米海兵隊の「遠征前進基地作戦(EABO)に関する暫定マニュアル」 第3章
「序文」および「第1章 はじめに」、「第2章 作戦上の思考態度」に引き続き、第3章を紹介する。制度上、米海兵隊は米海軍省内の組織であり、「遠征前進基地作戦(EABO)」を理解する上では米海軍の枠組みの知識が必要であろう。第3章では計画策定や組織について記述されているが、複合戦(Composite warfare)を基本としている。複合戦(Composite warfare)は1981年に攻撃兵器、電子兵器の発達に対応するため米海軍の戦いのコンセプトとして開発されたものである。米海軍のコンセプトに馴染みの薄い場合は、「図3-1. 概念上の海軍のタスク編成」、「図3-2.. 概念上の複合戦組織」などの参照が理解の手掛かりになれれば幸いである。(軍治)
第3章 計画策定と組織へのアプローチ:CHAPTER 3 Approach to Planning and Organization:
3.2 遠征前進基地作戦の計画策定上の文脈:PLANNING CONTEXT FOR EXPEDITIONARY ADVANCED BASE OPERATIONS
3.2.1 競争のための計画策定:Planning for Competition
3.2.2 エスカレーションのための計画策定:Planning for Escalation
3.3 計画策定のフレームワーク:PLANNING FRAMEWORK
3.4 基本的な考慮事項:FUNDAMENTAL CONSIDERATIONS
3.5 海軍の指揮と組織上の考慮事項:NAVAL COMMAND AND ORGANIZATIONAL CONSIDERATIONS
3.5.1 指揮の取り決め:Command Arrangements
3.5.2 艦隊部隊及び海上部隊のタスク編成:Task organization of Fleet and Maritime Forces
3.5.3 海軍のタスク編成上の階級組織:Naval Task-Organization Hierarchy
3.6 分散化した実行のためのフレームワーク:FRAMEWORK FOR DECENTRALIZED EXECUTION
3.6.1 ミッション・コマンド・アンド・コントロール:Mission command and control
3.7 遠征前進基地作戦のための計画策定:PLANNING FOR EXPEDITIONARY ADVANCED BASE OPERATIONS
3.7.1 主要な計画策定上の考慮事項:Main Planning Considerations
3.7.2 その他の計画策定上の考慮事項:Other Planning Considerations
3.7.3 計画策定の責任:Planning Responsibilities
3.7.5 戦闘空間の組織:Organization of Battlespace
第3章 計画策定と組織へのアプローチ:CHAPTER 3 Approach to Planning and Organization:
3.1 全般:GENERAL
第2章で述べたように、軍隊は国力の1つの道具として機能し、軍隊の役割は競争の連続体(competition continuum)全体の中で変化する。軍隊は、暴力の閾値以下の競争(competition below the threshold of violence)において重要な役割を果たす。この閾値より上では、軍隊はより顕著な役割を果たす。
このことを考えると、遠征前進基地作戦(EABO)は、指揮官と参謀に、軍事行動とその効果を競争の連続体(competition continuum)全体として想定することを明確に要求している。指揮官は、武力紛争だけでなく、武力紛争以下の競争においても、戦役遂行の思考態度(campaigning mindset)を身につけなければならない。
長期的思考と同盟国やパートナーとの協力を特徴とする、計画策定における戦役遂行の思考態度(campaigning mindset)の育成は、政治的・軍事的選択肢を増やすと同時に、潜在的敵対者にジレンマを増大させることになる。また、競争の連続体(competition continuum)全体の戦役遂行(campaigning)には、より効果的で完全な海軍の一体化が必要である。
従来の海軍遠征部隊(NEF)は、海軍と海兵隊の能力を組み合わせたもので、補完的ではあるが別個のものであった。しかし、遠征前進基地作戦(EABO)の潜在能力を発揮し、望ましい効果を得るためには、海軍遠征部隊(NEF)のブルー構成部隊とグリーン構成部隊の伝統的な役割を進化させる必要がある。
指揮の取り決め(command arrangements)と機能は、海軍の部隊は海域への貢献、海兵隊の部隊は海軍の作戦と戦力投射への陸上への貢献に限定されるものではなくなってきている。遠征前進基地作戦(EABO)を実施する海軍遠征部隊(NEF)が完全に一体化されるには、艦隊の指揮下で陸上と海上の活動を一体化し、すべてのドメインで効果を挙げることの重要性を認識する必要がある。
3.2 遠征前進基地作戦の計画策定上の文脈:PLANNING CONTEXT FOR EXPEDITIONARY ADVANCED BASE OPERATIONS
沿岸部隊(littoral forces)が遠征前進基地作戦(EABO)を実施する環境は、複雑かつ動的である。指揮官は、複数のドメインにまたがり、敵対者の兵器交戦ゾーン(WEZ)内で作戦するよう計画しなければならない。計画策定手順には、すべての部隊階層における詳細な一体化と調整が必要である。
戦略的環境、方向性、指針の分析を通じて得られる計画策定の意味と要件を理解することは、任務の成功を確保するために極めて重要である。沿岸部の複雑な時間、空間、地形の中で沿岸部隊(littoral force)の行動を調整するには、特に海軍と統合部隊(joint force)の環境が変化していることを考えると、複雑な計画策定の必要がある。
3.2.1 競争のための計画策定:Planning for Competition
競争における戦略的到達目標は国益に由来するものであり、指揮官はこれらの目標に沿ったより大きな戦役遂行の取組み(campaigning effort)に貢献するために何を達成しなければならないかを常に評価(evaluate)しなければならない。競争において成功するための積極的な到達目標を提供することは、中間到達目標に到達するための行動を調整するのに役立つ。
現在および将来の作戦では、競争者のシステムと利用可能な脆弱性を理解するために、競争者に焦点を当てる必要がある。同様に、指揮官は競争者やパートナーの反応を評価(evaluate)するためのモデルを常に改良しなければならない。さらに、悪用される可能性のある内部の脆弱性を認識するために、自己評価を実施する行動を取らなければならない。
このように、作戦は敵対者のシステムの既知の側面を刺激するようにデザインされている。インテリジェンス収集の計画策定の取組みは、予想されるシステムの逸脱を観察し、測定するために意図的に一体化される。
3.2.2 エスカレーションのための計画策定:Planning for Escalation
すべての計画策定の取組みは、武力紛争の激化に対応し、成功するために、戦役遂行(campaigning)の長期にわたる競争の一般的条件を形成することを目指さなければならない。作戦環境内のベースラインが確立された後、すべての任務と活動は、評価計画(assessment plan)の測定可能な成果と関連付けられる。
敵対者のシステムのパターン分散を理解することで、現地指揮官は意思決定プロセスを混乱させ、キル・チェーンを断ち切り、同盟部隊やパートナー部隊の意図を曖昧にすることができるようになる。このように活動を連携させることで、沿岸部隊(littoral force)の指揮官は、状況がエスカレートしているのか、それともデスカレートしているのかを監視、評価することができ、同時に適切に対応するための選択肢を提供し、緊急の要件に資源を直接割り当てることができるようになる。
3.2.3 遠征前進基地作戦の固有及び既定の条件:Inherent and Prescribed Conditions of Expeditionary advanced base operations
遠征前進基地作戦(EABO)は作戦の計画策定における柔軟性を要求する。沿岸部隊(littoral forces)は競争の連続体(competition continuum)を通じて作戦を行うため、不測の事態が発生する可能性とその範囲は非常に大きくなる。指揮官は、急速に変化する戦術的状況を予測し、それに対応する必要性を計画に確実に盛り込まなければならない。このように、指揮官は、沿岸部隊(littoral forces)が、遠征前進基地作戦(EABO)を成功させるための要件である軽量で移動性の遠征態勢を維持するために、様々な状況を考慮しなければならないのである。
沿岸部隊(littoral forces)は、以下のような固有の条件の下で遠征前進基地作戦(EABO)を実施する。
- タスク編成の要件は、部隊が乗船しているか、上陸しているか、あるいは陸上の遠征前進基地(EAB)内で作戦を実施しているかによって異なるため、タスク編成は柔軟に行わなければならない。
- 沿岸部隊(littoral forces)は、部隊防護(force protection)を可能にし、敵対者のターゲッティング・サイクルを複雑化し、敵に時間と物資のコストを課すために、できるだけ広く分散する必要がある。
- 作戦が広範囲に分散していると、タスク部隊全体で限られた船舶、連結船、戦術空輸、突撃支援アセットをめぐり、競争が生じることがある。しかし、遠征前進基地作戦(EABO)を実施する部隊は、作戦地域までの移動と遠征前進基地(EAB)内での機動に、これらに頼らざるを得ない。移動手段が計画された作戦を支援するには不十分で、追加の手段を利用できない場合、指揮官は機動の計画(scheme of maneuver)を再評価し、変更しなければならない。
- 沿岸部隊(littoral forces)は、局地的な移動と機動を行いながら生存性を高めるために、スペクトラムとドメインにわたるシグネチャを注意深く管理しなければならない。可能であれば、ホスト国の支援により、部隊のシグネチャを削減することができる。
- 遠征前進基地作戦(EABO)を実施する部隊は、情報とインテリジェンスを得るために上位部隊階層と接続できなければならない。
また、遠征前進基地作戦(EABO)と海上ドメインには、海から兵力を維持することが不可欠である。この要件は、地形やインフラによる移動性の制限と相まって、部隊の配置において、複合一貫輸送地点へのアクセスをより重視するよう指揮官に指導することができる。複合一貫輸送は、部隊間の緊密な調整を必要とする脆弱な期間である。複合一貫輸送による水上での後方支援に依存することは、沿岸部隊(littoral force)の陸上での作戦を制限する要因となり得る。
規定された条件もまた、いくつかの方法で遠征前進基地作戦(EABO)の計画策定間に影響を与え、注意を促す。これらの条件は通常、制約(constraints)と拘束(restraints)という形で、開始指示の中で設立当局によって規定されるが、それだけに限定されるものではない。第一に、ホスト国はしばしば指揮官の行動の自由(freedom of action)を制限するような制約を課している。
