情報の優位性:サイバー戦とHMIを使って主導性を握る (米陸軍協会サイト)
変化する安全保障環境を情報という側面から見た場合に、新たな安全保障環境または作戦環境として情報環境(Information Environment)として定義し、その環境下での作戦を構想する必要性を2016年6月に当時アシュトンB.カーター米国防長官が「情報環境における作戦のための戦略(STRATEGY FOR OPERATIONS IN THE INFORMATION ENVIRONMENT)」として打ち出し、その後、米統合参謀本部は、それまでの6つの統合機能に「情報(information)」を7つ目の統合機能として付け加えた。また、2018年7月には米軍の統合コンセプトとして「情報環境における作戦の統合コンセプト(Joint Concept for Operating in the Information Environment (JCOIE))」を発刊した。それ以降、米軍の各軍種は、これらのコンセプトのもとに、情報環境(Information Environment)での作戦ドクトリンを検討してきた。米海兵隊は、米海兵隊ドクトリン刊行物-8(MCDP 8)「情報(Information)」を2022年6月に刊行した。米陸軍は、マルチドメイン作戦のドクトリンを発展させ洗練してきており、米陸軍の各用兵機能との整合を図ってきたと思われる。そして昨年11月に米陸軍ドクトリン刊行物3-13(ADP 3-13)「情報(INFORMATION)」を公表した。
その条文の冒頭には「情報とは、インテリジェンスの基礎であり、指揮・統制の基本要素であり、思考、意見、考え(ideas)を伝達する基盤である。戦闘力のダイナミズムとして、陸軍部隊は、情報の優位性(敵や敵対者が行うよりも効果的に目標を達成するための情報の使用、防護、活用)を生み出し、活用するために、情報のために闘い、防御し、情報を用いて闘う」とあるように「情報の優位性」という用語が重要なキーワードとなっている。ここで紹介するのは、「情報の優位性」について社会科学の観点から説明し、人工知能(AI)、機械学習(ML)等を含む新たな技術の側面から「情報の優位性」を獲得し主導性を握るための方策について論じたもので、米陸軍協会のサイトに掲載されたものである。新しい発想での部隊編成の在り方などが論じられている。(軍治)
情報の優位性:サイバー戦とHMIを使って主導性を握る
INFORMATION ADVANTAGE: USING CYBER WARFARE AND HMI TO SEIZE THE INITIATIVE
June 20, 2024
by LTC Amos C. Fox, USA, Ret., Ph.D.
AUSA Landpower Essay 25-5
エイモス・フォックス(Amos Fox)博士・退役米陸軍中佐はアリゾナ州立大学の将来安全保障イニシアチブ(Future Security Initiative)のフェロー。また、独立系の国防・安全保障研究アナリストとしても活動し、影響力のあるポッドキャスト「軍事における革命(Revolution in Military Affairs: RMA)」のホストを務める。また、「軍事研究ジャーナル(Journal of Military Studies)」の編集委員も務める。
写真:アンドリュー・ワード(Audrey Ward)米陸軍特技兵 |
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要 約
- サイバー戦、人工知能、自律システムの統合(一体化)は、米陸軍に重要な情報の優位性(information advantage)を提供することが出来る。
- 米陸軍は、情報の優位性を最適化するために、部隊を組織し、装備し、作戦する代替方法を特定しなければならない。
- データと情報は、将来の戦場で米陸軍部隊を組織し、装備を整え、作戦するための代替策を模索する一環として、再考されなければならない。
- データと情報が情報の優位性を生み出し、維持するのに役立つ主な方法は、戦場に時間的・空間的な隔たりを作り出すことである。それこそが、将来の組織化、装備、作戦のあり方を再構築する鍵である。
はじめに
サイバー・ドメインと情報の次元(information dimension)は今日の安全保障環境におけるもっとも争われた領域である。人工知能(AI)や機械学習(ML)を含む情報技術が向上し続けるにつれ、サイバー・ドメインと情報はますます重要になる。したがって、これらの各圏域(spheres)を徹底的に分析し、敵対者に対して情報の優位性を獲得し、米陸軍が世界でも卓越した陸上部隊であり続けるための方法を研究することが賢明である。
統合出版物(JP)3-04「統合作戦における情報(Information in Joint Operations)」は、良い出発点である。それは関係値のレンズを通して情報(information)を定義する[1]。つまり、情報自体は価値を持っていないが、むしろ特定の状況内で作戦する個々の行為主体への関連性に基づいて貴重である[2]。さらに、情報は各行為主体に普遍的に適用される価値を持つものではなく、また、その状況内での作戦や相互作用の各レベルにおいて同じ価値を持つものでもない。したがって、重要な原則が浮かび上がってくる。軍事作戦は、情報の次元における関係上の優位性をいかに獲得し、利用し、維持するかに軸足を置くべきである。
本報告書は、情報の次元での優位性をどのようにつかむかについての入門書を提供するものである。むしろ、理論的なコンセプトを探求し、サイバー、AI、自律・半自律システムを米陸軍の情報の優位性の追求に組み込む斬新な方法を提供する。本書は、ドクトリン、米陸軍の編成、戦闘の配列について別の考え方を提供することで、情報の優位性のための作戦、組織、装備の最適な方法を提供する。
