米海兵隊の「遠征前進基地作戦に関する暫定マニュアル」 第2章

第1章に引き続き、第2章を紹介する。第2章は「遠征前進基地作戦(EABO)の文脈、基盤、一般的な特性を紹介した本章を踏まえ、遠征前進基地作戦(EABO)が国家戦略や競争の連続体(competition continuum)の中でどのように位置づけられるか」について記述されている。(軍治)

第2章 作戦上の思考態度:CHAPTER 2 Operational Mindset

2.1 全般:GENERAL

2.2 国力の手段の関係:RELATIONSHIP TO INSTRUMENTS OF NATIONAL POWER

2.2.1 外交的手段:Diplomatic

2.2.2 情報的手段:Informational

2.2.3 軍事的手段:Military

2.2.4 経済的手段:Economic

2.3 競争の連続体:COMPETITION CONTINUUM

2.4 遠征前進基地作戦の人間的要素:HUMAN ELEMENT OF EXPEDITIONARY ADVANCED BASE OPERATIONS

第2章 挿話:Vignette

第2章 作戦上の思考態度:CHAPTER 2 Operational Mindset

2.1 全般:GENERAL

海兵隊は、侵略を抑止し、武力紛争が発生する前に戦域の条件を整え、統合戦役(joint campaign)の間に海上で闘うための態勢を迅速に整えるために、競争の連続体(competition continuum)を通じて遠征前進基地作戦(EABO)を実行する。抑止力は、同盟国やパートナーを安心させるだけでなく、コンタクト層での存在と能力をあからさまにしないまでも、選択的に明らかにする必要がある。

有利な戦力配置を活用することで、敵部隊を不当に引き付けたり、注意をそらしたり、ジレンマを生じさせたりすることができ、これにより艦隊の戦力は紛争環境におけるリスクを軽減し、他の場所で機会をつかむことができる。遠征前進基地作戦(EABO)の移動性と分散性の本質は、競争者に困難な選択を迫るものであり、より迅速に適応し再生することができる戦力を提供するものである。

遠征前進基地作戦(EABO)を実施する沿岸部隊(littoral force)は、人員や兵器の数、内線への近接性などで不利な作戦環境に置かれる可能性が高い。このような環境下で成功するためには、指揮官は、任務に対するリスクと戦力に対するリスクのバランスを鋭敏にし、大規模な戦役(larger campaign)の一環として艦隊が可能な場合には、決定的な交戦を求めるという警戒の思考態度(alert mindset)を推進しなければならない。

コンセプト上では、海軍の遠征部隊は沿岸部の陸上で作戦し、艦隊の海域(seaward)、空域(airspace)、サイバースペース、電磁スペクトラムで作戦する能力と組み合わせることで、海軍指揮官は海上ドメインにおける沿岸部の5次元すべてで作戦する能力を得ることができる[1]

この5つの次元には、海域(seaward)(海面と海面下)、陸域(landward)(地表と地下)、上空、サイバースペース、電磁スペクトラムが含まれる。これらの有機的な能力に加えて、宇宙ベースの能力へのアクセスがあれば、海軍はすべてのドメインの作戦で優位に立ち、それを復元する能力を持つことになる。

2.2 国力の手段の関係:RELATIONSHIP TO INSTRUMENTS OF NATIONAL POWER

大国間競争(great-power competition)の復活は、外交(diplomatic)、情報(informational)、軍事(military)、経済(economic(DIME)という国力のすべての手段を調整することの重要性を前面に打ち出している[2]

これらの手段(instruments)は相互支援的でなければならず、政府全体で利用可能なすべての能力を活用し、すべてのドメインで効果の創出に寄与するものでなければならない。急速な技術進歩が続き、実戦配備された兵器システムの射程と精度が向上しているため、米国の通常兵力の優位性が脅かされ、米軍はグローバルな戦力投射をいかに支援するかを継続的に見直さなければならなくなった。

図2-1に示すように、軍事力の行使は、国力のすべての要素、および競争の連続体(competition continuumを通じて、その用途と意味を持つ[3]。海軍軍種は、持続的な戦力投射のための卓越した米軍部隊であり続け、遠征前進基地作戦(EABO)を実施する沿岸部隊(littoral force)は、海軍戦役(naval campaign)にとって重要な実現手段である。