例えば、水上攻撃弾の配備、運用(employment)、管理は、特定の条件によって制限されることがある。ホスト国が規定する制約(constraints)や拘束(restraints)は、競争と武力紛争の双方において、沿岸部隊(littoral force)の計画策定と作戦に影響を及ぼす。
第二に、上位司令部は、競争の連続体(competition continuum)全体を考慮した作戦の計画策定の際、沿岸部隊(littoral force)に複数の潜在的目標を与え、特定の目標の選択は実行直前まで遅らせることができる。この要件は、沿岸部隊(littoral force)の固有の移動性と柔軟性を活用することで、作戦レベルでの柔軟性を提供する。
しかし、それは沿岸部隊(littoral force)のタスク編成と艦船から目標地への計画策定を複雑化させる。別々の目標に対する別々の計画は、細部まで通常の注意を払って作成されなければならず、様々な機動の計画(schemes of maneuver)で許される範囲において、同じ沿岸部隊(littoral forces)を同じ一般的な構成と順序で使用するよう規定しなければならない。
この計画策定上の課題は、複数の任務を遂行するために構成され、乗船しなければならない海兵隊遠征隊(MEU)が直面する課題と同様である。沿岸部隊(littoral forces)は、競争の連続体(competition continuum)全体の中で複数の目標を達成するために、多様な任務を遂行できるように構成され、乗船しなければならない。
最後に、上位の司令部が厳格な放出統制(emissions control)の条件を設定することがあり、これが分散型作戦中のユニークな課題となっている。遠征前進基地作戦(EABO)の実行を調整、指示、支援するために通信・電子機器を多用する遠征前進基地作戦(EABO)の性質を考えると、広範囲に分散した遠征前進基地(EAB)は敵対者の通信インテリジェンスおよび電子戦の取組みに悪用されやすい可能性がある。
作戦の各段階(phase)、各期(stage)、各段(step)[1]において、効果的なシグネチャ管理と通信保全(signal security)を確保するために、特別な注意が必要である。
3.3 計画策定のフレームワーク:PLANNING FRAMEWORK
遠征前進基地作戦(EABO)の計画策定は、確立された軍の意思決定モデルによって提供されるフレームワークの上に構築される。海兵隊の計画策定プロセスや海軍の計画策定プロセスに見られる、トップダウンの計画策定(top- down planning)、単一会戦コンセプト(single-battle concept)、一体化した計画策定(integrated planning)という考え方に沿っている[2]。
すべての計画策定と同様に、継続的な改良と、枝番計画と続編に重点を置いた継続的なプロセスの改良性と反復性の本質が、永続的な要件である。「海兵隊計画策定プロセス(Marine Corps Planning Process)」、MCWP 5-10にあるように、計画策定は単に一連の段(series of steps)であってはならない。
フィードバック・ループと情報に基づいた分析を取り入れることは、厳しいダイナミックな環境の中で指揮官が機能し、成長するために非常に重要である。以下の重点分野は、計画策定のための出発点となるものであるが、すべてを網羅しているわけではない。
作戦デザイン(Operational Design)。指揮官とその参謀の理解と意思決定を可能にする貴重なツールであり、環境のフレームワークを決め、固有の問題を明確にし、作戦環境(OE)の現状(current state of the operational environment)に関する共通理解を深めるのに役立つ。任務、戦略目標、指針などの要素は、作戦環境(OE)の望ましい将来の状態(future state)を定義する上で明確となる。
この2つの状態の違いを識別し、調整することで、指揮官は作戦アプローチ(作戦線(lines of operation)、取組みの目標(lines of effort)、関連する軍事目標)を策定し、作戦上の問題を解決することができる。
目的とタスク(Purpose and Tasks)。沿岸部隊(littoral forces)の指揮官(以下、沿岸部隊指揮官(littoral force commander:LFC))は、目的と割り当てられたタスクを明確に理解することで、計画策定の取組みを集中し、作戦が任務を達成できるようにし、統合部隊(joint force)が作戦上の目標と戦略的狙い(strategic aims)を達成することを支援することができる。沿岸部隊(littoral force)は、海軍の部隊として、艦隊や統合部隊(joint force)の様々な要素と一体化されることがある。
さらに、沿岸部隊(littoral force)は分散して作戦しなければならず、通信が途絶えた環境である可能性が高いため、上位司令部からの継続的な指示や指導が望めないため、明確な目的とタスクが不可欠である。目的とタスクは、沿岸部隊(littoral force)がこの複雑な環境の中で闘い、生き延び、任務を達成するために前進するためのものである。
順序を決める(Sequencing)。指揮官は、任務達成のための最適な行動の配置を決定するために、詳細に考えなければならない。敵対者の兵器交戦ゾーン(WEZ)内で作戦を行う場合、沿岸部隊(littoral force)は常に観測と潜在的な火力に覆われていることを想定しなければならない。
このような環境下で沿岸部隊(littoral force)が生き残り、任務を遂行するためには、指揮官は敵対者の優位性を最小化するために、すべての行動と動きを順序よく行わなければならない。例えば、部隊防護(force protection)のためのタスク編成、シグネチャ管理、その他の計画策定要因を考慮しなければならない。
段階付け(Phasing)。作戦の段階を計画策定する場合、指揮官は沿岸部隊(littoral force)がすでに作戦地域内にいるのか、それとも、その地域に進入する必要があるのかを考慮する必要がある。例えば、すでに配備され、戦域安全保障協力(TSC)を実施している沿岸部隊(littoral force)は、作戦地域近くで沿岸部隊(littoral force)を増強するため、速やかに他の任務のタスクに移行することができる。
上位司令部が指定する段階的構成は、沿岸部隊(littoral force)レベル以下の作戦計画で可能な限り反映させるべきである。参謀は、指揮官が次の作戦段階への移行を決定するための条件を明らかにしなければならない。計画策定では、移行前に満たすべき評価、権限、基準を詳述しなければならず、また、指揮官にタイムリーで正確な情報を提供しなければならない。
一体化(Integration)。「統合海上作戦(Joint Maritime Operations)」(JP 3-32)は、海上計画策定を一体化し、統合計画策定プロセスとの整合性を確保することの重要性を概説している[3]。遠征前進基地作戦(EABO)を実施する場合、ハイペースで資源が限られた環境で機能する必要があるため、あらゆる機会をとらえて協力することが重要である。これによって、各ドメインや指揮の階層(echelons of command)を越えて、資源や能力を効率的に利用することができる。
一体化は重要である。沿岸部隊(littoral force)は、移動的かつ分散的に作戦するため、自らを維持し、その復元性を維持するために、しばしば統合、連合、およびホスト国の能力を活用する必要があるからである。沿岸部隊(littoral force)の取組みを一体化することに加え、指揮官は同じ効率性を追求し、時間、空間、目的を超えて、沿岸部隊(littoral force)の作戦と能力を一体化しなければならない。
リスク(Risk)。リスクとは、危険や損害にさらされる状況を表す。兵力に対するリスクと任務に対するリスクは、すべての軍事作戦に内在している。沿岸部隊指揮官(LFC)はまた、作戦環境内に存在する機会という観点から、リスクを理解しなければならない。戦闘空間(battlespace)の理解と適切な計画策定により、指揮官は順序付け、段階付け、一体化を通じてリスクを管理する。大胆さは、沿岸作戦における重要な特性である。
3.4 基本的な考慮事項:FUNDAMENTAL CONSIDERATIONS
沿岸部隊指揮官(LFC)は、戦域指揮官の要求、戦域作戦との最適な一体化方法、および評価計画の策定を考慮しなければならない。さらに、沿岸部隊(littoral force)は展開前に、敵対者、同盟国、およびパートナーの活動に関する基本的理解を深めるため、作戦環境(OE)を継続的に評価する必要がある。
さらに、沿岸部隊(littoral force)の展開条件を整えるために行われている部隊階層による形成活動にも注意しなければならない。統合部隊と沿岸部隊(littoral force)の形成活動に対する敵対者の反応は、エスカレートした行動が起こった場合に、沿岸部隊(littoral force)の計画策定の取組みをさらに支援するために作戦環境(OE)を継続して評価することが必要となる。
戦域要件(Theater Requirements)。競争の連続体(competition continuum)全体における行動の計画策定は、戦力態勢とそれが戦域の抑止に寄与することを知らせる。また、外交的、情報的な国力の手段を通じて、有利な戦力態勢は同盟国やパートナーとの関係を改善することができる。
さらに、沿岸部隊指揮官(LFC)は戦域指揮官の狙いと、各戦役計画(campaign plan)に関連する計画期間を理解する必要がある。さらに、同盟国やパートナー国の到達目標、能力、能力容量を理解することは、長期的な戦役遂行(campaigning)の計画策定をする上で不可欠な役割を果たす。
戦域の一体化(Theater Integration)。競争における到達目標を達成するためには、政府全体にわたる一体化した行動が必要である。沿岸部隊指揮官(LFC)は、方向性と指針のすべての関連する情報源を分析しなければならない。これらの情報源には、国内法および国際法、二国間および多国間協定、行政命令、政府機関および省庁間政策、軍事指示、軍事ドクトリンなど、さまざまな文書が含まれている。
戦略文書からの指示や指針が曖昧であることは理解できるが、より大きな戦役遂行の取組み(campaigning effort)における沿岸部隊(littoral force)の役割を理解するのに役立つので、それらは重要である。
評価計画の開発(Developing an Assessment Plan)。 評価(assessment)は、遠征前進基地作戦(EABO)の計画策定と実行に不可欠な要素である。評価を行うことで、作戦環境(OE)と、希望する時間枠の中で希望する最終状態に向けた作戦の進捗を継続的に監視・評価(evaluate)するという重要な要件が満たされる。
その狙い(aim)は、問題を理解し、それを解決するための効果的な行動を開発することである。遠征前進基地作戦(EABO)では、指揮官は参謀、下級指揮官、省庁間・多国間パートナーを活用し、作戦環境(OE)で観察される望ましい効果、望ましくない効果を全体的に理解する必要がある。
評価計画(assessment plan)の構築は、計画策定プロセスの初期に望ましい作戦成果を特定することから始まり、指揮官が進捗状況を評価する能力を支援する収集要件の策定も含まれる。
