米海兵隊の訓練・教育の年次報告

先の投稿「米海兵隊の訓練と教育の年次報告」にある年次報告の本文を紹介する。(軍治)

訓練・教育

年次報告

Training and Education

Annual Report

June 2024

はじめに

「訓練と教育2030(Training and Education 2030:TE2030)」は、海兵隊員個人と部隊が「闘い、勝利する(fight and win)」ための準備を続けるために、訓練と教育(T&E)を進化させるためのビジョンとアプローチを定義した。この1年間で、我々は、さらなる分析のための重要な課題と問題に取り組むとともに、すでに進行中のイニシアティブの骨組みを強化し、最初の報告書で撮影した方位に沿って新たなベクトルを模索し、開発することで、大きな前進を遂げた。この年次報告書は、我々の進捗状況を把握し、さらなる機会を特定し、目標に向けた行動を展望するものである。

「フォース・デザイン2030(FD2030)」の2023年年次更新版で表明されているように、軍団としての主要な課題は、即応態勢において国家の遠征軍として効果的であり続けると同時に、利用可能な資源を活用して将来の作戦環境に向けて部隊を近代化することである。そのため、訓練と教育(T&E)事業の主要な課題は、将来の闘いで成功するために必要な先進的な訓練と教育(T&E)コンセプトや技術を開発・導入する一方で、現在の海兵隊員を現在の装備で現在の任務のために効果的に訓練し続けることである。訓練・教育コマンド(TECOM)は、訓練と教育(T&E)事業全体のリーダーとして、海兵隊の創設、訓練、教育、部隊および軍種レベルの訓練演習の支援という5つの基本的な任務分野にわたって、取組みと資源の効果的なバランスをとることによって、来年もこの課題に対処し続けることを課せられている。「訓練と教育2030(TE2030)」が発表されて以来、訓練・教育コマンド(TECOM)はプロジェクト・トリポリ(Project Tripoli)に付随する主要な取組みとして、プロジェクト・トライアンフ(Projects Triumph)とプロジェクト・トライデント(Projects Trident)を制定した。この年次報告の更新で論じられるこれら3つのプロジェクトは本質的に関連しており、訓練と教育(T&E)継続の近代化において諸兵科連合効果を発揮するために相乗的に採用されている。これらは、訓練・教育コマンド(TECOM)が訓練環境と方法論を近代化し、訓練と教育(T&E)における重大なギャップを埋めるための重要な能力を提供するための主要な手段であり、C5ISRT(指揮、統制、コンピューティング、通信、サイバー、インテリジェンス、監視、偵察、ターゲティング)対対抗C5ISRT競争で成功するための戦力を育成するためのものである。これらのプロジェクトが実を結ぶためには、海兵隊全体の幅広い集団的取組みと、海軍および統合部隊との緊密な連携と統合が必要である。

時間は極めて重要な要素である。我々には、用兵能力(warfighting capabilities)や用兵コンセプト(warfighting concepts)に関する最終的な答えが完全に実戦配備されたり、公式に確立されたりするのを待ってから行動するような余裕はない。むしろ、私の意図は、訓練と教育(T&E)がフォース・デザインの後を「高速で追随(fast follow)」し、実験が続けられるようにすることであり、課程とスピードの修正が必要であり、すべてのイニシアティブと投資が永続するわけではないことを十分に理解することである。我々は批判的に考え(think critically)、迅速に計画を立て、果断に行動するとき、我々は学び続けながら、必要に応じて火力を調整し、再攻撃できるようなリスク許容度を維持しなければならない。来年度もフォース・デザインと歩調を合わせるため、訓練・教育コマンド(TECOM)は、コンセプトと能力開発、艦隊海兵部隊(Fleet Marine Force :FMF)と海兵隊用兵研究所(Marine Corps Warfighting Laboratory :MCWL)の実験とウォーゲーミングといった水平方向と、海兵隊遠征軍(MEF)から小部隊レベルや個々の海兵隊員に至る垂直方向の両方において、訓練と教育(T&E)の統合を強化していく。また、訓練・教育コマンド(TECOM)が艦隊海兵部隊(FMF)に適切な訓練と教育(T&E)能力をフォース・デザインと歩調を合わせて提供できるよう支援するため、我々は機関として、ソリューション開発と提供プロセスのスピードと敏捷性を高めていく。

訓練・教育コマンド(TECOM)が主導権を握っているとはいえ、訓練と教育(T&E)は海兵隊全体の取組みであり、将来にわたって「闘い、勝利する(fight and win)」ための戦力をデザインし、開発し続けるためには、海兵隊全体の用兵専門家(warfighting professionals)の献身的な取組み、コミットメント、革新的な思考が必要である。我々はペースを保っているが、やるべきことはたくさんある。

戦略的文脈

「訓練と教育2030(TE2030)」の基本文書とこの訓練と教育(T&E)年次報告書は、「用兵能力(warfighting capability)は、それを使用する海兵隊員によってのみ有効である」と断言している。分散型海上作戦(Distributed Maritime Operations :DMO)、係争環境における沿岸作戦(Littoral Operations in a Contested Environment :LOCE)、遠征前進基地作戦(Expeditionary Advanced Base Operations :EABO)、待機部隊、偵察、対偵察といった海軍のコンセプトの実現には、海兵隊が海軍、統合、連合部隊の一員としてセンサー、射撃、効果を統合する必要がある。2018年国家防衛戦略を皮切りに、軍種の演習や統合演習、作業部会、研究、ウォーゲーム、実験的取組みの無数を通じて収集された強固な知識体系(body of knowledge)は、これらのコンセプトを実施する能力におけるギャップを特定した。こうしたギャップに対処するためには、マルチ・ドメイン諸兵科連合および全ドメイン諸兵科連合の専門家である経験豊富な戦闘員を育成しなければならない。

戦闘編成に高い致死性を生み出すには、海兵隊員の技術的熟練度とリーダーシップ技能をより早く成熟させ、キャリアの早い段階で考え、決断し、行動する機会を増やす必要がある。海兵隊と部隊は、現在および将来の戦場において、諸兵科連合や新装備・兵器システムを使用する際の熟練度と自信を獲得・維持・向上させ、総合的な意思決定を行うために、現実的で困難な環境での訓練セットと反復練習の機会を増やす必要がある。

作戦的アプローチ

訓練・教育コマンド(TECOM)は2つの主要なベクトルに沿って変革を推進する。フォース・デザインと近代化である。フォース・デザインは、訓練と教育(T&E)の連続体において革命的な変化を必要とする、変革的な用兵コンセプト(warfighting concepts)、能力、編成の迅速な開発を指揮している。部隊や軍種レベルの訓練を実施するための従来のコンセプトは再考されなければならない。また、それらをサポートする訓練範囲やツールは更新され、再構成される必要があり、あらゆる部隊階層やあらゆるドメインにおいて、現実的で脅威を考慮した部隊対抗訓練(force-on-force training)をサポートする高度な訓練エコシステムを可能にする。

さらに、海兵隊員が身につけ、達成しなければならない個人的技能、集団的技能や基準は、艦隊海兵部隊(FMF)がフォース・デザインの結果生まれた新しいコンセプトや能力を採用するために必要な海兵隊員を提供するために、より厳しい審査と決定サイクルを通じて更新されなければならない。

近代化は継続的かつ進化的なものである。しかし、敵対者との競争力を維持し続けるためには、新たな技術や方法論に歩調を合わせるために、訓練と教育(T&E)全般にわたって近代化を大幅に加速させなければならない。訓練・教育コマンド(TECOM)は、訓練と教育(T&E)事業全体を通じて、厳格で再現可能な卓越した基準の担い手になり続けながら、部隊の致死性を高めるために、情報に基づいた、バランスの取れた、同期化されたアプローチを通じて、革命的な変化をリードし、近代化を加速する。トライアンフ(Triumph)、トライデント(Trident)、トリポリ(Tripoli)という3つの主要な訓練と教育(T&E)プロジェクトは、訓練・教育コマンド(TECOM)が部隊全体の変革を実施し、同期化するための主要な手段として機能する。

プロジェクト・トライアンフ

プロジェクト・トライアンフ(Project Triumphは、訓練と教育(T&E)の継続を通じて、海兵隊員一人ひとりに学生中心の積極的な経験をさせることに重点を置いている。我々の全体ラーニング・アーキテクチャー(total learning architecture)は、学生が必要とするポイントに学習をもたらし、学習をよりやりがいのある身近なものにし、学習率を効果的に評価することを可能にする。我々の目標は、問題解決能力、意思決定能力、操縦能力を備えた、成熟した、認知的に機敏な海兵隊員を育成することである。

成果に基づく学習の体系化

訓練・教育コマンド(TECOM)は、海兵隊ドクトリン刊行物7「学習(Learning)」を実施するために科学的なアプローチを取った。このドクトリンは、訓練と教育(T&E)プログラムにおいて、意図的で成果に基づいたデザインを行うことを求めている。歩兵海兵課程(Infantry Marine Course :IMC)、基礎戦闘工兵、その他数多くの公式な学校教育プログラム(POI)を含む3年間の実験期間を通じて、我々は、初級レベル訓練(entry level training :ELT)やその他の公式な学校環境における成果に基づく学習(outcomes-based learning :OBL)の理念の有効性を証明してきた。成果に基づく学習(outcomes-based learning :OBL)は、単に暗記的な手順やプロセスで「何を(what)」考えるかではなく、課題を通して「どのように(how)」考え、克服するかを学習者に指導する。海兵隊員には、自信を持って情報を処理し、特定の文脈の中で重要な変数を理解し、情報に基づいた決断を迅速に下すことができる問題解決能力者として成長するために、より積極的かつ適応的であることが求められる。そのため、非同期型学習※1の機会を提供したり、訓練イベントのために個人またはチームで準備することを期待したりすることで、海兵隊員に学習に対する責任を持たせている。歩兵海兵課程(Infantry Marine Course :IMC)では、優秀な分隊長インストラクターが、海兵隊員がコア・コンピテンシーとリーダーシップ技能に習熟するため、チームで取り組むコンピテンシーに基づく体験型フィールドワークを推進している。これにより、仲間内での結束力が強化され、卒業後は彼らを最初の艦隊海兵部隊(FMF)部隊に一緒に送り込み、そこでより高度な個人的訓練および集団的訓練を通じて一緒に成長し続けることで、結束力が強化され続ける。艦隊海兵部隊(FMF)の指揮官や部隊リーダーからのフィードバックは、これらの方法論の成功を証明している。