遠征前進基地作戦(EABO)を成功させるための条件設定は、DIMEのすべての側面の効果的な使用に依存する。遠征前進基地作戦(EABO)は、米国の競争戦略目標を達成し、統合部隊(joint force)を支援し、競争の連続体(competition continuum)全体において作戦、活動、投資に影響を与えるために、これらの同じ手段を支援することができる。

現在の環境では、あらゆる行動が紛争の範囲を超えて、複数の国力の手段に影響を及ぼす可能性がある。作戦の計画策定はこうした影響を考慮しなければならず、機関や国家間の調整は一貫して継続的でなければならない。

2.2.1 外交的手段:Diplomatic

外交は外国政府と関わるための主要な手段であり、海外で米国の目標を達成し、連合と同盟を組織し、軍事作戦への支持を集めることを狙いとしている。世界中で軍事活動と外交活動を連携させることは、各戦闘軍指揮官(combatant commanders)と大使の共通の責任であり、軍事行動と外交行動の緊密な連携は、競争の連続体(competition continuum)におけるあらゆるレベルの戦略的狙い(strategic aims)の達成を促進することができる。

外交取組みは、基地化の権利や準備の権利、地位協定(SOFA)、情報共有の強化、その他ホスト国の支援協定などのメカニズムを通じて、将来の遠征前進基地作戦(EABO)を促進することができる。これらの協力的な行動は、同盟国やパートナーを安心させ、力を誇示し、ホスト国の遠征前進基地作戦(EABO)能力を開発し、議論や交渉を可能にする信頼できる抑止の選択肢を提供できる前方に配置された米軍部隊(US forces)を外交取組みに提供することによって、武力紛争以下の競争を促進することも可能である。

図 2-1. 競争の連続体(competition continuum)全体における DIME を可能にするための海軍力の適用

2.2.2 情報的手段:Informational

歴史は、戦略的到達目標を追求するための運動的軍事行動よりも、ナラティブの戦い(battle of narratives)の結果の方が、はるかに紛争勝利の条件を設定できることを実証している。情報環境(IE)は、効果を生み出し、相手の意図を理解し、軍事行動や戦力態勢を形成するために用いられる貴重なメディアである。

統合作戦(Joint operations」JP 3-0では、情報力とその行動と行為を修正する能力について述べている。情報環境(IE)の競争は、意図を伝え、関係を築き、パートナーシップを促進し、敵対者の取組みを弱める手段を提供すると同時に、紛争からの、または紛争中の出口(off-ramps)を提供する。

情報環境における作戦(OIE)を活用することで、沿岸部隊(littoral forces)の指揮官は戦略的メッセージの実現者としての役割を果たし、戦術的・作戦的機会を支援する機会を利用することができるだろう。遠征前進基地作戦(EABO)の情報環境下での作戦については、第5章でさらに詳しく述べる。

2.2.3 軍事的手段:Military

国力の軍事的手段は、米国の国家安全保障の到達目標を支援するために用いられる場合、基本的に本質的な強制性を持っている。統合部隊(joint force)の中で、海軍軍種は、競争の連続体(competition continuum)全体における力の投射の鍵を握っている。

遠征前進基地作戦(EABO)固有のグローバルからリージョナルな移動性と永続的なプレゼンスにより、友軍、パートナー、競争者、その他の行為主体に隣接する国際水域で、統合部隊のアクセスと態勢を整えることができる。沿岸部隊(littoral forces)がもたらす効果は、紛争のすべてのドメインにおける競争に関連している。これらの効果は、争われた地域(contested area)におけるプレゼンスを高めることによって米国の戦略的立場を向上させ、あるいは特定の地域における戦力規模を縮小させることによって、友好国と敵対者の両方の論理に影響を与えるものである。

武力紛争のための作戦の計画策定は、敵対者との協力または競争を通じて戦略的到達目標を達成するための行動方針(courses of action)を策定する際、常に他の権力手段と組み合わせて検討されなければならない。海軍の戦力は拡張性があり、迅速に自己展開でき、パートナーと協力し、同盟国や競争者に決意を示し、敵対者に作戦上のジレンマを生じさせることが可能である。

2.2.4 経済的手段:Economic

海軍軍種は、米国が経済力という手段を用いるのと連動して、遠征前進基地作戦(EABO)を実施することができる。パートナーと協力する場合、後方支援に現地の請負業者を利用することで、地域における米国の地位を向上させ、米軍部隊(US forces)を横取りしようとする競争者の動きに対抗することができる。