評価計画(assessment plan)では、作戦が定められた目標を達成し、最終的に望ましい最終状態(desired end state)に向かって進んでいるかどうかを判断するのに役立つ指標を定めることになる。遠征前進基地作戦(EABO)の文脈では、評価計画(assessment plan)は、競争と武力紛争の両方における作戦の有効性を示す指標と、競争から武力紛争への移行が起きていることを指揮官に知らせる指標を扱わなければならない。
作戦中の評価(assessment)は継続的なプロセスであり、3つの異なるタスクが含まれる。(1)状況や作戦の進捗状況を継続的に監視する。(2)任務、目標、最終状態(end state)に対する進捗状況を測るため、作戦を有効性の尺度および実績の尺度に照らして評価する。(3)改善のための指針や勧告を策定すること[4]。
評価(assessment)は指揮官の意思決定を支援するものであり、指揮官は参謀や省庁間・多国籍パートナーによって行われた評価と、指揮官の判断や直感とのバランスをとりながら、作戦の最適な指示方法を決定する。作戦環境(OE)と作戦の進捗状況の評価(assessment)は継続的に行われ、緊急の問題が検出されない限り、指揮官は定期的に更新を受ける。
部隊階層による形成(Shaping by Echelon)。作戦環境(OE)を形成する活動は、戦域作戦を成功させるための条件整備を支援する。これらの活動は、作戦環境(OE)内の作戦効果を高めるために継続的に実行される。形成活動は、同盟国やパートナーと共に作戦を行う沿岸部隊(littoral forces)にとって不可欠である。
沿岸部隊(littoral forces)のどのレベルにおいても、その編成責任は通常、番号付けされた艦隊および海兵遠征部隊(MEF)レベルに存在する。国へのアクセス、港へのアクセス、飛行許可、および契約事項などの検討は、それらに影響を与えるために必要な権限を有する司令部のレベルで説明されなければならない。
適切なレベルの指揮官は、さらにいくつかの要因を考慮する必要がある。
- 遠征前進基地作戦(EABO)へのアクセスを確保または促進するためのインフラ整備、特に工兵や海軍建設部隊が空港、海港、道路、橋梁などの民間インフラをデュアル・ユースで改善すること。
- 米軍部隊(US forces)に対する現地の知覚(perceptions)に影響を与える民事・広報の戦略・作戦専門家
- 契約代理店が現地ベンダーとコンタクトを取る
- 信頼関係や相互運用性を向上させるためのホスト国部隊との二国間演習
- 海上の緊要地形(key maritime terrain)の安定化、敵対者の非正規戦(IW)の防止、敵対者の緊要地形の統制の不安定化のための、ターゲット型の対反乱作戦、安定化作戦、または非正規戦(IW)。
上級司令部(higher headquarters :HHQ)が開始指示や作戦上のタスク・メッセージ(operational tasking message :OPTASK)などの命令を出し、指定された部隊に特定の一連の任務を割り当てると、所定の戦域内の行動を形成する権限が下位のレベルに委譲される。しかし、これは上位レベルからの支援責任が薄れることを意味しない。
特殊作戦部隊(SOF)の一体化(Special Operations Forces(SOF)Integration)。特殊作戦部隊(SOF)は、特に暴力の閾値以下の競争において、その独自の権限、関係、能力により、環境を形成する重要な役割を担っている。これらの特徴により、特殊作戦部隊(SOF)は作戦環境(OE)を照らし出し、競争における優位性を維持し、紛争に勝利するための条件を現地に設定することができる。
特殊作戦部隊(SOF)との相互依存と相互運用性により、重要な遠征前進基地作戦(EABO)地形やパートナーに早期にアクセスすることができる。特殊作戦部隊(SOF)の関係、特に他の機関のパートナー、連合部隊、地元の国家や非国家のパートナーとの関係は、重要なインフラにアクセスする道を開き、機動の自由(freedom of maneuver)を確保することができる。
最後に、特殊作戦部隊(SOF)独自の能力と権限によって、従来型の軍隊には否定されがちな政治的に微妙な環境へのアクセスが可能になる。これらの権限は、作戦計画、実行命令、その他の権威ある特殊作戦部隊(SOF)の指針、および議会の資金援助に含まれるが、これらに限定されるものではない。
環境形成に重要なこれらの能力には、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない。
- 特殊偵察(SR)
- 環境の準備(PE)。環境の作戦上の準備(OPE)および前進部隊の作戦(AFO)を含む。
- 対外的内部防衛(FID)
- 非通常戦(UW)
- 軍事情報支援作戦時など、特殊作戦部隊(SOF)ならではの情報環境における作戦(OIE)の活用[5]。
特殊作戦部隊(SOF)独自の権限、関係、能力は、関連する作戦コンセプトやアプローチと結びつけば、遠征前進基地作戦(EABO)に重要な支援を提供することになる。海兵隊特殊作戦コマンド(MARFORSOC)のそのような支援コンセプトの1つが、戦略的形成と偵察(strategic shaping and reconnaissance :SSR)である。
戦略的形成と偵察(SSR)は、特殊作戦部隊(SOF)の世界的な権限、パートナーシップ、能力を組み合わせたユニークなハイブリッドで、国家、戦闘軍(combatant command)、サービスの優先順位と目標を支援するために、特殊作戦部隊(SOF)の占有領域(footprint)を適合させて環境を照らし、形成するものである。
沿岸部隊(littoral forces)の移動性などの特性は、前述の特殊作戦部隊(SOF)の特徴とともに、統合部隊(joint force)に支配的な部隊の能力を提供する。
3.5 海軍の指揮と組織上の考慮事項:NAVAL COMMAND AND ORGANIZATIONAL CONSIDERATIONS
3.5.1 指揮の取り決め:Command Arrangements
指揮の取り決め(command arrangements)には、部隊をどのようにタスク編成するか、各編成にどのようなタスクが割り当てられるか、どの作戦地域を担当するか、異なる編成を誰が指揮するか、指揮官間の指揮関係などの決定が含まれる。海軍の指揮の取り決め(command arrangements)は、中央集権的な指導、共同の計画策定、分権的な統制と実行を基本としている。
「指揮の統一は取組みの統一を促進する。統一された行動の成功の産物である取組みの統一は、必ずしも同じ指揮構造(command structure)に属していなくても、共通に認識された目標に向かってすべての部隊間の調整と強調を保証するものである」[6]。海軍の戦術組織は、可能な限り、指揮の統一を通じて取組みの統一を達成しようとする。
海軍の戦術部隊は、マルチミッション・プラットフォームを通じて、作戦指揮官に多くの能力を提供する。海兵隊戦術部隊は、海軍戦術部隊を補完する能力を作戦指揮官に提供し、艦隊の活動範囲を沿岸部海域の陸域と海域の両方に拡大する。
遠征前進基地作戦(EABO)を実施する一体化された海軍と海兵隊部隊は、さらに統合部隊や他の統合部隊と一体化される。海上部隊を支援する遠征前進基地作戦(EABO)は、より広い海上ドメインの沿岸域に重点が置かれる。他の海軍作戦と同様、遠征前進基地作戦(EABO)はタスク編成により、状況や任務に応じた海軍の部隊によって実施される。
3.5.2 艦隊部隊及び海上部隊のタスク編成:Task organization of Fleet and Maritime Forces
海軍タスク部隊は通常、統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)に代わって戦術的な任務を計画・実行する権限を委任されており、タスク編成された海軍部隊の最上位部隊階層を代表するものである。
艦隊指揮官は通常、与えられた戦術部隊(艦隊指揮官の作戦・戦術管理下にある艦隊海兵部隊(FMF)に配属された部隊を含む)を、与えられた任務または一連の任務を達成するため、海上ドメインのあらゆる次元で作戦できる能力を備えた編成に編成する。これらの編成は、艦隊レベルにとどまることも、タスク部隊(task forces)、タスク群(task groups)、タスク隊(task units)、またはタスク要素(task elements)のさまざまな組み合わせにより、能力と容量の適切な組み合わせを提供するために規模を拡大することもできる。
3.5.3 海軍のタスク編成上の階級組織:Naval Task-Organization Hierarchy
海軍の任務組織には、図3-1に示すように、タスク部隊(TF)、タスク群(TG)、タスク隊(TU)、タスク要素(TE)の階層があり、それぞれに合わせた編成が一般的である。
三ツ星/三桁のタスク部隊(Three-Star/Three-Digit Task Forces)。海軍の番号付き艦隊と海兵隊の遠征部隊は、海上構成部隊(maritime component)における最大のタスク部隊(TF)であり、通常は2桁のタスク部隊(TF)である。複数の艦隊や多国籍パートナーとの海戦で使用される場合、通常3桁のタスク部隊(TF)として指定される。
図3-1. 概念上の海軍のタスク編成 |
海軍戦地域および機能別タスク部隊/タスク群(Navy Warfare Area and Functional Task Forces/Task Groups)。番号のついた各艦隊の下には、下位の司令部が海戦地域と機能地域によって分けられている。各艦隊によって構成や編成は若干異なるが、一般的には艦隊戦力、特殊戦力、海上哨戒・偵察、兵站、海中部隊、海軍遠征戦闘部隊、水陸両用部隊などである。
これらは平時には2桁のタスク部隊(TF)として識別されるが、作戦上採用する場合は3桁のタスク群(TG)として再指定されることがある。
海軍タスク部隊およびタスク群として編成された艦隊海兵部隊(Fleet Marine Forces Organized as Naval Task Forces and Task Groups)。海兵遠征部隊(MEF)が遠征前進基地作戦(EABO)を実施するために統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)に割り当てられた場合、師団などの主要な下位司令部は通常タスク群(TG)として指定される。
マルチミッション・タスク群(Multimission Task Groups)。これらのタスク群(TG)は、最大の移動性の海軍の編成であり、空母打撃群(CSG)、遠征打撃群(ESG)、水上行動群(SAG)、沿岸戦闘群、および沿岸戦闘部隊を含むことがある。
タスク隊(Task Units)。タスク隊は、通常、機能的な目的を果たすか、特定の任務または限定された範囲の任務を割り当てられた船舶およびその他の海軍アセットの小グループで構成され、マルチミッション・タスク群の支援、艦隊の支援、または弾道ミサイル防衛などの特定の統合部隊(joint force)機能の支援を行っている。
沿岸部隊(littoral forces)は通常、タスク隊(TU)として遠征前進基地作戦(EABO)を実施するためにタスク編成され、通常、O-6[7]レベルの指揮官の部隊で構成される。これらの沿岸部隊(littoral forces)は、マルチミッション・タスク群に従属することができる。
タスク要素(Task Elements)。タスク要素(TE)は、しばしば単艦である。タスク隊(TU)として指定された沿岸部隊(littoral force)が関与する状況では、そのタスク要素(TE)は沿岸部隊(littoral force)の最小の行動部隊を構成することになる。