まず本報告書では、情報の次元で作戦する米陸軍の考え方を簡単に検証する。次に、社会科学が情報をどのように視覚化しているかを検証する。第三に、社会科学のレンズを使って、情報作戦(information operations)のためのコンセプト上及びドクトリン上の手法にアプローチする代替手法を提供する。第四に、米陸軍がいかにして情報の優位性を獲得し、活用し、維持しうるかについて、ドクトリン上、組織上、戦場での枠組み上の代替案を提示する。
このアプローチは、この主題に関する米陸軍の既存の考え方に取って代わることを意図したものではなく、むしろ、現在のアプローチをさらに洗練し、研ぎ澄ますことを意図した補助的なコンセプトである。最後に、本報告書は、情報の次元における情報、情報の優位性、敵対者の支配を検討するための一連の提言で結んでいる。
情報の次元での作戦のための米陸軍のアプローチ
米陸軍は情報の次元(information dimension)を次のように定義している。「個人、グループ、情報システムが通信・交換する内容やデータ、および作戦環境内で情報を交換するために使用される分析や技術的プロセス」[3]。
この次元での作戦には多くの部隊が必要である。米陸軍は、この空間における主要な役割を、情報の優位性を獲得し、活用することだと考えている。「情報の優位性(Information advantage)とは、状況把握、意思決定、関連する行為主体の振舞いにおいて、ある部隊が主導性を握っている状態のことである」[4]。関係的価値は、米陸軍が情報の考えにどのようにアプローチするかの文脈を提供する。
情報こそが、指揮・統制(C2)、状況の理解、意思決定、そして用兵機能(warfighting functions)全般にわたるほぼすべての行動の存在理由であるとしている[5]。その結果、米陸軍は潜在的・現実的な敵対者との関係において、情報の優位性という考え方を獲得し、利用し、維持しようとする。米陸軍によれば、情報の優位性とは「状況の理解、意思決定、関連する行為主体の振舞いにおいて、部隊が主導性を握っている状態」である[6]。
米陸軍は5つの手段で情報の優位性を達成しようとしている[7]。第一に、指揮・統制(C2)を強化するために情報を有効にする。第二に、データ、情報、ネットワークを防護する。第三に、信頼と信用を維持するために情報を提供する。第四に、海外の関係主体に振舞いの変容をもたらすような指示的な情報作戦(information operations)を通じて影響を与える。第五に、それを利用して攻撃を行い、脅威主体の指揮・統制(C2)に影響を与える[8]。全体として、情報の優位性に対する米陸軍のアプローチは、攻撃志向の作戦、諸兵科連合の原則、および情報は指揮官主導で、そして兵士が利用できるという知識によって導かれる[9]。
情報、情報の優位性、情報の次元での作戦に対する米陸軍の認知的アプローチは健全である。それにもかかわらず、社会科学という別のレンズを通して情報を検証することは、価値を提供し、米陸軍がこの圏域(sphere)にアプローチする方法を研ぎ澄ますのに役立つことが期待される。
情報の理解と情報の次元での作戦
情報の支配性(information dominance)を獲得し、それを利用することは、米陸軍が情報の次元やサイバー・ドメインでの作戦をどのように考えているかということである。最近の情報ドクトリンの更新は、この次元での作戦方法を考えるための良い出発点となる。
それにもかかわらず、情報のコンセプトを見直すことは、情報の支配性を解き放ち、操作し、保持する方法を理解する上で極めて重要である。まず、データの重要性とは何か、情報と意思決定との関係とは何か。さらに、なぜ、そしてどのようにそれらの考え方が重要なのか。第二に、なぜ情報の優位性が重要なのか。第三に、現実的な意味で、すなわち戦場において、情報の支配性はどのように生み出され、操作され、利用されるのか?[10]
最後に、これらの要因は、米陸軍が情報の優位性と情報の次元の支配という到達目標を最大化するために、どのように作戦、組織、装備を整えればよいかについて、何を示唆しているのだろうか。次の節では、これらの疑問のそれぞれを取り上げる。
社会科学を使用して情報の次元の作戦を説明する
データ、情報、意思決定の関係は、情報を兵器化し、敵対者を支配するための重要な因果関係である。社会科学は、このトピックに関する優れた補助的視点を提供してくれる。
米陸軍ではデータと情報を区別しているが、この節の目的からすれば、その区別は必要ない。社会科学においては、情報は競争者間の合理的な意思決定のための燃料である[11]。紛争空間では、情報はスペクトルに沿って作用する。
一方の端は完璧な情報(perfect information)であり、もう一方の端は情報の絶対的な欠如である[12]。完璧な情報とは、ある戦闘員(行為主体A)が、自分自身と敵対者(行為主体B)の両方について、考え得るあらゆることを知っているという考え方である[13]。
完璧な情報とは、特に国家間の紛争においては、現実的にはほとんど実用性のない理論上の考えである。例えば、敵対者の頭の中に入り込み、敵対者が意思決定に用いる合理性を示す規範や価値観を理解することは不可能に近い。
ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)やバッシャール・アル=アサド(Bashar Al-Assad)、サダム・フセイン(Saddam Hussein)のような人々が、戦争や戦いを含む国家や国際情勢について、一見非合理的な決定を下す理由を理解しようとするとき、これは個人が抱える課題のひとつである。
