継続的な変革 (米陸軍ミリタリーレビュー)

今の米陸軍の変革は2014年10月の米訓練ドクトリン・コマンドの文書「米陸軍作戦コンセプト:複雑な世界で勝利する(The U.S. Army Operating Concept : Win in a Complex World)」を起源としていると言っていいだろう。

その後マルチドメイン・バトル、続いてマルチドメイン作戦と作戦コンセプト開発がその変革をリードしてきている。

米陸軍全体に米陸軍が変革を進めるにあたって第40代米陸軍参謀総長ジェームズ C.マッコンビル米陸軍大将は、2021年3月に「米陸軍マルチドメイン変革 – 競争と紛争における勝利への備え – – 米陸軍参謀総長文書#1 」-と、「軍事的競争における米陸軍 - 米陸軍参謀総長文書#2」 –を示し、広く内外に周知する取り組みを行ってきた。

この米陸軍の変革の先頭に立つ米陸軍将来コマンドの第3代司令官のジェームズ・E・レイニー米陸軍大将は、変革への理解とその勢いをさらに進ませるための文章をMilitary Reviewに寄稿している。

米陸軍という巨大な組織の変革には長期間を要するとの認識に立ちながらも、ロシア・ウクライナ戦争でも見られように新しい技術を素早く取り入れながら可能となる変革を短期間に成し遂げること、そして、最終的に目指す変革に至るまでの間の中期的に成し遂げる変革のあり方と最終的に目指す変革はコンセプト主導であるべきと説いている。

この記事でも触れられているように、これらの変革は新しい技術の研究と開発と歩調を合わせることが重要であり、企業の規模を問わない防衛産業等との連携が重要な要件となる。

陸上自衛隊教育訓練研究本部も「陸上自衛隊2040」を2024年9月18日に公開しているが、これも陸上自衛隊の考え方を企業等に広く知ってもらおうとする取組みそのものであろう。(軍治)

継続的な変革

Continuous Transformation

September-October 2024

Military Review

Gen. James E. Rainey, U.S. Army

ジェームズ・E・レイニー(James E. Rainey)米陸軍大将は、米陸軍将来コマンドの司令官である。それ以前は、ワシントンD.C.の米陸軍G-3/5/7副参謀長、カンザス州フォート・レブンワースの米諸兵科連合センター司令官、ジョージア州フォート・スチュワートの第3歩兵師団長を歴任。フォート・レーベンワースの高等軍事研究学校(SAMS)で上級軍事術と科学の修士号を、トロイ大学で行政学の修士号を取得。イラクとアフガニスタンの両方で数多くの戦闘遠征で兵士を率いた。

2024年4月25日、ケンタッキー州フォートキャンベルで行われたリーサル・イーグル24.1作戦で、目標への突撃に先立ち、諸兵科連合のリハーサルで主要指導者にブリーフィングを行う第2旅団戦闘チーム(ストライク)第101空挺師団の旅団長ジェームズ・スターツ(James Stultz)大佐。この演習でストライクは、陸軍の「接触下の変革(transformation in contact)」の一環として実施されている組織構造である、米陸軍の新しい機動旅団戦闘チームのプロトタイプをテストし、実戦投入した。(写真:第101空挺師団[航空攻撃]カレブ・パウツ軍曹)

編集部注:本号のMilitary Reviewに掲載された記事は、元々陸軍大学出版局のウェブサイトhttps://www.armyupress.army.mil/Journals/Military-Review/Online-Exclusive/2024-OLE/、Military Reviewオンライン独占記事として掲載されたジェームズ・E・レイニー米陸軍大将の3本の記事をまとめたものである。

図1.変革のための3つの時期(図は米陸軍将来コマンドによる)

我々は多くのことを学んだ。・・・・我々がやり始めたいことのひとつは、接触状況下で変革することである。そうすれば、これらの変化のいくつかにすぐに取り組み始めることができる。

2024年2月5日 第41代参謀総長ランディ・ジョージ(Randy George)米陸軍大将

第1節:接触下の変革:Transformation in Contact

我が国とその同盟国は、前例のない技術革新の時代に、断固とした敵対者と競い合っている。我が国の安全を保証するためには、我々は、世界のどの軍隊よりも早く変化を認識し、適応しなければならない。我々は、理論的な将来の闘いに備えているのではない。優位性に立つための闘争は今なのだ。

我々は、戦いがどのように変化しているかを問う前に、変化していないものを把握する必要がある。第一に、戦争は人間の営みであり、人間が最も重要である。第二に、人間は土地に住んでいる。したがって、軍隊は土地を占領し、保持することができなければならない。そうなれば、近接戦闘(close combat)は避けられない。つまり、陸上で敵に接近し、撃破する能力が決定的なのである。第三に、戦争は予測不可能である。戦争が短期間で終わるとも、エスカレートしないとも、誰も保証できない。最後に、米国は武力紛争法を遵守する。我々は、それに従って戦力を構築しなければならない。

同時に、民間技術も軍事技術も、第二次世界大戦前以来のペースで変化している。軍隊は順応するものであるため、新技術が人々の予測通りに決定的な意味を持つことはほとんどない[1]。しかし、軍隊の作戦、組織、装備のあり方を変えるという点では、破壊的である。

技術が戦いをより複雑にするにつれ、熟練した軍隊と未熟練な軍隊の差はより顕著になる。技術の本当の影響は、熟練していない指揮官や訓練されていない編成部隊を罰することが増えることである。適応に失敗すれば、その結果は深刻なものとなる。

我々の唯一の陸軍- We only have one Army.

変革は、我々が、陸軍を一つしか有していない故に困難である。この陸軍は、現在の作戦を実施し、即応部隊を編成し、同時に変革を行わなければならない。すなわち、我々が、24ヶ月以内に必要とされる能力、国防予算計画の期間であるおよそ2年から7年以内に必要とされる能力、そして深遠な将来のための能力である(図1参照)。この3つの時期は、表裏一体の関係にあり、ある時期に関する決定は他の時期にも影響を及ぼすからである。

ここでいう能力(capabilityとは、戦場で何かを行う能力(ability)のことである[2]。そのためには、組織化され、訓練され、装備された人々が必要である。したがって、技術はそれだけでは能力にはならない。能力は編成部隊から生まれるものであり、新しい能力を開発するには、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)にまたがる行動が求められる。

米陸軍を変革することは、作戦部隊が今日、問題を解決し、機会を捉えて接触状況下で変革すること(transforming in contactから始まる。それはまた、意図的な変革(deliberate transformation)、つまり国防事業化の時間軸の中で我々が必要とする陸軍を実現するために陸軍レベルのプロセスを通じて管理される取組みにかかっている。上記のすべては、米陸軍の新たな用兵コンセプト(warfighting concept)で説明されている長期的ビジョンであるコンセプト主導の変革(concept-driven transformationの文脈の中で行われる。

柔軟な要件と財政の機敏性- Flexible requirements and fiscal agility.