3.6 分散化した実行のためのフレームワーク:FRAMEWORK FOR DECENTRALIZED EXECUTION
3.6.1 ミッション・コマンド・アンド・コントロール:Mission command and control
遠征前進基地作戦(EABO)を実施する沿岸部隊(littoral forces)のすべての行動には、計画策定から実行まで、機動戦(maneuver warfare)とミッション・コマンド・アンド・コントロール(mission command and control)の原則が貫徹していなければならない。計画策定間、指揮官はミッション・コマンド・アンド・コントロールの基本要素である低レベルの主導性(ow-level initiative)、共通に理解された指揮官の意図(commonly understood commander’s intent)、相互信頼(mutual trust)、暗黙の了解とコミュニケーション(implicit understanding and communications)に導かれて部下が作戦できるような実行中の状況を作り出すことを目指す[8]。
遠征前進基地作戦(EABO)の計画策定は、通常、不確実性を最小化することを狙いとした高度な脚本やトップダウンの指示を避け、むしろ、任務、意図、幅広い指針を理解させ、行動の自由(freedom of action)を生み出し、部下の機会を最大化させるものでなければならない。計画策定は参加型でなければならず、沿岸部部隊のあらゆるレベルの指導者が計画策定プロセスに参画し、最終的で過度に規範的な指示を消費するだけであってはならない。
予想される作戦環境(OE)を考慮すれば、遠征前進基地作戦(EABO)の計画策定は、最終的には、沿岸部隊(littoral force)のあらゆるレベルの指揮官が、任務と意図に導かれ、限られた作戦パラメータによって、不確実性に対処し、主導性を発揮し、テンポを生み出し、機会をつかむことができる指揮・統制(C2)環境を醸成しなければならない。
沿岸部隊(littoral forces)は、常設または臨時のタスク部隊の一部として遠征前進基地作戦(EABO)を実施することができる。予想される作戦環境(OE)を考慮すると、沿岸部隊(littoral forces)は隣接部隊を支援するために動的に再任命され、直属の指揮系統(chain of command)外からの指示に基づいて作戦を実行する可能性がある。
したがって、指揮官は、機能的に整合した任務を遂行する権限を委譲された外部部隊の統制に対応できるよう、時には自軍を準備しなければならない。複合戦は、このような流動的な指揮・統制(C2)環境での作戦を可能にする。このような構成で作戦を行うには、海兵隊指揮官やその参謀が通常慣れ親しんでいるものとは異なる調整、計画策定、手順が必要となる。
3.6.2 複合戦:Composite warfare
複合戦のドクトリンは、否定による指揮(command by negation)、分散された統制と実行(decentralized control and execution)、および共同の計画策定(collaborative planning)によって特徴付けられる指揮のフレームワークである。海上部隊は広範囲に分散しているという本質のため、複合戦は、戦いの機能(warfare functions)を下位の指揮官に委譲することで、脅威に対処するための事前計画された行動による指揮を採用している。
部下は指揮官の意図に導かれ、遅滞なく行動を起こし、その行動を指揮官に報告する。海兵隊指揮官が断片的な命令で更新される作戦命令によって任務とタスクを伝えるように、複合戦指揮官は日々の意図メッセージ(daily intentions message: DIM)で更新される作戦上のタスク・メッセージ(OPTASK)によって命令を出す。
この構成における主要な要員は、図3-2に示すように、戦術的指揮官(officer in tactical command :OTC)、複合戦指揮官(composite warfare commander :CWC)、各戦いの指揮官(warfare commanders)、機能群指揮官、および調整官を含む。戦術的指揮官(OTC)は、指揮を執る資格を持つ現職の上級将校である。応用として、戦術指揮官はしばしば艦隊指揮官である。
戦術的指揮官(OTC)は、複合戦指揮官の職務を保持することもできるが、多くの場合、これらの指揮機能を部下に割り当てることになる。戦術的指揮官(OTC)は、割り当てられた任務と兵力に対する責任を常に保持する[9]。
図3-2. 概念上の複合戦組織 |
複合戦指揮官(CWC)は、各戦いの指揮官(warfare commanders)としての任務を部下に委任する。各戦いの指揮官(warfare commanders)には、航空・ミサイル防衛指揮官、水上戦指揮官、情報戦指揮官など、長期的かつ広範な状況に対応できる任務が付与される。部下に各戦いの指揮官(warfare commanders)を任命することで、分散実行による攻勢的行動と防勢的行動の同時進行が可能となる。
防空ミサイル防衛指揮官(air and missile defense commander :AMDC)は、防空戦に関する戦術的指揮官(OTC)の詳細な責任の一部または全部を与えられ、与えられた任務とタスクを達成するための戦術的統制権を付与された将校である。
情報作戦戦指揮官(information operations warfare commander :IWC)は、友軍を防護しつつ、敵対者および潜在的敵対者の意思決定に影響を与え、混乱させ、腐敗させ、または簒奪するための効果および作戦上望ましい状況を創出し、複合戦指揮官(CWC)指示に従い、各戦いの指揮官(warfare commanders)の目標を支援するために情報環境を評価する戦術的指揮官(OTC)に対する責任を負う将校である。
対潜水艦戦指揮官(antisubmarine warfare commander :ASWC)は、対潜水艦戦に関する戦術的指揮官(OTC)の詳細な責任の一部または全部を与えられ、与えられた任務とタスクを達成するための戦術的統制権を付与された将校である。
水上戦指揮官(surface warfare commander :SUWC)は、水上戦に関する戦術的指揮官(OTC)の詳細な責任の一部または全部を与えられ、与えられた任務とタスクを達成するための戦術的統制権を付与された将校である。
打撃戦指揮官(strike warfare commander :STWC)は、打撃戦に関する戦術的指揮官(OTC)の詳細な責任の一部または全部を割り当てられ、割り当てられた任務とタスクを達成するための戦術的統制権を付与された将校である。
遠征戦指揮官(expeditionary warfare commander :EXWC)は、遠征戦に関する戦術的指揮官(OTC)の詳細な責任の一部または全部を与えられ、与えられた任務とタスクを達成するための戦術的統制権を付与された将校である[10]。
注:関係する任務分野の活動レベルと複雑さが管理可能であると考えられる場合、対潜水艦戦指揮官(ASWC)と水上戦指揮官(SUWC)のタスクは、海上戦闘指揮官(sea combat commander :SCC)と称する一人の指揮官に割り当てることができる。
沿岸部隊(littoral forces)は、マルチミッションの艦船または艦船群と同様の方法で、艦隊の探知範囲を拡大し、地表、地下、空域の戦争指揮官に能力を提供することを想定しているべきである。
複合戦指揮官(CWC)は、組織全体の中に一時的または恒久的な機能群を編成することができる。機能別群は複合戦指揮官(CWC)に従属し、通常、各戦いの指揮官(warfare commanders)が行う任務よりも一般的に範囲と期間が限定された任務を遂行するために設立される。
さらに、機能群指揮官の任務は、通常、複数の戦域指揮官に割り当てられるアセットにまたがるのが一般的である。弾道ミサイル防衛指揮官は、沿岸部隊(littoral forces)の支援を受けることができる機能群指揮官の一例である。
最後に、複合戦指揮官(CWC)の方針を実行し、各戦いの指揮官(warfare commanders)または機能群指揮官の特定の任務に対応するために、資源調整官を設置することができる。資源調整官は通常、特定の資源が複数の戦域指揮官に影響を与える場合に指定される。航空資源要素調整官は、航空資源の提供者全員と複合戦指揮官(CWC)の方針を実行する調整官の一例である。
沿岸部隊(littoral forces)の指揮官と参謀は、『複合戦:戦争の戦術レベルにおける海上作戦(Composite warfare: Maritime Operations at the Tactical Level of War)』の内容を十分に理解していなければならない。NWP 3-56の内容、および本マニュアルで説明するNWP 3-56の調整案を十分に理解すること。
3.7 遠征前進基地作戦のための計画策定:PLANNING FOR EXPEDITIONARY ADVANCED BASE OPERATIONS
開始指示(Initiating Directive)。開始指示は、遠征前進基地作戦(EABO)の実行中を含め、特定の任務を遂行するために戦術指揮官へ指示される命令である。作戦の全体的な責任を委任された指揮官が発する。開始指示は、戦役計画(campaign plan)、作戦計画、または既に存在するプラン計画は命令を実行するための命令の形をとることができる。
開始指示は以下を行う。
- タスク編成された海軍遠征部隊の設立、任務の割り当て、および任務達成のために必要な兵力について規定する。
- 艦隊指揮官と沿岸部隊(littoral force)指揮官の部隊階層での指揮の取り決め(command arrangements)、およびその他の指揮・支援関係を規定する。
- 必要に応じて、指揮関係や支援状況について特別な指示を提供する。
- 統合作戦地域/海上作戦地域の定義する。
- 兵力の後方支援と海軍兵站の一体化に関する情報を提供し、または責任を割り当てる。
- 作戦環境(OE)内の様々な一連の任務と作戦のための部隊階層における権限を定義する。
3.7.1 主要な計画策定上の考慮事項:Main Planning Considerations
開始指示は本質的に規定的であるが、以下の計画策定の考慮事項により、指揮官は与えられたタスクを達成するために、沿岸部隊(littoral force)を適切にデザインすることができる。
要件の評価と遠征前進基地(EAB)のタスク編成(Assessing Requirements and Task-Organizing EABs)。遠征前進基地作戦(EABO)のために編成された部隊には、任務の要件に応じて、単一の任務、少数のタスク、あるいは多数のタスクが割り当てられることがある。遠征前進基地(EAB)の要件が確立されると、指揮官は任務達成のために沿岸部隊(littoral force)の部隊を編成する。
行動部隊(unit of action)(通常は増援小隊)、支援参謀、および目的別タスク要素の後方支援パッケージをデザインすることで、指揮官はシグネチャを最小限に抑えながら任務要件を最大限に支援することができる。常設の行動部隊(unit of action)は存在しないことを理解する必要がある。沿岸部隊(littoral force)の行動部隊(unit of action)は、指揮官の任務要件の分析に基づいて編成される必要がある。