※1  非同期型学習とは、eラーニングにおいて同期型学習とはインターネットテレビ会議などのリアルタイムで行われる双方向システムを用いた学習を指し、また非同期型学習とは自分のペースで学習することで、学習の進捗状況はネットワークを通じた学習管理システムで自動的に把握できるといった学習を指している。(参考:https://www.elc.or.jp/keyword/detail/id=135)

可能な限り、我々は公式な学校全体にこのコンセプトを導入し、シナリオに基づいた指導法を採用することで、海兵隊員に文脈の中で次第に難しくなる問題を解決するよう促し、その過程を通して、失敗し、自己評価し、修正し、学ぶ場を与えている。題材の都合や資源の制約がある場合、従来の講義形式で大人数への指導を行わなければならない場合もある。しかし、公式学習センター(formal learning centers)全体に成果に基づく学習(outcomes-based learning :OBL)の信条を浸透させるべく取り組んでおり、進捗と結果をモニターし続けている。今年の立法サイクル(legislative cycle)に先立ち、訓練・教育コマンド(TECOM)は成果に基づく学習(outcomes-based learning :OBL)の教訓に関するインフォメーション・ペーパーをコミュニケーション総局と立法事務局に発表し、軍種レベルのコミュニケーションとメッセージングに活用してもらった。

我々は、軍種レベルの指針を通じて、実績のある成果に基づく学習(outcomes-based learning :OBL)の信条を成文化するために迅速に動いている。最近改訂された公式な学校管理(海兵隊命令(MCO)1553.2D)と訓練と教育へのシステム・アプローチ(海軍海兵隊(NAVMC)1553.1)の方針は、カリキュラム開発者、インストラクター、教員を指導し、より学生中心の指導と評価のアプローチを反映した教育プログラム(POI)を開発するよう導いている。訓練・教育コマンド(TECOM)は次回のエグゼクティブ・オフサイト(Executive Off-Site :EOS)で、米海兵隊事業全体におけるこれらの変化の目に見える効果と、我々が学んだ教訓について報告する予定である。2024米会計年度(FY24)第2四半期末までには、訓練・教育コマンド(TECOM)はこれらの新しい目標と手順に基づいて、すべての公式な学校方針指示と評価を更新する予定である。

学習リーダーとしてのインストラクター

有能なインストラクターが訓練と教育(T&E)事業全体に成果に基づく学習(outcomes-based learning :OBL)を導入するための「重心(center of gravity)」であることを認識し、訓練・教育コマンド(TECOM)はトップクラスのインストラクター育成プログラムを実施している。訓練コマンド(Training Command :TRNGCMD)は、イノベーティブ・インストラクター・ワークショップの成功を受けて、すべてのインストラクターと教育スタッフの指導能力を向上させるため、新たに学習・教員育成センター(Center for Learning and Faculty Development :CLFD)を設立した。「壇上の賢人(sage on the stage)」を重んじる伝統的な公式学校インストラクター育成モデルから脱却し、代わりに「脇役のガイド(guide on the side)」として活躍するインストラクターのためのコーチングとメンタリングの技能を開発している。学習・教員育成センター(CLFD)はトレーナー養成スクールに代わるもので、学習体験のデザインと促進、およびこれらの実践を可能にする方法で公式な学校で指導する方法に重点を置いた新しい課程を提供する。

学習・教員育成センター(CLFD)は、インストラクターや教員を対象に、学習評価や、同期・非同期の学習技術を活用して学習機会を増やすための技法を教える教育プログラム(POI)を提供する。インストラクターや教員にオンライン・ツールを使ってよりスマートに作業する方法を教えることで、より多くの時間を学生との交流に割り当てることができる。学習・教員育成センター(CLFD)は、実績のある先進的な学習理論を、適切な場合には技術を駆使して導入することに長けたインストラクターを輩出し、継続的な学習を通じて海兵隊員の育成を強化する。こうした初期段階を経て、我々はさらなる改善と飛躍的な効果の実現に必要な機運を高めている。

公式学習センター、他の軍種(sister services)、関連する専門家団体、学術機関にわたるインストラクターや教育スタッフの能力開発プログラムを8ヶ月にわたって評価することで、我々は効果的なインストラクターが体現する特別な技能や才能について学び、構造やカリキュラムから現在のフットプリント内で実質的な改善を行っている。訓練・教育コマンド(TECOM)は、民間学習・教員育成センター(CLFD)インストラクターのための新しい開発キャリアラダー、公式学習センターで新しいコマンドチームをテストするパイロット、インストラクター向けの「学習経験の促進課程(Facilitating Learning Experiences Course)」とカリキュラム開発者向けの「学習経験のデザイン課程(Designing Learning Experiences Course)」を含む初級課程の変更を制定した。訓練・教育コマンド(TECOM)はまた、初級(Entry)エントリー、ジャーニー、マスター(Master)の各レベルで構成される、インストラクター向けの新しい段階的なロードマップを開発している。この実験が成熟し、結果が出始めると、訓練・教育コマンド(TECOM)は負担コストの見積りと共にロードマップの全容を計画・資源担当副司令官(DC, P&R)に提示する。さらに、海兵隊大学(Marine Corps University :MCU)は、教員の包括的な評価を実施し、人材、方針、体制の変更に関する提言を行う。

過去1年間で、訓練・教育コマンド(TECOM)は、初級レベルのインストラクター向けの関連する軍事特技(MOS)ロードマップを備えた「例外的な軍事特技(exception military occupational specialty :EMOS)」プログラムの確立において大きな進歩を遂げた。4月には、「例外的な軍事特技(EMOS)」の作成と修正プロセスを海軍海兵隊(NAVMC) 3500.132「軍事特技(MOS)マニュアル・プログラム指針」に成文化した。

軍事特技(MOS)マニュアルは完成し、補完的な訓練と即応性(T&R)マニュアルは最終承認待ちである。訓練・教育コマンド(TECOM)は、特技分野のスポンサーと協力して、インストラクター・ロードマップを完成させようとしている。

一部の個人が教えることに素質があり(そして非常に効果的である)、その理由となる特徴、特性、技能、経験、興味を理解することで、海兵隊は部隊全体からインストラクターとして働く才能のある個人を選ぶ際に、より良い選択を行うことができる。このような才能を維持するために、我々は慎重に取り組まなければならない。訓練・教育コマンド(TECOM)と人材・予備役担当(Manpower and Reserve Affairs :M&RA)は、インストラクターの定着率を評価し、提供可能なインセンティブ・オプションを分析している。これらの取組みは、訓練と教育(T&E)事業全体に直接的な利益をもたらし、海兵隊の人材管理投資に対する見返りをもたらす。

2024米会計年度(FY24)末までには、訓練・教育コマンド(TECOM)は学習・教員育成センター(CLFD)で改良された基本インストラクター課程を提供し、FY26末までには、海兵隊インストラクターの育成と成果に基づく学習(outcomes-based learning :OBL)の実施を加速するため、インストラクターのロードマップをサポートする中級課程とマスター課程を組み込む。

オンデマンド学習を可能にする技術的枠組み

我々は、海兵隊員のニーズに応じて適切な訓練を提供するためのデジタル基盤となる、統一されたデータ主導型の情報技術(IT)アーキテクチャを構築している。学生中心の学習コンテンツを提供するだけでなく、インストラクターや課程のフィードバックのスピードと自動化を高め、機密データを保護する。

訓練・教育コマンド(TECOM)のITインフラを海兵隊エンタープライズ・ネットワーク(MCEN)に統合(一体化)することで、我々はすべての海兵隊員に、学校にいても艦隊海兵部隊(FMF)にいても、訓練と教育(T&E)やコラボレーション・ツールに継続的にアクセスできるようにしている。訓練・教育コマンド(TECOM)のITインフラは、海兵隊員、統合、同盟、連合、そして省庁間のパートナーに適切なアクセスを提供し、あらゆるクラスの訓練をサポートするために、事業全体を活用しなければならない。我々は闘い方(how we fight)を訓練しなければならず、訓練のためのITインフラは、統合された全ドメイン指揮・統制を実施する際に期待されるのと同じ協力と相互運用性を促進しなければならない。

eラーニング・エコシステム(eLE)の拡大により、より多くの学生、インストラクター、教員がカリキュラムやその他の学習コンテンツにアクセスできるようになった。このオンライン学習環境は、ビデオ、オーディオ、バーチャル教室環境を提供することで、自主学習、補助訓練、公式な学校カリキュラム、専門軍事教育(PME)をサポートする。デジタル・コンテンツの作成と配布、ファイルの保存と共有、ソーシャル・コミュニティでの共同作業など、その用途は多岐にわたる。このような進歩は、技能をより速いスピードで成熟させ、海兵隊員に学習とキャリアのオーナーシップを与えるのに役立っている。

eラーニング・エコシステム(eLE)の中では、艦隊(fleet)がコンテンツを開発・配信する際の使い勝手を向上させるため、MarineNet※2に大幅な変更を加えた。これには、ビデオ・サービス、新しいバーチャル学習環境、ラーニング・レコード・ストアなどが含まれる。また、システムの分析機能を拡張し、Moodle※3のインストラクターによる課程も充実させた。今後1年間で、教育コマンド(EDCOM)は、専門軍事教育(PME)評価ツールを追加開発し、共通アクセスカードなしで認証できるようにし、ウォーゲームを統合(一体化)する。

※2  MarineNetは、MarineNetコンテンツ開発標準文書(2022年4月)によると、MarineNetのユーザーは、「コンピュータとインターネットがあれば、オフィス、自宅、ラーニング・リソース・センター(LRC)など、どこからでも訓練にアクセスできる。ユーザーは24時間365日体制で分散型学習のニーズに応えることができる。MarineNetがホストする学習ソフトウェア(courseware)は、組織外部の多くのソースから提供されている。この学習ソフトウェア(courseware)は、比較的単純な単一の学科のプレゼンテーション形式から、複数の学習単位(modules)、学科(lessons)、試験、評価、アンケートを各コースが持つ、より大きなカリキュラムの一部であるコースとして構成された複雑なインタラクティブ・マルチメディア・インストラクション(IMI)まで様々」あり、その構成は、「〇 遠隔教育・訓練大学(College of Distance Education and Training :CDET)が作成した要件をサポートし、Microsoft® .NET Webサービス・アーキテクチャに基づく集中型学習管理システム(LMS)、〇 Rustici SCORMエンジンは、Sharable Content Object Reference Model (SCORM®) 2004 3rd Editionのコースウェアの起動、配信、トラッキングを提供、〇 Questionmark® Perceptionが提供する統合テストとアンケート機能、〇 インタラクティブな教育コンテンツと静的なWebベースの情報リソース」から成っている。

