の撃破メカニズム(defeat mechanisms)の効果を増幅させることもある。

崩壊:DISINTEGRATE

6-121. 崩壊させるとは、全体の結束を攻撃することであり、敵の編成や能力の構成要素が全体の取組みの一部として役割を果たすことを阻止することを含む。崩壊は編成や能力の機能を低下させ、友軍が利用できる脆弱性を作り出す。崩壊は、他の3つの撃破メカニズム(defeat mechanisms)の組み合わせで作られた場合に最も効果的であり、敵部隊(enemy forces)への物理的および認知的な影響を含む。崩壊は通常一時的であり、敵部隊(enemy forces)を適応させる。より永続的な効果を生み出すには、崩壊によってもたらされる機会を利用する準備が整った部隊が必要である。指揮官は、搾取のための十分な戦闘力を確保し、搾取の取組みを崩壊の一時的効果に同期させる。

6-122. 崩壊は作戦レベルの目標を達成するための条件を整える。破壊、孤立、転位(dislocation)はいずれも特定の地理的範囲にあるより大きい敵部隊(enemy force)の比較的限られた部分に焦点を当てるが、崩壊の効果は敵の部隊階層の縦深と広さ全体に影響を及ぼすことができる。効果的な崩壊は、作戦上重要な期間、首尾一貫した組織的抵抗力を崩壊させることができる。

6-123. 敵の編成や能力を崩壊させるために、指揮官は望ましい最終状態を達成するために必要な程度に敵部隊(enemy forces)を混乱させたり、非同期化させたりするだけでよい。この意味で、崩壊は他の撃破メカニズム(defeat mechanisms)にはない経済性の指標を提供する。指揮官は、空間、時間、またはドメイン内の一点に決定的な効果をもたらす必要はない。複数のドメインにわたる目標の組み合わせに適度な影響を与えるだけでも、必要な効果を時間をかけて生み出すことができる。

作戦レベルの崩壊:Operational-Level Disintegration

6-124. 作戦レベルの部隊階層は、敵の大規模な編成とその能力を、個々の構成要素を攻撃することで崩壊させる。作戦レベル指揮・統制(C2)インフラへの攻撃は、敵の全機能に影響を与え、崩壊を引き起こす最も直接的な方法である。致死性の火力、電磁攻撃、共同可能な攻撃的サイバースペース作戦を組み合わせて敵の通信を劣化させ、敵部隊の作戦同期能力を混乱させる。欺瞞は、他の撃破メカニズム(defeat mechanisms)が崩壊に寄与する効果を増大させ、加速させる。

6-125. 陸軍部隊(Army forces)は、統合防空網、長距離火力システム、および指揮・統制(C2)ネットワークの構成要素を解体し、友軍の行動の自由を可能にする。これらのシステムを崩壊させる要求は、強行突入作戦や攻勢作戦の開始で終わるものではない。これらのシステムは復元性があるため、崩壊させるには、戦役の期間(duration of a campaign)を通して、それらを評価する必要がある。

6-126. 接近阻止(A2)および領域拒否(AD)アプローチを可能にする敵のシステムには、センサー、火力プラットフォームへの通信リンク、宇宙ベースのグローバル・ナビゲーション衛星システムおよび電磁スペクトルへの依存を含む脆弱性がある。探知と火力任務の伝達を促進するデータとプロセッサーは、悪用可能な脆弱性である可能性がある。指揮官は統合火力能力を用いて、交換が困難な敵の長距離地対地・地対空システムを破壊することができる。敵の防御部隊階層に侵入した友軍部隊(friendly forces)は、直接攻撃またはオーバーランの脅威により、敵の統合火器システムをさらに崩壊させることができる。敵部隊(enemy forces)が再配置する間、その効果は低下する。

6-127. 陸軍部隊(Army forces)は、主要補給路、移動回廊、橋、鉄道駅、飛行場、フェリー、トンネルなどの交通インフラを妨害する方法で統合能力を収束させ、敵機動部隊を崩壊させることができる。これらの行動は、敵の再配置と友軍の作戦への迅速な反応に影響を与える。指揮官は、特定の編成の中で最も訓練され装備の整った敵部隊(enemy forces)を破壊することに集中することができ、それによってより大きな編成の結束を乱し、士気を低下させることができる。