用兵機能(Warfighting functions)。指揮官は、用兵機能(warfighting functions)の観点から作戦を遂行する能力をコンセプト化しなければならない。与えられたタスクを用兵機能(warfighting functions)というレンズを通して考えることは、競争の連続体(competition continuum)全体において望ましい効果を達成するために、最も理想的な態勢で戦力のデザインと運用(employment)を計画策定することを促すものである。
各戦いの指揮官の要件(Warfare Commander Requirements)。沿岸部隊(littoral forces)の指揮官は、遠征戦指揮官(EXWC)に指定されることがある。遠征戦指揮官(EXWC)として、沿岸部隊(littoral force)指揮官は、複合戦指揮官(CWC)から割り当てられた任務を達成するための権限と資源を委譲されることができる。
同時に、遠征戦指揮官(EXWC)は、階層的に隣接する各戦いの指揮官(warfare commanders)を支援し、それぞれのドメイン内で与えられた任務を支援するという要件も維持することになる。遠征戦指揮官(EXWC)はまた、作戦上のタスク・メッセージ(OPTASK)に規定された関連する事前計画された対応を認識し、実行する能力を有していなければならない。
遠征前進基地(EAB)態勢の評価(Evaluating EAB Posture)。 攻勢的計画策定および防勢的計画策定の基本は、指揮官が計画策定モデルに一体化するために有用な考察を提供する。
これには、複数の行動方針(courses of actions)を維持することを望む柔軟性(flexibility)、部隊の関係や配置によって部隊が互いに独立して作戦する場合に存在するギャップを緩和する相互支援(mutual support)、指揮官が利用可能な能力を用いて敵対者を欺き、自軍のシグネチャを管理して望ましい態勢を示す奇襲(surprise)などが含まれる。
重要能力の指定(Designating Critical Capabilities)。 指揮官は、任務と脅威の評価(assessment)に基づいて、沿岸部隊(littoral force)の重要な能力を決定しなければならない。これらの重要な能力の中には、複合戦組織における沿岸部隊(littoral force)の役割と機能、および様々な各戦いの指揮官(warfare commanders)の要求から生じるものがある。指揮官は、これらの能力を十分に活用し、複合戦の中での対応力を確保するために部隊を編成する。
ギャップ/不足分の特定(Identifying Gaps/Shortfalls)。初期の計画策定段階では、参謀の見積もりは、指揮官が潜在的なギャップや不足を特定するのに役立つ。継続的なプロセスにおいて、ギャップと不足は、すべての段階を通じて再評価され、評価される必要がある。ギャップと不足は、沿岸部隊(littoral force)指揮官が複合戦指揮官(CWC)に提供する能力に影響を与える。このようなギャップや不足を伝えることで、タスク群の能力を最大化するために、タスクの修正、資源の再配分、態勢の修正などが行われることがある。
下位任務の割り当て(Assigning Subordinate Missions)。各戦いの指揮官(warfare commanders)と統合部隊の要求、敵対者の能力、現地環境の影響、部隊を維持するための要求を考慮した上で、指揮官は作戦遂行のために沿岸部隊(littoral force)を組織する準備をする。沿岸部隊(littoral force)指揮官は、配下の部隊と任務を割り当て、おそらく最も重要なことは、タスク編成された部隊の能力を複合戦指揮官(CWC)と戦闘隊指揮官に伝えることである。
3.7.2 その他の計画策定上の考慮事項:Other Planning Considerations
各戦いの指揮官(warfare commanders)の用兵機能(warfighting functions)と要件を考えると、任務遂行と部隊防護(force protection)の間に自然な緊張が生じ、指揮官はそれを調整しなければならない。地形、現地のインフラ、および既知の敵の能力によって、指揮官は特定の戦力態勢をとることになるが、複合戦指揮官(CWC)を支援するために探知を行う必要がある場合は、別の態勢が必要になることがある。
沿岸部隊指揮官(LFC)は、沿岸部隊(littoral force)の能力が艦隊の能力と一体化されるように、詳細な調整を行わなければならない。特に指揮・統制(C2)アーキテクチャに関する詳細な計画策定は、指揮・統制(C2)システム内の復元性と柔軟性を保証するために重要である。
同様に、指揮官は、より大規模で有能な戦闘部隊の編成に伴う、移動性と持続性の間、および、致死性と部隊防護(force protection)の間の自然な緊張関係を考慮する必要があるかもしれない。
また指揮官は、沿岸部隊(littoral force)の貢献をドメイン別に、また致死性の活動か非致死性の活動かという観点で検討することも望ましい。一つのドメインにおける沿岸部隊(littoral force)の探知能力と火力能力は、きれいに相関していないかもしれないし、あるドメインにおける沿岸部隊(littoral force)の複合能力は、他のドメインにおける貢献と比較できるかもしれない。
例えば、長射程精密火力(LRPF)が沿岸部隊(littoral force)の重要な能力であると指揮官が判断した場合、指揮官は長射程精密火力(LRPF)を最大限に活用するように部隊を配置し、さらに部隊防護(force protection)と長射程精密火力(LRPF)の後方支援を優先させるように検討する。
もし、指揮官が探知を重要な能力と判断すれば、当然、この運用態勢(employment posture)に伴うリスクを考慮しつつ、センサーの能力を最大限に発揮できるように部隊を配置することになる。
3.7.3 計画策定の責任:Planning Responsibilities
指揮官は、異なるレベルの権限と、それぞれが指揮官の割り当てられた部隊・配属された部隊の統制能力に与える影響を理解しなければならない。指揮官は、明確な意思表示により、戦術的な方向性と指針を示す。
計画策定の本質と焦点は部隊階層によって異なるが、すべての行動は単一の会戦というレンズを通して調整される。指揮官は取組みの統一を図るため、(1)部下が自分に与えられた指揮権を明確に理解し、(2)配置された部隊がこの指揮権によって何が可能になるかを理解するようにする。
戦術的指揮の将校(Officer in Tactical Command)。戦術的指揮官(OTC)は、指揮権を持つ上級将校、または上級将校が戦術指揮権を委譲した将校である。戦術的指揮官(OTC)の計画策定は通常、戦力投射と海上統制作戦の確保に重点が置かれる。
複合戦指揮官(Composite warfare Commander)。戦術的指揮官(OTC)によって任命された複合戦指揮官(CWC)の計画策定の取組みは、通常、部隊に対する脅威に対抗するための作戦に焦点を当てる。複合戦指揮官(CWC)は各戦いの指揮官(warfare commanders)を任命し、戦域指揮官は順に、監視地域(surveillance areas)・分類(classification)・識別(identification)・交戦地域(engagement areas)、および3.7.5項で後述する死活的地域(vital areas)に資源を配備する。
遠征戦指揮官(Expeditionary Warfare Commander)。遠征戦指揮官(EXWC)は、沿岸部隊(littoral forces)の上級指揮官であり、与えられた任務の遂行に関して複合戦指揮官(CWC)に従属する。遠征戦指揮官(EXWC)は、戦域指揮官として、複合戦指揮官(CWC)から委任された一定の権限を持つと同時に、階層的に隣接する各戦いの指揮官(warfare commanders)を支援し、割り当てられた任務の遂行を支援する。
このように、遠征戦指揮官(EXWC)の計画策定の取組みは、彼自身の作戦要求に取り組むと同時に、他の各戦いの指揮官(warfare commanders)の作戦要求も支援する計画策定をしなければならない。遠征戦指揮官(EXWC)が沿岸作戦地域(littoral operations area :LOA)[11]を割り当てられた場合、この指揮官は、次の段落で論じる沿岸部隊(littoral force)指揮官の権限も与えられ、したがって計画策定間のいくつかの主要な決定に対して責任を負うことがある。これについては、3.7.節で論じる。
本書では、実験のため、タスク編成や部隊階層に関係なく、沿岸作戦地域(LOA)内で遠征前進基地作戦(EABO)を実施するすべての沿岸部隊(littoral force)の指揮を執る人物を、沿岸部隊(littoral forces)指揮官という一般名称で表現している。
以下の例は、可能な限りの実装を説明するものである。
- タスク群に従属する海軍O-6[12]タスク隊指揮官は、沿岸部隊(littoral force)の上級指揮官としてこの役割を果たすことができる。
- 海軍のO-8タスク群指揮官がこの役割を果たし、複数の沿岸作戦地域(LOA)内の沿岸部隊(littoral forces)を指揮することができる。
沿岸部隊指揮官(LFC)という用語を導入する根拠は2つある。第一に、遠征前進基地作戦(EABO)の期間中、沿岸部隊指揮官(LFC)は複合戦構造の中で作戦しないため、複合戦の役割を果たすことはない。第2に、複合戦の中で作戦する沿岸部隊指揮官(LFC)は、戦いの指揮官(warfare commander)、機能群指揮官、または調整官に指名されないことがある。
3.7.4 主要な決心:Primary Decisions
沿岸部隊指揮官(LFC)は、統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)または艦隊指揮官からの指導・指示に基づき、以下の主要な決定を行う責任を負う。
- 部下の任務の決定
- 沿岸作戦地域の設定または改良を勧告する。
- 交戦地域またはその他の火力支援調整手段の特定
- 遠征前進基地(EAB)の設置場所の特定
- 上陸地域の特定
- 沿岸域の遷移点の特定
- 必要な情報環境における作戦(OIE)権限のレベルの決定
- 海域水面統制手段の確立
- 空域統制手段の確立
- 陸域の機動統制手段の確立
- 事前に計画した対応を実行するための対策と能力の確立
3.7.5 戦闘空間の組織:Organization of Battlespace
沿岸部隊指揮官(LFC)の時間的、空間的な取組みの調整要件は、沿岸部隊(littoral force)と大海軍との間の独立性または相互依存性の程度に直接関係している。指揮官は、戦闘空間(battlespace)要件に関する海軍および統合部隊(joint force)指揮官のフレームワークを考慮しなければならない。
地理的な戦闘指揮官または下位の統一指揮官によって定義される統合作戦地域(JOA)は、陸、海、空域の地域で、統合部隊指揮官(JFC)、通常は統合タスク部隊(JTF)指揮官が特定の任務を達成するために軍事作戦を実施する場所である。