※3 Moodleは、海兵隊大学と遠隔教育・訓練大学(CDET)で使用されている学習管理システム(LMS)で、インストラクターによるオンサイト、オンライン、ブレンデッド・カリキュラム(対面で実施する「集合研修」やオンラインで行う「eラーニング」など、異なる学習方法を組み合わせた教育手法)を世界中の学生と教員に提供している。(参考:https://www.usmcu.edu/Portals/218/CDET/content/marinenet/Moodle%20QuickFacts08Feb22.pdf)

我々は訓練と教育(T&E)データ管理システムの近代化を進めており、組織間のプロセス改善とデータ共有を可能にしている。2024米会計年度(FY24)末近く、訓練・教育コマンド(TECOM)司令官は海兵隊訓練情報管理システム(MCTIMS)IIを推進することを承認した。2024年1月までに、従来の海兵隊訓練情報管理システム(MCTIMS)を承認されたハイブリッド・クラウド・サービス(HCS)クラウド環境に移行し、2028米会計年度(FY28)までに訓練・教育コマンド(TECOM)は完全運用可能なクラウドベースの海兵隊訓練情報管理システム(MCTIMS)II能力を実戦投入する。MarineNetと海兵シエラ・ホテル航空即応性プログラム(Marine Sierra Hotel Aviation Readiness Program :M-SHARP)※4は、2023年6月現在、すでに承認されたクラウド環境でホストされている。

※4 シエラ・ホテルとは、C.R.アデレッグ(C.R. ADEREGG)著「シエラ・ホテル:ヴェトナム後の10年間における空軍戦闘機(SIERRA HOTEL:FLYING AIR FORCE FIGHTERS IN THE DECADE AFTER VIETNAM)」で、「シエラ・ホテルはsとhの発音記号で、『クソ熱い(shit hot)』という下品な言葉から派生したもので、『絶対的な最高(the absolute best)』を意味する」とある。(参考:https://media.defense.gov/2010/Sep/29/2001329786/-1/-1/0/AFD-100929-043.pdf)

2024年6月までに、海兵シエラ・ホテル航空即応性プログラム(M-SHARP)は、部隊レベルに合わせることができるシステム主催のフライト・スケジュールと、リアルタイムの可用性とスケジューリング機能を持つシミュレータ・スケジュールをリリースする予定である。これらのツールを実装することで、飛行隊内の訓練効率を高め、即応性を向上させ、ネガティブな傾向を切り分け、診断し、解決する集団的な能力を向上させることができる。

ネットワーク接続とデバイスのサポートがなければ、このようなことは不可能である。訓練・教育コマンド(TECOM)は、海兵隊員がすべての公式学習センターで、またキャリアを通じてデジタル教材にアクセスできるよう、有線・無線インフラと学生用デバイスへの投資と拡張を続けていく。

学習継続におけるウォーゲーミングの拡大

海兵隊員は、現実的なシナリオの中で戦術を用い、その決断の結果を経験する機会を与えられることで、戦術に対する理解を深める。訓練・教育コマンド(TECOM)は、海兵隊員のキャリアの早い段階から意思決定能力を強化し、継続的な教育において公式・非公式を問わず訓練と教育(T&E)の場を通じて継続的に強化するために、訓練と教育(T&E)の継続を通じてウォーゲーミングを統合することに取り組んでいる。訓練・教育コマンド(TECOM)は、全軍の海兵隊員がオンラインまたは対面でウォーゲーミングに参加できるツールや機会を開発している。

艦隊海兵部隊(FMF)の部隊に所属する海兵隊員は、これらの能力を利用することで、戦術的な成長、リーダーシップの育成、管理された環境での実験、複雑で混沌とした環境での批判的思考能力などを支援することができる。

海兵隊大学(MCU)は、新しいウォーゲーミング・クラウドを利用した初のオンライン・トーナメントを開催し、海兵隊大学(MCU)、同盟国の専門軍事教育(PME)校、オーストラリア、カナダ、イギリスを含む連合専門軍事教育(PME)校の学生や教員が参加した。海兵隊大学(MCU)主導のウォーゲーミング・ミニカンファレンス「オブジェクティブ・ワン」は、「現代の海洋博覧会(Modern Day Marine Exposition)」のハイライトとなった。2020年計画の基礎の上に、9月に発表された新しい海兵隊大学(MCU)ウォーゲーミング・マスタープランは、新しいウォーゲーミング・クラウドへのアクセスを拡大し、ゲームのライブラリ(デジタルおよびテーブルトップ形式)を追加する。このことは、ウォーゲーミングの専門性を高め、統合用兵(Joint Warfighting)からAIに至るまで、新たな技術や軍事教育のトピックを探求するためにウォーゲーミングを活用する必要性を浮き彫りにしている。訓練・教育コマンド(TECOM)はウォーゲーミングを公式な学校と専門軍事教育(PME)に2025米会計年度(FY25)中に拡大し、海兵隊員のキャリアを通じて学習と実験ができる能力を2026米会計年度(FY26)中に艦隊海兵部隊(FMF)に提供する。

プロジェクト・トライデント

プロジェクト・トライデント(Project Tridentは、あらゆるドメインで資産と能力を活用し、争いの絶えない海洋環境でキル・ウェブを効果的に構築し、閉鎖することができる、戦闘に即応した海兵隊と編成をあらゆる階層で創設することに重点を置いている。このため、訓練と教育(T&E)事業全体では、海兵隊員が、軍種、海軍、統合のセンサーやシューター、さらには複数の指揮・統制(command and control :C2)ノードが無数に関与するさまざまな作戦シナリオにおいて、発見、固定、追跡、照準、交戦、評価(finding, fixing, tracking, targeting, engaging, and assessing :F2T2EA)の統合機能を実行することに習熟する必要がある。軍種の学習キャンペーンと統合されたプロジェクト・トライデント(Project Trident)は、フォース・デザインと歩調を合わせて訓練と教育(T&E)の連続体内の変革を進め、個人、射撃・効果調整チーム、戦闘作戦センター(Combat Operations Centers :COC)に対して、最新のキル・ウェブを可能にするプロセス、システム、ネットワークを訓練している。

個人的訓練

訓練・教育コマンド(TECOM)は公式学習センターを通じて、海軍の各司令部や海兵隊司令部(HQMC)と協力し、キル・ウェブの個人訓練のギャップを埋めるべく努力している。フォートシル(Fort Sill)海兵分遣隊は4月、師団の火力・効果調整センター(FECC)または艦隊海上作戦センター(MOC)で勤務する軍事特技(MOS)番号 0802(野砲将校)、0803(ターゲット捕捉将校)、0871(野砲偵察監視長)の海兵隊員を訓練するため、上級射撃効果課程の試験運用を開始した。訓練・教育コマンド(TECOM)は2024米会計年度(FY24)第1四半期にこの課程の第2回目を実施し、コンセプトの実証(proof of concept)に磨きをかけた。

訓練・教育コマンド(TECOM)の通信訓練大隊は、あらゆるレベルの指揮官が分散環境で指揮・統制(C2)を行使できる有機的能力を向上させるため、062X、063X、067Xの軍事特技(MOS)から重要な技能セットを組み合わせて、多分野にまたがる独立した通信・情報オペレーターとして機能させる方法を評価している。これにより、個々のオペレーターの多用途性が拡大し、指揮官が前方端で指揮・統制(C2)を実行する際の機敏性(agility)が向上する。

我々の演習、実験、ウォーゲーミングは、キル・ウェブを閉じるために不可欠な戦術的データリンク・ネットワークの構築と運用において、かなりの能力と能力のギャップがあることを明らかにした。こうしたギャップに対処するためには、艦隊海兵部隊(FMF)の海兵隊員のうち、密度の低い技能セットに必要な専門知識を持つ者の数を増やさなければならない。航空担当副司令官(DC, Aviation)は6月、制限付きインターフェイス統制官軍事特技(MOS)とそれに対応する訓練体系を創設する決定メモに署名した。訓練・教育コマンド(TECOM)は、航空担当副司令官(DC, Aviation)、人材・予備役担当(M&RA)と協力して、必要な軍事特技(MOS)訓練と経験トラックを開発中である。2025米会計年度(FY25)に実施予定。

訓練・教育コマンド(TECOM)は、遠征戦訓練グループ(Expeditionary Warfare Training Group :EWTG)の独特な資源、配置、海軍との指揮関係を活用し、海兵隊の海軍統合と海上火力の技能を構築するカリキュラムを開発し、改良している。最近の例としては、遠征戦訓練グループ・アトランティック(EWTGLANT)が開発した「海軍遠征作戦計画担当者課程」がある。これは、分散型海上作戦(DMO)、係争環境における沿岸作戦(LOCE)、遠征前進基地作戦(EABO)などの新たな作戦コンセプトに重点を置いて、海軍作戦を理解、分析、計画できるように訓練することで、O5(中佐)~O9(准将)レベルの参謀の習熟度を高めることを狙いとしている。さらに、遠征戦訓練グループ太平洋(EWTGPAC)は10月、第5海兵隊に学術パッケージを提供し、打撃群認定の重要な要素として太平洋戦術訓練群が採用している艦隊合成訓練‐統合(Fleet Synthetic Training-Joint : FST-J)演習での統合を強化した。遠征戦訓練グループ太平洋(EWTGPAC)と訓練・教育コマンド(TECOM)は、艦隊合成訓練‐統合(FST-J)の結果に基づいたアカデミック・パッケージの有効性を分析し、単独の上級個人訓練課程としての可能性を判断している。

遠征戦訓練グループ(EWTG)は訓練・教育コマンド(TECOM)とともに、協調的かつ調整された取組みとして、既存の火力・効果訓練の課程教育ソフト(courseware)を見直し、更新することで、現在の作戦環境との関連性を高めている。また、最近の取組みには、遠征戦訓練グループ(EWTG)の両校が教える火力および効果調整センター(FSCC)課程のカリキュラムを見直して更新および標準化すること、および遠征戦訓練グループ太平洋(EWTGPAC)の海兵空地タスク部隊(Marine Air-Ground Task Force :MAGTF)火力課程や海軍砲撃連絡士官(NGLO)課程などの不活発な課程と従来型の課程を分析して、訓練継続における重大なギャップに合わせて変更する必要があるかどうか、また変更する場合はどのように変更するかを検討することも含まれる。