裏を返せば、情報がまったくない状態は、完璧な情報の対極にある[14]。この場合、行為主体は自分自身、敵対者、環境について何も知らない。完璧な情報が不可能であるように、絶対的な情報の欠如も不可能である。
米陸軍部隊、あるいは紛争に参加する他のいかなる部隊も、さまざまな、そして独特な不十分の情報(incomplete information)の中で作戦する。不十分な情報(incomplete information)と不完全な情報(imperfect information)という用語は一般に互いに互換性があるが、本稿では不十分な情報(incomplete information)を用いる。不十分な情報とは、戦闘員が自分自身と紛争に関与する他の行為者について何らかの知識を持っているという考え方である[15]。
これは、紛争に参加するすべての参加者が保有する情報の種類であるが、不十分な情報のレベルは固定的なものではない。すべての戦闘参加者は、敵指向の偵察活動や日常化された友軍の状況報告などのデータ収集を通じて、情報を改善することができる。同様に、敵対者も同じように不十分な情報にアプローチすることができる。(図1参照)。
図1:情報のスペクトラム |
一方の戦闘員が敵対者よりも完璧な情報に近い状態で作戦できることは、最も純粋な形での情報の優位性である。2人の戦闘員の間のギャップが大きければ大きいほど、先行者が持っている情報の優位性は大きくなる。
さらに、行為主体Aが情報の優位性を有し、その非対称性を軍事作戦の実施に必要な時間のような状況的に有利な期間維持できる場合、行為主体Aは情報の支配性を有する。戦争は長期的な物資の優劣によって勝敗が決まるが、交戦や戦闘は情報の支配性によって勝敗が決まることが多い。
情報の優位性と情報の支配性は、自分の情報を守りつつ、他の戦闘員の情報を炙り出すことから生まれるだけではない。今日の情報技術をもってすれば、データは、熱心なデータ探索者が見つけることができるように、偽の情報を提示するように製造することもできる。
製造された情報(Manufactured information)はまた、敵対者が真実を読み解こうとする泥沼を残しながら、現実の多くの虚偽を作り出すことによって、ある戦闘員が保有する情報の非対称性を増大させることができる。つまり、相対的な真実の保有は、戦場での虚偽の伝達と相まって、戦闘員を未完成の情報の領域へと深く追いやる一方で、完璧な情報に対する自らの立場を強固にすることで、情報の優位性を高める結果となりうる。
ドローンやセンサー、宇宙を基盤とする技術など、今日の情報収集・発信技術には過度な新奇性があるため、これらの考え方を思い出し、再認識することは重要である[16]。さらに、米陸軍の敵対者は、国家を基盤とする部隊や非国家主体を含めて、このコンセプトを十分に理解していることを理解することが重要である[17]。
したがって、情報の次元で主導性を握るためには、自分たちが何者であるか、何を代表しているかという理由だけで、優位に立つことを想定してはならない。むしろ、情報の次元での闘争を常に考慮しなければならない。闘争が続くのは、データと情報が合理的な意思決定のための構成要素だからである。
情報の次元における合理的な意思決定
情報の優位性が重要なのは、それが戦いにおける意思決定に最も不可欠な要素だからである[18]。さらに、合理的な決心と費用便益の結果(cost-benefit outcomes)が必ずしも普遍的なものではないことを強調することも重要である。つまり、他の行為主体の意思決定を検討する際、善悪に関する自分のイデオロギー的信念は一般的に無関係である。
政治指導者であれ、軍事指導者であれ、あるいはその中間であれ、合理性とは個人的な評価であるからだ。敵対者の意思決定について真の理解を求めることを犠牲にして、自分自身の信念を優先させることは、観察バイアスやアンカーバイアスを引き起こす可能性がある。ひいては、これは米陸軍部隊が特定の状況に内在するデータを明確に見て理解する能力を阻害しかねない。
なぜなら、正確で偽りのない情報こそが軍事インテリジェンスの基礎となる構成要素であり、インテリジェンスは戦場における戦略的、作戦的、戦術的のすべての活動の源だからである[19]。情報に関する米陸軍の論理からは、単純な理論が流れている。その理論(data-to-military activity theory)とは、次のようなものである:
データ → 情報 → インテリジェンス → 意思決定 → 軍事活動[20]。
この情報理論は、合理性と合理的な決心は経済的考慮に基づいているという社会科学の主張と一致している。つまり、資源制約によって導かれることが最も多い状況判断の潜在的な費用便益の結果(cost-benefit outcomes)は、手元にある情報に左右されるということだ[21]。
この理論をさらに一歩進めると、米陸軍がa)素早く、b)大規模にデータを取得し、c)良いデータと悪いデータを選別することができれば、ネットワークを通じて発信される情報を改善し、潜在的な軍事活動に関する指揮官の意思決定能力を高めることができるということになる。
戦術的レベルでは、意思決定や戦術行動を推進するためのデータを収集し、その妥当性を確認することはかなり容易である。意思決定者は、自分の命令や指示と、それが敵対者に与える影響や効果との因果関係を、しばしば見ることができるからである。
しかし、指揮官のレベルが高度な戦術的レベル(例えば、師団や軍団)から作戦的レベル(例えば、統合タスク部隊、陸上構成部隊軍や野戦軍)へと上がるにつれて、指揮官や参謀が命令や指示の因果関係を観察することから遠く離れてしまうため、このコンセプトはますます難しくなる。その結果、優秀で迅速なデータは、軍の上級指導者がタイムリーで十分な情報に基づいた意思決定を行うのに役立つ[22]。