経済的インセンティブは、長期的な安全保障協力を促進し、十分な港湾、埠頭、基地のような二重使用施設の利用可能性を確保することができる。効果的に計画されれば、外国のインフラへのこれらの投資は、米国の影響力を高め、将来の作戦のための条件を整える可能性がある。

2.3 競争の連続体:COMPETITION CONTINUUM

競争は国際関係の基本的な側面である。国家と非国家主体が自らの利益を防護し促進しようとするとき、彼らは絶えず優位性を求めて競争する。国家は通常、自国の利益を増進するために国力のあらゆる手段を用いる。

彼らはこれらを活用して競争上の優位性を築き、他の政治主体の到達目標と対立する場合でも、自分たちの到達目標を追求するのに役立てる。このような「優位性」は、ある行為主体がライバルや競争者よりも優れた何かを行える場合に、競争者に対する相対的なものである。

「総力戦(Total war)と完全平和は、実際にはほとんど存在しない。むしろ、ほとんどの政治集団の関係は、その両極端の間に存在するものである。この範囲には、日常的な経済競争、多かれ少なかれ永続的な政治的・イデオロギー的緊張、そして時折発生する集団間の危機が含まれる。」

—「用兵(Warfighting)」, MCDP 1

米国国防総省(DOD)は、戦略的競争を再認識している。「競争の連続体(Competition continuum」、統合ドクトリン・ノート1-19は、世界が平和か戦争かのいずれかではなく、「協力、武力紛争以下の競争、武力紛争の混合によって行われる永続的な競争の世界」が存在すると仮定している[4]

これは「一体化された戦役遂行(integrated campaigning)」という考え方を支持するもので、「協力、武力紛争以下の競争、そして適切な場合には武力紛争を外交、情報、軍事、経済の取組みと巧みに組み合わせ、戦略目標を達成し維持する」ことを長期にわたって要求するものである。これらの力の要素の一体化は、連続体を通して行われる。

競争では、軍事力は国力の他の要素と協力して、誘引または強制のいずれかに使用される。誘引(Attractionは、他の政治的行為主体に有利な行動を取らせるために、インセンティブを利用する。同盟国やパートナーとの軍事協力は、誘引のアプローチの1つである。強制(Coercionは、ライバルに有利な行動を取らせる(あるいは不利な行動を取らせない)、あるいはそもそもライバルが行動を起こすのを強要しようとするものである。

強要(compellence)の場合も抑止力の場合も、軍事力の脅威(threat of military forceを利用して望ましい結果を得ることが到達目標である。競争優位は必ずしも軍事的優位と一致しないことに注意。競争者の意志の強さ、および非軍事的な政策手段も方程式の一部である[5]

競争は暴力の閾値の両側で行われる。暴力の脅威と暴力行為そのものが、国際関係における競争の手段である。下図2-2の2つのモデルは、競争の連続体(competition continuum)と暴力の閾値との関係についての2つの見方を示している。

左の線形モデルは、競争に対するさまざまなアプローチが、それらの到達目標を達成するために暴力の脅威をどのように利用するかを示している。右側の円形モデルは、交渉と抑止力によって、暴力の閾値以下の競争がどのようにリセットされるかを示している。また、紛争が、その後に続くタイプの競争のための条件を設定することも示している[6]

図2-2. 競争の連続体(competition continuum)に関する2つの見方

協力(cooperation)の面では、アクセス権の獲得・維持、同盟国・パートナーの能力開発・強化、悪意ある行動への対処、地域の侵略抑止の手段として、紛争前の競争時に同じ考えを持つ国との協力的取組み(cooperative effort)として遠征前進基地作戦(EABO)内の活動を実施する。

遠征前進基地作戦(EABO)の最も一般的な用途は、国際規範の侵害に対する外交、情報、軍事、経済的な対応に情報を与え、支援するための地域監視に貢献することである。

また、協力活動には、潜在的な作戦地域への精通を深めること、共通の機器・資材の解決策の開発・配備における協力、インフラの改善、集団戦能力を強化し抑止力を促進する演習の実施などが含まれる。

紛争が発生した場合、海軍は遠征前進基地作戦(EABO)を実施し、相手国の主権を増強・強化・支援し、海上の緊要地形(key maritime terrain)を統制し、既成事実化を図り[7]、敵の行動の自由を奪い、コストをかけ、作戦環境を整えて、一体化した海上統制(sea control)と海上権力投射作戦を支援する。