接触下の変革(transformation in contact)の主な障害は事業化の方法にある。米陸軍が新システムの要件を承認し、予算を追加してもらうまでには、既存の技術であっても約2年かかる。しかし米陸軍は、それよりもはるかに速く進化するAI対応ロボットやその他の技術への依存を強めている。参考までに、ロシアによる大規模なウクライナ侵攻後の最初の2年間で、ドローン戦(drone warfare)は戦術と技術の変化に伴って4世代にわたって進化した[3]

場合によっては、我々が、ある能力の要件を文書化したとき、確実に分かっているのは、我々が、2年後に必要なものが変わっているということだけである。その結果、要件を完全に理解する前に資金を調達しなければならなくなる。後になって我々が、要件を完全に理解しても、資金を提供した内容を変更するには遅すぎる(図2参照)。

図2.財政的機敏性(著者作成)

我々の財政的機敏性の欠如は、米陸軍の利害関係者間の協議、より高いレベルの審査、議会の監視のための時間を確保するために必要な官僚主義的な健全なプロセスに起因するものがほとんどである。しかし、米陸軍は既存の技術を24カ月以内に作戦部隊に統合(一体化)できなければならない。戦時には、さらに迅速さが要求される。我々は今、米陸軍にその能力を構築することができる。それは、要求事項の書き方や事業化への資金提供の方法を、これまでとは異なる方法で考えることから始まる。

ある例示- An illustration.

音楽プレーヤーのiPodは、これまでに販売された家電製品の中で最も成功した製品のひとつだ。しかし、販売開始から8年も経たないうちに、スマートフォンがすでにiPodを時代遅れのものにしてしまった。もしこれが用兵技術(warfighting technology)だったらどうだろう?米陸軍が要件を承認し、資金を提供し、軍用版のシステムを開発、テストし、装備化を開始するために必要な複数年にわたる取組みを完了する頃には、そのシステムは陳腐化の一途をたどっていただろう。兵士の中には、すでに自国でより優れた商用ソリューションを使用している者もいるかもしれない。

このシナリオでは、米陸軍には2つの悪い選択肢がある。我々が、装備化が完了する前に時代遅れになるシステムを購入し続けるか、産業パートナーとの契約をキャンセルし、新たな要件をプロセスを通して実行する間、兵士に何も与えないかだ。我々は、音楽プレーヤーの要件に基づく取得プログラムを、スマートフォンのような異なるシステムに軽快に軸足を移すことはできない。米陸軍の要求文書は、それほど広範には書かれていない。関連する資金調達の文書や契約の取り決めもそうだ。

スマートフォンは音楽プレーヤーとはまったく異なるツールだ。両方に対応できるような要件は問題があるかもしれない。とはいえ、戦術や技術が急速に進化しているとき、米陸軍はそのプロセスを再開することなく能力を進化させることができる必要がある。

求めるものを得る- You get what you ask for.

解決策は、特定のタイプのシステムではなく、能力に関する要求文書を作成し、同じ方法で事業化資金を管理することである[4]。これは、2022年4月の議会証言で、小型ドローンのようなシステムに対する「capability of record(政府認定の能力)」1アプローチを提案した当時の国防イノベーション・ユニット(DIU)のディレクター、マイク・ブラウン(Mike Brown)が議論していたことだ[5]。アトランティック・カウンシル(Atlantic Council)が発表した2024年1月の報告書でも、国防イノベーション採用委員会(Commission on Defense Innovation Adoption)の第一の提言は同様のものだった。彼らは、「能力・ポートフォリオ・モデル(capability portfolio model)」を試験的に導入することを推奨している[6]。我々が、議会とうまくコミュニケーションをとれば、米陸軍は今すぐにでもこれを実行できる。

※1 「capability of record(政府認定の能力)」について:米国政府が予算を認定した事業のことを「program of record(米国政府認定事業)」という。これは長期の開発期間を有する厳格な要件を伴う事業等が対象とされる。「capability of record(政府認定の能力)」は、新しい技術進展の成果の適応を可能にするため提案で、米国防総省が継続的に能力を評価しながら必要とする時期に最適なベンダーを選定し、その能力を取り入れるまたは能力更新しようとするもの。

財政の機敏性を高めることは、我々が支援を必要としている中小企業の資金調達スピードを高めることにもつながる。60年前、米国の研究開発の3分の2は連邦政府の資金で行われていた[7]。現在ではその5分の1しかなく、我々が必要とする技術の多くは、商業分野で最も早く開発されている。国防プライムは、米国防総省のみが購入するものを製造するため、米国防総省のプロセスを中心にビジネスモデルを構築した。今後、米陸軍は、伝統的に政府と取引を行っておらず、その必要もない企業にますます依存するようになるだろう。我々は、このような中小企業に、彼らの技術が必要だが2年以上支払うことはできない、と言うことはできない。彼らは動きが速すぎるのだ。

しかし、機敏性がすべてに適しているわけではない。米陸軍が、戦車のような市販市場に存在しない大型システムを開発・製造する必要がある場合、その要件は曖昧であったり、頻繁に変更されたりすることはあり得ない。このようなシステムは、何年もの開発と産業界からの大規模な資本投資を必要とする。成功には、安定した要件と予測可能な資金が必要である。機敏で能力重視のアプローチは、技術の更新速度が速く、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)に大きな影響を与えない、低コストのシステムの小規模なトランシェに適している[8]

完璧は十分の敵だ- Perfect is the enemy of good enough.

多くの場合、我々は実現可能なことの邪魔をするために、願望を許している。今すぐにでも我々の編成で役立つはずの技術でありながら、まだ装備化されていないものがある。ゲーム・チェンジの可能性を秘めた新技術は、たとえ少量の実用最小限の製品であったとしても、有用になり次第、作戦部隊に投入されるべきである。そうすることで、技術の開発が加速されるだけでなく、それをどのように使用するのがベストなのか、また、それに応じて部隊編成や訓練をどのように適応させればいいのかを学ぶことができる。最も重要なことは、指導者が技術の進化に合わせて使用する経験を積むことができるということだ。

我々は軍事航空の発展から教訓を得ることができる。世界初の軍用機は、1909年に米陸軍が購入したライト・ミリタリー・フライヤーである[9]。飛行機がその潜在能力をフルに発揮できる航続距離と積載量を持つようになるまでには、さらに20年かかる。しかし米陸軍は、飛行機が戦艦を撃沈できるようになるまで、飛行機を配備し始めるのを待たなかった。我々は、偵察のような限られた役割のために、意味のある数を装備化した。その結果、軍用航空の産業基盤が整備され、将来の要件が明らかになった。また、1930年代までに、米陸軍にはこの技術を使って育った将校の世代がいることも確認した。

今日、AI対応ロボット・システムも同じような状況にある。我々が、全速力でクロスカントリーを移動するエイブラムス戦車に、搭乗員なしの車両が追いつけるようになるには、まだ何年もかかるだろう。また、すぐにロボットにレンジャー徽章(Ranger tab)を装着することもないだろう。しかし、我々は今年、ヒューマン・マシン統合(一体化)編成(human-machine integrated formations)の一部として、搭乗員なしのシステム(uncrewed system)を有効活用することができる。

大きく考え、小さく始め、速く進む- Think big, start small, go fast.