集団的訓練

プロジェクト・コンバージェンス(Project Convergence)22、スティール・ナイト(Steel Knight)23、海兵沿海連隊(MLR)訓練演習、ノーザン・エッジ(Northern Edge)23-1などの最近の演習では、キル・チェーンとキル・ウェブの実現コンセプトと機能が検証されたが、海軍と統合キル・ウェブを構築し、閉鎖するためのチームと参謀向けの高度な集団的技能訓練を拡大する必要性も再認識された。

訓練・教育コマンド(TECOM)は、O-6(大佐)レベルの参謀(海兵遠征隊(MEU)、海兵沿岸連隊(MLR)、連隊)を対象とした集団的技能教育プログラム(POI)を更新または開発し、火力・効果調整センター(FECC)や艦隊海上作戦センター(MOC)の参謀を含む可能性のある他の階層の現在のギャップを埋めるための追加オプションを検討するよう、遠征戦訓練グループ(EWTG)を推進している。

さらに、ここ数年の軍種、統合、海軍の演習において、訓練・教育コマンド(TECOM)の海兵空地タスク部隊(MAGTF)参謀訓練プログラム(MSTP)は、第3指揮階層(Echelon III)(海兵遠征軍(MEF))と第4指揮階層(Echelon IV)(主要隷下コマンド(MSC)/タスク・グループ)の戦闘作戦センター(COC)を、C5ISRTを通じて全ドメイン諸兵科連合を実施する上で重要な能力として特定した。また、戦闘作戦センター(COC)向けの標準化された訓練と認定が不足していることが、訓練と教育(T&E)の連続性におけるギャップであるとも指摘した。2025米会計年度(FY25)第4四半期までに、訓練・教育コマンド(TECOM)は海兵空地タスク部隊参謀訓練プログラム(MSTP)内に海兵隊遠征軍作戦センター訓練チーム(MOC-TT)を設置し、第3指揮階層(Echelon III)および第4指揮階層(Echelon IV)の戦闘作戦センター(COC)に対し、複雑な統合環境における海兵隊遠征軍(MEF)レベルのマルチ・ドメイン作戦の計画と指揮・統制(C2)に関する訓練と認定を行う。これには、プログラム・オブジェクティブ・メモランダム(POM)26の中で、支援するリソーシング戦略をプログラムすることも含まれる。

同期化 – 軍種、海軍、統合部隊の組織を超えた内部および外部との同期化

訓練・教育コマンド(TECOM)は、訓練と教育(T&E)がキル・ウェブや全ドメイン諸兵科連合に関連する進行中のフォース・デザイン・イニシアティブの「高速で追随(fast follow)」し続けることを確実にするために、軍種、海軍、統合部隊の統合(一体化)を強化してきた。

訓練・教育コマンド(TECOM)は統合参謀と積極的に調整し、特定された訓練と教育(T&E)ギャップを埋めるために、海上作業グループ(MWG)を通じて海軍理事会に通知する。海上作業グループ(MWG)の勧告に基づき、海軍理事会は海軍と海兵隊のための海上火力執行機関(EA)を設立し、6月に米太平洋艦隊司令官をこの職務に任命した。執行機関(EA)は、海軍全体の海上火力に関連する人員、訓練、装備要件を同期化する責任を負う。

プロジェクト・トライデントは、2023年「フォース・デザイン2030(FD2030)」年次更新で説明・指示された海兵空地タスク部隊(MAGTF)の指揮・統制(C2)実験、ウォーゲーミング、能力開発と密接に関連している。訓練・教育コマンド(TECOM)は海兵隊用兵研究所(MCWL)と協力し、「LVC実験環境(LVC-EE)」※5と「バーチャル・スタンド・イン・フォース(VSiF)」を開発している。「LVC実験環境(LVC-EE)」において、「バーチャル・スタンド・イン・フォース(VSiF)」は標準的な指揮・統制(C2)システムを仮想化し、コンストラクティブ・シミュレーションとウォーゲーム・ツールを接続することで、指揮官や参謀が実験を行い、新しい戦術、技法、手順(TTP)をテストできるようにする。これは、増大する作戦シナリオとビネットのリポジトリを使用して、脅威情報に基づいたコンセプト主導の戦闘訓練を実施する機能を提供する。この結果、キル・ウェブ・アクションの反復を、より速い速度で、訓練中に経験する典型的な制限要因なしに実行することができる。この制限要因には、機器のセットアップと撤収、通信ネットワークの確立、船舶と航空機の利用可能性、広範な演習統制要件などが含まれる。

※5 LVCとはLive、Virtual、Constructiveの略であり、訓練用シミュレーションの利用形態を表す。米海兵隊のCombat Development & Integrationの資料では、ライブ・シミュレーション(Live simulation)とは、「本物のシステムを本物の人間が操作する。実際の装備を使用する軍事訓練イベントは、ライブ・シミュレーションである。実際の敵に対して行われるわけではないので、シミュレーションとみなされる」とある、バーチャル・シミュレーション(Virtual simulation)とは、「実際の人間がシミュレートされたシステムを操作する。バーチャル・シミュレーションでは、運動制御、意思決定スキル、コミュニケーション・スキルを行使することにより、人間が中心的な役割を果たす」とあり、コンストラクティブ・シミュレーション(Constructive simulation)とは、「シミュレートされたシステムを操作するシミュレートされた人々を含む。実際の人間は、このようなシミュレーションを刺激(入力)するが、結果の決定には関与しない。コンストラクティブ・シミュレーションとは、コンピュータ・プログラムのことである」と定義している。

実験環境の中で、「LVC実験環境(LVC-EE)」と「バーチャル・スタンド・イン・フォース(VSiF)」は、戦闘開発統合(CD&I)の唯一の全ドメイン海兵空地タスク部隊(MAGTF)指揮・統制(C2)能力の進歩に情報を提供している。最近の海軍統合LVC演習(NILE)でも、キル・ウェブを閉じる熟練度を高め、維持するのに不可欠なセットと反復練習を海兵隊員に提供する効果的な訓練資源としての「バーチャル・スタンド・イン・フォース(VSiF)」の可能性が示されている。この高度な能力を艦隊海兵部隊(FMF)に提供するため、海兵隊用兵研究所(MCWL)は2024米会計年度(FY24)中に「バーチャル・スタンド・イン・フォース(VSiF)」装置と海兵隊遠征軍(MEF)バトル・シミュレーション・センターへの配備を開始する予定である。訓練・教育コマンド(TECOM)は、海兵隊用兵研究所(MCWL)、海軍情報戦センター(NIWC)-大西洋、海兵隊戦術システム支援活動、および艦隊海兵部隊(FMF)との協力を継続し、「LVC実験環境(LVC-EE)」と「バーチャル・スタンド・イン・フォース(VSiF)」が提供する能力を活用するとともに、実行可能で効果的なLVC訓練能力を部隊に迅速に提供するため、プロジェクト・トリポリとの取組みの統一を確保する。これらの補完的な取組みの統合を推進するため、訓練・教育コマンド(TECOM)は海兵隊の「LVC訓練環境(LVC-TE)」開発のための執行機関(EA)としての役割を果たし、資源を最大限に有効活用し、実戦配備のスケジュールを早める。

訓練・教育コマンド(TECOM)は8月、第2回年次諸兵科連合訓練教育(CATE)会議を開催した。艦隊海兵部隊(FMF)と海兵隊司令部(HQMC)の参加者は、統合を強化し、プロジェクト・トライデントの短期および長期の目標を達成する方法について協力した。この会議では、ターゲティング・ドクトリンの更新、キル・ウェブのための軍事特技(MOS)およびクロス軍事特技(MOS)ロードマップ、訓練と即応性(T&R)マニュアルの改良、さらに、適切性、受容性、実現可能性を評価中の軍種レベル訓練演習(SLTE)の改善など、訓練と教育(T&E)の連続性にまたがる数多くの潜在的イニシアティブが得られた。この会議の結果、海兵隊教訓学習センターは、プロジェクト・トライデントのアプローチを改良し、継続的な計画策定に役立てるため、学習キャンペーンに複合収集重点分野(Combined Collections Focus Area)を導入することになった。

専門的軍事教育(PME)

プロジェクト・トライデントに情報を提供するための今後の活動には、学術的な調査も含まれる。訓練・教育コマンド(TECOM)は、2023-24年常駐の専門軍人教育学生を招聘し、彼らの知識、経験、観点を活用し、海兵隊の訓練と教育(T&E)をどのように近代化すればキル・ウェブをよりよく実現できるかについて検討している。今後の取組みとしては、eラーニング・エコシステム(eLE)と継続教育プログラムを活用し、複合戦(Composite Warfare)司令官、海上戦空間デザイン、分散型海上作戦(DMO)といった海上用兵コンセプト(maritime warfighting concepts)に触れる機会を増やすことが挙げられる。

プロジェクト・トリポリ

能力や編成が射場や訓練場の物理的限界を超えるにつれ、任務必須タスク(MET)の反復回数を増やし、作戦任務のリハーサルを実施するために、各階級の部隊のための包括的な訓練環境を整えなければならない。

プロジェクト・トリポリ(Project Tripoliは、海兵隊が現在遭遇し、将来の戦場でも遭遇するであろう同様の状況、脅威、能力を再現した、拡張性のある全ドメインの環境を提供する、将来の諸兵科連合訓練場である。「LVC訓練環境(LVC-TE)」は、射撃場、機器、シミュレータ、構成部隊からのデータを完全に統合し、地理的に分散した海兵隊、統合部隊、パートナー国の部隊間のリアルタイムな相互作用を可能にする。「LVC訓練環境(LVC-TE)」は、安全上のリスクを軽減し、訓練費を最大限に活用し、重要な用兵能力(warfighting capabilities)が敵対者にさらされるのを最小限に抑えることができるため、ゲーム・チェンジャーとなるだろう。