6-128. 敵の作戦は友軍の作戦と同様に後方支援システムに依存している。補給基地、兵站輸送隊、燃料施設、および後方支援部隊を破壊または破壊することで、それらが維持する敵の編成は意図した目標を達成することができなくなる。敵の後方支援能力に対する限定的な攻撃であっても、敵の作戦を遅らせ、戦闘力を低下させ、早期決着をさせやすくすることができる。

戦術レベルの崩壊:Tactical-Level Disintegration

6-129. 上級戦術的部隊階層は、敵部隊(enemy forces)が作戦に諸兵科連合アプローチを採用できないようにする脆弱性を攻撃することで、敵部隊(enemy forces)を崩壊させる。電磁攻撃による敵の通信の妨害や指揮・統制(C2)ノードに対する物理的な攻撃はその手段である。指揮官は、不確実性を生み出し、敵の決定を遅らせるために、欺瞞を用いる。敵部隊(enemy forces)が友軍の配置や行動方針を正確に把握できないように、偵察や警戒活動を行い、作戦の安全性を維持する。

6-130. 陸軍部隊(Army forces)は、敵軍の主力を回避し、友軍部隊(friendly forces)が長距離火力の固定のターゲットにならずに敵部隊(enemy forces)と決定的に交戦できるような機動の方式(forms of maneuver)を採用する。攻撃可能な側面を求め、または作り出すことにより、敵部隊(enemy forces)に不利な地形や予期しない方向から闘わせ、縦深での戦果拡張の機会を作り出す。突破、包囲、迂回(turning movements)はこのような作戦に適した機動の方式(forms of maneuver)である。敵部隊(enemy forces)は最も有利な友軍の機動の方式(forms of maneuver)を予測できるため、その準備にはそれを否定することに重点を置く。したがって、友軍の作戦を成功させるには、ステルス、スピード、欺瞞、リスク受容の組み合わせで十分な戦闘力を発揮することが必要である。

6-131. 混乱、劣化、無力化、減少、孤立、遅滞、抑制、拒否、固定、迂回、欺瞞は、リーダーが敵戦術的部隊階層を崩壊させるために組み合わせる共通のタスクと効果の一例である。リーダーはこれらのタスクを用いて、敵の作戦の自由を制限し、敵の作戦に摩擦を与え、敵の同調を混乱させる。

6-132. 諸兵科連合アプローチにより、崩壊の機会を利用するために必要な十分な戦闘力と機動力を保持することができる。1973 年のアラブ・イスラエル戦争は、崩壊を達成するための複合戦力アプローチの重要性を示している。

エジプトの防御の崩壊:1973年アラブ・イスラエル戦争

1967年の六日間戦争でイスラエルに空軍を破壊され、地上軍を敗退させられたエジプトは、次の戦争に備え、軍隊の再編成を行った。ソ連の援助により、最新の統合防空システムと対戦車誘導弾システムを獲得し、過去3回の戦争で撃破の大きな要因となったイスラエルの空軍と機甲部隊に対抗した。これらの新戦力は、エジプト軍に強力なイスラエル国防軍の空陸チームを驚かす機会を与え、1973年にはそれを利用することができた。

綿密な計画とリハーサルに基づいた作戦で、エジプト軍はスエズ運河を越えて急速に突撃し、イスラエル防衛部隊の防衛拠点に侵入し、短期間の前進の後、意図的な防御を確立した。航空機と装甲旅団によるイスラエルの反撃は、地対空ミサイルと対戦車誘導弾システムによってそれぞれ大きな損害を受け、撃破した。

この損失は、それまで無敵だったイスラエル空軍と機甲部隊に衝撃を与え、1967年とは全く異なる作戦環境に迅速に復興し、適応する必要があった。イスラエル陸軍は、近代的な長距離対戦車ミサイルを装備した訓練された歩兵に、車載戦車のみのアプローチでは勝てないことを認識していた。近接戦闘には諸兵科連合によるアプローチが有効であるため、歩兵部隊を機甲旅団に迅速にタスク編成したのである。