統合部隊指揮官(JFC)が統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)を設置する場合、統合部隊指揮官(JFC)は通常、海上作戦地域(maritime AO)も設置する。統合部隊指揮官(JFC)は、海上構成部隊(maritime component)の作戦遂行を分散化し、迅速な機動を可能にし、拡大した範囲で闘う能力を提供するために、海上作戦地域(maritime AO)を設置する。海上作戦地域(maritime AO)の規模、形状、位置は、統合部隊指揮官(JFC)の作戦コンセプト(concept of operations)と、任務達成と兵力防護のための海上指揮官の要件に基づくものである。
この作戦地域(AO)の構成は動的であり、作戦または戦役(campaign)が成熟するにつれて変化しうる。また、脅威軸と敵の進入路を監視するための作戦縦深を確保することができる。作戦地域(AO)は、移動、機動、兵器システムの運用(employment)、および用兵能力(warfighting capabilities)の効果的な活用を可能にするのに十分な大きさと地形であるべきであり、また、脅威軸と敵の接近経路を監視するための作戦的縦深を提供する。
海上作戦地域(maritime AO)は沿岸地域全体を網羅しないかもしれない。しかし、統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)が任務を遂行し、海上部隊を維持・防護するのに十分な広さでなければならない。この作戦地域(AO)内の海上ドメインには、沿岸域を含む海、海、湾、河口、島、沿岸地域、およびこれらの上空が含まれる[13]。したがって、海上作戦地域は、陸、海、空域を含むことがある。
そして、海上作戦地域内では、統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)は下位部隊の独立した支援作戦を可能にする下位の機動空間を設定し、同時に、すべての構成部隊の兵力の同期した効果的な運用(employment)を可能にすることができる。
複数の艦隊や多国籍軍を相手にする海軍の作戦では、番号のついた艦隊指揮官や海兵遠征部隊(MEF)が、統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)から3桁のタスク部隊として指定される。海軍の部隊運用(naval- force employment)で考えられるのは、これらの3桁のタスク部隊に統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)が作戦地域(AO)を割り当て、それぞれが割り当てられた作戦地域(AO)内で戦術的指揮官(OTC)として機能することである。
タスク部隊指揮官は、機動統制手段、火力支援調整手段(FSCM)、水域管理(WSM)、相互干渉防止(PMI)などのドクトリン上の手段に従って戦闘空間(battlespace)を編成し、管理することになる。本マニュアルで提案されている行動範囲、火力範囲、沿岸作戦地域などの具体的な管理手段については、「秘密区分有り」の付属文書で説明する予定である。
遠征前進基地作戦(EABO)を実施する場合、タスク部隊指揮官は沿岸部の地形を利用して統合部隊の作戦と一体化し、敵対者に対する意思決定と行動をテンポよく行う必要がある。沿岸部での機動は、艦隊のセンサーと射手の範囲を、従来のタスク群の分類、識別、交戦地域、監視地域を超えて拡大する可能性を生む。
従って、本マニュアルでは、タスク部隊指揮官とそれを支援するタスク群は、現代海戦の一体化した全ドメイン作戦を最もよく可能にするために、適切な海軍の指揮・統制を試みることができる。タスク部隊指揮官は、任務と地理的な要求に応じて、どの部隊階層(タスク要素(TE)、タスク隊(TU)、タスク群(TG)、タスク部隊(TF))でも沿岸部隊(littoral forces)を使用して遠征前進基地作戦(EABO)を実施することができる。
タスク群指揮官は複合戦指揮官(CWC)に指定され、タスク隊以下に指定された沿岸部隊(littoral forces)は、タスク群の指揮下で複合戦法を用いて作戦することができる。これらの編成の海兵隊部隊は、複合戦指揮官(CWC)の構成とシームレスに一体化できるようにしなければならない。タスク部隊指揮官は、遠征前進基地作戦(EABO)を実施する沿岸部隊(littoral forces)を、付録Aの「秘密区分有り」部分に記載されている他の戦闘空間(battlespace)管理構造を用いて、隣接するタスク群と一体化することも可能である。
簡潔性の目的で、これらの様々な選択肢は、実験を容易にするために、一般的に次の3つのタイプの指揮の取り決め(commands arrangements)に圧縮することができる。
- 沿岸部隊(littoral forces)は、海軍海上タスク群の複合戦指揮官(CWC)の下で作戦する。
- 沿岸部隊(littoral forces)は、海兵空地タスク部隊(MAGTF)の指揮・統制(C2)を使って、独自のタスク群として作戦する。
- 沿岸部隊(littoral forces)は複合戦を用いて独自のタスク群として作戦する
次の図は、沿岸部隊(littoral forces)と、空、海、海中、宇宙、サイバースペースで作戦する艦隊の他の部隊を一体化する海上作戦の例である。
図3-3.複合戦における沿岸作戦地域 |
沿岸作戦地域(Littoral operations Area)。統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)および艦隊指揮官が使用できる戦闘空間(battlespace)統制手段のうち、本書は海上作戦地域(maritime AO)内の沿岸作戦地域(LOA)について、戦闘空間(battlespace)としての沿岸作戦地域(LOA)と許容的統制手段としての沿岸作戦地域(LOA)という2つの形態を実験的に提案している。
戦闘空間としての沿岸作戦地域(LOA)(LOA as Battlespace)。統合部隊指揮官(JFC)が統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)を任命した場合、統合部隊指揮官(JFC)は通常、海上作戦地域(maritime AO)を指定する。そして、統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)は下位の部隊のために下位の機動空間を設定することができる。陸域と海域の沿岸地形を含む沿岸作戦地域(LOA)は、下位の機動空間として指定されることがある。
沿岸作戦地域(LOA)を海上作戦地域(maritime AO)内の戦闘空間(battlespace)として指定するのは、艦隊または統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)の指揮官の下で、与えられた任務を達成するための取組みの統一と資源の一体化を確保するためである。これには、海上交通の障害となる地点の制圧や、艦隊の機動の自由(freedom of maneuver)と作戦デザインを支えるために必要な沿岸域の一部制圧が含まれる。
沿岸作戦地域(LOA)を一人の下位指揮官に割り当てられた戦闘空間(battlespace)として指定することは、通過や火力の調整のような沿岸作戦地域(LOA)内の他の海軍部隊の行動を排除すべきではなく、これらの行動は単に沿岸作戦地域(LOA)内の指揮官の調整と承認を必要とするだけである。海上作戦地域(maritime AO)内の沿岸作戦地域(LOA)を指定する権限は、統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)と同程度の高さに保持することができる。
図3-4. 概念上の沿岸作戦地域 |
統制手段としての沿岸作戦地域(LOA)(LOA as a Control Measure)。海上作戦地域(maritime AO)と下位の機動空間という確立された戦闘空間(battlespace)の中で、沿岸作戦地域(LOA)は統制手段となり得る。統制手段としては、艦隊指揮官が部隊の配置のために下位指揮官に割り当てたり、複合戦指揮官(CWC)が遠征軍の機動のために遠征戦指揮官(EXWC)に割り当てたりすることができる。
そのためには、沿岸作戦地域(LOA)の範囲内で、特定ドメインにわたる複合戦指揮官(CWC)の資源を一体化する必要がある。事実上、遠征戦指揮官(EXWC)は沿岸作戦地域(LOA)内で複合戦指揮官(CWC)の権限を委譲されるが、遠征戦指揮官(EXWC)の権限と、階層的に隣接する他の機能戦指揮官をその様々なドメインで支援する必要性は保持される。
沿岸作戦地域(LOA)の計画策定と開発に関する考慮事項(Considerations for LOA Planning and Development)。沿岸作戦地域(LOA)は、マルチドメイン統制手段である。複合戦において、沿岸作戦地域(LOA)は、沿岸部隊(littoral forces)を使用する遠征戦指揮官(EXWC)として指名された指揮官が、沿岸作戦地域(LOA)内の複合戦指揮官(CWC)の連合資源を集結させることを可能にする。戦術的指揮官(OTC)が任命する複合戦指揮官(CWC)は、機能別または下位の各戦いの指揮官(warfare commanders)を任命することができる。
遠征戦指揮官(EXWC)は、沿岸作戦地域(LOA)の範囲内で行動し、沿岸作戦地域(LOA)の3次元的限界の中で特定の結果を達成するためにタスク群の資源を一体化する責任を負う、実質的に下位の戦いの指揮官(warfare commander)である。同時に、遠征戦指揮官(EXWC)は、階層的に隣接する各戦いの指揮官(warfare commanders)の要求に対応することができる。
沿岸作戦地域(LOA)内では、各行動部隊(unit of action)にセクターが割り当てられる。セクターとは、部隊が作戦し、責任を負う境界によって指定された地域である。また、行動部隊(unit of action)には、指揮官が大規模兵器と支援システムの効果により敵部隊を封じ込め、破壊することを意図した交戦地域(engagement areas)を割り当てることができる。交戦地域を割り当てられた部隊は、その内部の火力支援調整手段が交戦地域の必要条件を支援することを保証しなければならない。
水上編隊に関連する海軍の戦闘空間用語(Naval Battlespace Terminology Related to Afloat Formations)。遠征前進基地作戦(EABO)を実施する部隊は、以下に詳述する海上における複合タスク編成の作戦についての戦闘空間(battlespace)に関連する3つのドクトリン上の用語、監視地域(surveillance area :SA)、分類・識別・交戦地域(classification, identification, and engagement area :CIEA)、死活的地域(vital area :VA)も理解する必要がある。
複合戦指揮官(CWC)はタスク部隊の防護アセットを定義し、海上戦闘指揮官(SCC)や防空ミサイル防衛指揮官(AMDC)のような各戦いの指揮官(warfare commanders)は、これらの戦闘空間(battlespace)構成に関連する範囲を定義する。沿岸部隊(littoral forces)はアセットを配置する際、これらの戦闘空間(battlespace)構築の要件を考慮しなければならない。
また、実験を通じて、陸上戦力が複合戦の中で定義された以下の分野の作戦にどのように貢献し得るかを探らなければならない。