2022年、訓練・教育コマンド(TECOM)は「フォース・デザイン2030(FD2030)」の目標とスケジュールに合わせて、「LVC訓練環境(LVC-TE)」の開発と装備化戦略を加速させた。我々は従来型の訓練システムと訓練シミュレーションを売却し、政府および市販のソリューション(GOTS/COTS)の採用を進めている。統合LVC環境は現在、アーキテクチャとして機能し、海軍継続訓練環境は地理的に分散した訓練サイトを結ぶサポート・ネットワークとなる。遅くとも2024米会計年度(FY24)第4四半期までには、29パームス(29 Palms)キャンプ・ペンドルトン(Camp Pendleton)キャンプ・ルジューン(Camp Lejeune)海兵隊ハワイ基地と海兵隊沖縄基地の5カ所に初期「LVC訓練環境(LVC-TE)」能力を配備する。この能力は、技術や資源が利用可能になるにつれて改善され、さらに多くのサイトに拡張される予定である。

我々は、従来型の「戦術交戦シミュレーション・システム-計装型(Instrumented-Tactical Engagement Simulation System :ITESS)」を売却する。海兵隊戦術計測システム(MCTIS)は、LVC訓練の「ライブ(Live)」面を構成し、その実戦投入は「LVC訓練環境(LVC-TE)」の継続的成功の決め手となる。この次世代計装システムは、穏和な訓練区域を代表的な部隊対抗戦闘区域(force-on-force combat zone)に変える。海兵隊戦術計測システム(MCTIS)には3つのコンポーネントがある:人員用(MCTIS-P)、車両用(MCTIS-V)、兵器代用(MCTIS-WS)である。リーダーの認知技能に挑戦し、戦闘の意思決定を強化し、その決断の結果を強化し、一般的に学習を加速させる理想的な環境を提供する。2024米会計年度(FY24)の第3四半期までに、各海兵隊遠征軍(MEF)と海兵空地タスク部隊訓練コマンド(MAGTF-TC)は、1つの「LVC訓練環境(LVC-TE)」統合大隊用の「海兵隊戦術計測システム-人員用(MCTIS-P)」を受け取る。その後、大隊セットが追加され、2026米会計年度(FY26)末までに完全な運用能力を達成する予定である。訓練・教育コマンド(TECOM)はすでに3月に「海兵隊戦術計測システム-車両用(MCTIS-V)」の試作を開始しており、2024米会計年度(FY24)には「海兵隊戦術計測システム-兵器代用(MCTIS-WS)」の試作を行う予定である。

訓練・教育コマンド(TECOM)が分散型作戦を実施するための射場、訓練場、空域の要件を分析する中で、国防総省(DoD)および国防総省以外の射場や訓練場を使用可能かどうかを確認している。2023年初頭、訓練・教育コマンド(TECOM)は第1海兵遠征軍(I MEF)、第2海兵遠征軍(II MEF)、第3海兵遠征軍(III MEF)の視察を行い、要件を収集し、障害や欠陥を特定した。訓練・教育コマンド(TECOM)は通常、地域レベルで演習場複合管理計画(Range Complex Management Plan :RCMP)を策定するが、2024年3月までに最終決定される軍種レベルの演習場複合管理計画(RCMP)を策定し、その調査結果と勧告を公表する予定である。

訓練・教育コマンド(TECOM)は、戦争のような状況をシミュレートするモジュール式でスケーラブルな電磁スペクトル作戦(EMSO)システムの実用化を目指している。我々はすでに海兵隊航空地上戦闘センター(MCAGCC)で、スペース・ジャム(SPACE JAM)、マウス・パンツ、EC-130コンパス・コール、統合脅威発信機(Joint Threat Emitter)など、軍種レベルの訓練演習(SLTE)のための共同・契約ソリューションを採用している。これらの能力は、全地球測位衛星のスプーフィング、戦術無線の妨害、方向探知など、敵対者の電子戦能力を模倣したものである。現在および将来の作戦環境で遭遇するであろう、このような劣化した、混乱した、拒否された状況をシミュレートすることで、海兵隊員や部隊を、現実的な状況下で考え、決断し、行動しなければならないジレンマに陥れることができる。

また、訓練部隊に電磁スペクトラムのフットプリントをリアルタイムで視覚的に描写させることで、放熱監視(emissions monitoring)の熟練度を高めるために必要な戦術・技法・手順(TTP)を繰り返し、現在の迫りくる脅威(pacing threat)に対抗することができる。

シミュレーションは、比較的低コストで、リスクを軽減しながら、繰り返し実施可能なオプションであり、部隊に用兵技能(warfighting skills)の熟練度を高める機会を提供する。場合によっては、航空機からの水中脱出など、実環境では安全に再現できない訓練をシミュレーションで行うこともある。その他のケースでは、シミュレーションにより、統合末端攻撃管制官(JTAC)を訓練するための近接航空支援(CAS)出撃など、非常に限られた資源が節約される。訓練・教育コマンド(TECOM)は、海軍/海兵隊遠征艦船阻止システム(NMESIS)、長距離ミサイル(LMSL)発射能力、有機精密射撃搭載(OPF-M)弾薬システム、水陸両用戦闘車操縦手シミュレータなど、新たに実戦配備されたシステムをカバーするシミュレータの必要性を認識している。訓練・教育コマンド(TECOM)は2025米会計年度(FY25)までに、従来型のプラットフォームと新プラットフォームの年度事業計画(programs of record)を評価し、シミュレータが不十分または効果のないものを特定し、エグゼクティブ・オフサイト(EOS)に勧告を行う。

シミュレーションは航空訓練に不可欠な要素であるが、地上戦闘システムに関する訓練には、シミュレーションが必要なほど組み込まれていない。しかし、訓練と即応性(T&R)マニュアルにシミュレーションが必須要件または許容可能なオプションとして成文化されるまでは、実地訓練の補足として、あるいは特にリスクの高い訓練の場合には代替手段として、シミュレーションを十分に活用することはできない。地上システムについては、航空システムほど杓子定規になることはないかもしれないが、特定の訓練種目については、実地環境で試す前にシミュレーションで実施するよう指示する。2024米会計年度(FY24)からは、訓練・教育コマンド(TECOM)は、負傷者、災難、死傷者の発生率が高い地上訓練と即応性(T&R)イベントを特定し、これらのタスクの実地訓練を実施する前に、シミュレーションの前提条件を直接指示するか、あるいは特定のケースでは実地訓練の代わりにシミュレーションを実施する。訓練・教育コマンド(TECOM)は、2024米会計年度(FY24)末までに完成する予定のモーター輸送訓練と即応性(T&R)マニュアルから始めて、シミュレーションの組み込みを拡大し続ける。

2024米会計年度(FY24)より、訓練・教育コマンド(TECOM)はすべての新型シミュレータの機能レベルの独立検証・妥当性確認(IV&V)試験を実施し、シミュレータで実施可能な訓練と即応性(T&R)イベントと、海兵隊員がそれらの訓練と即応性(T&R)イベントを標準的に遂行できる程度を決定する。海兵隊システム・コマンド傘下の訓練システムのプログラム・マネージャー(PM TRASYS)は、技術レベルでの新しいシミュレータの独立検証・妥当性確認(IV&V)試験を引き続き実施する。独立検証・妥当性確認(IV&V)試験はいずれも、開発中の用兵能力(warfighting capability)(またはシミュレータ)が海兵隊に調達される前に実施される。

部隊と軍種レベルの訓練

我々は、全ドメインの能力を統合し、軍種レベルの訓練演習(SLTE)の範囲と訓練対象者を複数の階層に拡大し続けている。軍種レベルの訓練演習(SLTE)2-24と訓練演習(SLTE)5-24を皮切りに、海兵隊遠征軍(MEF)情報グループとその下部組織に信頼できる訓練の場を提供することで、情報作戦(information operations)を強化する。訓練・教育コマンド(TECOM)はすべての利害関係者と協力し、海兵空地タスク部隊(MAGTF)の全要素(特に兵站)の訓練機会を強化し、軍種レベルの訓練演習(SLTE)の規模を拡大して海軍と統合し、より上位の司令部を組み込むための選択肢を開発している。我々の主な課題は、連隊戦闘チーム(強化型)を中心とした複合タスク部隊のための演習戦力枠を安定させることである。部隊同期会議は軍種レベルの訓練演習(SLTE)に参加する部隊を決めるのに効果的だが、部隊は艦隊海兵部隊(FMF)の行事や関心事と競合するため、演習ライフ・サイクルの後半になってもキャンセルを続けている。共通の目標を達成するため、訓練・教育コマンド(TECOM)は第1海兵隊遠征軍(I MEF)および第1海兵師団(1st MARDIV)と協力し、スティール・ナイト(STEEL KNIGHT)演習、ドーン・ブリッツ(DAWN BLITZ)演習、軍種レベル訓練演習(SLTE)2-25の各演習を1つのイベントに統合し、海軍機動部隊/タスク・グループを訓練する可能性がある。

海兵空地タスク部隊訓練コマンド(MAGTF-TC)は、海兵隊兵站作戦群(MCLOG)と海兵隊戦術作戦群(MCTOG)にまたがる艦隊支援チームと連携して、艦隊支援プログラム(Fleet Support Program :FSP)を公式化している。このプログラムは、移動型訓練チーム(mobile training team :MTT)を海兵隊遠征軍(MEF)の拠点に直接派遣することで、軍種レベルの訓練演習(SLTE)に参加する前の部隊のワークアップ訓練を支援するものである。海兵空地タスク部隊訓練コマンド(MAGTF-TC)は、艦隊海兵部隊(FMF)に軍種レベルの訓練演習(SLTE)のような訓練をさらに進めるため、移動型訓練チーム(MTT)を派遣する能力を拡大し続ける。2024米会計年度(FY24)末までに、海兵空地タスク部隊訓練コマンド(MAGTF-TC)は、(教訓に裏付けられた)艦隊支援プログラム(FSP)の拡張可能なコンセプトを、完全負担のコスト見積りとともにエグゼクティブ・オフサイト(EOS)に提示する。

艦隊支援プログラム(FSP)の成熟に加え、海兵空地タスク部隊訓練コマンド(MAGTF-TC)は、我々の高等研究センター(centers of excellence)―海兵隊戦術作戦群(MCTOG)、海兵隊兵站作戦群(MCLOG)、海兵航空兵器戦術飛行隊(MAWTS-1)、山岳戦訓練センター(MWTC)、遠征戦訓練グループ(EWTG)-で提供される高度な個人訓練が、「フォース・デザイン2030(FD2030)」と訓練・教育(TE)の基本文書および年次更新に完全に合致していることを確認し、移動型訓練チーム(MTT)を採用して世界中の艦隊海兵部隊(FMF)拠点に輸出している。その意図は、艦隊海兵部隊(FMF)の訓練や実験への支援を拡大するだけでなく、軍種レベルの訓練演習(SLTE)の継続的な改善と進化につながる教訓を引き出すことにある。