タスク編成された旅団がエジプト軍の第1梯隊の防御を突破し、重要目標をクリアすると、イスラエル軍は脆弱な発射装置とレーダーを直接火力で破壊することで、統合防空システムを混乱させ、最終的に撃破することができた。このイスラエルの行動により、残りの統合防空システムはエジプトにさらに移動することを余儀なくされた。統合防空システムを効果的に撃破したことで、イスラエル空軍は地上軍を支援するために無制限に機動し、エジプト軍の戦術的な完全撃破に貢献した。

イスラエル国防軍の複合作戦の成功は、その性急で不均衡な初期反撃の失敗とは対照的である。また、イスラエル国防軍の成功は、地上部隊が空のドメインの作戦を可能にし、それが地上軍を可能にした例でもある。最後に、イスラエル国防軍の作戦アプローチは、比較的固定された位置への依存を含む統合防空システムの重大な脆弱性を利用したものであった。統合防空システムの崩壊は、イスラエル国防軍が地上での激しい近接戦を通じて機会を作り出し、それを利用することができるまで起こらなかった。

作戦を可能にする活動:ENABLING OPERATIONS

6-133. 作戦を可能にする活動(Enabling operations)は、ほとんどの作戦に必要な友好的条件を設定する。指揮官は、攻撃・防御・安定化作戦および文民当局への防衛支援任務の遂行を支援するために、作戦を可能にする活動(Enabling operations)を指示する。作戦を可能にする活動(Enabling operations)の実施だけでは、指揮官の最終状態を直接達成することはできないが、任務を完了するためには、作戦を可能にする活動(Enabling operations)が行われなければならない。作戦を可能にする活動(Enabling operations)の例としては

・ 偵察(Reconnaissance)

・ 警備

・ 部隊の移動

・ その場交代(relief in place)

・ 超越交代(passage of lines)

・ 移動対抗性(countermobility)

・ 移動性

偵察:RECONNAISSANCE:

6-134. 偵察(Reconnaissanceは、視覚的観察または他の探知方法によって、敵または敵対者の活動や資源に関する情報を得るため、あるいは特定地域の気象、水路、地理的特性に関するデータを確保するために行われる任務である(JP 2-0)。偵察は全てのドメインで継続的に行われる。偵察は地形の特徴、移動の障害物、敵部隊(enemy forces)の配置、民間人の関連する特徴などを特定する。それは移動性を高め、奇襲を防ぐ。部隊の移動と集結地の占領に先立つ偵察は、友軍部隊(friendly forces)を防護し戦闘力を維持するために極めて重要である。部隊は敵部隊(enemy forces)と有利な条件で接触するために偵察を行う。各部隊階層のリーダーは、デジタルおよびアナログ・システムの報告と迅速な更新の重要性を強調する。(偵察の詳細については、ADP 3-90を参照)。

6-135. 成功する偵察活動の基本は7つある。それらは

・ 偵察を継続的に行うこと。

・ 偵察を予備的に行わないこと。

・ 偵察目標に沿って配備すること。

・ 必要な情報は迅速かつ正確に報告すること。

・ 作戦の自由を保持すること。

・ 敵との接触を維持すること。

・ 状況を迅速に把握すること。

6-136. 偵察活動には5つのタイプがある。それらは…

・ 区域偵察

・ 地域偵察

・ 経路偵察

・ 強行偵察

・ 特殊偵察

6-137. 区域偵察(Zone reconnaissanceは偵察作戦の一種で、境界線によって定義された地帯内のすべての経路、障害物、地形、および敵部隊(enemy forces)に関する詳細な情報を得るための指示された取組みを伴う(ADP 3-90)。指揮官は、他の部隊を投入する前に、その地帯に関する追加情報を必要とする場合に、地帯偵察を割り当てる。

6-138. 地域偵察(Area reconnaissanceは偵察作戦の一種で、所定の地域内の地形や敵の活動に関する詳細な情報を得ることに重点を置く(ADP 3-90)。この地域は、町、尾根、森林、飛行場、橋、施設、または障害物などの重要な作戦上の特徴のような単一の場所で構成されることがある。(地域偵察の詳細についてはADP 3-90を参照。)

