フォース・デザインをテストできる「アジャイル」ウォーゲーム (news.usni.org)
紹介するのは、MILTERMでも紹介している米海兵隊のフォース・デザイン2030やスタンド・イン・フォース、遠征前進基地作戦(EABO)(MILTERMでは、2021年初版のみ。第2版は未投稿)などのコンセプトを検討する際に、市販のシミュレーションを使用したウォーゲームを行っているという2022年の米海軍研究所(USNI)の記事である。
シミュレーションと一口に言っても、色々とあり、シミュレーションを行う狙いに応じたシミュレーションを選ぶことが重要だといわれる。記事を読むと、米海兵隊が将来の戦力設計としてフォース・デザイン2030を策定するための検討にあたっては大きく部隊運用レベルの検討、抑止力の可能性の検討、後方支援(兵站)の検討を行っているようである。
この中で、部隊運用レベルの検討にはAssassin’s Mace—War in the Pacificというシミュレーションを、抑止力の可能性の検討、後方支援(兵站)の検討においてCommand PEを使用したと述べられている。Command PEは日本でも利用者がいるといわれている。
記事を通じて、軍事の各種コンセプトなどの検討をする際に、シミュレーションを使用するイメージを、脅威となる中国に対する米海兵隊の戦力設計をシミュレーションを使用してどのように行ったかのイメージをつかめるのではないかと考える。(軍治)
元となる記事は以下の2022年の3本建てである。元の記事のとおりにその1からその3までを掲載している。
フォース・デザインをテストできる「アジャイル」ウォーゲーム その1
The ‘Agile’ Wargames that Can Test Force Design, Part 1
トーマス・クイン中佐(英国海兵隊)
アダム・バンカー少佐(米空軍)
タイラー・クイン少佐(米海兵隊)
November 2022
Proceedings
Vol. 148/11/1,437
編集部注:本稿は、フォース・デザインの開発における秘密区分無し(unclassified)のウォーゲームの有用性について論じた3本の記事のうちの1本目である。
次の闘いはどのようなものになるのか、そして競争に勝ち抜くためにはどのような変更を加えなければならないのか。将来を予測することは不可能だが、それでも軍事計画担当者は将来の紛争の特徴を予測し、米軍部隊を国家の目標を達成するために最適な位置に置かなければならない。資源が有限の世界では、献身的な敵対者を凌駕できる部隊をデザインするために、難しい選択を迫られる。
米国防総省(DoD)内のすべての部局がこの課題に取り組んでいるが、米海兵隊ほど積極的かつ公に取り組んでいる部局はないだろう。フォース・デザイン2030(Force Design 2030)は、将来の安全保障環境に向けて戦闘に耐えうる部隊を近代化・発展させるための米海兵隊の計画である。特筆すべきは、フォース・デザイン2030が、2018年国家防衛戦略(2018 National Defense Strategy’s)の対テロから国家間競争へのシフトという方向性に照らして、米海兵隊を形成し続けていることである。この要件は、2022年国家防衛戦略(National Defense Strategy)で再度強調された。米国防総省(DoD)は中国を迫りくる脅威(pacing threat)としているが、ロシアも引き続き懸念を引き起こしている。
フォース・デザイン2030の開発、ウォーゲーム、テスト、改良に向けた努力は相当なものであり、米海兵隊は進捗状況を頻繁に公表し続けている。しかし、多くの側面は必然的に機密扱いとなるため、国家安全保障コミュニティの多くは、結論に至るまでに用いられた方法(しばしば論議を呼ぶ結論)を理解することができない。このため、アナリストは、フォース・デザイン2030を、暗いガラス越しにしか見ることができないように感じている。
しかし、秘密区分無し(unclassified)の情報や一般に公開されている情報には、独自の評価を下すための材料が豊富にある。地図を見たり、軍事能力を調べたり、時間距離係数を計算したり、秘密区分(classification)の制約にとらわれない論理的な結論を出すことは誰にでもできる。このような取組みの裏付けとなる調査や合成(synthesis)が進めば進むほど、これらの結論はより厳密なものとなる。
2022年5月、我々は米海兵隊高等戦技学校(SAW)の学生として、フォース・デザイン2030の2つの重要な要素、すなわちスタンド・イン・フォース(SIF)のコンセプトと米海兵隊沿岸連隊(MLR)の現在のプロトタイプの可能性を探ることを目的とした一連の秘密区分無しの演習とウォーゲームを実施した。特筆すべきは、参加者がこれらのイベントの情報提供、開発、実施に使用したのは、一般に入手可能な資料または秘密区分無しの資料のみであったことである。このような制約があるにもかかわらず、われわれは、フォース・デザイン2030をめぐる今後の試験、分析、議論に焦点を当てる上で有用な、いくつかの重要な発見を見出した。加えて、このイベントは、国家安全保障コミュニティにおける秘密区分無しのウォーゲーミングの幅広い有用性を浮き彫りにした。使用された方法について論じることで、すべてのフォース・デザインの取組みを支援するための、独立した分析と統合のための、再現可能な別のツールを提供することを目指している。秘密区分無しのレベルにとどまることのもう一つの重要な利点は、同盟国やパートナーと自由に共有できる知見を開発することである。
方法論(Methodology)
米海兵隊用兵研究所(Warfighting Lab)が主催したアジャイル・ウォーゲームは、高等用兵学校(School of Advanced Warfighting :SAW)2021-22年度のカリキュラムを締めくくる3段階の演習の最終イベントだった。各段階はそれぞれ異なるが、相互に関連したイベントであった。
第1段階では、参加者はアジャイル・コンペティション演習を実施した。学生たちは、米太平洋海兵隊(MARFORPAC)の作戦計画策定チーム(OPT)または中国人民解放軍-東部戦域司令部-作戦計画策定チーム(PLA-ETC OPT)のメンバーとして行動した。米太平洋海兵隊作戦計画策定チーム(MARFORPAC OPT)は、中国の侵略を抑止するための戦役のコンセプト(campaign concept)を策定し、2025年まで中国との競争においてスタンド・イン・フォース(SIF)をどのように活用するのが最善かを調査することを任務としていた。人民解放軍-東部戦域司令部-作戦計画策定チーム(PLA-ETC OPT)は、台湾を中国本土と統一するための将来的な作戦を可能にする戦役を開発するタスクを負った。
