米国防総省のレプリケータ構想:背景と議会にとっての課題 (米国議会調査局)

昨年8月に中国に対抗して米国防総省が立ち上げた「Replicator Initiative」であるが、なかなかその中身は見えてこない。

そこで、米国議会調査局(Congressional Research Service)の3月時点のレポート「米国防総省のレプリケータ構想:背景と議会にとっての課題」を紹介する。また、この構想を担当しているとされる国防イノベーション・ユニット(DIU)の昨年11月末のニュースとこの構想の進捗状況に触れている米国防総省のニュースも紹介する。

MILTERMでは「エッジの権限を強化する (Special Competitive Studies Project)」の中で、取り上げられているので併せてご覧いただきたい。(軍治)

米国防総省のレプリケータ構想:背景と議会にとっての課題

DOD Replicator Initiative: Background and Issues for Congress

Updated March 22, 2024

米国議会調査局(Congressional Research Service:CRS)

ケリー・M・セイラー(Kelley M. Sayler):先端技術・グローバル・セキュリティのスペシャリスト

はじめに:Introduction

2023年8月28日に発表されたリプリケータは、国防総省(DOD)の国防イノベーション・ユニット(DIU)が主導する構想で、2025年8月までに数千の搭乗員無しのシステム(uncrewed system)を実戦配備する。リプリケータの最初の取組み目標(line of effort)(”Replicator 1″)は、「全ドメイン・損耗可能な自律型(all-domain, attritable autonomous :ADA2)システム」を実戦配備することである。

損耗可能なシステム(attritable systems)は比較的低コストのシステムであり、米国防総省(DOD)はシステム喪失のリスクをより大きく許容している。米国防総省(DOD)関係者は、将来は他のタイプの搭乗員無しのシステム(uncrewed system)に焦点を当てるかもしれないと述べている。議会が直面する重要な問題は、レプリケータに対する米国防総省(DOD)の資金要求を承認するか、拒否するか、あるいは修正するかどうかであり、議会がレプリケータに関する十分な情報を入手して、そのメリットを評価し、この構想に対する効果的な監視を行うかどうかである。

背景:Background

米国防総省(DOD)関係者は、レプリケータ構想(Replicator initiative)は現在進行中のウクライナ・ロシア紛争の教訓を生かしたもので、ウクライナはロシア軍の戦力の優位性に対抗するため、大量の(観測筋によれば月産1万台とも推定される)低コストの攻撃可能なシステムを活用していると述べている。

キャスリーン・ヒックス(Kathleen Hicks)国防副長官は、統合参謀本部副議長とともにリプリケータを監督しているが、リプリケータは「より多くの艦船、より多くのミサイル、より多くの戦力という(中国軍の)量における優位性を(米国が)克服するのを助ける」ことを意図していると述べている。

米国防総省(DOD)関係者は、リプリケータについて、さまざまな能力と任務を持つ自律型の空中、地上、地表、地下、宇宙システムを含むことができる全ドメインの構想であると説明している。

例えば、ヒックス(Hicks)副長官は、リプリケータには、ほぼリアルタイムの情報を提供する『自走式の全ドメイン・損耗可能な自律型(ADA2)(センサー)システムの分散ポッド』、斬新な兵站支援を提供する……あるいは国防総省のインフラを保護する『地上を基盤とする全ドメイン・損耗可能な自律型(ADA2)システムの艦隊』、あるいは弾力性のある通信を提供する『宇宙を基盤とする全ドメイン・損耗可能な自律型(ADA2)システム』が含まれる可能性があると述べた。

意図:Intent

リプリケータは、搭乗員無しのシステム(uncrewed system)を大量に配備することで、米軍が比較的安価な多数のシステムに戦闘力を分散できるようにするものである。リプリケータは以下を意図している。

  • 米軍の戦闘力(combat power)が、より少数の、より高価なプラットフォームに集中するのを避ける(つまり、一つのカゴに多くの卵を入れすぎないようにする)
  • 敵対者が米国の能力をターゲットとし、無力化することを困難にする。
  • 敵対者にとって不利なコスト交換比率が生じる。つまり、敵対者は迎撃ミサイルのような、レプリケータ・システムよりもはるかにコストの高い対抗手段を使用しなければならない状況になる。