データから軍事活動への理論を逆の立場から見てみると、いくつかのリスクが見えてくる。データとテンポ操作のリスクは明らかである。というのも、米陸軍の敵は、米陸軍のデータに対する関心、すなわち迅速な入手、規模での入手、悪いデータよりも良い情報の方を好むことなどを認識していると想定しなければならないからである。敵は意思決定を混乱させ、米陸軍にその情報に疑問を抱かせることができる。
さらに、思慮深い敵対者はデータの流れを統制しようとし、相手に十分な処理ができないほど多くのデータを負担させたり、文字通り相手が行動するのに十分な情報を持たないほどデータの流れを制限したりする。
このような行為主体は、軍事作戦の推進に役立つものはないかと熱心に情報を探しているため、毒入りデータを取り込むよう簡単に騙される可能性がある。一方、データ過多のネットワークは破損しやすく、受信したすべての情報に対する組織の信頼を低下させる。この考え方は理論としても表すことができる。
データ ◊ 情報 ◊ インテリジェンス ◊ 意思決定 ◊ 軍事活動[23]。
データに関するこれら4つの活動-過負荷、収奪、腐敗、毒-の関係は、因果経路関係、より簡単に言えばデータ経路として理解できるものを作り出す。
このデータ経路は、自身の情報を強化し、競争者の情報の関連性を低下させるために重要である。したがって、行為主体Aが自らのシステム内のデータの有用性と行為主体Bのデータの有用性を高度に分離することができれば、情報の優位性を生み出すことができる。これらの行為主体のいずれかが、敵対者に対して情報の優位性を長期にわたって維持できれば、情報の支配性を達成することができる(図2参照)。
図2:情報の優位性グラフ |
情報の次元での主導性を握る
米陸軍が情報の次元でその潜在能力を最大限に発揮するためには、大胆なステップが必要である。軍隊の再編成、コンセプトとドクトリンの書き換え、戦場の再構築を慎重に検討しなければならない。本節では、これらの各タスクについて、集団的かつ同時並行的に取り組むべき提言を行う。
米陸軍部隊の組織化
米陸軍の新戦力は、情報の次元の変革の可能性を解き放つために不可欠である。軍事組織を革新するには、AI対応の無人戦闘プラットフォームを対使用したり、AI陸軍少将を作ったり、ドローンのスウォーム(drone swarms)を増殖させたりする以上のことが必要だ。
革新(Innovation)は、データ、テンポ、および米陸軍部隊本体のはるか前方での戦闘作戦を通じて、戦場でいかに時間と地理的な分離を作り出すかに焦点を当てなければならない。分離することで、米陸軍指揮官は情報を収集し、情報に基づいた決定を下し、資源を調整し、部隊を戦闘態勢に積極的に移行させるために必要な時間を確保することができる[24]。
このアプローチの第一の到達目標は、近接した会戦(close battle)に参加する前に敵対部隊(hostile forces)を排除することであり、その結果、米陸軍部隊の本隊を温存し、a)指定された目標に向かって継続する行動の自由を維持し、b)戦闘支援部隊を温存し、c)近接戦闘部隊を温存し、d)米陸軍部隊が新鮮な状態で目標に到着できるようにする。
このアプローチの第二の到達目標は、米陸軍部隊指揮官に、a)状況情報の増加、b)将来の計画策定のための情報の増加、c)計画された機会や新たな機会を活用するための部隊配置時間の増加、d)軍事作戦のための部隊配置のための物理的空間の増加を提供することである。
こうした到達目標を達成し、情報の次元で主導性を握るためには、米陸軍はデータとテンポの部隊を開発することが有益であろう。第18空挺団のデータ戦中隊やマルチドメイン・タスク部隊(MDTF)の存在が示すように、米陸軍はすでにこの空間に手を出している[25]。
データ部隊とテンポ部隊は、(1)敵と作戦環境に関連する情報を収集し、(2)敵対者に現実の虚像を送信し、(3)攻撃的火力、サイバー、その他の戦場形成技術によって敵を好都合な配置に導き、(4)相手の作戦のテンポを操作するために組織されるべきである。AIは、送信データと受信データの両方の潜在的な宝庫(potential trove)を処理するのを助けることによって、ここで非常に有益である。
データ部隊
データ部隊(DF)は、主に再想定された戦場(再想定された戦場については次の節で説明する)のデータ領域(data region)で作戦するために開発されるべきである。この編成は、情報の優位性を生み出す米陸軍部隊の触媒となるべきであり、状況的に適切であれば、情報の支配性を生み出すべきである。
さらに、情報の次元で主導性を握るデータ部隊(DF)の可能性を最大化するためには、データ部隊(DF)が可能にする米陸軍部隊の作戦の規模に合わせて、あらゆるレベルの司令部に配備されるべきである。データ部隊(DF)は、統合軍とデータ生成およびデータ操作能力をつなぐパイプ役となるべきである。データ部隊(DF)の目的は3つある。
第一に、攻撃オプションを支援するために、敵対者に関する深い情報を収集するために存在すべきである。第二に、データ部隊(DF)はデータ経路を兵器化し、敵対者の情報の次元での作戦する能力を妨害し、混乱させ、最適化しないようにする。第三に、データ部隊(DF)は、どの指揮階層においても、統合部隊、特殊作戦部隊、および、戦域レベルの縦深のセンシング能力にリンクできるものでなければならない。
ロボット工学、AI、機械学習(ML)、自律・半自律システムの組み込みを中心に組織されるべきであり、ヒューマン・オン・ザ・ループ(humans on the loop)で作戦するべきである。その主な焦点は、データを収集すること、敵対者に偽情報の現実を提示すること、米陸軍部隊指揮官の計画を支援するためにテンポを操作すること、米陸軍作戦に統合(一体化)された統合火力とサイバー効果のパイプ役となること、敵対者にその意図や戦略を明らかにさせるきっかけとなる要素となることであるべきだ。