第2段階では、参加者はアジャイル・レスポンス演習に移行し、米太平洋海兵隊(MARFORPAC)の計画担当者役の学生が、2025年の米第3海兵遠征軍(III MEF)の計画担当者の役割を引き受けた。参加者は、競争が危機にエスカレートした場合の指揮官の見積りを作成することが求められた。開始条件は、第1段階で開発された戦役のコンセプトが有効であることを前提とした。この指揮官の見積りは2028年から30年の時間枠を対象としており、それまでにスタンド・イン・フォース(SIF)と米海兵隊沿岸連隊(MLR)が完全な作戦能力(FOC)に達することを前提としていた。人民解放軍(PLA)チームは、中央軍事委員会(Central Military Commission)からの資源を利用しながらも、東部戦域司令部(ETC)レベルから台湾を孤立させ、中国本土との統一を強要する計画を策定し続けた。具体的には、人民解放軍(PLA)チームは、台湾を孤立させ、統一に同意するまでの政治的譲歩を引き出すために、エスカレートする強制的手段と組み合わせた「隔離(quarantine)」または「統合封鎖戦役(joint blockade campaign)」に落ち着いた。
最後に、第3段階では、学生が開発したウォーゲームという特殊な分析手法を用いて、スタンド・イン・フォース(SIF)が沿岸海域でどのように機動(maneuvers)し、維持されるかを検討し、競争時や危機への移行時に米海軍戦役を支援することを参加者全員に課した。これまでのウォーゲームでは、競争や紛争における米海兵隊沿岸連隊(MLR)の有用性を検討してきたが、米海軍戦役遂行(naval campaigning)を可能にする米海兵隊沿岸連隊(MLR)の能力/能力を検討するという要件には、さらなる検討が必要であった。秘密区分無しの情報源を使用するという要件は、特定の評価を行うために使用する情報の忠実性に制限を課す。しかし、ウォーゲームのデザイナーは、ウォーゲームが最大の透明性を持ち、ウォーゲームで得られた知見を最も広く普及させ、軍事の専門職(profession of arms)全体に開かれた議論を可能にすることを認識した。
第3段階では、参加者は3つの作戦計画策定チーム(OPT)に振り分けられた。各作戦計画策定チーム(OPT)は、保証(assurance)と抑止(deterrence)の測定から、スタンド・イン・フォース(SIF)と米海兵隊沿岸連隊(MLR)の費用対効果の定量化まで、重複する目標をカバーした。ウォーゲームは順次ではなく、同時に実施された。以下の考察では、そのようなゲームの実施について説明し、フォース・デザインと米海兵隊沿岸連隊(MLR)の運用コンセプトの検討のために得られた知見を示す。
部隊運用ウォーゲーム(Force Employment Wargame)
このウォーゲームの具体的な目標は、核閾値を下回る競争から危機まで(competition to crisis)の米海軍戦役において、米海兵隊沿岸連隊(MLR)がどのような実行可能な軍事オプションを提供するかを見極めることであった。このウォーゲームでは、以下のシナリオ、ロジック、ゲーム・プレイ、ゲーム・メカニックを採用した。
シナリオ(Scenario)。米海兵隊沿岸連隊(MLR)は完全に運用可能であり、第一列島線(first island chain)全域にローテーション配備される。地域の同盟国やパートナーは、中国に対する外交姿勢を硬化させ、米国が自国の領土内に、致死性および非致死性な能力と物資のさまざまな組み合わせを駐留させることを認めるようになった。人民解放軍海軍(PLAN)が台湾を孤立させる準備をしているという指摘や警告もある。これに対応するため、タスク・フォース37は、インド太平洋軍司令官(INDOPACOM)から、重要な海上地形付近で統合部隊の状況認識を確立し、重要な海上地形から海上拒否行動(sea denial)を実施し、第1列島近海で制海権を確立するタスクを与えられている。タスク・フォース37は、2つの空母打撃群(CSG)、4つの水上行動群(SAG)、および米第3海兵遠征軍(III MEF)からなる統合海軍部隊である。統合部隊の支援は、韓国、日本、グアムを拠点とする空軍の戦闘機、爆撃機、タンカー、空中早期警戒飛行隊に限られていた。
ゲームの論理(Game logic)。アジャイル・コンペティション演習とアジャイル・レスポンス演習の成果に基づき、作戦計画策定チーム(OPT)は米海兵隊沿岸連隊(MLR)が複数の構成で運用できることを認識した。台湾近辺で人民解放軍(PLA)に対して米海兵隊沿岸連隊(MLR)を使用する場合、このようなさまざまな構成によって、さまざまなレベルの対応が可能である。そのため、このウォーゲームの枠組みは、台湾シナリオで展開されるさまざまなレベルの米海兵隊沿岸連隊(MLR)戦力構成の効果を検討するために構築された。
【参考】Assassin’s Mace—War in the Pacific (https://www.mca-marines.org/wp-content/uploads/An-Invigorated-Approach-to-Wargaming.pdf) |
ゲーム・プレイ(Game play)。ゲーム・エンジンとしてオペレーショナル・ウォーゲーム・システム(OWS)が選ばれた。オペレーショナル・ウォーゲーム・システム(OWS)は、あらゆるドメインにわたる戦争の作戦レベルでの戦争計画や意思決定をテストするためのウォーゲーム・ツールキットであり、統合用兵コンセプト(joint warfighting concepts)を採用している。チームは、オペレーショナル・ウォーゲーム・システム(OWS)のアサシン・メイスの太平洋戦争(Assassin’s Mace—War in the Pacific)モジュールの修正版を4回反復した。これらの反復は、軽、中、重の米海兵隊沿岸連隊(MLR)パッケージを持ち、タスク・フォース37と統合部隊のイネーブラの追加要素を持つように調整された。
アサシン・メイス(Assassin’s Mace)は赤軍と青軍のチームによってプレイされ、赤軍は人民解放軍(PLA)(東部戦域司令部(ETC)を中心に)、青軍はタスク・フォース37を代表した。各ゲームは3~4ターンで構成された。それぞれのターンで、赤軍が先攻、青軍が後攻となった。赤軍の目標は、台湾を孤立させ、海上後方連絡線(SLOC)を遮断することであった。青軍の目標は台湾との海上後方連絡線(SLOC)を維持することだった。両チームには、ゲーム進行役によって人為的に注入される水平的・垂直的エスカレーションを避けるという制限が与えられた。
ゲームのメカニズム(Game mechanics)。アサシン・メイス(Assassin’s Mace)モジュールは、卓上マップを使って、中国から日本まで広がる作戦地域を描く。各ターンは、計画策定、移動、情報作戦(IO)/サイバー/対ISRと部隊防護(force protection)、戦域ISRとローカル検出、戦闘、再生、評価の7つの段階で構成されている。各ターンの間、統合戦力と戦闘隊形が操作され使用され、サイコロを振って各部隊の能力を表す値と比較することで行動が解決される。裁定者はウォーゲームの目標を仲裁のガイドとして使用して、プレーヤー間の行動を解決し、オペレーショナル・ウォーゲーム・システム(OWS)ルールに組み込まれていない状況を解決する。
ゲームの概要
作戦計画策定チーム(OPT)は、プレーヤー・チームが同じ部屋にいて、同じボードを見ながら2つのゲームを行った。その後、作戦計画策定チーム(OPT)はブラインド・ゲームを2回行い、各チームは別のゲーム・ボードのある別の部屋に移動し、ゲーム・プレイを通じて明らかになった敵対者の部隊のみを見ることができた。上述したように、両プレーヤーはエスカレーションを避けることを目的としたため、主に競争における米海兵隊沿岸連隊(MLR)の有用性を探ることができた。ゲーム・ファシリテーターは、この制限の範囲内でゲーム・プレイの結果が出尽くしたと判断した場合、シナリオを紛争にエスカレートさせるためのインジェクトを適用し、さらなる探索を可能にした。