編成を基盤とする変革(formation-based transformation)は、能力開発を、装備に方向づけ、その変化が他のドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)に与える影響を考慮するのではなく、全体的な解決策として、人がどのように組織され、訓練され、装備されるかに方向づけるものである。これを行う最善の方法は、最先端のシステムを闘う編成部隊(fighting formations)に直接投入することである。そこでは、今日の兵士に役立ち、現実世界の実験室で成熟させることができる。

もし、あるシステムが安全で、それを担当する中隊レベルの指導者たちの評価では、そのシステムを導入する価値があるほど有用であれば、それは、少なくとも数個旅団に導入される候補となる。部隊が学んだことは、わずか数年後の編成の組織化、訓練、装備のあり方に反映される。米陸軍は今、これを実行に移し、作戦部隊が市販の装備を購入し、戦術と技術の革新的な組み合わせを実験できるようにしている。今日、優先されるのは、用兵編成部隊の指揮・統制(C2)ネットワークを簡素化し、ヒューマン・マシン統合(一体化)(HMI)編成を装備化することである。

2024年3月11日、カリフォルニア州フォート・アーウィンで、プロジェクト・コンバージェンス・キャップストーン4(Project Convergence-Capstone 4)の一環としての実験飛行を終えたGhost-X無人航空機システムを運ぶ、第316騎兵旅団第29歩兵連隊第1大隊アルファ中隊のロボット・自律システム小隊軍曹ステットソン・マニュエル(Stetson Manuel)2等軍曹。(撮影:チャーリー・デューク(Charlie Duke)3等軍曹、米陸軍)

指揮・統制(C2)ネットワークは、我々が戦場で行う全ての行動の中心である。ネットワークを改善するための第一歩は、現在闘う編成部隊(fighting formations)に配備されているシステムの複雑さを軽減することである。我々は現在それを実行中であり、指揮・統制(C2)を合理化して下位の部隊階層の負担を軽減し、米陸軍全体の互換性を確保している。2030年以降に備えるためには、現在使用しているものとはまったく異なるソフトウェア中心の指揮・統制(C2)用兵システムに移行しなければならない。その構築の鍵は、システムを継続的に進化させるようにデザインし、それを作戦部隊に導入して、戦闘員とエンジニアが一緒に反復的に開発できるようにすることである。

米陸軍長官は2023年10月、米陸軍のヒューマン・マシン統合(一体化)(HMI)編成構想をこう発表した、

我々は、ヒューマン・マシン統合(一体化)(HMI)構想を新たに始めている。この統合(一体化)編成は、ロボット・システムを人間とともに部隊に導入するもので、敵との最初の接触は常に兵士ではなくロボットが行うことを到達目標としている。これにより、兵士は人間にしかできないこと、つまり価値観に基づいた決断を下し、リスクを受け入れ、指揮の術(art of command)を実践することができるようになる[10]

ヒューマン・マシン統合(一体化)(HMI)とは、地上と空中を問わず、人間と搭乗員なしのシステムを最適な形で組み合わせることである。到達目標は、兵士を機械に置き換えることではなく、リスクと作業を機械に移譲し、兵士が人間にしかできないことをできるようにすることである。これには、判断の実施や倫理的意思決定の行使、指揮の術(art of command)の実践も含まれる[11]

米陸軍は、作戦部隊に能力を投入し、リアルタイムで要件を学習し更新することで、ヒューマン・マシン統合(一体化)(HMI)編成を開発する。バージョン1.0が旅団戦闘チームに配備されている間、バージョン2.0は国家訓練センターで対抗部隊(opposing forces)と試験中かもしれない。一方、バージョン3.0は機動高等研究所(Maneuver Center of Excellence)で実地実験中で、バージョン4.0は図面上にあることもある。上記のすべては、米陸軍の科学者やエンジニア、産業界のパートナー、取得プログラム管理者、能力開発者、そして作戦部隊を巻き込んだ共同作業となる。その結果、最先端技術(state-of-the-art technology)を素早く統合(一体化)し、悪いアイデアを素早く破棄する、継続的に改善される完全なドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)解決策となる。

2024年3月15日、カリフォルニア州フォート・アーウィンで行われたプロジェクト・コンバージェンス・キャップストーン4(Project Convergence-Capstone 4)で、ジョージア州フォート・ムーアを拠点とする第29歩兵連隊第1大隊に所属する兵士が、ゴースト・ロボティック・ドッグと小型多目的装備輸送機(SMET)を使用したヒューマン・マシン統合(一体化)(HMI)展示に参加。犬型ロボットは中型の高耐久性、機敏な無人地上車両で、地上の兵士を支援するために偵察と状況認識を強化する。小型多目的装備輸送機(SMET)は、戦闘、戦闘支援、戦闘支援活動に柔軟に対応できる「ラバ型ロボット(robotic mule)」としての役割を果たす、8輪の実現可能なロボット技術である。(撮影:サマリオン・ヒック(Samarion Hick)米陸軍特技兵)

米陸軍がこれを実現できるのは、特定のタイプのシステムではなく、我々が能力に関する要求文書を作成し、能力ポートフォリオごとに資金を提供し、装備化の取組みを管理可能な規模に抑えるからである。つまり、少量ずつ反復的に装備化し、米陸軍全体にシステムを装備化することはめったにない。これはまた、エンジニアリングの再デザインを迅速に行うようデザインされた小規模な企業、つまり、数個以上の試作装備(prototypes)を販売したいが、研究開発投資を正当化するために高価格システムの複数年生産を必要としない企業にも競争を開放することになる。

すべてをまとめる- Putting it all together.

我々は、技術をより早く取り入れ、統合(一体化)する能力を開発しなければならない。しかし、新しい技術はそれだけでは変革をもたらすものではない。技術の可能性を十分に引き出すには、その作戦、組織化、装備の仕方を変えなければならない。つまり、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)のあらゆる要素を全体的な解決策として一緒に考えるということだ。そのための最善の方法は、能力開発を編成に方向付けることである。言い換えれば、我々は装備を購入するが、編成と闘うのであり、陸軍の変革は編成に基づくもの(formation-based)でなければならない。

このため、接触下の変革(transforming in contact)に不可欠な要素は、部隊の革新、つまり戦術と技術の新しい組み合わせを使用して問題を解決し、ボトムアップで機会を創出する用兵編成部隊である。インド太平洋で作戦する師団は、どのようにして通信網を簡素化し、指揮所(command posts)をスリム化し、分散しながら部隊を維持できるのか。ヨーロッパで作戦する歩兵旅団は、ドローン、徘徊型弾薬(loitering munitions)、ロケット弾、精密誘導ミサイルを独創的に組み合わせて、どのように装甲攻撃を打ち破ることができるのか。中東で作戦する編成部隊がドローンから防衛するのを助けるために、我々は今何を与えることができるのか?

部隊の革新を支援するためには、米陸軍の事業体全体の変革はより機敏でなければならない。我々は、3つのことを行うことによって、既存のプロセスの中で、今それを行うことができる。第一に、特定のタイプのシステムではなく、能力に関する要求文書を作成し、同じ方法で資金を調達すること。第二に、有用になり次第、意味のある数量を作戦部隊に提供すること。第三に、全体的なドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)解決策を反復的に開発し、その解決策が基礎技術と同じ速さで更新できるようにしなければならない。このアプローチは、米陸軍の変革に作戦部隊を完全に関与させ、産業基盤における競争を拡大するものである。

接触下の変革(transforming in contact)は、消極的であってはならない。我々が今日行う投資は、将来への波及効果をもたらし、ある選択肢を生み出し、またある選択肢を閉ざしてしまう。それらは、意図的な変革(deliberate transformation)とコンセプト主導の変革(concept-driven transformation)のための計画によってもたらされなければならない。これらは、この記事の次の2つの節のテーマである。

2024年5月2日、フィリピン・リサールでのバリカタン24演習で、M142高機動ロケットシステムを発射第1マルチドメイン・タスク・フォース第1長距離射撃大隊アルファ砲台第3小隊に所属する兵士。 (写真提供:カイル・チャン(Kyle Chan)米海兵隊伍長)

 

第2節:意図的な変革:Deliberate Transformation

米陸軍のような大きな組織の改革は、最善の状況下でも問題がある・・・・我々は分析し・・・・かなりの進歩を遂げたかもしれない・・・・しかし、それは変革が起こることを保証するものでも、簡単で整然としたプロセスであることを保証するものでもない。

ドン・スターリー(Donn Starry)米陸軍大将「陸軍を変革するために」1983年[12]