リプリケータ・システムの能力次第では、レプリケータ構想(Replicator initiative)は、スウォーミングなどの新しい軍事作戦コンセプトの開発につながる可能性があると述べる観測筋もいる。スウォーミングとは、搭乗員無しのシステム(uncrewed system)のグループにおける協調した振舞い(cooperative behavior)の一形態であり、搭乗員無しのシステム(uncrewed system)が自律的に互いに協調して任務を遂行する。

スウォーミングを展開するには、人工知能やネットワーク通信のさらなる進歩が必要だろう。国防総省(DOD)の担当者は、空母のような大型で個別に高価なシステムとは対照的に、リプリケータ・システムはより迅速に建造・配備され、後継のデザインに取って代わられるまでの使用期間が大幅に短くなることを意図していると述べている。(しかし、リプリケータは、より精巧なシステムに取って代わるものではなく、それを補うためのものであることを強調している)。

これらの関係者は、リプリケータはこのように、新しい能力を迅速に拡大し、実戦配備し、革新するための米国防総省(DOD)のプロセスを改善することを意図していると述べている。また、リプリケータは米国のドローン産業基盤の発展を加速させることも意図しているという。

特殊なレプリケータの能力とシステム:Specific Replicator Capabilities and Systems

現在までのところ、米国防総省(DOD)は作戦運用上の安全保障上の懸念があるとして、リプリケータの具体的な能力やシステムを公にすることを避けている。ヒックス(Hicks)副長官は、国防総省は特定の能力やシステムに関する情報を含め、レプリケータ構想(Replicator initiative)の詳細を「我々が選択した時と場所と方法で」明らかにするつもりだと述べている。

状態:Status

米国防総省(DOD)関係者は2024年1月、競合する提案の中からレプリケータ・システムの第一弾を選定したと述べており、2月の時点では第二弾の提案を最終調整していると伝えられている。この第一弾と第二弾は、「致死性の効果を生み出し、さまざまな脅威や敵対者のプラットフォームに対して非常に動的な環境に対応する」システム連携を可能にするソフトウェアに焦点を当てることになりそうだと、ある関係者は述べている。

国防イノベーション・ユニット(DIU)はレプリケータ構想(Replicator initiative)のリーダーとして、2024年2月にテクノロジー・サミットを開催した。「レプリケータの幅広い機会について産業界に詳細を提供し、デュアルユースの技術ソリューションをどのように再利用して戦いのニーズをサポートするかについてのワークショップを開催する」。

議会にとっての課題:Issues for Congress

レプリケータ構想(Replicator initiative)に関して議会が取り上げる可能性のある課題には以下のようなものがあるが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。

議会が利用できる情報の妥当性:Adequacy of Information Available to Congress

重要な問題の一つは、議会がリプリケータのメリットを評価し、この構想に対する効果的な監視を行うために、リプリケータに関する十分な情報を持っているかどうかである。一部の議員は、リプリケータに関する情報を入手するのは困難であると述べており、国防総省に対し、リプリケータの能力、システム、運用コンセプトの詳細について説明するよう求めている。

米国防総省(DOD)はそのようなブリーフィングを行うことを約束したと伝えられている。リプリケータに関する情報は、機密・非機密を問わず不足しており、国防総省がこの構想を能力やコスト面で十分に分析したかどうか、疑念を抱かせる可能性がある。

議会は、国防総省の年次予算要求の一部として、レレプリケータ構想(Replicator initiative)の報告要件を法制化するか、政府説明責任局(GAO)に国防総省のレプリケータ活動を審査・評価するよう指示するオプションを持っている。

コストと資金源:Cost and Sources of Funding

もう一つの問題は、レプリケータ構想(Replicator initiative)にどれだけの費用がかかるのか、そして国防総省はその費用をどのように捻出するつもりなのかということである。ヒックス副長官は2023年9月6日の演説で、「リプリケータは新しいプログラムではないので、(国防総省は)2024会計年度(FY2024)に新たな資金を要求することはない」と述べた。

米国防総省(DOD)は2024年1月、議会に機密扱いの2023会計年度(FY2023)再プログラム要求を提出し、米国防総省(DOD)は他の米国防総省(DOD)プログラムへの資金を削減することで、2024会計年度(FY2024)レプリケータ活動の資金を調達する意向であることを示唆した。米国防総省(DOD)は2025年度にリプリケータに5億ドルを要求しており、議会が2024年度予算でこれらの資金を計上しない場合、リプリケータのために5億ドルの追加的な2024年度再プログラム要求を提出することになっている。