発見と観察
これらの知見は、この特殊なウォーゲームの限界に縛られるものであり、決定的なものではないが、スタンド・イン・フォース(SIF)と米海兵隊沿岸連隊(MLR)の開発をめぐる今後の議論の形成に役立つ貴重なデータを提供するものである。アジャイル・シリーズで開発された3つのゲームの中で、このゲームでは、同様に質的なウォーゲーミング、実験、テストにおける将来の取組みに焦点を当てるのに最も適した質的な発見が明らかになった。ゲーム・プレイ全体を特徴づける最も一般的で最も重要な発見は以下の通りである。
掩護部隊としての海兵沿岸連隊(MLR as a covering force)。米海兵隊沿岸連隊(MLR)は非伝統的な援護部隊(covering force)として、敵との接触を獲得・維持し、主力部隊に関する情報を拒否し、反偵察を行い、敵の治安部隊を撃破し、情勢を展開した。米海兵隊沿岸連隊(MLR)は、その非致死性アセット、欺瞞、統合攻撃サイバー能力および統合攻撃宇宙能力を駆使して、敵を迎撃し、交戦し、遅延させ、混乱させ、欺瞞した。これは、米海兵隊沿岸連隊(MLR)が適切な統合イネーブラと統合されれば、遮蔽部隊(screening force)としてだけでなく、援護部隊(covering force)としても機能することを示唆している。
シューターよりもセンサーが多い(More sensors than shooters)。米海兵隊沿岸連隊(MLR)の主な利点は、キネティックな攻撃アセットというよりも、むしろセンシング能力としての価値であった。米海兵隊沿岸連隊(MLR)はある程度の信頼できる致死性の能力を有していたが、その価値は時間と空間の限られた枠に縛られており、効果を最大化するためには、他の部隊や各ドメインから提供される効果と調整しなければならなかった。このことは、米海兵隊沿岸連隊(MLR)が最も得意とする偵察/対偵察(reconnaissance/counter-reconnaissance)の役割に重きを置くことで、米海兵隊沿岸連隊(MLR)がより有効に機能する可能性があることを示唆している。
回避と海上拒否(Avoidance and sea denial)。赤軍は米海兵隊沿岸連隊(MLR)の部隊の位置を特定する際、エスカレーションのリスクを軽減するため、米海兵隊沿岸連隊(MLR)の能力の射程内に海軍部隊を配置することを避けた。しかし、これは米海兵隊沿岸連隊(MLR)が作戦する遠征前線基地(expeditionary advanced bases)の近辺で、ブルーがまさに達成したかった海上拒否(sea denial)を効果的に提供し、米海兵隊沿岸連隊(MLR)の海上拒否(sea denial)への貢献を実証した。
曖昧さは戦力の投入につながる(Ambiguity leads to commitment of forces)。米海兵隊沿岸連隊(MLR)の位置と縦深(depth)の曖昧さは、その他の海軍兵力の曖昧さと縦深と相まって、赤軍が任意の場所に存在する実際の脅威を軽減するために必要な兵力よりもかなり多くのISRと海軍兵力を投入する原因となった。この効果は、赤軍のISR能力を低下させる効果と組み合わさると、より顕著になった。このことは、米海兵隊沿岸連隊(MLR)が資源の投入と敵の機動の計画(scheme of maneuver)への効果という点で非対称的な優位性を提供することを示唆している。
ペーシング機能としての後方支援(Sustainment as a pacing function)。軽水陸両用戦艦(Light amphibious warships :LAW)は各ゲームで米海兵隊沿岸連隊(MLR)の投入と後方支援に使用され、より大きな戦力パッケージはより多くの維持を必要とし、より多くの軽水陸両用戦艦(LAW)の出撃を生み出した。このため、赤軍は軽水陸両用戦艦(LAW)の発見とターゲッティングを優先した。もし青軍が軽水陸両用戦艦(LAW)を保護したいのであれば、護衛のために追加的な航空戦力と地上戦力を割り当てる必要があり、各軽水陸両用戦艦(LAW)出撃のシグネチャーを増加させることになる。このことは、スタンド・イン・フォース(SIF)指揮官が、より大規模な米海兵隊沿岸連隊(MLR)戦力パッケージを採用する場合、任務に対するリスクと戦力に対するリスクのいずれかを優先させなければならない可能性があることを示唆している。また、同盟国やパートナーとの緊密な連携計画の必要性も示唆している。
より明確な将来ビジョン
正確な将来のビジョンを模索することは、軍事計画担当者の永遠の課題である。たとえ将来がより明確になったとしても、今日の戦争に勝つという要求と明日の戦争に勝つという要求のバランスを常にとらなければならない。これには多くの微妙なトレードオフと、無数のリスク管理が伴う。この難題をさらに複雑にしているのが、目の前のタスクをよりよく伝えるための情報の秘密区分(classification)と区画分け(compartmentalization)である。最も重要な評価やウォーゲームのいくつかは、この大義に貢献するアナリストや思想家のほとんどに明らかにされることはないかもしれない。
それでも、このジレンマに屈することは実を結ばない。計画担当者がすべての情報にアクセスすることはありえない。情報が多すぎるし、区分けされすぎている。
豊富な秘密区分無し情報は、有用な分析やウォーゲームの開発を支援し、統合部隊内部や将来の計画立案者、国防関係者の間で行われる公開討論に情報を提供することができる。我々は、単一の演習の枠組み内で複数のウォーゲームに参加してデザインし、フォース・デザインの取組みに役立つ知見を生み出した。国家安全保障の計画担当者やライターが邪悪な問題に取り組み続ける中で、将来の明確なビジョンを見出すために、同様にデザインされたウォーゲームを研究やデザインの取組みに取り入れる機敏さを維持することは、有益なことである。
その他の執筆者:セミング・ルステン中佐(ノルウェー陸軍)、デメトリオ・リッジョ少佐(伊陸軍)、ティム・ラッセル少佐(米陸軍)、アンドリュー・ライト少佐(米海兵隊)、エリック・プレンティス少佐(米海兵隊)、ポール・トローワー少佐(米海兵隊)、クラーク・スミス少佐(米海兵隊)、ライアン・ハミルトン少佐(米海兵隊)、カレブ・リード中佐(米海兵隊)、マーク・サヴィル中佐(米海兵隊)、ピート・コム中佐(米海兵隊)、ブライアン・カーグ中佐(米海兵隊)。
フォース・デザインをテストできる「アジャイル」ウォーゲーム その2
The ‘Agile’ Wargames that Can Test Force Design, Part 2
セミング・ルステン中佐(ノルウェー陸軍)
ティム・ラッセル少佐(米陸軍)
ライアン・ハミルトン少佐(米海兵隊)
November 2022
Proceedings
Vol. 148/11/1,437
編集部注:本稿は、フォース・デザインの開発の取組みにおける秘密区分無し(unclassified)のウォーゲームの有用性について論じた3本の記事のうちの2本目である。