新しい用兵・訓練システム(warfighting and training systems)を導入し、近代化された訓練コンセプトを採用する際には、海兵隊員がこれらを訓練に取り入れる方法を理解できるようにしなければならない。海兵隊行政文書(MARADMIN)144/23は、新しい7-20Aシリーズの出版物を発表した。この出版物は、部隊訓練のデザイン、計画、実行、文書化について、すべての階級と階層のリーダーに使いやすい指針を提供する。このシリーズは、2つの海兵隊訓練出版物(MCTP)-8-10A(部隊訓練管理(UTM)ガイド)と8-10B(訓練の実施方法)-に代わるものである。艦隊海兵部隊(FMF)が常に進化し、歩調を合わせることができるように、受入部隊は公式な学校にフィードバックを提供する義務がある。海兵隊命令(MCO)1553.3C 部隊訓練管理(UTM)プログラムは、すべての個人的訓練および集団的訓練を記録するために海兵隊訓練情報管理システム(MCTIMS)を使用するよう部隊に指示し、公式な学校事後調査に回答するよう部隊に要求する。

訓練地域とインフラ

我々は、「フォース・デザイン2030(FD2030)」が推進する訓練要件の拡大を支援するため、すべての施設の空域を見直している。訓練・教育コマンド(TECOM)は東、西、太平洋の海兵隊施設と連携して、海兵隊の特殊空域に関する現在の取組みを文書化し、5月に空域運用審査委員会(ORB)がこれを審査した。訓練・教育コマンド(TECOM)は、航空担当副司令官(DC, Aviation)および基地・兵站担当副司令官(DC, Installations and Logistics :I&L)の支援を受け、空域運用審査委員会(ORB)覚書を更新し、「フォース・デザイン2030(FD2030)」を支援する空域イニシアティブの報告を行う。

訓練・教育コマンド(TECOM)は2022米会計年度(FY22)に海兵隊会報(Marine Corps Bulletin)1501「水中脱出訓練」を改訂し、海兵隊の水中環境での生存能力を向上させることを狙いとした新しく改訂された海兵隊水中生存訓練方針(海兵隊命令(MCO)1500.52E)を遅くとも2024年3月までに発表する予定である。海兵隊命令(MCO)の発行後、調整行動を含む海兵隊行政文書(MARADMIN)が発行される。これらの方針をサポートするため、訓練・教育コマンド(TECOM)は基地・兵站担当(I&L)と提携し、新しい要件を満たすために建設または変更が必要な水上訓練施設のリストを作成した。6月、軍事建設資本投資作業部会は、134の軍種のプロジェクトに優先順位をつけ、キャンプ・ルジューン下士官学校(SOI)プールを6位、次いで海兵隊クアンティコ基地プールを67位とした(決定前)。これらの政策を実行するために必要な能力を提供するために、海兵隊の訓練用戦車の整備を評価し、優先順位をつけ続けなければならない。

訓練・教育コマンド(TECOM)プロセスの進化

訓練と教育(T&E)は、ドクトリン、組織、訓練、資材、指導力、政策、施設、コスト(DOTMLPF-C)の各分野にわたって、能力開発、人員管理、資源調達の決定と完全に統合されなければならない。訓練・教育コマンド(TECOM)は3つ星司令部に昇格して以来、海軍および統合部隊全体の訓練と教育(T&E)開発への関与を再評価し、海兵隊事業全体の統合を高めるために内部プロセスを大幅に改善した。

3つ星のコマンドに昇格した後、訓練・教育コマンド(TECOM)の司令官(CG)は、海兵隊司令部(HQMC)内の副司令官(DC)として機能する責任に加え、5つの下級将官を指揮する司令部を持つ司令官(CG)としての役割も担うことになった。この副司令官(DC)の役割は、訓練と教育(T&E)事業全体の将来のリーダーたちが、海軍および統合事業全体にわたって訓練と教育(T&E)の「上と外(up-and-out)」の統合を拡大し続けられるように、成文化されなければならない。同時に訓練・教育コマンド(TECOM)は、データや利害関係者の意見を分析し、プログラムを厳しく評価し、適切で標準に基づいた訓練と教育(T&E)をタイムリーに提供することで、「下と中(down-and-in)」に目を向けている。訓練・教育コマンド(TECOM)の「上と外(up-and-out)」の役割の範囲と「下と中(down-and-in)」の責任に必要な管理範囲を考えると、訓練・教育コマンド(TECOM)は訓練と教育(T&E)のビジョンを実現するために最も効果的に取組みのバランスをとり、行動を推進する副司令官(Deputy CG)を必要とする。訓練・教育コマンド(TECOM)が進化を続けるのと同様に、訓練と教育(T&E)能力がすべての海兵隊と部隊にとってより利用しやすく、再現可能で、挑戦的であることを確実にするために、近代化投資の効果を測定し続ける。

能力開発、能力の配信、能力の維持

我々は、訓練・教育コマンド(TECOM)の拡大された役割と責任を成文化するとともに、訓練と教育(T&E)を海兵隊の他の合衆国法典第10編(Title 10)の「組織化」と「装備」機能とよりよく統合するプロセスを実施するために、海兵隊命令(MCO) 1553.1「海兵隊訓練・教育システム」を改訂した。この変更は、既存の事業能力ベース、人的資本、人材調達プロセスにおける要件管理に対応する訓練・教育資源管理システム(Training and Education Resource Management System :TERMS)を補完するものである。

訓練・教育コマンド(TECOM)は、ドクトリン、組織、訓練、資材、指導力、政策、施設、コスト(DOTMLPF-C)作業部会でドクトリンと訓練と教育(T&E)の柱を代表し、事業全体のイニシアティブを分析し、吟味し、それを実施するための行動と資源を特定し、組織がそれに応じて資源を申請し、配置するのを支援する。訓練・教育コマンド(TECOM)は訓練・教育資源管理システム(TERMS)プロセスを導入し、資源を必要とする特定の訓練と教育(T&E)要件を分析し、優先順位をつけるためのシングル・ポイントとして機能している。公式な学校は現在、訓練・教育資源管理システム(TERMS)プロセスを通じて、資源不足や能力の限界を伝えるために、サポート可能性の見積りを提出することが義務付けられている。ユニバーサル・ニーズ・プログラムからのインプットを受け、訓練・教育資源管理システム(TERMS)は訓練・教育コマンド(TECOM)の内部プロセスを通じて、訓練と教育(T&E)ギャップに対する意図的、全体的、持続的な解決を確実にするため、リクエストのチャンネルとトラッキングを行う。また、より広範で組織的な資源を必要とするニーズや、構造的な意味合いを含むニーズについては、必要に応じて部隊構成や能力開発プロセスに移行する前に、訓練・教育コマンド司令官(CG TECOM)の承認が得られるようにすることで、解決を促進する。

訓練・教育コマンド(TECOM)は海兵隊戦力開発システム内の要件移行プロセスにおける署名利害関係者であり、成熟して実戦配備されるイニシアティブを監視・支援する人員・人事・訓練統合製品チームの常任メンバーである。訓練・教育コマンド(TECOM)はまた、演習場および非標準訓練システムの要件および資源提供者としての役割も果たす。昨年、我々は訓練・教育コマンド(TECOM)の能力開発の役割と責任を、海兵隊命令(MCO) 5000.27「取得と維持プロセスに関する海兵隊の役割と責任」の新しい訓練付属書に成文化した。

訓練と教育(T&E)事業全体のリーダーとして、訓練・教育コマンド(TECOM)は自立型(stand-alone)訓練と教育(T&E)ソリューションの要件開発を担当し、戦闘開発統合(CD&I)の用兵システム(warfighting systems)要件プロセスにおいて訓練システムとイネーブラの要件を推進する。訓練・教育コマンド(TECOM)は訓練・教育資源管理システム(TERMS)を要求検証プロセスとして使用し、部隊のための自立型(stand-alone)訓練と教育(T&E)ソリューションの迅速な開発を最適化する。訓練・教育コマンド(TECOM)と戦闘開発統合担当副司令官(DC, CD&I)は、訓練・教育資源管理システム(TERMS)プロセスと訓練と教育(T&E)要求開発における訓練・教育コマンド(TECOM)の役割を、海兵隊の戦力開発と統合の方針に成文化する。これらの訓練と教育(T&E)ソリューションをタイムリーかつ持続可能な方法で部隊に提供するためのプロセスをさらに合理化する方法を決定するために、訓練・教育コマンド(TECOM)、海兵隊システム・コマンド、および「訓練システムのプログラム管理者(PM TRASYS)」間の統合を改善するための勧告をもたらす第三者監査を委託する。最後に、プロジェクト・トライデントをモデルとして、訓練・教育コマンド(TECOM)と軍種の「学習キャンペーン」を統合し、訓練・教育コマンド(TECOM)の他のイニシアティブが同様の整合性と牽引力を獲得できるようにする。

これらの措置は遅くとも2025米会計年度(FY25)中には完了する予定である。

プログラム評価

海兵隊大学(MCU)は、艦隊フィードバック・プログラム(FFP)を通じて、プログラム評価にフリートからの意見を取り入れている。その目標は、海兵隊大学(MCU)の卒業生が、教育カリキュラムの質、価値、関連性に焦点を当てることで、艦隊海兵部隊(FMF)で必要とされる現在の、そして新たな特性を満たすようにすることである。艦隊フィードバック・プログラム(FFP)は、卒業生、スーパーバイザー、シニア・リーダーなど、多角的な視点からの意見を取り入れている。海兵隊大学(MCU)は第1海兵遠征軍(I MEF)、第2海兵遠征軍(II MEF)で2回の運用試験を完了し、第3海兵遠征軍(III MEF)は2024米会計年度(FY24)に完了する予定である。

訓練・教育コマンド(TECOM)はまた、「LVC訓練環境(LVC-TE)」への投資や、初級レベル訓練(ELT)、公式学習センターの教育プログラム(POI)、ホームステーション訓練イネーブラの修正に関する決定に役立てるため、ホームステーション訓練支援に関する艦隊からのフィードバックを直接収集している。軍種レベルの訓練演習(SLTE)におけるネガティブなパフォーマンス傾向の特定に加え、このインプットは、海兵空地タスク部隊(MAGTF)の用兵演習(Warfighting Exercises)における模擬の迫りくる脅威(pacing threat)に対抗するための演習部隊の取組みから浮かび上がった傾向を明らかにする。