この記事の最初の節では、米陸軍がいかにして新技術を迅速に統合(一体化)し、数年単位ではなく数カ月単位で能力を進化させることができるかを取り上げた。この節では、中期的な変化をどのように推進し、管理するかについて述べる。

米陸軍の戦略文書で発表されたことは、命令で発表されない限り何も起こらない。また、命令で指示したことであっても、追跡調査やフォローアップがなければ、実行されないこともある。しかし、我が米陸軍のような規模と複雑さを持つ組織では、最も厳しい参謀が変革を押し付ける(imposeことはできない。米陸軍の変革には、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)全体の協調行動が必要である。

このような規模の変化には、米陸軍全体が関与する。米陸軍長官や米陸軍参謀長以下のレベルの指導者では、そのすべてを管理することはできない。現実問題として、米陸軍を変えるには勝利するチームメイトを獲得し、コンセンサスを築く必要がある。問題は、いかに変化を押し付けるかではなく、いかに協力してそれを成し遂げるかである。

米陸軍将来コマンド(AFC)からの新しい用兵コンセプト(warfighting concept)は、訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)がそれをどのように実践するかを決定しなければ、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)の針を動かすことはできない。米陸軍本部が要件に資金を提供し、米陸軍の取得専門家がシステムの開発を開始するまでは、新装備の要件文書は単なる紙切れに過ぎない。我々は、米陸軍資材コマンド(AMC)が、我々がコンセプトと要件を正しく得ることを確実にし、古い能力の売却を支援し、新しい能力の装備化と後方支援を支援する必要がある。そして、我々の最高の戦闘員は、作戦部隊である米陸軍総軍コマンド(FORSCOM)と米陸軍軍種構成コマンド(ASCC)にいる。もし彼らがプロセスの中心にいなければ、我々が彼らに与えるものは彼らが必要とするものにはならないだろう。

そのためには、組織的境界を越えて協力し、共に問題を解決していくことが求められる。変革はリレー・レース(relay race)ではない。コンセプト立案者から要求開発者、組織デザイナー、技術開発者へとバトンを渡すわけではない。兵士、科学者、エンジニア、取得、テスト、契約、その他の専門家が、終始協力し合うのだ。それがなければ、ある段階で立案された計画は後の段階では実行不可能となり、後の段階での変更は以前の意図や並行する努力を損なうことになる。誰が指揮を執り、誰がサポートをするのかは変わるが、パイプラインのどの部分についても、1つの組織が真に所有することはない。複数の組織が協力してドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)全体の変更を調整する多忙な米陸軍での変更管理は、意図的な取り組みでなければならない。それは目標を定義することから始まる。

目標を定義する- Defining the objective.

どのような目標であれ、それを達成する方法は、それを具体的にし、期限を与え、どのように成功を測るかを人々に伝えることである。米国防予算計画の期間である2~7年間における米陸軍の変革目標は、米陸軍2030(Army 2030)の実現である[13]。では、米陸軍2030(Army 2030)とは何なのか。

米陸軍2030(Army 2030)は、マルチドメイン作戦環境における大規模戦闘で勝利するために最適化された部隊である[14]。これは現実的な到達目標であり、米陸軍が利用可能な資源の範囲内で何を達成できるかという明確な評価に基づくものである。これには、特徴的な近代化の取組みだけでなく、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)全体にわたる協調的な取り組みも必要である。

大規模戦闘のためには、師団は師団レベルの砲兵、工兵、その他の能力を必要とする[15]。我々は、この点については、現在旅団戦闘チームに所属しているアセットを師団レベルの編成部隊に統合すること(consolidating)で対応できる。これには、旅団の負担を軽減するという利点もある。複雑さを師団の部隊階層に上げることで、旅団長とその参謀は機動に集中できる。しかし、防空大隊のような新たなアセットも師団に与えなければならない。

旅団や師団が地上機動に重点を置く一方で、軍団司令部は陸海空、宇宙、サイバー能力を収束(converge)しなければならない。これらの軍団は、米陸軍のセンサー、シューター、後方支援システムを他の軍種や連合パートナーのものと統合(一体化)し、複数の情報源からの膨大な量のデータを合成する(synthesize)ための人員、訓練、装備を備えていなければならない。

複数の軍団と多くの国が関与する大規模な戦闘作戦を管理するには、連合/統合陸上構成コマンドとしての役割を果たす司令部が必要である。米太平洋陸軍(USARPAC)と米欧州・アフリカ陸軍(USAREUR-AF)は、そのためのアセットを持たなければならない。これには、新たな戦域統制インテリジェンス旅団、火力部隊、安全保障支援旅団、マルチドメイン・タスク・フォースと、それらを管理するための参謀、訓練、装備が含まれる。

適切な人材を新編成部隊または変革された編成部隊内に組織し、装備を整え、訓練を施し、戦時任務を遂行できることを確認したとき、我々は米陸軍2030(Army 2030)を実現したと言える。これらの編成の中には、移動防護火力(MPF)大隊や追加のマルチドメイン・タスク・フォースなど、ゼロから構築するものもある。また、師団砲兵旅団のように、既存の部隊の再編成を必要とするものもある。

決心を行動に移す- Turning decisions into action.

米陸軍は、編成を立ち上げ、再組織化し、戦争に備える方法を熟知している。世界中のどの軍隊よりもそれをうまくこなす。しかし、そのために使用するシステムは、人員、装備、資金(後方支援、施設、訓練を含む)を正式に割り当てるまでは動き出さない。実際の作業は、米陸軍構造覚書(ARSTRUC)2とプログラム目標覚書(POM)3で資源が動くまで始まらない[16]

※2 米陸軍構造覚書(ARSTRUC)とは、米陸軍の兵力構造の決定と将来の組織変更計画の概要を示している。

※3 プログラム目標覚書(POM)とは、米国防予算の企画・プログラム・予算化システム(PPBS)のプロセスの計画策定段階において各軍種等から米会計年度の米国防長官宛への推奨事項とするもの

米陸軍構造覚書(ARSTRUC)とプログラム目標覚書(POM)に大きな変更を加えることは、上り坂になる可能性がある。実際には、編成の立ち上げや再組織化の決定は、一つの決定ではない。それは、別々のポートフォリオで管理される資源について、別々の場で行われる、相互に関連する一連の決定である。他の部隊が人事権を得たときに、どの部隊が人事権を失うのか。各編成部隊はどこに駐留し、兵舎やその他の施設をどのように提供するのか。新装備の調達を加速させるために投資するのか。それを維持するための整備事業には何を充てるのか。燃料、弾薬、その他の訓練費用はどうするのか。

2024年3月18日、カリフォルニア州フォート・アーウィンで行われたプロジェクト・コンバージェンス・キャップストーン4(Project Convergence-Capstone 4)で、第1歩兵師団将校から次世代指揮統制システムのヒューマン・マシン統合(一体化)(HMI)能力の説明を受ける米陸軍参謀総長ランディ・A・ジョージ(Randy A. George)米陸軍大将。意図的な変革は、DOTMLPF-P全体の統合(一体化)を確保することを含め、米陸軍が新しいシステムをどのように活用するかを知らせるために、プログラム目的覚書(POM)と全陸軍分析(TAA)を作成することに重点を置いている。(撮影:ブラヒム・ダグラス(Brahim Douglas)米陸軍3等軍曹)

決心をタイムリーな行動に移すために、米陸軍は5つのことをしなければならない。第一に、米陸軍2030(Army 2030)で行ったように、目標を設定する。第二に、以下に説明するように、戦場能力の真の源泉である編成部隊に焦点を当てる。第三に、これらの編成部隊の創設または変更に関連するすべてのドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)コストを考慮する。第四に、現在の米陸軍の上級指導者に、コスト、利点、リスクの観点から明確に枠組みされた選択肢を提示する。最後に、決定が明確で、明確に伝達され、積極的に実行されるようにする。

編成に焦点を置く- Focus on the formations.

