米海兵隊総司令官がフォース・デザインに基づく最初の訓練・教育年次報告に署名

MILTERMでは初版の米海兵隊のForce Design 2030について紹介している。ちなみに、2022年の更新版については未紹介。米海兵隊は、このフォース・デザインに基づいて訓練と教育の方向性をTraining and Education 2030としてその方向性を示している。

ここで紹介するのは、米海兵隊のサイトに掲載されている米海兵隊の訓練・教育コマンド(TECOM)が取りまとめたTraining and Education 2030の進捗に関する訓練・教育年次報告に関する記事である。

ちなみに、米軍はよく「プロジェクト××」と称する取り組みにより、必要とされる方策や装備品開発などを行っている。米海兵隊はTraining and Education 2030に掲げる必要とする海兵隊員と海兵部隊の創造のために3つのプロジェクトを立ち上げている。既存のMarineNetといわれるネット環境を活用する海兵隊員の学習方法を変革するもの、キル・ウェブに焦点を当てた用兵組織改編に関するもの、各種シミュレーション、シミュレータを活用した訓練環境構築に関するものである。(軍治)

米海兵隊総司令官がフォース・デザインに基づく最初の訓練・教育年次報告に署名

CMC Signs the First Training and Education Annual Report on Force Design

https://www.marines.mil/News/Press-Releases/Press-Release-Display/Article/3804646/cmc-signs-the-first-training-and-education-annual-report-on-force-design/

12 Jun 2024

2024年6月12日

ワシントンD.C.

エリック・M・スミス(Eric M. Smith)米海兵隊総司令官が2024年6月12日、米海兵隊訓練・教育年次報告書(TEAR)に署名した。米海兵隊訓練教育司令部(TECOM)のケビン・M・アイアムス(Kevin M. Iiams)中将が発行・配布した訓練・教育年次報告書(TEAR)は、第38代海兵隊司令官デビッド・H・バーガー(David H. Berger)大将が訓練・教育2030(TE2030)を発表して以来、初の年次報告書となる。14ページにわたるこの文書は、訓練・教育コマンド司令官(CG TECOM)が訓練・教育2030(TE2030)から指示された37のフォース・デザインをどのように組織し、進展させ、達成したかを概説している。

「訓練・教育年次報告は、我々の近代化の旅のもう一つの節目である。議会、統合部隊、同盟国、パートナー、そして海兵隊に対する約束を守り続け、いかなる危機にも対応できる態勢、人員、訓練、装備を確保しながら、対等者との闘いに備えている。我々を前進させ続けるアイアムス(Iiams)中将と彼のチームの努力については、いくら言っても足りない。我々の海兵隊は、訓練と教育の最先端にあり続け、そのおかげで海兵隊員はどんな気候や場所でも生き残り、活躍し続けることができる」とエリック・M・スミス(Eric M. Smith)米海兵隊総司令官は述べている。

訓練・教育コマンド(TECOM)は、フォース・デザインの義務を達成するために、3つの主要プロジェクト、別名「3つのT」を体系化した。プロジェクト・トライアンフ(Project Triumph)、プロジェクト・トライデント(Project Trident)、プロジェクト・トリポリ(Project Tripoli)である。これらのプロジェクトは一体となって、艦隊海兵隊に、将来高度に戦闘化されたマルチドメイン戦闘空間で準備し、闘い、勝利するために必要な基準、カリキュラム、訓練環境を提供するものである。

「訓練・教育コマンド(TECOM)の戦略的ビジョンは、”3つのT “と呼ばれる3つの主要な取り組みの実施と、その他の優先的重点分野によって支えられている。これらの取組みは、海兵隊に考え得る限り最も近代的で、致死性で、有能な海兵隊員を配備することを狙いとしている。我々の取組みは、これまでも、そしてこれからも、2つの柱、フォース・デザインと近代化を中心に据えていくこれらのベクトルに沿って技術革新を推進することで、訓練・教育コマンド(TECOM)は海兵隊部隊の開発を確実なものにしており、どのような作戦戦域でも競争するだけでなく、支配することができる」とアイアムス(Iiams)将軍は述べる。

プロジェクト・トライアンフ(Project Triumphは、3つのTの最初のもので、海兵隊の訓練・教育(T&E)におけるパラダイム・シフトを告げるものであり、成果を基盤とする情報化時代の学習モデルへと移行するものである。この変革的アプローチは、学習者中心の教育を優先し、海兵隊の学生全員が最大限の理解と定着を図れるよう、教官がコンテンツの配信を調整できるようにするものである。プロジェクト・トライアンフは、説明責任の文化を育成し、非同期学習の機会を受け入れることで、海兵隊員がダイナミックな環境で活躍できる機敏な問題解決能力を身につけることを保証する。

プロジェクト・トライデント(Project Tridentは、あらゆる用兵ドメイン(warfighting domains)において、係争環境下でキル・ウェブを確立し、閉じるために、あらゆるドメインの資産を活用できる即戦力の海兵隊員を育成するものである。集団技能訓練の更新やキル・ウェブ実現プロセスの進展などの取り組みを通じて、訓練・教育コマンド(TECOM)は海兵隊員に現代戦シナリオ(modern warfare scenarios)で優れた能力を発揮するために必要なツールと専門知識を身につけさせようとしている。

トリポリ・プロジェクト(Project Tripoliは、訓練・教育コマンド(TECOM)の諸兵科連合訓練(combined arms training)の将来に対するビジョンの集大成である。この革新的な試みは、リスクを最小限に抑え、訓練効果を最大化しながら、現実の状況を再現できるダイナミックな訓練環境を構築することを狙いとしている。ライブ、バーチャル、コンストラクティブの訓練環境の力を活用することで、プロジェクト・トリポリ(Project Tripoli)は海兵隊の訓練方法論に革命を起こす態勢を整えている。

「3つのT」に加え、米海兵隊訓練・教育年次報告書(TEAR)は訓練・教育コマンド(TECOM)は海兵隊の即応性と致死性を高めるために重要ないくつかの優先的重点分野を推進するというコミットメントを表明している。これには、射撃技能の習熟度向上、部隊および軍種レベルの訓練演習の再構築、フォース・フィットネス科学研究への継続的投資などが含まれるが、これらに限定されるものではない。

海兵隊が新たな脅威と課題に対応して進化し続ける中、訓練・教育コマンド(TECOM)は革新の最前線に立ち続け、訓練・教育(T&E)の連続体全体にわたって変革を推進している。訓練・教育コマンド(TECOM)は、揺るぎない献身と先進的な取り組みを通じて、海兵隊の即応性の将来を形作り、米国の海兵隊が世界最高の闘う部隊を維持することを保証している。