テンポ部隊
テンポ部隊(TF)は、主に再想定された戦場のテンポ領域(tempo region)で作戦するために開発されるべきである。この編成は、時間的優位性を生み出す米陸軍部隊の触媒となるべきである。すなわち、行為主体Bに対して行為主体Aに非対称的利益をもたらす速度で作戦することである。
テンポと時間的優位性とは、より速く作戦することではなく、指揮官の意図を最もよく支える速度で作戦することを意味することを忘れてはならない[26]。例えば、戦闘状況の中には、速さを必要とせず、むしろ遅いテンポを求めるものもある。テンポ部隊(TF)は4つの方法で、米陸軍部隊指揮官のためにテンポを操作する。
第一に、テンポ部隊(TF)は熱狂的なテンポの活動、すなわち、急速に前進する近接戦闘部隊に先行して、素早く移動する偵察・打撃活動を原動力とする攻撃的なペースで行われる作戦を推進することができる。熱狂的なテンポの作戦の到達目標は、敵対者のバランスを崩し、その状況を後続部隊やその他の状況に応じた解決策で素早く利用し、敵対者が再編成する時間や手段を持つ前に打ち負かす(defeat)ことである。
第二に、テンポ部隊(TF)は敵対者を機能的に混乱させることで、減速したペースでの作戦を促進することができる。敵対者固有の移動性を排除し、制圧し、その場に固定する[27]。その後、テンポ部隊(TF)は長距離打撃、航空発射効果、無人機による打撃、AI対応の自律型陸上部隊システムを用いて、近接会戦地域(close battle area)のかなり前方で敵対者を撃破(defeat)し、米陸軍部隊の近接戦闘部隊を維持し、米陸軍部隊指揮官の行動の自由を確保する。
第三に、テンポ部隊(TF)は反復的な活動、すなわち日常的または予測可能な速さで行われる作戦を促進することができる。これによって米陸軍部隊指揮官は、敵対者の作戦のパターンを見極めることができ、無関心を誘導することができる。AIはこの分野でも変革をもたらす可能性を秘めている。パターン認識ソフトウェアでエンコードされ、マルチドメイン、長期間のセンシングが可能なAI対応のテンポ部隊(TF)は、この能力を引き出し、情報の次元で主導性を握るために不可欠である。
第四に、テンポ部隊(TF)は動的な活動、すなわち敵対者のインテリジェンスおよび意思決定システムに不確実性を生じさせる非反復的な振舞いを引き起こす作戦を促進することができる。AIはまた、敵対者の活動における振舞いのパターンを識別するために使用することができ、米陸軍部隊がそれに応じて積極的に対応することを可能にするため、ここでの情報の次元において主導性を握る米陸軍部隊の能力を強化する可能性を持っている。
これらすべてにおいて重要なことは、まず、テンポ部隊(TF)が達成しようとしていることはすべて、敵対者もまたテンポ部隊(TF)に対して実行しようとしていることである、ということを覚えておくことである。したがって、テンポ部隊(TF)は、自分たちに対してテンポ・パスウェイ作戦(tempo pathway operations)が実施されるのを防ぐために、必要なシステムと能力を有していなければならない。
データ部隊(DF)と同様、テンポ部隊(TF)は、あらゆる指揮階層において、統合部隊、特殊作戦部隊、戦域レベルおよび野戦軍の深のセンシング能力と連携できるものでなければならない。テンポ部隊(TF)は、ロボット工学、AI、機械学習(ML)、自律・半自律システムの組み込みを中心に組織されるべきであり、ヒューマン・オン・ザ・ループ(humans on the loop)で作戦されるべきである。
テンポ部隊(TF)の主な焦点は、a)米陸軍部隊指揮官の望む作戦テンポを促進すること、b)敵対者の好むテンポを混乱させること、c)データ領域とテンポ領域が重複する敵対者の戦闘力を破壊すること、d)米陸軍部隊本体を防護することである。
規模と能力という点では、テンポ部隊(TF)はデータ部隊(DF)よりわずかに大きく、より堅牢である。データ部隊(DF)はより感覚的でロボット指向で、ノン・キネティックな方法による情報攻撃に重点を置くだろう。一方、テンポ部隊(TF)はよりキネティック性を重視し、自律型、半自律型システム、HMI(Human-Machine Integrated:人間・機械統合(一体化)型)の編成を用いて火力で攻撃し、状況のテンポを操作する。
実際には、データ部隊(DF)とテンポ部隊(TF)は司令部の各要素に配属されるべきであり、指揮官のデータとテンポの要件に必要な支援を提供すべきである。さらに、圧倒的なサイバーパワーと火力を提供し、戦場の要所で情報の優位性を得るために、米陸軍のマルチドメイン・タスク部隊(MDTF)、戦域射撃司令部、統合部隊と連携できるような汎用性を持たせるべきである。
米陸軍部隊のためのコンセプトとドクトリン
米陸軍が情報の次元で優位に立つ可能性を最大化するためには、米陸軍はデータとテンポを陸戦の活動に統合する戦略、コンセプト、ドクトリンを開発しなければならない(注:以後、「戦略、コンセプト、ドクトリン」を単に「ドクトリン」と呼ぶ)。
さらに、米陸軍と米陸軍部隊は、軍事作戦の遂行をどのように可視化し、どのように枠組みづけるかを進化させなければならない。確かに、国家がデータ、テンポ、AI、その他の斬新な考え方や技術の潜在的な利点を引き出すつもりなら、「縦深、近接、後方」の地域構成は役に立たないだろう。