装備はそれ自体で能力ではない。能力とは、戦場で何かを行う能力のことである[17]。そのためには、組織化され、訓練され、装備された人々が必要である。つまり、戦闘可能な編成が必要なのである。新しい能力を導入するには、常にドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)の複数の要素にまたがる行動を必要とする。多くの場合、すべての要素が関与する。

移動防護火力(MPF)の初期能力文書が承認されてから、M10ブッカー装甲戦闘車4となるものの初期生産契約が結ばれるまで約6年かかった[18]。当初、米陸軍はこのシステムを中隊と大隊のどちらに配備するか、その部隊をどこに配備するか、そしてどの職種がこの車両に搭乗するかを決定するのに十分な時間があった。それにもかかわらず、装備化が近づくにつれ、我々はこれらの疑問に答え、資源を配分することに躍起になっていた。カメがウサギを捕まえるところだった。現場での作業を遅らせるべきだという意見さえあった。答えは、資材の搬入を遅らせることではなかった。ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)の残りの部分をスピード・アップすることだった。

※ M10 Booker armored combat vehicle =================→

2024年4月25日、サウスカロライナ州イーストーバーのマクレーディ訓練センターで短距離防空訓練を行う、サウスカロライナ州陸軍州兵第263陸軍防空ミサイル防衛司令部第678防空砲兵旅団第263防空砲兵大隊の兵士たち。 兵士、科学者、エンジニア、そして取得、試験、契約に携わるその他の専門家たちは、意図的な変革(deliberate transformation)のプロセスを通じて、すべて協力し合っている。(撮影:ティム・アンドリュース(Tim Andrews)米陸軍州兵3等軍曹)

将来、米陸軍が装備品に関する意思決定を行うのと同じ場で、そのような意思決定を行うことを妨げるものは何もない。我々は、移動防護火力(MPF)をドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)の意味を持つ資材の解決策と見なしたが、これは米陸軍の別個のプロセスで処理されることになっていた。もしそうではなく、移動防護火力(MPF)をドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)の解決策に資材の解決策を加えたものと見なしていたなら、大局を無視することは難しくなっていただろう。編成に焦点を当てることで、それは達成される。新装備で闘う編成部隊をいかに戦争に対応できるようにするかを問えば、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)の全体像がすぐに見えてくる。

総負担コストを示す- Show the fully burdened cost.

米陸軍は新兵器の開発・調達コストの予測には慎重である。関連するドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)については、この点はあまりうまくいっていない。M10ブッカーを装備した大隊には、整備・訓練施設が必要である。これらは、駐留可能な場所にはまだ存在しない。建設費は駐屯地によって大きく異なる可能性があるため、正式な駐屯地決定前に移動防護火力(MPF)施設の予算を立てることに消極的だったのは当然である。そのため、一時期、米陸軍の2年から7年の予算計画には移動防護火力(MPF)施設に関する規定がなかった。これは解決可能な問題だった。しかし、米陸軍の変革パイプラインにある多くの能力について、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)全体で同様の例があり、目に見えないコストが積み重なる可能性がある。

今日、米陸軍司令部、訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)、その他の組織の人々の懸命な仕事のおかげで、我々は米陸軍2030(Army 2030)に関連するコストを理解している。今後は、これらのコストを米陸軍の上級指導者に早期に見えるようにする。能力の完全な負担コストを早期に知ることは、導入をスムーズにする。しかしそれは、そもそもどの能力を追求するかを選択する際の、費用便益計算の一部でもあるはずだ。

現状のコスト、利点、リスク- Present costs, benefits, and risk.

米陸軍の資源は有限だ。ある機会に投資するためには、他の機会を見送らなければならない。そのため、投資の選択肢は、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)コストの全額、能力の戦場での有用性、および、実現に失敗した場合のリスクという観点から、明確に組み立てられるべきである。一方では、新しい能力が大きな可能性を秘めているが、高価な研究開発を必要とし、また、その編成に十分な兵士を採用し訓練するのに苦労するようなものであれば、その資源は他の米陸軍のためにもっと役立つかもしれない。他方で、ある能力が月並みだが、ゲーム・チェンジをもたらす可能性があり、そのためのコストが低いのであれば、なぜ挑戦しないのだろうか(図3参照)。

図3. コスト・ベネフィット(著者作成)

米陸軍の特徴的な近代化の取組みのほとんどは、それ自体では、どちらのカテゴリーにもきれいに当てはまらない。2017年、米陸軍は我々が必要とし、現実的に装備提供できると分かっているシステムの開発に着手した[19]。今日、いくつかのシステムは責任を持って軌道から外れたが、ほとんどは成功しており、最終的には互いに、また他の米陸軍の優先事項と調達資金を奪い合うことになる。しかし、能力を提供するために必要なすべてのドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)の変更と、将来の作戦環境に関する最新の評価を考慮した戦場での有用性を考慮すると、いくつかの能力は際立っている。

新しい設備を備えた新しい編成の完全なドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)コスト、さまざまなシナリオにおけるその編成の有用性、そしてその編成の装備化に失敗した場合のリスクを評価することは、科学(science)であると同時に術(science)でもある。しかし、それは可能である。計画策定の前提については意見が分かれるだろう。それでも、コスト・ベネフィットの枠組みで情報を提示することで、対話は正しい問いに集中する。関係参謀は、意思決定者がどのような情報を必要としているかを、彼らがそれを求める前に知ることができ、米陸軍は、産業界や議会との議論により良い準備ができる。

未決定- Undeciding.

戦力構造と予算は、米陸軍の諸部門と米陸軍官僚機構の一部にとって継続的な競争の場である。例えば、歩兵と装甲のコミュニティは、歩兵と装甲の人員、組織、または装備品に影響を与える決定に理解できる関心を持つ。米陸軍の多くの本部は、そして同じ本部の異なる部分でさえも、独自の視点と責任領域に基づいて、異なる優先順位を持っている。異なるコミュニティは、自らを重要な制度的要請の管理者とみなしている。このため、時には、互いに相反する仕事をすることもある。

米陸軍が戦力構造や近代化について難しい決定を下す場合、それは文書化され、明確でなければならない。異なる組織や参謀部局の中堅レベル間の協力なくして、決定が実行に移されることはめったにない。もし決定が暫定的なものであれば、ある者は単に何も行動を起こさないだろう。曖昧であれば、ある者は自分なりの最善の解釈に従って行動する。これが未決定(undecidingである。彼らは通常、善意で行動している。しかし、その結果、時間を浪費し、すでに下された決定を蒸し返すことになる。

すべてをまとめる- Putting it all together.