リプリケータの潜在的な総費用や、リプリケータに必要な資金が他の国防総省プログラムの資金に与える影響については、ほとんど情報が公開されていない。一部の観測筋は、リプリケータに資金を提供することで、軍需品や長距離対艦ミサイルなど、インド太平洋軍(INDOPACOM)の他の優先事項への資金が減少する可能性があるとの懸念を表明している。

単一の会計年度に縛られない資金を提供することは、リプリケータの成功に不可欠である。また、そのような資金を提供することは、国防総省の年間支出に対する議会の統制力を弱めることになり、議会の憲法上の決定権を弱めることになりかねないという意見もある。

選択したシステムの有効性:Effectiveness of Selected Systems

もう1つの問題は、レプリケータに選ばれた特定のシステムが、この構想に対する国防総省(DOD)が表明した目標を満たす可能性があるかどうかである。この問題の中で、特にインド太平洋での戦闘作戦に貢献するために必要な長距離で作動するシステムという点で、インド太平洋軍(INDOPACOM)の作戦上のニーズをリプリケータ・システムが満たせるかどうかが1つの問題となっている。効果に影響するもう一つの考慮点は、潜在的な作戦戦域特有の悪天候下で、選択したシステムが作動する能力である。

技術的リスク、スケジュールのリスクそしてコストのリスク:Technical, Schedule, and Cost Risk

もうひとつの問題は、レプリケータ構想(Replicator initiative)における技術的、スケジュール的、コスト的なリスクに関するものである。軍事アナリストのビル・グリーンウォルト(Bill Greenwalt)は2023年10月19日、下院軍事委員会の公聴会で証言した。「国防総省の取得システムは、ごく限られた状況を除いてはリプリケータ・プログラムで計画されたスケジュール通りに行動することができない、……そしてそれは、通常の取得予算編成のルールから外れて実施される場合のみである」。

懐疑的な人は、国防総省は歴史的に、システム・プロトタイプの開発とそのシステムの実戦配備の間のいわゆる「死の谷(valley of death)」を克服するのにしばしば苦労してきたと主張するかもしれない。米国防総省(DOD)は現在リプリケータの取得戦略を練り直していると述べているが、潜在的な業界パートナーの中には、米国防総省(DOD)のアプローチに懸念を表明し、「非常に無秩序で混乱している」と言う人もいる。

倫理的原則と国際的コミットメント:Ethical Principles and International Commitments

もうひとつの問題は、リプリケータの取組みが、国防総省(DOD)の倫理原則や国際公約に合致した方法で実行されるかどうかである。「責任ある人工知能戦略と実施経路」、「人工知能と自律性の責任ある軍事利用に関する政治宣言」および「米国防総省(DOD)指令 3000.09『兵器システムにおける自律性』」などの文書に概説されている。

もう一つの問題は、レプリケータ・システムが軍の人員と戦力構造に与える潜在的な影響に関するものである。この問題の具体的な内容としては、何千機もの搭乗員無しのシステム(uncrewed system)を運用するために必要となる可能性のある人員数(およびその結果、国防総省の他のニーズに対応するために利用可能な人員数への影響)、リプリケータ・システムを運用する人員の訓練要件、リプリケータ・システムを実戦配備するために国防総省や軍の組織を変更する必要があるかどうかなどが挙げられる。例えば、一部の観測筋は、各軍種内にドローン専門の支部を設置することを提案している。

DIU News

国防総省のレプリケータ構想を実装し、全ドメイン・損耗可能な自律型(ADA2)システムを迅速かつ大規模に戦闘員に提供する

Implementing the Department of Defense Replicator Initiative to Accelerate All-Domain Attritable Autonomous Systems To Warfighters at Speed and Scale

NEWS | 30 NOVEMBER 2023

2024年初頭に開催される技術サミットと、12月に発表される無人システムの商用ソリューション・オープニングを通じた産業界の関与

ワシントンDC(2023年11月30日) – 国防総省(DoD)のキャスリーン・ヒックス(Kathleen Hicks)副長官は8月、革新的な能力を迅速かつ大規模に戦闘員に提供するための国防総省(DoD)全体のプロセスであるレプリケータ構想を発表した。

最初の反復では、レプリケータは、複数のドメインにまたがる数千の攻撃可能な自律型システムを実戦投入することで、中華人民共和国の軍事的質量に対抗する米国の能力を向上させることに焦点を当てている。この数カ月間、国防イノベーション・ユニット(DIU)が主導し、国防総省(DoD)全体および各戦闘軍(Combatant Commands)や各軍種と協力する専門チームが、この構想を実施するために結集した。