米陸軍部隊は、サイバー作戦、データ、テンポの経路の目覚しい重要性、および情報を基盤とする作戦(information-based operations)の継続的な顕著性を考慮した、撃破・敗北(defeat)の明確な定義を提供するドクトリンを持たなければならない。情報が支配する将来における脅威はネットワーク化され、直接的な指針ではなく、意図に基づいて作戦する。
その結果、軍は自律型システムを最大限に活用し、その作戦の速度を向上させるだろう。センサーがターゲット(司令部、軍編隊、個人のいずれであっても)を識別してから、そのターゲットを攻撃するまでの時間は、従来よりもはるかに速い速度で発生する可能性が高いからだ。このような将来の作戦環境では、情報の次元も同様に重要になる。
しかし、リスクという観点から見れば、情報の変革の可能性は、今日「近接の闘い(close fight)」と呼ばれるような状況では低下する。遠距離戦では、軍指揮官は情報を取捨選択し、それに従って動くための時間と空間がある。この空間におけるAI主導のシステムは、戦場データの収集と分析、そして推奨事項の生成を支援する。
つまり、到達目標は戦場に隔たりを作り、陣地戦(positional warfare)や消耗的会戦(attritional battle)に陥りかねない近接戦闘(close combat)で作戦を展開するのではなく、より良い情報に基づいた反応の余地を提供することである。要するに、戦場をいかに拡大するかではなく、近接地域に焦点を当てることは、指揮官の合理的な判断能力を損なうのである[28]。
近接地域、つまり交戦国間の地理的空間が大きく欠けている地域では、軍事指揮官とそのスタッフは、自分たちの意志を押し付けようとする行為主体が近くにいるため、ほとんど時間を持たない。時間がなく、その結果、情報も不足しているため、戦闘員は本能的に反応する。そうすることで、指揮官とその参謀は、地理的な距離と時間によって得られる情報上の利点を放棄することになる。
したがって、近接地域では、情報を入手することは難しく、積極的に行動することはさらに難しくなる。従って、米陸軍部隊の指揮官にとっては、後発のその場限りのデータ調達ではなく、逐次的な情報開発から生まれた情報の方が有益なのである。AIの変革の可能性は近接戦闘(close combat)にあるのではなく、データ領域(data region)とテンポ領域(tempo region)でデータとテンポ経路作戦(tempo pathway operations)を実施することに関連する情報システムにある、という議論も同様に成り立つ(図3参照)。
図3:AI戦場の効用 |
だからといって、近接戦闘(close combat)にAIの出番がないわけではない。それどころか、戦術的活動を迅速化し、(理論的には)効率を向上させるためにAIが活用される可能性が高い。しかし、注意が必要だ。速度の向上も効率の向上も、必ずしも変革的な質の向上には結びつかず、むしろ現代的な手法のわずかな改善にすぎない。
さらに、より迅速で効率的な戦術活動が、戦争の一般的な性質にどのような影響を与えるかはまだわからない。AI主導の作戦によって可能になるこのような行動が、消耗の戦争(wars of attrition)に貢献する可能性は十分にある。
戦場配列
AIやセンサーが発達した戦場では、軍隊は近接戦闘(close combat)を避けることに重点を置くべきである。情報、そして状況的に情報の次元を支配することは、近接戦闘(close combat)を先制する条件に貢献することができる。実際、軍事部隊は陸上部隊との緊密な接触(close contact)のはるか手前で相手を打ち負かそう(defeat)と試みるべきである。しかし、なぜ伝統的な近接地域(close area)からシフトしたのだろうか。
敵対者がその兵力と能力を完全に展開する機会を得る前に、敵対者を排除することは、部隊にいくつかの利点をもたらす。第一に、自軍の部隊を温存し、絶頂期ではなく比較的新鮮な状態で目標に到着する能力を支援する。第二に、敵対者が物理的な戦場空間(battlespace)を占領する能力を妨害することで、部隊は行動の自由度と反応時間を高めることができる。最後に、AI主導のロボット編成を用いれば、会戦領域(battle region)のかなり手前で敵対者を排除できるため、近接戦闘(close combat)による不可避の死と破壊を最小限に抑えることができる。
これは、再構成された戦場と、伝統的な近接地域(close area)や縦深地域(deep areas)の前方で作戦する、AIを導入した新しい米陸軍部隊を適用することで達成できるかもしれない。戦場を各領域(regions)に再構成することは、このプロセスに役立つかもしれない。近距離から遠距離まで、有用な構成は会戦領域(battle region)、準備領域(preparation region)、テンポ領域(tempo region)、データ領域(data region)である(図4参照)。
伝統的な軍の編成、半自律システム、人間・機械統合(一体化)型(HMI)の編成はすべて、伝統的な近接地域(traditional close area)と考えられる会戦領域(battle region)で作戦する。この空間におけるAIは、陸上部隊や統合部隊が戦術的な軍事作戦に参加する方法に段階的な改善を加えるため、おそらく進化的なものになるだろう。
図4: 戦場の配列 |
準備領域(preparation region)は伝統的な縦深地域(traditional deep area)とやや似ているが、会戦領域(battle region)と同様に、米陸軍部隊も半自律システム、人間・機械統合(一体化)型(HMI)の編成、人間中心の部隊で構成される。しかし、米陸軍部隊は、a)敵対者を混乱させ、b)敵対者を物理的地形上の相対的に弱い位置に誘い込むために準備領域(preparation region)を使用する。これは、軍隊がテンポ領域(tempo region)で敵対者を撃破する(defeat)ことに成功しなかった場合に起こる。