2022年5月、我々はフォース・デザイン2030(Force Design 2030)の2つの重要な要素であるスタンド・イン・フォース(SIF)のコンセプトと米海兵隊沿岸連隊(MLR)の可能性を探ることを目的とした一連の秘密区分無し(unclassified)の演習とウォーゲームを実施した。米海兵隊用兵研究所(Warfighting Lab)との協力のもと、高等用兵学校(School of Advanced Warfighting :SAW)はアジャイル・コンペティション演習とアジャイル・レスポンス演習を実施し、いくつかのウォーゲームをデザインした。我々は、競争中と紛争中の両方において、米海軍戦役遂行におけるスタンド・イン・フォース(SIF)と米海兵隊沿岸連隊(MLR)の可能な役割を検討した。
特筆すべきは、参加者がこれらのイベントの情報提供、開発、実施に使用したのは、秘密区分無しの一般に入手可能な資料のみであったことである。このような制約があるにもかかわらず、フォース・デザイン2030をめぐる今後の議論に役立つと思われるいくつかの重要な発見があった。加えて、このイベントは、国家安全保障コミュニティにおける秘密区分無しのウォーゲーミングの有用性を浮き彫りにするものであった。使用される方法について議論する中で、我々は、そのようなイベントから除外される可能性のある同盟国やパートナーも組み込むことができる、フォース・デザインの取組みをサポートするために独立した分析と合成(synthesis)を実施するために使用できる、別の複製可能なツールを提供する。
抑止力のウォーゲーム(Deterrence Wargame)
このウォーゲームの目標は、米海兵隊沿岸連隊(MLR)がどのように信頼できる戦力を提供し、同盟国を保証させ、敵対者の抑止に貢献できるかを探ることであった。ウォーゲームでは、以下のシナリオ、方法論、開始条件、前提条件、計画策定要因を採用した。
シナリオ(Scenario)。人民解放軍(PLA)が台湾への海峡を越えた侵攻を準備しているとの兆候と警告がある。それを見越して、米国と日本は琉球諸島全域に遠征前進基地を配置した。米海兵隊沿岸連隊(MLR)の任務は、台湾と琉球諸島の間で活動する人民解放軍海軍(PLAN)と人民解放軍空軍(PLAAF)を阻止し、日本と台湾東部の間の海上後方連絡線(SLOC)を確立するための将来の統合部隊の作戦を可能にすることである。
方法論(Methodology)。作戦計画策定チーム(OPT)は、中国、日本、米国を代表するチームに分かれた。各ターンは、D-1からD+1までの同じ48時間をシミュレートした。3つの作戦計画策定チームは、ターンごとにそれぞれの部隊の行動方針(courses of action)を策定し、修正した。各チームの命令は、コマンド・プロフェッショナル・エディション(Command PE)にプログラムされた。Command PEは、一般に公開されている現実の戦闘編成と能力に関するデータを使用した、コンピュータ・ベースの統合戦闘シミュレーションである。
【参考】Command Professional Edition |
Command PEのシミュレーションは毎日数回実行された。各実行後、ブルーフォースの能力の追加や削減、機動の計画(scheme of maneuver)の修正が行われた。各日の終わりに、作戦計画策定チーム(OPT)メンバーはすべてのデータをまとめ、米海兵隊沿岸連隊(MLR)が「戦闘信頼性(combat credibility)」を達成するために必要な統合および/または連合の支援の程度を含め、米海兵隊沿岸連隊(MLR)が戦闘信頼性のある部隊を構成しているかどうかを投票した。戦闘信頼性(combat credibility)とは、米海兵隊沿岸連隊(MLR)が人民解放軍海軍(PLAN)の水上行動群(SAG)の駆逐艦1隻にミッション・キル(mission kill)を与える能力として定義された。
各ターンの結果を使用して、ウォーゲーム参加者は米海兵隊沿岸連隊(MLR)の同盟国に対する保証能力、または敵対者に対する抑止能力を評価するよう求められた。抑止作戦のための統合運用コンセプト(Joint Operating Concept for Deterrence Operations:JOCDO)から導き出された定義に基づき、各チームは米海兵隊沿岸連隊(MLR)が抑止の9つのドクトリン上の方法のいずれかを通じて抑止または保証を達成できるかどうかに投票した。各チームは、中国、米国、日本のいずれかの立場から、その評価を公の場で弁明し、米海兵隊沿岸連隊(MLR)の能力不足の根拠を正当化しなければならなかった。最後に、ウォーゲームの参加者は、抑止の9つの方法のそれぞれを達成するための米海兵隊沿岸連隊(MLR)の能力を、個人的な観点から順位付けするよう求められた。ここでも、参加者は自分の順位を公の場で守らなければならず、今後のターンで米海兵隊沿岸連隊(MLR)の能力を修正する機会が与えられた。合計21回のCommand PEシミュレーションが実行され、4回の作戦計画策定チーム(OPT)投票が行われた。
開始条件(Starting conditions)。Command PEの中で、ゲーム・デザイナーは人民解放軍(PLA)、米海兵隊、自衛隊(JSDF)の戦闘力を表現した。各交戦国には、ゲーム開始時に以下の戦力が割り当てられ、異なるゲーム反復の間に、上述の方法に従って戦力が追加・削除された。
・ 人民解放軍(PLA)チームには、空母1隻、駆逐艦4隻、フリゲート2隻、ディーゼル潜水艦5隻、H-6戦略爆撃機中隊1個、J-10B多用途戦闘機中隊1個、YJ-18ミサイル大隊1個が提供された。
・ 米海兵隊チームには、1個米海兵隊沿岸連隊(MLR)と軽水陸両用戦艦(LAW)2隻が提供された。
・ 自衛隊(JSDF)チームには、駆逐艦2隻、フリゲート1隻、ディーゼル潜水艦2隻、揚陸艦戦車1隻、米海兵隊沿岸連隊(MLR)に相当するもの、F-15イーグル2個中隊、P-3Cオリオン1個分隊、E-2Dアドバンスト・ホークアイ1個分隊が提供された。
各シミュレーションは、台湾の北東にある3つの遠征前進基地(EAB)にまたがる米海兵隊沿岸連隊(MLR)から始まった。自衛隊(JSDF)は、琉球で活動する人民解放軍(PLA)軍から日本本土とその周辺で活動する日本主力部隊を守る任務を負い、同じ地域の2つの遠征前進基地(EAB)を占領した。人民解放軍(PLA)は中国本土から移動を開始し、台湾の北と東に阻止態勢を確立して台湾の部隊を孤立させ、連合軍の航空部隊や海軍部隊が将来の上陸作戦に影響を与えるのを防ぐタスクを負った。
仮定(Assumptions)。作戦計画策定チーム(OPT)はウォーゲーム中に4つの仮定を置いた。これらの仮定は、ウォーゲームの計画と実行を継続するために必要なものであった。
- 効果的な抑止や保証を得るためには、米海兵隊沿岸連隊(MLR)は戦闘信頼性の高い戦力でなければならない。抑止作戦のための統合運用コンセプト(JOCDO)に従えば、抑止は所与の戦力または能力の戦闘信頼性を前提とする。このためデザイン・チームは、米海兵隊沿岸連隊(MLR)が抑止に貢献するためには、戦闘信頼性が高いことは必要条件であるが、十分条件ではないと判断した。作戦計画策定チーム(OPT)は、まず米海兵隊沿岸連隊(MLR)が戦闘的に信頼できるかどうかを判断し、次に米海兵隊沿岸連隊(MLR)が敵を抑止し、同盟国を保証できるかどうかを判断することになった。