米陸軍の規模と複雑さを考えれば、変革がまったく実行可能であることは、驚くべき米陸軍の人材と健全な米陸軍のプロセスの証である。ひとたび解き放たれれば、我々の変革マシンは実行する。必要な動きを開始するために年次文書の発行を待つべきではない。米陸軍上級指導者の意向を汲み、迅速に動くべきだ。しかし、米陸軍を大規模に変革するための決定的なポイントは、米陸軍構造覚書(ARSTRUC)とプログラム目標覚書(POM)に計画を完全に盛り込むことである。我々は、目標を定義し、編成に全体的に焦点を当て、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)の全コストを考慮し、コスト、利益、リスクの観点から選択肢を設定し、米陸軍上級指導者の決定が、実装に役割を持つすべての人に明確に理解されるようにすることで、これを実現している。

これが、米陸軍が意図的な変革(deliberate transformationを成功させる方法であり、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)全体に変更を加え、今ある米陸軍を中期的に必要な陸軍に変える方法である。どのように長期的な変革の道筋をつけるかは、最後の節、コンセプト主導の変革(concept-driven transformationの主題である。

2024年4月7日、ジョージア州フォート・スチュワートで開催された「マルヌ・フォーカス2024」で、訓練地域から離陸する脅威システム管理局が運用するドローンのスウォーム。現代戦(modern warfare)はあらゆるドメインで繰り広げられている。 最前線の兵士は、技術を活用し、現在および将来の脅威に対してすべての用兵機能を統合(一体化)することによって、致死性を向上させながら、柔軟性と機敏性を維持しなければならない。(撮影:ジェイコブ・スレイメイカー(Jacob Slaymaker)米陸軍2等軍曹)

第3節:コンセプト主導の変革:Concept-Driven Transformation

変化が嫌いなら、無関係はもっと嫌いになるだろう。

エリック・シンセキ(Eric Shinseki)米陸軍大将[20]

この節の焦点は、コンセプト主導の変革(concept-driven transformation)であり、これは長期的な変革のための広範なアプローチ手段を提供する。これより前の節では、米陸軍がどのように短期的・中期的な変化を管理するか、つまり、接触下の変革(transformation in contact)と意図的な変革(deliberate transformation)の期間について述べている。

長期的ビジョン。来るべき米陸軍用兵コンセプト(Army Warfighting Concept)の目的は、米陸軍の変革を推進することである[21]。変革とは、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)全体に変更を加えることによって、今ある米陸軍を必要な米陸軍に変えるために行うすべてのことである。これは米陸軍全体を巻き込むものであり、調整上の課題がある。異なる時間軸を重視する異なる組織の人々が、相互に関連する問題を解決するために、異なるプロセスを通じて取り組んでいる。米陸軍用兵コンセプト(Army Warfighting Concept)は、これらの取組みを統一する共通の長期的ビジョンを提供する。

将来を完全に予測することはできないため、長期ビジョンは固定されたものではない。米陸軍用兵コンセプト(Army Warfighting Concept)は、将来の作戦環境に関する継続的に更新される実行見積り(running estimate)に基づく、生きた文書である[22]。このプロセスには、インテリジェンス評価、進行中の紛争の観察、研究、ウォーゲーム、実験、そして作戦環境に前方展開した作戦部隊による技術革新が含まれる。

米陸軍の役割- The role of the Army.

米陸軍の目的は、陸上ドメインを支配することである。陸上部隊は連合統合部隊の一員として、陸上ドメインで海、空、宇宙、サイバースペースからの能力を用いると同時に、統合部隊指揮官が他のドメインで効果を発揮するために必要な陸上を基盤とする能力を提供する。

すべての軍事部隊のより広範な目的は、侵略を抑止することである。適切な能力、能力容量、配置を備えた我が軍は、敵対者に武力で勝てるかどうか疑問を抱かせる。それが失敗した場合、任務は現地で敵部隊を撃破し、米国とその同盟国に有利な政治的解決を可能にすることである。

政治当局が政治的目的を追求するために軍事力を投入する以上、軍事力は必ず何かを勝ち取らなければならず、そうでなければ政治当局が政治的に勝つための交渉の根拠がなくなる。したがって、軍事作戦の目的は、単に敗北を回避することであってはならず、むしろ勝利することでなければならない。

ドン・スターリー(Donn Starry)米陸軍大将[23]

2023年11月6日、ハワイ州スコフィールドバラックスのサウスレンジで、相手部隊の動きを観察するためにドローンを操作している第25歩兵師団第3歩兵旅団戦闘チームに所属する兵士。統合太平洋多国籍即応センターは、米陸軍の最新の戦闘訓練センターであり、ハワイを拠点とする部隊が作戦する可能性が最も高い環境と状況で即応性を生み出す。米陸軍は、複数の脅威が関与し、さまざまな地理的条件にまたがるあらゆる軍事作戦に備えなければならない。(撮影:サマンサ・ケイト(Samantha Cate)米陸軍3等軍曹)

将来の作戦環境の軍事的意味合い- Military implications of the future operational environment.

我々は危険な世界に生きており、新技術の破壊的影響にますますさらされている。2030年までには、中国とロシアが質量と弾倉の深さにおいて優位性を保つと予想される。彼らはまた、今日彼らを制約している能力ギャップも解消しているだろう。同時に、イランや北朝鮮をはじめとする敵対者(重要な軍事力を行使する非国家主体を含む)は、米陸軍が最大の脅威のみに集中することを妨げるだろう[24]

ユビキタス・センシングと精密打撃の組み合わせは、戦いの遂行(conduct of warfare)に重要な意味を持つ。最も明白なのは、作戦・戦略支援地域の活動(兵站、ステージング、より高度な偵察部隊の指揮・統制(C2))をより遠くへ、あるいは分散ノードへと押しやることである。しかし、センシングと精度の組み合わせは、近接の闘い(close fight)にも変化をもたらす[25]。センサーとエフェクターの密度は、致死性・非致死性にかかわらず、部隊が前線に近づくにつれて高まる一方である。指揮官は、現在と同じ方法では奇襲を達成できなくなる。また、敵の感知能力と打撃能力を打ち砕くための意図的な条件設定なしに、近接の闘い(close fight)のために兵力を集結させることもないだろう[26]

精密さは依然として質量に対する効果的な対抗手段ではあるが、その代用品としては不十分である・・・・米国はおそらく長距離の精密さに過剰な指標を置き、戦場における短距離精密さの拡散に適応し対処しているのだろう・・・・UASは近接戦闘(close-in battle)における精度を民主化した。UASはそれを安価で身近なものにした。だから今、大量の精度がある。

マイケル・コフマン(Michael Kofman)[27]

戦争の戦術レベルでの変化の主な原動力は、AI対応自律型システムの大規模な採用だろう。これは戦車や砲兵のような伝統的な兵器を置き換えるものではないが、地上編成の作戦の方法を変えるだろう。作戦レベルでは、陸、海、空、宇宙、サイバースペースといったドメインが融合することで、統合部隊の一体化が重視されるようになる。上記の正味の効果は、前世紀初頭の諸兵科連合の出現に匹敵するほど、現代戦の複雑性が指数関数的に増大することである[28]。このことは、訓練や指導者育成に関する決断を下す際のリスクを高めるだけである。

問題提起、主要な概念、勝利の理論- Problem statement, primary notions, and theory of victory.

米陸軍用兵コンセプト(Army Warfighting Concept)には2つの問題提起がある。用兵上の問題は、上記のような将来の作戦環境でいかに成功するかということである。制度的な問題とは、あらゆる時間軸にわたってそれを実現できるような用兵機関(warfighting institution)としての米陸軍をどのように構築するかということである。

米陸軍用兵コンセプト(Army Warfighting Concept)は、3つの主要な概念(primary notions)に基づいている[29]。すなわち、指揮・統制(C2)と対抗指揮・統制(C2)、拡大した機動、そしてクロス・ドメイン火力である。米陸軍は今日、これらすべてを実施しているが、すでに存在する技術を用いても、その程度には達していない。コンセプトはまた、3部構成の勝利理論も明示している。第一に、米陸軍はすでに持っている優位性、すなわち人材と諸兵科連合の機動能力を維持し、その上に築かなければならない。第二に、新技術を統合(一体化)し、いかなる敵対者よりも早く適応する能力を開発しなければならない。第三に、長引く紛争に打ち勝つために、米陸軍内および産業基盤における持久力と能力を大幅に強化しなければならない。

新たなアプローチ- A new approach.