テンポ領域(tempo region)では、米陸軍部隊は、紛争が悪化する前に、勃発しつつある紛争に勝とうとする。情報の優位性と情報の支配性は、これを実現するための重要なイネーブラーである。この領域では、米陸軍指揮官は指揮官の意図を実現するために、自律システム、半自律システム、人間・機械統合(一体化)型(HMI)のロボット編成に主に依存する可能性がある。
紛争を膝元から断ち切るには、4つの重要な特徴を撃破する(defeat)か破壊することによって、敵対部隊(hostile force)の攻撃能力を否定することで達成される。(1)理解する能力、(2)前進する手段、(3)効率的に作戦する能力、(4)勝利する能力である。同時に、これら4つの特徴を自ら守ることも同様に重要である。
正しく活用されれば、AI対応の軍事編成は、テンポ領域(tempo region)で敵対者を敗北させる(defeat)ために使用され、準備領域(preparation region)や会戦領域(battle region)での危険な戦闘のために相手が大量に(現実的であれ理論的であれ)編成する能力を回避することができるはずだ。
実際、AI対応のロボット編成は、データ領域(data region)とテンポ領域(tempo regions)が交差する地域内で、敵対する陸上部隊や統合部隊を破壊することを意図してプログラムされるべきである。このようなロボット編隊は、人的被害の恐怖から解放され、軍隊が積極的にデータを淘汰し、戦略的競争者の用兵能力(warfighting capabilities)を識別して排除すると同時に、自軍部隊の同じ機能を防護することを可能にする。
このようなタスクを遂行できる先進的な米陸軍部隊には、移動型ロボット打撃部隊、移動型ロボット・テンポ部隊、移動型ロボット・データ部隊が含まれるかもしれない。これらの編隊は、自律および半自律システム、センサー、防空システム、データ伝送、編隊の複製(formation facsimiles)、生成的後方支援(generative sustainment)、自給自足的発電、そして人間を基盤とする部隊から切り離されて作戦する打撃能力で満たされる可能性があり、そのため、特定の紛争に勝つ方法に苦慮している政策立案者や軍の上級指導者に、より多くの時間と情報を提供し、より速いペースで作戦することができる。
すでに述べたことではあるが、情報の次元で主導性を握ることに関連して、情報が変革をもたらす可能性のある重要な分野には、以下のようなものがある。(1)データ領域、テンポ領域、準備領域におけるデータとテンポの操作方法のさらなる洗練、(2)移動型の情報探索・自己防護組織(自律型、半自律型、人間・機械統合(一体化)型(HMI))、(3)現実的な欺瞞と効果的ななりすましが可能な移動型編隊、(4)複数のドメイン、縦深で作戦し、偵察の目的のために複数の角度を作り出すのに必要な能力を有する移動型編隊、(5)優れた機能を犠牲にすることなく、これらの編隊を安価で入手可能にする方法の発見。
結論:情報の主導性を握るための提言
米陸軍が現代および将来の戦場における情報ドメインで主導性を握るために追求すべき5つの基本的な提言がある。
第一に、時代が進むにつれ、情報と情報の次元は、もはや情報と情報作戦(information operations)の現状維持の領域(status quo realm)ではないことを認識することである。情報を適切に活用すれば、意思決定に大きな優位性をもたらすことができる。データとテンポの経路というレンズを通して情報を見ることで、米陸軍部隊は情報の優位性と状況的情報の支配性を得る方法を積極的に考慮することができる。その結果、米陸軍部隊は、敵対部隊(hostile forces)が戦場に自軍部隊を投入する能力や準備が整う前に、戦場から排除することができる。
第二に、現状はもはや容認できないため、米陸軍は戦争と戦いの現実に対処するための新しいドクトリン、部隊を開発しなければならない。さらに、透明化された戦場などは、その変化を必要とする。
第三に、米陸軍部隊を近接戦闘(close combat)に巻き込む敵対者の能力を排除することが、将来、陣地戦(positional warfare)や消耗の戦争(wars of attrition)を回避する鍵である。これは、長距離打撃が必ずしも解決策であると言っているのではなく、むしろ、米陸軍は、敵対者の軍を戦場から排除しつつ、近接した会戦(close battle)を回避する方法を考え出さなければならないということである。極めて至近距離で致命的かつ破壊的な効果をもたらすことができる前方作戦データ部隊とテンポ部隊は、この問題を克服する一つの方法である。
最後に、情報の優位性、情報の支配性、情報の次元での作戦に関する明確で理解しやすいモデルに基づいて作戦することは、兵士が自分たちがそのプロセスのどこにどのように当てはまるかを理解できるようにするために重要である。情報の次元で主導性を握り、透明な戦場で競争しようとする米陸軍にとって、曖昧すぎる用語や表現、グラフィックは役に立たない。我々は、関連する軍事コンセプトを説明するために使用する言語、コンセプト、モデルを集団的に研ぎ澄まさなければならない。それを怠れば、将来の軍事的敗北(military defeats)につながりかねない。
ノート
[1] Joint Publication (JP) 3-04, Information in Joint Operations (Washington, DC: Government Printing Office, 2022).