- 米海兵隊と統合軍は、米海兵隊沿岸連隊(MLR)を支援するのに十分な後方支援能力を有している。この仮定により、ウォーゲームは米海兵隊沿岸連隊(MLR)の運用に後方支援がもたらすというこれまで認識されていた課題ではなく、米海兵隊沿岸連隊(MLR)の抑止・確保能力に焦点を当てることができた。
- 琉球の米軍部隊は接近、基地化、上空飛行が可能である。米海兵隊沿岸連隊(MLR)のコンセプトをテストするためには、この地域に駐留する必要があった。
- 米海兵隊沿岸連隊(MLR)は、東シナ海の自衛隊(JSDF)のカウンターパートとインテリジェンスおよびターゲティング・データを共有できる。この想定は、米海兵隊沿岸連隊(MLR)がより大規模な収集とターゲッティング・ネットワークに統合できるようにすることに重点を置いた。ウォーゲームを秘密区分無しのレベルに維持するため、作戦計画策定チーム(OPT)は、統合部隊の追加能力を探るのではなく、オープン・ソースのパートナー能力に米海兵隊沿岸連隊(MLR)を統合することにした。
発見と観察
Command PEの各反復は、抑止(deterrence)と保証(assurance)の効果測定と連動して、何十もの発見と観察を明らかにした。この特殊なウォーゲームの限界に縛られているため、これらの発見は決定的なものではない。しかし、スタンド・イン・フォース(SIF)と米海兵隊沿岸連隊(MLR)の開発に関する今後の議論に役立つ貴重な洞察が得られた。最も重要な発見は以下のとおりである。
戦闘信頼度は連合支援と結びついている(Combat credibility is tied to coalition support)。このゲームでは、戦闘信頼性を、水上行動群(SAG)内で米海兵隊沿岸連隊(MLR)が人民解放軍海軍(PLAN)駆逐艦にミッション・キル(mission kill)を実行すること、具体的には、米海兵隊沿岸連隊(MLR)が駆逐艦の意図した任務に向けてさらなる行動を取ることを阻止する効果をもたらすことと定義した。米海兵隊沿岸連隊(MLR)は、連合軍の支援がある程度維持されれば、戦闘可能であると認定された。これには2つの要因があった。
・ 米海兵隊沿岸連隊(MLR)は、連合軍のリソースからのセンシングとインテリジェンス・データを必要とした。
・ 水上行動群(SAG)の防衛網(defensive network)を突破するためには、長距離無人水上艦艇を使わなければならなかった。
このゲームでは、同じ能力を提供できるような統合のオプションはあまり検討されなかったが、連合軍の支援という制限は、米海兵隊沿岸連隊(MLR)が同盟国の領土内で最小限のシグネチャーを維持しようとする場合、実現可能なシナリオとなる。
効果的であるためには、火力はマルチドメインにまたがり、時間的にも空間的にも緊密に連係していなければならない(To be effective, fires should be multidomain and tightly coupled in time and space)。一般に、米海軍打撃ミサイル(NSM)の射程は人民解放軍(PLA)のターゲットに到達するのに十分であったが、この射程は他の射撃プラットフォーム、特に他の遠征前進基地(EAB)から運用されている射撃プラットフォームとの連携効果を必ずしも可能にしなかった。米海軍打撃ミサイル(NSM)だけでは、人民解放軍海軍(PLAN)の水上行動群(SAG)の防御を突破することは一貫してできなかった。戦力パッケージと能力を変更した結果、米海兵隊沿岸連隊(MLR)の射撃効果に次のような変化が生じた。
・ 米海軍打撃ミサイル(NSM)の射程をわずかに延長することで、3つの射撃の遠征前進基地(EAB)を一貫して調整することができた。この連携があっても、米海軍打撃ミサイル(NSM)だけでは人民解放軍海軍(PLAN)水上行動群(SAG)の防御を突破することはできなかった。
・ 自衛隊(JSDF)のF-15の能力が追加されたとき、自衛隊(JSDF)も米国の遠征前進基地(EAB)も人民解放軍海軍(PLAN)の水上行動群(SAG)に影響を与えることができなかった。
・ 統合打撃ミサイル(JSM)を装備した自衛隊(JSDF)のF-35ライトニング1個中隊の導入により、米海兵隊沿岸連隊(MLR)は人民解放軍海軍(PLAN)の水上行動群(SAG)に効果を与え、ほとんどのシナリオでミッション・キル(mission kill)を達成することができた。限定的な要因は、米海兵隊沿岸連隊(MLR)と自衛隊(JSDF)がどの程度、射撃と効果を調整できるかという点であった。
・ このゲームで使用された連合構成は、人民解放軍海軍(PLAN)空母打撃群をうまくターゲットにすることができなかった。このことは、人民解放軍海軍(PLAN)の空母打撃群に対して戦闘可能な米海兵隊沿岸連隊(MLR)関連戦力パッケージを特定するためには、さらなる能力を組み合わせてテストする必要があることを示唆している。
米海兵隊沿岸連隊(MLR)の配備を他の抑止・保証メカニズムと組み合わせることで、米海兵隊沿岸連隊(MLR)の有効性は大幅に高まる(Combining MLR deployment with other deterrence and assurance mechanisms significantly enhances the MLR’s effectiveness)。作戦計画策定チーム(OPT)は、抑止作戦のための統合運用コンセプト(JOCDO)で特定された9つの方法を使用して、ウォーゲーム全体を通じて抑止と保証の効果を測定した。さらに、作戦計画策定チーム(OPT)は奇襲(surprise)を保証と抑止の効果として特定し、測定ツールに追加した。このうち、人民解放軍海軍(PLAN)軍の抑止を達成したり、同盟国に保証を提供したのは、前方展開、戦力投射、能動的・受動的防衛、安全保障協力、軍事統合、相互運用性などであった。
・ 前方展開(Forward presence)。米海兵隊沿岸連隊(MLR)の能力を琉球諸島内に配備することで、中国が琉球と台湾の間の地域にアクセスする能力を拒否し、台湾と日本の間のオープンな後方連絡線(line of communication)を維持することができた。
・ 戦力投射(Force projection)。戦力投射とは、戦力を投射し、作戦行動を実施する能力のことである。戦力投射による抑止と保証は、前述の戦闘信頼性の創出から達成された。