「国防総省(DoD)はすでに、上層部が一丸となって集中すれば、適切な技術は能力開発から戦闘員への実戦配備に至るまで、さまざまな「死の谷(valleys of death)」を乗り越えることができることを実証している」とキャスリーン・ヒックス(Kathleen Hicks)国防副長官は述べた。「レプリケータは、議会がすでに国防総省(DoD)に与えている権限を活用し、戦闘に耐えうる能力をより早く、より大規模に提供することを目的としている」。

9月以降、キャスリーン・ヒックス(Kathleen Hicks)副長官とクリストファー・グレイディ統合参謀本部副議長が共同議長を務める「副長官イノベーション・ステアリング・グループ(DISG)」と、ダグ・ベック(Doug Beck)国防イノベーション・ユニット(DIU)部長が議長を務める「国防イノベーション・ワーキング・グループ(DIUWG)」は、レプリカ構想の実現を支援するため、3つの明確なステップに注力してきた。

  • インド太平洋軍司令部(INDOPACOM)と緊密に協力し、戦闘員のニーズを理解し、「全ドメイン・損耗可能な自律型(ADA2)」が対処すべき任務分野を特定する。
  • 各軍種全体ですでに進行中の既存の「全ドメイン・損耗可能な自律型(ADA2)」能力とシステムを調査し、先に特定したミッション・セットを最もよく支援できるシステムを指名する。
  • レプリケータがどのシステムを最初に加速させるかを特定するために、一連の基準に照らしてこれらのシステムを評価する。

「米国の産業基盤のイノベーションは、我々の決心の優越を助ける非対称的優位性を提供する。私の最優先事項は、あらゆる潜在的な紛争と闘い、勝利するために、統合部隊全体で統合(一体化)され、同盟国やパートナーと協力しながら、いかなる競合者よりも一歩先を行くために必要な能力を加速させ、提供することである」と米インド太平洋軍司令官ジョン・アキリーノ(John Aquilino)提督は語った。

各軍種内のさまざまなライフサイクル段階における既存システムの高速化に加え、レプリケータは、運用と拡大縮小のギャップを埋める新しいシステムや機能の入り口を作成する。チームは、明確な基準を示し、ハードウェアとソフトウェアのプロバイダーが実現可能なものを理解し、対処しなければならない主要なギャップ(特定のミッション・セットや生産上の制約など)を決定することによって、新規参入の機会にアプローチする。

この目標を達成するため、国防イノベーション・ユニット(DIU)は12月から国防イノベーション・ユニット(DIU)のウェブサイトにレプリケータ関連の募集要項を掲載する予定である。国防イノベーション・ユニット(DIU)は、最初の募集では、現在契約していない搭乗員無しの航空機システムに関する新しい能力を要求すると予想している。

国防イノベーション・ユニット(DIU)のダグ・ベック(Doug Beck)部長と国防長官上級顧問は、「既存システムと新規参入の重点分野の両方に並行して取り組むことで、副長官が定めたリプリケータの到達目標をターゲットとした期間内に達成できると確信している」と述べた。

「レプリケータは、何よりもまず、ライフサイクルの中で能力を加速させるために社内プロセスを変革し、チームは、戦闘員の取組みを支援できる新たな技術を加速させるために、さまざまなシステムを検討する」。

レプリケータによって、国防総省(DoD)は、より安価で、より少ない人員で、より短いリードタイムで変更、更新、改良が可能な、「全ドメイン・損耗可能な自律型(ADA2)」システムを活用することで、新たな最先端技術(state of the art)を創造しようとしている。

ロシアとウクライナの戦争は、このような技術が現代の戦場において大規模に発揮できる優位性を示しており、生産を求められたときに産業界がどのような能力を発揮できるかを示している。国防イノベーション・ユニット(DIU)は10月、ウクライナの国防技術調整組織「ブレイブ1(Brave 1)」とともに、ワルシャワで国際的なパートナーや同盟国と会談し、戦いで何が起きているのか、「搭乗員無しシステム(uncrewed systems)」が戦闘員によってどのように使用されているのかについて理解を深めた。

これとは別に、国防イノベーション・ユニット(DIU)は2024年初頭にワシントンD.C.地域で技術サミットを開催し、産業界に幅広いレプリケータの機会に関する詳細を提供し、デュアルユースの商用技術ソリューションをどのように再利用して戦闘員のニーズを支援するかについてのワークショップを開催する計画が進行中である。