- 監視地域(Surveillance Area)。水上戦では、監視地域(SA)は、軍事的懸念のある船舶を探知するために、部隊が水上地域の体系的な観測を行う能力に相当する範囲に広がる作戦環境を包含する。監視地域(SA)の寸法は、打撃群の監視能力、センサー、および利用可能な戦域および国家アセットの機能である[14]。
- 分類、識別、及び交戦地域(Classification, Identification, and Engagement Area)。海上作戦において、分類・識別・交戦地域(CIEA)は、監視地域内および重要地域の周囲で、検知されたすべての物体が分類、識別、および監視される地域を示す。分類・識別・交戦地域(CIEA)内では、友軍は護衛、援護、交戦の能力を維持する。目標は分類・識別・交戦地域(CIEA)内のすべての接触物を破壊することではなく、各接触物がもたらすリスクを軽減するために必要な行動を決定することである。
分類・識別・交戦地域(CIEA)は通常、死活的地域(VA)の外縁から、水上部隊が作戦環境を効果的に監視できる外縁まで広がっている。これは友軍のアセット/能力と反応時間、脅威の速度、戦場指揮官の望む決定時間、死活的地域(VA)の大きさなどの関数である[15]。
- 死活的地域(Vital Area)。死活的地域(VA)とは、防空部隊によって防衛される指定された地域または施設のことである。死活的地域(VA)は通常、防御されたアセットの中心から、予想される脅威の兵器放射範囲と同じかそれ以上の距離まで広がっている。その意図は、脅威が死活的地域(VA)の境界を突破する前に交戦することである。死活的地域(VA)の大きさは、予想される脅威の大きさによって決まる。
沿岸部など一部の作戦環境では、潜在的脅威の兵器放出範囲内での作戦が要求されるため、脅威が死活的地域(VA)を突破する前に交戦することは不可能である。事前に計画された対応には、死活的地域(VA)外ではなく、死活的地域(VA)内で最初に検知された接触を交戦させるための手段を含まなければならない。
注:統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)の作戦地域内では、複数の組織が作戦を実施する可能性がある。指揮の統一と取組みの統一を確保するため、統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)は組織の継ぎ目を越えて追跡を移行するための共通のプロセスと手順が存在することを確認する必要がある[16]。
統制手段(Control Measures)。海軍は、戦闘空間(battlespace)を3次元で調整することに慣れている。機動、火力、空域を調整する統制手段は、戦闘を管理し、作戦の柔軟性を提供し、リスクを最小化するために重要である。沿岸部隊(littoral force)は、すべてのドメインをカバーし、大規模な統合の闘い(joint fight)との一体化を可能にする統制手段を計画し、調整することになる。このシステムは、常に明確に伝達されなければならないが、通信が途絶した環境でも対応行動ができるようなプロセスも含まれなければならない。
遠征前進基地作戦(EABO)に関連して、海域か陸域かにかかわらず、地表および空中の移動と機動のための統制手段を指定する場合、既存のドクトリン上の用語、記号、命名規則が適宜使用される。
沿岸遷移点(Littoral Transition Point: LTP)。陸上の沿岸部の機動を行う部隊が、水上と陸上のどちらかの方向に移動する場所である。通常、遠征前進基地作戦(EABO)を行う部隊は複数の沿岸遷移点(LTP)を事前に計画し、探知やターゲッティングの可能性を減らすために同じ地点を繰り返し使用することは避ける。沿岸遷移点(LTP)の番号付けにはアラビア数字が使用される。
3.8 指揮・統制:COMMAND AND CONTROL
開始指示、任務分析、および部隊のタスク編成を受けた後、指揮官は、割り当てられた指揮構造(command structure)の中で機能するように、参謀と部下を準備しなければならない。指揮関係は動的であり、作戦上の必要性に基づいて急速に変化することが予想される。
指揮官は、部下が指揮構造(command structure)間の移行を実行できるように準備しなければならない。例えば、指揮官と参謀は、当初は海兵空地タスク部隊(MAGTF)構造の海兵遠征部隊(MEF)に従属し、その後、複合戦指揮官(CWC)構造のタスク群に従属するタスク要素になることができる。
権限(Authorities)。割り当てられた戦闘空間(battlespace)内では、沿岸部隊指揮官(LFC)は全体的な権限を有する指揮官の定めるところにより、特定の指揮権限を受ける。開始指示は、分散実行を可能にするために、必要に応じて沿岸部隊(littoral forces)に対する統制がどのように行われるかを規定する。
作戦上のタスク・メッセージ/日々の意図メッセージ(OPTASKs/DIMs)。作戦上のタスク・メッセージ(OPTASK)で定義され、DIMで更新される明確な指揮・支援関係は不可欠である。これらの文書は、OPORDやFRAGOと同様の本質を持つ。どちらも沿岸部隊(littoral force)の日常的な作戦に使用される。
指揮関係(Command Relationships)。作戦統制(OPCON)および戦術統制(TACON)の権限は、戦闘軍権限のレベル以下のどのレベルでも行使することができる。従って、沿岸部隊指揮官(LFC)は上位指揮官のOPCONまたはTACONの下に置かれることがある。
支援関係/支援状況(Supporting Relationships/Support Situations)。指揮官は、2人の部下指揮官間の支援の本質を構築し、指示することができるが、海軍ではこの権限はあまり使用されない。その代わり、海軍の指揮官は支援状況を設定することを好む。支援状況は、支援指揮官と被支援指揮官を設定し、被支援指揮官との一体化のレベルを指定し、既存の指揮関係を修正しない。
海兵隊は、支援指揮官と被支援指揮官の関係を確立することを規定している。同様に、海軍は、指揮関係を確立または修正することなく、共通の指揮官が部下間の支援の本質を指示することを規定している。この指示は支援状況(support situation :SUPSIT)として知られている。
支援状況において、それぞれの指揮官は支援指揮官または被支援指揮官として指名される。海軍は、図3-5に示すように、一体化のレベルと支援指揮官に認められる裁量によって、3種類の支援状況(SUPSIT)を認めている。支援作戦を指揮する指揮官は、下級指揮官間の支援状況(SUPSIT)の形式を指定しなければならない。
支援状況(SUPSIT)は、指揮関係を修正する必要なく、下位指揮官間の協力関係を確立する[17]。遠征前進基地作戦(EABO)を実施する部隊は、この支援状況(SUPSIT)のフレームワークの下で実行される[18]。
支援状況 Support Situation |
優位性
Advantage |
劣位性 Disadvantage |
ALPHA(一体化)
一部隊に二つ以上の部隊を結合 |
・指揮の統一、取組みの統一、焦点の統一
・一体化した計画策定と同期の取れた実行 ・任務遂行時の戦力の集中 ・取組みの重複を減らし、アセットをより良く保全 ・アセット指定の調整を強化 ・マルチミッション・プラットフォームに割り当てられた競争するタスクや優先順位をより良く解決 |
・2つ以上の別組織の合併が必要
・戦術的指揮と参謀の取組みと指揮・統制(C2)要件の増加 ・新しい指揮の構造に移行する際、作戦の焦点/テンポが失われる可能性 |
BRAVO(連携)
2つ以上の部隊が分離したまま、単一の戦術的指揮の将校が全部隊の戦術的な作戦を指揮 |
・非連携部隊間の調整された戦術的作戦
・中央集権的な計画策定、分散的な実行 |
・指揮の統一が低下し、戦術的指揮と参謀の取組み/指揮・統制(C2)要求レベルが上昇
・支援状況ALPHAに比べ、相互干渉の回避や冗長な取組みの排除が困難 ・支援状況ALPHAに比べ、攻撃グループ間で状況認識を共有することが困難 ・支援状況ALPHAに比べ、意思決定が遅くなる可能性 |
CHARLIE(裁量)
2人以上のタスク編成指揮官が行動を調整 |
・指揮の構造や指揮・統制(C2)の変更は必要なし
・タスク編成指揮官は、引き続きそれぞれの任務のタスクに焦点を継続 |
・支援状況ALPHA又はBRAVOと比べ、相互干渉の回避や冗長な取組みの排除の調整が困難
・支援変更要求の取得に時間がかかる場合有 ・取組みの統一を得るために重要な調整を必要 |
図3-5. 海軍の支援状況 |
3.7.5節で述べたように、沿岸部隊(littoral forces)は、海上タスク群の複合戦指揮官(CWC)の下で作戦することも、独自の複合戦指揮官(CWC)を持つ別個のタスク群として作戦することもできる。長期間の作戦では、空母打撃群(CSG)、遠征打撃群(ESG)、水上行動群(SAG)などの洋上部隊を比較的狭い作戦地域に縛り付けないために、独立した複合戦指揮官(CWC)を設置することが望ましいと思われる。
もし独立した複合戦指揮官(CWC)が設立された場合、沿岸部隊(littoral force)は他の海軍タスク群に支援を提供する任務を負ったり、逆にそのような部隊から支援を受けたりすることがある。このような場合、沿岸部隊(littoral force)は航行中のタスク群に「参加(join)または一体化(integrate)」できないので、支援状況(SUPSIT)BRAVOとCHARLIEが最も有力な選択肢となる。
第3章 挿話:Vignette
203X年の艦隊作戦計画 A 203X FLEET OPERATIONS PLAN 203X年、反逆者のJentoが対艦巡航ミサイル(ASCM)を使ってマラ海峡を通過中の石油タンカーを撃沈した。これにより、毎年世界の石油貿易の10〜15%を担っていたこの海上交通の隘路は、事実上封鎖された。国際社会にとって不運だったのは、この反政府勢力が代理勢力であり、スポンサーが高度なセンサーや兵器、そしてそれらを使用するための訓練を十分に供給し続けていたことである。 (2030年代には訓練が急速に達成された。ゲーマー文化と軍用ハードウェアのユーザーインターフェースの融合により、途上国であっても訓練は以前よりはるかに容易になった) Jentosは高性能な統合防空システム(integrated air-defense systems :IADS)、強力なセンサーを備えたドローン、そして対艦巡航ミサイル(ASCM)に対応した滞空弾を保有していた。インテルは、彼らが極超音速ミサイルを数発持っているかもしれないと考え、またJentosのスポンサーが宇宙ベースの収集を彼らに提供していることも確信していた。 将来作戦(FOPS)計画担当者から海上作戦センターの現行作戦(COPS)チームへの移行ブリーフィングは、タスク部隊レベルから始まり、タスク群、タスク隊と作戦の連鎖を経て行われた。特に、今回の作戦でタスク・ユニットとして任命された第25海兵沿岸連隊(25th MLR)について説明すると、聴衆は興味深そうに聞いていた。 海兵沿岸連隊(MLR)は以前から作戦地域(AO)で訓練を行っていたが、遠征前進基地作戦(EABO)がこの艦隊の実戦を支援するのは今回が初めてであった。幸い、タンカーが沈没したとき、海兵沿岸連隊(MLR)は海峡の反対側で戦域安全保障協力(TSC)を実施している部隊がいくつかあった。 この接近は、この作戦における海兵沿岸連隊(MLR)の主要任務、すなわち前方「指揮、統制、通信、コンピュータ、戦闘システム、インテリジェンス・監視・偵察・ターゲッティング(C5ISRT)」と対「指揮、統制、通信、コンピュータ、戦闘システム、インテリジェンス・監視・偵察・ターゲッティング(C5ISRT)」を提供し、タスク部隊の海上統制(sea control)を再確立させることに直接つながった。