・ 能動的防衛と受動的防衛(Active and passive defense)。能動的防衛とは、敵が争っている地域や位置を拒否するために、限定的な攻撃行動を採用する能力のことである。受動的防衛は、敵対的行動による損害の発生確率を減少させる(影響を最小化する)ための措置である。どちらもウォーゲーム中、抑止と保証に貢献した。特筆すべきは、米海兵隊沿岸連隊(MLR)は人民解放軍(PLA)の弾道ミサイル・サイトの射程内にあり、人民解放軍(PLA)のDF-16に何度もターゲットにされたことである。有機的な米海兵防空統合システム(MADIS)システムは、より大きな弾道ミサイルに対抗するには十分ではなく、遠征前進基地(EAB)は破壊された。モディII(Modi II)電子対策システムで大型デコイを追加するなどの欺瞞の試みは失敗に終わった。遠征前進基地(EAB)は人民解放軍(PLA)J-15によって一貫して識別された。しかし、統合部隊はDF-16の発射を探知することができたため、遠征前進基地(EAB)から作戦を展開する米海兵隊沿岸連隊(MLR)部隊はうまく変位することができた。すべてのシミュレーションにおいて、移動性(mobility)は妨害(jamming)やデコイによる欺瞞(deception)の試みよりも重要であった。デザイン・チームは、人民解放軍(PLA)ロケット軍がウォーゲームに含まれていなかったため、この発見が制限されたことを認識した。
・ 安全保障協力、軍事統合、相互運用性(Security cooperation, military integration, and interoperability)。米海兵隊沿岸連隊(MLR)のセンシング能力は、遠征前進基地(EAB)が攻撃するターゲットを特定し、その位置を特定するには十分ではなかった。MQ-9Aが導入されたとき、人民解放軍海軍(PLAN)のターゲットを識別し、位置を特定することができたが、人民解放軍海軍(PLAN)の戦闘空中哨戒機によってすぐに撃墜された。自衛隊(JSDF)からのセンシング・データとターゲッティング・データ、そしてプラットフォームのリンクに必要な相互運用性がなければ、米海兵隊沿岸連隊(MLR)はターゲットを攻撃することができなかっただろう。しかし、この統合により、米海兵隊沿岸連隊(MLR)は人民解放軍海軍(PLAN)の水上行動群(SAG)にコストを課すことができ、結果的にミッション・キル(mission kill)を達成した。
重要なデータ・ポイント(Important Data Points)
結論は出ていないが、この調査結果は、米海軍戦役遂行の計画策定やフォース・デザインに携わる者にとって、さらなる検討の余地があることを示唆するものである。また、米海兵隊沿岸連隊(MLR)の射撃が複数のドメインで他の射撃と時間的・空間的に緊密に連係することで、米海兵隊沿岸連隊(MLR)の戦闘効果が高まること、米海兵隊沿岸連隊(MLR)が抑止と保証を達成する可能性は、他のメカニズムと組み合わせることで大幅に高まることを示すデータもある。
より大きな教訓は、機密区分無しの情報のみを使用して有用なウォーゲームを開発し、実行することで、新たなコンセプトを探ることができるということである。第38代米海兵隊総司令官計画策定指針(Commandant’s Planning Guidance)のように、軍首脳が軍レベルの方向性を示す場合、それは軍全体に共通の方向に向かって漕ぎ出すよう呼びかけるものである。各軍種内の様々な組織は、困難な問題の特定の要素を探求するために、より良い装備と資源を持っているが、部隊全体は、個々の司令部よりも多くの才能と能力を持っている。さらに、同盟国やパートナーを含めることは、スタンド・イン・フォース(SIF)のコンセプトの重要な要素である。秘密区分のハードルを回避し、同盟国やパートナーの参加を可能にするウォーゲームを開発する機会があれば、コンセプトにより厳密性が増し、同盟国やパートナーにも保証を与えることができる。解決のために努力する者は、どこの国の兵士であろうと、大義を支援するウォーゲームを開発し、実施することができる。
その他の著者:トーマス・クイン中佐(英国海兵隊)、デメトリオ・リッジョ少佐(伊陸軍)、アダム・バンカー少佐(米空軍)、アンドリュー・ライト少佐(米海兵隊)、タイラー・クイン少佐(米海兵隊)、エリック・プレンティス少佐(米海兵隊)、ポール・トローワー少佐(米海兵隊)、クラーク・スミス少佐(米海兵隊)、カレブ・リード中佐(米海兵隊)、マーク・サヴィル中佐(米海兵隊)、ピート・コム中佐(米海兵隊)、ブライアン・カーグ中佐(米海兵隊)。
フォース・デザインをテストできる「アジャイル」ウォーゲーム その3
The ‘Agile’ Wargames That Can Test Force Design, Part 3
デメトリオ・リッジョ少佐(伊陸軍)
マーク・サヴィル中佐(米海兵隊)
ケイレブ・リード中佐(米海兵隊)
November 2022
Proceedings
Vol. 148/11/1,437
編集部注:本稿は、フォース・デザインの開発の取組みにおける秘密区分無し(unclassified)のウォーゲームの有用性について論じた3本の記事のうちの3本目である。
2022年5月、筆者らはフォース・デザイン2030(Force Design 2030)の2つの重要な要素、すなわちスタンド・イン・フォース(SIF)のコンセプトと開発中の米海兵隊沿岸連隊(MLR)の可能性を探ることを目的とした一連の秘密区分無し(unclassified)の演習とウォーゲームを実施した。米海兵隊用兵研究所(Warfighting Lab)との協力の下、高等用兵学校(SAW)はアジャイル・コンペティション演習とアジャイル・レスポンス演習を実施し、いくつかのウォーゲームをデザインした。我々は、競争中と紛争中の両方において、米海軍戦役遂行におけるスタンド・イン・フォース(SIF)と米海兵隊沿岸連隊(MLR)の可能な役割を検討した。特筆すべきは、参加者がこれらのイベントの情報を提供し、開発し、実施するために、秘密区分無しの一般に入手可能な資料のみを使用したことである。
ウォーゲームの焦点は、戦力の適切な運用を検討することよりも、むしろ後方支援要件にあった。参加者は、もっともらしい友軍部隊の態勢と機動の計画(scheme of maneuver)を策定したが、海兵遠征部隊(MEU)や米海兵隊沿岸連隊(MLR)の戦闘力を敵に対して最適化することには焦点を当てなかった。このような制約があるにもかかわらず、著者らは、フォース・デザイン2030をめぐる今後の議論に有用と思われるいくつかの重要な発見を行った。加えて、この出来事は、国家安全保障コミュニティにとって、秘密区分無しのウォーゲーミングが広く有用であることを浮き彫りにした。使用される方法について議論する際に、我々は、そのようなイベントから除外される可能性のある同盟国やパートナーも組み込むことができる、フォース・デザインの取組みを分析および合成(synthesize)するために使用できる複製可能なツールを提供する。
後方支援のウォーゲーム(Sustainment Wargame)
後方支援のウォーゲームの具体的な目標は、スタンド・イン・フォース(SIF)運用のコンセプトの中で、米海兵隊沿岸連隊(MLR)配備の費用対効果を判断することであった。ウォーゲームでは、以下のシナリオ、方法論、開始条件、計画策定要因を使用した。
シナリオ(Scenario)。米海兵隊沿岸連隊(MLR)と水陸両用即応集団(ARG)/米海兵隊遠征部隊(MEU)の編隊は、人民解放軍海軍(PLAN)の水上戦闘機が第一列島線を通過し、台湾の東で効果的な封鎖を確立するのを阻止するため、ルソン海峡での統合海上拒否作戦(joint sea-denial operations)を支援するタスクを負った。このシナリオでは、台湾、尖閣諸島、およびいくつかの日本列島における連合軍の取組みを想定し、同じ目的を支援した。シナリオはまた、フィリピンとのアクセス、基地、上空飛行協定も想定した。