DoD News

国防イノベーション担当官、レプリケータ構想は順調に進んでいると発言

Defense Innovation Official Says Replicator Initiative Remains On Track

Jan. 26, 2024 | By Joseph Clark , DOD News |   

国防総省(DOD)は、最近発表されたレプリケータ構想(Replicator initiative)の一環として、複数の用兵ドメインにわたって何千もの自律型システムを実戦配備するという構想(initiative)を順調に進めていると、国防総省のイノベーション担当高官が今週語った。

国防イノベーション・ユニット(DIU)の戦略・政策・国家安全保障パートナーシップ担当副部長であるアディティ・クマール(Aditi Kumar)は、この構想(initiative)は、スピードとスケールで重要な戦闘員のニーズに応えるという国防総省(DOD)の焦点の具体的な例であると述べた。

ワシントンのシンクタンク、ハドソン研究所が主催した、作戦上の課題を解決するための技術の役割に関する討論会で、クマール(Kumar)は「レプリケータ構想(Replicator initiative)は、作戦上の必要性に正面から根ざしている」と語った。

「国家防衛戦略で示された作戦上の課題に対処する能力が必要である。将来の戦力は機敏でなければならない。紛争を抑止し、抑止が失敗した場合には、戦争を闘い勝利するために必要な能力を持たなければならない」と彼女は語った。

キャスリーン・ヒックス(Kathleen Hicks)国防副長官は8月、国防総省が『国家防衛戦略』に示された課題に対応するためのアプローチのひとつとして、レプリケータ構想(Replicator initiative)を発表した。

この構想(initiative)の最初の反復は、中国の急速な軍備増強に対抗する国防総省の戦略の一環として、今後18~24カ月以内に複数のドメインにわたって数千の自律型システムを実戦配備することに重点を置いている。

ヒックス(Hicks)によれば、レプリケータ構想(Replicator initiative)は、消耗可能な能力(attritable capabilities)、つまり、無人で、手頃な価格で製造され、指揮官がより高いリスクを許容して使用できるようなプラットフォームの実戦配備を優先するという。

クマール(Kumar)は、国防総省はヒックス(Hicks)が示した到達目標を期限内に達成する予定だと述べた。

「副長官は、クリスマスの直前に、レプリケータのための能力の第一弾を選択した。これらの能力については、現在、2025年2月から8月のスケジュールで、戦闘員の手に渡るようにするために克服しなければならない、加速化の障壁をすべて特定する作業を行っている」と彼女は語った。

国防イノベーション・ユニット(DIU)は、軍全体で商用技術の採用を加速させるための省内組織であり、この構想(initiative)の実現に中心的な役割を果たした。

ヒックス(Hicks)は最近、イノベーションを阻むシステム上の障壁を取り除くため、省内のリーダーを集めて副長官イノベーション・ステアリング・グループを設立した。

ダグ・ベック(Doug Beck)国防イノベーション・ユニット(DIU)ディレクターは、運営グループと連携する国防イノベーション・ワーキンググループの議長を務め、技術を加速させ、プロセスを再現可能にするためのプロセスを推進する役割を担っている。

クマール(Kumar)は、戦闘員の重要なニーズを満たすには、省全体の意見と調整が必要だと述べた。

「だからこそ、副長官イノベーション・ステアリング・グループ(DISG)のようなフォーラムは本当に重要だ。テーブルを囲む全員が問題解決に集中し、訓練や維持管理など、関連するすべてのことを考慮しながら、能力を現在ある状態からフィールドに投入する方法について考えなければならないからだ」と彼女は語った。

国防総省(DOD)はまた、希望する期限内に能力を実戦配備するための適切な資金戦略について、議会と緊密に協力してきたという。

クマール(Kumar)は他の国防当局者と同様に、レプリケータ構想(Replicator initiative)は特定の技術を実用化するための単一の試みではなく、技術革新の障壁を取り除くためのプロセスであることを強調した。

彼女は、自律型システムを迅速に実戦投入するためのプロセスとしてリプリケータを適用することで、国防総省(DOD)の関係者は、将来の反復に適用するための重要な教訓を集めていると述べた。

どうすればより迅速に行動できるか、すでに教訓を得た。そして今、それを他の能力やポートフォリオに応用することで、これを何度も繰り返し、脅威の動きと同じように迅速に行動できる能力を持つことを示すことだ」と彼女は語った。