後者の場合、遠征前進基地作戦(EABO)を実施している部隊は、主要な艦隊の部隊による決定的な海上機動に相対するリスクを受け入れ、艦隊全体の作戦コンセプト(concept of operations)を支援するために、兵器交戦ゾーン(WEZ)内で重要なタスクを遂行する。上記の循環モデルで分かるように、紛争の結果は、暴力閾値以下の競争に戻るための条件を設定する。

2.4 遠征前進基地作戦の人間的要素:HUMAN ELEMENT OF EXPEDITIONARY ADVANCED BASE OPERATIONS

このような環境は、物理的にも作戦的にも、沿岸部隊(littoral force)の隊員が複雑な課題を解決しながら厳しい環境下で活躍するために、精神的に復元性があり機敏であることが要求される。作戦上、部隊は拒否されたり、劣化した指揮・統制(C2)環境の中に分散される可能性がある。

さらに、敵対者は部隊を迂回することを選ぶかもしれないので、危険な瞬間に機会の窓を提供することになる。海兵隊員や船員は、争われた地域(contested area)における独自の作戦に内在するリスクを認識しながら、機会をとらえ、決定的な行動をとる準備をしなければならない。

この文章は小規模な戦争について書かれたものだが、遠征前進基地作戦(EABO)にも同様に適用できる。関係する部隊は、民間人が生計を立て、かなりの商業活動が行われている沿岸地域に広く分散されることになる。あらゆる部隊階層の指揮官は、上位指揮官の意図に沿った主導性を発揮すると同時に、他の米国政府機関や非政府組織、ホスト国部隊、地元住民と協力することが求められる。

用兵精神(Warfighting Spirit。海兵隊員と船員の特徴は、その闘いの精神(fighting spirit)と、変化する状況や情勢に素早く適応する能力である。このような資質が、国防を支援するために、世界中のあらゆる時代と場所で成功を収めてきた。遠征前進基地作戦(EABO)の任務は幅広く、かつ奥が深いため、各隊員は部隊の記憶を総動員することが必要である。

紛争のスペクトラムにまたがる広範な歴史的類似性は、今日の沿岸部隊(littoral forces)の育成に直接的に適用できる。厳しい訓練から生まれる個性、精神的な強靭さ、戦術的な能力といったユニークな資質は、発展途上の沿岸部隊(littoral forces)において、引き続き重要であろう。

「戦争において心理学は常に重要な役割を担ってきた。この知識は、古代の大衆戦争において重要であった。広く分散した部隊と、小さなグループ、あるいは個人による多くの局所的な作戦が複雑に絡み合う現代の戦場では、より重要な意味を持つようになる。かつては、敵部隊の集団も自軍と同様に、その指導者の姿が見え、その直属の統制下にあった。今、軍隊は戦闘中に分散し、容易に見ることができない。そして、上官の直接的な統制を受けずに行動する個人の心理を理解しなければならない。」

-米国海兵隊『小規模戦争マニュアル』1990年12月号

指揮官の主導性(Commander’s Initiative。沿岸部隊(littoral forces)の指揮官の役割は、あらゆるレベルにおいて、大胆な行動によって機会を開拓することである。人間の本性として、指揮官は自己防衛力を高めつつ任務達成を確実にするために、より大きな編成を採用する傾向があるかもしれない。しかし、より小さく、より多く、より分散した編成の長所は、広範なセンサーと長距離精密兵器を持つ敵対者に対して、固有の部隊防護(force protection)を提供する。

このような特性を生かし、指揮官は、従来のような兵力の集中による大量投入に頼ることなく、よく配置され、統制のとれた部隊を沿岸全域に配置して効果を上げることができる。これは、潜在的敵対者に信頼できる脅威となる。

思考態度(Mindset。最下層に位置する部隊の行動は、戦略的な意味を持つことがある。遠征前進基地作戦(EABO)を実施する部隊の心理と道徳的特性は、戦術、作戦、戦略の成功に大きく貢献する。米国の永続的な政策は、すべての国の自由と主権、および自由な人民の固有の権利を認めるものである。

これらの価値観を堅持することは、多くの敵対者に対して強力な競争優位をもたらす。米軍の作戦は、米国の戦略的メッセージなど、国力の他の手段を補完するものでなければならない。「小規模戦争マニュアル(Small Wars Manual」にあるように、遠征前進基地作戦(EABO)のような分散型遠征作戦では、「自国の軍隊だけでなく、疑心暗鬼や反感を抱く要素をしばしば含む市民集団も相手にしている」のである。