方法論(Methodology)。この方法は、競争中の米海兵隊沿岸連隊(MLR)、紛争中の米海兵隊沿岸連隊(MLR)、競争中の米海兵隊遠征部隊(MEU)、紛争中の米海兵隊遠征部隊(MEU)という4つの条件下で、後方支援コストを決定するためにデザインされた。定量的評価には、軽編成と重編成の両編成を配備した場合の相対的な後方支援負担の比較も含まれた。作戦計画策定チーム(OPT)は、3段階のウォーゲームを実施した。
第1段階では、米海兵隊沿岸連隊(MLR)と米海兵隊遠征部隊(MEU)の構成を使用して、競争中の後方支援要件を決定した。これをテストするため、プレーヤーは米海兵隊沿岸連隊(MLR)と米海兵隊遠征部隊(MEU)について、クラスI(食糧と水)、クラスIII(燃料)、クラスIV(建設資材)、クラスVI(個人需要品目)、クラスVIII(医療品目)を含む複数の補給物資の1日当たりの予測消費率を計算した。過去の米海兵隊遠征部隊(MEU)の展開から、これらの計算を比較・検証するためのデータが得られた。両編隊の後方支援要件を確認した後、作戦計画策定チーム(OPT)は後方支援プラットフォームの能力を調整し、各編隊に固有の消費率を特定することで、競争内における後方支援要件を決定した。
第2段階では、統合戦闘シミュレータ「コマンド・プロフェッショナル・エディション(Command PE)」を使用し、米海兵隊沿岸連隊(MLR)と米海兵隊遠征部隊(MEU)の両方について作戦レベルの後方支援イベントをシミュレートした。これによって作戦計画策定チーム(OPT)は、定量化された戦闘損失見積り、兵站支出評価、および軍需品、燃料、代替車両の戦闘後方支援要件を特定することができた。このシミュレーションには、複数のモンテ・カルロ(Monte Carlo)展開が含まれていた。モンテ・カルロ展開とは、さまざまな要因のばらつきを考慮しながら事象を複数回シミュレートすることで、確率変数の介在が存在する場合に起こり得る結果確率を予測するために使用されるモデルである。一般的な統合戦闘護衛作戦により、兵站プラットフォームは作戦の後方支援を実施することができた。
第3段階では、作戦計画策定チーム(OPT)が第1段階と第2段階の結果を組み合わせ、紛争時に米海兵隊沿岸連隊(MLR)と米海兵隊遠征部隊(MEU)を1カ月間運用するための推定コストを算出した。
開始条件(Starting conditions)。米海兵隊遠征部隊(MEU)と米海兵隊沿岸連隊(MLR)のケースは同じようなスタート位置であったが、主な違いは海運(米海兵隊遠征部隊(MEU)は水陸両用即応集団(ARG)、米海兵隊沿岸連隊(MLR)は6隻の軽水陸両用戦艦)、大型無人水上艦(USV)の不在(米海兵隊遠征部隊(MEU))または存在(米海兵隊沿岸連隊(MLR))、遠征前進基地(EAB)の数(米海兵隊遠征部隊(MEU)は2隻、米海兵隊沿岸連隊(MLR)は3隻)であった。
計画策定要因(Planning factors)。作戦計画策定チーム(OPT)は、計画策定見積りを支援するために複数の参考資料を使用し、そのすべてを付属文書にまとめた。後方支援のための最も重要な計画策定要因は、海兵隊の兵站戦術・訓練・教育プログラムの機関管理者である海兵隊兵站作戦グループ(MCLOG)が開発した計画ツールを使用した兵站の見積りであった。
水陸両用輸送ドックUSSアーリントン(LPD-24)に戦闘用ゴム襲撃艇で帰還する第22海兵遠征隊の海兵隊員。秘密区分無しのウォーゲームでは、海兵遠征部隊と海兵沿岸連隊の維持には、競争と紛争でまったく異なる財政コストがかかることが判明した。米海軍(ジョン・ベリーノ(John Bellino)) |
発見と観察
Command PEでの反復シミュレーションは、後方支援計画策定の定量的評価から情報を得て、何十もの個々の知見や観察結果を明らかにした。これらの知見は、このウォーゲームの限界に縛られたものであり、決定的なものではないことを強調しておく。しかし、スタンド・イン・フォース(SIF)の維持(sustaining)に関する今後の議論を形成する上で、貴重な洞察を与えてくれる。このゲームから得られた重要な知見を以下に挙げる。
紛争時には、米海兵隊遠征部隊(MEU)の方が米海兵隊沿岸連隊(MLR)よりも、永続的な月間所要量、戦闘損失見積り、戦闘後方支援要件に基づいた維持コスト効率が高かった。紛争時に米海兵隊沿岸連隊(MLR)を維持するには、1カ月当たり108億4708万9243ドルの費用がかかった。この数字の大部分は、米海兵隊沿岸連隊(MLR)が毎月必要とする2回の統合補給作戦中に費やされた戦闘損失と弾薬に相当する。一方、米海兵隊遠征部隊(MEU)が紛争中に兵力を維持するために必要な費用は、毎月49億9,838万8,307ドルである。大きな違いは、米海兵隊遠征部隊(MEU)が利用できる揚力が増加したことで、後方支援の間隔が月に1回だけに短縮されたことである。ウォーゲーミング・チームは、米海兵隊遠征部隊(MEU)のF-35分遣隊が局地航空優越(local air superiority)を確立したおかげで、米海兵隊遠征部隊(MEU)の実験による戦闘損失が少なかったことを確認した。このことは、米海兵隊沿岸連隊(MLR)をF-35と併用することで、同様に戦闘損失を低減できることを示唆している。
人民解放軍(PLA)へのコスト負担(Cost Imposition on the PLA)。人民解放軍(PLA)へのコスト負担という点では、米海兵隊沿岸連隊(MLR)は米海兵隊遠征部隊(MEU)よりも戦闘効果がわずかながら高かった。これは、米海兵隊沿岸連隊(MLR)の有機的な防空資産と、より大規模な合同/連合防空構図と結びつく能力によるものと思われる。米海兵隊沿岸連隊(MLR)を含む連合軍が人民解放軍(PLA)に与えた戦闘損失は約37億3,000万ドル(主に戦闘機/攻撃プラットフォーム、ディーゼル潜水艦)であったのに対し、米海兵隊遠征部隊(MEU)を含む連合軍が人民解放軍(PLA)に与えた戦闘損失は約35億9,900万ドルであった。
競争において、米海兵隊沿岸連隊(MLR)は米海兵隊遠征部隊(MEU)よりも維持コスト効率が高かった(In competition, the MLR was more cost-effective to sustain than the MEU)。米海兵隊遠征部隊(MEU)の需要は米海兵隊沿岸連隊(MLR)よりも小さいが、米海兵隊沿岸連隊(MLR)は小規模な編隊を配備しているため、紛争中に米海兵隊沿岸連隊(MLR)を維持するコストは、水陸両用船の運用に関連するコストがあるため、米海兵隊遠征部隊(MEU)を維持するコストよりも少なかった。第3米海兵隊沿岸連隊(MLR)の編成・装備表に基づく重米海兵隊沿岸連隊(MLR)戦力パッケージを使用した場合、米海兵隊沿岸連隊(MLR)を競争中に1カ月間維持するのにかかった費用は399万6,103ドルだったが、米海兵隊遠征部隊(MEU)を同じ時間、同じ条件で維持するのにかかった費用は839万4,204ドルだった。想定される軽水陸両用戦艦(LAW)の航続距離が長く、運用コストが比較的低いことが、競争期間中、最も大きなコスト削減となった。