米陸軍用兵コンセプト(Army Warfighting Concept)は、内容的にも形式的にも新しいアプローチである。このコンセプトは、ここ数十年の間に陸軍文化にすっかり染み込んでしまい、今日ではほとんど問われることのない、用兵(warfighting)に関する前提に挑戦するものである。その中には、最初の会戦に勝つための準備と長い戦争に勝つための準備の相対的重要性、攻撃の優位性(primacy of the offense)、そして、火力は主として機動性を発揮するためのものであるという考え方が含まれる。

このコンセプトはまた、指揮官がどのように戦うべきかを具体的に説明した米陸軍のコンセプトの伝統を打ち破るものでもある[30]。エアランド・バトル(AirLand Battle)が最初に発表されたのは40年以上も前のことである。それ以来、米陸軍のコンセプトは次々と、現場の作戦レベル指揮官のための勝利理論を提供しようと努めてきた。米陸軍の組織戦略が1地域の1つの脅威に最適化するものであった冷戦時代には、それは健全であった[31]。しかし、今日の我々は、軍事作戦の全範囲にわたって、複数の地域で、複数の脅威に直面している。そのようなすべてのシナリオにおいて、単一の作戦レベルの勝利理論が実践的に役立つことはないだろう[32]

このため、このコンセプトは戦術と作戦を扱う一方で、米陸軍用兵コンセプト(Army Warfighting Concept)の勝利理論は、用兵機関(warfighting institution)としての米陸軍がいかにして世界の陸上部隊の支配者であり続けるかを中心に据えている。その一般的な勝利理論を超えて、コンセプトは、コンピテンシーを特定し、米陸軍変革のための必須事項のリストを提供する。これらは、陸軍のドクトリン、戦力構造、指導者育成、人材管理に重大な影響を及ぼす大胆な転換の必要性を指摘している。

如何に闘うか- How to fight.

米陸軍は複数の脅威に対して態勢を整え、なおかつさまざまなシナリオでどのように戦うかを決定することができる。そのために、我々は一連のウォーゲームを実施する。シナリオは脅威、地理、時間枠によって異なる。中国と台湾の危機に関わるものもある。また、連合軍パートナーの組み合わせや政治的目標が異なる、より広範なインド太平洋のシナリオで、統合部隊と人民解放軍を戦わせるものもある。ロシア、北朝鮮、イラン、その他の敵対者との競争や対立を含むシナリオもあるだろう。シナリオによっては、戦略的持久力が試されるような長期戦も含まれる。すべてのシナリオで、戦力投射、兵站、国土防衛、戦争の人的・情報的側面が争点となる。

これらのウォーゲームに誰が参加するかは、そのデザインと同じくらい重要である。陸軍の最高の戦闘員は、師団、軍団、そして陸軍サービス・コンポーネント司令部にいる。そして、我々は、連合統合部隊の一部として闘うのと同じ方法でウォーゲームを行う。科学者とエンジニアは、技術によって何が可能になるかを戦闘員が理解するのを助けるために参加し、産業界の人々は、産業界への影響を探るのを助けるために参加する。

2023年9月11日、ドイツ・ホーエンフェルス近郊の統合多国籍即応センターで行われたSaber Junction 23で、ドローンの群れ攻撃に反応する第44遠征信号大隊強化のネットワーク通信システムスペシャリスト、ディラン・ホラック(Dylan Horak)特技兵。米陸軍兵士とNATO軍は、近代的な兵器システムをシミュレートするドローンを使って訓練を行い、発展途上の脅威や将来の脅威に対する戦闘のためのドクトリンや訓練を更新している。(写真:ミシェル・ソーレ(Michel Sauret)米陸軍予備役先任曹長)

我々が学んだことで、米陸軍は特定のシナリオ、脅威、地理に対応したコンセプトの「アプリケーション」(付属文書)を開発することができるようになる。適切な場合、これらの付属文書には、状況に応じた作戦レベルの撃破メカニズムが記述される。ある教訓が広範なシナリオに適用される場合には、それを米陸軍用兵コンセプト(Army Warfighting Concept)の本体に組み込む。

考えているより2040年は早く来る- 2040 is sooner than you think.

2001年9月11日の直前に米陸軍を除隊した兵士が今日戻ってきたら、米陸軍がどう変わったかよりも、どう同じであるかに驚くだろう。我々は2001年よりも2040年にずっと近づいている。米陸軍がそれほどゆっくりと変化していくには、世界はあまりにも速く変化している。

コンセプト主導の変革(concept-driven transformation)は、接触下の変革(transformation in contact)と意図的な変革(deliberate transformation)を通じて実装される。これは独立した活動ではない。米陸軍用兵コンセプト(Army Warfighting Concept)の主な機能は長期的な方向性を示すことであるが、これは必然的に近中期的なアプローチの大まかな道筋も定めることになる。2040年までに能力を持つためには、2035年までに装備化されることが必要であり、これは2030年頃までに試作装備として存在しなければならないことを意味する。米陸軍がその年の初期予算要求を提出するのは2025年である。そして、新兵器はドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)の最も遅い部分ですらない。最もリードタイムが長いのは、人員とリーダーシップである。

過去20年間の課題は、部族の長老と交渉するのと同じように、諸兵科連合の侵害に対して巧みに指揮階層の火力を発揮できる指導者をいかに育成するかというものだった。次の20年の課題も同じだろうが、技術が要求される能力のリストに加わるだけだ。最高の指揮官とは、とりわけ戦闘の物理学の専門家であり、データに精通し、作戦環境の物理的次元と同様に情報と人間の次元にも精通した指揮官である。

このコンセプトには2種類の変化がある。今すぐできる変化と、今始めなければできない変化だ。今行動することによってのみ、米陸軍が陸上領域で優位を保つことができるのだ。指揮官と指導者は、革新が勝利のための通常の部分として期待されるような文化を作ることから始めなければならない。

指導者は、我々と敵対者の戦い方を変えつつある技術について、自らを教育しなければならない。将校と下士官は、米陸軍用兵コンセプト(Army Warfighting Concept)に関する専門的対話に積極的に参加することが不可欠である。ウォーゲームや実験に最高のリーダーを参加させることで、コンセプトをより鮮明にし、ドクトリン、組織、訓練、資材、リーダーシップと教育、人事、施設、政策(DOTMLPF-P)全体で必要な動きを開始できる分野を特定することができる。

我々は一つの陸軍しか持っていないのだから、明日闘う準備と今夜闘う準備のどちらかを選ぶ余裕などない。問題は、現在の即応性と将来の即応性のどちらを優先させるかではなく、どのように不確実性を考慮し、3つの期間すべてにわたる継続的な変革を管理するかである。

ノート

[1] Stephen Biddle, “Back in the Trenches,” Foreign Affairs 102, no. 5 (September-October 2023): 159, https://www.foreignaffairs.com/ukraine/back-trenches-technology-warfare.

[2] 米統合参謀第8部/統合能力部 「統合能力統合(一体化)開発システム運用マニュアル(Manual for the Operation of the Joint Capabilities Integration and Development System (Washington, DC: Department of Defense, 30 October 2021)」, GL-15, https://www.dau.edu/sites/default/files/2024-01/Manual%20-%20JCIDS%20Oct%202021.pdf.本マニュアルでは、能力(capability)を”指定された条件とレベルの下で、任務を完遂したり、行動を実行したりする能力(ability)”と定義している。

[3] Jim Rainey and James Greer, “Land Warfare and the Air-Ground Littoral,” Army Aviation 71, no. 12 (31 December 2023): 16, https://reader.mediawiremobile.com/ArmyAviation/issues/208803/viewer?page=14.