6-139. 経路偵察(Route reconnaissanceは、指定された経路と、その経路に沿った移動に敵が影響を与える可能性のあるすべての地形の詳細な情報を得るための偵察作戦の一種である(ADP 3-90)。経路は道路、高速道路、小道、移動回廊、進入路、または進撃軸であることがある。偵察活動は、障害物や橋の分類などの経路の状況、経路沿いの敵、敵対者、民間人の活動に関する新規または更新された情報を提供する。(経路偵察、経路の分類、経路沿いの特徴の分類の詳細については、ATP 3-34.81を参照)

6-140. 強行偵察(reconnaissance in forceとは、敵の戦力、配置、反応を発見または試し、その他の情報を得るために行われる偵察活動の一種である(ADP 3-90)。通常、大隊規模の任務部隊またはそれ以上の組織が強行偵察を行う。指揮官は、敵部隊(enemy force)がある地域内で活動しており、他の手段では敵部隊(enemy force)に関する十分な情報を得られない場合にこの作戦を行う。

6-141. 特殊偵察(Special reconnaissanceは、敵対的、拒否的、または外交的・政治的に敏感な環境において、戦略的・作戦的に重要な情報を収集または検証するために、通常軍にはない軍事能力を用いて特別な作戦として行われる偵察・監視行動である(JP 3-05)。特殊偵察は指揮官に追加能力を提供し、他の通常偵察・監視行動を補完するものである。

6-142. 偵察の実施中に、指揮官は作戦地域(AO)の特定の側面に関する情報を必要とすることがある。この情報を得るために、指揮官は特定の重点任務を指示することができる。この焦点となるタスクは、通常、その任務のために独自に訓練され装備された組織の使用を必要とする。焦点となるタスクには、電磁偵察、工兵偵察、化学、生物、放射線、核(CBRN)偵察、民間偵察などがある。

6-143. 電磁偵察(Electromagnetic reconnaissanceは、外来電磁(エネルギー)の探知、位置確認、識別、評価である(JP 3-85)。電磁偵察は、割り当てられた電磁戦の人員と能力を使って、旅団やそれ以上の部隊階層での情報収集を支援する。電磁偵察で得た情報は、指揮官の状況理解に役立ち、通信インテリジェンス活動(signals intelligence activities)を支援することができる。電磁偵察は、電磁防護の修正につながることもあれば、敵の能力に対する電磁攻撃につながることもある。(電磁偵察の詳細についてはFM 3-12を参照)。

6-144. 工兵偵察は、インフラ、地形、または脅威に関する情報を入手する。これには、障害物、隙間横断地点、飛行場、橋、トンネル、道路、小道などのデータが含まれることがある。工兵部隊は指定された偵察チームを持っていない。工兵偵察は、他の工兵任務を支援するアセットを使用し、任務要求に基づいて指示され、タスク編成される。(工兵偵察の詳細については、ATP 3-34.81を参照。)

6-145. 化学、生物、放射線、核(CBRN)偵察には、指定された地域における化学、生物学、放射性物質または核の脅威および危険の疑いまたは確認に関する情報を入手する任務が含まれる。化学、生物、放射線、核(CBRN)偵察は、敵の化学、生物、放射線、核(CBRN)製造または使用の指標、および損傷または破壊された場合に兵器化されるか危険性を生じる可能性のある民間または工業施設に関連する指標を特定する(化学、生物、放射線、核(CBRN)偵察の詳細については、「化学、生物、放射線、核(CBRN)偵察」を参照のこと)。(化学、生物、放射線、核(CBRN)偵察の詳細については、ATP 3-11.37を参照。)

6-146. 民間偵察(Civil reconnaissanceは、地域、構造物、能力、組織、人、出来事など、環境の特定の民間的側面について、ターゲットを定め、計画し、調整した観測と評価である(JP 3 57)。民間偵察は、民間情報の検証や反論、作戦環境評価の支援、民間部門の変化の検出と監視を行う。これは能動的、受動的センサー、仮想センサー、その他の手段を用いた日常的な交戦とパターン化された市民観察を通じて、長期的に実施される。(民間偵察の詳細については、FM 3-57を参照)。

警戒活動:SECURITY OPERATIONS:

6-147. 部隊は本隊の前方、側方、後方に警戒タスクを遂行することができ、割り当てられた地域に関連する全てのドメインで敵の脅威を認識しなければならない。警戒タスクと偵察タスクの主な違いは、警戒タスクは確保される部隊、地域、または施設を対象とし、偵察タスクは敵部隊(enemy forces)と地形を対象とすることである。警戒タスクは支援の取組みである。警戒活動の究極の到達目標は、本体部隊を奇襲から守り、敵の行動の自由を奪って友軍部隊(friendly forces)に集中させないことである。防護される部隊は、必ずしも軍事部隊とは限らない。部隊の配属地域の民間人、民間機関、民間インフラストラクチャである場合もある。

6-148. 警戒活動を行う際には、いくつかの一般的な考慮事項がある。これらは全ての警戒タスクに適用されるが、最も適用されるのは遮蔽、警備、および掩護の各タスクである。遮蔽、警備、掩護の各タスクは、警備地域を定める境界線を始めとして、多くの共通の管理手段を有している。本体部隊は警備地域を設定する。本体の前方で活動する警戒部隊(security force)の場合、警備地域の横の境界線は通常、本体の横の境界線の延長線上にある。警戒部隊(security force)の後方境界は、通常、戦闘引渡し線である。(警戒活動のための一般的な警戒統制措置に関する追加情報については、ADP 3-90を参照)。

6-149. 警戒活動Security operationsとは、敵の活動を早期かつ正確に警告し、防護されている部隊に敵に対応するための時間と行動空間を提供し、指揮官が防護されている部隊を有効に使えるように状況を発展させるために指揮官が行う活動のことである(ADP 3-90)。警戒活動の4つの種類は、地域警備(area security)、掩護、警備、遮蔽である。

6-150. 地域警備(Area securityは、特定の地域内の友軍部隊(friendly forces)、後方連絡線(lines of communications)、活動を防護するために行われる警戒活動の一種である(ADP 3-90)。警戒部隊(security force)は、部隊の割り当てられた地域とともに、民間人、民間機関、民間インフラを防護することができる。

6-151. 掩護(Coverとは、本隊から独立して行われる警備活動の一種で、敵の地上からの本隊に対する監視と直接火力を防ぎつつ、時間を稼ぐために闘うことによって本隊を守ることである(ADP 3-90)。援護をタスクとする部隊は、攻勢的に行うことも守勢的に行うこともできる。

6-152. 警備(Guardとは、敵の地上からの監視と本体への直接火力を防ぎつつ、時間を稼ぐために戦って本体を守るために行われる警備活動の一種(ADP 3-90)である。警護を行う部隊は単独で行動することはできない。本隊の火災や機能的・多機能的な支援アセットに依存する。警護をタスクとする部隊は、攻撃的にも防御的にも行うことができる。

6-153. 遮蔽(Screenは、主に被防護部隊に早期警戒を提供する警備活動の一種である(ADP 3-90)。遮蔽は、警備員や掩護よりも防護力が弱い。遮蔽の任務は防御的なものであり、一連の観測所と哨戒を設置し、割り当てられた地域の観測を確保することによって達成される。屏風隊は、作戦命令に従って敵との接触を獲得・維持し、対偵察を行って敵偵察部隊を撃破・撃退する。

6-154. 遮蔽、警備、掩護の各警戒活動は、戦闘力のレベルを上げ、本隊の警戒レベルを上げる。地域警備(area security)は、予備役の移動、火力支援手段の配置、指揮・統制(C2)システムの防護、および後方支援作戦の実施の自由を維持する。指揮官は警備のために使用する戦闘力を、本隊および支援部隊の要求と均衡させる。

6-155. すべての機動部隊は警戒活動を実施することができる。すべての陸軍旅団戦闘チーム(BCT)は、その任務必須タスク・リストの一部として警戒活動を行い、機動強化旅団は、適切にタスク編成された場合、割り当てられた作戦地域全体で遮蔽と地域警備(area security)を行い、戦域陸軍、軍団、および師団を支援する。師団や軍団の複数の部隊階層にまたがる警戒活動では、付属部隊との習慣的な支援関係と確立された標準作戦手順により、取組みの統一と効率化が促進される。

6-156. どのようなドメインにおいても、警戒活動の成功は、5つの基本を適切に適用することに依存する。これらの基本は次のとおりである。

・ 早期かつ正確な警告を行う。

・ 反応時間及び行動空間を提供する。

・ 防護される部隊、地域、施設に照準を合わせる。

・ 継続的な偵察を行う。

・ 敵との接触を維持する。

(警戒活動の実施に関する追加情報については、ADP 3-90を参照)。

部隊移動:TROOP MOVEMENT:

6-157. 部隊移動(Troop movementとは、兵士と部隊をある場所から別の場所へ、利用可能なあらゆる手段で移動させることである(ADP 3-90)。部隊は、様々な方法、例えば、降車した徒歩での行進、戦術車両を用いた乗車行進、あるいは、様々な組み合わせの航空、鉄道、水上手段などを用いて部隊の移動を行う。採用される方法は、状況、移動部隊の規模および構成、部隊が移動しなければならない距離、実行の緊急性、および部隊の状態によって異なる。また、さまざまな輸送手段の利用可能性、適合性、および能力容量によっても異なる。長距離の部隊移動には、広範な後方支援の考慮が必要である。

その場交代:RELIEF IN PLACE:

6-158. その場交代(relief in placeとは、上位機関の指示により、ある地域において部隊の全部または一部を受入部隊と交代させ、交代した部隊の任務と与えられた作戦地域に対する責任を受入部隊に移譲する作戦である(JP 3-07.3)。部隊には、順次、同時、または時間をずらして交代を行う 3 つの方法がある。順次交代は、被解放部隊の各要素を、右から左、左から右、前から後ろ、後ろから前へと順次交代するものである。同時交代は、すべての部隊が同時に交代される場合に発生する。時差交代は、各要素が地理的な方向ではなく、戦術的な状況によって決定される順序で交代される場合に行われる。同時交代は実行時間が最も短いが、敵部隊(enemy forces)に発見されやすい。順次交代または時差交代は、かなりの時間をかけて行われることがある。これら3つの交代方法は、部隊が参加している作戦テーマに関係なく発生することができる。(その場交代の詳細については、ADP 3-90を参照)。

超越交代:PASSAGE OF LINES

6-159. 超越交代(passage of linesとは、敵との接触または離脱を意図して、部隊が他部隊の戦闘陣地を前方または後方に移動する作戦である(JP 3-18)。前方超越交代と後方超越交代の2種類がある。前方超越交代(forward passage of linesは、部隊が敵に向かって移動している間に他の部隊の陣地を通過するときに起こる(ADP 3-90)。後方超越交代(rearward passage of linesは、部隊が敵から遠ざかる間に他の部隊の陣地を通過するときに発生する(ADP 3-90)。

6-160. 部隊は攻撃を継続するため、または他部隊の陣地を進退する反撃、逆行、および警備の任務を遂行するために超越交代を行う。超越交代は近接戦を伴う可能性がある。これは 2 つの部隊間で 作戦地域(AO)の責任を移譲することを含む。その権限の移譲は通常、通過する部隊のおよそ3分の2が1つ以上の通過地点を移動したときに行われる。超越交代を指示する司令部は、超越交代の開始と終了の時刻を決定する 責任がある。もし、より高い権限の指示がなければ、固定部隊の指揮官と通過する部隊の指揮官は、相互の合意により、ある地域の責任を引き継ぐ時期を決定する。両者はこの情報を両組織の最下層に伝達する。

6-161. Units have several reasons for conducting a passage of lines. These reasons include to—

6-161. 部隊には、超越交代を実施するいくつかの理由がある。これらの理由は以下の通り。

・ 攻撃のテンポを維持し、集束を回避する。

・ ある部隊から別の部隊に責任を移行させることにより、防御の実行可能性を維持する。

・ ある部隊による遅延または警戒タスクの遂行を、防御側の部隊に移行させる。

・ 他の任務やタスクのために部隊を解放する。

(超越交代の詳細については、ADP 3-90を参照してください)。

移動対抗性活動:OUNTERMOBILITY OPERATIONS

6-162. 移動対抗性(countermobilityとは、敵の移動と機動の自由を妨げるために、自然および人工の障害物を利用し、またはその効果を高める一連の諸兵科連合の活動である(ATP 3-90.8)。移動対抗性(countermobility)の主な目的は、敵の運動と作戦を形成し、敵が有利な立場を得るのを阻止することである。移動対抗性(countermobility)は、軍事作戦の範囲内で活動する部隊を支援するために実施される。移動対抗性(countermobility)は、攻勢作戦および防勢作戦を直接支援する。