評価

復元性は我々の即応性に直接貢献する。ピッツバーグ大学が実施した最近の研究によると、標準化されたレジリエンス・スケールで高得点を獲得した新兵は、低得点を獲得した新兵よりも離職率が低かった。このことは、士官候補生学校での追跡調査でも確認された。訓練・教育コマンド(TECOM)と海兵隊募集司令部は、この尺度を使用してストレスや有害な行動の影響を受けやすい可能性のある人をふるい分けることができるかどうかを決定する。これにより、離職率が低下し、投資収益率が向上する可能性がある。

海兵隊は過去にも、さまざまな要因が基礎学校の成績に影響するかどうかを評価し、基本術科学校(The Basic School :TBS)の成績と艦隊での成績との間に関連性がある可能性を特定するための調査を委託したことがある。

訓練コマンド(TRNGCMD)は戦闘開発統合(CD&I)と共同で、基本術科学校(TBS)の軍事職業専門職を割り当てるために使用される質の高い普及政策を調査するための新しい2段階研究を後援している。第一段階では、政策の継続を裏付ける量的証拠があるかどうかを評価する。既存のモデルに欠陥があることが判明した場合、第2段階では代替の割り当てモデルが作成される。第一段階の調査結果は訓練・教育コマンド(TECOM)と人材・予備役担当(M&RA)に2024米会計年度(FY24)第3四半期までに提出され、第二段階は2024米会計年度(FY24)第4四半期までに終了する予定である。軍団として、我々は調査、研究、実験の立場から革新を続けていく。

訓練・教育コマンド(TECOM)はその旗手であるが、艦隊海兵部隊(FMF)内で開発された訓練と教育(T&E)は訓練と教育(T&E)継続の不可欠な一部である。訓練・教育コマンド(TECOM)は、訓練と教育(T&E)事業全体における艦隊海兵部隊(FMF)主導の訓練の統合と拡大を確保することに全面的にコミットしている。現在、歩兵中隊長のみを対象としている師団リーダー評価プログラム(DLAP)は、強化の機会がある対象である。訓練・教育コマンド(TECOM)は、第2海兵師団(2nd MARDIV)、第1海兵遠征軍(I MEF)、計画・政策・作戦担当(PP&O)、および師団長評価プログラム(DLAP)担当将校と調整し、このプログラムを標準化し、すべての海兵師団(MARDIV)、主要な下位司令部、および軍事特技(MOS)に拡大する。次回の年次報告書で最新情報を報告する予定である。

現在の作戦環境において指揮官に課される要求は増大の一途をたどっており、厳格で反復可能な基準を維持する必要があるため、軍種レベルの訓練演習(SLTE)における指揮官と部隊のパフォーマンスに対する説明責任を確立することは、戦闘に耐えうる部隊を継続的に輩出する上で極めて重要である。グローバル・フォース・マネジメント(GFM)の競合する要求を考慮すると、我々は歴史的に、部隊のライフ・サイクルの同じ時点で軍種レベルの訓練演習(SLTE)のために部隊を一貫して割り当てることができず、一部の部隊が直ちに不利な立場に置かれていた。配備前の最終的な主要行事として軍種レベルの訓練演習(SLTE)に参加する部隊は、即応性が高水準にあり、好成績を収めるだろうが、配備から帰還した部隊は、部隊のライフ・サイクルの初期段階にあり、有機的な編成として、また、大規模な海兵空地タスク部隊(MAGTF)の作戦を支援する上では、あまり成功しない可能性が高い。グローバル・フォース・マネジメント(GFM)の要件に加え、複数の演習、作戦、海兵隊遠征軍(MEF)/主要下位司令部の演習が軍種レベルの訓練演習(SLTE)と競合するため、部隊は、時には軍種レベルの訓練演習(SLTE)で強調された海兵空地タスク部隊(MAGTF)の作戦と乖離する訓練目標に備えることが難しくなる。このような矛盾は、成功の確率、ひいては説明責任に影響を与える広範囲に及ぶ変数を生み出す。

海兵空地タスク部隊訓練コマンド(MAGTF-TC)は艦隊海兵部隊(FMF)と連携し、部隊の成功の可能性を高めるための選択肢を模索している。これには、集団的な最低基準の設定や、軍種レベルの訓練演習(SLTE)期間中の現役メンター・プログラムが含まれ、各部隊独自のニーズに合わせて膝を突き合わせて指導を行う。もう一つの選択肢は、艦隊海兵部隊(FMF)司令部と協力し、軍種レベルの訓練演習(SLTE)を実施する前に、部隊の軍種レベルの訓練演習(SLTE)実施態勢を評価することである。艦隊支援プログラム(FSP)の拡張は、部隊の軍種レベルの訓練演習(SLTE)準備を支援するための重要なイネーブラであり、プロジェクト・トリポリが進めるLVC機能は、軍種レベルの訓練演習(SLTE)のワークアップを強化するだけでなく、軍種レベルの訓練演習(SLTE)のための最新鋭の訓練・評価ツールを提供し、部隊がライフ・サイクルのどの段階にあるかに合わせて訓練を調整し、技能の上達を早める手助けをする。プロジェクト・トリポリ(Project Tripoli)の高度なアフター・アクション機能は、指揮官に即座にフィードバックを提供し、パフォーマンスのギャップを特定し、その分野でより多くのセットと反復を可能にする、より具体的な訓練計画を知らせるのに役立つ。

訓練・教育コマンド(TECOM)は、専門軍事教育(PME)と公式学習センターの評価方法とデータ管理システムに多大な投資を行い、プログラム改善のための意思決定に役立てている。人材・予備役担当(M&RA)は教育コマンド(EDCOM)と共に、観察されたアカデミック・フィットネス・レポートが専門軍事教育(PME)の焦点化と厳格化に寄与しているかどうかの評価に基づくポジション・ペーパーを起草した。人材・予備役担当(M&RA)はこの論文を次回のエグゼクティブ・オフサイト(EOS)で発表する予定である。

我々は、訓練と即応性(T&R)基準に情報を提供するために多くの情報源を利用している。その中には、訓練・教育コマンド(TECOM)の傾向補強・逆転プロセス、海兵隊の教訓学習プログラム、軍種レベルの訓練演習(SLTE)からの事後報告、海兵空地タスク部隊訓練コマンド(MAGTF-TC)からの情報などが含まれる。2022年に開催された第1回諸兵科連合訓練教育(CATE)会議では、この点が改善点として指摘された。諸兵科連合訓練教育(CATE)会議のメンバーは、訓練と即応性作業部会(TRWG)や課程内容審査委員会(Course Content Review Board)において、初級レベル訓練(ELT)、上級歩兵訓練、専門軍事教育(PME)、軍種レベルの訓練演習(SLTE)にまたがる同様の教育プログラム(POI)を取り上げ、行動の統一と教訓の一貫した注入を確保することを推奨した。もう一つの勧告は、訓練と教育(T&E)の不足、ギャップ、および要件の一貫した、効果的かつ効率的な特定を確実にするために、演習と実験にわたって一つの評価ツールを開発し、適用することであった。訓練・教育コマンド(TECOM)は来年、これらの提言の実現可能性を検討する。

訓練・教育コマンド(TECOM)は計画.政策・作戦担当(PP&O)と協力し、評価の厳密性と忠実性を高めることで、最終的に即応性報告を改善し、傾向分析に基づいて訓練演習での部隊のパフォーマンスをよりよく予測できるようにする。その結果、そのような事態が発生するタイミングや資源に関する決定が下され、即応性のギャップを緩和、あるいは回避することができる。訓練・教育コマンド(TECOM)は、予測分析業務と歩兵海兵課程(Infantry Marine Course :IMC)限定定量アセスメント手法から学んだ教訓を活用し、過去10年間の初級レベルの減少データを理解し、効果的にリスクを軽減する手助けをする。

海兵隊の訓練待機者の削減

訓練コマンドは関係者と協力し、訓練待機海兵隊員(MAT)の滞留を減らすためのいくつかの方法を導入している。これには、自主的な再分類、代替訓練、許可制採用担当者支援プログラム(PRASP)などが含まれる。

長期間待機している人については、育成不足に陥っている職種に自主的な組み替えを提案し、すぐに新しい校舎に送り出している。その他の海兵隊員は、飛行訓練を待つ間、遠征戦学校のセミナーに出席する将校や、艦隊海兵部隊(FMF)を補強し、資金提供のない臨時追加義務を利用して施設部隊を支援するなど、訓練に参加している。

新兵訓練を卒業する前に、訓練コマンドは、海兵戦闘訓練とフォロー・オン・スクールの間の待機時間が10日を超える者を特定し、許可制採用担当者支援プログラム(PRASP)に割り当てている。この一時的な割り当ては、海兵隊員に実りある学習体験を提供すると同時に、校舎の資源需要を軽減する。

我々は、高い離職率と再利用率が訓練待機海兵隊員(MAT)の滞留を増加させる一因となっていることを認識している。データをうまく活用することを学べば、症状ではなく問題の根源に対処する、より良い政策につながるだろう。

プロジェクト・トライアンフを通じて、訓練・教育コマンド(TECOM)と人材・予備役担当(M&RA)はスループットを向上させるための潜在的な効率化について協力を続けている。