敵対勢力に対するわが国の政策と態度、および敵対勢力との通常の接触の本質そのものが、わが部隊の要員が心理学的原則の知識と適用を通じて物質的な利点を確保することを可能にしている」[8]

遠征前進基地作戦(EABO)の複雑さと危険性は、効果的な計画を立て、紛争中に成功するための条件を整えるだけでなく、紛争が始まる前にも精神的な厳しさが必要である。沿岸部隊(littoral force)は、選択肢を生み出し、より大きな戦役(campaign)に影響を与えるために必要な時に戦力を行使する能力を維持してこそ、その存在意義がある。

限られた支援と資源で分散した環境で作戦するには、戦士の思考態度(warrior mindset)と、視点を素早く変えて代替案を生み出す精神的な敏捷性を備えた部隊が必要である。

第2章 挿話:Vignette

コンタクト層での遠征前進基地作戦(EABO)の活用

MAKING USE OF EABO IN THE CONTACT LAYER

2021年に「遠征型前進基地作戦のための暫定マニュアル(Tentative Manual for Expeditionary advanced base operations」の初版が発行されたとき、海兵隊はすでに、暴力閾値以下の競争の連続体(competition continuum)のコンタクト層で遠征前進基地作戦(EABO)をどう使うかを考えていた。彼らは、航行の自由(freedom of navigation)の維持など、戦域戦役計画(theater campaign plan :TCP)を支援するために、艦隊が何を達成しようとするのかを分析した。

また、戦闘軍指揮官(combatant commander :CCDR)の到達目標を理解するために、戦域戦役計画(TCP)そのものも分析した。この分析により、海兵隊は独自の支援計画を策定し、戦域戦役(theater campaign)という長い時間軸の中で遠征前進基地作戦(EABO)をどのように活用するのかを知ることができた。

203X年、セントラリア民主共和国(DRC)は、自国の領土に隣接し、他国が所有権を主張する海域で漸進主義を実践し続けた。数十年にわたり、セントラリア民主共和国(DRC)は、小島を占拠して施設を建設し、岩や浅瀬を小島に変えるなどして、紛争地での恒久的な地位を確立しようと努めた。

これらの陣地には、長い滑走路や給油可能な港があることが多く、商業・軍事両方の目的で使用することができた。

これらの陣地のほとんどは、報告グリッドに結びついたさまざまなセンサーを含んでいた。あるものは日常的な気象や海上の監視に使用された。また、周辺空域の航空写真に焦点を当てたものもあった。ほとんどのセンサーはデュアル・ユースだったが、中にはターゲッティング・レーダーや通信インテリジェンス収集など、軍事用途に特化したものもあった。

セントラリア民主共和国(DRC)は、いくつかの島で電子攻撃装置を備えていた。これらの固定配置は、セントラリア民主共和国(DRC)海軍と沿岸警備隊の艦船、漁船、監視船を含むより大きなシステムの一部であった。セントラリア民主共和国(DRC)の空軍と宇宙船もこのシステムの一部であった。電磁スペクトラムを通して環境を探知し、操作する重要な能力を持っていた。

戦闘軍指揮官(CCDR)の戦域戦役計画(TCP)を支援するため、この地域における艦隊の主要な目標の1つは、航行の自由に対する米国のコミットメントを強化することであった。また、戦役計画(campaign plan)では、この地域のすべてのドメインの作戦映像を常に維持することを目指した。この2つの目標は、相互に支援し合うものであった。

艦隊の航行の自由作戦により、セントラリア民主共和国(DRC)はしばしば様々なセンサーを使用し、電磁波を放射するようになった。このため、セントラリア民主共和国(DRC)の放射に関する情報を収集する機会があり、すべてのドメインの作戦状況の把握に貢献した。

艦隊は、航行の自由作戦を行う可能性のあるすべての地域で常時プレゼンスを維持するための十分な能力を持っていなかった。海上戦役(maritime campaign)の一環として遠征前進基地作戦(EABO)を実施する沿岸部隊(littoral forces)は、作戦環境内での連絡を維持する。そのため、海域に接する同盟国やパートナー国に常に分遣隊を派遣していた。

戦域戦役計画(TCP)を支援する計画では、制海権と海上阻止の作戦を支援する方法を常に模索するよう指導されていた。セントラリア民主共和国(DRC)は、この頻繁な演習を、米国とその同盟国、パートナーによる持続的な海上作戦とみなしたのである。