6-163. 攻勢作戦の支援として、移動対抗性(countermobility)活動は目標を孤立させ、敵部隊(enemy forces)の再配置、増援、反撃を阻止する。作戦が敵の防御の縦深まで進行すると側面の防御を可能にし、または一体化された戦力として一般的な側面の安全を提供する。防勢作戦の支援では、敵の攻撃隊形を混乱させ、友軍部隊(friendly forces)が敵を詳細に撃破するのを支援し、攻撃してくる敵部隊(enemy forces)を交戦地域又は防御縦深全体にわたるに誘導し、友軍反撃部隊の側方を防護するための移動対抗性(countermobility)活動がある。

6-164. 移動対抗性(countermobility)活動の実施には通常、工兵が必要であり、機動計画との適切な一体化、障害物設置権限の遵守、積極的な障害物制御が含まれる。諸兵科連合の障害物の一体化は、移動対抗性(countermobility)を作戦コンセプトに同期させる。ほとんどの障害物は友軍部隊(friendly forces)と敵部隊(enemy forces)双方の軍隊の移動と機動の自由を妨げる可能性があるため、指揮官はリスクを検討し、異なるタイプの障害物を採用することのトレードオフを評価することが重要である。移動対抗性(countermobility)活動には以下が含まれる。

・ 障害物を設置する。

・ 障害物の建設、設置または爆発。

・ 障害物のマーキング、報告、および記録。

・ 障害物の一体化を維持すること。

(移動対抗性(countermobility)の詳細については、ATP 3-90.8を参照)。

移動性作戦:MOBILITY OPERATIONS

6-165. 作戦地域内での移動と機動の自由は、戦闘力を発揮するために不可欠である。ほとんどの作戦環境と敵部隊(enemy forces)は、移動と機動に多くの難題をもたらす。リーダーは、諸兵科連合の移動性を一体化することにより、これらの課題を克服する。

6-166. 移動性タスク(Mobility tasksとは、障害物の影響を緩和し、移動と機動の自由を可能にする諸兵科連合の活動である(ATP 3-90.4)。6つの主要な移動性タスクがある。

・ 啓開(breach)の遂行

・ 掃討(地域、経路)の遂行

・ 隙地横断(gap crossing)の遂行

・ 戦闘用道路及び戦闘用航跡の建設及び維持

・ 前方飛行場及び着陸帯の建設及び維持

・ 交通管理と交通取締りの遂行

6-167. 移動性タスクは、友軍部隊(friendly forces)が戦場で自由に移動し、機動することを可能にする。移動性タスクの効果的な遂行は、情報収集とインテリジェンスにかかっている。機動支援のための啓開(breach)と隙地横断(gap crossing)は、主に戦闘工兵部隊を用いて、しばしば近接戦闘中に行われる。

6-168. 隙地横断(gap crossing)、掃討、戦闘道路や小道、前方飛行場、着陸帯の建設は主に移動を支援するもので、戦闘部隊と一般工兵部隊を必要とする。移動を支援する移動性タスクは、常に火力の脅威が存在するものの、通常は火力下で行われることはない。

6-169. 啓開(breachとは、障害物を通過して機動するために行われる、機動指揮官の指揮下にある同期化された諸兵科連合の活動である(ATP 3-90.4)。障害物啓開(obstacle breach)の成功は、機動部隊の統制の下、同期されリハーサルされた諸兵科連合の活動である。啓開(breach)は障害物を突破するために行われる任務である。啓開(breach)は直接・間接火力で覆われた敵の補強障害物への侵入を容易にする。

6-170. 掃討(Clearingとは、通常後続の工兵が行う障害物の完全な除去または無効化を伴う移動性タスクであり、火力下で行われることはない(ATP 3-90.4)。一般的には、障害物を破壊、変更、除去することで達成される。

6-171. 隙地(gapとは、渓谷、峠、川、またはその他の地形的特徴で、橋をかけることができる障害物のことである(ATP 3-90.4)。隙地(gap)は作戦環境に存在し、移動と機動に大きな困難をもたらす。隙地横断(gap crossing)とは、直線的な障害物(湿地の隙地(wet gap)または乾燥した隙地(dry gap)を横断して戦闘力を投射することである。