[4] 米陸軍将来コマンド米陸軍アプリケーション研究所の未公表の白書(2023年10月25日)iPodの例も含め、「capability of record(政府認定の能力)」の概念はこの白書に記載されている。

[5] To Receive Testimony on the Department of Defense’s Posture for Supporting and Fostering Innovation Before the Senate Armed Services Committee Subcommittee on Emerging Threats and Capabilities on Accelerating Innovation for the Warfighter, 117th Cong. (6 April 2022) (statement of Michael Brown, Director, Defense Innovation Unit), 9, https://www.armed-services.senate.gov/download/brown-statement-04/06/2022.

[6] Whitney McNamara et al., Commission on Defense Innovation Adoption Final Report (report, Washington, DC: Atlantic Council, 16 January 2024), 7, https://www.atlanticcouncil.org/in-depth-research-reports/report/atlantic-council-commission-on-defense-innovation-adoption/.

[7] Gary Anderson and Francisco Moris, “Federally Funded R&D Declines as a Share of GDP and Total R&D,” National Center for Science and Engineering Statistics, 13 June 2023, https://ncses.nsf.gov/pubs/nsf23339/.

[8] U.S. Army Futures Command, Army Applications Lab, 1–2.

[9] “Wright Brothers, 1909–1910,” National Museum of the U.S. Air Force, accessed 29 July 2024, https://www.nationalmuseum.af.mil/Visit/Museum-Exhibits/Fact-Sheets/Display/Article/197528/wright-brothers-1909-1910/.

[10] Christine Wormuth, “Secretary of the Army Opening Remarks at AUSA 2023” (remarks as prepared, Washington, DC: U.S. Army, 9 October 2023), https://www.army.mil/article/270662.

[11] Ibid.

[12] Donn Starry, “To Change an Army,” Military Review 63, no. 3 (March 1983): 21–27, https://cgsc.contentdm.oclc.org/digital/collection/p124201coll1/id/292/rec/5.

[13] To Receive Testimony on the Posture of the Department of the Army in Review of the Defense Authorization Request for Fiscal Year 2024 and the Future Years Defense Program Before the U.S. Senate Committee on Armed Services, 118th Cong. (30 March 2023) (statements of Christine Wormuth, Secretary of the Army, and James McConville, Chief of Staff of the Army), 7, https://www.armed-services.senate.gov/hearings/to-receive-testimony-on-the-posture-of-the-department-of-the-army-in-review-of-the-defense-authorization-request-for-fiscal-year-2024-and-the-future-years-defense-program.

[14] U.S. Army, “Army of 2030,” Army.mil, 5 October 2022, https://www.army.mil/article/260799/army_of_2030.

[15] James Rainey and Laura Potter, “Delivering the Army of 2030,” War on the Rocks, 6 August 2023, https://warontherocks.com/2023/08/delivering-the-army-of-2030/.

[16] Louis Yuengert, ed., How the Army Runs: A Senior Leader Reference Handbook (Carlisle, PA: U.S. Army War College, 2021), 3-29, 8-33, https://warroom.armywarcollege.edu/wp-content/uploads/2021-2022_HTAR.pdf.

[17] 米統合参謀第8部/統合能力部 「統合能力統合(一体化)開発システム運用マニュアル(Manual for the Operation of the Joint Capabilities Integration and Development System, GL-15, 本マニュアルでは、能力(capability)を”指定された条件とレベルの下で、任務を完遂したり、行動を実行したりする能力(ability)”と定義している。

[18] 移動防護火力(MPF)の初期能力文書は、2013年から米陸軍参謀本部に入っていたが、2016年8月18日に承認された。能力開発文書は2018年6月4日に承認された。低率初期生産の契約は2022年6月28日に締結された。2025年に装備化が開始されると予測されている。

[19] Mark A. Milley and Ryan McCarthy, memorandum, “Modernization Priorities for the United States Army,” 3 October 2017, 1–2, https://sdc.mit.edu/sites/default/files/documents/Army%20Modernization%20Priorities.pdf.

[20] エリック・シンセキ(Eric Shinseki)(ジェームズ・ダオ、トム・シャンカー「もはや兵士ではない、シンセキは新たな使命を担う」ニューヨーク・タイムズ2009年11月10日https://www.nytimes.com/2009/11/11/us/politics/11vets.html.)より引用。エリック・シンセキ(Eric Shinseki)米陸軍大将がこの訓示を最も早く公の場で用いたのは、2001年5月24日、ケンタッキー州フォートノックスで開催されたアーマー会議での発言だろう。その場には、より軽量で配備しやすい戦闘車両を配備するというシンセキ(Shinseki)の構想に批判的だった退役将校数名が出席していた。当時下級将校だったジョナサン・S・ダン(Jonathan S. Dunn)米陸軍大佐は、この発言を聞いた。

[21] 米陸軍用兵コンセプト(Army Warfighting Concept)は、米陸軍将来コマンドが策定中の内部文書である。本稿は、そのコンセプトと重要なアイデアのいくつかを紹介するものである。

[22] 将来の作戦環境実行見積りは、米陸軍将来コマンドが維持する継続的に更新される秘区分有の評価であるが、より広範なインテリジェンス・コミュニティから情報を得て、アクセスできるようになっている。ジェイコブ・バートン(Jacob Barton)博士へはjacob.e.barton.civ@army.mil.

[23] Donn Starry, “Extending the Battlefield,” Military Review 61, no. 3 (March 1981): 32, https://www.armyupress.army.mil/Portals/7/online-publications/documents/1981-mr-donn-starry-extending-the-battlefield.pdf.

[24] 米国家安全保障戦略(NSS(米国政府:2022年10月)、2022年米国防戦略(NDS(米国防総省:2022年)米国家安全保障戦略(NSS米国防戦略(NDSでは、中国を迫りくる課題(pacing challenge)、ロシアを急性脅威(acute threat)、北朝鮮、イラン、暴力的過激派組織を持続的脅威(persistent threats)と特定している。

[25] Michael Kofman, “Keynote” (conference presentation, Army Applications Lab Vertex: Air-Ground Littoral, Austin, TX, 17 July 2024).

[26] Jack Watling, The Arms of the Future: Technology and Close Combat in the Twenty-First Century (London: Bloomsbury Academic, 2023), 99.

[27] Kofman, “Keynote.”

[28] Stephen Biddle, Military Power: Explaining Victory and Defeat in Modern Battle (Princeton, NJ: Princeton University Press, 2004), 2–4.

[29] ここでは、アイデアがまだ検証されていないコンセプトの一部であることを強調するため、「主要な概念(primary notions)」を使用する。検証済みのドクトリンでは、より宣言的な言葉(例えば信条(tenets))が使われる。

[30] フィールド・マニュアル100-5「作戦(Operations」(1982年8月20日)これはエアランド・バトル(AirLand Battle)ドクトリンの初版である。最終版は1986年の同マニュアルの改訂版で発表された。

[31] David Johnson, Shared Problems: The Lessons of Airland Battle and the 31 Initiatives for Multi-Domain Battle (Santa Monica, CA: RAND Corporation, 13 September 2019), 5–6, https://www.rand.org/pubs/perspectives/PE301.html.

[32] Andrew Krepinevich Jr., The Origins of Victory: How Disruptive Military Innovation Determines the Fates of Great Powers (New Haven, CT: Yale University Press, 2023), 439.