具体的な事例としては、202X年に艦隊海兵部隊(FMF)が同盟国であるフィクティシア(Ficticia)と毎年行っている演習に参加したことがある。この演習の目標のひとつは、海上拒否(sea denial)と海上統制(sea control)支援のリハーサルで、特に海兵隊が新たに実戦投入した対艦ミサイルの実射演習が行われた。

一体化した海軍部隊として、艦隊海兵部隊(FMF)の各編成は陸上で実弾射撃を行い、他の艦隊はセントラリア民主共和国(DRC)も領有権を主張しているフィクティシア(Ficticia)の排他的経済水域(EEZ)の一部で航行の自由作戦を展開した。事実上、これらの海軍能力の行使は、統合部隊(joint force)が他の艦隊アセットと一体化された陸上から海上への機動として遠征前進基地作戦(EABO)を使用できることを示すものであった。

実弾演習は、海兵隊と水兵隊がコンタクト層で一体化された海軍部隊として作戦し、艦隊を継続的に支援する最も目に見える方法であり、それだけではない。航行の自由作戦と遠征前進基地作戦(EABO)演習の組み合わせは、争われた地域(contested area)に進入し、そして退出する艦隊の遮蔽戦術機動(fleet screening tactics maneuvering)を実践する機会となった。

沿岸部隊(littoral forces)は、フィクティシア(Ficticia)の沿岸から長距離無人水上艦と無人航空機を発進させた。これらのシステムは、演習の指示と支援する外交協定に基づき、フィクティシア(Ficticia)の排他的経済水域(EEZ)内に保管された。

海兵隊は、センサー情報を海上ドメイン認識(MDA)図に取り込む練習をしただけでなく、争われた地域(contested area)に入港、作戦、出港する他の海軍部隊を遮蔽するための行動の一部もリハーサルした。

また、この演習では、フィクティシア(Ficticia)海兵隊と沿岸警備隊を意図的に組み込んでいる。海兵隊が沿岸警備隊を監視し、フィクティシア(Ficticia)の排他的経済水域(EEZ)をパトロールする様子をデモンストレーションするものである。

演習を通じて、艦隊海兵部隊(FMF)はセントラリア民主共和国(DRC)とのすべてのドメイン偵察・反偵察戦、特にコンタクト層での艦隊作戦を実施し、海上戦役(maritime campaign)に重要な貢献を果たしたことを示した。この焦点は、現在の作戦映像を構築し維持するという戦闘軍指揮官(CCDR)の到達目標に重なるものだった。演習は、海兵隊が艦隊と戦闘軍指揮官(CCDR)の情報要件を理解していることを利用したデザインになっている。この分析により、海兵隊が収集の実行に必要な権限を取得するために必要な承認の連鎖が明らかになり、艦隊と戦闘司令部の双方にとって、そのイメージの構築に役立てることができた。また、艦隊海兵部隊(FMF)が沿岸警備隊と一体化し、支援する際に、遠征前進基地作戦(EABO)がどのように海上部隊を支援できるかを示すことで、海兵隊が従うべきパターンを示すことができた。

ノート

[1] Office of the Chief of Naval Operations and Headquarters, US Marine Corps, Littoral Operations in a Contested Environment (Washington, DC: US Department of the Navy, 2017), 9 (full-size edition) and 13 (pocket edition).

[2] Joint Chiefs of Staff, Doctrine for the Armed Forces of the United States, JP 1 (Washington, DC: US Department of Defense, 2017), I-12 to I-14.

[3] JCS, Competition Continuum, JDN 1-19, 2–4.

[4] As discussed above in note 4, Competition Continuum, JDN 1-19, envisioned the competition continuum as encompassing “a mixture of cooperation, competition below armed conflict, and armed conflict.” In December 2020, the Marine Corps published Competing, MCDP 1-4, which discusses the competition continuum using terminology that differs slightly from Joint Doctrine Note 1-19, although it is not inconsistent. This manual will adhere to the terminology in MCDP 1-4 when discussing competition and the competition continuum. For detailed discussion of the competition continuum in Marine Corps doctrine, see HQMC, Competing, MCDP 1-4, 1-6 to 1-10.

[5] HQMC, Competing, MCDP 1-4, 2-9 to 2-13.

[6] HQMC, Competing, MCDP 1-4, 1-6 to 1-9.

[7] Per Webster’s II New Riverside University Dictionary, a fait accompli is “an accomplished and presumably irreversible deed or fact.”

[8] Headquarters, US Marine Corps, Small Wars Manual, FMFRP 12-15 (Washington, DC: US Marine Corps, 1990), 17.