203X年のこの時点では、海兵沿岸連隊(MLR)の派遣部隊は、艦隊・海兵遠征部隊(MEF)・統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)・戦闘軍指揮官(CCDR)の関連情報要件に基づいて、収集計画をまとめるのが標準的な手順であった。 作戦連鎖を通じて計画を提出し、展開前に承認を受けることで、海兵沿岸連隊(MLR)の各要素は収集に必要な権限を得ることができた。これらの計画の中で最も優れているのは、特定の不測の事態が発生した場合に、権限を追加するトリガーが含まれているものである。 世界のどこでもコンタクト層で遠征前進基地作戦(EABO)を実施する海軍部隊は、作戦地域(AO)の海上ドメイン認識(MDA)に貢献する必要性を理解していた。第25海兵沿岸連隊(MLR)の海兵隊は今、それを実践している。彼らはすでに多くの高価値のJentoのターゲットを掌握していた。 この計画では、海兵沿岸連隊指揮官(MLR CO)を遠征戦指揮官とした。2020年代に行われた各艦隊の実験・演習により、遠征戦指揮官(EXWC)は海軍の複合戦のドクトリンとして機能するように発展した。また、計画では、統制手段として遠征戦指揮官(EXWC)に沿岸作戦地域を割り当てた。海峡での作戦地域が制限されているため、計画者たちは海域へ数海里しか広がらない保守的な沿岸作戦地域(LOA)を使用した。 しかし、沿岸作戦地域(LOA)によって、海兵沿岸連隊(MLR)は必要に応じて要素を再配置し、Jentosの目標を難しくする自由を得た(203Xでは、誰もがアクセスできるセンサーを何でも致命的な火力に接続する能力を持っていたようだ)。基本的に、沿岸作戦地域(LOA)内で移動するたびに調整することなく、海兵沿岸連隊(MLR)に機動の自由(freedom to maneuver)を与える一方、他のタスク部隊にも適切な調整で沿岸作戦地域(LOA)内外で同様の作戦の自由(freedom to operate)を与えた。 計画担当者は、水上戦、打撃戦、前方武装・給油地点(FARP)作戦への支援を含む複合戦指揮官(CWC)構成の中で、海兵沿岸連隊(MLR)の準備すべきタスクがあることを強調した。言い換えれば、状況の変化に応じて、いつでも動的な再タスキングが可能であった。海兵沿岸連隊(MLR)ユニットは、戦時指揮官の闘いに一体化して貢献する能力と性能を備えており、完全な準備態勢を整えている。 海兵隊の将来作戦(FOPS)計画担当者は、海兵沿岸連隊(MLR)の戦力配置について、敵に最も近いところから始まり、Jentosの兵器交戦ゾーン(WEZ)内で作戦し、その後外側に向かうと説明して、ブリーフィングを終了した。海兵沿岸連隊(MLR)の無人システムは、地表と空中の両方で、当然Jentosに最も近いところにあった。 次に、長距離無人探査機の発進と回収を行う部隊が登場した。これらの小さな部隊は、いくつかのホット・ポジションとコールド・ポジションから作業し、Jentoのターゲッティングを避けるために頻繁に移動した。次に、発射部隊(ミサイルを発射したり、浮遊弾を発射したりすることができる)と追加センサーの層があり、これらはすべてJentoの兵器交戦ゾーン(WEZ)の内側で作戦した。 この作戦では、前方武装・給油地点(FARP)はJentoの統合防空システム(IADS)のレンジリングのすぐ外側に配置された。海兵隊の計画担当者は、これは贅沢なことだが、可能な限り望ましいことだと説明した。また、数年にわたる戦域安全保障協力(TSC)の作戦が実を結び、前方武装・給油地点(FARP)の主な設置場所は、近隣のパートナー国の遠征飛行場となった。 計画担当者はブリーフィングの最後に、タスク群は沿岸部での偵察・反偵察戦に勝つ必要があり、すべてのドメインで勝つ必要があることを皆に思い出させた。海兵沿岸連隊(MLR)の海兵隊員は、誰がどのように自分たちを監視しているのか、そして監視者がどのような能力で自分たちを攻撃できるのかを知る必要があった。 計画担当者は、203X年、海兵沿岸連隊(MLR)が人工知能(AI)を搭載したシステムを使って、すべてのドメインの探知を融合し、この単一画像を作成することを現行作戦(COPS)チームに思い出させた。Jentosのスポンサーの宇宙ベースのシステムから、海兵沿岸連隊(MLR)の動きを知らせるために雇われた地元の人々まで、脅威のベクトルは非常に多く、コンピュータの支援によるスピードが必要だったのだ。この画像を効果的に構築するには、海上作戦センター(MOC)の全員が、宇宙軍の連絡チームも含めて、自分たちのシステムがこの画像に接続され、供給されていることを確認する必要があった。 ブリーフィングが終わると、現行作戦(COPS)チームの一人が、海兵沿岸連隊(MLR)は遠征打撃群(ESG)とどのように連携するのか、計画ではタスク部隊指揮官の下にある隣接タスク群と指定されている、と質問した。将来作戦(FOPS)の主任計画担当者は、指揮官が支援状況(SUPSIT)Bravoを選択したと答えた。これは、タスク部隊は必要に応じて行動を調整するが、隣接する要素も複合戦法に基づいて協力することを意味する。 このため、海兵沿岸連隊(MLR)は偵察と監視を主な任務とし、タスク群の打撃戦指揮官(STWC)から要請があれば、Jentoのターゲットを攻撃するなど、他の方法で対応できるようにした。海兵沿岸連隊(MLR)の前方武装・給油地点(FARP)と遠征飛行場は、海兵遠征隊(MEU)/遠征打撃群(ESG)のF-35Bを支援する。 いくつかのフォローアップの質問をした後、現行作戦(COPS)チームは出発の準備を整えた。過去半世紀に及ぶ海軍の総合演習が実を結んだのだ。 |
ノート
[1] 【訳者註】作戦の期間を区分分けした概念と捉える。Phase、Stage、Stepはいずれも「段階」と訳される。JP 5-0では「phase」を、「計画策定においては、戦力と能力の大部分が共通の目的のために類似した活動または相互に支援する活動に関与する、戦役または作戦の決定的段階」としている。ここでは「phase」を「段階」、「stage」を「期」、「step」を「段」とした。
[2] Headquarters, US Marine Corps, Marine Corps Planning Process, MCWP 5-10 (Washington, DC: US Marine Corps, 2020), 5–7.
[3] Headquarters, US Marine Corps, Small Wars Manual, FMFRP 12-15 (Washington, DC: US Marine Corps, 1990), 17.
[4] Joint Chiefs of Staff, Commander’s Handbook for Assessment Planning and Execution, Version 1.0, 9 September 2011, https://www.jcs.mil/Portals/36/Documents/Doctrine/pams_hands/assessment_hbk.pdf.
[5] SOF apply OIE in unique ways when connected to their authorities, networks, and other technology and capabilities and when executed in hostile, denied, or politically sensitive environments requiring small tailored footprints.
[6] Office of the Chief of Naval Operations, Maritime Operations at the Operational Level of War, NWP 3-32 (Washington, DC: US Navy, 2008), 3-2. For thorough discussions of unity of command and unity of effort in addition to Maritime Operations at the Operational Level of War, NWP 3-32, see Office of the Chief of Naval Operations, Composite Warfare: Maritime Operations at the Tactical Level of War, NWP 3-56 (Washington, DC: US Navy, 2015), 1-15 to 1-16 and JCS, Doctrine for the Armed Forces, JP 1, V-1 to V-21.
[7] 【訳者註】O-6は大佐クラス、O-7は准将クラス、O-8は少将クラスを指す
[8] Headquarters, US Marine Corps, Command and Control, MCDP 6 (Washington, DC: US Marine Corps, 2018), 3-5 to 3-11.
[9] OPNAV, Composite Warfare, NWP 3-56, 1-15 to 1-16.
[10] This description of the EXWC is provisional. Although the EXWC is not included in the current version of Composite Warfare, NWP 3-56, this manual proposes its addition to the composite warfare construct to support further wargaming and experimentation with EABO.
[11] Discussed in greater detail in subsection 3.7.5 and the classified portion of appendix A, an LOA is a geographical area of sufficient size for conducting necessary sea, air, and land operations in order to accomplish assigned mission(s) therein.
[12] 【訳者註】O-6は大佐クラス、O-7は准将クラス、O-8は少将クラスを指す
[13] Joint Chiefs of Staff, Command and Control for Joint Maritime Operations, JP 3-32 (Washington, DC: US Department of Defense, 2018), I-5.
[14] OPNAV, Composite Warfare, NWP 3-56, 7-6.
[15] OPNAV, Composite Warfare, NWP 3-56, 7-6.
[16] OPNAV, Composite Warfare, NWP 3-56, 7-6.
[17] OPNAV, Composite Warfare, NWP 3-56, 6-1.
[18] OPNAV, Composite Warfare, NWP 3-56, 6-4.