米空軍、無人戦闘機を有人機と対戦させる
先の記事「格闘シミュレーションでAIがトップのF-16パイロットを撃墜」はDARPAの紹介でした。この記事は米空軍研究所AFRLの取り組みとなっています。いずれにしても、米国の研究開発にはこの分野で勢いがあります。
Air Force to Test Fighter Drone Against Human Pilot
米空軍、無人戦闘機を有人機と対戦させる
June 4, 2020 | By Rachel S. Cohen , AIR FORCE MAGAZINE
空軍の研究者たちは、空対空攻撃で有人機を撃墜できる自律型航空機を設計しており、2021年7月に2機を対戦させることが目標になっている。
米国防総省の統合人工知能センター (Joint Artificial Intelligence Center) の責任者であるJack Shanahan中将によると、米空軍研究所のチームは、すでに空軍が保有している航空機を超えて、軍が作りえるものの限界を押し広げているという。
チームリーダーのSteve Rogers氏は、そのフライト試験-機械が人間を打ち負かす-のために2021年は大変な年になるだろう。しかし「彼がそれをやるなら、すばらしいことだ。」とShanahan氏は、6月4日に開催されたMitchell Institute for Aerospace Studiesで述べている。
AFRLのチームは、2018年に無人機-AIで機動する戦闘機の開発に着手し、18カ月以内にその有望性を示すとしていた。2018年5月にInside Defense誌が報じたところによると、とりあえずの「ムーンショット(非常に困難で独創的で、実現すれば大きなインパクトをもたらし、イノベーションを生む壮大な目標)はまず機械学習技術を、F-35やF-22のような新しいジェット機で試験する前に、F-16のような従来の機体に組み込むことだと報じている。
「人間の優れたパイロットは数千時間の飛行経験を持っているが・・もし何百万時間もの訓練を受けたシステムで人間のパイロットの能力を増強できたらどうなるだろう?…。空対空の戦いにおいて、このシステムは、人間が考えることすらできないようなタイムライン上で意思決定をするのに役立つだろう。」とRogers氏はInside Defense誌に語っている。
このプロジェクトがうまくいけば、空軍の装備にAI応用システムに加わることになる。Skyborgの 「wingman」 というドローンのコンセプトは、おそらくこれらのプログラムの中で最も注目を集めているものだが、米空軍はメンテナンスから戦闘計画ソフトウェアまで、あらゆるものにAIと機械学習のアルゴリズムを追加しようとしている。
AFRLのプロジェクトは、億万長者の起業家Elon Musk氏が2月の空軍協会の会議で述べたコメントに触発されて、自律型戦闘機が人間のパイロットとの対戦に勝利できるかどうかという議論を、今年の初めに復活させた。
「F 35の競争相手は人間が遠隔操作する無人戦闘機だが、そのマニューバーは自律的に行われる。」「F-35にはそれに対抗する術がないだろう。」とMusk氏はツイートした。
国防総省のAI研究は勢いを増しているが、Shanahan氏は、この未来的な技術で起きているすべてのことが成功物語ではないと警告する。軍は自動運転車業界が学んだ教訓を取り入れるべきだと同氏は述べ警告意している。すなわち自動運転車業界は数社が数十億ドルを投資しているにもかかわらず、レベル4の完全自動運転車は今のところ存在していない、」。「一方で、彼らは多くのことを学んでいることは、それは私たち軍がこれから取得するのに10年間を要するような内容です。」と語っている。