DARPAの格闘シミュレーションでAIがトップのF-16パイロットを撃墜

米国では、Loyal Wingmanや、DARPAのMosaic Warfareのコンセプトに、編隊内で人間とTeamingするAI無人機があります。日本でも、将来戦闘機構想のI3Fighterに似たような図が出てきます。この記事のように米国では、Loyal Wingmanを含め実際的な開発が進んでいるようです。この成果は門外不出でしょうから、日本の将来戦闘機では日本で独自開発しなければならない技術だと思います。


AI Slays Top F-16 Pilot In DARPA Dogfight Simulation

“It’s a giant leap,” said DARPA’s Justin (call sign “Glock”) Mock.
By   Theresa Hitchens on August 20, 2020 at 6:03 PM Breaking Defense
「これは大きな飛躍だ」と、米国防総省国防高等研究計画庁(コールサイン「グロック」)のジャスティン・モック氏は述べた。

ワシントン: ヘロン・システムズによって開発されたAIの 「パイロット」 が、DARPAの模擬ドッグファイト競技大会で空軍のトップF-16戦闘機パイロットの1人を5対0で破った。「これは大きな飛躍だ」と、競技のコメンテーターを務めたDARPAのジJustin氏(コールサイン「グロック」)は述べた。
DARPAの関係者は、今日行われたAlphaDogfightの競技の生中継で、空軍パイロットが戦闘中にAIに操縦かんを渡すことができるようになるのは、まだまだ先のことだと語った。しかし、この3日間の競技では、古典的な第二次世界大戦のような空中戦で前方に向けて銃を発射するようなシンプルな1対1の戦闘シナリオであれば、AIシステムは航空機を確実に操縦できることが示された。その一方で、それはわずか1年の開発期間でAIが見せた印象的な進歩でもあった。(昨年9月から、8つのチームがそれぞれのAIを開発した。)

Heron社は女性とマイノリティが所有する小さな会社で、メリーランド州とバージニア州にオフィスがあり、AIエージェントの開発を行っている。そしてまたDARPAのGamebreakerでは、現実世界のゲームをプラットフォームとして敵の戦略を破壊する戦術の研究の一員でもある。同社は他に8チームを打ち負かし、その中には今朝のAIパイロットどうしで戦うAlphaDogfightで 「準決勝」になった防衛大手のロッキード・マーティンが率いるチームも含まれていた。
HeronのチームはYoutubeでライブストリームのQ&Aを行った。「第1戦の1週間前でさえ、私たちのAIエージェントは飛行が全く得意でありませんでした。私たちはそこである方向転換を行い、それ以来、私たちは本当にナンバーワンを取っています。」とHeron社のプロジェクトの共同責任者であるBen Bell氏は述べている。チームは今年中に、AIの強化学習プロセスの詳細を公開する予定だと彼は言っている。

この競技は、DARPAのAir Combat Evolution (ACE)プログラムの一環として空中戦におけるリスク軽減を開発するために企画されたもので、人間や機械のパイロットが戦闘機の操縦を共有してミッションの成功の可能性を最大化する方法を具体化することを目的としている。ACEの全体的なコンセプトは、パイロットが自分の機を操縦するだけでなく、自分の戦闘機に服従するドローンのチームを管理することであり、まさにパイロットを「単一のプラットフォームオペレーターだけでなくミッションコマンダー」にすることを目的としている。ACEプログラムのウェブサイトには「ACEは、航空機とチーム化された無人システムが個別の戦術に従事している間に、パイロットがより広範でよりグローバルな航空指揮任務に参加できる能力を提供することを目的としている。」と説明されている。

Heron SystemsのAIパイロットは非常にアグレッシブで、ネリス空軍基地にあるとても難関な空軍の兵器学校を卒業したコールサイン「バンガー」を持つ空軍の無人機パイロットが操縦した模擬F-16に対し得点することができた。AIは「超人間的照準能力」を持っていたとMock氏は語っている。

Mock氏によると、これらの競技はAIパイロットの将来的な能力やその実行可能性を示す「決定的な」ものではなかったが、同時に「私たちが目にしたのは、この限定された領域、この特定のシナリオでは、私たちは使えるAIを持ちうるということが分かった。」という。

DARPAは、競技とシミュレーションで使われたシミュレーターをネリスに運んで、そこで他の空軍パイロットたちがAIパイロットに挑戦させるつもりでいる。次のステップは、AIパイロットが他のタイプの空中戦闘任務を遂行する能力をテストすることだとしている。

どこかで、悪名高いレッド・バロンはあきれるほど笑っているに違いない。