米海軍の燃料予算は、軽水陸両用戦艦(LAW)の燃料費予測を複雑にしている(Navy fuel budgeting complicates LAW fuel cost forecasting)。もし軽水陸両用戦艦(LAW)が米海兵隊沿岸連隊(MLR)の主要な移動性アセット(mobility asset)であり、主要な兵站のコネクターであるならば、米海兵隊沿岸連隊(MLR)の指揮官は軽水陸両用戦艦(LAW)を好きな時に好きな場所に向けることができると期待するだろう。しかし、米海軍の燃料予算計画策定は、特定の年に必要な燃料バレルの数を各艦型にリンクしている。バレルの予測は、米海軍エネルギー使用報告システムで収集されたデータから供給される。これと同じプロセスが米海軍の軽水陸両用戦艦(LAW)燃料必要量の予測に適用された場合、米海軍は艦船の運行時間を制限することができるため、米海兵隊沿岸連隊(MLR)指揮官官が軽水陸両用戦艦(LAW)の運用を管理する能力が低下する可能性がある。
重量部品や特大部品のプレス加工は、地上整備コストを大幅に削減する(Prestaging heavy and oversized parts greatly reduces ground maintenance costs)。地上整備費の基準値を設定するため、作戦計画策定チーム(OPT)は第11、13、15、26米海兵隊遠征部隊(MEU)の行動後報告書(AAR)を検討した。行動後報告書(AAR)によると、6カ月の米海兵隊遠征部隊(MEU)展開の平均整備費は約100万ドルだった。配備されたクラスIXブロックにない部品の輸送コストを削減するため、各米海兵隊遠征部隊(MEU)の行動後報告書(AAR)は、コスト削減のために、重量部品や大型部品を郵便で輸送するのではなく、戦地で事前梱包することを推奨した。また、クラスIXブロックに含まれる大型部品の数を減らすことで、船上での立方フィート・コストを削減する機会も得られる。最後に、行動後報告書(AAR)は、少なくとも50万ドルのワラントを所持する契約担当官を配備する同様の部隊の必要性を確認した。50万ドル未満の令状しか持たない契約担当官とともに派遣された部隊は、派遣中に自活することができなかった。このことは、米海兵隊沿岸連隊(MLR)を支援するために、契約業務が有用に活用されていることを示唆している。
乗船、下船、移動にかかる費用は、依然として隠蔽されたままである(Embarkation, debarkation, and travel costs remain hidden)。米海兵隊遠征部隊(MEU)と米海兵隊沿岸連隊(MLR)の費用対効果を算出するために使用された情報源(編成表、装備表、司令部概要、計画策定要因、ウォーゲーミング・ソフトウェア)は、作戦計画策定チーム(OPT)が民間港や輸送機関を利用する費用など、乗降にかかる費用を見積もることを可能にしなかった。また、これらの情報源では、米海兵隊遠征部隊(MEU)の1回の展開で出張命令に数十万ドルが費やされることが多いなど、出張にかかる費用も明らかにされていない。この重要なデータは、米海兵遠征部隊の出納事務所から収集し、将来のコスト予測計画策定に利用すべきである。
推奨事項(Recommendations)
採用した手法の制約と制約を考慮すると、調査結果は、米海軍の戦役遂行の計画策定やフォース・デザインに携わる者がさらに検討すべき道筋を示唆するものではあるが、決定的なものではない。それでも、この調査結果は、米海兵隊沿岸連隊(MLR)の後方支援に関する今後の研究への提言をもたらすものである。
コストの定義(Defining Cost)。このウォーゲームでは、主に米ドルによるコスト見積りを行った。しかし、後方支援コストは他の方法で定義、検討、伝達することができ、その中には単純なドルよりも有用なものもある。これには、トン数に関する時間的・空間的な考慮(ウォーゲームの結果でデータが入手可能)、後方支援タスクに専念する戦力が代わりにできないことに関する機会費用、後方支援に成功した結果敵対者に課される費用などが含まれる。
今後の研究(Future Study)。ウォーゲームで作成された付録には、米海兵隊沿岸連隊(MLR)の後方支援オプションを開発するための計画策定要因とCommand PEデータが含まれており、将来の研究に適用されるべきである。付録は秘密区分無しであり、米海兵隊用兵研究所(Warfighting Lab)は適切な研究者や計画担当者が利用できるようにすることができる。付録の1つは、データセットを操作・修正するための使いやすいMicrosoft Excelインタフェースを提供する。もう一つは、Command PEで実行されたウォーゲームの詳細なサマリーを提供する。Command PEオペレータは、これらの付録にアクセスし、XMLファイルをダウンロードし、それらをゲームにインポートすることで、より深い分析や、今回の演習で実行されたようなウォーゲームの将来の繰り返しを容易にすることができる。この研究は、計画担当者が利用可能な仕様を使用して、軽水陸両用戦艦(LAW)を運用するために何が可能であるかの基本線を理解するのを支援する。仕様が変更された場合、計画担当者はその変更の影響を理解するためにデータを修正することができる。
機敏性を維持する(Staying Agile)
アジャイル・シリーズのために開発された3つのウォーゲームはいずれも、2030年フォース・デザインを支援するアナリストや計画担当者に検討の道を示唆する重要な発見をもたらした。その結果、米海兵隊沿岸連隊(MLR)を統合部隊や連合軍と連携させること、抑止力と安全保障をよりよく支援するために米海兵隊沿岸連隊(MLR)を使用すること、オープンソースデータを使用して、これまでにない詳細レベルで後方支援計画策定要因を特定することなどが提言された。
それ以上に、これらのウォーゲームは、フォース・デザインと部隊運用に関する新たなコンセプトを分析し、テストし、改良する方法を開発する上で、秘密区分無しの情報源がいかに有用であるかを明らかにしている。この変革の時期に、アナリスト、学者、実務家は多くのことを提供しなければならないが、その多くが、秘密区分(classification)という壁が、永続的な影響を与える能力から自分たちを遠ざけているように感じている。さらに、秘密区分(classification)のハードルは、スタンド・イン・フォース(SIF)のコンセプトにおいて最も重要なプレーヤーである同盟国やパートナーを排除することが多い。そのようなことはない。卓上ウォーゲーミング、モデリングとシミュレーション(M&S)、そしてその間にあるあらゆるものが、秘密区分無しの領域でこれらのアイデアを有意義にテストし、探求する余地を生み出す。
注:ここで述べられている見解は著者のものであり、イタリア陸軍、イタリア政府、米国防総省(DoD)の立場や意見を代表するものではない。
その他の執筆者:トーマス・クイン中佐(英国海兵隊)、セミング・ルステン中佐(ノルウェー陸軍)、デミトリオ・リッジョ少佐(伊陸軍)、アダム・バンカー少佐(米空軍)、ティム・ラッセル少佐(米陸軍)、タイラー・クイン少佐、アンドリュー・ライト少佐、エリック・プレンティス少佐、ポール・トローワー少佐、クラーク・スミス少佐、ライアン・ハミルトン少佐(米海兵隊)、ピート・コム中佐、ブライアン・カーグ中佐(米海兵隊)。