[2] JP 3-04.
[3] Army Doctrinal Publication (ADP) 3-13, Information (Washington, DC: Government Printing Office, 2023), 1-10.
[4] ADP 3-13, viii.
[5] ADP 3-13, 1-1.
[6] ADP 3-13, 2-3.
[7] ADP 3-13, 2-4.
[8] ADP 3-13, viii.
[9] ADP 3-13, viii.
[10] 本記事では簡単にするため、戦場という用語を使用する。軍事力が衝突する場所を示す用語としては、戦場空間(battlespace)など他にもいろいろある。用語の選択は、情報と情報の支配性に関する本質的な議論には無関係である。
[11] Martin Hollis, The Philosophy of Social Science (Cambridge, MA: Cambridge University Press, 2016), 116–117.
[12] Roger Myerson, Game Theory: Analysis of Conflict (Cambridge, MA: Harvard University Press, 1997), 74–76.
[13] R. Duncan Luce and Howard Raiffa, Games and Decisions: Introduction and Critical Survey (New York: Dover Publications, Inc., 1985), 42–44.
[14] Luce and Raiffa, Games and Decisions, 44.
[15] John von Neumann and Oskar Morgenstern, Theory of Games and Economic Behavior (Princeton, NJ: Princeton University Press, 1944), 15.
[16] Dominika Kunertova, “The War in Ukraine Shows the Game-Changing Effect of Drones Depends on the Game,” Bulletin of the Atomic Scientists 79, no. 2 (2023); Anthony King, “Robot Wars: Autonomous Drone Swarms and the Battlefield of the Future,” Journal of Strategic Studies 47, no. 2 (2024).
[17] Samuel Bendett, The Role of AI in Russia’s Confrontation with the West (Washington, DC: Center for New American Security, 2024), 5-6; Ulrich Jochheim, “China’s Ambitions in Artificial Intelligence,” European Parliamentary Research Service no. 696.206 (2021), 1–2; Paul Mozur, John Liu and Cade Metz, “China’s New Rush to Dominate A.I. Comes with a Twist: It Depends on US Technology,” New York Times, 28 February 2024; Suzaanne Maloney, “The Path Forward on Iran and Its Proxies,” Brookings Institution, 2024.
[18] ADP 3-13, viii.
[19] ADP 3-13, 1-1.
[20] 「→」は含意を表す。例えば、A→Bは、「もしAなら、B」という意味である。ここで説明する「データ→情報」は、「データがあれば、情報を持つことができる」という意味である。このコンセプトは、理論の出発点から終わりまで適用される。
[21] Luce and Raiffa, Games and Decisions, 7–8.
[22] Anthony King, Command: The Twenty First Century General (Cambridge, MA: Cambridge University Press, 2019), 401.
[23] 「◊」は混乱を表す。例えば、「A◊B」は、「AがBを混乱させる」という意味である。ここで説明する状況において、データ◊情報とは、「データの混乱が情報の混乱をもたらす」という意味である。このコンセプトは、理論の出発点から終わりまで適用される。
[24] King, Command, 57–58.
[25] Joshua Cowden, “New Data Warfare Company Activates as Beacon of Innovation for XVIII Airborne Corps,” Army News Service, 9 June 2022; Andrew Feickert, “The Army’s Multi-Domain Task Force,” Congressional Research Service IF11797, 26 December 2023.
[26] Trevor Dupuy, Developing a Methodology to Describe the Relationship of Mobility to Combat Effectiveness (McLean, VA: Historical Evaluation and Research Organization, 1967), 25.
[27] For further discussion of this triumvirate, look to: Wayne Hughes, “Two Effects of Firepower: Attrition and Suppression,” Military Operations Research 1, no. 13 (1995): 30.
[28] Dan Ariely and Dan Zakay, “A Timely Account of the Role of Duration in Decision Making,” Acta Psychologica 108 (2001): 196–197.