ドクトリンと標準

2020年のドクトリン・プロセスの近代化によって、訓練・教育コマンド(TECOM)は新しいドクトリンと「フォース・デザイン2030(FD2030)」が推進する大きな変化に対応する能力を急増させることができる。訓練・教育コマンド(TECOM)は、これを達成するために必要な資源を含め、24ヶ月以内に改訂すべき27の出版物の海兵隊優先リストを発表した。これらの多くは現在改訂中である。海兵隊用兵刊行物(MCWP)8-10「海兵隊の作戦における情報」は、「情報環境における作戦(Operations in the Information Environment)」に取って代わり情報担当副司令官(DC, Information)から10月に出版される予定である。新しいドクトリン出版物は現在開発中である。そのひとつが、海兵隊参考刊行物(MCRP)3-10.3「小型無人航空機システムの運用」であり、重要なイネーブラの改訂も必要である。海兵隊は水陸両用作戦の専門家として、海兵隊員に対し、現在および将来の作戦環境の実情に合致した水陸両用防衛と上陸作戦の原則に関する実践的な基本水準を提供し、海軍、統合、連合、パートナーのドクトリンの策定に情報を提供する。最近更新されたドクトリンとコンセプトは、軍事専門家が訓練、教育、作戦においていかに重要なタスクを遂行し、行動を導くべきかについて、共通の最新の辞書を提供するものである。これらの措置は2025米会計年度(FY25)までに完了する予定である。海兵隊用兵刊行物(MCWP)3-10、海兵空地タスク部隊(MAGTF)地上戦闘作戦(旧艦隊海兵隊マニュアル6)は2017年に最後に改訂され、現在改訂の時期であるが、艦隊海兵部隊(FMF)の27の優先事項の中に入っていないことから、これは2年延長される。我々は、フォース・デザインと歩調を合わせるために、海兵隊のドクトリンを更新し続ける。

「訓練と教育2030(TE2030)」の中核文書と年次報告書は、海兵隊陸上訓練と即応性(T&R)プログラムに対し、即応性にもはや寄与しない要件の廃止を含む、迅速な変革の実施を指示している。海軍海兵隊(NAVMC) 3500.106Aに規定されているように、訓練・教育コマンド(TECOM)はこのプログラムを年3回の更新からオンデマンドスケジュールに移行し、任務必須タスク/任務必須タスク・リスト(MET/METL)のレビュー・プロセスと整合させることで一貫性を高め、相乗効果を生み出した。2023年初頭、訓練・教育コマンド(TECOM)は戦闘開発統合(CD&I)および第3海兵沿岸連隊(III MLR)と調整し、第3海兵沿岸連隊(III MLR)本部部、沿岸戦闘チーム、戦闘兵站大隊、および沿岸対空大隊のための87の評価コード化(Eコード化)訓練と即応性(T&R)イベントで構成される海兵隊沿岸連隊(MLR)のための実験的マニュアルを発行した。このマニュアルはその後、96のイベント(うち86はEコード化されたもの)で改良され、海兵隊訓練情報管理システム(MCTIMS)にアップロードされた。これは、2024米会計年度(FY24)第2四半期の第3回および第12回海兵隊沿岸連隊(MLR)レビューのベースラインとなる。

訓練・教育コマンド(TECOM)は、初期の分析段階で「訓練と即応性作業部会(TRWG)」を導くために、地上での訓練と即応性(T&R)の教訓を導入した。これらの教訓には、個々の訓練種目と修正案の分析、コア技能とコア・プラス技能の検証、新しい装備、プラットフォーム、コンセプトの結果としてのドクトリンとの整合性、「フォース・デザイン2030(FD2030)」の実施に伴う依存関係の特定、海兵隊事故ライブラリー(Mishap Library)にカタログ化された情報への種目のリンク、シミュレーションによるサポート可能性などが含まれる。

さらに、新しい訓練と即応性(T&R)ダッシュボードは、タスクアナリストや「訓練と即応性作業部会(TRWG)」が行っている作業を視覚的に表現し、部隊の任務必須タスク・リスト(METL)や、ドクトリン、参考文献、シミュレーション装置、OJT、遠隔学習などの学習資源を個々の訓練イベントにリンクさせることで、資源の決定を知らせる。

「訓練と即応性作業部会(TRWG)」は、学んだ教訓や実験結果を取り入れながら、混乱し、断絶し、断続的で低帯域幅の環境における迫りくる脅威(pacing threat)に対する行動の観点から、集団的訓練イベントに取り組んでいる。歩兵「訓練と即応性作業部会(TRWG)」は7月に召集され、過去24ヶ月の海兵空地タスク部隊(MAGTF)用兵演習(MWX)の教訓をもとに、「フォース・デザイン2030(FD2030)」の要求をさらに取り入れる予定である。

フィットネス

訓練・教育コマンド(TECOM)は人材・予備役担当(M&RA)を支援し、体力、精神、社会、スピリチュアルなドメインを含む海兵隊の総合フィットネス戦略を策定した。海兵隊命令(MCO)の中で成文化される要件を含むこの戦略は、家族や地域社会の幸福を支援しながら、個人と組織の用兵の即応性(warfighting readiness)、致死性、復元性を最適化する人的パフォーマンス能力の相互依存システムを構築するための枠組みを提供する。

1980年代以来の体組成基準の最大規模の調査を受けて、海兵隊総司令官は先進的な人的パフォーマンス技術をプログラムに取り入れることを許可した。生体電気インピーダンス分析装置は現在、海兵隊全体に配備され、個人の体組成をより正確に評価し、海兵隊員が独自のデータに基づいて健康とフィットネスを強化する際の選択に役立つ追加情報を提供する。

これらの変更は、海兵隊の体組成および軍事的外見プログラム命令に組み込まれている。海兵隊の人的能力に関する方針、基準、要件は、常に分析、評価、そして必要であれば修正される状態にある。これは、一般的なフィットネス・テスト、職業的フィットネス・テスト、体組成評価、武道(martial arts)、ウォーター・サバイバル、フォース・フィットネス・インストラクター・プログラムに適用され続ける。

人材(才能)管理との同期

「訓練と教育2030(TE2030)」と「人材(才能)管理2030(Talent Management 2030:TM2030)」の取組みには、海兵隊員を中心に据えるという共通項があり、プロセスを人々のために役立てるというコミットメントを示している。訓練・教育コマンド(TECOM)と人材・予備役担当(M&RA)は、特殊技能を持つ人材を選別し、訓練し、競争力のある階級で海兵隊に移行させる方法を開発している。人材・予備役担当副司令官(DC, M&RA)が海兵隊人材獲得プログラム(MCTAP)を発表する。海兵隊人材獲得プログラム(MCTAP)は、海兵隊と予備役海兵隊への民間人横入りのためのロードマップを提供し、構成員を変更する。

海兵隊員は、将校と下士官の両方が横移動に応募できる。これらの移行を承認するための考慮事項には、現在の軍事特技(MOS)の健全性、希望する軍事特技(MOS)の構成スペース内での許容範囲、等級、および個人の総合的な成績記録が含まれる。主軍事特技(primary MOS)の変更を希望する個人に対して、訓練・教育コマンド(TECOM)は現行の方針と公式学習センターの能力の範囲内で、この移行を促進する用意がある。海兵隊行政文書(MARADMIN)、ロードショー、主要なリーダーの関与、タウンホールでは、こうした機会を随時宣伝している。横方向への異動(Lateral movers)は、新たな視点や経験、ベテランのリーダーシップ、仲間同士のメンターシップをもたらすことで、学習環境の質の向上に貢献している。

訓練・教育コマンド(TECOM)は、海兵隊再先任上級曹長(Sergeant Major of the Marine Corps)と連携して、現在の下士官専門軍事教育(EPME)のロードマップを評価し、専門能力開発の補完的な要素として、専門軍事教育(PME)と軍事特技(MOS)技能向上の間のギャップを解消し、効率を高める方法を検討している。現在検討されているのは、専門軍事教育(PME)イベントを統合することでロードマップを合理化し、各階級で異なる専門軍事教育(PME)課程に出席する必要性をなくすことである。専門軍事教育(PME)の一連の流れの中で「タッチポイント」の数を減らすことで、指揮官が経験する、作戦や訓練の要件と海兵隊員のケアとの両立という課題を減らすことができる。また、階級の多様性を考慮し、より少ない課程で卓越した指導に重点を置くことで、より充実した学習体験を提供する。さらに、人材・予備役担当(M&RA)をサポートするため、訓練・教育コマンド(TECOM)は軍事特技(MOS)技能の向上を奨励し、すべてのコミュニティで軍事特技(MOS)向上の機会を拡大するためのオプションを特定している。10年以上前、我々の兵站コミュニティは、整備士、車両運転手、サプライ・チェーン・マネージャーを対象とした業界認証を導入した。このイニシアティブは、同じ機会をより多くの地域に広げるものである。訓練・教育コマンド(TECOM)と人材・予備役担当(M&RA)は、教育コマンド(EDCOM)、海軍コミュニティ・カレッジ(U.S. Naval Community College)、その他の専門家と会合を持ち、マイクロ・クレデンシャル※6と業界認定について話し合っている。2024米会計年度(FY24)の終わりまでには、人材・予備役担当(M&RA)は計画・資源担当副司令官(DC, P&R)に、完全負担のコスト見積りと実施戦略を提供する。これらは、優秀な人材を育成し維持し、海兵隊員のモチベーションを維持するための絶好の機会である。

※6 マイクロ・クレデンシャルとは、文部科学省の中央教育審議会大学分科会審議資料によると、「『ナノ学位』、『マイクロマスター・クレデンシャル』、『サーティフィケート』、『バッジ』、『ライセンス』、『エンドースメント」など、さまざまな形態のクレデンシャルを包含する用語。その名が示すように、マイクロ・クレデンシャルは、従来の学位などよりもはるかに小さな学習モジュールに焦点を当てているため、学習者は短期間で必要な学修を完了することができる。最も発展した形では、マイクロ・クレデンシャルは、単なる小規模な学習モジュールの認識以上のものとなる。マイクロ・クレデンシャルは、デジタル通信技術が、ある学習者がどのような知識を持ち何ができるのかについての情報を共有することができるような、関係者のネットワークをデジタル・コミュニケーション技術によって確立することによって可能になったデジタル・クレデンシャル・エコシステムの一部分となる(Milligan and Kennedy, in James et al., 2017)」とある。

結論

我々はこの1年、多くのことを学び、達成したが、重要な訓練と教育(T&E)能力をより早く部隊に提供するために、もっと努力しなければならない。この取組みの範囲は広く、海兵隊全体の海兵隊員の継続的な多大な取組みに大きく依存している。しかし私は、この1年の取組みが勢いを増し、来年はより流動的な前進と加速につながると確信している。海兵隊の旗手として、訓練・教育コマンド(TECOM)は、海兵隊員であることの意味を定義する不変の伝統と倫理観に根ざし、フォース・デザイン2030(FD2030)要件に対応する訓練と教育(T&E)変革をリードし続ける。私は、競争し、闘い、勝利するための戦力を確実に育成するための協調的な攻撃を続けることを楽しみにしている。

第39代 米海兵隊総司令官エリックM.スミス(Eric M. Smith)米海兵隊大将